シナリオ詳細
囲いに覆われた父
オープニング
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独立都市アドラステイア。
天義において、首都フォン・ルーベルグから離れた海沿いに築かれた城塞都市。
主に国内の戦乱の影響で身寄りをなくした子供達が流れ着き、その子供達を大人達……マザー、ファザーと呼ばれる者達が導く。
今日もまた鐘が鳴り、子供達は作られし神ファルマコンに祈りを捧げる。
我らの神によ――今日も幸福を与え賜え。
子供達は日々の活動に励み、隙あらば魔女裁判で神に背いたと同じ子供を蹴落とす。神の為に活動したと大人達に認められれば、上の階層でより良い暮らしができる。そう信じて。
一方で、この都市の大人達は……。
●
アドラステイアへの突入ということで、フォン・ルーベルグ某所へと集まるイレギュラーズ。
『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は笑顔で軽く手を上げ、集まるメンバー達を迎え入れる。
「よく来たね。早速だが、説明いいかい?」
遠路はるばる訪れたイレギュラーズを程々に労いながらも、オリヴィアは説明を始める。
アドラステイアは中層へと突入できるようになって久しい。
ただ、覇竜探索、棘で覆われた深緑、鉄帝の浮遊島アーカーシュ、海洋シレンツィオリゾートと様々な問題に奔走するローレットは、この都市の実態の解明をあまり進められずにいる。
「とはいえ、合間合間に皆が足を運んでくれたことで分かってきたこともあるんだよね」
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はこれまでの依頼で分かったことを列挙する。
まず、マザー、ファザー、ティーチャーと呼ばれる大人が子供達を利用して都市内で暗躍していること。
その目的は個々で違うようだが、いずれも表向きは『子供の世話人』を装いながらも、その実子供達を物のように扱う者がほとんどである。
「今回は、ファザー・シャルルという男を調査してほしい」
この男は中層で囲いと呼ばれる子供達の部隊を使い、都市内の慈善活動を行う反面、積極的に魔女裁判に介入していると言われる。
新たに流れ着く子供を利用して争いの種を起こしたり、他の大人に従う子供を画策によって陥れて大人共々地位を落としたり……。
「都市内でも明らかにやりたい放題振舞っている為、子供も、大人も彼を嫌っているようさ」
中層の実態解明を行う為にも、この男から攻略していくことをオリヴィアは提案する。
中層に行けば、彼はとある修道院で「囲い」の子供達へと説法を行い、そこから指示を与えているようだ。
その後、本人が何をしているのかは不明だが、新たな画策の為に動いているものと思われる。
「狙うなら、朝だね。朝の説法が終わって修道院を出たタイミングを待ってファザー・シャルルを捕らえたい」
だが、相手も囲いと呼ばれる自部隊を持つほど用心深い男だ。そう簡単に捕まえることはできないだろう。
その為、少しずつ戦力を削ぎ、相手を追い詰めていきたい。
「いいわ。聖職者という皮を剥いであげるわ」
レイリー=シュタイン(p3p007270)もうさん臭さを感じるこの大人から直接中層の事情を聞きだすべく、意欲を見せる。
「まあ、相手も簡単にボロを出しはしない。堅実に攻めていこう」
「…………」
話を締めくくり、敵情報を差し出すオリヴィア。それを手に取るミリヤム・ドリーミング(p3p007247)は複雑な顔で見つめていたのだった。
●
ある日の朝方、アドラステイアへと侵入したイレギュラーズ。
陽が昇りきる前にメンバー達は<ディダスカリアの門>を通って中層へと至る。
現状、朝が早く人通りは少ないが、それでも、中層では下層程多くならない。
それもあって、メンバー達は目立たないようには考慮しつつも通りを進み、目的の修道院へと急ぐ。
「…………」
その時、何かが後ろからついてくるのを感じる。
どうやら、こちらの動きを察した者達がいたようだ。
やむなく、イレギュラーズはそれらを迎え撃つことにすると……。
「そこまでだ。ローレット!」
白銀の鎧纏う少女ニコラ。続く10数名の小隊員達もまだ成長途中の少年少女という印象を抱かせる。
そして、その後方には赤毛の聖獣が控えており、簡単にはこの場をやり過ごすのは難しい状況だ。
「飛んで火にいる夏の虫といったところでしょうか」
じゃらりと鎖を鳴らして横から姿を現したのは、手足をそれぞれ鎖で繋ぐ血に塗れたシスター服を纏った女性……マザー・マリアンヌだ。
魔種と判明しているマザーは新たな神への信仰に全てを捧げており、それを形とすべくアドラステイアで実現させる為に活動しているとみられる。
その為、都市へと介入してくるローレット・イレギュラーズを敵視しているのは間違いなさそうだが……。
「おや、奇遇ですね。こんなところで」
そこに歩み寄ってきたのは、捕縛対象となるファザー・シャルル。
彼はすでに暗茶色の鎧を纏う部隊を従えており、こちらは亀を思わせる聖獣まで連れていた。
「こんな朝早くから、私の修道院付近でいざこざは困るんですよね」
シャルルの率いる通称「囲い」と呼ばれる部隊は身を固めている。これらを切り崩すのは簡単なことではない。
それに、情報こそあるが、ニコラ小隊も交戦は半年ぶり。その力量は高まっているとみていい。
シャルル達の出現を受け、マザー・マリアンヌが早くも身を引く。
「残念ですが、状況が悪いですね。ここは……」
マリアンヌはニコラへと耳打ちし、そっとこの場を離れていく。
その後ろ姿を見ていたファザー・シャルルは端正な顔を歪めて鼻を鳴らす。
「へっ、いつか貴様も立場ごと俺のものにしてやるからな」
そんな呟きと共にシャルルもまた身を引く。
「お前たち。あいつらを追い返せ。そうしたら、たっぷりキシェフをくれてやるぞ」
「「はい」」
盾と武器を構える囲いメンバー。
ほぼ同時に、ニコラ小隊も武器を構える。
「マザーはああ言ったけど、ローレットを放置などできない」
囲いと共闘する様子は現状ないが、イレギュラーズを姉の敵と疑わぬニコラ小隊だ。久々に訪れた交戦の機会を存分に活かして攻めてくることだろう。
そして、それぞれの従える聖獣達。
クアアアアァァ……!
ガオオオオオオオオォォォ!!
ヘビーハードと呼ばれる亀の聖獣がいななくと、赤毛の獅子もまた大声で咆える。
できるなら、ファザー・シャルルを追いかけたいところだが、さすがに子供達の数が多すぎた。
イレギュラーズはこの状況を脱するべく、戦闘態勢をとるのである。
- 囲いに覆われた父完了
- GM名なちゅい
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年09月25日 22時20分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
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天義国内、独立都市アドラステイアへと至ったローレットイレギュラーズは壁の内部へと突入し、さらに中層を目指す。
「毎度の事ながら、アドラステイアという都市は幻想貴族も真っ青なクズが目白押しですねえ……」
強面な事もあり、口元を吊り上げる表情もどこか恐怖心を抱かせる『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)が発した言葉をきっかけに、メンバー達は今回の1件について意見を交わし合う。
アドラステイアでは、都市の多数を占める子供達をティーチャーやファザー、マザーという大人達が導いているとのことだが……。
「『ファザー』に『マザー』か。よくぞそう名乗れるものだ」
白髪の女仙狸、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)はこの都市を牛耳っている大人達に辟易した態度をとり、毒づく。
まさに、厚顔な毒親。そんな表現がぴったりだと汰磨羈は都市の大人を揶揄していた。
当面の依頼の目的は、ファザー・シャルルの捕縛。
見た目は清潔感も漂わせる壮年男性。ただ、彼は担当する子供達をエンクロージャー部隊と呼ぶ。
エンクロージャー……その意味するところは『囲い』。つまり、この男は子供達……しかも少女達に自分を守らせようとしているのが見え見えなのだ。
「『囲い』呼ばわり……子供を守り育てる立場の大人がなんと悪辣な……!」
自称『宇宙の保安官さん』である熱血漢、『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)の怒りももっとも。
大人どもは都市に流れ着いた身寄りのない子供達を何だと思っているのだろうか。
「子供達を道具のように使った挙げ句、聖獣にしてしまうなんて
アドラステイアの大人達は心が傷まないのかな?」
加えて、出身地であるこの天義で聖職者として活動する『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は疑問を抱く。
「敵であっても次第にいなくなっていく人を見ているだけで悲しくなるのに……」
この地の大人達の考えを理解できず、スティアは困惑してしまっていた。
アドラステイアの大人達の話が大勢を占める中、不倒を信条とする騎士、『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)が徐にこう口を開く。
「やっと、やっと手がかりを見つけたわ」
レイリーは、赤毛の聖獣についてようやくつかんだ手がかりを逃すまいとこの依頼に参加している。
どうやら、今回はマザー・マリアンヌやその麾下にあるニコラ小隊の姿もあるらしいという話もある。
「やっぱり、まだ二コラ達はマザーの言葉を信じているのかしら」
マザー・マリアンヌが魔種であることは確かだとレイリーは断言する。
加えて、以前子供達の隊を率いていた行方知れずの少女ミロイテは、今回現れるとみられる聖獣……赤い獅子ではないかとレイリーは見ている。
「後は説得……したいわね」
「これ以上の悲しみを増やさない為にも私は戦うよ! 少しでも多くの子供達を助けてみせる!」
レイリーに続き、スティアもまた自らの信念に従い、都市の大人にかどわかされた子供達を救い出したいと強い意志を示す。
「こういうのは纏めて片付けるのが一番楽なのだけれど。ま、そんな楽が出来そうにはないわね。」
そんなチームメイト達の態度に、燃える炎のような瞳と髪を持つ麗人、『紅蓮の魔女』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)は現実的な意見を出しながらも、小さく首を振って。
「受けた以上はしっかりやるから安心して頂戴」
前向きに依頼に取り組むようチームメイトへと約束したのだった。
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メンバー達は中層へと至り、さらに人目をはばかるように身を隠しながら移動し、目的地である修道院を目指す。
「お前たち。あいつらを追い返せ。そうしたら、たっぷりキシェフをくれてやるぞ」
「「はい」」
盾と武器を構える暗茶食の鎧を纏う少女主体の部隊……エンクロージャー部隊。その表情は浮かない。
指示を残して去っていく爽やかさを感じさせる壮年男性こそ、ファザー・シャルルに違いない。
だが、明らかにその振る舞いは大人びているとは言い難く、小物といった印象を抱かせた。
「子どもたちをたてにして、自分たちだけにげるなんて!」
首輪と足枷がついたままの人狼、『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)は思わず声を荒げて。
「『ファザー』ははじめて見るけど、一目だけで悪いにおいがぷんぷんするよ!」
「ファーザー・シャルルでしたっけ? こういう分かりやすい俗物の相手なら慣れたものですよ」
鼻をくんくんさせていたリュコスの横、ウィルドが幻想悪徳貴族の潰し合いは日常茶飯事ですからねと小さく笑って。
「今回は見逃しますが、いずれは潰すとしましょうか……くくっ……」
見れば、マザー・マリアンヌもこの場から姿を消してしまっている。ファザーもまたこちらへと向けた背が徐々に遠くなっていく。
「出来ることならばここでファザーとマザーを名乗る二人を捕らえ後顧の憂いを絶ちたいでありますが……」
なにせこの場の子供達が多いこともあり、足止めされて王どころではないとムサシは状況的に判断する。
「……ま、あのシャルルとかいう小物はどうとでも始末できそうですし。それよりは未来ある子どもたちを救わなければね……ククッ……」
ウィルドもファザーを追わず、この場の子供達の無力化、及びよ聖獣の撃破を優先することに。
「マザーはああ言ったけど、ローレットを放置などできない」
マザー・マリアンヌ子飼いの白銀の鎧を纏う子供達……ニコラ小隊はイレギュラーズを敵視しており、マザーの指示に反して打倒ローレットと立ちはだかってくる。
イレギュラーズを姉の敵と疑わぬニコラ小隊だ。久々に訪れた交戦の機会を存分に活かして攻めてくることだろう。
「あらら……まいったねこれは……随分とお揃いで?」
「多数に囲まれて苦しい状況だけど……犠牲を出さずに、切り抜けて見せる。」
銀髪の少女の姿をした秘宝種、『咎狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が立ち並ぶ子供達と聖獣の数に大きな金の双眸を丸くすると、線の細い印象を抱かせる幻想出身の青年、マルク・シリング(p3p001309)は臆することなく身構え、指輪の魔力を高める。
どうやら、エンクロージャー小隊とニコラ小隊は共闘する様子がない。
無関係の子供達間は、互いの粗を見つけ次第魔女裁判にかけるという考えが染みついているのかもしれない。
そうした根本的な考え方から、彼らが大人達に騙されているのだとリュコスはこれまでの依頼、情報を踏まえて確信している。
「下がって……君たちとたたかって……死なせてしまいたいわけじゃないんだ、だから……」
心からのリュコスの訴えかけも、子供達には一切届く様子はない。
「ま、子どものまま渡り歩いた先達としては、さ。神サマを信じることは悪かねえ」
スラム出身の孤児、『抗う者』サンディ・カルタ(p3p000438)は大人に対して多分に思うことはある。
「今の天義が気に入らないってんならそれはそれでいい。俺もフォルデルマン好きじゃねえしな」
「「…………」」
両小隊の子供達は黙したまま。こちらの主張に耳は傾けてはくれているが……。
「ローレット、私達の敵……」
「姉さんを倒した貴様らを許すわけにはいかない」
両方の隊長らしき少女2人がそれぞれ主張しているが、サンディは彼女達へと反論する。
「んで、それって神が言ったのか? それともあのオヤジが言ったのか?」
サンディはそれぞれの隊へと呼び掛ける。
――あのオヤジはこっちの質問に包み隠さず答えてくれたか?
――自分の目や耳は、あるいは直感は、その答えを証明してくれたか?
エンクロージャー部隊は少女ばかりだが、その表情が陰る。
基本的に何も教えてくれず、ただ強要されるばかり。そんな心象を受ける態度だ。連れている聖獣ヘビーハードはどんと構えているだけで大きな変化はない。
一方、ニコラ小隊。
こちらは気丈にこちらを睨みつけてはいるが、サンディの意見を完全に否定できずにいる。
ミロイオンと名付けられた赤い聖獣はそのニコラ達の感情の煽りを受けて若干困惑気味だった。
(聖獣ミロイオン……俺達に助けを求めていたなら)
サンディが聖獣の心情をはかりかねる間に、子供達が戦闘態勢を整える。
「かんたんには下がってくれない……よね」
これまで何度も聖銃士達と交戦してきているリュコスだ。彼等もまたそれぞれの理由で戦闘態勢を整え、
「私達の目的は、あの姑息な男の方だ。御主等では無い」
そこで、汰磨羈が両方の隊に向けて一喝する。
それに多くの子供達が注目したところで、汰磨羈は続けた。
「故に、退くのならば良し。追いはせぬ! それでも立ち塞がるというのなら、戦士としての覚悟を決めよ!」
汰磨羈の主張に臨むところと言わんばかりに、両隊は武器を差し向けてくる。もはや、交戦は避けられそうにない。
「ファザー・シャルルの捕縛が目的だからキミ達にあまり付き合いたくないのだけどね?」
これ見よがしに溜息をつくラムダは、頭を振って。
「……多少のオイタは子供のやることで見逃してあげるけどさ……余りしつこいと……本気で征くよ?」
「……まずはここを切り抜けることが先決!」
構えをとるラムダに続き、ムサシも変身バンクで戦闘用の装備を装着して。
「少し手荒くなるでありますけど……宇宙保安官、ムサシ・セルブライト! ここで止められるわけにはいかない……! 必ず切り抜けるであります!」
ムサシの叫びが契機となり、イレギュラーズとアドラステイアの子供達が一気にぶつかり始めたのだった。
●
アドラステイア中層。
とある孤児院前は一気に戦場と化した。
シスター服を着用していたレイリーは白竜をイメージとした防護服「ヴァイスドラッヘクロス」、そして同じ色の武装を纏っていて。
「私はレイリー=シュタイン! 貴方達に手を差し伸べる者よ!」
高らかに名乗りを上げるレイリー。
子供達が彼女へと視線を向けるが、特に赤毛の聖獣が注意を向けて近づく。
レイリーは白亜城塞の展開によって、そのまま聖獣を自分の方へと引き寄せる。
「私が相手してあげるわ、ミロイテ! 貴女の憎しみ全て受け止めてあげる」
ガオオオオオォォォ……!
空中から躍りかかり、太い腕で振るわれる鋭い爪。
レイリーはそれを白い大盾「ヴァイスドラッヘンフリューゲル」で受け止め、受け流す。
ダメージを全て軽減するとはいかないが、致命傷は防げる。
(聖獣とニコラ隊を引き離すように……)
ニコラ隊から聖獣ミロイオンの連携するのを食い止める。レイリーは自らの役割を果たすべく、防御を固めていた。
「まずは数を減らして、余裕をもって強敵、聖獣を叩く!」
スティアもまた抑えに動くが、彼女はエンクロージャー部隊を担当する。
魔力で空気を震わせ、旋律を。鳴らすのは神の福音。
「動きを止めるのよ。後は一気に……!」
暗茶色の鎧で身を包む少女メインの囲い部隊。
彼女達は主を護る任を担うのとは別に、その囲いという名前の通り、敵を取り囲んで一気に叩くという戦法を得手としているのだろう。
その囲いの中には頑丈な甲羅で鉄壁の守りを持つ聖獣ヘビーハードもおり、並みの技量では切り崩すこともできずに倒されてしまうことだろう。
ともあれ、スティアはじっと耐え、少女達の気を引くことに注力する。
「私も加勢しましょう」
引き付け役として、ウィルドも立ち回り、エンクロージャ部隊へと名乗りを上げる。
悪党の思考を持つ彼だが、未来ある子供達の芽を摘むべきではないという考えがあり、無力化する為にまずは一箇所に纏めるべきと判断する。
「聖獣を引きつけている間に……」
「今は眼前の子供達を救うのが先だな」
その間、マルクと顔を見合わせたサンディは他の仲間と共に子供達の無力化に当たる。
主に、現状ノーマークであるニコラ小隊へとイレギュラーズの多くが向かう形となっていた。
現状、固める布陣によって一箇所に集まるニコラ小隊は遊撃を得意としている。
軽めの武器を扱うことで、流れるようにスイッチしながら攻撃を繰り出し、手数を活かして相手を休ませぬようにする。
疲弊した相手へと小隊員は一気に攻め立て、倒す。そうして、彼女達は実績を積んできたのだろう。
その小隊へと、素早く側面から攻撃を仕掛けるのは汰磨羈。
「警告はした。泣き言は言わさんぞ!」
より多くの子供達を射線で捉え、汰磨羈が繰り出すのは厄狩闘流『太極律道』が一つ、「験禳・雷靂熕」。
木行のマナを圧縮、加速させることで生じる雷撃、さらに熱衝撃波を放つことで汰磨羈は相手を制圧する。
しかし、ニコラ小隊も子供とはいえ、戦闘訓練を積んでいる者達だ。簡単には崩れてくれない。
しかも、身内の敵と、本気で命を奪おうとしてくる相手。
不殺を旨とするイレギュラーズとしても、ある程度は本気で対する必要がある。
サンディも子供達の体力が十分であることを確認しつつ、ニコラ小隊へと『対城技』と称される鉄帝国の武技「鋼覇斬城閃」を叩きつけていく。
マルクも集まるニコラ小隊に向け、激しく瞬く神聖の光を撃ち込んで多くの子供達の意識を奪おうとする。気絶させてしまえば、当面彼らを抑え、落ち着いて話をする場もできるはずだ。
「聖獣もだけど、救うべきとはいえ子供達の多さは脅威だね」
「合計35人は流石に減らさないと骨が折れそう」
「……数に飲み込まれないためにも、子供達を早めに無力化することが肝要でありますね。」
その戦力を削がねば目的を達することすらままならないと、ジュリエット、ムサシも同意して立ち回る。
ラムダは混沌に揺蕩う根源的な力を汚れた泥に変え、子供達へと浴びせかけていく。
「うううっ……」
「まだよ。この程度の泥で……!」
だが、ラムダは容赦なく次なる術式……『影より出でし足枷は神をも呑むと呼ばれし大狼をも拘束する「対群拘束術式「神狼繋ぐ縛鎖」』 を紡ぐ。
「大人しくしていてもらおうか」
影から現れる幾多の鎖が子供達の体を強く縛り付ける。
そこに、ジュリエットが神気閃光を煌めかせ、戦闘不能へと陥らせようとする。
先程宣言していた通り、ジュリエットは子供達の命を奪うことのないよう、配慮しながら攻撃を続けていた。
ニコラ小隊へと攻撃が集まる中、エンクロージャー部隊の無力化へと向かうメンバーも。
スティア、ウィルドが抑える部隊は守りを固めながらも攻撃を行う。堅い守りに遮られ、態勢を崩した相手へと手堅く槍を突き出し、盾を押し出して殴り掛かってくるのだ。
リュコスは聖獣と共に守りを固めるこの部隊に注目していて。
(せいじゅうしたちは、気をひくなかまとたたかってる)
切り崩すのが困難な相手と見て、リュコスは闇の帳で気配を隠しつつ、エンクロージャー部隊へと近づく。
(……ここだね)
いくら守りを固めても、無傷とはいかない。加えて、ずっと集中して守りを固め続けるのも難しい。
必ず油断するタイミングはあるはずだとみていたリュコスは、ハイセンスでそれを見切り、そこを起点として乱撃を見舞う。
「鎮圧するであります」
子供とはいえ、現状はまだその数もあって不利な状況は覆せてはいない。
ムサシはエネルギーを集めた両腕を交差させる。
充填したそのエネルギーの出力を高め、ムサシは眩い光線を前方へと放つ。
「ぐっ……」
「うう、うあああっ……」
光に灼かれる少女達はじっと耐えながらも、さらなる攻撃の機会を狙っていたようだった。
●
アドラステイア中層は下層とは違い、人通りは少ない印象だ。
その上で朝ということ、さらに修道院の敷地内であり、見通しもかなり良い場所とあって戦いを傍観する者はいない。
都市内では大人や子供達が足の引っ張り合いをしている実状があり、他の派閥に弱みを握られるなどされたくはないはずだ。
ローレットとしても、下手に関与されると巻き込む可能性があるので好都合である。
ローレットと聖銃士&聖獣の交戦は続く。
レイリーやスティアはいまなお聖獣の猛攻にさらされながらも交戦を続けている。
ニコラ小隊から大きく聖獣ミロイオンを引き離したレイリーは攻撃を受けるよう専念していた。
ガオオ、アオオオオオオォォ!!
ミロイオンも心なしか、興奮して襲ってきているようにも感じられる。本当にミロイテが聖獣となったのであれば、彼女もまたアドラステイアの思想に染まった少女。ローレットを敵視するのも仕方のないことだろう。
重い一撃が続くが、レイリーは大ダメージを避けて気を引き続けることに専念する。
スティアはエンクロージャー部隊と合わせて引きつけていたが、ウィルドが共に抑えに当たっていたことに加え、少女達が守りを主体とした戦法をとっていたことが大きい。
スティアは場合によって魔力を花弁の形として舞い踊らせながらも仲間の回復を、さらに子供達へと閃光を浴びせかけることもあった。
聖獣をうまく抑えることができていたイレギュラーズが力で勝り、戦況としては徐々に一行が子供達を切り崩していく。
「聖獣も弱らせることができればよいが、仕方ない」
レイリーが敢えて聖獣を引き離していることもあり、ミロイオンまで捕捉することはできないとマルクは判断する。
可能な限り多くの子供達を捉え、マルクは神気閃光を浴びせかけた。
すでに、ニコラ小隊は半壊。攻勢が削がれて互いに庇い合い、回復を行っている状況だ。
「まだだ、ここでローレットに意地を見せるんだ!」
ニコラは歯を食いしばり、部下を激励する。先代から隊を引き継いだ彼女だが、それも半年余り経っていることを考えれば、彼女も人望があるのだろう。
ただ、ここにきてエンクロージャー部隊が底力を見せつける。
クアアアァァァ……!!
耐えに耐えていた聖獣が一気に回転アタックを仕掛けてくると、態勢を崩しかけたメンバーへと部隊の少女達が武器を構えて。
「今よ。一斉攻撃!」
「「了解!」」
相手もここが好機と判断したのか、持っていた槍や盾を、抑え役となっていたメンバー達へと叩き込む。
レイリーはなんとか耐えていたが、ウィルドは不意を突かれてパンドラを使用する。
「やりますね。だが、ここまでです」
薄暗い笑みを浮かべるウィルドは、子供達を一網打尽にしようと閃光を放つ。仲間の危機を察したマルクはすぐさま福音を連続して彼の傷を塞ぎにかかっていた。
だが、子供達の攻めはそこまで。
特に、ニコラ小隊は1人、また1人と倒れ、ニコラも肩でいい気を始めている。
仲間の状態がある程度危機を逃れたところで、サンディは慈悲を帯びた一撃で子供達を気絶させる。
「まだ、力及ばず……か……」
悔しそうに崩れ落ちるニコラ。
「万が一にも彼等が命を落とすようなことがあってはならないであります」
ムサシは身を張ってニコラ他倒れた子供達を護り、安全な場所へと避難させていく。
ラムダも衝術で戦闘圏外へと倒れた子供を吹き飛ばす。
「……そこで大人しく寝てろって感じかな?」
本気で征くとは主張していたラムダだったが、さすがに子供達に対して殺戮等趣味ではないと考え、また1人遠くへと飛ばしていた。
ジュリエットもまた、戦闘不能に陥った子供をヒンメルゴーレム・アーカーシュに適当な場所まで運ぶよう指示していた。
それが2、3往復する頃には、ニコラ小隊はほぼ倒れ、エンクロージャー部隊へとメンバー達の攻撃の手は伸びていた。
「あとは子供達への説得ねぇ」
何せ、ニコラだけでなく、聖獣まで助けたいという仲間達の主張に呆れすら見せるジュリエット。
「……ダメな時は諦めなさい、それまでの間は何とか分析したげる」
それでも、彼女は戦闘不能に陥ったニコラ小隊、及び交戦中のエンクロージャー部隊へと呼びかけようとする仲間達をサポートする。
「できたら、降伏してくれないかな?」
グルルルル……!
すでに、ニコラ小隊の戦意が消えかけていたが、ミロイオンがニコラ達を庇う様に身構えていた。
その為、スティアは一時攻撃の手を止め、子供達へと呼び掛ける。
「このままマザーやファーザーに付き従っていると聖獣になっちゃうから……イコルを飲み続けてそうなってきた人を見てきたんだよ!」
強いカリスマを働かせるスティアを、サンディがサポートする。
「心当たりはないかな? 親しい人達が急にいなくなったことはない?」
「「…………」」
下層の子供達に比べれば、地位を得たことで分かることも増えた子供達だ。スティアの呼びかけによって、倒れたニコラ小隊は苦々しい表情を見せる。
何より、彼女達の視線は自分達を護るよう戦う聖獣ミロイオンへと向けられていて。
「イコルを服用し続けた下層の子供が、僕らの目の前で聖獣に転じた。君たちの周りで誰かが姿を消して、新たに聖獣が現れた事があるはずだよ」
マルクもまた言葉をかけ、話に信憑性を持たせようとする。
(この子たちに告げるべきは優しい噓か厳しい真実か……)
悩みどころだと思考していたラムダも戦いの合間で言うべきことは言おうと少女達へと声をかける。
「聖獣がどういう経緯で発生するか、考えたことはあるかい。かつての都もかもしれない存在を使役しているかもしれないよ」
「ちがう、ちがう、ちがう、姉さんは貴様らに……!」
ラムダが推察していたように、本人達にも思い当たる節はあるのだろう。
だが、ニコルは断固としてそれを受け入れようとはしない。
自らの地位もある上、この場には他の部隊もいる。間違っても首を縦に振れるはずないのだ。
「あうぅ……」
「ファザー……おゆるし……を……」
その間に、エンクロージャーもウィルドの光に灼かれ、リュコスの一撃を受けて崩れ落ちていく。
部隊と共に交戦していた聖獣ヘビーハードも全身に傷を負い、かなり疲弊していたことが窺えた。
「手伝え! 巻き込まれて死者が出るぞ!」
汰磨羈はまだ立っていた部隊員にタフネゴシエイトを使って呼びかけ、倒れた仲間を抱えて退避するよう促す。
「早く。たおれたなかまをたすけてあげて」
リュコスもまたエンクロージャー部隊へと呼び掛けると、子供達が退避していく。
そうなれば、囲いは瞬く間になくなり、傷つくヘビーハードが数人の部隊員を抱えて踏ん張る形に。
「ミロイテは私達も行方を追っていたのよ!」
その間も、レイリーがニコラ小隊を説得しようとする。自身は彼女を助けたいと思っていた、と。
「そんなこと……」
ニコラは否定するが、ローレットの記録に彼女を殺したという記録はなく、彼女の行方はマザーの言葉しかないことをレイリーは話す。
「私も真実を知りたいの! だから、一緒に調べない?」
説得するレイリーもまたサンディがテスタメントでサポート。
「この手を取るなら、私の名に懸けて真実が分かるまで絶対貴方達を護る」
「私の手を取ってくれるなら絶対に守ってあげるから、一度信じてくれないかな?」
心を揺れ動かされるニコラだが、やはりエンクロージャー部隊の目を気にし、レイリーやスティアの差し伸べた手を振り払う。
だが、彼女は言葉までは否定を貫こうとはしなった。
「…………」
すでに、聖獣ミロイオンも抵抗を止め、撤退へと転じるニコラ達に危害が及ばぬようにと翼を広げていた。
「私自身、何度か聖獣と交戦経験はある」
去ろうとするニコラ小隊へ、ジュリエットがこんな話を始める。
交戦に至った依頼にて、彼女は倒した聖獣の中から元の人物らしき遺留品が見つかったケースがあったそうだ。
「ミロイテが肌身離さなかったものはある? 若しくは消えるその日までに持っていったものでもいい」
「…………」
言葉を詰まらせるニコラや部下達。
ジュリエットはアナザーアナライズで何かを探ろうとすると、彼女達はどうやらミロイテの遺品と思われる品を所持していたようだ。
「次こそは、必ず」
歯切れ悪く、ニコラは言葉少なに聖獣と共に修道院から去っていく。
(少なからず、疑念を受け付けることはできたようだね)
ラムダはやはり下手に動いて魔女裁判の犠牲になることは避けたいと思っている。
できる限り手は尽くした。
これに、エンクロージャー部隊が少なからず士気を高める……が、すでに部隊員は満足に布陣を整えられるほど戦力が残ってはいない。
「ヘビーハード。頼むわ。私達を護って」
クアアアアアアァァ!
咆哮する聖獣は地響きを起こし、再びイレギュラーズの態勢を崩そうとする。
「子供達は守るであります」
その聖獣の攻撃に子供が巻き込まれぬようにとムサシは倒れた子を抱え、退避させる。
聖獣が残った状況ならば、イレギュラーズも全力で応戦する。
自重を活かした体当たりを繰り出すヘビーハードを、リュコスが僅かに空中へと跳ね上げると、マルクが剣の形に収束させた魔力を持つ。
マルクが繰り出すは極光の斬撃。彼は苛烈に刃を振るい、攻め立てる。
戻ってきたムサシがレーザーソードに火焔を纏わせようとしたが、それを振るうには至らなかった。
息こそあったが、聖獣は地面へと潰れるように倒れ、ぐったりとする。エンクロージャー部隊もまた、自分達の敗北を認めざるを得なかった。
「自分達は、君達を倒すためにここにいるんじゃない……真実を知って、君達を救うためにいるんであります」
ムサシはニコラ達にもかけたかった言葉を、少女達へと告げる。
彼女達もまたこの都市の被害者。声をかけることは無駄ではないとムサシは信じたいのだ。
「……この場は退くわ」
「子を盾にして逃げる親など、ただの外道だ。それでも信じるというのか?」
修道院の方へと退くエンクロージャー部隊の少女達へ、汰磨羈が問いかける。
修道院は彼女達にとって、シャルルと共に過ごす生活の場のはず。
ニコラ小隊へと伝えた言葉は彼女達にも断片的には聞こえていたはず。
「まあ、頭の片隅に置いておいてほしい」
信じるも信じないも彼女達次第。ラムダの言葉を背に受け、エンクロージャー部隊もまた修道院内へと入っていった。
「子どもの持つ可能性というのは、この世で最も貴重な資源ですから。彼らがこの先どうなるか、興味深いですよ」
「ただ、現実を突きつけられるだけよ」
この後どうなるかが楽しみだと含み笑いするウィルドに対し、ジュリエットは素っ気なく返したのだった。
●
全ての子供、及び聖獣を撃退し、ローレット一行は息を整えながらも撤収の準備を進める。
そんな中でも、マルクはファザー・シャルルを追跡していたネズミのファミリアーを回収してその行き先をしっかりと確認していた。
「修道院の自室へと戻ったようだね」
これで、次はここを急襲することで、ファザー・シャルルを捕縛することができそうだ。
マルクはそう考えたが……抜け目なく抜け道を用意している可能性も否めない。この辺りは続報待ちだろう。
リュコスもハイセンスで戦闘中に得た聖獣ミロイオンの特徴とミロイテ、ニコラとの関連性について考える。
「何か、かんけいあると思うんだけど」
そんな確信をリュコスは仲間達へと伝えると、ジュリエットがバスチアンズブラックカードを見せる。
「聖獣になる子供の噂……まことしやかに囁かれているそうよ」
子供達はそうではないかと感じつつも、表には出さないといった様子だったが、ジュリエットは少ないながらも会話のやり取りで子供達の思考を読み取って見せる。
とはいえ、やはり確証がほしいところ。
メンバー達は次こそ、ファザー・シャルルを捉えてこの地の実状を得る手がかりをつかもうとやる気を漲らせつつも、都市内の者にこれ以上見つかる前に退避することにしたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは戦闘や説得と活躍の場の多かったあなたへ。
囲いの説得もあり、次はファザー・シャルルを捕まえる場が整えられそうです。ニコラ小隊についても大きな心境の変化はありそうでしたので、続報が待たれます。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
かなり長いことお待たせしていますが、独立都市アドラステイア中層シナリオをお届けします。
こちらは今回、ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)さんのマザー・マリアンヌ関連シナリオと合わせ、レイリー=シュタイン(p3p007270)さん、スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)さんのアフターアクションも兼ねさせて頂いております。
●目的
全ての子供、及び聖獣の撃退
依頼の最終目標はファザー・シャルルの捕縛ですが、今回は必須ではありません。
●状況
戦場となるのはアドラステイア中層、とある修道院付近。
子供達の遊び場でもあり、ぽつりぽつりと2~3m程度の木々と遊具がある程度で高い建物はなく、比較的広くスペースを使って立ち回ることができます。
一応、マザー、ファザーを追いかける状況が作れれば、交戦の可能性もゼロとは言い切れません。
ただ、ファザーは不明ですが、マザーは魔種と判明しておりますので、交戦の場合はHARD相当の判定となりますのでご了承願います。
●敵
◎ファザー・シャルル
30代男性。長身、短髪の金髪男性。見た目だけなら爽やかさも感じさせます。
修道服姿で聖書を常に所持し、天義の教えを説いていますが、非常に利己的で都市内の自身の立場を向上させることを主として活動しています。
今回は現場に現れますが、戦闘が始まると姿を消してしまいます。戦闘能力は不明ですが、聖書を使った術を行使するとみられます。
○エンクロージャー部隊×20名
ファザー・シャルルの創設した部隊。暗茶食の鎧が印象的です。
通称「囲い」という名から、子供達に自分を守らせる気が駄々洩れという印象を受けます。
やや少女が多め。巷ではシャルルの趣味で集められているのではとも囁かれています。
戦闘になれば、盾、シールドスピア、シールドランスといった防御を主体として戦う武装で攻めてきます。
・聖獣:ヘビーハード
亀を思わせる聖獣。翼は持たないですが、その分非常に硬い甲羅を持ち、部隊の子供達を護るべく立ちはだかります。
一度攻撃に出れば、回転アタック、体当たり、地響き、ジャンピングプレスと自重と硬さを活かして攻めてきます。
◎マザー・マリアンヌ
魔種。20代女性。血に濡れた修道服を纏う元人間種女性。
手枷足枷は二度と神を裏切らぬ証。罪人たる自身を戒める拘束具。それを解き放った時、マザーは神を冒涜する者を排するといいます。
今回、姿は見せますが、戦う意志はないようです。
○二コラ小隊×15名
別名『聖銃士』。白銀の鎧を纏う子供達です。
いずれも長剣、長槍など重くない近接武器を所持しています。
赤毛の聖獣を与えられ、襲い掛かってきます。
・小隊長ニコラ
13歳、期待の新小隊長。
ミロイテを姉と慕い、彼女のようになろうと新たな聖銃士小隊を率いております。ミロイテと同じく長剣を使いますが、力量は彼女には劣ります。
ミロイテの失踪がローレットによるものだと聞き、並々ならぬ怒りを抱いているようです。
・聖獣・ミロイオン
全長3.5mほど。他の聖獣を率いる赤毛の獅子に翼を生やす聖獣。
ミロイテの意志を継ぐというニコラによって名づけられました。
機動力を活かして空中から相手を強襲し、前脚を薙いできます。
他にも、両腕と翼での乱撃、自重を使ったのしかかり等も行います。
●魔種
純種が反転、変化した存在です。
終焉(ラスト・ラスト)という勢力を構成するのは混沌における徒花でもあります。
大いなる狂気を抱いており、関わる相手にその狂気を伝播させる事が出来ます。強力な魔種程、その能力が強く、魔種から及ぼされるその影響は『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』と定義されており、堕落への誘惑として忌避されています。
通常の純種を大きく凌駕する能力を持っており、通常の純種が『呼び声』なる切っ掛けを肯定した時、変化するものとされています。
またイレギュラーズと似た能力を持ち、自身の行動によって『滅びのアーク』に可能性を蓄積してしまうのです。(『滅びのアーク』は『空繰パンドラ』と逆の効果を発生させる神器です)
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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