シナリオ詳細
ウェスタに響くカエルの歌
オープニング
●ゲコゲーコ
亜竜集落ウェスタ。
三大集落の1つであるウェスタは水と縁深いが、それは水に関わる問題と常に向き合うということでもあった。
同時に地下にいることで、ソレに関する問題と向き合うことも多数。
かの覇竜侵食事件でアダマンアントに包囲されたのもウェスタであったことは記憶に新しい。
しかし生死に関する話は覇竜においては日常茶飯事であり、今更ゴチャゴチャと論ずるには至らない。
それ故に、直近の迷惑になる話から片づけていく……というのが通常になるわけだが。
「ゲコゲーコ」
「ゲロゲロゲロゲー」
「ケロロロロロロロロロ」
「「「ゲロゲロゲーロ! ゲコゲコゲーコ!」」」
「う、うるっせええええ! 増えてんじゃねえか、カエル!」
「だから早めにどうにかしとけって言ったんだ!」
「夜も明けねえうちから鳴きやがって! どうすんだよ!」
カエルのモンスター、デザストルオオガエル。
以前フリアノン水道にもいたそのモンスターが、どうやらウェスタの水場の1つに現れたようなのだ。
それだけならまだいいのだが……どうやら、仲間が増えているっぽいのだ。
おかげで最近、ウェスタにまで届くカエルの合唱である。
これではたまらない。悩んだ末に頼る相手といえば……ご存じ、イレギュラーズである。
●カエルをなんとかしてほしい
「というわけでの。デザストルオオガエルがウェスタのほうに出たみたいなんじゃよ」
「やっぱりというか……警戒してたんだけどなあ」
溜息をつく『雨に舞う』秋霖・水愛(p3p010393)に、『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)はホッホッホと楽しそうに笑う。
「ま、仕方あるまい。四六時中見ておれるわけでもないしの」
ウェスタから少し離れた場所にある水場。
そこに住み着いたデザストルオオガエルは、以前フリアノン水道に出たものと同種の個体であるようだ。
全長8m。ヌルッとしたガマガエルのような生き物であり、倒してもヌルヌルは永遠に溢れ出る、厄介極まりない生き物である。
個体としてそんなに強くないのが安心材料ではあるが……どうも今回、近似種もいるようなのだ。
「強くはないんじゃが、厄介ではあるからのう」
そう、デザストルオオガエルの特殊攻撃、相手を小さいデザストルオオガエルそっくりにしてしまう「カエルソング」。
恐らくは今回いる近似種も似たようなことが出来るだろう。そういう意味では、決して油断できる相手ではない。
「ところで、今回出た場所って」
「おお、それじゃがの。まあ重要ではない場所じゃの」
場所は先程も言った通り、ウェスタから少し離れた水場だ。
といっても生活用水に使っている場所ではなく、夏の水浴びなどの遊びに使っている場所だという。
洞窟の上部から水が小さな滝のように流れ落ち、下に空いている穴から少しずつ流れ出ていくことで、天然の水の入れ替えが成立し綺麗さを保っているのだという。
……とはいえデザストルオオガエルがいると水が粘液で汚れっぱなしになってしまう為、そういう意味でも駆除は必須になる。
「ま、然程難しい問題でもないからのう。カエルさえ駆除してしまえば、水はすぐに入れ替わる。そしたらまあ……いい場所じゃよ?」
相賀はそう言って、カラカラと楽しそうに笑うのだった。
- ウェスタに響くカエルの歌完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月15日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●カエルに会いに行こう
ケロケーロ。ゲロゲーロゲロ。ケロケロケロケロ……。
カエルの声が響く。地下道の中で、反響して響いてくる。
ウェスタでもかなり煩かったが、こうして歩いて近づいて行こうとするごとに煩さは増していく。
カエルの声を風流とする詩人も過去にはいたというが……ものには限度ってものがあると、そんな事実を再確認するような煩さだった。
しかも今回の相手は「敵を自分とそっくりに変える」というとんでもない敵……もといカエルなのだ。
「カエル、カエルにされる魔物ってなんなのよ! まったくもって名状しがたく冒涜的ね! 加えて環境破壊までするとか、生態系においての鼻つまみものという誹りを受けても仕方ないのだわ」
『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)のそんな怒ったような声が響く。
「どこを取っても何の役にも立たぬあの迷惑ガエルが、今度は近似種まで引き連れて御登場か……あんなのが居座って繁殖されでもしたら、大迷惑どころではない。さっさと殲滅してしまうぞ!」
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)もそう言うが、今回の敵であるデザストルオオガエルは前回はフリアノン水道に出て水を汚していたモンスターだ。そんな相手が今度は重要度は低いとはいえウェスタ近辺で水を汚しているとなれば、汰磨羈の怒りも当然といったところだろうか。
「もーーー、気を付けてたのにぃ。水場が汚されちゃうのも嫌だし、ウェスタのみんなが寝不足になっても嫌だよ。カエル退治の専門家にはなりたくないけど、自分の里のため、頑張るね」
「……デザストルオオガエルがまた現れたのですか……近場に繁殖地でもあるのでしょうか……今回は生活用水に使っている場ではないようですが……なんにせよこれ以上繁殖して生活用水に被害が及んでも困ります……早急に排除するとしましょう」
『雨に舞う』秋霖・水愛(p3p010393)も不満そうに言うが、こればかりは気をつけてどうにかなる問題でもないので仕方がない。『亜竜祓い』アンバー・タイラント(p3p010470)も落ち着いた口調ではあるが、やる気に満ちている。
「カエルといえばファミリアとかでおなじみの使い魔みたいな小動物のハズなんだが。なんでそんなにデカくしてしまうのか。巨人の魔法使いでもいるんじゃねーか」
「だとするとデザストルオオガエル……カエルがいるなら、デザストルオオうさちゃんやデザストルオオわんちゃんやデザストルオオねこちゃんがいてもよくないですか? ……まあ、私の個人的な願望は置いておきましょう。仕事中に巨大うさちゃんのことばかり考えて失敗なんて目も当てられません」
『元憑依機械十三号』岩倉・鈴音(p3p006119)に『いつかの歌声』ソニア・ウェスタ(p3p008193)がそんなことを言いながら頷くが、いたら可愛くて倒せるかちょっと微妙そうだ。
「前回の報告書を読みました。粘液や血肉の性質を調べてくださったようですが、結論は「役に立たんなコレ」だったと……解剖的な性質はさておき、もしかしたら粘液で他の生物を絡めて捕食して、人知れず生態系の維持に貢献していたり……考え過ぎですね、たぶん。きっと。はい。私、シレンツィオで海は入りましたけどプールはまだなんですウェスタ式プールを守るために! 行きますよ……!」
『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)がそう言えば、『放逐されし頭首候補』火野・彩陽(p3p010663)も頷き……大きくなってきたカエルの鳴き声に「おっ」と声をあげる。
「ようやくみたいだな。ケロケロと……やばそうなカエルかあ。ま、一人でもないし、どうにでもなるわ、多分。力合わせて全部たおそ」
その先にいたのは……大きなカエルと小さなカエルたちの、その姿だ……!
●カエルをやっつけろ
「ケロケロケーロ」
「ゲロゲロゲローロ」
「ケロケロケー」
何が楽しいのか歌いまくるデザストルオオガエルとデザストルプチガエルたち。
幸いにも攻撃ではなく、ただ煩いだけのようだが……連中の入っている水場は粘液でドロドロになっている。
自動で水が入れ替わるよりも粘液が出る方が早いのだろう、本当に迷惑な生き物である。
「私の役割は皆の盾役、名乗り口上をもってカエル達の注意を引き付けると致しましょう」
アンバーは大薙刀『屠龍』を構えながら、名乗り口上を響かせる。
「防人としての矜持としては本懐ではあるのですが…この蛙達相手だと何と言いますか粘液だとか蛙化だとか……こう色々大事なものを削られている気がするのは気のせいでしょうか」
まあ、よく分からん能力を持っているのは覇竜ではよくあることなので、その辺りは気にしたら負けである。
「景気よく序盤から飛ばしていくのだわ……って、ぐわー!」
「ケロケーロ!」
なんか動きが素早いデザストルプチガエルのプチカエルソングがレジーナを撃ち抜く。
そして……気付いた。
カエルのように頭部がカエルしている。頭部には捻じれた角が何本か生えている。それ以外の姿形は人間に近いが……つまるところ、カエル人間である。レジーナ・ツノガエル・カームバンクルさんって……こと……?
頭部からぬるぬると粘液を出しながらレジーナカエルはケロケロと声をあげる。
「ケロケーロ滑る! ケロケーロ手元が狂う! ケロケーロこの我(わたし)を! カエルに変えるとか! ケロケーロ絶対にゆるさ……ケロケーロん"な"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"! ケロケーロ!」
自分の粘液でヌルヌルに滑って盛大に転ぶレジーナカエルの姿は、まるでコントのようだ。
精神的ダメージでちょっと動かなくなったレジーナカエルが怒りと共に立ち上がるのはもう少し先の話だが、状況は待ってくれない。
「いやしかし。何なのだ、あのカエルの歌は? 強制的に頭をカエルに変えるとか、一体どんな原理で……あ、いや、今のはギャグで言ったわけではないぞ? 本当だぞ?(꜆˙꒳˙)」
汰磨羈がそんなことを言うが、その辺りは判定が厳しいかもしれない。さておいて。
霊刀『大祓・速佐須良禍断』を引き抜いた汰磨羈はすでにカエルたちの側面へと回っている。
自然とヌルヌルの水の中へ足を踏み入れることになるが、転べば大惨事になりそうな中を汰磨羈はヌトヌトと……確実に水中を走る水音ではないがさておいて、可能な限り、ヌルヌルの薄い箇所を狙おうと汰磨羈はデザストルオオガエルに斬りかかる。
ヌルッとはしているが、刃は通る。そう汰磨羈は感じて。
「ケロケーロ」
背後に迫っていたデザストルプチガエルのプチカエルソングでカエル人間になってしまう。
「なんだこのふざけた攻撃はケロ。いや、頭がカエルそっくりになるだけなのだろうが、何故か語尾もケロになる気がするケロ――許せねーケロ。ただでさえタヌキだのアライグマだの弄られているのに、こんな所でケロ属性まで付加されてたまるかケロ! 御主等全員、ねこの怒りを思い知るケロォ!」
タヌキアライグマカエルねこ。なんかキメラにしても混ざり過ぎて新種の生物みたいだ。
「とにかく処分しなければ話が始まらない。こんなヌルヌルじゃ近づくにも億劫。男には見せられない戦いがここにはある……!」
鈴音がそう叫ぶが、今のところ「ドキッ☆カエルだらけのローションバトル」って感じだ。「お、おう」しか感想が出てこない。
「広域俯瞰で見るにプチカエルが機敏に動き回る感じか。よし、プチカエルが近けりゃそいつらから倒す! わたしは回復担当だがなァ」
言いながら鈴音はコーパス・C・キャロルを発動させていく。
(この依頼のめんどーな所はカエルになっちまうことだな。カエルだと? あんなナリで戦っていられるか!? カエラせてもらうっ社会的に死ぬ。メンタルが死ぬ)
キスしあうんじゃなくてよかったぜ、と恐ろしいことを言っているが、この場に明確な男が彩陽しか居ない以上は高確率で百合……違う、カエルキッスである。絵面がちょっとエグそうだ。
「ん? このプチカエルどもは元に戻らんのかな? 元の美しい王子さまに戻るんだァ〜ってな」
「え、そ、それはどうでしょう……」
レジーナがまたレジーナカエルになっているのを見ながら、ソニアはフリージングエッジを放つ。
ヌルヌル成分が凍ってくれないかという考えもあったのだが、すぐにヌルヌルで流されてしまうようだ。中々に厄介な生き物ではある。
「しかし、この場にお姉様がいなくてよかった。私はどんくさいですから、まず間違いなくヌルヌルで滑ってべしゃーっと盛大にこけるでしょうし、急にカエルになんてなったら驚いてしばらくおろおろするでしょうし……そんなところを見られたら爆笑されそう。何度もカエルに化したら流石に慣れると思いますがケロケーロ」
「あっ」
ソニアがカエル人間になったのを見て鈴音が声をあげるが……自分の服がヌルヌルで濡れていくのを感じながら、ソニアは「やっぱ無理かもです……ケロ」と呟いていた。
そんな中、ユーフォニーは彩波揺籃の万華鏡からの海青の凪を発動させることで各自がカエルになっている時間が少ないように頑張っていた。
「だ、だってカエル化もカエル人間化もしたくないじゃないですか……! ぬるぬるはまだいいんですけど、私、カエルにはなりたく無いんです!! もしなっちゃってもすぐ戻りたいんです!!! い、今井さん? もし私がカエルになったとしても絶対こっち見ちゃダメですからね?!! ね?!?!!」
ここまでユーフォニーは一息に言い切っているが、中々余裕がありそうだ。
「カエル人間さんになってもBS回復効いてよかったよね。それにしても……あははは、なんだかケロケロ楽しくなってきたね。粘液さえなかったらデザストルプチガエルぐらいだといいお話のタネになりそうだよね」
今度はデザストルオオガエルそっくりの姿で滑ってヒックリカエルになっていたレジーナを見ながら、水愛は壁役を務めているアンバーへとミリアドハーモニクスを発動させていく。
積極攻勢の姿勢に出ているアンバーは自然とデザストルオオガエルに狙われやすい……のだが、レジーナが執拗にカエルにされているのは何なのだろう。カエルに嫌われるオーラとかが出ているのだろうか?
「カエルになるんは怖いよなあ。出来るだけ受けんようにしたいところ。無傷の相手は出来るだけ狙わんように。出来るならターゲットとらんようにしときたいよなって」
言いながら彩陽は後方からサポートをするような形で魔砲を撃つが、位置取りがいいのか中々狙われてはいない。
そんな中、今日一番カエルになった回数の多いレジーナがついに立ち上がる。
「人(神)をコケにすると如何になるか……その命をもって贖うがいい。黒顎魔王! 獄門開放!」
暴れ回るレジーナがデザストルプチガエルを倒し、その勢いのままデザストルオオガエル達を殲滅するが……それでは終わらないのが厄介なところだ。片づけなければいけないのだ。
「で、カエルの処分だが。馬車を用意してある。入るくらい解体なりしてぶち込んでいこう。じゃまにならないよう山に捨てる」
鈴音がそう馬車を指差せば、ソニアもアーネストプライを死骸へと向けて切り分けの準備を始める。
「いや、それじゃまだ甘い。……しあkし中々に屈辱的な攻撃だったな。こんな奴等、さっさと燃やすぞ!」
死んでなおヌルヌルが尽きない生物だ。馬車がスリップしかねないと汰磨羈は早速カエルを解体していく。
「蛙達は解体焼却処分……えぇ、なんか解体する手にも力が入っていたり黒いものが私から滲み出てそうな気がしますが気のせいです…気のせいですってばケロ。水場も奇麗にしておきますね……こうなったら最後までとことんつきあってあげますとも!」
アンバーもカエルが残っているが、水場を綺麗にすれば自然で起こる入れ替わりの速度も上がるだろう。
「……まあ。とりあえず色々やばそうやし、やいとこっかあ……焼けるなら。水場の清掃も出来るならさせてもらお。ピカピカにして気持ちよく終わろ」
彩陽も水場の掃除を率先して進めていくが。ヌルヌルを水場の穴に押し込めば流れていくので慣れれば楽ではあるだろうか。
そうして綺麗になった水場でユーフォニーや水愛、アンバーたちが遊んでいるのを見ながら汰磨羈は思う。
「あの歌の原理を解明すれば、新たなスキルを生み出すきっかけになりそうではあるが頭だけを強制的にカエルにするスキル――嫌がらせにしかなりそうにないな? 応用が効くならその限りではないだろうが、ううむ……本当に珍奇なネタの宝庫だな、この地は」
未だ未開の地が多くある覇竜領域デザストル。流石にここまでアレな生き物は多くないと信じたいが……そうとも言えないのが、覇竜の厳しさではあるのだろうか。
誰が言い出すでもなく、しかし……誰もが、そんなことを考えていた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ローションバトルのシナリオは近いうちに出そうと思いました。
GMコメント
デザストルオオガエルたちを倒し、綺麗なウェスタ式プールを取り戻しましょう。
どちらかというとネタバトルですので、リアクション芸を盛り込むと楽しくなるかもしれません。
●デザストルオオガエル
全長8m。ヌルッとしたガマガエル。流れ落ちる水で水浴びをしています。ふざけるなよ貴様。
倒してもヌルヌルは永遠に溢れ出る、厄介極まりない生き物です。
攻撃方法はベロを鞭のように伸ばす攻撃と、ヌルヌルを口から発射して相手の行動の成功率を半分にする技。
特殊攻撃として相手を小さいデザストルオオガエルそっくりにしてしまう「カエルソング」があります。ゲロゲーロ。
●デザストルプチガエル×5
全長1mくらいの小さめ(覇竜基準)のカエル。水浴びしていますし粘液も出ます。貴様もか。
ほぼ飛び蹴りのカエルキックと特殊攻撃として相手の頭部をデザストルプチガエルそっくりにしてしまう「プチカエルソング」を使います。
カエル人間って……こと……?
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
決められたルートを通る限り、想定外の事態は絶対に起こりません。
決められたルートを外れた場合、難易度が大幅に跳ね上がる可能性があります。
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