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シナリオ詳細

スティアスペシャルと大食いモンスター

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大食いモンスター、あらわる
「なんだあ……?」
 木陰で休憩していた亜竜種の男は、その足音に気付き立ち上がった。
 ズシンズシン。
 明らかに重量級の何かが歩く音。それは場合によっては命にかかわるが、そうでない場合も多くある。
 だからこそ亜竜種の男は冷静に振り返り、音のする先を見極めようとしていた。
「うわっ……」
 思わず亜竜種の男がそう声をあげる程度にはそれは大きく、そして不気味な何かだった。
 ズシンズシンと、それは歩いていた。
 4つの足を使って歩くそれは、間違いなく何かしらのモンスターであるだろう。
 しかし、その奇妙な生き物をどう表現するべきなのか?
 頭が非常に大きく、むしろ頭しかないのではないかというほどに丸く大きい。
 目らしきものはなく、肥大化した口は何でも食べてしまいそうだ。
 そう、まるで「食べる」という機能に特化したモンスター……そんな感じであった。
「なんかヤバい……逃げなきゃダメだ!」
 亜竜種の男は瞬時にそう判断し、逃げ出していた。
 その男の背後で、その恐るべきモンスターが……男が先程まで陰で休んでいた大樹を、モリモリメリメリと食べている音が、響いていた。

●今こそ、その時
「大食いの敵が出てきてスティアスペシャルをする機会があるはず! そう思うんだ!」
「うむ、その言葉を待っておった!」
「ええ!?」
 打てば響く、という言葉があるが。
 【純白の聖乙女】 スティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)にノリノリで返す『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)に、ステぃア自身が驚いてしまう。
 まさか本当にスティアスペシャルをする機会が訪れたとでもいうのだろうか?
 いや、しかし。相賀が引いてきた台車の上に載っているのは、まさか。
 見ての通りだ。そう、それは山盛りの食材……!
「これを使って好きなだけ料理を作ってええぞ。足りなければ追加もあるからのう」
 しかし、と相賀は言う。
 勿論だが、此処でスティアスペシャルを今すぐ披露してよいという話ではない。
 事の起こりは数日前。
 食べられそうなものを全部食べてしまう大食いモンスターが現れたのがきっかけだった。
 発見した亜竜種の男は何とか逃げ切ったが、ここ数日フリアノン付近にその大食いモンスターが食い荒らしたと思われる跡がいくつか見つかるようになったのだ。
 色々と恵まれているフリアノンといえど、細々と作物を作って暮らしているのだ。
 そんな大食いモンスターにウロウロされては、とんでもなく危険なのは間違いない。
 というわけで……その大食いモンスターが好みそうなものをたっぷりと用意しておびき寄せる必要がある……といううことなのだ。
「なるほど、それで私の……」
「そういうことじゃ」
 美味しい料理がたっぷりあれば、大食いモンスターは喜び勇んでやってくるだろう。
 上手く誘き出すことさえ出来れば、退治するのは難しい話ではないだろう。
 そうしたら、残った料理は皆で美味しく食べてパーティーを出来る。
 こんな最後まで美味しい依頼は中々ない……故に、集まれ食に一家言ある者たちよ!
 そのこだわりが今、輝く時なのだ!

GMコメント

アフターアクションです。
食材はたっぷり用意されますが、持ち込んでも構いません。
フリアノンから少し離れた岩場でガッツリ料理をしていれば、大食いモンスターが寄ってきます。
食べられてしまう前にやっつけましょう。
そうしたら、残った料理をフリアノンに持ち帰ってパーティーです!

●大食いモンスター「パックン」
 全長7m。でっかい口を持った丸い大食いモンスター。
 何でも食べるけど美味しそうなものは優先して食べます。
 皆さんのこともパックンしますが、好みじゃないのかすぐに吐き出します。
 しかしモグモグはしてみるのである程度ダメージは受けます。
 実力的には、そんなに強くは無さそうです。
 なお、パックンのお肉はささみ味です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • スティアスペシャルと大食いモンスター完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月22日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ディアナ・クラッセン(p3p007179)
お父様には内緒
アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)
Le Chasseur.
月季(p3p010632)
黒き流星

リプレイ

●大食いモンスターをおびき寄せろ
「大食いの敵がいるってことはスティアスペシャルの時代がきたってことだね! 全力でスペシャルしていくよ!」
 覇竜の空の下で『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が叫ぶ。
 そう、今日は好きなだけ思う存分、全力で料理していい日だ。
 作れば作るほど大食いモンスターをおびき寄せやすいのだから、手加減する理由は何処にもない。
「ご飯大食い食べ放題! いやっほーう! ……え、違うの?食べさせる? 勿体なくね? まーいいや、そのパックンとか言うの?ぶっ飛ばせばさ、残りは食べていいんでしょ? じゃー食べたいもの持ってきて、そいつぶっ飛ばして、みんなでパーティってことじゃん! 最高! 頑張ろーぜ!」
「成程。なんでも食べてしまうモンスターの名前がパックン。と……分かりやすく、親しみすら覚えてしまいそうな響きではありますが……なんでも食べるということは…器ごと料理を食べてしまうのでは……?」
 『黒き流星』月季(p3p010632)が叫び、『Le Chasseur.』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)がふとした疑問を口にするが……まあ、実際器ごと食べてしまうだろう。その辺りも含めて仕掛けるのが今回の仕事でもある。
「ぶはははッ!大食いモンスターにメシ食わせるなんざまさに俺向きじゃねぇか! 腕が鳴るねぇ!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)もそう声をあげるが、まさに料理人向きだろう。
 全体の流れとしては本拠(待ち伏せ先)で大量の料理を用意し、そこに向けてパックンを誘導、パックンが食べている隙に囲んで殴るという感じで組み立てられている。
「まさか、スティアスペシャルを戦闘の場に持ち込むことになるとはね」
「要するに、寄せ餌ですね。誘き寄せるのには、まあ、ちょうどいいのかもしれません。スティアスペシャル……人間にはちょっと多すぎる量でも、大食いな巨大生物なら全然怯む事も無いですし。一か所に纏まって量が多い方が寄せ餌には相応しい」
 『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)とマルク・シリング(p3p001309)が納得したように頷いているが、まあ、うん。そういうこともあるだろう。マルクの言葉を借りれば「覇竜領域の可能性、特に食に関しては本当に無限大だなあ」なのである。
「人口的に栽培している貴重な作物をそこまで大量に使用する訳には行かないですし山の幸、川の恵……料理の量を作るなら材料も相応に必要ですし、覇竜領域で採れるものを最大限に活用した方が良さそうに思います」
 リースリットはそう言うが、だからこその覇竜食材も持ち込んでいた。
 そんな中、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は思う。
(ゴリョウさんの お料理は どんなものでも わたしにとって 最高の 食ですの! ですから それを お手伝いできるのは
それだけでも しあわせなこと でも…… わたしには お手伝いしかできないことが 心苦しいですの いつも 口にはだしませんけれど おもってしまいますの…… わたしは こんなにも しあわせを もらっていますのに わたしは なにかを できるのでしょうか と もしかしたら わたしの価値は 海にいた頃の 巨大魚たちの餌としての価値から 変わっていないのではないでしょうか と)
 それ自体は、ノリアの気持ちの持ちようであり、自分で解決するしかない問題ではある、のだが。
「……なんて しんみりしてたのに おいしそうなにおいのせいで 食欲に ぜんぶ 吹き飛ばされましたの! そうですの……わたしは、このお料理を、まもらなければなりませんの!」
 そう、すでに料理の準備は始まっている。
「ええと。あのね。今回の仕事ってモンスター退治の筈よね?この光景どう見ても芋煮会の準備じゃない?」
 『お父様には内緒』ディアナ・クラッセン(p3p007179)が思わずそんなことを言ってしまう程度には、物凄い光景ではあるのだが。
「依頼人……黒鉄さんはたしかに大食いのモンスターをおびき寄せる為に食材がどうのって話をしていたと思うけれど、モンスター相手なら肉の塊でも置いておけば寄って来るんじゃないのかしら……むしろ、その後のパーティーがメインにも思えてくるわ。いや、まさかね……?」
 その辺りは考えてはいけない。楽しんだ奴の勝ちだからだ。

●大食いモンスターをぶっ倒せ
「私は待ち伏せ先に料理を用意する役で、誘い出すのはゴリョウさんの焼き料理にお任せだ!」
 スティアの調理が始まっていく。その調理速度は、まさに熟練のものだ。
「作る料理はポトフ、ロールキャベツ、サーモン親子丼でいくね。デザートにはお芋を使ったケーキかな」
 なるほど、どれも香りという点では弱いかもしれないが、好き嫌いの少ない料理だ。
 そしてスティアを手伝うのはアッシュだ。
「スティアスペシャル……良く分かりませんが、何やら凄いものであるということは伝わりました。ならば、わたしもそのスペシャルな料理を作るのに人肌脱がせていただきます。さあ、なんでもお申しつけくださ……食材の量がすごい」
「まずはロールキャベツってことでスペシャル風味に仕上げるね。半分に切ったキャベツの中身をくり抜いて中に肉ダネを詰め込んで作っちゃうよ。大きすぎてぐるっとは巻けないけどご愛嬌ってことで」
 ロールキャベツはキャベツが苦手な子にも煮込みハンバーグ風味で食べられる素敵な発明だ。それだけに手間もかかるのだが、それ故に恐るべき工夫をスティアは仕込んできた。
「下準備が終わったら後はじっくりと煮込んでいくね。こうすれば冷めても美味しいはず!」
 そうして煮込んでいる間にも、次の準備は進んでいく。
「ポトフはロールキャベツを作る時にくり抜いたキャベツを使って作るね。他には玉ねぎ、人参、ソーセージ、じゃがいもを入れておくよ。大きい鍋を使っていっぱい用意! こっちはちょっと熱いかもしれないから火傷に注意って感じで」
 煮込み料理は一気に調理できるのが特徴だ。芋煮会と評されるだけはあるということだろう。
「次はメインのサーモン親子丼! 覇竜サーモンの旬の季節だし、使わない訳にはいかないよね! 噂には聞いていたけど脂がしっかりとのっていて美味しそう。スティア特性のタレに漬け込んで寝かせておくね! 味がしっかりと染み込んだら寿司桶に盛り付けて完成かな? ちょっとだけ食べたい人の為に丼版も用意しておかないとね」
 サーモン丼は上品な脂が美味しい素敵なものだ。仲間の為に用意しておくという辺りにスティアの優しさが光る。
「最後はデザートのお芋のケーキだー! スペシャルケーキは私にお任せあれー! 何段にすれば良いかな? 希望には答えるね」
 そう聞きながら、スティアの手は止まらない。
「一番下のケーキはサツマイモをたっぷり使って少し硬めに仕上げるね。後はスポンジのホールケーキを重ねていくような感じで崩れないように丁寧に仕上げないと!」
 そう、サツマイモを使ったケーキ。この辺りも迫る秋を考えたベストなチョイスだろう。
「刻んでも刻んでも、減っている気がしない食材の数々。こんな大きなお鍋ははじめて見ました……」
 そしてちょっとアッシュが気合で体力を補填しようとしていた。
「フライパンを振る腕が……攣りそうです……ですが、弱音は吐きません……!これも全ては作戦のため……!」
 そうして途中でスティアにバトンタッチし、よろよろと歩いていく。
「腕が攣りました」
 ゆっくり休んでほしいところである。
「流石だなあ」
 そんなスティアの生き生きした様子に、マルクはそう呟く。
「これにイレギュラーズでも随一のゴリョウさんの料理も加わるなんて。これなら、どんな大食らいのモンスターが来たって完食される心配は無さそうだね。その分、僕たちが食べるのは大変そうだけど!」
 スティアとゴリョウが料理を作成している間は、マルクは鳥のファミリアを飛ばして周囲を警戒していた。
 鳥から死角になるような箇所があれば、そこは自分自身が見張りに立つつもりでもあった。
(料理をしている最中に不意打ちなんてされたら大変だからね。パックンは7mの巨体というから、気をつけていれば必ず接近に気付けるはずだ。パックン以外にも料理の邪魔になりそうな動物等が寄ってきた場合は、やさしく、それでも無理ならちょっと脅かして追い払わないとね)
 今のところ、それらしき影はない。だが油断するつもりもマルクにはない。
「……覇竜サーモン? 覇竜領域だけあって豪快ですね。その魚を捌くのも、なかなか、豪快ですが……」
 手伝いに回っていたリースリットは相当量の冷やした氷を用意することにしていた。
 余り氷を大量に提供していただく訳にもいかないですから、と精霊術を用いて冷やしているのは流石というべきか。
 料理に使う分も、飲料として使う分も……こうした手間暇が料理を美味しくしてくれることは間違いない。
「私もたまには自炊してる(普段は料理人が作ったものを食べる)し、包丁だってちゃんと扱えるわ。でも流石にサーモンを捌くのは無理だから、芋の皮むきとかそっちをやるわね」
 ディアナも下拵えを手伝いながら、出来ていく料理を眺める。
「どのお料理もとても美味しそうね。量が半端ないけれど……。ああでも、モンスターが食べるなら、これくらいの量ひとくちなのかしら? だんだん常識的なごはんの量がわからなくなってきたわ……」
 まあ、少なくともこれはパーティ会場のバイキングでも通用する量なのは間違いない。
 そして月季もそこに彩を添えようとしていた。
「私が食べたいのは! 肉! いえい! 手の込んだ奴は皆が作ってくれるでしょ。私はもうそこら辺の食える動物獲ってくるだけ……は危険なので買ってきたよ! これをいーかんじに下処理して、適当な大きさに切って、串にぶっ刺して、焼く! これがなんだかんだ一番美味いのよ! ビバタンパク質!」
 そう、つまり串焼きである。覇竜でもメジャーで、しかも良い匂いもする。
 亜竜種の月季ならではの選択といえるだろう。
「あとは……なんかケーキとか? デカい奴だと目立っていいよね、多分! そんな大きい奴作ったことないからほかの人に頼んだりして、私ができることなんてせいぜい手伝いくらいだろうけどね。苺とクリームとスポンジで女の子はどれだけでもハッピーになれるからね~……あとは普段持ち歩いてる飴とかガムとかくらい? 足しにはなるだろうけど足しにしかならないよねぇ」
 そうしてそこにゴリョウの料理である。出来た料理は順次仲間たちによって運ばれているので、ゴリョウは調理に集中できるという抜群のサポート環境だ。
「たとえ罠だと気づいてもパックン自身の食欲のせいで否でも応でも食い付かざるを得まい! 携行品使えば常に温かく香りを発する状態で維持できるしな」
 そう、ゴリョウは魔力コンロ(使い捨てタイプ)を持ち込んできていた。これならば安全に冷めることもない!
「まずはメシュイ&キョフテ! メシュイはラム肉の串焼き、ペッパーやハーブ、大蒜とラム肉を焼き上げることでエスニックに仕上げてるぜ。キョフテはラム肉の肉団子だ。ガラムマサラをたっぷり使って刺激的な香りと後引く辛さがクセになるな。ラム肉を採用したのは本体のクセが強くスパイスとの相性もいいんで、香りが立ちやすく誘導に最適だからだ」
 ラム肉はクセの強い食材ではあるが、スパイスを使うことでそのクセを見事に処理してみせた。
「続いて箸休めとして俺特製の焼肉のタレで炒めたブタウシ鳥の全肉種野菜炒めだ。焼き肉の香りはそう簡単に抗えるもんじゃねぇ! ……箸休めに肉野菜炒めってのも存外おかしいな?」
 しかしまあ、良い気はする。このブタウシ鳥も覇竜食材であり、ゴリョウの覇竜へのリスペクトを感じられる一品に仕上がった。
「そして肉、野菜と来たら続けて魚だ。これは俺の領地で取れた魚を発酵液に漬けて干したもんだ……一歩間違えたらヤベェ匂いを発する『くさや』になるらしいけどな。幸い、俺の所のそれはその一歩手前、香りは強いが不快なほどでもねぇ程度のもんだ。覇龍において普段嗅ぎ慣れない海の魚の香りがあれば、食欲的に好奇心の方が強くなるんじゃねぇかな」
「流石ですの、ゴリョウさん!」
 手伝っていたノリアも、出来上がったゴリョウの料理に惜しみない拍手を送る。
 これでも足りなければ、ノリアはつるんとしたゼラチン質のしっぽに特級天然海塩で味付けをしてパックンに見せつけて「こちらののれそれのほうがおいしいですよ」とアピールするつもりだったが……。
「調理段階で満身創痍な気がしなくもですが出来上がった料理を見れば苦労が報われた気もするというもの。ひっそりとこの流れで特大ねこさんオムライスを作ってしまいました。ケチャップで大きなねこさんの顔を描いて……完成です。此の愛らしさ、さしものパックンであっても食べることを躊躇してしまうことでしょう」
 ちょっと満足げなアッシュだが、それも並べられて。
「来た! 凄い食べてる……すぐこっちに来る!」
「この子は美食家だったりするのかな?」
「ねこさーーーーん!!! ねこさんが……ねこさんオムライスが……っ」
 マルクとスティアの声が響き、全員がパックンに襲い掛かっていく。
 ちなみにアッシュのねこさんマークのオムライスは躊躇なくパクッといかれた。
 ……そして、料理の出来が良すぎたのだろう。誰1人パックンにもぐもぐされることなく、手早い退治が完了したのであった。
「え。これも食材なの? ははぁ……。食べたら美味しい。なる、ほど……? 命を奪うならばちゃんと食べるのも供養よね。ええ。わかってはいるのよ?」
 ディアナがちょっと躊躇しているが、まあ当然だろう。しかしゴリョウは怯まない。
「パックンの肉かぁ。ブライニングでもしとくか? 海水に近い濃度の水に漬け込んで筋繊維を柔らかく、しっとりさせる手法だ。いわゆるサラダチキンの作り方だな。これで唐揚げとか作ったらジューシーなのにカロリー控えめとか言う(女性にとって)悪魔みたいな代物が出来るぜ。そうそう、他面子が作ったもんも是非とも味合わせてもらうぜ! いやぁ楽しみだねぇ!」
「そうだね、皆でパーティーだ! 私は普通の丼サイズのサーモン親子丼を食べるね。作ってる時から食べたかったんだ! 後はゴリョウさんお料理も少し食べてみたいな。料理上手だしね!」
「パーティだ! ひゃっほーい! 飯じゃーい!」
 スティアがサーモン丼をパクリといけば、月季も同じくサーモン丼を食べる。
 口の中に広がるのはサーモン独特の濃い味わい……これは、癖になる。
「サーモン丼美味しい……。タレの作り方、教えてもらわなきゃね」
 ディアナもそう頷く程度には、美味。やはり旬のものは強い。
「この大食いモンスター、もしかしたら、きちんと処理をして冷温保存すればフリアノンで食料になるかもしれません。流石に追加の材料として料理するというのもあれですし……それなりの量の食材を提供頂いてしまっている訳です。捨て置くのも何ですから、一応、フリアノンに持ち帰りましょうか。それからゴリョウさんの仰る処理の方法を試すのがベストかもしれません」
 リースリットが言えば、マルクも「そうだね」と頷く。
「ところで僕は幼い頃に、寒村で餓死した経験があってね……それ以来、食べ物を残すってことにすごく罪悪感を感じるんだ。だから僕は、スティアスペシャルを、完食しなければならないと思ってる」
 その悲壮にも見えるマルクの横顔にリースリットは「そうですね」と曖昧に答える。言っていることは凄く正しい。
「とはいえ胃袋は無限大じゃない。ここは戦略が重要だ。まずは固形物を優先に食べよう。覇竜サーモン! そういうのもあるのか……タレの味がご飯にも染みて美味しいね。そして汁物で流し込みながら完食。ご馳走様でした。え? おかわりがある?」
 とっても美味しいスティアスペシャルとゴリョウ飯、そして諸々のお料理たち。
 たくさん食べて、食べられない分は大切にフリアノンに持ち帰って皆で二次会をして。
 そんな、とってもお腹いっぱいな一日だったのである。

成否

成功

MVP

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女

状態異常

なし

あとがき

全力の料理描写、流石でございました。
サポートに回った皆様も流石です!
ご参加ありがとうございました!

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