シナリオ詳細
<総軍鏖殺>湖底に跨る研究遺跡
オープニング
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政変によって国内事情が一変してしまったゼシュテル鉄帝国。
新皇帝となった魔種……『煉獄編第三冠"憤怒"』バルナバス・スティージレッドは警察機構を廃し、強者に己が欲のままに生きろと、そして、弱者は野垂れ死ねと語ったという。
「どうした? 『元々そういう国だろう?』」
この発言を機に、様々な勢力が一気に動きを見せた。
鉄帝国宰相バイルの下に集い、前皇帝ヴェルスの復権を狙う帝政派。
南部戦線防波堤の城塞バーデンドルフ・ラインを拠点とし、新皇帝候補ザーバを中心とするザーバ派。
ラド・バウ、ノーザンキングス、革命派……もちろん、新皇帝を中心とする派閥(魔種も多く属す)も存在する。
そんな中、帝政派やザーバ派とは一線を画した考えを持つ者達として、軍部非主流派が挙げられる。
彼等は浮遊島アーカーシュへと集まっており、古代遺跡の遺物を使って国土を魔種の手から護ることを主張する
中心となるのは、アーカーシュのレリッカ村長、アンフィフテーレ・パフや鉄帝国の政治家歯車卿。一部自分の権勢拡大を狙う輩もおり、彼等の動きを注視しておく必要はあるだろう。
「現状についてはこんなところですね」
『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)はざっくりと鉄帝国の情勢について、イレギュラーズへと話す。
アクアベルはレリッカ村へとイレギュラーズを集め、今回の依頼について話す。
今回、集まったメンバー達にお願いしたいこと。それは、探索が手づかずになっている遺跡の攻略だという。
「それ、落盤した湖底の横穴の奥にあるという遺跡の話ですよね?」
『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の問いかけに、アクアベルが頷く。
暴走する『特務大佐』パトリック・アネルの掃討後、軍部非主流派にとっては地上の争乱に対するべくアーカーシュの全容解明が急がれる状況となっていた。
「ここで、レリッカにほど近い湖群の底を繋ぐように位置する遺跡が未解明であることが指摘され、調査を行うことになりました」
ここはマーマディアンと呼ばれる半魚人の姿をした古代獣が守っていた。
また、エピトゥシ城に研究室の一部があり、そこにもマーマディアンが存在し、かつ何らかの研究が進められていた事が分かっている。
――この地下遺跡では、生物を使った実験が行われたのではないか。
ならば、現状でも何かかしら使えるものが存在するのではと軍部非主流派も淡い期待を寄せる。
「とある湖底からの入り口は落盤で封鎖されてしまいましたが、別の湖底からの入り口が健在であることを確認しました」
ともあれ、この遺跡の調査を進めたいが、人手も時間もあまりとれぬ状況もあってこの1回で調査を打ち切ることになりそうだ。それだけにしっかりと探索しておきたい。
「古代獣との戦いが見込まれますので、戦闘準備を願います」
アクアベルは自らの予知によって得られた情報を纏め、出立するイレギュラーズ達へとそれらを提供するのだった。
●
指定の湖を潜り、底の横穴へと突入し、地下遺跡へと突入する。
内部は空洞となっていて空気が充満していたが、湖底の為かかなり湿気を感じる状況となっていた。
あちらこちらの部屋には様々な器具が設置されており、今でも稼働し続けている。フラスコの内部では今なお両生類を思わせる生物の培養が進んでいる。
研究資料がどれほど残されているかは調べねばわからないが、この遺跡へと誰かが侵入していた跡を確認できたのが気になるところ。
そして、その跡はなぜか最奥手前で途切れている。
それもそのはず。そこには……。
シャアアアァァァ……。
3つの頭、5つの腕、脚はなく、胴体を引きずるようにして移動する複数のマーマディアンを合成したと思しき古代獣が鎮座していた。
シャアアアアアアオオオオオオオオオ!!
侵入者を発見するやいなや、そいつは鈍重な動きながらも手数を使って攻撃を仕掛けてくる。
こいつを討伐せねば、遺跡の全容解明は望めない。
今回の探索でしっかりと調査を完了させる為にも、イレギュラーズは異形の古代獣と相対するのである。
- <総軍鏖殺>湖底に跨る研究遺跡完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月29日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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浮遊島アーカーシュ、レリッカに程近い場所に湖群が存在する。
それらの湖底を繋ぐように存在していたのは……。
「うむ、ここが地下遺跡か!」
「湖底の研究所ねぇ」
水中から横穴を伝って空気の溜まった場所を『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)、『闇之雲』武器商人(p3p001107)が見回す。
元々あった空洞が人工的に整備され、様々な設備の配備によって研究施設のようになった場所だ。
「まるでコソコソ隠れて非合法に研究をしている様な感じだね。……いや、その通りかね」
この遺跡はアーカーシュ関係者が作った物か、それとも……。
「流石アーカーシュ、まだまだ未発見の遺跡が見つかるんですね」
「ああ、まさか新しい遺物が見つかるとは」
『輝奪のヘリオドール』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)、『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は魔王城依頼の遺跡の発見に目を丸くしていたが。
「それはそれで研究のし甲斐があって大変よろしい」
すぐに、ルーキスは魔術師として研究欲を剥きだしていた。
湖底に存在する秘密の施設というのはありがちだと語る『紅矢の守護者』天之空・ミーナ(p3p005003)がそこでさらに口を開いて。
「そのありがちな物の中に、役に立つ物がありゃいいんだが」
「頑張って調査をしませんと……!」
ミーナの呟きを受け、マリエッタが意気込む。
鉄帝が大変な状況だとは分かっていても、ルシアも目の前にある遺跡に対する興味が首をもたげていて。
「こういう未知の遺跡を探っていくのってやっぱりちょっと心躍るのでして!」
「研究の是非はともかく、その内容とモノガタリには興味がある。探らせてもらうとしよう。ヒヒヒ……!」
武器商人もまた、知的好奇心を止められないようだ。
しかしながら、元々情報にはあったが、ニャンタルは地面を見ていて、明らかに比較的新しい足跡が残っているのを発見して。
「何やら人が入った形跡があるでな、気を引き締めて行くぞ!」
ニャンタルに促されつつ、メンバー達は警戒しながらも移籍の中へと踏み込んでいく。
●
薄暗い中、機器はぼんやりと光を灯す。
それでも、通路は薄暗いこともあり、武器商人は灯りをつけて前方を照らす。
遺跡内はいくつかの小部屋があり、煌々と淡い光を放つ機器内では今もなお不気味な生物の培養が続いていた。
「これがあのマーマディアンをあんな形にした物でしょうかね?」
『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)は以前の依頼で半魚人の姿をした古代獣と対している。
「くくっ、アーカーシュの技術力には驚かされるばかりですよ」
含み笑いする『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)。
それらも気になるのだが、今は……。
「でも、今回は既に誰かが先に入ってたのですよ?」
「この遺跡……すでにひとの手が入っている様子が」
『ょぅι゛ょ』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)、マリエッタは侵入者の存在を懸念する。
「ここには侵入者がいるのね。まだいるのか、もう消えたか……その人は敵か味方か。うーん」
フルールがファミリアーの蛇を呼び出し、侵入者がいないかと探索する。傍では、ウィルドも夜目の効くネコに離れた場所を探らせていた。
「敵だと思うのだけど……」
その辺りは本人に聞いてみないと分からないし、拘束しておかねばならないとフルールは考える。
抵抗するなら縛り上げるまでとフルールはいつでもスキルを使えるよう備え、ニャンタルもまた罠を作成したり、捕縛の為のロープを用意したりと準備を怠らない。
「もしや、誰かがこの遺跡の成果を持ち出して利用しようと……?」
マリエッタの予想は皆も脳裏に過らせていたところだが、彼女はもしそうならなおさら遺跡の情報、成果物を回収しておきたいと意気込む。
「同意です。あわよくば、この施設を確保してこちらの陣営で利用したいところですが……」
幻想貴族であるウィルドは鉄帝の軍事力を強化する真似をしていいものかと思案する。
「……ま、取らぬ狸の皮算用をしても仕方がありません」
改めて、遺跡調査……をしたいのだが、侵入者の形跡もさることながら、別の脅威が。
「なんか、殺気を感じるのでして!」
「いきなりかい!」
ルシア、ニャンタルの一言で、皆が視線を向けた先には……。
遺跡最奥の部屋と思われる扉の前に、半魚人の姿をした古代獣数体が並ぶ。
「む? 何やら最奥を守っとる様にも見えるな……」
「マーマディアンですね。以前城で戦った個体と同様の個体が4体。それに加えて……」
ニャンタルは敵の後ろの部屋を気に掛けるが、ルーキスがその前にいる異様な生物を警戒する。
シャアアアァァァ……。
異形と化した実験体は時折徘徊したり、ボーッとしたりと理性をまるで感じさせない。
ただ、一定範囲の外に出る様子はない為、奥へ進むには排除するしかない。
また、4体の量産型はこちらを威嚇し、今にも飛びかかってきそうな勢いだ。
「この先に何かあるぞ! 打ち倒して先に進むとしよう!」
奥の部屋に続く足跡はない。ここは手づかずだと察したニャンタルの言葉にマリエッタやルーキスが頷いて。
「まずは危険の対処からですね」
「厄介なガーディアンをなんとかしないとな」
侵入者はあの古代獣に襲われたのだろうか。
ルシアは推論を巡らせながらも、出来れば遺跡を綺麗な状態で保っておきたいと本音を漏らす。
「真相は置いておいて、ひとまずはあれを倒してから探索でして!」
すると、マリエッタがすぐに保護結界を展開して、これから始まる戦いの余波で周囲の研究機器が壊れないよう配慮する。
後は、こちらの戦い方次第といったところ。
「まぁ、出来る範囲で頑張ってみるのですよ!」
仲間のサポートもあり、魔力を高めるルシアは上手く前方の敵を排除できるよう心掛ける気構えだ。
シャアアアアオオオオオ……!
実験体もこちらに気付いて5本ある腕をばたつかせ、にじり寄ってくる。
「自我の境界が曖昧なれど、すべての人が生き、幸福でいられる私の理想とはかけ離れた融合……」
そんな実験体の姿を、フルールは憐れんで。
「可哀想に。楽にしてあげますからね」
精霊を呼び寄せ、彼女は焔を燃え上がらせた。
●
我を失った実験体と取り巻きとなる量産型4体。
邪魔な古代獣マーマディアンを真っ先に抑えに、ウィルドは名乗りを上げて敵のほとんどを引き付ける。
彼に向く鋭い爪や食らいつき。それらを、防御を固めた武器商人が庇いに当たっていた。
仲間達がそれぞれ敵と対するのを見ながら、マリエッタは息切れなく戦えるよう自身の最適化をはかる。
「援護は任せてくださいね」
仲間達が十全に戦えるよう、マリエッタは聖体頌歌を響かせていた。
また、ミーナも多くの仲間をカバーできるよう中衛に位置取る。
初手こそ高位術式によって顕現させた四象をマーマディアンらへけしかけていたが、ミーナは激しい敵の攻撃にさらされる仲間の回復に動き始めていた。
彼女達の支援は傷つく仲間へと向けられていたのだが、事前に、自身は必要ないと主張していた武器商人は除外してある。
「なに、心配しなくていいよエーレインの方。我(アタシ)はしぶといからね」
(……不安ですよ、その戦い方)
その前のめりな立ち回りを、マリエッタは危惧していたようだ。
ともあれ、メンバーは量産型から集中して排除に乗り出す。
「基本的に近接されると厄介な相手だからね」
攻撃集中するルーキスは抑え役のなっている仲間の後ろから、纏めてダメージを蓄積させられる形なき銀鍵、さらにケイオスタイドと行使し、敵の体力を削る。
「本来は水の中でしか動けない子達なのですが、あの膜のようなものが水の代わりをしているのでしょうか?」
地上に適応すべく、全身をゲル状の物質で包んでいたマーマディアン。
これを焼き潰したらどうなるのかと興味を示すフルールは精霊と融合し、量産型へと紅蓮の鳳凰を放ち、その体を燃え上がらせる。
ゲルの膜は見る見るうちに薄くなっていくが、思った以上のタフさを見せつけ、なおも水を噴射してくる。
そんな敵へと、ルシアは敢えて近づく。
量産型を狙っているのはもちろんなのだが、彼女は後方で暴れている実験体も捕捉して。
「両方に大穴を開けてやるのですよ!!」
刹那魔神の一部を自身へと降ろしたルシアは、その膨大な魔力をマーマディアン複数体へと放つ。
前方の量産型は風穴を穿たれ、さらに膨れ上がった実験体へと放射される。
その実験体へ、ニャンタルが初手のみ死角から奇襲をかけていた。格闘と魔術を合わせた乱撃を一度浴びせかけると、彼女はすぐに距離をとる。
勝負はまだ始まったばかり。ニャンタルは大きく息を吸って集中し、仲間と共に量産型の排除を優先して攻めかかるのである。
量産型マーマディアンは俊敏さを活かして襲い来る難敵だが、イレギュラーズとて敵の虚を突いた攻撃で徐々に攻め崩していく。
(侵入者は発見できませんね)
ウィルドはファミリアーを通して周囲の警戒を続けつつ、閉じた聖域を展開することで自己強化して敵の猛攻を凌ぐ。
「実験体……まるで水の竜ですね」
その見た目から抱いた感想を口にするマリエッタは、傷つく仲間に大天使の祝福を齎す。
その間も、武器商人が庇いに当たってくれている。深まる傷もあって、身体のあちこちから血を流していた。
「ずどーんでして!」
幾度目かのルシアの砲撃がまたも実験体の体を穿つ。高威力の砲撃に耐えられぬ1体が地に伏すと、その砲撃を浴びた実験体が何度も食らいつき、爪を振り回してきた。
ミーナ、マリエッタが攻撃にさらされる仲間を回復する間に、フルールがまたも発した鳳凰が敵を焼き、丸焦げになった量産型1体が口をパクつかせて崩れ落ちる。
イレギュラーズの攻勢は止まらない。
「とんだ腐れ縁だね、キミ達とは」
混沌の根源的な力を泥に変えて解き放ったルーキスが1体を泥の中に沈めると、泥から脱した1体をニャンタルが剣魔双撃で一気に仕留めてみせた。
シャアアアアオオオオオ……。
残るは敵と見定めたイレギュラーズを3つの頭で見つめてくる実験体のみ。
そいつはじりじりと身体を引きずり、5本の腕でこちらを薙ぎ払う。合間に水ブレスや水砲も放ってくるなど、連続攻撃も脅威だ。
「可哀想だけれど」
そんな実験体に、フルールは憐みの視線を投げかけて。
「もう理性も何もないなら、ただの害獣でしかないもの」
きちんと終わらせるべく、彼女は静かに揺らめく真なる焔をその巨体へと放つ。
「これで住処を荒らすのも最後だし、まあ許してよ!」
相手は膂力と手数で圧倒してくる敵。ルーキスは距離を保ったまま、虚空に魔方陣を展開して鋭利な爪を生やす指を突き刺して発動させた呼び声を浴びせかけていく。
前線に出ていたことで、傷ついていたルシアは体内から湧き出る力をもって、より強力な魔力砲を異形の実験体へと叩き込む。
間髪入れず、ニャンタルが喧嘩殺法で激しく殴打を撃ち込み、剣戟で切り伏せんとするが、歪に膨れ上がった巨体ななおも活動を止めない。
シャアオオオオォォ!!
「さすがにおいたがすぎますねぇ」
そんな敵を押し留めていたウィルドはここぞと重戦車の如き進撃をみせる。
マリエッタもまた回復の手を止め、相手の至近にまで迫ってから魔術を発動させる。
死を告げる血の魔術。
マリエッタがそっと触れた手から流し込んだ魔力が実験体の体へと穿孔とも言うべき深い傷を刻み込む。
直後、これまで仲間達を庇ってきていた武器商人が追い込まれたことで攻勢へと転じる。
聖女の心持ちで神秘の力を高め、武器商人は渾身の魔力を振り絞って魔剣を創造する。
高められた魔力を持って、その刃は一気に実験体の頭と腕数本を切り裂いてしまう。
シャアァァァァァァ…………。
残っていた頭も大きく目を見開いたまま、その体は潰れるように動かなくなった。
ニャンタルはこの場のマーマディアン全てが命尽きたことを確認して。
「問題なさそうだね、ニャンタル・ポルタ」
「うむ、気を取り直して最奥へと進むか!」
少しばかり後味の悪さも感じながらもニャンタルは仲間達へと調査の続行を促すのである。
●
ルシアは倒した実験体の姿に、不安を感じて。
「この施設って本当に大丈夫なやつでして?」
生き物をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせ、何か新しい、有益な生き物を造ろうとしていたのではとルシアは考える。
「でもルシアはおかしいことしてる、って思うのでして」
彼女の主張ももっともだが、それを確かめるべく、メンバー達は改めて遺跡内の調査へと移る。
何かトラップが仕掛けられていないか、ミーナは注意を払う。逆に、ニャンタルはせっせと罠を造って侵入者との遭遇に備えていた。
「奴らは何を守っとったのじゃろか?」
ニャンタルはこの奥に生存者がいるのではとも口にする。
実験体の這いずった跡で、侵入者の形跡も薄れている。それもあって、メンバーは先に奥の部屋を確認することに。
「……改めて気を引き締めて行くぞ!」
気合いを入れるニャンタル。メンバー達はファミリアーを使いつつ、警戒態勢を維持したまま奥の部屋へと突入する。
だが、そこは資料と合わせた保管室のようだった。
以前交戦したマーマディアンと同じく、ゲコガーを呼び寄せる為の笛のみ回収できたが、……どうやら、侵入者はここにはもういないようだ。
念の為、遺跡内を隈なく調べたが、現状、遺跡内にはイレギュラーズしかいないようだった。
「拍子抜けではありますが、機器の調査に移りましょうか」
ウィルドは気を取り直し、生物培養の機器などを触り始める。
とりわけ、メンバー達が調べていたのは、遺跡の存在意義。
「読み解くのが私達の役目です」
ここが何の為に作られたのか、何を作っていたのか、なぜ今はだれも使用していないのか……。
「人手があるに越したことはありませんからね」
状況的にのんびり調査できない。マリエッタも情報収集に協力する。
「……生体兵器の研究、だね」
武器商人は棚にある資料にも目を通してそう断定する。
アーカーシュの天空機兵……セレストアームズは戦闘に特化した個体が多い。
戦闘だけでなく、他の用途でも使用できる兵器が作れないか。マーマディアンはそうした目的で作られた。
「結果的に、半魚人の姿をした生体兵器に……。改良できれば、食料の生産量増加とか出来そうじゃない?」
ルーキスは今も生物を培養する機器を解析しながら、皆に前向きな利用法を提示しようとするのだが……。
「なーんか、魔王城をまもる尖兵とか、そんな感じなんだよな」
虚空を見上げていたミーナが呟く。
ゲームなどで、魔王の近くには見た目そっくりな魔物が何匹もいる様な展開があるとミーナは仲間達へと同意を求めるが。
「……あ、わからん? まあ、だよなぁ」
仲間達の反応に困惑したミーナだったが、霊魂と疎通していた彼女の表情が徐々に陰っていく。
「予測はしていたんだがな。クローン作成か、あるいは……」
遺伝子操作。
考えてみれば、アルトラアームズのコアに人間を使うような技術だ。研究の根本となっているのは人間であっても不思議ではない。
機器を操作していたウィルドはこれらが利用できるかと調査していたが。
「精霊を使った半永久機関……」
「……そういう『代償』を必要とする物は使ってはいけません」
ウィルドの調査結果を受け、フルールは破壊することを提案する。
「やばそうだから処分してしまおう。こういうことは慣れてるからね」
「危ないのなら、壊さなきゃでして」
放置されている機器は誤作動も始めており、それが先程倒した実験体を生み出したものと思われる。
下手をすれば、研究者は実験体の暴走に巻き込まれた可能性もある。
「外を知らない方が良いこともあるってね」
「魔砲でずどーんするのですよ」
ルーキス、ルシアが皆の同意をとり、同時にケイオスタイドと魔砲を発し、実験機器を壊していく。
その最中も、フルールは蛇のファミリアーに調査を続けさせていたが、結局侵入者の姿は遺跡内になかった。
「もしかして、侵入者とは……」
フルールは思う。実はこの遺跡に立ち入ったのは、イレギュラーズに倒される前のパトリック大佐だったのではないか。
彼は即戦力となりそうな手勢のみ回収し、城へと配備したものと思われる。なお、すでにイレギュラーズが討伐済みだ。
「なら、罠はもう必要ないかな?」
ニャンタルは罠づくりの手を止め、先程回収した笛に視線を落とす。
集まる小さなカエルの群れ。それらもまた実験によって生み出された産物に違いない。
「これが有用かは微妙なところだが」
「まあ、流用できる技術なら此方も使わせてもらいましょうか」
ミーナ、ルーキスは実験施設としては使えないと判断しても、その内容の一部は何かかしらプラスになると判断したようだ。
「記録した情報に関しては、後で上に判断を仰ぎましょう」
「持ち帰ってじっくり調べるよ」
ルーキスが報告の為にと情報を纏めていると、ニャンタルは虫笛ならぬカエル笛に視線を落としていたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは遺跡調査、マーマディアン討伐と広く活躍した貴方へ。
今回はご参加、ありがとうございました。
●運営による追記
本シナリオの結果により、<六天覇道>独立島アーカーシュの技術力が+10されました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
アーカーシュ、湖底の遺跡の調査を行うことになりました。奮ってご参加を願います。
●目的
湖底の遺跡探索
●状況
複数の湖の底を繋ぐように位置する遺跡の存在が示唆されていましたが、今回満を持して探索することに。
以前、一つの湖底の入り口が落盤で封鎖されましたが、別の入り口から突入できることが分かったため、そちらから突入します。
遺跡内は研究所といった様相です。
今なお、複数の実験機器は稼働したままで、培養フラスコの中には怪しげな生物が蠢いています。
放棄されて久しい施設内、何者かが侵入した跡が見て取れます。
その侵入跡が途切れた最奥部手前に、後述の実験体が道を塞いでいます。
●敵
遺跡最奥、怪物化した半魚人が完全に理性を失って近づく者に襲い掛かってきます。
〇古代獣:実験体MD(略称:実験体)
全量5m程度。頭が3つ、腕が5つ(脚はありません)と歪な形で複数の実験体が融合したと思われる姿です。
全身がゲルの膜で覆われ、銀色の鱗に覆われています。
俊敏性はほぼ皆無で、どっしりとした構えで今まで以上に守護者としての側面を強く抱かせます。
攻撃は水ブレス、水大砲、鋭利な爪での薙ぎ払い、顎での食らいつきなど。一度に複数回攻撃してくる危険な相手です。
○量産マーマディアン(略称:量産半魚)×4体
量産型タイプ。全長4m。
こちらも全身がゲルの膜、灰色の鱗を纏う半魚人。
水ブレスや水大砲、鋭い爪や食らいつきを使用します。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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