シナリオ詳細
<Stahl Gebrull>敵戦力を削り取れ
オープニング
ショコラ・ドングリス遺跡。
その深部では、魔種パトリックアネルが拠点を築いている。
当然、パトリックアネルを倒すためには深部へと向かわなければならないが、事は簡単ではない。
遺跡内部はキューブ状、あるいは多面体状の超硬質な動くブロックで構成されている不思議な空間であり、迷宮のような複雑さをしているため、単純に進むだけでも労力が掛かる。
その上、それぞれのフロアには古代獣の残党や古代の超兵器、あるいは原罪の呼び声の影響下にある特務派軍人が配置され、侵入する者達の命を狩り獲るべく待ち受けていた。
今、鉄帝軍人であるギギルと部下が威力偵察している場所も、そうしたフロアのひとつだった。
「インとサギリは取り巻き共の牽制! ロンサとウッズはデカブツに突っ込め!」
ギギルの指揮に従い、部下である青年たちと少女は敵に突撃。
「オラっ!」
「くたばれ!」
血気盛んなロンサとウッズが、十メートルはある巨大な鶏のような姿をした怪物に、鉄拳や大剣を叩き込む。
肉を吹き飛ばされ、あるいは斬り飛ばされ、怪物は怒りの声を上げ暴れ回る。
「危ねっ!」
「気を付けろ! こいつ爪や口端に毒を持ってるぞ!」
暴れ回る怪物に、ロンサとウッズは守りを固め攻撃を捌く。
受けに回る2人に、横手から襲い掛かろうとしているのは、二メートル程の大きさの鶏のような姿をした怪物。
こちらは数が多く十体近くいるが、それを近付けまいとインとサギリが牽制する。
「これ以上は、ダメよ」
抜刀術使いのサギリが、近付く怪物の翼や嘴を切り落とし牽制し、影を操るインが怪物たちの指や足を影で食い千切る。
怪物達とギギル達の攻防は膠着状態になり、そこに新手が現れた。
戦場となっているフロアの床から浮かび上がる様にして、不吉な鳥の姿をした悪霊が現れる。
そいつは二十体近い悪霊を従えており、鶏の姿をした怪物達と戦っているギギル達に呪いを掛けようと、連れている悪霊体に命令しようとし――
「させないっての!」
後詰めで控えていたミリーが、今にも命令を出そうとしていた鳥の悪霊を殴りつけた。
鳥の悪霊は殴り飛ばされる。
だが不快な鳴き声を上げ、連れている悪霊達に命令を出した。
一斉に呪いを放とうとする悪霊達。
しかしそこに、無数の手裏剣が飛び悪霊達を刻み牽制する。
後詰めの最後の1人として残っていたジョズが、悪霊達への牽制を続けながらギギルに言った。
「オヤジさん、どうする!?」
周囲の状況を見極めたギギルは言った。
「戦力確認は終わりだ! 撤収する!」
ギギルの号令に合せ、一斉に部下たちは後退。
もちろん敵は追い駆けて来ようとするが、それを防ぐためギギルは鉄拳を床に叩きつけた。
鉄拳から雷が産まれ、床を伝って敵に走る。
それを食らった敵は、僅かな時間だが感電したのか動きが止まり、その隙を逃さずギギル達は撤退した。
「ありゃー、俺らだけじゃキツいぞ」
安全地帯に移動したギギルは、そこで補給の手伝いをしていた商人、リリスとヴァンに言った。
「ローレットに手を貸してもらわにゃ、潰せねぇな」
「そこを迂回して深部に向かうのは無理なんですか?」
ヴァンの問い掛けに、ギギルは返す。
「ひょっとしたら行けるかも知れねぇが、敵の戦力は潰しておかねぇと。進軍してる後ろから襲い掛かられたら堪らんからな。そうした危険が起きないように、敵戦力を削るのが俺達の仕事だ」
「いいんじゃない。無理して死んだり大怪我しても何にもなんないし」
リリスは、皆に戦闘糧食を渡しながら言った。
「それで、ローレットに助けて貰うとして、現場の指揮権はどうするの?」
「来てくれたローレットに任せるさ。現場の指揮権は統一した方が良いから、向こうの指示通りに動くぜ、俺達は」
「分かったわ。それじゃ、そういうことも込みで、頼んでくるわね」
というわけで、ローレットに依頼が出されました。
内容は、ショコラ・ドングリス遺跡のあるフロアの戦力の壊滅です。
威力偵察が行われているので、敵の戦力の情報はあるようです。
また、現場の時件は一任するということで、同行する鉄帝の軍人を指揮して戦うことになります。
依頼内容を聞き、引き受けたイレギュラーズ達は、現場に向かうことにするのでした。
- <Stahl Gebrull>敵戦力を削り取れ完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月31日 21時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
敵戦力を伝えるギギル達に、『表裏一体、怪盗/報道部』結月 沙耶(p3p009126)は激励するように言った。
「威力偵察、ありがたい。そしてよく無事で戻ってきてくれた……ならば、そのバトンは私達が受け取ろう。ここからは私達ローレットに任せるがいい!」
賛同するように、『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)も労うように続ける。
「偵察をありがとうございました。後は倒すだけです」
「そう言って貰えるとこっちも浮かばれるね」
ギギルの言葉に、迅は熱を込めて返す。
「頂いた情報を無駄にしないよう、なるべく早く、確実に殴り倒してみせましょう!」
これに『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)も同意するように言った。
「敵の手の内がわかっているというのはありがたいですね。あとは僕達ができることをこなすだけです」
意気込みは十分。
皆の士気は高く、しかし冷静さも同時に持っている。
「レックスの群れに悪霊が手を貸している、ですか。面倒に面倒が重なっていますね」
考え込むように『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)が言うと、同意するように『戦飢餓』恋屍・愛無(p3p007296)も続ける。
「『戦争は数』とはよくいったモノだが。実際、この戦力差は如何したモノかな。士気が高いのは幸いだが」
「士気もですが、味方が多いことも幸いです」
オリーブが、皆に知恵を求めるように続ける。
「こちらの戦力を最大限に生かし、手早く済ませられる戦術を組んでいきましょう」
皆は賛同し、事前に戦術を組み立てる。
その中で、『幸運の女神を探せ』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)が提案を口にした。
「ハリエットちゃんとギギル君、それに部下ちゃん達6人でラッキー隊結成しないか? 悪霊軍団なんて俺達の業運で派手にぶっ飛ばしちまおうぜ!」
ジュートの案も組み込み、大きく2部隊に分け戦うことにする。
その上で序盤から敵の狙いを絞り、確実に敵戦力を削る戦術を取ることにした。
「それじゃ、今回の隊長は任せた。戦場の女神さまに好かれるよう頼むぜ」
ギギルの呼び掛けに、ジュートは明るい声で応える。
「任せとけ。女神サマはいつも捜してるんでね。戦場でも見つけてみせるさ」
軽口を叩き合い気安い空気が広まった所で、戦場へと赴いた。
「遺跡の中だけど、ここは比較的見通しが良さそう……なのかな」
敵と距離を取りながら、『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)は、皆と意識を共有するように言った。
「大人数で戦えるから、乱戦になりやすい。接近されたら厄介だから位置取りには気を付けないと」
ハリエットの言葉に賛同するように、皆は敵から視線は外さず配置につく。
それを敵――ギガレックスと幼体達が警戒するように見詰めている。
敵意を受けながら、『けだもの』蜂八葉 黒丸(p3p009239)は悩むように言った。
「でっかい鶏。……食べられる?」
「毒持ちなので止めた方が良いと思いますよ」
ヴァンの言葉に、黒丸は残念そうに言った。
「ダメ? でも、狩る」
戦意を高め、開戦に備える。
そして戦いの火ぶたが落ちる寸前、皆の足元に二重の魔法陣が発生。
「加速の強化をしました」
「守りの加護も合わせてるわ。回復とかのサポートは任せて」
ヴァンとリリスの援護を受け、皆は一斉に敵に突進した。
●戦闘開始
(いよいよ始まりましたか……)
戦闘前に、持って来ていたタコスを食べていた迅は、気力も体力も充実させ真っ先に飛び出した。
(深部で待つパトリック殿の所へ急ぎたいところですが、放置して後ろから襲われては困ります。後顧の憂いを断つためにも、しっかり片付けていきましょう)
突進する迅にギガレックスは威嚇するように吼え、速度が優れた幼体達が先んじて迎撃に出る。
そこに迅は、さらに加速。
瞬時に幼体の間合いに踏み込むと連続拳打。
体勢を崩した所で、渾身の垂直蹴り。
蹴りの威力で宙高く跳ね上がった幼体が落ちて来るのに合わせ跳躍。
鍛え抜かれた拳を叩きつけ、地響きをさせる勢いで床に叩きつけた。
先陣を切った迅の勢いを加速させるように、皆は戦いに挑む。
「全部、狩り獲る」
黒丸は、野生の狩人を思わせるしなやかな動きで、突進してくる幼体と距離を詰める。
蒼き彗星を思わせる俊敏な加速で間合いを侵すと、速さを乗せた一撃で幼体の羽の一部を貫き抉った。
痛みで雄たけびをあげる幼体。
その時には、すでに黒丸は大きく動いている。
全体の状況を肌で感じ取りながら、敵だけでなく味方の動きも把握し次の動きに生かす。
(みんなの、邪魔させない)
仲間が不意を突かれないよう、牽制するような動きで、攻撃を重ねていった。
先制攻撃を受けた幼体達は、怒り狂ったかのように突進してくる。
それをイレギュラーズ達が迎え撃つ。
(幼体から片付ける)
沙耶は、迅の背後目掛け駆け寄る幼体の前に立ちはだかる。
全力で突進すると、その勢いも乗せ攻撃を放つ。
もろに喰らい、血しぶきを上げよろめく幼体。
そこに追撃。
重心を落とし、一気に駆ける。
瞬時に幼体の背後を取ると、ヒット&アウェイ。
囲まれぬよう位置取りを意識しながら動く。そして――
(このまま引き付けて、叩き潰す)
連携を阻害することを意識して、敵を誘導するように注意を引きつけていった。
沙耶と同じように、愛無も敵を引き付けるように戦う。
(まずは数を減らさないと)
獲物を確実に仕留めるように、愛無は冷静に戦っていく。
(この布陣なら、いけるな)
全体の動きを瞬時に判断し、最適な戦闘を組み上げ実行する。
まずは高らかに口上し、幼体達の注意を引きつけた。
当然、幼体がまとまって襲い掛かって来るが、その時には既に動いている。
味方の邪魔にならない位置に誘き寄せると、大音量の咆哮を叩きつけた。
物理的な衝撃波の域に到達した轟音は、皮膚を弾けさせるほどの衝撃を与える。
喰らった幼体は痛みと衝撃で狂乱したように暴れ、怒りもあらわに愛無に襲い掛かる。
それを愛無は捌き誘導すると、同じく敵の誘導に動いていた沙耶に呼び掛けた。
「纏めて誘導する」
「分かった!」
誘導し一か所に集めた所に、オリーブが纏めて斬り飛ばしていく。
(2人が作ってくれた好機、無駄には出来ない)
仲間の活躍に応えるため、オリーブは攻撃に専念して突進。
一か所に固まっている幼体の群れに突っ込むと、全力で刃を振るう。
羽を斬り飛ばし、あるいは首や胴体を切り裂く。
縦横無尽に幼体の群れを駆けまわり、鋭利な乱撃を叩き込んでいった。
その分、幼体達に囲まれることになるが、戦闘直前に掛けられたリリス達の加護が役に立つ。
常よりも素早く動き幼体達を翻弄。
幾らか反撃を受けるが、傷は抑えられる。
(これなら一気に押しきれ――いや、連携を崩さないようにする方が大事だ)
オリーブは、1人で突出する危険は冒さず、仲間との連携を第一に動く。
それに加えて、敵の動きも利用する。
積極的に距離を詰め、同士討ちを誘うように立ち回る。
(盾になって貰うとしよう)
連携の取れない幼体達はオリーブの動きに翻弄され、時に仲間を切り裂いていった。
先陣を切った迅と、敵の誘導に動く沙耶と愛無。
そして仲間の動きを最大限生かすように立ち回るオリーブ。
連携が巧くいき、敵の機先を挫く。
お蔭で幼体達は混乱したように動きがバラバラだ。
そこにギガレックスが駆け寄ろうとするが、鏡禍が抑えに入る。
(敵の分断をしないと)
鏡禍は、幼体の加勢に動くギガレックスに突進。
ギガレックスが振り上げてきた爪の攻撃を紙一重で躱すと、渾身の一撃を叩き込む。
「こっちだ。来い」
怒りの雄たけびをあげるギガレックスに、挑発するように声を掛け引き付ける。
すると突進してくるギガレックス。
「さて、僕を仕留められますか?」
ギガレックスが仲間に向かわないよう、鏡禍は立ち回る。
(これで良い)
仲間の邪魔にならないよう引き離す。
(このまま、みんなが幼体を全滅させるまで引き付ける)
敵に連携をさせないよう、鏡禍は防御主体に動き続けた。
(可能なら幼体との戦いにも加わりたいところですが、今の状況ならギガレックスの引き付けに集中した方が効果的です)
ギガレックスを引き付け続け、傷を受けることもあるが回復。
ダメージコントロールに抜かりはない。
時折、リリス達が回復にも動いてくれる。
「無茶しちゃダメよ」
「大丈夫、心得ています。不死性に自信はありますが、僕は盾役です。万が一があってはいけませんからね」
リリス達に応えながら、ギガレックスを抑え続けることが出来た。
イレギュラーズ達は果敢に戦い、ギガレックス達に優勢に戦闘を続けた。
それをガラッフィーを始めとした悪霊軍団が崩しに動く。
しかしそれをさせるイレギュラーズ達ではない。
「ガラッフィーを狙っていくよ。あいつが悪霊の指揮をとっているらしいから」
「オッケー! それじゃ始めよーぜ! ラッキー隊、突撃!」
ハリエットの呼び掛けに応えたジュートは、絶好のタイミングでギギル達に号令。
ギギル達は力強く応え、勢い良く突進。
ギガレックス達の加勢に動こうとしていた悪霊軍団は、横手から不意を突かれ、突進を食らう。
「ラッキー! まずは奇襲成功ってな!」
戦局を見極めながら、ジュートは動く。
(スモールレックスは任せときゃ大丈夫。それよりこっちを抑えないとな)
悪霊軍団の動きが速いため、下手にギガレックス討伐の加勢に動けば横手から不意を突かれる可能性がある。
全体の動きを見極め、戦術を組み上げ動く。
「ほら、こっちだこっち!」
悪霊軍団の群れに向かって、激しく瞬く神聖の光を叩き込む。
聖なる輝きで焼かれた悪霊軍団は、ジュートを殺すため近付こうとするが、ギギル達が壁として防ぐ。
そこに援護するように、ジュートは個別に攻撃を叩き込んでいった。
攻撃を喰らった悪霊軍団は足並みが乱れる。
それを正そうとガラッフィーが動こうとするが、ハリエットが精密射撃で狙い撃つ。
ガラッフィーは額を撃ち抜かれ、忌々しげに叫び声をあげると距離を詰めて来ようとする。
しかしギギル達が壁役として間に入り阻止した。
(ギギルさんと部下の人たちが前に出て、結果的に盾になってくれている)
「勇敢でいいね」
ギギル達の奮闘を無駄にしないよう、連続射撃。
重ねられた攻撃にガラッフィーの動きが鈍った隙に、悪霊軍団に向け鋼の驟雨を降らせた。
攻撃を受けた悪霊軍団は、ハリエットに接近を試みようとする。
すかさずハリエットは、ギギル達に助けを頼む。
「悪いけど、こいつを抑えてくれない? 近寄られたら攻撃できないんだ」
ギギル達は応じ前に出て戦う。
その勇姿を、ハリエットは見て学び取る。
(今度近接での立ち回りも勉強しておかなきゃいけないね)
ギギル達の援護をするように射撃を繰り返しながら決意する。
(覚えることは沢山ある。一つ一つの戦場が、私にとっての教本だ。未来の私の為に、血肉にしていこう)
今だけでなく未来にも活かすように、ハリエットは戦いを重ねていった。
連携が巧く行っていることもあり、イレギュラーズ達は有利に戦いを進め、その勢いを保ったまま決着へと突き進んだ。
●決着
スモールレックス最後の1体に、黒丸は止めを刺す。
傷を受けていたが怯むことなく、最速で突進。
蹴り出された爪に引き裂かれるが、突進の勢いは緩めず間合いを詰め、全速を乗せた斬撃を放つ。
首を切り落とされたスモールレックスは、数歩歩いてから倒れ伏した。
スモールレックス全滅。
だが敵は残っている。
多少の傷を無視して黒丸は戦いに向かう。
「まだ……クロ、戦える……」
そこに癒しの輝きが広がる。
リリス達に回復して貰い傷を万全に治すと、仲間の援護に動く。
スモールレックスが全滅し、ギガレックスは怒り狂うが、怯むことなくイレギュラーズ達は攻撃を重ねる。
「ありがとう、助かった」
リリス達に回復して貰った沙耶は、仲間がギガレックスに止めを刺せるよう援護攻撃。
ギガレックスに向かって超加速すると、その速さと勢いを乗せた衝撃波を放つ。
放たれた衝撃波は鋭い刃の如く圧縮され、ギガレックスの腿を大きく切り裂いた。そして――
「止めを! 邪魔になる悪霊は抑える!」
沙耶は悪霊軍団の足止めに加わり、連携するように愛無も動く。
「こっちだ! どこを見てる!」
愛無は悪霊軍団を挑発し注意を引き付けると、咆哮を叩きつける。
衝撃で姿がぶれるほど痛手を受けた悪霊軍団は、愛無に次々呪いを放つ。
(まだ数が多いな。だが――)
愛無は呪いを回避しながら、戦況を正確に把握する。
(ギガレックスを倒せれば、そちらの戦力も悪霊共に集中できる。なら今するべきは――)
悪霊軍団に指示を飛ばそうとするガラッフィーに、愛無は接近。
(指揮官を叩いて抑える)
愛無が間合いを詰めると、ガラッフィーは迎撃しようと特大の呪詛を生み出す。
だがそれが放たれる直前、ギギル達が攻撃。
攻撃で動きが止まった所に、愛無は禍々しい闇と呪いを帯びた一撃を叩き込んだ。
呪いを刻まれたガラッフィーは悶え苦しみ、放とうとしていた呪詛を暴発させ転げまわる。
愛無達が悪霊を抑えてくれる好機を逃さず、オリーブ達はギガレックスの止めに動いた。
「足を潰します。左をお願いしてもいいですか?」
「はい。大丈夫です」
鏡禍はオリーブに応えると、ギガレックスの注意を引くようにして駆ける。
狙いは、沙耶が腿を切り裂いたばかりの左足。
「こっちです、来なさい」
鏡禍が注意を引きつけてくれる隙を逃さず、オリーブはギガレックスの右足目掛け突進。
鏡禍が攻撃態勢に移った瞬間、オリーブはギガレックスの虚を突くように渾身の一撃を叩き込む。
それは圧倒的な暴力。
対城技と称される城斬りの一閃。
ギガレックスの足を深々と斬り裂いた。
「ギイアアアッ!」
絶叫を上げるギガレックス。
そこにすかさず、鏡禍が追撃。
竜が放つ一撃の如き、重い衝撃を叩き込んだ。
連携攻撃で、動きが止まるギガレックス。
そこに、迅が止めを刺すべく疾走する。
(皆さんが作ってくれた好機、逃すわけにはいかない)
守りを捨てた全力疾走で、ギガレックスに反応する余裕など与えない。
一瞬で肉薄すると脛を打突。
そこから目にも止まらぬ三連打。
両脚を拳で砕き、ギガレックスが倒れ伏した所に、頭部目掛け、全身の螺旋運動を込めた正拳突き。
頭を砕かれたギガレックスは、何度か痙攣し死に絶えた。
ギガレックスと幼体は全滅。
そちらの対処に当たっていた戦力が、悪霊軍団討伐に合流し一斉攻撃を開始する。
「ガラッフィーと悪霊が連携できないよう引き離しながら攻撃してくれ!」
ジュートはギギル達を鼓舞し、加護を与え強化する。
(ギガレックスと戦ってたチームも加勢に来てくれてる。今が押しどころだ!)
全体の戦局を見ながら指示を飛ばし、ガラッフィーへの攻撃も忘れない。
「お前達の辛気臭い攻撃なんて、俺が仲間に通させねーぜ!」
ガラッフィーの喉目掛け、虹色の軌跡を残すリリカルスターを撃ち出し貫く。
喉を貫かれ、攻撃途中だったガラッフィーの動きが止まる。
そこにハリエットが追撃。
(みんなの攻撃に合せるように)
仲間の連携を見て学んだハリエットは、自然に身体を動かす。
狙いは、ガラッフィーの左目。
皆が攻撃を繋げていく流れに乗る様に、精密射撃。
見事命中させ、ガラッフィーの左目を潰した。
視覚を削られ動きが鈍るガラッフィーに、皆は連続攻撃。
反撃させることなく打ち倒した。
残った悪霊軍団を、皆はペースを崩すことなく連携して倒し、敵の全てを全滅させた。
全滅させ、念のため周囲の確認をする。
問題ないことを確かめてから戦闘を終わらせた。
戦い終わり――
「よし、ざっとこんなものか」
周囲の確認を終わらせた沙耶が、ギギル達に言った。
「悪いが、この先はさらに危険だ、私達ローレットに任せてほしい……ダメか?」
「ああ。頼りにしてるぜ」
信頼するようにギギル達は応えた。
そして一端ベースキャンプに戻ろうとすると――
「毒……爪やくちばしにしか無いなら……そこ取り除けば、いける……?」
名残惜しそうに言う黒丸に、リリス達がギガレックスの一部を持ち帰って調理してくれたのだが――
「美味しくは……ない……」
味は良くなかったという。
かくして、連携することで、敵の力を削ぎつつ巧く戦い、大きな被害も出さずに打ち倒すことの出来たイレギュラーズ達であった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
皆さま、お疲れ様でした!
巧く連携を取りながら戦われたので、今回の敵は終始ボッコボコにされておりました。
その上で、個人個人の戦力も高かったので、皆さま全員、勇猛果敢に戦われておりました。
今回は討ち漏らしも無く全滅されましたので、その分、他の所への悪影響も抑えられたことでしょう。
リザルトを書いていて、気分が盛り上がる戦闘でした。
それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
今回は、鉄帝サブメイン全体シナリオ<Stahl Gebrull>のシナリオ群のひとつになっています。
以下、今回の詳細です。
●成功条件
敵の全滅
●戦場
ショコラ・ドングリス遺跡内のフロアの一角。
多数で戦闘するのに支障は無い状況です。
●敵
ギガレックス×1
十m程度の大きさをした鶏のような姿をした古代獣です。
極端にタフで俊敏、攻撃力が高く獰猛です。爪やくちばしに猛毒をもっています。
遠距離攻撃手段は持っていません。
単純に速くてしぶとい、脳筋な敵です。
スモールレックス×10
ギガレックスの幼体です。
俊敏で、攻撃力が高く獰猛です。爪やくちばしに猛毒をもっています。
遠距離攻撃手段は持っていません。
単純に速く動く、脳筋な敵です。
ガラッフィー×1
不吉な鳥の姿をした悪霊です。
神秘遠距離攻撃やMアタックを仕掛けてきます。
不吉、懊悩、暗闇などのBSを保有しています。
引き連れている悪霊達の指揮官役です。
なので後方に退いて、ちまちま悪霊達に指示を出したりBSを掛けてきたりします。
悪霊×20
神秘遠距離攻撃やMアタックを仕掛けてきます。
不吉、懊悩、暗闇などのBSを保有しています。
ガラッフィーの指揮に合わせて動きます。
1体1体は、それほど強くは無いです。
今回の敵の戦術は、
ギガレックスを中心とした直接攻撃役が前に出つつ、悪霊軍団がちまちまBSを仕掛ける
という戦い方をしてきます。
これらは、威力偵察を行ったNPC達から聞かされており、参加PC全員が把握していることになります。
●NPC
ギギル&部下×6
鉄帝の軍人達です。
戦闘慣れしており強いです。
回復などは持たず、戦闘特化です。
PC達の指揮下に入るので、指示を出していただければ、その通りに動きます。
リリス&ヴァン
ギギル達の知り合いの商人。
回復やバフが得意です。
戦闘に連れて行っても良いですし、留守番させておいても良いです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
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