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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>治する為の力

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<総軍鏖殺>治する為の力
 新しき皇帝『バルナバス・スティージレッド』が混乱の中に就きし国、鉄帝国。
 今迄の平穏な日常は、突如として荒れた争いに苛まれ、一般人はおろか、鉄帝国軍の軍人達すらも、その争いに巻き込まれていた。
『っ……くそが。こんな事になるだなんて、聞いてねぇぞ……!』
 苛立ち舌打ちを打つのは、鉄帝国南部に拡がる南部戦線に属する鉄帝国軍兵士。
 彼等は帝国南部の防波堤の城塞『バーテンドルフ・ライン』を拠点とする者達であり、周囲の警備を担当している。
 更に……新皇帝の『力こそ全て』の方針に対してつけあがる様な素振りを見せる闘士崩れの者達を粛清する事で、自治的な物を護っている。
 ……だが、そんな鉄帝国軍の兵士達を不意に取り囲むのは、獰猛な爪と牙を持つ熊の様相を呈した者達。
 このような街中にそのような者が出てくるのは、普通は考えられない事ではあるが……昨今そのような事件が領土内で多発しており、その被害から市民を守るべく彼等は域内を巡回していた。
 その警備に当たっていた彼等の前に突如現れたその熊の様相をした魔物、『ギルバディア』。
 爪を薙ぎ、みるみる内に距離を詰めてくる彼等に対し、切羽詰まった警備兵達の手元の銃が火を放つ。
 しかし、その銃弾を喰らおうとも、全くものともせずに彼等は、牙爪を振り回し……警備兵達を蹂躙しようとしていた。


「……そうか。分かった。情報、感謝する」
 報を受け、労いの言葉を掛けるのは、ここ鉄帝国南部戦線に展開するザーハ派に属する一人、ゲルツ・ゲプラー。
 そして彼が振り返った所に君たちがいると、その眼鏡をくいっと上げながら。
「皆に集まって貰ったのは他でもない……俺達の仲間である帝国軍兵士達が、強力な魔物に襲撃されてしまった様なのだ……既に、何人、何十人もの仲間達が、その被害に遭って仕舞っている様でな……」
「魔物の動きは正直な所、まだ分かりきっていない部分が多い。ただ一つ判然としていることがある。それは……とても凶暴であり、ヒトの血肉を喰らうのを習性としている様なのさ」
「このままでは、彼等が南部戦線にとって、重大な障害になるのは間違いないだろう……ただ、彼等の出現場所に向かって退治するだけでは、次から次へと敵が出てくる可能性が高い……そこで皆には、彼等の出現場所に向かい、彼等を退治しつつもその住処を突き止めて、ネグラ毎叩き潰してきて欲しい……という訳だ」
 一つ溜息を吐いたかと思うと、ゲルツは再度皆を見渡しながら。
「厄介事が発生し始めたのは、本当にここ最近の話だ。どうしてこのような事態になっているのかは正直な所分からない。だが、仲間兵士達の犠牲をこれ以上増やす訳にもいかないのだ。皆、よろしく頼む」
 と、真摯な表情で深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 鉄帝国南部もどうやら大騒動に巻き込まれつつある様です。

 ●成功条件
  鉄帝国南部に現れた天衝種の魔物『ギルバディア』を討滅する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  鉄帝国南部、幻想との近く故に森林が多い場所です。
  当然ながら視界は悪く、敵の襲撃を事前に察知するのは難しい状態です。
  尚、今回はゲルツから8名の帝国兵達が同行する為、彼等と共に戦う形となります。
  また敵陣は、一人のみになり重傷状態になると、仲間を呼ぼうとねぐらに帰る習性がありますので、その習性を活かしてネグラ諸共仕留めるよう御願いします。

 ●討伐目標
  ・獰猛なる天衝種、ギルバディアの群れ
    巨大なクマ型の魔物です。
    邪魔な木々があれば軽くなぎ倒せるくらいの腕力があり、皆様をも軽く吹き飛ばせる事が出来ます。
    又、更に鋭い爪による斬撃を持ち、攻撃力に秀でた相手です。
    
    彼等は最初は、5体程の集団で皆様に襲撃をしてきます。
    しかしながらネグラには、十数匹が居る様です……ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <総軍鏖殺>治する為の力完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
蒼剣の秘書
レイリー=シュタイン(p3p007270)
騎兵隊一番槍
リスェン・マチダ(p3p010493)
救済の視座

リプレイ

●命を削り、守る時
 突然の混乱に巻き込まれた鉄帝国。
 新皇帝『バルナバス』の勅命により、鉄帝国の軍人だけではなく、一般人もその『弱肉強食』の世界に巻き込まれてしまうという事態。
「全く……」
 と顔を曇らせる『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)。
 それに『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)も。
「ええ。私は政治に詳しくはないし、ついでに言えばそこに食い込むつもりも、何かを誘導するつもりもないのだけれど……でも、そこで困っている人たちがいるのだから、そんなことは関係無くお仕事をするべきなのよね」
「そうね。政治とか、私も良く知らないし、口出しも出来ないのだけれど……困ったものだわね。軍人さん達が政治の騒ぎに手をとられれば、皆を護るための人手もきっと減る。だからこそ、私達が呼ばれたという訳なのだけれど」
 二人が会話を交わす通り、今回の依頼主は鉄帝国南部に展開するザーハ派のゲルツ・ゲブラー。
 今、この帝国南部で活動する彼等の配下である兵士達が、強力な魔物に襲撃されるという事態が度々起きており、その対処を依頼された訳で……イレギュラーズ達の前方には、共に戦うべく指示を受けた帝国兵達も居る。
 彼等の士気は高く、仲間達が殺された事に対する弔い戦だ、と息巻く具合。
 ……そんな彼等を眺めつつ、『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)が。
「それにしても鉄帝の兵達でも対処出来ない魔獣、か……腕が鳴るわねー」
 と、どこか嬉しそうなレイリーに、『救済の視座』リスェン・マチダ(p3p010493)、『闇之雲』武器商人(p3p001107)、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)も。
「ええ……それもクマさんですか。いえ……魔物なのはわかっているんですが……天衝種、でしたっけ?」
「そうそう、天衝種。最近この辺りでよく耳にする言葉だねぇ……」
「ああ、こいつらは突然変異とかの可能性もあるが、内乱と同じ時期に突如現れるのは、作為的なもんを感じるんだよな。鉄帝なら古代兵器か、魔種関係か……しっかり調査する為にも、これ以上犠牲者は出さないようにしなきゃな」
「そうだねぇ……鉄帝の騒乱の要因のひとつになっているのは間違いないし、早く混乱を鎮める為にも早急に潰させてもらうとしようか、ヒヒヒ!」
 そんな三人の言葉に、『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)と、『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)も。
「こいつら、人の血肉を喰らう習性を持って居るという事は、常日頃から人肉喰らいなのか、人を襲うように支持が出されているのかが気になるねぇ……」
「そうだな。これから先も、ヒト喰いの魔物が突然増える可能性があるってのはいただけねぇ。駆除以外にも少しは持ち帰れる情報があるといいんだが……な」
「そうだねぇ……ま、熊から話題を引き出す事は難しそうだけど、兎に角兵士の方々をこれ以上被害に逢わせる訳にも行かないしねぇ……」
 二人の言葉に、ヴァイスが。
「まったく、早くゴタゴタが収まればいいのだけれど……その為にも、この依頼、しっかりとこなさないと」
「そうね。鉄帝の兵士さんが犠牲になっているわけですし、討伐しないとですね」
「ええ。これ以上犠牲を出させたくもないし。なら、しっかり倒さなきゃね! という訳で、みんな、張り切って行くわよ!」
 レイリーの言葉、その言葉を聞いた前方の兵士達も、ウオオオオ、と威声を上げて、天衝種の出没報告がある森林地帯へと赴くのであった。

●巣くう森の中
 そして……鉄帝国南部、幻想近くの森の際。
 鬱蒼と生い茂る森は言いようのない不気味さを漂わせており、灯を灯しても森の中まで光が届かないという……そんな場所。
『さて……前の報告では、この辺り……ああ、ここですここ。ほら……樹が薙ぎ倒された痕があります」
 と兵士の一人が指を指す。
 その先には、ばっくりと枝はおろか、幹まで折れた木々が並んでおり、力自慢のクマであるのは明か。
「了解だ。取りあえずこの近くに居るのは間違いない、という事か」
「そういう事だねぇ……ま、奴らにとってこの木々は、障害物にならないって事だから、気をつけておかないとね……ヒヒヒ」
 ウェールに武器商人は低く笑う。
 ともあれ、この森の中に居るのはほぼ間違いない……そして兵士達と共にイレギュラーズ達は、注意深く森に足を踏み入れる。
 ……遠くの方からは、フクロウの鳴き声やコウモリの羽ばたく羽音など、奇っ怪な音色が次々と響きわたる。
 勿論それらの音には警戒しつつも、イレギュラーズ達は先へと進む。
 ……すると。
『……グゥゥゥ』
 誰かの腹の音がなったのか……と顔を見合わせる。
 しかし、その音は自分達の周りで聞こえたわけでもなく……少し遠くの方から聞こえた訳で。
「……間違いないのだわ。この近くに居る」
「その様だね。となれば……帝国兵さん達。もうちょっと近くへ」
 華蓮の言葉に頷きながら、ランドウェラは少し離れつつある帝国兵達を呼び寄せる。
 そして立ち止り、更に暫しの間……息を潜めて耳を欹てる。
 すると、また……獣の唸り声が響きわたる。
 更にはその声の方向から、メキメキッ、と軋むような音。
 その音の方にイレギュラーズが咄嗟に回り込むと、それと時を同じくして木々を薙ぎ倒しながら、突撃してくる巨大なクマ……いや、ギルバディアの群れ。
『っ……奴が出て来たぞ!』
『あいつらが、俺達の仲間を殺したのか……ああ、絶対に許さねえ!!』
 その圧倒的な力を誇示するものの、決して臆すること無く兵士達は天衝種に対峙しようとする。
 そんな彼等の動きに対し、ベルナルドは。
「威勢が良いのは良いが、命を自分から賭す様な事、しないでくれよ?」
『ああ、勿論だっ!! 全軍、進撃っ!』
 ベルナルドの言葉に頷きつつも、クマ一匹に向けて徒党を組んで対峙する兵士達。
 勿論クマはその一匹だけではなく、数匹の群れで以て仕掛けてきているので、流石に兵士達だけでは対抗しきれない。
 ……そして、残るクマ達に対しては、イレギュラーズ達が分散し、対峙。
「さて、と……取りあえず皆の回復はわたしに任せて下さい」
 とリスェンは味方の大半を範囲に収められる位置へと移動し、構える。
 そして、それを受けてベルナルド、ウェール、レイリー、そして華蓮の四人が残る四人のクマ天衝種にそれぞれ対峙し、敵の動きを足止めする。
『グガァ……ガゥゥゥ!!』
 そう、獰猛たる鳴き声で、邪魔せんと爪を全力で振り回すクマ達。
 そんな敵の動きを見計らいながらも、レイリーは。
「ヴァイスドラッヘ! 只今参上! さぁ、獣なんかが私を倒せるかしら!」
 自身ありありとそうクマ達に言い放ちながら、白騎士の姿と共に鉄壁の防護を獲る。
 更にはウェールが手から放った吹雪のカードと、ベルナルドの死の舞踏、華蓮の茨の呪縛が立て続けに決まり行き、クマ達を傷付ける。
 ……そう、イレギュラーズ達と兵士達の猛攻を喰らったクマ達。
 しかしながら、そこまで体力が減っている様には見えない……それだけ体力が多いのだろう。
「ふむふむ……確かに彼等はかなり丈夫の様だ。ならばこちらも、もう少し火力を上げて行くとしましょうか」
 との武器商人の言葉にランドウェラは頷き、一歩後ろの距離から渾身の衝撃を叩きつける。
 その一撃を食らい、体制を崩したクマがズシン、とその場に転倒すると。
『お、おお……これが、イレギュラーズの力か!』
 と、何処か感動したような声を上げる。
 それにランドウェラは不敵に微笑みながら。
「ふふっ、帝国兵さんも頼りにしてるからね! 回復なら僕達がやるから安心して戦っておくれよ!」
『わ、分かりましたっ!』
 イレギュラーズ達からの期待の言葉を受けて、俄然ヤル気を燃やす兵士達。
 そんな兵士達の体力具合はリスェンとランドウェアの二人が常に注視する事で、彼等が万が一にも倒れないようにバックアップ体制を取り続ける。
 そして、残るクマ達を早急に倒すのが、次なる目標。
「さあ、大人しくしない子はお仕置きよ?」
 とヴァイスが後方から強力な力を伴う一閃を、クマの身を貫くが如く放つ。
『グガァァ……!』
 と、クマは痛みに甲高い咆哮を上げ、数歩後ずさり。
「そう……これが良く効く様ね。それならこれで、一匹ずつ確実に仕留めて行きましょう」
「ええ、そうですねぇ……分かりました」
 ヴァイスに頷く武器商人……そして、イレギュラーズ達は一体を兵士達に任せた上で、残る四体のクマを全力の集中砲火で、数十分の後に、全てが崩れ去る。
 残るクマは一体……更に、兵士達の絶え間ない攻撃のお陰もあり、体力は残り3割といった所。
『グルゥゥ……』
 四匹目の断末魔の咆哮を聞いた所で、その残る一匹は……その巨体をむくりと立ち上げ、周りをぐるりと見渡す。
『なっ……!?』
 今迄とは明らかに違う動きに、一瞬戸惑う兵士達。
 そして……次の瞬間、その巨体に見合わない程に素早く踵を返し、己が来た方向へとドシンドシンと身を震わせながら逃げていく。
『くっ、逃げたぞ! 追いかけろ!』
 当然に逃すまいと、兵士達は追いかけようとする。
 だが、それに。
「はいはい、一旦追いかけなくて良いですよ。下手に追いかけると、手痛い反撃に遭いかねないですからねぇ……」
 と武器商人が止める。
 ……流石にそこは軍人というのもあり、その指示に従い立ち止る軍人達。
「それじゃ、あいつを追わせるとしよう」
 とウェールがすぐにファミリアーの鴉と鼠の使い魔を召喚し、逃げていくクマを追尾させる。
 完全に姿が見えなくなった所で、ウェールの使い魔の追跡情報を元に、イレギュラーズ達はその後を追跡させていく。
 ……数十分程、追跡していくと、ファミリアーも立ち止る。
「これはこれは……あそこがネグラ、って訳か」
 ファミリアー経由で、他の天衝種達が10体ほど巣くう場所を突き止める。
 そしてイレギュラーズと兵士達が、そのネグラ近くまで辿り着いた所で。
「今度はさっきよりも数が多いですし、逃げる事も無いと思います。死に物狂いで抵抗してくると思いますが、ここが正念場です。ウェールさん、ランドウェラさん、そして帝国兵さんたち……どうかご無事で。こちらの回復は任せて下さい」
 とリスェンがそう声を掛ける。
 そして……覚悟を決めた兵士達は、イレギュラーズと共に、そのネグラに向けて突撃を敢行する。
『グガァァ……!!』
 クマ達は、仕掛けてきたイレギュラーズと兵士達に獰猛な咆哮を上げると共に、ここが最後の砦とばかりに全匹、身を振るい爪で薙ぎ、時には噛みつく。
 死に物狂いのその一撃、二撃はかなりのダメージを及ぼし、重症を負う兵士とイレギュラーズ。
 だが……重症を負った兵士に、更に攻撃をしようとする所へ武器商人がインターセプト。
『っ……!』
「……大丈夫です。ほら、一旦下がって下さい」
『わ、わ、わかりました……!』
 武器商人の言葉にこくりと頷き、すぐに後方へ下がらせ、更に傷を負った兵士には積極的にリスェンらが回復を行い、死者を出さない様に立ち回る。
 その一方でランドウェラはは、言葉を解さないと分かりながらも熊たちに向けて。
「実は加速型な僕。体暖まってきたし、良い感じにあたるんじゃないかな?」
 と力強い言葉を口にしながら星夜ボンバーを爆発させ、仲間達の鼓舞と共に敵の注目を集める。
 そして、そこにウェールの風を斬れ味に変えた一閃を放ち、更にレイリーも。
「私を斃さない限り、他の誰も倒させないわよ!」
 と言いながら、仲間を白き騎士で守る様に動く。
 そして華蓮とヴァイスの二人も。
「ごめんなさいね。私達は人だから、人を害されると、見なかった事にはしてあげられないの」
「そうね……貴方達は、少し暴れすぎたの。もう、貴方達を見過ごす事は出来ないわ……さぁ、覚悟しなさい」
 そうクマ、いや天衝種達に通告すると共に、ターゲットを一匹に集中させて、確実に仕留める。
 ……そして、十匹ほど居たクマたちを確実に仕留めて行き……残るは後一匹。
『グゥゥゥ……』
 最早逃げれる場所もなく、仲間も居ない……そんなクマの悲しげな鳴き声。
「もう後悔しても遅い。では……最後の時だ」
 命乞いでもするかの如きクマに対し、ベルナルドの死の舞踏が振るわれ……最後のクマは、死に踊るのであった。

●不穏な風の流れ
「……ふぅ、どうやらクマさん達は、全員倒れた様だわね……皆さんお疲れ様なのだわ」
 最後のクマが倒れた後……息を吐き、笑みを見せる華蓮。
 そんな華蓮の言葉に兵士達は。
『いえいえ……私達もまだまだですね。皆様の様に強くなりたいものではありますが……』
 頭を下げる兵士達……そんな彼等に華蓮は。
「いえ、皆様はとても強いと想うのだわ。だって、国民の皆の為に、何時も頑張っているのだわ。私は鉄帝の国民じゃないけれど……本当に素晴らしいと思うのだわ」
「そうだねぇ……ナーサリーの方の言う通り、キミ達は我に出来ない事を然りと熟している訳です。我は我の、そしてキミ達はキミ達の仕事を確りと熟すことで、鉄帝の平和は保たれるのですから」
 華蓮に続き武器商人の言葉。
 それに兵士達は、ありがとうございます……そう言われると、これからもヤル気が出ます、と笑顔で返してくれる。
 兵士である前に、彼等はこの鉄帝の市民の一人であるのは間違いない。
 職務に忠実に、村や町の人々を護る為に命を賭する彼等の仕事は立派な仕事なのである。
 そう兵士達の労いをしている一方で、ウェール、ベルナルド、レイリー、リス線の四人はクマのネグラである、この周囲を細かく調査する。
 火を灯し視界を確保しながら、藁の裏やらごちゃっと積み重なった食料などの山を崩したりして、その中を調査していく。
 ……すると、幾つか見つかるのは……掌に載るくらいの、ちょっと大きな卵。
「これは……もしかして」
 とリスェンが手に取りつつ、その卵に耳を傾ける。
 ……すると。
『……トクン、トクン』
 と、ほんの僅かではあるが……鼓動のような音が聞こえてくる。
「……まぁ、十中八九間違いないだろう。これは……あのクマたちの卵だろうさ
「ええ……そうですよね……これを残して置く訳にもいきませんし……」
 ウェールの言葉に、ちょっと目を伏せながら……その卵を置くと共に、叩き割る。
 中からは液体の様なものと共に、小さい小さいクマが転がり落ちる。
「……ごめんね、せめて安らかに……」
 その小さなクマに、唇を噛みしめながら更に一閃。
 幼体であろう天衝種は、抵抗する事も出来ずに……そのまま死へと至る。
 そして……他にも同じような卵や幼体を一つ残らず対処し、ねぐらが再び静寂に包まれると共に。
「さて……これでもう大丈夫でしょう。夜遅くになると、変なのが出てこないとも限りませんから、さっさと帰るとしましょう」
 とランドウェラが皆を促すと共に……痕跡を片したねぐらをイレギュラーズ達は後にするのであった。

成否

成功

MVP

リスェン・マチダ(p3p010493)
救済の視座

状態異常

なし

あとがき

鉄帝国南部の混乱を治めて頂き、ありがとうございました!
クマさんの幼体を倒す子てゃ、人によっては辛かったと思いますが……平和の為にはそういう事もしなければならなかったと思いますし、余り気にかけないでいただければ……と思っております。

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