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シナリオ詳細

マールちゃん「ねぇ、戦う女性特集の水着ぐらびあ? しゃしん? の依頼があるんだって! 受けてきたよ!」

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今日の犠牲者は

 リア・クォーツ (p3p004937)
 アイラ・ディアグレイス (p3p006523)
 ドラマ・ゲツク (p3p000172)
 ジェック・アーロン (p3p004755)
 小金井・正純 (p3p008000)
 タイム (p3p007854)
 夢見 ルル家 (p3p000016)
 澄恋 (p3p009412)
 すずな (p3p005307)
 白薊 小夜 (p3p006668)

 以上十名です。よろしくお願いします。

●発端
「焔ァ! ……じゃない……!?」
 リア・クォーツが驚愕のかを表情を浮かべた。
 ラクーン・ウオッシュ出版。グラビアアイドル専門の雑誌を多数出版する、色々な人に大人気の、知る人ぞ知る出版社である――。
 さて、そんなラクーン・ウォッシュ出版社の会議室には、11名の女生徒、一名のアライグマがいた。
 11名、つまり前述した十名+マール・ディーネーであり、アライグマはラクーン・ウォッシュ出版の出版部長である。
「えっと……まずかったかな?」
 小首をかしげるマール。そう! この依頼を持ってきたのはマールちゃんである。何でも、街を歩いていたらアライグマにスカウトされ、「今戦う水着女性特集の被写体探してんだよね」と言われたところ、マールちゃんは純粋なので、「たたかう女の人ならローレットにお任せだよ!」と、依頼を振ってきたのである。
「えっと……水着、だし。変なことにはならないかなーって、思うんだけど……」
「マールさん、ローレットは初めて? よね?」
 タイムちゃんが頭を抱える。
「こういう出だしから始まる依頼はね! ろくなことにならないの! 絶対! 百パーセント! おかしなことになるの!!」
 タイムちゃんがぐわーって顔をしたので、アライグマが頭を振った。
「そんな! ただ僕は、マイクロビキニでマイクロビキニ大好き深怪魔と戦う皆さんの写真を撮って、雑誌に掲載してシレンツィオで売りさばこうとしただけなんです!」
 真摯な表情でアライグマが言うのへ、すずなは言った。
「殺して鍋にしましょう」
「まって、すずな。これでも依頼人よ」
 小夜がすずなを抑える。すずなは、がうるぐるるる、と唸ってみせた。
「殺しましょうよ! これ! 後口をふさいだ方がいいです! アライグマがしゃべるたびに、いらない設定が増えていくタイプの依頼ですよこれ!」
「そんな! ただ僕は極小マイクロビキニで、マイクロビキニの女の子をあらゆる手で恥ずかしがらせるのが大好きな深怪魔と戦う皆さんの写真を撮って、雑誌に掲載してシレンツィオで売りさばいた後練達の再現性東京でネットニュースにのせようとしただけなんです!」
「ほら増えた!!! 殺しましょう!!!」
「まって、すずな。これでも依頼人よ」
 小夜がすずなを抑える。
「どうしようもないですね、これは」
 正純がアライグマの口に手拭いを押し込みながら言った。
「とりあえず黙らせましょう。この後は『豊穣で売りさばく』とか言い出しかねません。そうなったら、さすがの私でも生きていけない」
 正純の言葉に、皆が頷く。
「みなさん、いつもこんなつらい思いを……?」
 そんな言葉を乗せた、アイラの蝶が死ぬほど疲れた様子で飛び回る。こんな思いを乗せ飛びたくなかった氷蒼の蝶。今までみたことのないやべー光を放っていた。
「しかし困りましたね……極小マイクロビキニ……極小とマイクロが被っている……?」
 小首をかしげる澄恋が、こほん、と咳払い。
「いえ、そうではなくて。流石に嫁入り前の身体をあれやこれやとされるのは、澄恋的にもオールバッドです」
「ああ、大丈夫です。そこはPPP倫理委員会が色々やってくれます」
 アライグマが手拭いの端っこからふがふが言いながら声を出した。
「なので、まぁ。ちょっと恥ずかしい思いをしつつ、マイクロビキニピンとか全身図が作られるだけでしょう。良かったですね」
「ごめん無理」
 ジェックが泣きそうな顔をした。
「いや、無理だよ。見てよアタシのアトリエ欄。ここにマイクロビキニは並べられないでしょ」
「いえ、揺蕩う翼は結構いい感じなのでは……?」
 アライグマがなんか言ったので、リアが踏みつけた。
「で、どうする?」
 リアが言うのへ、はぁ、と嘆息するルル家。
「まぁ……ハイ・ルールですもんねぇ。受けてきちゃったもんですからねぇ」
「うう、ごめんね……」
 マールがしゅん、とした。
「正直マイクロビキニくらいなら、竜宮でも普通だと思って……陸じゃおかしいかっこだったんだね……」
「竜宮ってどうなってんの?????」
 ルル家が頭を抱えた。まぁ、肌に水を晒すほどいい、というのは竜宮の文化なので。
「えーと、その。とにかくやらなければならないのは確かです」
 ドラマが吐き気をこらえながら言った。
「とにかく、細かいお話を聞きましょう。
 いいですか、必要なものだけ、端的に、お話しください。
 話を持ったら鍋にします。これ以上変な条件を付けくわえても鍋にします。
 兎に角必要最小限だけお話しください。
 い い で す ね ?」
 ドラマが念押しをするのへ、アライグマは頷いた。
 曰く――。
 マイクロビキニが大好きな深怪魔、アラーイラー・クーンというのがいるらしい。
 ていやーすれば倒されるような奴なのだが、とにかくマイクロビキニを着ていないと外に出てこないらしい。
 やっつけよう! ついでにマイクロビキニで写真を撮ろう! そして雑誌にのせて売ろう!
 以上。
「最低限の情報でも死にそうね」
 リアが言うのへ、アイラの蝶が舞った。飛んだ。ふらふらと、あまりにも精神的な疲労が強くて、テーブルの上に堕ちた。
「とにかく、皆さん思い思いのポーズとか絡みとかして、マイクロビキニで写真をとらせてほしいのです。
 そうしたら、その内アラーイラー・クーンが出てくるので、ていやーしつつ写真を撮らせてほしいのです」
「分かりました」
 小夜が言う。
「こうまでしたら、やらないわけにはいかないのでしょう?
 さっさとやりましょう。そしてすべてを忘れてしまいましょう。
 それが一番」
「そうですね……」
 すずなが頷いた。タイムちゃんは滂沱の涙を流しながらテーブルに突っ伏している。
「では、そういう事で」
 澄恋がそう言った。
 そういう事になった。

GMコメント

 お世話になっております。これはマール・ディーネーが悪いので僕は悪くありません。

●成功条件
 マイクロビキニで写真を撮った後、アラーイラー・クーンをていやーする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 マイクロビキニで写真を撮りましょう!
 ポーズ、シチュエーションはお任せします! えっちぽく可愛らしく撮ってくださいね!
 水着撮影にはハプニングはつきもの♡ ハプニングを起こせ! 隣のアイツの足を引っ張れ! ハプニングは起きるものじゃない! 起こすものだ!
 最終的に変な深怪魔が出てくるので、ていやーしてください。ていやーしてるとこもかっこよく写真に撮りますので、写真写りを気にするといいと思います。えっ、リアさんマイクロビキニでクォーツ式ドロップキックするの!? すごい!
 撮影場所は、シレンツィオのビーチです。他に客もいます。ヒュー。

●エネミーデータ
 アラーイラー・クーン
  深怪魔です。マイクロビキニが好きです。ていやーってすると死にます。
  リアさんの マイクロビキニで クォーツ式ドロップキックが見てみたい。

●同行NPC
 マール・ディーネー
  同行しているバニーの女の子です。マイクロビキニくらいなら別に着てくれると思います。
  距離感がバグっているので、距離感がバグっている写真が欲しいときとかに手伝ってくれます。

 それでは、以上よろしくお願いいたします。

  • マールちゃん「ねぇ、戦う女性特集の水着ぐらびあ? しゃしん? の依頼があるんだって! 受けてきたよ!」完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年08月31日 22時06分
  • 参加人数10/10人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
すずな(p3p005307)
信ず刄
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
タイム(p3p007854)
女の子は強いから
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

リプレイ

●絶好の撮影日和
「さぁ! 今日のモデルさんが入りますよ~!
 モデルのみなさ~ん!
 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)さん!
 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)さん!
 『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)さん!
 『玲瓏の旋律』リア・クォーツ(p3p004937)さん!
 『オトモダチ』すずな(p3p005307)さん!
 『生命の蝶』アイラ・ディアグレイス(p3p006523)さん!
 『盲御前』白薊 小夜(p3p006668)さん!
 『揺れずの聖域』タイム(p3p007854)さん!
 『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)さん!
 『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)さん!
 入ります!!!」
 夏のシレンツィオ、そのビーチに大声が響く! 声を張り上げるのは、撮影スタッフのアライグマ(の獣種)たち。ラクーン・ウォッシュ出版社という小さな出版社に所属するアライグマたちで、ラクーン・ウォッシュ出版社はシレンツィオではそれなりの知名度を誇る雑誌を出版する出版社だ。
 さて、そんなスタッフたちが声を張り上げるのは、これからグラビア撮影を行うため! 水着での! グラビア! 撮影だ!
 被写体となったのはイレギュラーズたち。この依頼に参加した、十名のイレギュラーズ達だ。
 具体的には!
 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)さん!
 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)さん!
 『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)さん!
 『玲瓏の旋律』リア・クォーツ(p3p004937)さん!
 『オトモダチ』すずな(p3p005307)さん!
 『生命の蝶』アイラ・ディアグレイス(p3p006523)さん!
 『盲御前』白薊 小夜(p3p006668)さん!
 『揺れずの聖域』タイム(p3p007854)さん!
 『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)さん!
 『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)さん!
 以上十名を! 呼んでおります!
 良いですか、もう一度確認しましょうか!
 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)さん!
 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)さん!
 『神翼の勇者』ジェック・アー
「何度も何度もID付きで名前を呼ぶんじゃない!!」
 ルル家が叫ぶアライグマを蹴り飛ばした。アライグマがゴムまりみたいに飛び跳ねながらビーチを跳んでいく。
「なんなんですか! どういう事なんですかね!
 ええ、ええ。思えば沢山の人を殺めてきました。
 いつかその報いを受ける日が来るかも知れない。
 そう……思っていました……。
 だからって!!!!!! これはないでしょう!?!?!?!?!」
 と、マイクロビキニ家がそういう。
「マイクロビキニ家って言うな!」
 ルル家がアライグマを蹴り飛ばした。アライグマがゴムまりみたいに飛び跳ねながらビーチを跳んでいく。とはいえ、マイクロビキニ家と呼ばれるのも仕方あるまい。ルル家はマイクロビキニを着ていたのだ。というか、皆マイクロビキニを着ていた。マールちゃんが「はわわ」って感じで見ている。マールちゃんもマイクロビキニを着ていた。もう誰も逃がさないぞ、という背後からの声が聞こえたような気がした。
「拙者はうさみみパーカーを羽織りますよ!!! ほら! バニー! 正装!!!!」
 ルル家がうさ耳パーカーを羽織った。これはこれで可愛くてえっちだ……。
「やっべぇ、こいつ無敵ですよ!?」
「焔ァ!!! ……じゃなかった、つい」
 リアがこめかみに手をやるのへ、マールが心配げに声をかけた。
「ほむ……? えっと、大丈夫かな……?」
「あ、なんでもないの、気にしないでマール。
 これはお約束の様なものだから。
 くっ、マールの善意しかない音色が頭に響く……!」
「こんな格好して純粋純真は無理があるでしょ竜宮の人」
 死んだような目で正純が言う。
「いいえ、まぁ、もう、それは良いとして。
 マイクロビキニバニー水着ってなんですか。
 散々クソみたいな服装着せられたり配信だなんだと言われて数多の特定条件でしか現れないクソムシ共を刈ってきましたが今度もですか。
 いい加減慣れてきてるのが本当にダメな気がします。涙でそう」
 正純が頭のバニー耳を揺らしながらそういう。特に指定はなかったのだが、なぜかみんな自主的にバニー耳をつけていた。小夜さんのせいです。
「竜宮城では肌を水に晒すほど良いとされるみたいだものね……。
 あまり四の五の言うのもマールさんに失礼だし、折角なら楽しんで仲良くなれるといいわね。
 郷に入っては郷に従えよ、皆もちゃんと着ましょうね。

 逃がさないわよ」
 にっこりと、小夜さんが笑う。その様子に、はわわ、となったすずなが声をあげた。
「あーだこーだ言ってもやるしかないんですよね、知ってました。
 さっさとやってさっさと帰ります。小夜さんもそう言ってますし」
「そうね。受けてしまった以上、やらざるを得ないわ」
「で・す・が! 精一杯抵抗はさせていただきます!
 非戦を積んじゃいけないとは言われてませんもの! 此処でスペクターを発動! 記録媒体に残りません!」
 まぁ、そこまでやっても流石に報告書と映像化からは逃れられないだろうが、とはいえグラビア写真集が出ることは抑えられる。はず。
「あっーーーー間違ってスペクター活性化してきちゃった!
 写真を撮られる依頼なのに! 間違っちゃった!
 残念だな~~~~~いや~~~~~マイクロビキニ着たんだけどこれじゃ写真には写らないな~~~~~!
 でも間違えちゃったのは仕方ないよね! うんうん!」
 すっげぇしらじらしい声でジェックが言う。隣にはめっちゃうんうん頷くアイラの姿があった。死にそうな感じで言葉を乗せた蝶が飛ぶ。
「それもこれもスペクターがあれば完璧。撮りたければ撮るがいいです、ただし記録には残りませんけどね!」
 勝ち誇ったようなアイラの言葉。なるほど、やるじゃないか。洗井の依頼でメタをはるとは、皆PPPをやり慣れているな?
「ふふ、勝ちました! そう何度もピンとか全身図とかをかいてもらえると思わない事ですね、冠位色欲(あらいらくうん)!」
 勝ち誇るすずな! このまま、写真撮影は無しになってしまうのか!? くそう、こうなっては、洗井落雲にもなすすべがない!
 ここでこのリプレイを呼んでいる皆! 洗井落雲に声援を送って奇跡を起こそう! がーんばれっ、がーんばれっ!!
「ふふふ、もはや何をしても無駄ですよ! さぁ、小夜さん! 小夜さんのスペクターも、テスタメントで強化――え、ない?」
 きょとん、と。すずなが目を丸くした。
「ふふ、間違えてきてしまったわ」
 小夜が、ふふ、と笑った。
「小夜さん……? じゃあこの強化した非戦スキルは一体……?」
 ステータスシートを覗き見る。
「――――ブロッキング……?」
 呆然と、すずなが呟いた。
 この時、奇跡が起きた。
 ブロッキングをテスタメントで強化したことにより、洗井落雲脳内会議が発生したのだ。
 ――どうしますかね。ブロッキング、テスタメントで強化して、こう、全体のスペクターをブロックしてしまうというのは。
 ――いいんじゃないでしょうか。こう、このシナリオ限定です、とか言ってしまえば。
 ――じゃあ、満場一致で採択しましょう。
 そういう事になった。
「ごめんなさい、すずな。私がプレイングに『すずながテスタメントで強化してくれるって話なんだけれど、悪魔合体して他の方の大事な非戦……例えばスペクターとか無効化しちゃったりしなかったりするかも知れないわ……』と描いてしまったばかりに――」
「どうしてそんなことを書いてしまったんですか?」
 すずなが猫みたいな顔でそう言った。
「撮影が目的の依頼なのに、
 日和って(スペクターつけてく)る奴いる?

 いねえよなぁ!!?」
 澄恋がカメラ目線(グラビア撮影用のカメラ)でそう言った。それからこほん、と咳払い。
「そもそも、撮影が目的なのです。スペクター、なにするものぞ。諦めてください、皆さん。
 マイクロビキニ、着てみると楽しいですよ。確かに嫁入り前の身体には不味いかもですが、わたしはプロ花嫁なので無問題でしたね!
 さまふぇすではスーパーマイクロビキニ×雨合羽の水着を着たので、ラクーン・ウォッシュ社とは仲良くやれそうです。
 みなさんも何らかのプロなのですから、マイクロビキニも大丈夫でしょう。あ、出版社さん、バックナンバーと新刊、後で買いますのでご用意をお願いしますね」
「写真を撮ることが成功条件なのにスペクターで日和ってる人いますか?
 いませんよねええええ!?」
 覚悟を決めた顔でそういうのはドラマである。ドラマもマイクロビキニであった。えっちだ……。
「くっ、邪悪な意思を感じます……が、そこはそれ。
 私だって日和りたい気分なのですが、依頼を受けてしまった以上はやり遂げなくてはなりません。
 リアさんは後でローレット裏に来てくださいお話があります」
 ドラマの言葉に、リアは肩をすくめた。
「まって、マールに責任をかぶせるつもりじゃないけれど、この依頼を持ってきたのはマールじゃない」
「な・ぜ・か! 許してはいけないという気持がわいてくるんですっ!」
 ドラマが顔を赤らめながら声をあげた。しょうがないね。
「えーと、というわけで、撮影していいですか?」
 アライグマがそういう。あたりには観光客が「あーあ……かわいそうに……」みたいな視線を向けていた。同情されているのだろう。
「同情されるとそれはそれで嫌ね……好奇の視線で見られるのも嫌だけど……」
 タイムがそういう。
「でも。やらなければならないのよね!
 というわけで、写真をとりましょう! わたしは後ろから指示をするので、皆は思い思いのポーズをとってね!」
 カメラマンのアライグマの後ろでメガホンなどを掴みつつ、タイムがそういうのへ、正純が怖い顔をした。
「何を言っているんですか。あなたもこっち側に来てもらいますよ」
「ほら、タイムちゃんもそんなところで指示出ししてないで仲良くしましょう。
 タイムちゃんの分のうさ耳もあるのよ」
 小夜がそういうのへ、タイムがたじろぐ。
「えっ、いや、わたしは……」
「タ イ ム ち ゃ ん の 分 の う さ 耳 も あ る の よ ?」
 小夜がゆっくりとそういうのへ、圧に屈したタイムが頷いた。
「はい、つけます……」
 とぼとぼとタイムが歩いてきて、うさ耳を受け取った。
 というわけで、撮影です。

●キラキラ☆撮影タイム☆
「キラキラじゃないんですよね……」
 アイラがとてもつらそうな顔で言った。アイラも当然のことながらマイクロビキニで、マイクロビキニとはマイクロビキニという事である。というか、マイクロビキニをマイクロビキニと呼ぶこと以外に何か表現方法があるだろうか……何せアイラはマイクロビキニをつけているので、マイクロ
「連呼しないでください!」
 アイラが涙ながらに頭を抱える。周囲の視線が辛い。
「泣かないでアイラさん……気持ちは分かるの……」
 タイムがそういうのへ、アイラはじろり、と視線を向けた。
「そんなこと言って、プレイングの殆どをカメラマンとして危機回避することに向けていたくせに……!」
「ふふふ」
 タイムが笑って明後日の方向を向いた。
「まあ、とりあえず写真はさっと撮りましょう」
 はぁ、と正純がため息を吐いた。
「せっかくですし皆さんと記念写真みたいな感じで撮りたいですよね。
 ルル家やタイムさんとは天香家でご一緒しますし、ドラマさんリアさんすずな小夜さんとは何かと依頼でご一緒する、ジェックさんやアイラさん澄恋さんとも仲良くしたいし。マールさんもせっかくだから一緒にとりましょうか」
 にっこりと笑うマイクロビキニ純。アイラはうえー、って感じの顔をする。
「こんな記念写真、すごく嫌です……」
「嫌ですけど……まぁ、どうせ最後写真燃やすつもりですから」
 本当にいい笑顔で正純が言う。今回の依頼は写真を撮って深怪魔をていやーすることなので、撮影した後の写真がどうなろうと問題ないはずである。
「そうそう夏の思い出にと思い皆様の姿を残せる撮影機を持ってきたのです。
 出版用の写真だけでなく、
 おふしょっとや舞台裏映像とかあったら良くないですか!?」
 やたらごつい防弾のカメラを持ちだしてにっこにこに笑う澄恋に、正純は頭を抱えた。
「この世に神はいないのですか!?」
「神は死んだよ」
 ジェックが遠い目をしながら言う。ドラマはこほん、と咳払い。
「とにかく始めてしまいましょう。ここまでで5000文字は使っています」
「流石ドラマ殿、アイドルやってた度胸がありますね!」
「ルル家さん?」
「あ、はい、ごめんなさい」
 ルル家がしゅん、ってなった。
「とにかく、こういう時は個撮と集団撮影です……が、撮影方法までは指定されてないので集団撮影をして少しでも傷を浅くしましょう」
「皆ならんでれば視線が分散するかもだね」
 ジェックが言う。希望的観測だったが、希望がないと人は生きてはいけない。
「じゃあ、こう……センターはリアとドラマで」
 ジェックがそういうのへ、ドラマは「くっ」と呻いた。
「何故かそうなる気がしていました……リアさんを逃がさないためにも、いいですよ、センター、とります……!」
 苦渋の決断だった。
「……わかってるわよ! やってやろうじゃねぇかよ!!!」
 リア・マイクロビキニ・クォーツが吠えた。
「じゃ、とりまーす」
 アライグマがのんきにそう言ったので、全員が殺意のある視線を向けた。アライグマは「依頼人を殺さんやろ……」とのんきに思いながら、カメラを構える。
 かくして一同(マールちゃん込みで)ずらっと並ぶマイクロビキニイレギュラーズ達である。センターはリアとドラマのダブルセンターだ! ちなみに他の並びで骨肉の争い(じゃんけん)があったことを記しておく。
「くそっ! こ、こんなちっちゃいのでどうやって……! ほ、ほぼ裸みたいなものじゃない!」
 とはいえ、リアも恥ずかしいものは恥ずかしい。もぞもぞと身体を動かし、どうにかこう、クリティカルな事態を回避しようとする。
「いけません、リアさん。そんなにもぞもぞと動いては。こういう時はむやみにバランスを崩してしまうものです」
 小夜が心配げに言う。この後の展開はだいたい想像できた。
「そんなこと言ったって……きゃっ!!」
 リアがやっぱりバランスを崩した! そうなると、思わず振り払った手が、アイラのビキニにひっかかる!
「わーっ! 何でボクに!?」
 そう言って慌てたアイラが両手をわたわたとすると、当然隣にいた正純のマイクロビキニに引っかかった。何で正純が犠牲になったかと言えば、ジェックの確定ロールのせいである。
「ちょ、ちょっと! 本当に不味いですよ!!!」
 ほどけそうな(ほどけなくてもずれただけでヤバい)ビキニを手で抑えた正純は、当然バランスを崩す。そうなると、隣にいたジェック(確定ロールの反動)に倒れ込む形となるのだ!
「えっ、ちょ」
 ジェックは思った……ああ、これはダメだ、こうなったら他の人も巻き込むしかないね、そういう依頼だし、と。腕を振ればマイクロビキニにあたる状況である。ジェックはとりあえずバランスをとるために腕を振るった。ルル家のビキニ(下)がずれそうになる!
「あああああああ!!」
 ルル家が慌てて下を抑えると、そのまま腕が隣のタイムに襲い掛かる!
「ルル家さん! ちょっと、やめて!!!」
 タイムが吠える一方で、リアの魔の手から小夜を守ろうとしたすずなが轟沈! マイクロビキニが派手にずれそうになるのを、
「あーーっ! もう駄目です! つい刀が出てしまいます!!」
 叫ぶすずながなぜか刀を振るった。近くにいたドラマと澄恋のマイクロビキニがはらりと重力に惹かれ――層になるのを二人は慌ててキャッチして隠す!
「ど、どうして刀なんてもちこんでるんですか!?」
 ドラマが叫ぶのへ、
「だ、だって、戦う女性特集ですし、深怪魔とも戦う企画ですから! いやー、そうじゃなかったら刀なんてもちこみませんでしたね!」
 しらじらしくいうすずな。すずなはドジはしない。澄恋はにっこりと笑った。
「ふふふ、楽しいですねぇ」
「楽しくないです! いえ、このままだと全員倒れ――」
 ドラマがそういう通りの事態になった。慌てて大切な所を隠したイレギュラーズ達は、そのままくんずほぐれつに絡み合ったまま転倒! ビキニがずれそうになったり、ずれたところには謎の光が差し込んだりしている大変危険な絵面に!!
「じゃ、写真撮りますねー」
 アライグマが楽しそうにそういう。パシャパシャと、フラッシュが焚かれる音がする。とられた。とられた。とられている。写真を。この状況を。
「えっと……大丈夫……?」
 マールが心配そうに言うのへ、アイラが涙ながらに叫んだ。
「もうやだ!! 皆嫌いです!!!! 無言で飛んできたリクエストは蹴り返します!!」
「えっと……アイラさんとは……ううん、皆とはもっと仲良くなりたいなって思う……」
 マールが少しだけ悲しそうにそういうのへ、ルル家が叫んだ。
「汚い! 洗井落雲汚いですよ! ちょっと可愛いNPC作ったからってこれですよ!!」
「そんな事より、さっきからパシャパシャと……やめて! 写真を撮るのをやめて!」
 ジェックが叫ぶのへ、しかしフラッシュがパシャパシャと焚かれ続ける。パシャパシャ。パシャパシャ。だが、おかしい。様子がおかしかった。パシャパシャとなるフラッシュは、カメラマン以外のそれからも聞こえる――。
『…………』
 全員が気づいた。アライグマみたいな生き物が一匹増えている。もう、その瞬間に察した。こいつが深怪魔、アラーイラー・クーンだ……。
「リアさん」
 正純が言った。
「正直殴り殺したい気持ちがあります。あ、深怪魔のことですよ?
 ですが、今は譲ります。責任払いという事で」
「いや、責任払いって……」
 リアが言うのへ、タイムが頷いた。
「ほら、リクエストされてるでしょ? ね?」
 小夜が頷く。
「今回は譲ってあげるわ?」
「そうですそうです! ていやーしてやってください!」
 すずなが声をあげた。
「責任、とってください」
 ドラマが疲れた顔で言う。
「そうですね! リアさんの、ちょっといいとこみてみたい!」
 澄恋がぱちぱちと手を叩きながら言うのへ、リアは死んだ魚みたいな目をした。
「わかった……わかったわ。
 ねぇ、アラーイラー・クーン。それから、そこの、スタッフのアライグマ。全員、そう、そこに並んで。
 ええ、お望みなんでしょ。やってやろうじゃないのよ!!
 うおおおお! 纏う旋律、憤怒の如く燃え上がり、我真夏の光と成り、洗井とクソ深海魔を貫かん!
 クォーツ式ドロップキーーーーック!!!」
 マイクロビキニが舞った。マイクロビキニが踊った。リア・マイクロビキニ・クォーツが、その身体を太陽と青空にさらし、惜しげもなく体を見せつけたドロップキックを、アライグマ共にたたきつけたのだ!!
『アーーーーーッ!!!!』
 悲鳴と共に、アライグマたちがゴムまりみたいに飛び跳ねながらビーチを跳んでいく。澄恋は一部始終をナイスなアングルでカメラに収めた。
「おわり! 解散!!!!」
 リアが叫んだので、皆は死んだ魚みたいな目で頷いた。

 そのあと、カメラというカメラを(澄恋のもの以外を)念入りに破壊し、ついでにどこからか調達したアライグマの肉ですき焼きを作りみんなで食べました。
 ついでにラクーン・ウォッシュ出版社が謎の出火により消滅しました。

 めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 じゃあ、皆さんの渾身のマイクロビキニをお待ちしております!!!!!

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