PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ええっ!? 全年齢版・感度が三千倍になる薬を飲まされたのかい!?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これまでのあらすじ
 謎の鉄帝軍人、アーラーイラ・クーンからの依頼を受けたのは、
 仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)
 志屍 瑠璃 (p3p000416)
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)
 シフォリィ・シリア・アルテロンド (p3p000174)
 そしてあなたを含む、八名のイレギュラーズ達だ!
 何故か「これがコスチュームなので来てください」と、異様に体の線が出るぴっちりとしたスーツを着せられたあなた達! これ絶対クソ依頼だから帰っていい? という気持になったが、しかし依頼は遂行しなければならない!
 なんか魔を退治しそうな感じのぴっちりしたスーツを着込んだ一行は、ヴィーザル地方、ノーザンキングスの基地へと潜入する!
 だが! これはアーラーイラ・クーンの卑劣な罠であった!
「なんかぴっちりしたスーツを着た人たちがピンチに陥る姿が見たいから……。
 興奮する。正直興奮する」
 そういうアーラーイラ・クーンは、ノーザンキングスと通じていたのである! 罠にはまったイレギュラーズ達! 脱出の機会をうかがい、今は囚われの身となったイレギュラーズ達に、さらなる試練が待ち受けていたのだ……!

●感度三千倍の薬
『感度三千倍の薬!?』
 イレギュラーズ達が一斉に声をあげる。ノーザンキングスの前線基地、その監房。その蒸気式モニターにぶわーってでっかく映っていたのが、ノーザンキングス基地司令ラーク・アラーイとアーラーイラ・クーンの姿であった!
「くくく、そう、先ほどお出しした午後のティータイムの紅茶……すっかりおいしく飲んだようであるが」
 ラークが言う。
「それには、感度三千倍の薬が仕込まれていたのだ……!」
 わっはっは、と笑うラーク。汰磨羈がむぅ、と唸った。
「感度三千倍とは……つまり、感度が三千倍になるという事か……!?」
「その通り! 感度三千倍とは、感度が三千倍という事です」
 アーラーイラがそういう。
「卑劣な……だましたのですね、アーラーイラ!」
 「くっ、殺せ」と言いたそうな顔で言うのは、代表でシナリオトップに乗ってもらったアルテミアである。その隣ではシフォリィが「くっ、殺せ」と言いたそうな顔をしている。
「くくく、そうやって「くっ、殺せ」って言う感じの目で見られるの、正直興奮する」
 アーラーイラの性癖は手広い!
「でも、感度三千倍ということは、その……感度が三千倍なんですよね!?」
 シフォリィが頬を赤らめながら言った。
 そう! 感度が三千倍、つまり感度が三千倍なのだ! そうなれば、感度が三千倍になってしまう! これではPPP倫理委員会の手によって、洗井落雲の首が飛ぶのは確実だ! さようなら洗井落雲。
「ふふふ……安心するがいい。洗井落雲もまだまだ働きたいお年頃。そう簡単に首は飛ばさん」
 ラークが言った。
「貴様等に打ったのは……『全年齢版・感度が三千倍になる薬』よ……」
『全年齢版・感度が三千倍になる薬!?』
 イレギュラーズ達が声をあげた! おお、どういうことなのか? 全年齢版? あれを? 全年齢で? できるわけないだろ!?
「全年齢版……一体どういうことですか? 謎の光がやたらと差し込んできたり、ピー音が鳴り響くとか……?」
 瑠璃が尋ねるのへ、ラークは頭を振った。
「いいや……ここで説明しよう。
 Q:全年齢版感度3000倍の薬とは?
 A:熱湯風呂とかくさやとかゴムパッチンとか、そういうバラエティの罰ゲーム的なものにのみ反応する、安心安全なお薬です。
 ……くくく、これがどういう事か分かるか……!?」
「あ、これ絶対笑ったりしたらいけないタイプの依頼ですね」
 なるほど、と得心のいった表情をする瑠璃! これはえっちな依頼ではない! お笑いの依頼なのだ!
「なれば安心……いえ、安心ではないですよ。これでは完全に汚れキャラです……!」
 瑠璃が頭を抱えた!
「くくく、貴様らはこれから私たちを倒そうとそこを脱出するだろう。これは情報精度Aなのでそうしてください。
 だが、私たちのいる部屋には、様々な平成のバラエティ番組の如き仕掛けが多数設置されている!
 全年齢版・感度が三千倍になる薬を飲んだ状態で、ここまで来れるかな……?
 楽しみにしているぞ、イレギュラーズよ……!」
 そういうや、モニターの光がぷつりと消えた。後に残るのは、全年齢版・感度が三千倍になる薬を飲まされたイレギュラーズ達のみ!
「まずいな……」
 汰磨羈がふむ、と唸った。
「これは間違いない……皆で楽しく足を引っ張り合うタイプの依頼……!」
「いや、協力しましょうよ」
 シフォリィが言った。
「その……言っても、バラエティ番組の障害程度でしょう……?」
「甘いわね、シフォリィさん」
 アルテミアが言う。
「みんなで仲良くほどほどにパンドラを削ってていやーして終わり……?
 そんなことで、こんなシナリオをリクエストした者達が満足すると思うの!?
 やることは足の引っ張り合い! 誰が重傷になるかのチキンレース……!」
 キマった顔でアルテミアが言う。なんか変なスイッチが入ってしまったらしい。
「そ、そう……ですね……」
 シフォリィが押しに弱い感じで納得させられた。
「では、まぁ、とにかく行きましょう」
 瑠璃がそういう。
「協力するにしてもなんにしても、あの二人をみつけてていやーしなければ。
 こんな仕事、さっさと終わらせるに限ります……」
 その意見には、皆頷くところである。そんなわけで、鍵のかかっていなかった監獄から、廊下に出る。冷たい廊下をゆっくりと進んでいくと、やがて広大な広場に出た。
 往年の、バラエティ番組の特設ステージみたいな会場である。そこには様々なバラエティ番組的な障害が設置されていた!
 例えば熱湯風呂に5分浸からなければ開かない扉!
 クサヤとシュールストレミングと苦い健康茶を堪能しなければあかない扉!
 箱の中に手を突っ込んで、なんかぐにゅぐにゅするキモイ、多分タコかなんかの正体を当てないと開かない扉!
 そのほかは、君の想像力とその場のノリを使い、コーナーで差をつけろ!
「……平成のノリね。いえ、平成ってよくわからないけれど」
 アルテミアが言うのへ、シフォリィが嘆息した。
「……ろくなことにならなさそうですね」
 まったくその通りである。だが、行かねばならぬ!
 さぁ、イレギュラーズ達よ! 感度三千倍のリアクション芸を拾いしながら、平成のアトラクションを突破せよ!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオですので、僕の罪も半分くらいになりませんか。

●成功条件
 楽しくリアクションをとりながらラーク・アラーイとアーラーイラ・クーンのもとに向かい、ていやーする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 謎の鉄帝軍人、アーラーイラ・クーンに依頼され、謎のぴっちりスーツを着せられながらノーザンキングスたちの基地へと向かった皆さん。しかし、その依頼自体が罠でした。囚われた皆さんは、『全年齢版・感度が三千倍になる薬』を飲まされ、平成のバラエティ番組のセットみたいな迷路に放り込まれてしまいます。
 このままでは、皆さんは大げさなリアクションをとるお笑い芸人になってしまいます! このシナリオの後、お笑い芸人とか言う称号が配布されてしまうかもしれません!
 それは避けねばなりません! なるべく自分の被害は小さく、他人の被害は甚大に、リアクションをとりながら、この平成の罠を突破するのです!
 ちなみに、障害には以下のようなものがあります。

  ●熱湯風呂に5分浸からなければ開かない扉
   熱湯風呂に五分浸からないとあかない扉があります。
   感度三千倍の状態で、熱湯と戦えるか!?
 
  ●クサヤとシュールストレミングと苦い健康茶を堪能しなければあかない扉
   臭い食べ物、苦い食べ物を堪能しなければあかない扉があります。
   感度三千倍の状態で、これらと戦えるか!?
  
  ●箱の中に手を突っ込んで、なんかぐにゅぐにゅするキモイ、多分タコかなんかの正体を当てないと開かない扉
   箱の中に手を突っ込んで、中のものを当てないとあかない扉があります。
   感度三千倍の状態で、キモいものを触れるか!?

  ●そのほか
   他にも、プレイングで書いたものは大体あります。
   君の想像力とその場のノリを使い、コーナーで差をつけろ! 隣にいるイレギュラーズを陥れろ!

  以上、四つの中から、好きな障害を選び、十分にリアクションをとったりとらせたりしてください。
  的を絞った方が、描写もよくなるでしょう。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングとリアクションを、お待ちしております。

  • ええっ!? 全年齢版・感度が三千倍になる薬を飲まされたのかい!?完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月03日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
※参加確定済み※
志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
※参加確定済み※
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
※参加確定済み※
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
※参加確定済み※
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃

リプレイ

●感度三千倍バラエティ・パンドラパーティプロジェクト
「あ、レイリー=シュタインです! いったいどういうことですかあああああ!」
 と、ぴっちりしたスーツを着た『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)が頭を抱える。レイリーたちイレギュラーズの前に広がるのは、平成のバラエティ番組のようなステージだ! 無駄にあかるいセットには観客席もある。もちろん観客はいないが、ボタン一つで「ドッ! ワハハハハ!」と笑い声(ガヤ)が響く設備もあって、それは黒幕であるラーク・アラーイとアーラーイラ・クーンのいる部屋にボタンが設置されていた。ちなみに、各部屋にも適切なタイミングで『ガヤ』を出すことができるようにボタンが置かれている。
「これかぁ」
 『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が壁のボタンを押すと「ドッ! ワハハハハ!」という声が響いた。
「そんな機能はどうでもいいの!」
 レイリーが声をあげた
「この状況を考えてみて!?(ドッ! ワハハハハ!)
 コミカルすぎるのは確かだけど、わたし達が捕まってしまったのは事実よ!(あ~……)
 それに、全年齢版・感度三千倍になる薬とやらを盛られてしまって……!(え~~っ!)
 しかも、平成のバラエティ番組のような罠と突破しないといけない!(パチパチパチパチパチ!)
 ええい、いちいちガヤボタンを押すな押すな!!」
「とは言うものな」
 汰磨羈がボタンを押しながら(ドッ! ワハハハハ!)言う。
「なんにしても……こういう場合、やらなければ話が終わらんのは事実だぞ……?」
「まぁ、そうなのですが……」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が、自分の身を包む衣装を見ながら言う。
「……この衣装、まぁ、嫌いではないのです。が、これ、受け取った時から思っていましたが、身体にすごくフィットしていて……どこかから、体型の情報が漏れているという事なのでは?」
 皆の身体を包んでいるのは、ぴっちりとした薄手のボディスーツだ。水着やレオタードのそれに近い。何となく、魔に対抗するような忍者とかが着ていそうな服なのだがさておき。本当に、まったく体にフィットするそのスーツ、確かにそう言った情報が無ければ作れまい。
『ふふふ……色々と調査させていただきました……』
 スピーカーから、アーラーイラ・クーンの声が聞こえたので、瑠璃は凄く嫌そうな顔をした。
「いらない事に注力して……!
 忍びとして手を汚す覚悟とかは常時決めていますけれど、キャラまで汚せというのですか……くっ殺す……!」
 ぐぬぬ、と瑠璃が言うのへ、『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が言った。
「瑠璃さん、こういう時は『くっ、殺せ』よ?」
 小首をかしげるアルテミア。
「くっ、姫騎士……!」
 瑠璃が頭を抱える。アルテミアは、悔しげな表情をして見せた。
「でも……許せないわね、アーラーイラ・クーン!
 くっ、こんなスーツを着せられただけでなく、こんな卑劣な罠を仕掛けていただなんてッ!
 だけど残念だったわね! 私たちは貴方達の思惑通り感度三千倍になんて簡単に屈したりしないわ!」
「絵にかいたような姫騎士だ」
 『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)がガヤボタンを押した。「お~! パチパチパチパチ!」と拍手の音が鳴り響く。
「でも……このぴちスーツ……いいな……姫騎士コンビと汰磨羈が目の保養になっていいな……ぴっちりとしたラインと体つきがなんかこう……(ごくん)」
 そういう紫電。視線の先にはアルテミア、『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)、そして汰磨羈の姿があった。さらに、瑠璃や『♡の瞳』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)、レイリーもプロポーションは抜群と言えるだろう。
「えっ、何でそこに私の名前がないんですか?」
 と、『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)が虚空と紫電に向かって声をあげた。
「その! 並びに! どうしてリディア・T・レオンハートの名前がないんですか!?
 それに紫電さん! 私だって姫騎士ですからね! 姫騎士コンビじゃなくて姫騎士トリオですからね!? トーリーオー! 私も! 姫騎士!」
「……」
 紫電が目をそらした。
「おいこっちみろ」
 がるるるるる、とリディアが唸る。
「え、えーと、姫騎士……じゃなくても別にいいんですが」
 シフォリィが苦笑する。しかし、と、真面目な顔をして、少しだけ怒った様子を見せた。
「バラエティのノリですがこんなのに付き合ってられますか! 私はさっさとクリアして帰りますよ!」
 ぷんぷんと怒ってみせる姫騎士。
「あ、ノア=サス=ネクリムです。状況は理解できませんが最終的に誰をどつき回せばいいのかは理解しました。
 貴重な体験をさせてもらったお礼はしっかり後払いしますね!」
 と、割とマイペースな様子のノアである。ぴっちりしたスーツは割と着慣れているのだが、さすがに全年齢版とは言え感度三千倍というのは未経験である。
「けど……今のところ、感度三千倍……と言った感じはないのね。ここまで普通に歩いてこれたし……?」
 ノアが言う。確かに、監禁部屋からここまで、問題なくやってこれた。その辺も、全年齢版たるゆえんだろうか。
『くくく……そこにデモンストレーションを用意した』
 スピーカーからラーク・アラーイの声が響いた。
『そこの……うん、レイリーさん、扇風機の前に立ってください』
「扇風機……?」
 レイリーが言う。確かに、スタジオの隅に異様にデカい鉄帝式蒸気扇風機があった。レイリーが訝し気にその前に立つと、ぎゅおん、と音を立てて扇風機の羽根が回転する!
「あ、これ、涼し……いや、寒い! あとすごい、これ、風圧が! いつもより強く感じて! 顔が! 顔があばばばばばばばば!!!」
 レイリーがバラエティ番組みたいな顔をする! そのままステン、と風圧に耐えられずに転ぶと、風にあおられたままスタジオの端、ダンボールの山に突っ込んでいった!
「成程」
 紫電がそういうと、ガヤボタンを押した。「ワハハハハ!」という声が響いた。

●突破せよ! 平成のバラエティ!
「ひどい目にあった……」
 レイリーが言うが、
「本当にひどい目に合うのはこれからでは?」
 瑠璃が言う。おっしゃる通り。さて、このエリアには見るからにわかりやすく、熱湯風呂と氷と氷水風呂がある。
「なるほど……これは私たちの出番ですよ、レイリーさん!」
 リディアが言う。
「なるほど……リディアはBSが無効。わたしは過酷な環境に耐性がある……耐えらえる、はずね?」
 レイリーが頷き、リディアが笑った。
「はい! なのでほら、そちらのぐつぐつ煮えたぎった熱湯風呂の方に!」
「いや、ぐつぐつ煮えたぎったらそれは過酷って言うか死ぬからね?」
 あくまでリディアの誇張表現である。が、熱湯風呂は熱湯(これはリアルガチである)なので、近づいただけでもなんかむあっとした熱気が漂ってくる。ただでさえ熱い、さらに感度三千倍。これはまずいのでは? とレイリーが唸った。
「ねぇ、リディアさん、とりあえずいったん下がって」
「いやー私達ってば頭脳派ですねー! これはもう勝ち確です、さぁレイリーさん、どどんと行きましょー!」
 おるぁ、と気合の言葉と共に、リディアがレイリーを押した。ばしゃあん、とレイリーが熱湯風呂に落下する!
「アッツ! アッツイ! アツイ!!! あ、アアアアーッツ!!」
 半泣きで叫ぶレイリー! リディアがケタケタと笑った。
「もう、大げさなんですから! あ、この発泡剤はオプションであったので、これも入れておきますね!」
 発砲剤を入れ込むリディア! ぶくぶくぱちぱちと泡が爆ぜ、レイリーの身体を痛めつける!
「きゃきゃああああああ、だ、だめ……すごい! しゅわしゅわ……するのぉ!!!」
 リディアがけらけらと笑う。鬼かな?
「じゃあ私は氷水風風呂の方に――冷っったっっっっ!!
 お、おおおかしい、BS無効が効いていない……?」
 それはそうだろう、氷水風呂はBSではない。
「あつい! むり! もうむり!」
 レイリーが叫びながら、氷水風呂に突っ込んできた!
「なんで急にこちらのお風呂へ!?
 ――あ゛っづ!? 十二分に加熱された鉄騎種あ゛っづ!!
 こ、こんなところに居られるか! 私はあちらのお風呂に移らせて貰――ア゛ーーーッ!! しゅわしゅわと熱が!!!」
 そうしてリディアが熱湯に沈み、レイリーは氷水風呂に沈んだ――。

「辛味オイルの部屋……?」
 汰磨羈がそういう。そこには粗雑に作られた感じの小部屋のセットが置いてあって、何だか刺激臭が漂ってくる。
「間違いない、ハラペーニョソースもあるはずだ」
 紫電がそう言った。あるに違いない。
「なるほど、この手のバラエティではよくある激辛チャレンジ系だな?
 ふふ、だがこの仙狸厄狩、あらゆる困難を今日まで乗り越えてきた。その私が、辛味程度で――」
 がばり、と扉を開ける。とてつもない熱風が、身体にたたきつけられた。見れば、部屋の中央にぐつぐつと煮えたぎった、絵の具でもぶちまけたみたいな赤い鍋がある。
「麻婆ラーメンか……!」
 紫電が目をつむった。何せ感度三千倍なので、近づくだけで辛味で目が痛いのである。
「いや、無理だろこれ、今オレ感情封印持ってきてるはずなんだけど体が震えて仕方ない……」
「うん、無理だわ……変えるぞ、紫電……」
 二人がくるり、と振り返った刹那、扉がバタン、と締まった。
『そこは激辛麻婆ラーメンを食べないと出られない部屋です』
「ぶん殴るぞアライ!!」
 汰磨羈ががーって吠えた。一方で、紫電が「ふっ」と笑う。
「……ええい! こんな麻婆ラーメンぐらいどうってことは……!」
 封印していたはずの感情が解き放たれた。やけっぱちだ!
「紫電! よせーーっ!」
 汰磨羈が叫ぶ! 紫電はラーメンを口にすすり、
「かっっらぁぁぁ!!!??? 一口目からやbァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!?!? 痛い痛い痛い死ぬなんだこれ【必殺】【防無】かよ死ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」
 横転して転げまわる紫電! ただでさえ辛い上に、感度は三千倍だ!
『さぁ、食べてくださいたまきちさん。お口直しにケーキも置いておいたからご自由に』
「アライ! あとで死ぬほど罵倒してやる!!」
 汰磨羈が意を決して、ラーメンをすす
「アッ!? 辛味オイルの飛沫が目にッ! 目がァーーーッ!」
 る以前の問題だった! 強烈な激痛! パンドラ削っておきますね。
「タオルタオル!! タオル……! これか!?」
 ばふっ、と何かにを突っ込む汰磨羈! だが、それは隣のおいてあったホールケーキだ!
「あっ、ケーキかこれ!? うごごごご、あまい! 甘すぎる! 歯がとけるぁぁぁぁぁあ!!!」
 転げまわる汰磨羈と紫電! 二人がゴロゴロして壁にぶつかりまくった結果、粗雑なセットがぶっ壊れてターンエンドです。

「たべもの、ですか」
「たべもの、ね」
 と、瑠璃、ノアが言う。目の前にはぐつぐつと煮える鍋のおでんと、クサヤが置いてある。どちらもカバーがかけられてあって、熱気やにおいなどは感じられない。二人は顔を合わせた。
「激辛よりはましそうですね。それに、クサヤは私も好物とするところですから問題ありませんね」
「ええ。私もおでんは大好きなのよね。鉄帝は寒い所も多いから、こう言うあつあつのおでんは望むところ!」
 二人がにっこりと笑いあった。何だと思うこの会話? 丁寧にフラグを立てているんですよ。可愛いね。
「まずはお茶から……ですか。和風で攻めますね。私も日本人、この程度の苦みのお茶などげっふッッッッッッ!!」
 瑠璃がお茶を吐き出す。苦い、というか、苦しい。
「ごっほごほげっほげほっはがっはふはっはへっ!!!」
「凄いせき込み……! 大丈夫!?」
「え、ええ、驚いただけです。ふ、わたしも忍びのもの。この程度耐えられなくもありません」
「え、大丈夫? すっごい膝ガクガクしてるけど……」
「大丈夫です! ではクサヤをいただきましょう。
 ああ、ノアさん、念のため下がっていてください。クサヤ、臭いがありますので。苦手な方ですとちょっと」
 瑠璃がそう言って、ノアを下がらせた。それからゆっくりとクサヤの箱を開けると、

 オブラートに包んで言うと、牧場と田舎の畑の臭いを百万倍にしたような臭いがいした。

「瑠璃さん!? 瑠璃さん!? し、死んでる……!」
 椅子に座ったまま瑠璃が失神する! パンドラ削っておきますね。
「待ってて、仇はうつわ! 私はおでんは得意中の得意!
 まずは手堅くちくわあたりからああっ、間違えてこんにゃくを掴んでしまってあ゛っづっっっっ!!?!?!?」
 ノアが口元を抑えながらぶっ倒れる! そう! 誤ってこんにゃくを口に運んでしまったのだ! こんにゃくは熱い!(確定事項) そして、こんにゃくには七味が仕込まれていたのである!
「あっづ、あっづ! あ、いや、感度が三千倍だから床が身体にこすれて……んっ、ダメぇっ!!!」
 ノアが(いろんな意味で)顔を真っ赤にしながら床でくねくねしている。その衝撃で、瑠璃の身体が床にぶっ倒れた。瑠璃は白目をむいていた。
「……」
 シフォリィが無言で、ガヤボタンを押した。「ワハハハハ!」笑い声が響く。そうしないとやってられなかった。

●バラエティ姫騎士バラエティ
「皆さん、どうしてこんなことに……」
 シフォリィが辛そうな顔をしている。その後ろ手に七味唐辛子とかを隠していた。もしかしてシフォリィさん……? 食べ物やお風呂に唐辛子をかけて妨害を……?
「こほん、いやぁ、大変な困難でした……きっとこのシナリオ、全員重傷とかになっているに違いありません……!」
 シフォリィが天の声を無視しながらそういう。アルテミアが胡乱気な顔をした。
「じゃあ、アルテミアさん、次の部屋にどうぞ」
 シフォリィがにっこりと笑ってそういうのへ、アルテミアが警戒しながら頷く。次の部屋の扉には、『5分間正座してから1分以内に50m先のボタンを押せ』と描かれたプレートが貼ってある。果たして中に入ってみれば、非常にシンプルなつくりの部屋がまっていた。座布団と、通路と、ボタン。それだけ。
「……何よ、今までと比べたら余裕じゃない。
 此処に正座して待っていればいいのね?」
 アルテミアが、素直に正座する。念のため身構えていたが、何かが起こる気配はない。1分。2分……5分が立つと、ぴーっ、と笛が鳴った。ここから一分以内に、先に進んでボタンを押す。単純な話だ。
「機動力に反応、瞬発力(EXA)に優れた私なら一発でクリアよ!」
 にっこりと笑い――笑った。笑って、笑った。笑った。
「……アルテミアさん? どうして立ち上がらないんですか?」
 シフォリィが尋ねるのへ、
「そ、そんなに急かさないで? だ、大丈夫、今から立つから、ね?」
 アルテミアが言う。が、立たない。立つ気配がない。シフォリィはアルテミアの後ろに回って、にっこりと笑った。
「じゃあ、お手伝いします!」
「えっ!?」
 そのまま、思いっきりアルテミアを抱き上げた!!
「あああああああああああっ!!」
 びくびくと震えるからだ! 全身に走る痺れ! アルテミアの表情が紅潮した!
「いや、だめ、放して、い、いっ、びりびりするのぉ!!」
「どうしたんですか!? 立てないんですか!? アルテミアさん! 支えますから、ほら! ほら!」
「やぁぁぁ、やめて、そこ(あし)、さわらないで、しびれちゃうのぉぉぉ!!」
「アルテミアさん! アルテミアさん! あと30秒ですよ! ほら、がーんばれ、がーんばれっ!」
「あああああああああああっ!」
 ………………。
 …………。
 ……。
「酷い戦いでしたね……」
 シフォリィがつやつやした笑顔でそういう。足下には、ローションまみれになって転がっているアルテミアがいた。何でこうなっているかというと、一向に歩き出さず、のそのそ四つん這いで進みだしたアルテミアに業を煮やしたシフォリィが、ローションまみれにしてカーリングしたのである。酷い。
「ですが、もう大した障害は残っていなはずです。
 私は勝ちました。そして皆さんの仇をとります……!」
 シフォリィが涙ぐみながらそう言った。そして次なる部屋の扉を開く……!
『ようこそ、シフォリィ様 日頃の疲れをいやすための足つぼマッサージを用意してあります』
 そう書かれた部屋だった。
「えっ」
 シフォリィが「?」って顔をした。そうしている間にも、気づけば二匹の洗井がシフォリィを椅子に固定していた。
「いやちょっと待ってください誰かいないんですかあのなんか椅子に固定されたんですけどというかマッサージ師の人アラーイさん達じゃないですかまっていやまってらめぇぎえええええええ!!!!!!」
「押しまーす」
「ぎぇぇぇぇぇえええええ!!」
「押しまーす」
「あああああいいいいいいっ!!」
「押しまーす」
「んんなあああああああああっ!!」
 その日、姫騎士の嬌声が、部屋にこだましていた――。

 この後、パンドラ復活したみんなで黒幕二人をぼこぼこにして帰りました。めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女

状態異常

なし

あとがき

 バラエティ番組は年末のローレット特番で放送されるらしいです(嘘)

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