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シナリオ詳細

奏音のリーベルタース修行

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●リーベルタース
 霊嶺リーベルタース。浮遊島であるその場所は、かの竜種アウラスカルト(p3n000256)の旧居であった。
 金嶺竜と呼ばれしかの竜種自体はすでにこの場所には居らず、すでに1度調査の手も入った。
 しかし、未知の場所は無数に存在する。
 それは朽ちた神殿であったり、風光明媚な景色であったり……様々だ。
 この場所の探索の目的は未知の解明なのは言うまでもない。
 しかしながら、この地の探索の目的として『亜竜種の生存域の拡大』があることを忘れてはならないだろう。
 玉髄の路により更なる物流の活性化などの問題も今後加速していくだろう。
 その中には人口の増加なども含まれるだろうが、新たな拠点としての期待も充分に寄せられている。
 当然「食」の問題などもそれに含まれるが……そうしたものも今後の調査結果を待つことになるだろう。
 今のところ太陽花の種にドラネコ麦など、細々としたものも見つかりつつある。
 そうした諸々は、地下で暮らす亜竜種たちに何をもたらすのか……は、ひとまずさておいて。
 リーベルタースは未知の領域であり、そこには未知の冒険がある。
 つまりはそういうことであり……。
「修行したーい!」
 ここのところ、色々あってあんまり修行に行けてなかった修行大好き娘が興味を持つには……まあ、充分すぎたのである。

●修行行こうよ
「捕まえたっ!」
「ひゃっ」
「もう1人!」
「うおっ」
 タイミングよくフリアノンを歩いていた『諦めない』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)と『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が、がっしと【鉄心竜】黒鉄・奏音 (p3n000248)に服の裾を掴まれる。
 一体どうしたというのか。聞こうとしてココロたちは思わず「うっ」と声をあげる。
 目がキラッキラしている。パッションに満ちている。
 なんかこう、今にも何処かに飛び出しそうだ。
「修行しようよ!」
「しゅ、修行?」
「じゃあ行こう!」
「いや待て。ちょっと待て」
 ココロを引っ張りながら飛び出そうとする奏音を、ベネディクトがしっかりつかんで押しとどめる。
 ただでさえドレイク並に大爆走するのだから、思考まで爆走されてはたまらない。
「まず何処に行こうとしている。計画をハッキリさせよう」
「え? えーとね。リーベルタースって場所があるでしょ?」
「ああ」
「そこにある浮遊小島を修行場にするなら今かなって!」
「そ、そうでしょうか……」
「いつやるかっていったら……今だよ!」
 うおー、と情熱の炎を燃やしている奏音は……なるほど、止まるまい。
 最近色々あったせいで修行欲がこれ以上ないくらいに高まっているようだ。
「実を言うと情報収集もしてね! なんかこう、いいのがあるのは知ってるんだ!」
 木人師範がそこへ飛んでいくのを目撃したんだ、と奏音は楽しそうに叫ぶ。
 木人師範。何処かで聞いたようなその響きに2人は首を傾げながらも……巻き込まれた事実を、強く自覚するのだった。

GMコメント

というわけで奏音とリーベルタースに行って修業しましょう。
リーベルタースの更に上空にある小さな浮遊島が目的地となりますが、どうにも「飛行術」を修めた「木人師範」がそこを制圧しているようです。
叩き壊して奪ってしまいましょう!

目的地の浮遊島は半径が3km程度の円形で、芝のような草が一面に生えています。
中央には小さな泉のようなものがあるので、水の確保も容易そうです。
ちょっと手を加えれば奏音の望み通りに良い修行場になりそうですね!

●モンスター(木人は木で作った雑な人形みたいな外見です)
・木人師範×1
 モンスター「木人」が一定以上成長して旅に出た姿です。
 独自の武術「木人浮遊拳」を修め、自分の力で飛行し変幻自在の攻撃を繰り出します。
 注意すべきは渦のような風の力を纏い繰り出す暴風正拳突き、その場で回転し竜巻のようになって周囲を攻撃する超暴風竜巻です。スーパーロボットかな?

・木人弟子(鳥)×2
なんか木人師範に負けて弟子入りしたニワトリみたいな鳥。全長1m。
風を纏うキック「豪風キック」を使います。しっかり技伝授されてやがる……。

●黒鉄・奏音
亜竜集落フリアノンに住む亜竜種の少女。
明るく元気で修行大好きなボクっ子。
見た目はチャイナ少女って感じの子です。武器は青龍刀に似た武器を持っています。
強さはそれなり。今回、同行していますが皆さんにかなり好意的に見えます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 霊嶺リーベルタースは未知の度合いが非常に大きい場所です。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

●リーベルタース行くのに飛行は必須?
はい。ただし飛行できない方、ワイバーンを持っていない方はフリアノンが育てているリトルワイバーンを浮遊島リーベルタース付近の丘に存在する洞穴のワイバーンの係留施設にて借りる事が可能です。

  • 奏音のリーベルタース修行完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

サポートNPC一覧(1人)

黒鉄・奏音(p3n000248)
鉄心竜

リプレイ

●リーベルタースへ
「いや……なんか……もう、突っ込み所多くないかなっ!? ……混沌だからって言われたら終わり、だけど……。というか奏音、ここでも修行って……ホント修行好きだねっ……まっ、付き合うんだけどっ。とりあえず木人の時点で只者じゃないのは分かったし気をつけて行かないと……うん。リョク、浮遊島まで頼んだよっ」
「あはは、ありがとっ」
 『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)に『鉄心竜』黒鉄・奏音 (p3n000248)がそう言って笑う。
 お互いに自分の乗っているワイバーン『リョク』と陸鮫を撫でているが……リーベルタースに行くにはそうした手段がどうしても必要になる。
 だからこそ各自、それぞれの飛行手段をもってしてリーベルタースへと向かっていた。
 実際、『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も茶太郎を連れてきていた。
「元気にしているかと思っていたが、奏音は相変わらずだな。修行に行くというなら勿論付き合うとも。上手くいけば目的地を中継地点に色んな場所にも行けるかも知れないしな」
 俺達のコンビネーションを木人達に見せつけてやるとしよう、皆にも挨拶をするんだぞ、とベネディクトは茶太郎を撫でるが……そんなベネディクト……というよりは茶太郎に突き刺さる視線1つ。
「がーって飛んで……い、犬が飛んで……? 白馬とか似合いそうなのに、なんであんなもふもふの毛玉に……あ、でもあとで触らせてちょうだいね」
 手をわきわきさせる『パンケーキで許す』秦・鈴花(p3p010358)に気付き、ベネディクトが笑う。
 触りたくなる愛らしさについては、ベネディクトも全く異存はないのだ。
 そしてそんなベネディクトに、奏音も「うんうん」と頷いていた。
「そうだよね! 今リーベルタースに色々と行く機会があるっていうけど……これも何か冒険みたいな感じがするね!」
「奏音さんはほんと修行大好きですねぇ。わたしも見習いたい……見習う!」
 倉庫から引っ張り出してきた倉庫からグラム・アンティノアを担ぐ『諦めない』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)に、奏音は「お互い頑張ろうね!」と笑顔を向ける。
 ココロの担ぐグラム・アンティノアはかつてアンティノアクイーン・サンゴの使っていた剣だが……あの時と全く変わらぬ輝きで、今は主人としてココロを選んでいる。
 そんなココロたちの向かう先にいるのは木人……の進化系、木人師範だ。
 木人と呼ばれるモンスターが一定以上成長することで誕生するモンスターだが……何かしらの独自武術を修めているのが特徴だ。
「そういえば、何度か聞いた覚えがあります。覇竜で、木人がどうのとか。なるほど、あれがその木人ですか……」
 風精舞で飛行する『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)もそう呟くが、木人は覇竜で活動する者たちにとってはある程度ではあるが聞くこともあるモンスターだ。
 それは木人の性質がモンスターというよりは求道者に近い性質であるからかもしれない。
「これで三度めの木人か。あやつ等、本当にどこにでも現れるな……というか、これって侵略的外来種って事にならんか?」
「うーん、でも人間は食べないし。そういう意味ではワイバーンよりは害ないかなー」
「基準が覇竜過ぎる……」
 『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が思わずため息をつく程度には基準がアレだが、そてもまた覇竜に生きる者らしくはある。
「修行場の開拓か、良いね。修行の幅が広がるし、より捗るようになりそうだ。しかし木人とやらは武術に飛行術まで使いこなすのか……凄いんだが不思議だな」
 ワイバーン『リオン』に騎乗する『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)だが、それについては全員同じ気持ちだった。元々木人は一定の場所で大量発生して「木人道場」なるものを構成するモンスターだが、同じ場所で発生した木人でも全く違う技に開眼したりするのだ。
 あまりにも謎だが……覇竜ではよくあることでもある。
「ここがかのアウラスカルト殿が居を構えていたという霊嶺リーベルタースであるか。この辺りは覇竜領域にしては静かで落ち着いた場所であるな、思慮深きアウラスカルト殿の性質が出ているような気がするであるな。自らを鍛え上げたいというその意気や良し、しっかりと整備出来れば今後リーベルタースを探索する際に拠点としても使えようし吾輩の腕も鳴るであるな」
「そうだねえ。色々使えるかもしれないね!」
 『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)に奏音もそう答えるが、その辺りはある意味で今回の頑張りにかかっているとも言えるだろう。
「しかし空飛ぶ島とはアーカーシュを彷彿させるであるな、地理的要因か特殊な鉱物かはたまたここも精霊の力で飛んであるのか実に興味深いであるな」
 まあ、かの竜種に聞いてみるわけにもいかない。いかないが……此処がそういった場所であることは確かで。
「……ところでその木人師範は弟子をとるのだから普通に稽古をつけてもらえば良いのではないであるか?」
「うーん……」
 練倒のそんな疑問に、奏音は難しそうな表情になる。
「そういう例があったこともあるらしいんだけど……基本的にこっちが道場破りに見えるらしいんだよねー」
 なるほど、第一印象が「ソレ」では説得も中々通じまいと練倒は苦笑する。
 拳でしか通じ合えないのであれば、その流儀に従うしかない。
「お、見えてきたな。あの場所か」
 汰磨羈のそんな声の響く先。浮島が見えてくる。そこには木人師範らしきモノと、訓練しているニワトリっぽいモンスターの姿であった。
「ところで、あの鳥はなんだ。弟子? 何か既に、ただの鳥では持ちえない気を発している気がするのだが……」
「何!? 何なのよあれ! 木が人で鳥で? 修行して師範に? ちょっと何言ってるかわかんないわ……でもそうね、アタシ達誇り高き亜竜種は強くなきゃ! 修行場を作って、子供からお年寄りまで皆で通い詰めてもっともっと強くならなきゃだもの。その為にはまず肩慣らしにあの木人を叩き壊すとしましょ!」
 汰磨羈と鈴花の声が響き、そうして全員が浮島へと降り立つ。
「お前達に挑戦しに来た。俺達が勝ったらこの場所を譲ってもらおうか!」
 真正面から道場破りをするべく、イズマの声が響いて。そうして、戦闘が始まった……!

●VS木人師範
「まぁ、まずは弟子のお手並み拝見といこう。真剣に、あの師範が与える影響を測っておかねばな。下手すると、生態系の力関係を崩壊させかねんし」
「結構数はいるって話だよ? どれだけ生き残ってるかは知らないけど」
「つくづく覇竜とは……」
 汰磨羈は言いながらも霊刀『大祓・速佐須良禍断』を引き抜き、三光梅舟を主軸に斬りかかっていく。
 実直に正面から接近し連続攻撃で多角的に攻め、足払い、胴への薙ぎ払い、袈裟斬り、唐竹割り……剣のみに頼らぬ実戦向きの技を見せつける。
「さて、多方向からの攻めをどう捌く?」
 答えは、捌かない、だった。
 避けるのが至難と見るやニワトリは回避を諦め、真正面から汰磨羈へ豪風キックを繰り出す。
「なるほど、いい技だ。将来有望なニワトリだな! だがしかし叩きのめす。フライドチキンになりたくなければ、早めに降参した方がいいぞ?」
 風纏う蹴りは確かに将来有望であり……しかし、まだ汰磨羈を倒す程ではない。
 そして、その汰磨羈の振り方を見てココロもグラム・アンティノアを振るう。
(汰磨羈先生ほど高度な技は使えないけど、奇をてらわずにしっかりと振っていく。奏音さんの青龍刀捌きからも学ぶべきものは絶対ある。まず木人を斬るときは関節部の継ぎ目にうちこむ!)
「奏音さん、一緒に修行していきましょう!」
「うん、頑張ろうね!」
 学ぶべきものはたくさんある。そう、目の前にいる木人師範からもだ。
「師範、一手ご指導お願いします!」
 そんなココロに応えるように、木人師範も仕切り直して。
「SSSガシェットを使ってこっちもスピードアップ! スピードで圧倒しに行くよっ。木人なんだからさっさと壊れちゃってねっ!」
 SSSガジェット3.0bを使用したリリーがカースバレットを放てば、木人師範はそれを真正面から受ける。
「木人なんだからさっさと壊れちゃってねっ!」
 そんな中、木人師範の暴風正拳突きがココロへと突き刺さる。
「くっ……!」
 暴風を纏い繰り出される拳はシンプルに強く、明らかに攻撃を重視した動きで攻め込んでくる。
 強い。動きの変幻自在さだけではなく、ただシンプルに強い。
 だからこそ、弟子であるニワトリの方を野放しにできないとリースリットは判断する。
「まずは、そうですね。木人弟子から排除しましょうか」
 雷光の剣を中心に攻め立てながらも、リースリットは木人師範へとチラリと視線を向ける。
「一応は生物……なのですよね、木人って」
 木人が植物か生物か。かなり微妙な問題ではあるだろうとリースリットは思う。
(自然の生物というには些か不可解には見える。尤も、世の中には摩訶不思議な生物が居てもおかしくはない物ではあるけれど。覇竜領域には明らかな文明の痕跡が残っているものですし、そういった文明由来の魔法生物の類……と言う線も考えられるか)
 それだけではない。意思疎通は出来るのか? 出来るようにも見えるし、出来ないようにも見える。
(それに、この鳥達が木人と一緒に行動している所を見ると、意思疎通が必ずしもできないという訳でも無さそう。とはいえ、木人は定期的に処理をしないとどんどん増えるという植物のような性質があるという話も聞きます。それを考えると、木人についてはやはり倒してしまわねばならないか……? 木人の弟子らしき鳥達については、此方も奏音さんの修行という目的に一致するものがありそうですし、或いはとも思うけれど)
 しかし、目の前のニワトリたちも木人たちも行動が完全に「武人」であった。意思疎通が出来たとて、最後の瞬間まで諦めるとも思えなかった。
 だからこそ、イズマたちも手加減しようとは思わない。搦め手を使ってでも、貪欲に勝ちにいっていた。
「この実戦こそが最高の修行となる。より高みに至るには自分で鍛えるだけでは足りないからな」
「で、あるな! さあ、貴殿は風を操る様であるが風ごと吾輩の魔術で吹き飛ばしてしまおうではないか」
 盾役のイズマのマリシャスユアハートが発動し練倒の破式魔砲が炸裂する。
 そう、これもまた修行であるならば。そこから掴めるものだって、ある。
「自分が得意な間合いを維持できるよう、そしてパーティーの役割で自分が何ができて、何を求められているかーーえ? アタシ? アタシの役割は……殴ること! 盾役が師範を抑えている間に、鳥を撃ち落とす!」
 黒顎魔王を放ちながら、仲間たちとスイッチしながら鈴花は攻撃を繰り出していく。
「奏音、そっち!」
「オッケー!」
「奏音さん、飛んでみない? 修行に新たな境地が開けるよ」
「よっしこーい! やったるぞー!」
 そうしてイズマも混ざり、声を掛け合いながら戦って、やがてニワトリたちを倒し切れば、全員が木人師範へと標的を変える。
「改めて戦いを申し込もう、木人師範よ──俺もまた力を高める事を望む者。いざ、尋常に!」
 ベネディクトが朗々と名乗りをあげれば、木人師範も応えるように仕切りを行う。
「油断も、慢心も無い。只届けよう、我が最高の一撃を!」
 そして此処までの戦いで木人師範が高度な武術の理を理解した相手であることも分かっている。
「木人浮遊拳……見させてもらった。確かに一筋縄ではいかなさそうだ…だが、決して攻略できぬ代物ではない! 行くぞ!」
「そっちが暴風正拳突きなら! こっちは竜巻パンチよー!」
「やればできる! 皆さん、ここで畳みかけましょう!」
「……ふむ。今まで遭遇した木人以上に歯応えのある相手だな。だがしかし、聊か回転に頼りすぎているきらいが無いか? そうくると分かっているのならば、やりようはある!」
 そうして、木人師範とぶつかり合い……壊れた木人師範の残骸が転がれば、突いても動かないただの木片になってしまっている。
「……しかし、まさか飛行術を会得して飛んでくるとは。冗談抜きで、その内に全国で見かける事にならないか?」
「あはは、そうなったら怖いね」
 汰磨羈が結構冗談にならないことを言うが……ないとは言えないのが怖いところだ。
「まあ、それについては注視するしかないが……ひとまず、無事に俺達が小島を制圧する事が出来たんだ。今度はどの様な修行所にするかも考えねばな」
 ベネディクトも苦笑しながら、そう声をあげる。
「何となく、子供の頃に作った秘密基地の様な感覚を思い出すが……奏音はどういう修行所にしたいんだ?」
「なんかすっごいの!」
「そうか、すっごいのか……」
 子供そのものだ、とはベネディクトは紳士なので言わなかったが。
「まあ、どんな修行場でも基本は同じかな。ひとまず修行場を整えようか」
 イズマは早速『陣地構築』を活かし、戦闘環境に即した修行場を整えようとしていく。
 快適さも必要だから、泉の水を汲めるようにして休憩所にするようにすれば更に良いだろうが……資材の問題もある。今回は出来るところまで、といったところだろうか。
 そして何より水自体が大丈夫かの問題もあると、ココロは泉の水が安全であるか調べていた。
 結果としては「飲用に足る」といったところのようだ。
「リーベルタースはなにがあるかわからない場所だけど、水が衛生的ならまあ修行場として使えるでしょう。ここで修行したらわたしも飛行術を会得できるのかな?」
「やればきっと出来るよ!」
 まあ、出来ないこともないだろう。出来るかの保証は勿論ないが。
 そんな中、練倒は土を掘ったり特殊な精霊がいたりしないか探してこの浮遊島が浮いている秘密を探ろうともしてみたが……今のところ「よく分からない」というのが分かっただけであった。
「……さーて……まぁ奏音の事だから……というか、最初も言ってたもんね。そうだね、修行だねっ。リリーもリョクとスピードアップの修行しないとっ。これからの戦いはスピード上げて戦う事になるから、リョクもリリーも慣れなきゃって思うし」
「よーし、修行しよう!」
「待て待て」
「先にこっちだ。落ち着こう」
 ベネディクトとイズマで何処かに駆けだしていきそうなリリーと奏音を抑えるが……ちょっと駆け回った程度では落ちそうにない広さだ。
「此処であれば修行場、兼、拠点の一つとしても悪くないかもしれません」
 リースリットに汰磨羈も頷くが……今後何かあった時、確かにそうやって使える可能性はある。
 そうして整備されていく浮遊小島の上で、鈴花は軽く伸びをする。
 しかし気のせいだろうか、ちょっと緊張しているような……?
「木人を倒したんだし、もっと修行場の構想も練りたいし奏音と島を一周したいわね。泉があれば水辺の想定も、水中戦もできる。廃材を持ち込んで足元の悪い中での戦闘、なんていうのもあり。修行場作りだって、その後の修行だって手伝うもの。だからね、奏音……その、と、友達になってよね!」
「え? ボクたち、もう友達だよね?」
「そ、そうなの!」
「そうだよ! みーんな、友達!」
 その言葉に、全員が笑いだして。リーベルタースの空の下。あるいは、空に一番近いかもしれないその場所で。
 楽しげな笑い声が響いていくのだった。

成否

成功

MVP

秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

状態異常

なし

あとがき

みんなともだち!

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