PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<深海メーディウム>あの日約束した料理を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あの日の約束
 覚えている。
 違う
 ぼくたちは何も覚えていない。
 ぼくたちは何も知らない。
 記憶を、もっていないから。
 知っている/覚えているのは、ただ1つの約束。
 この航海から帰ったら、皆で揚げ物パーティーをしようって、そう約束したんだ。
 船の上では、そんなものは出来ないから。
 でも、もうその約束は果たされない。
 皆、死んでしまったから。
 ぼくたちは死んでしまったから。
 あの恐るべき怪物たちに、みんな殺されてしまったから。
 だから、その約束はもう果たされない。
 けれど、けれども。
 ぼくたちは、その約束を果たしたい。
 ただその願いだけを抱えて、此処にいる。
 揺蕩うだけのぼくたちが何処に流れていくのかは分からないけれど。
 ああ、ああ。
 どうか、ぼくたちの願いを叶えてくれる誰かの下へと辿り着きますように。

●フリーパレットの願い
「ぼくたちは、みんなで揚げ物パーティーをしたいんだ」
 フリーパレット。
 そう呼ばれるモノは、幾度もそう繰り返す。
 海を漂っていた不思議な幽霊である「フリーパレット」はどうやら思念の集合体であるらしく、記憶などは持ち合わせていないようだ。その為か、故人そのものと見做すのは恐らく間違いであるのだろう。
 想いや未練、あるいは願いといった思念が形をもったもの、と考えるのが良いのだろうが……ともかくこのフリーパレットも、その1つであるのだろう。
 しかし揚げ物パーティーはともかく「みんな」とは誰のことなのだろう?
「みんなの『証』が、ぼくたちの船の中にあるんだ。それを集めて。そして、パーティーをやりたいんだ」
 なるほど、どうにもフリーパレットの言葉を解釈するに、幾つかの海洋の船乗りの風習が見えてくる。
 船上で死んだ船乗りは海に還されるのが普通のことだ。
 しかし、船乗りが確かにいた「証」は家族や友人の下へと届けられる。
 それはペンダントであったり、コインであったり……まあ、壊れにくい劣化しにくいものが多い。
 そうしたものは本人の証であり、いわゆる本人そのものである……ともされることがある。
 つまりそれを集める事で「みんな」と解釈しているのだろう。
 そんな知識がフリーパレットにあるはずもないが、思念であるフリーパレットに染み付いたものであるのだろう。
 そして揚げ物パーティー。
 これについても理解できるところだ。
 船上では油を大量に使うような料理は絶対ではないが忌避されることが多い。
 それは火事の危険性、油の重要性……まあ、色々な理由からだが、それ故に陸での揚げ物パーティーが楽しみであった、というのは理解できるところだ。
 ある意味でそれを帰還の儀式とすら考える向きもある。
「ぼくたちの証。あの怪物たちに奪われているかもしれない。どうか、気をつけて」
 ダガヌ海域、ベカラヌの涙。
 海流が激しく、船を動かすにも難しい地帯であるが……そこに目的の「島」はある。
 行って、取り戻さなければならない。
 彼等が、そこに生きた証を。

GMコメント

今回の被害者である「カルキオ号」はベカラヌの涙において座礁し、近くの小島に降り立ちました。
そこで怪物と出会い、殺されてしまったようです。
船員の死体は見つからないでしょう。
しかし彼等が大切にしていた「証」は怪物の体内から見つかる可能性があります。
示し合わせていたのか、彼等の持っていた「証」は模様はそれぞれ違いますが金のコインです。
全部で30枚ですが、1体の怪物が複数枚呑み込んでいたりもするので、全部倒せば回収できます。
なお、揚げ物パーティーに関してはレストランが貸し切りになっています。
唐揚げや野菜のてんぷらなど、そういったものが食べ放題です。
ワイワイやっているうちに、フリーパレットは静かに成仏し竜宮幣をドロップします。
なお注意事項として【フリーパレットは故人の記憶などは保有していません】。
集合体としての願いだけを抱えて漂っていた存在ですので、その辺りは期待しないであげてください。

●出てくる敵
・悍ましき死を穢し喰らうもの×1
人の髑髏を取り込み頭部のように使っている、スライムにも似た何かです。
しかし、断じてスライムではないと誰もが本能で理解できます。
こんなおぞましいものがスライムであるはずがないからです。

・水の中に在りて溶けぬ汚泥のごときもの×12
スライムにも似ている、しかし確実に違う何かです。
しかし、断じてスライムではないと誰もが本能で理解できます。
スライムに、こんな吐き気を催すような嫌悪を覚えるはずがありません。

●フリーパレット
 カラフルな見た目をした、海に漂う思念の集合体です。
 シレンツィオを中心にいくつも出現しており、総称してフリーパレットと呼ばれています。
 調査したところ霊魂の一種であるらしく、竜宮幣に対して磁石の砂鉄の如く思念がくっついて実体化しているようです。
 幽霊だとされいますが故人が持っているような記憶や人格は有していません。
 口調や一人称も個体によってバラバラで、それぞれの個体は『願い事』をもっています。
 この願い事を叶えてやることで思念が成仏し、竜宮幣をドロップします。

●名声に関する備考
<深海メーディウム>では成功時に獲得できる名声が『海洋』と『豊穣』の二つに分割されて取得されます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。

  • <深海メーディウム>あの日約束した料理を完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
Meer=See=Februar(p3p007819)
おはようの祝福
燦火=炯=フェネクス(p3p010488)
希望の星
シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手

リプレイ

●カルキオ号最後の地へ
「最後の願いが揚げ物パーティーとは、つくづく欲のねぇ連中だ」
 『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は、そう呟く。
「……だがまぁ、そうさな。陸に着いたら腹一杯揚げ物を食って、酒を酌み交わす――そんな時間を、このフリーパレットの元になったやつらは心底楽しみにしていたんだろうってのはよくわかるぜ。それが叶わねぇ事には、“お前さん方”の船旅は終わらねぇんだろうってこともな」
 縁の視線の先ではフリーパレットが船の甲板をゆらゆらとしている。この船は縁の私船『蒼海龍王』。
 深い海の青で彩られた小型の船。ウィーディーシードラゴンを模した船首像が取りつけられている船でもあり、海洋で戦い続ける十夜のために、地元の漁師たちがお金を出し合ってプレゼントしてくれたものであるらしい。
 操船技術と波風の影響を受けにくくなるギフト「逆凪」の力で、海流の中でも舵を取られないようにしていた。
 海流が激しく、船を動かすにも難しい地帯であるベカラムの涙においては、かなり有効な技能であるとすら言えるだろう。
「海洋で暮らす身には有難い祝福――あぁいや、どちらかと言えばこいつは呪いに近いのかね。穏やかな凪の中にいるからこそ、今もこうしてあいつの声がはっきり聞こえちまうんだから」
 魂に刻まれたその“声”を聞きながら縁はなんとも難しい表情になるが……『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)もまた、別の理由でなんとも複雑な表情をしていた。
 その視線は、フリーパレットに向けられている。
「そうか、この海で死んだ者達の……私はあの時、この海に彷徨う怨念に憑依された者達を討った。もしかしたら彼等もどこかのフリーパレットに混じってるかもしれないな」
 それは分からない。いるかもしれないし、いないかもしれない。もしそうであれば、ラダが出会うこともあるのかもしれないが。
「ぶはははッ! 食いモン関係の無念は残したくねぇわなぁ。任せな! キッチリ満足させてやるぜ!」
「そっかあ、未練が残ってるんだね。その未練、俺たちが晴らすよ。さっさとスライムもどきを倒して弔い合戦ならぬ弔いパーティーといこうじゃないか」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が暗い空気を吹き飛ばせば、『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)もフリーパレットにそう話しかけていく。
「生きてる時の楽しみいうたら、もちろん……美味しいものを食べる事です。しかも、揚げ物ときたら。出来たら生きてる時にご一緒したかったけど。それでも、フリーパレットさんには皆と沢山楽しんで貰えたら嬉しいです」
 『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)がそう言えば、フリーパレットは「ぼくたちもそう思うよ」とニコニコ微笑む。
 個人ではなく、本人ですらなく。そんなフリーパレットではあるが、それでもその願いはかなえてあげたいと思ってしまうのが人情だ。
 その為にも「証」を回収しなければならないのだ。
「自分の証かぁ……そうだよね、海に還るってそういうことだよね。僕のご先祖様の証も何か見つかる日が来るのかな?」
 『おはようの祝福』Meer=See=Februar(p3p007819)も、そんなことを呟いてしまう。
「ちょっとしんみりしちゃうけど、ちゃんと全員の証を家に送り届けよう!きっと待ってる人がいるもんねっ」
 Meerにフリーパレットもうんうん、と頷いて。
「悍ましい敵だ。だが、彼らの証がそこにあるのなら、僕らは行くだけさ。彼らのたった一つの願いが叶えられるのなら、やってやるさ。その為のイレギュラーズなんだからね」
「詰まる所。遺品を集めて、供養の為の宴を開きたいという事ね? そういう事なら、全力でかき集めてあげるわよ。待ってなさい、必ず『みんな』で盛大な揚げ物パーティをしてあげるんだから!」
 『僕には生ハムの原木があるから』解・憂炎(p3p010784)と『希望の星』燦火=炯=フェネクス(p3p010488)もそう言い合うが……縁の「見えてきたぜ」という言葉に憂炎の生ハムの原木を握る手が自然と強くなる。
「まずは島に渡って船の中を探してみよう!」
 そんなMeerの声も響いて、全員が上陸準備を整えていく。
「船がもし海中に沈んでたら潜らなきゃかな、と思ってたけど……」
 完全に沈んでなくても船室が海水でいっぱいの可能性はあるし、コンコンして確かめてから開けなきゃ、などとMeerは呟く。
 座礁した大型船と、小さな島。そこに敵と……奪われた「証」があるのだ。

●揚げ物パーティー
「全部で30枚……簡単そうで、なかなか大変そうな枚数やわ」
 そんなことを言っていた蜻蛉ではあったが……意外にも、捜索に難儀する事は無かった。
 新たなる生贄でも探していたのか、向こうから此方を見つけて襲ってくるのだ。
 あるいは、大型船を見つけた人間が寄ってくると分かっていたのかもしれない。どうであるにせよ悍ましい話ではあるが……今回ばかりは丁度良い。
「戦闘開始だ。長く見ていたい相手でもないのだから!」
 ラダの声が響き、上陸してから何度目かの戦闘が開始される。
 木々の生えたこの島にいるスライムのようでスライムではないモンスターたちは、見ているだけで不安を掻き立てられるような、そんな相手だった。
(「証」は遠目にも分かるか?遺品を傷つけたくはない。避けて撃てれば言う事はない。フリーパレットもそれを望むだろう。記憶はなくとも)
 考えながらも、ラダの狙いは正確だ。
「ぶはははッ! 煮ても焼いても食えねぇし食いたくもねぇ生ゴミはとっとと片付けねぇとなぁ!」
 ゴリョウが招惹誘導を発動させ、燦火がその隙を狙い『悍ましき死を穢し喰らうもの』へと一気に接近していく。
「人様の骸骨を使うとか、何様のつもり? 全く、悍ましいったらありゃしない!」
 仕掛けるのは正面からの殴り合い。ガロウズ・ギャロップを仕掛ければ、体液だか体の一部だか分からないものが飛び散っていく。
 悍ましき死を穢し喰らうものは、まさにその名の通りだと燦火は思う。恐らくは犠牲者から奪ったのであろう髑髏はしっかりと固定され、それがなんとも悍ましさを増している。
「さあ、やるぞ……この面子じゃ僕は頼りないかもしれないけど。でも僕には生ハムの原木があるから!」
 憂炎の名乗り口上が響き渡れば、プロトコル・ハデスを発動させた史之のH・ブランディッシュが炸裂する。
「初めてお逢いする敵さんやけど……ほんに、気持ちのええものやないね」
 散華を発動させる蜻蛉にもその悍ましさは充分すぎる程に伝わっているが……戦うことをやめるほどでは、ない。
「さあ、しっかり片づけちまうとしようぜ!」
 青刀『ワダツミ』を振るい敵を引き付ける縁はベテランそのものの動きを見せながら「そろそろ一気に仕留めにかかる頃合いか」と呟く。
「カルキオ号のみんなの証、返してもらうよ!」
 Meerのシムーンケイジが炸裂し……そして何度かの交差の後、全ての敵を駆逐し終わると、全員で集めたコインを数えていく。
「コイン、全部あるか? なら帰って打ち上げといこう!」
 全てのコインがあることを確認すると、ラダが声をあげ……そうして一行はフリーパレットを連れて今回の為に貸し切られた食堂へと辿り着く。それはカルキオ号の面々が本来であれば辿り着いていたであろう、そのレストランだった。
 料理出来ない者がいればレストランスタッフが待機しているが……今回はゴリョウがいる。
 料理人として、今回も一肌脱ぐ気は満々だった。
 今回は揚げ物パーティということで調理器具も準備完了している。
「さあ、今回は他面子及びフリーパレットの前で調理する、いわゆるライブキッチンだ! 目の前で揚げた出来立てのモンをすぐ食べるってのはなかなか出来ねぇ経験だと思うが……フリーパレットにも揚げてる様子を(透明な衝立とかで油跳ねを防ぎつつ)楽しんでもらうぜ! ただしアッツアツだから食べる際の火傷だけには気を付けてな!」
 念のためよく冷えた飲みモンを用意しとくと良いぜ、と付け加えるその姿は、まさにプロの料理人だ。
 このライブキッチン、確かに揚げ物や焼き物で多い傾向があるので、今回はまさにゴリョウの先見の明といったところだろうか。
「ちなみに俺は天ぷらを中心に提供だ塩、天つゆは勿論、大根おろしやキャベツの千切りなんかも用意して胃もたれや胸やけ対策もしとくな。「自分で揚げてみたい」ってやつが居るなら場を貸し、作り方を教えるぜ? 無論、何かあってもすぐに対処できるよう準備と危機意識は欠かさねぇけどな!」
 ぶはははっとゴリョウが笑えば、ラダも調理場へと入っていく。「私は最近料理をするようになった初心者だ。揚げ物はやった事がないのでレストランや経験者にお任せしたい、ところだが折角だしちょっと習いながらやってみたい。あの海洋の春巻きとか、美味しくて好きだから家でも作れるようになりたいし」
「いいんじゃねえか? 何事も挑戦ってな!」
「焦がさず揚げられるといいが……あっ」
 そうしてラダもゴリョウに習いながら揚げていくが、これがまた中々に楽しいものでフリーパレットもニコニコしていた。
「ほー、うまいモンだ。流石だねぇ」
 その様子を見ながら縁もワインを揺らすが、こういったものは見ているだけでも非常に楽しいのは間違いないだろう。
 ふと縁が視線を向ければ、史之も調理場に入っていく。
「ゴリョウさんがオーソドックスな料理を揚げてくれるらしいから俺はがんもどきやさつま揚げなんかの変わり種を提供しようか」
 用意した具材も調理器具も万全。あとは史之の腕の見せ所だ。
「がんもどきのメイン具材である豆腐はしっかり水切りをして笹掻きした根菜や茹でた大豆なんかを混ぜ込むよ。きつね色に揚がったら生姜醤油でめしあがれってね。さつま揚げは魚のすり身を用意すればこっちもあとは混ぜるだけだね。山芋をすりおろして野菜類や豆を入れる……こっちは速さが命だから揚げ具合をよく見ながらすばやく仕上げる」
 うー焼酎飲みたくなってきたな、ギフトで出しちゃおう、などと言いながら史之はギフト「ドリンクフォーユー」を発動させる。
「皆にもドリンクを振る舞うよ。フリーパレットさんはどんなものが飲みたい? 教えてくれないかな。知りたいんだ、あなたのこと」
「ぼくたちはお酒が、ジュースが、水が好きだよ。甘いのが、辛いのが、味の濃いのが、味の薄いのが好きだなあ」
 なるほど、複数の思念の集合体であるがゆえに「個人」ではなく「複数」なのだろうと史之は思う。
 おそらく、何を出してもフリーパレットの好みに合うだろう。
 ちなみに、テーブルの一角には回収したコインが置かれている。この後、全て各自の遺族……居ないものは友人などの元へ責任をもって届けられることになっている。この場にあるのは「皆が帰って来て参加している」という、そんな意味が含まれているわけだ。
「フリーパレットは食べられそうか? 一口くらい食べてって欲しいし。食事は皆でするのが美味しいのだから」
「そうだね。ぼくたちも、そう思うよ」
 ラダにフリーパレットに微笑んで。ラダはヴォードリエワイン持ってきたから開けてしまおう、と呟く。
「やっと帰って来られた彼等のグラスにも一杯付き合ってもらおうか」
 そして蜻蛉も、揚げ物パーティを全力で楽しんでいる。それが望まれていると分かっているからだ。
 その手には、ゴリョウの店で買ってきた白酒が握られている。
「せっかくの美味しい揚げ物、持ち込まない手はあらへんし……! ふふっ」
 揚げ物の手伝いもしたし、いよいよ食べて飲むときがやってきたのだ。
 玉ねぎがからっと揚がったお野菜のかき揚げは、シンプルにお塩をつけて口に入れる。
 アツアツで、サクサクのかき揚げ。それは見ているだけで美味しそうだが……。
 熱々の衣がサクっと音を立てて、お野菜の甘みが口いっぱいに広がって思わず目じりも下がって。
「美味しいわぁ」
 そんな感想が自然と蜻蛉の口から漏れる。
「ひと仕事した後の宴は、格別です。おかわりはどやろか?」
「えへへ、竜田揚げにフライに……春巻きもぱりぱりでおいしいー!」
 熱いのは得意ではないMeerも、普通に食べられるそんな美味しさ。フリーパレットもサクサクと美味しそうに食べている。
「揚げ物ってなんだか凄いよね。猪の肉を油に突っ込むとかしかしたことないから、ちゃんとした調理手順を踏んだ揚げ物がどんな味がするか楽しみだよ」
 憂炎も楽しそうにゴリョウの調理風景を見ながら楽しんでいる。
「天ぷら、というのも気になる。覇竜では見た事ないね。豊穣の料理なのかい? 見たところ野菜や海鮮が多いね……これらを揚げるんだ。なるほどなぁ。こういう火の通し方もあるんだ……」
「ぶはははっ! まあ、後は食って確かめてくれ!」
 言われて渡された皿の天ぷらをかじれば、サクッと美味しい味が伝わってくる。
「しかし美味しいね。流石はゴリョウさんだ。ご飯を作らせたらイレギュラーズ一の腕前と聞いていたが……これ程とは。苦手なものでもスイスイいける。ふふ。これなら今日は生ハムは必要ないかな」
 そして燦火も仲間たちを見ながら「漸く、宴の時間ね」と呟く。
「よく動いたお蔭でお腹空きまくりだから、思いっきり食べまくってあげるわ! で、何があるの? 基本的にはお肉が好きなんだけど……へぇ、野菜も美味そうね。ねぇ、フリーパレット。アンタはどれがいいの?」
「ぼくたちはお肉が、お魚が、お野菜が、好きだよ」
「そっか。じゃあどんどん食べさせてあげるわ。私も、同じ物を食べていこうかしら。もちろん、ちゃんと「みんな」の前でね」
 机の上に乗ったコインはキラキラと光り、フリーパレットはそれをじっと見つめる。
「お別れをする時は、何時だって笑顔の方がいいに決まってる。アンタ達の死に方は散々なものだったけれど……そんな事なんてド忘れしちゃうくらいに、一緒に楽しく騒いでしまいましょ。それが、最高の送り方ってヤツよ。ねぇ?」
「うん、そうだね。ぼくたちもそう思う」
 でしょ、と微笑む燦火にフリーパレットも笑って。食べて、飲んで。
 やがて「ありがとう」と……そんな言葉を残して消えていく。
 そこにはもう、悲しみなどなくて。ただ、それが祓われた美しい残滓だけが残されていた。

成否

成功

MVP

燦火=炯=フェネクス(p3p010488)
希望の星

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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