シナリオ詳細
<デジールの呼び声>竜宮の鼻ツマミ者ども
オープニング
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地上の楽園、シレンツィオリゾート。
世界最大級のリゾート地として発展するこの地を周辺とした海域に、現れた魔物……『深怪魔(ディープ・テラーズ)』および『虚滅種(ホロウクレスト)』。
これらの怪物による活動はこの地、近海に住む人々にとって脅威となっており、その対策が必須となっていた。
『深怪魔』はダガヌ海域の『悪神ダガヌ』によって生み出される怪物。
代々、竜宮の乙姫……今代も乙姫メーア・ディーネーがその封印を担っている。
その乙姫メーアがシレンツィオ総督府と協議を重ね、悪神ダガヌの神殿があるインス島海底領域への一斉攻撃を提案していた。
悪神を消耗させれば、力を取り戻した玉匣による再封印をより強固なものとできる。悪神を未来永劫封じることができるのだ。
だが、その作戦の決行まで秒読みとなっていたところ、ローレットへと緊急の連絡が伝わったのだ。
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ダガヌの海底にある竜宮へと呼ばれたローレットイレギュラーズ。
その中には、シラス(p3p004421)の姿もあった。
「ここにきて、海中で戦う機会が増えたのは嬉しいが……」
しかしながら、状況は穏やかではない。すでに竜宮には多数の深怪魔の姿がここからでも視認できる状況なのだ。
「状況が切迫しているから、手早く説明するよ」
『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は苦々しい顔で深怪魔の襲撃を目の当たりにしながらも、集まるメンバーへと状況説明を始める。
インス島海底領域への一斉攻撃作戦の直前になって、竜宮を襲撃し始めた深怪魔。それらは、先の襲撃の際に残された『深怪魔の種』が発芽したことで現れたというのだ。
「世話になったバーがあってね。その通りにも数々の深怪魔が現れていて危険な状況なのさ」
海種女性イネッサ・レヴィヨンが開くバー「メル・プロフォンドール」はこの地の人々にとっても憩いの場。
ただ、このバーを含む飲み屋街の通りもまた深怪魔の強襲を受けており、人々が逃げ戸惑っている状況なのだという。
通りには大きく4種の深怪魔……ランタンキラー、ディープカサゴ、マインアーチン、アビシアンロブスが各1体確認されており、全てを掃討したいところ。
それぞれの資料を提示しつつオリヴィアは続ける。
「飲み屋街だから、決して広くはない場所だ。でも、相手はお構いなしに破壊、人々を襲うだろうさ」
状況は厳しいと言わざるを得ないが、目の前に見える状況が全てというのが救いか。他のことを考えず、人々の避難、街への被害の軽減、そして深怪魔の討伐に注力したい。
「竜宮の人々の安否と、これからの生活はアンタ達にかかっているよ」
大きな作戦を控えはしているが、眼前の人々の危機を放置できるわけもない。頷くイレギュラーズは現場へと飛び出していくのだった。
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うああああああっ……!!
キャアアアアアアアッ……!!
多数の人々が我先にと逃げ出す状況。
煌びやかなはずの竜宮の飲み屋街は混乱の最中にあった。
我が物顔で振る舞い、暴れる4体の深怪魔。
人々を喰らおうと大きく口を開けてくるランタンキラー。
あちらこちらへと全身の棘を飛ばし、獲物を仕留めようとしてくるディープカサゴ。
自身のミニverともとれる見た目をした小型爆弾を大量にばらまき、全てを破壊しようとするマインアーチン。
そして、2本の鋭いハサミと太い尻尾で直接人々を攻撃しようとするアビシアンロブス。
いずれも調理すれば美味しそうな敵ではあるが、それは倒した場合の話。
竜宮にとっての鼻つまみ者どもをツマミにしてしまうべく、イレギュラーズはそれらの掃討へと当たり始めるのである。
- <デジールの呼び声>竜宮の鼻ツマミ者ども完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月09日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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竜宮へと集まるローレットイレギュラーズ。
「で、今日の依頼は何でしたっけ? 宴会料理の下拵えでしたっけ??」
『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)は改めて、仲間達へと問いかけると。
「全くとんだ鼻つまみ者どももいたものだな。せめてツマミにしてしまおうか」
『表裏一体、怪盗/報道部』結月 沙耶(p3p009126)が改めて、厄介な深怪魔の討伐であることを再確認する。
「深怪魔……って、食って大丈夫なもんなのか? いや、報告にあるなら食えるんだろうが……」
「前の依頼ではカサゴが美味しかったらしいし、他の奴らも期待していいのかしら」
『金剛不壊の華』型破 命(p3p009483)はそれらを食することが可能か半信半疑といったようだったが、『妖怪・白うねり』ネリ(p3p007055)が以前の報告を思い出して今回の敵もと淡い期待を寄せる。
しかし、状況は一刻を争う。現地では住民らが襲われており、建物も破壊されて危険なのだとか。
「何かを守りたいという心情がある訳でもないのですが、こういう場所は結構守りたいんですよ」
その理由について誰から元なく問われ、ライは逆に皆へと問い返す。
「美味しい酒が飲める場所以上に重要なものが、この世にありますか? 美男美女とお酒が飲める街以上に重要なものが、この世にありますか??」
20歳未満のメンバーも多いチームで、酒については語れぬ者も多かったが、それでも誰かと一緒にのんびりと飲食できる場を大切にしたいという気持ちは皆同じ。
「疲れた心を癒す飲み屋街で好き勝手暴れるだなんて、許せないわね」
『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)がその憤りを代弁すると、沙耶は自身が怪盗であることを皆に伝えて。
「皆が混乱しているのなら、そこに乗じてさっと助けて心を奪っていくのが怪盗というものだろう?」
違うかと沙耶が皆に返答を促すものの、怪盗ではないメンバー達もそうなのだろうと曖昧な返答をするのみ。
「ともあれ、不届き者達はここで退場してもらいましょう!」
アルテミアの決起の言葉には、皆一様に頷いてみせたのだった。
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竜宮城内を走るイレギュラーズ一行は程なく、飲み屋街へと至る。
うああああああっ……!!
キャアアアアアアアッ……!!
逃げ惑う人々の中、街中では4体の深怪魔、ランタンキラー、ディープカサゴ、マインアーチン、そして、アビシアンロブス。
いずれも異様なまでに異形化こそしてはいるが……。
「あれが深怪魔……海産物っぽい見た目だけど」
「ホントに倒した後食べるの? アレ、一応は深怪魔よ? 確かに美味しくなりそうな見た目だけれど……」
前回、カサゴを食した報告はあれど、『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639) やアルテミアは実物を目の当たりにし、改めて深怪魔が食べられるのかと疑問を抱いてしまう。
ただ、すでに戦闘後の食事に思いを馳せる者もいて。
「どいつもこいつも腹が減る見た目しやがって」
「うにみそ美味しいです。後で酒の肴になるのが楽しみです」
『竜剣』シラス(p3p004421)は海の幸といった見た目の敵に、ライは中でもウニに、思わずごくりと唾を飲み込む。
「……なるほどね。深怪魔を倒して、人々を守る。その後で、おいしくいただかせてもらうよ……!」
オニキスは仲間達の意見を聞き、前向きに討伐に乗り出す。
「って、食うことよりまず被害を食い止めねえとな」
飲み屋街へと突入する命はまず、慌てて逃げ惑う住民達へと呼び掛ける。
「慌てず頑丈な建物の中に入ってくれ! あと、小さいウニには絶対近寄らねえでくれよな!」
同時に、『希望の星』燦火=炯=フェネクス(p3p010488)が深怪魔達へと高らかに告げる。
「随分と好き勝手に暴れてくれたようだけれど、それももう御終い!」
思い思いに暴れていた深怪魔が燦火へと一点に視線を注ぐ。
「私達が来たからには、アンタ達はまるっと――あら、美味しそうじゃない?――晩御飯になる運命(さだめ)よ!」
それを挑発ととり、深怪魔達はイレギュラーズを敵と認識し、こちらへと近寄ってくる。
「美味しかったら、みんな許してあげるわ」
素っ気なくそれらへと告げ、ネリは仲間と共に討伐を開始するのである。
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竜宮を荒らす深怪魔の一隊は厄介者揃いだが、なかでも小型のウニ爆弾をばら撒くマインアーチン……ウニが群を抜いて面倒な相手。
「ウニを最優先として、その後は流れで狙っていくわよ!」
アルテミアの呼びかけに皆同意すると、真っ先に動くネリが周囲に転がる瓦礫の一部などを纏わせて光の大剣を生成する。
そのまま彼女は加速し、ウニへと近づく。
「あなたは軍艦巻き」
ネリは超新星のスピードで、ウニ目掛けて大剣を叩きつける。
外れることも想定しての一撃だったが、いずれにせよ頼もしい仲間達が続いてくれている。
「迅速に撃破しましょ」
アビシアンロブス……エビの抑えへと沙耶が向かうのを尻目に、燦火もウニへと接敵し、霊撃魔術として組み上げたエネルギーをウニへと叩きつける。
小型爆弾をばら撒いていたウニは燦火へと意識を向け、棘で直接排除することに決めたようだ。
ほぼ同じタイミング、沙耶がエビ目掛けて移動する勢いを切れ味に転化して斬りかかる。
「こっちだ」
できるだけ街に被害が出ぬよう、沙耶は少しでも広くスペースのとれる交差点へと誘導し、肉弾戦を得意とするエビの抑えに注力する。
怒り狂ってほんのり赤味がさしかかる青いエビは彼女目掛けて鋭いハサミで斬りかかってきていた。
ライも前に出ており、残るディープカサゴやランタンキラー……カサゴやアンコウを纏めて引き付け、それらの棘、魔法を受け止める。
味方の損害を減らす為にライは傷を負いつつ、肩慣らしといった形で現状の最適解を導き出して刃を振るう。
「Si Vis Pacem, Para Bellum」
そして、ライは平和の為に祈りを捧げ、前線で敵の猛攻に耐えていた。
その間にも、イレギュラーズの攻撃はウニへと集中する。
「放っておくと飲み屋街の被害が激しそうだからな」
シラスが言うように、全てを除去するのが困難な小型爆弾をばら撒くこの深怪魔は非常に危険な存在だ。
「移動して広範囲に爆弾をばらまかれると厄介」
オニキスもこの魔物の危険性を指摘し、相手の四方に出現させた土壁で一気に押し込んで移動を制限させた。
さらに、命は独特な術式を構築して魔光を発し、ウニに強い衝撃を与える。
命はさらに闇の月をその手に輝かせ、ウニの体を照らし出して先行きの暗い運命を暗示させた。
それを現実のものとすべく、アルテミアが至近にまで攻め入る。
「棘がある限り中心部への攻撃はなかなかし辛いでしょうし、なにより危険だからね」
残像を伴う圧倒的なスピードでアルテミアが切りかかっていき、無数の棘を折っていく。
「その自慢の棘を、ざっくりと刈り取ってあげるわね?」
燦火も続き、渾身の魔力を振り絞って創造した神滅の魔剣で無数の棘を切り払う。
「テメーらはもうまな板の上なんだぜ、大人しくしな」
棘を再生しようとする敵に対し、そうはさせじとシラスが神秘的破壊力を一点に集約して本体へと極撃を打ち込む。
後々のことを考え、中身が飛び散らぬよう考えたシラスの一突き。続けて、アルテミアが丸いその体に鉄帝国の武技「鋼覇斬城閃」を叩きつける。
だが、ウニも深怪魔となるほど強化された肉体を持つ相手。
回転しながら体当たりを繰り出してくるなど、なかなかに動きは止まらない。
的確にウニの動きを見定め、命が意志の力を衝撃波に変えて浴びせかけ、続けざまにオニキスが収束性を高めた魔砲を撃ち込む。
これだけ食らえば、さすがに動きの鈍ったウニへと燦火が注視して。
「爆弾発射口辺りが柔らかそうかしら? ……一気にカチ割ってあげる!」
棘だけでなく、殻もかなりの強度を持っていたウニだが、燦火が再度神滅の魔剣を振り下ろす。
これに耐えられなかったウニは真っ二つに割れ、完全に動きを止めてしまった。
「爆弾を処理しないと」
戦闘中ではあったが、命は直感で自分が今しなければならないことを意識し、一旦戦いの手を止めて周囲にばら撒かれた小型爆弾の除去に動き出す。
同じく、ネリもまた爆弾の回収に当たっていたが、その際に住人避難へと当たっていたオニキスの練達上位式が爆弾を発見してくれていたのを見て。
「頼もしいわね」
時限式らしいと判断したネリはそれらの爆弾を頭上へと投げ、何もない海中で花火の如く爆発するのを見届けたのだった。
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最も危険な深怪魔を倒したイレギュラーズから少し離れて。
「危険だが致し方ない、街を巻き込んだら困るものな」
アビシアンロブス……エビの鋭いハサミと強烈なしっぽは一撃食らうだけでも大ダメージとなるが、敢えて沙耶はエビを引き付け続け、速度を活かして堅い甲殻を持つ相手へと切りかかる。
(マヒしたら儲けものだが)
とはいえ、なかなか思うように動きを止めてくれない深怪魔の一撃に、沙耶は強く歯噛みしていた。
さて、他メンバーの狙いは事前に定めた優先順に向いていく。
「だが、その前に……」
シラスは仲間達の攻撃が集まる前に、有利に戦いを運ぶ為にと個別に破邪の結界を展開して一時的にでも攻撃能力を削ぐ。
命はそいつへと、ウニ同様に魔光を撃ち込むが、合わせて形作る闇の光で近場にいたアンコウも合わせて照らし、その先行きを暗くする。
次なる狙いはカサゴへと向いていたが、こちらは前回も現れた相手。その対策は比較的割れており、メンバー達も順調に攻め立てる。
「この呪言から逃れる術はないよ」
オニキスが紡ぐ「歪曲のテスタメント」は空間を越えて敵の体をねじ切ってしまうだけでなく、身体を石へと近づけてしまう。
「…………!!」
オニキスがさらに全力で魔砲を撃ち込むとカサゴが身体を硬直させたが、すぐに鋭いヒレを薙ぎ払ってくる。
「大丈夫大丈夫、もう一枚ドローです」
軽い口調だったが、かなり傷が深まっていたライは前線から後退する。
パンドラ使用まで考えていたライだったが、現状ならば大丈夫と踏み、ロザリオという名の魔銃から魔弾を発射させる。
復讐の力を上乗せした一撃はカサゴの脳天を撃ち抜き、その命を奪ってみせた。
メンバーはすぐさま提灯から怪しげな光を発してくるランタンキラー……アンコウに矛先を変えて。
神秘に対する防御が比較的高めなアンコウはどうやら、独特のぬめりがあるゲル状の物体と怪しげな光を使って自らの防御を高めていたようだ。
その為、シラスが破壊の力を高めた魔術をアンコウへと叩き込んで抵抗力を削ぐと、燦火が颯爽と距離を詰める。
「アンタもシメてあげるわ!」
赫い霊撃魔術で敵を包むと、燦火は目の後方から魚を締める様に攻め立てていく。
「吊るして斬れないなら、ヌメリを凍らせて斬りやすくするまでよ!」
攻撃を仕掛けようとするアルテミアに、アンコウは薄暗い色の光を連発してくる。
自分を強化する光を使うアンコウだ。相手のダメージを与えつつ弱体化させる光も使いこなすことは想像の範疇だろう。
アルテミアはその光をできる限り回避しながら接近し、凍てつく炎で敵の表面部を凍り付かせて断ち切りやすくする。
「あなたは……あんきも?」
そこに爆弾をあらかた処理したネリが再参戦する。
撃たれ弱いことを自覚するネリだが、すでに仲間達が敵を攻め立てて弱体化させている。
それもあって、ネリも攻めやすさを覚えながら速力を直接アンコウへとぶつけていく。
提灯の光が消えると同時に、本隊もまた横倒しになって倒れ、水中を漂い始めたのだった。
「……気を付けて、くるわよ」
3体目の深怪魔が倒れたことを横目で見ていた沙耶へ、ネリが呼びかける。
大きくエビの尻尾を叩きつけられて仰け反る沙耶だが、しっかりと踏ん張って「シャンパン・ゴールド!」を飲む。
「ここは踏ん張って食い止めておかなければ!」
だが、すでに他の深怪魔は倒れている。後は仲間達が駆け付けるまで凌ぐことができれば十分。
今度は相手に切りかかりつつ、沙耶は仲間達の方へと近づいていく。
光芒パルティーレで一気に気力を充填させたシラスがもたらす福音が沙耶の傷を塞ぎ、さらに燦火も天より降るその光輪で支えていく。
「エビって、頭部と胴体の境目に包丁を入れるらしいじゃない?」
そう話す燦火が攻撃へと転じる前に、他メンバーによる攻撃が加速して。
ライは攻撃の威力が微妙に上がり切っていないと判断し、一時的に前へと出る。
尻尾は強力すぎる為、ハサミを一度だけ食らい、また後方へ。
「ギリギリまで行ければ」
微妙に連撃できるかどうか、ライは楽しみながらあいの為の祈りを捧げて銃の引き金を引く。
「エビはフライがいいかしら」
ここでも光の大剣を光速で叩きつけるネリ。
甲殻の堅さに自信をもっていたと思われるエビだが、あちらこちらに亀裂を走らせていた。
それもそのはず、アルテミアが携行品によって一時的に行動力を高め、双炎の蒼と紅の連撃を撃ち込んでいたのだ。
「……案外、凍らせる事で氷締めの効果があって倒した後に美味しくなる……かも?」
凍らせつつ燃やした後で、暴力的とまで言えるほどの剣戟を見舞い、エビの全身に亀裂を増やしていたのだ。
こちらも光芒パルティーレで気力をある程度充填させていた命が敵の体の節目目掛けて衝撃波を叩き込むと、オニキスがすかさず収束性を高めた破式魔砲を発射する。
頸の付け根付近を穿たれたエビの目から光が消え、街中へと崩れ落ちていったのだった。
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深怪魔を倒し、この場は少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるが、まずは片付けから。
「お腹がすいたけど、やることはやらないとね」
オニキスは仲間と共に、深怪魔によって破壊された瓦礫の撤去へと当たり始める。とりわけ、ウニ爆弾が残っていないかは細心の注意を払う。
壊れた店の片づけにはシラスが当たる。
並行して、彼は怪我人を手当てすべく福音を使う。充填もあってコンスタントに癒しをもたらす彼の元に、ある程度作業が進んだオニキスが加わっていた。
事後、復興作業が進む中、沙耶はバー「メル・プロフォンドール」へと深怪魔から切り出した食材を運んでいたのだが。
「なんか考えていたら、おなかがすいてしまったな」
やはり、沙耶もこの食材で作られる料理が気になる様子。
「みんなで食べたいわね。イネッサ、お店でこいつらお料理してくれる?」
「分かったわ。楽しみにしていて頂戴」
ネリに笑顔で返し、イネッサは厨房を使って持ち込まれた食材の下拵えを始める。
ローレットの経費にて、別の店でそれらの料理を振舞ってもらう話をネリ別案として出したが、彼女は自分で作った料理を皆に振舞いたいようだ。
実際の調理はマスターであるイネッサを中心に行う。
アルテミアも手伝いに入り、思惑通りに氷締めされていたエビを刺身におろしていた。
食肉に興味を持つ近場の飲食店店主も店の復興の合間で調理に訪れていた。
「板前さんも読んでおいたよ」
「イネッサたちが料理するなら、きっと美味しそうだ」
シラスも沙耶も、その出来に期待を寄せる。
程なく作業も進み、料理もできたということで、イレギュラーズはバーに集まる。
「後は美味しく頂くだけよ。散々暴れてくれた分、その身をもって償って貰うわ。文字通りにね!」
よだれをすする燦火の隣で、オニキスもまたじゅるりと音を立ててから目の前の大盛りうに丼を口にし始める。
「うおー、腹減ったぜ! いただきます!」
シラスも待ちきれないと言った様子でかっ込み始める。
酒を飲むことができないシラスだが、シーフードに目覚めたとその料理を絶賛する。
カサゴの刺身や煮付け、うに丼の他、エビの丸焼きやエビチリ、エビフライ。アンコウは唐揚げに鍋と入れ替わり料理人が携わっていた事もあり、その数はかなりのもの。
「やっぱり加熱した方がいいのか、これ。この種類なら寿司とかも美味そうだよな」
イネッサの勧める酒を口にする命は酒の飲めないメンバーにジュースを振舞う。
「くっ、深怪魔なのに美味しいだなんて……悔しいッ」
傍迷惑だった生物も、食材となれば非常に美味。不本意そうに味わうアルテミアの傍で、オニキスが瞬く間に平らげておかわりを頼む。
シラスなどはどの食材も捨てがたいと考え、4体全ての部位を利用した海鮮丼に舌鼓を打っていた。
飲み物を含め、美味な料理を美男美女と味わうこの状況を、ライはこの上ない至福の一時と感じていたようだ。
「あ、鍋のしめ、私は雑炊がいいと思うんだけど」
「ええ、少し待っていて」
オニキスの提案に快く賛同するメンバー達に応じ、イネッサは快く雑炊を用意するのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは破壊力の高いエビを引き付け続けていたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
<デジールの呼び声>のシナリオをお届けいたします。
水中戦を望んでいたシラス(p3p004421)さんのアフターサクションシナリオですが、他の方々も参加できます。
●目的
全ての深怪魔の討伐
●状況
竜宮の飲み屋街へと襲来してくる深怪魔の一隊を討伐していただきますよう願います。
あちらこちらでネオンの輝くこの場所には多数の海種の人々が避難すべく逃げ惑っており、彼等と店を守らねばなりません。
●敵:深怪魔×4体
略称はプレイング字数軽減などにご利用くださいませ。
○ランタンキラー(略称:アンコウ)×1体
全長3m超。異形と化した黒いチョウチンアンコウ。
光る提灯部分から光など、魔法を放ちます。
鍋が鉄板ですが、他の料理も美味と言われています。
○ディープカサゴ(略称:カサゴ)×1体
全長2m程度。深海に適応し、鮮やかな赤い色をしたカサゴですが、飛び出した目、全身の刺々しさの方が強く目を引きます。
全方位へと棘を飛ばし、鋭いヒレで広範囲を薙いできます。
前作「<竜想エリタージュ>酒蔵を巡る異形魚」で調理した料理はなかなかに好評だったようです。
○マインアーチン(略称:ウニ)×1体
全長2m超。見た目は赤いウニといった印象です。
小型の時限爆弾式ウニを街へとばら撒いてきます。数ターンおきに先制してばら撒いてくる為、街からの爆弾の排除が必須となります。
また、全身の棘を伸ばして相手を貫いたり、回転して体当たりしてくることも。
ウニみそは絶品だという噂です。
○アビシアンロブス(略称:エビ)×1体
全長4m弱。鋭い2本のハサミ、太い尻尾を持つ深海の青い海老。
それらを使った近距離戦を得意としておりますが、その体躯もあって攻撃は広域に及びます。
焼くことで青い甲殻は赤く色づき、美味しそうな見た目になります。
●NPC
○イネッサ・レヴィヨン
今回の依頼者。竜宮某所にてバー「メル・プロフォンドール」を営むスタイルの良い海種女性。年齢不詳。
艶っぽい見た目ながらも、安価で飲み物を提供してくれ、客の悩みを聞いてくれることもあって人気の女性。
●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができ、水中では呼吸が可能になります。水中行動スキルを持っている場合更に有利になります。
竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。
●特殊ドロップ『竜宮幣』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru
●シレンツィオ・リゾート
かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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