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シナリオ詳細

<Stahl Eroberung>立体は巡り合う

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝上空に浮かぶ浮遊島アーカーシュ。
 この探索はかなりの領域をカバーするに至り、ほとんど全ての領域へと調査の手が入った。
 島内ではゴーレムも確保され、修繕した者もいたのだとか。
「アーカーシュの探索の後、ゴーレムを手懐けたのもいるって話さ」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は大きなゴーレムを連れたイレギュラーズをあちらこちらで目にしていたようで、皆の様子がとても微笑ましかったとのこと。
「ただ、同じくアーカーシュ攻略に当たっている鉄帝国軍はちょっときな臭いね……」
 鉄帝国軍はローレットと協力してアーカーシュの探索を進めていたのだが、特務大佐パトリック・アネルの独断行動により、彼を中心とした特務派、それ以外の軍務はという大きな二つの派閥に分かれてしまったのだ。
 特務派と呼ばれる者達はパトリックの命により、イレギュラーズへと敵対してくる。アーカーシュ制覇に当たって障害となるのは間違いない。
「連中は気になるが、やることは進めておかないと」
 オリヴィアはショコラ・ドングリス遺跡の攻略をメンバー達へと依頼する。
 内部は迷宮のようになっていて、キューブ状あるいは多面体状の、超硬質な動くブロックで構成されている、不思議な空間である。
 攻略対象となる空間は数百メートルに及ぶ広さがあるが、そこを大小の立体キューブが同じ軌道で移動している。
 小同士が連結することもあり、小が大へと隣接することもある。いずれの状況も隣り合ったキューブへと移動が可能だ。
「小は移動専用、大は固定の足場さ。大にはセレストアームズ……天空騎兵1体が配備されている」
 これを撃破しなければ、先へと進む小キューブが現れない為、討伐する必要がある。
 セレストアームズは3種が配備されている。狭い立体キューブの上での戦いとなる為、立ち回りは十分気を付ける必要があるだろう。
「フロア内には特務派の軍人がアンタ達を倒すべく追いかけている。大きなフロアで鉢合わせると大変だよ」
 理不尽な命令だと彼らも感じてはいるようだが、軍人である以上、遭遇すれば戦いは避けられない。彼らと戦いが避けられればいいのだが……。
 どのようにフロアで立ち回り、踏破するか。イレギュラーズの知略と力量が試される。
「頼んだよ。アンタ達なら上手くやってくれるとアタシは信じているからね」
 白い歯を見せ、オリヴィアは次なる依頼の説明をすべく、別働チームの方へと向かっていくのだった。


 ショコラ・ドングリス遺跡の深部は不思議な場所だ。
 多面体のブロックが同じ軌道で往復し、上に乗ってブロックを移っていくことで先へと進むことができる。
 どうやら、不思議な力で飛行することはできないようなので、歩いて移動することが求められる。
 このフロアは全てがキューブ上となっていて、大小の大きさは共通。
 大きいブロックの上にはセレストアームズが待ち構えている。
 イレギュラーズはそれらと交戦しつつフロアの踏破を目指すのだが……。
「いたぞ、彼らを討伐せよとの大佐の命令だ」
 後方から遅れて現れたのは、鉄帝の軍人達。特務派と呼ばれる一隊であり、特務大佐パトリックの命でイレギュラーズを討つべく追ってきたようだ。
 彼らに対して、思うことを抱くメンバー達は、同時並行してフロアの攻略にも当たりたいところ。
 できる限り戦闘を避けるべきか、最短ルートで突っ切るべきか。
 イレギュラーズはブロックや特務隊の動きを見つつ、動き出すのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 浮遊島『アーカーシュ』の制覇に当たり、ショコラ・ドングリス遺跡
の攻略を行います。
 ただ、道中に現れるゴーレムが進路を妨げ、特務派軍人や攻略の邪魔をしてきます。
 これらを退けつつ、特定フロアの踏破を願います。

●状況
 アーカーシュ、ショコラ・ドングリス遺跡の攻略を進めます。
 この攻略フロア内限定で、飛行ができません。何らかの魔力が働いていると思われます。
 基本、小型のキューブ(一辺3~4m程度)へとチーム全員(作戦として班を分けるなら、班メンバー全員)が乗ると次のキューブへと自動で移動します。移動は歩きより少し速い程度なので振り落とされる心配はありません。
 キューブを3,4つ移動するごとにセレストアームズのいる大きなキューブ(一辺20m程度)へと至ります。
 セレストアームズは最低3体遭遇します。討伐したセレストアームズが再出現することはありませんが、攻略法を見出せずに多数のキューブに乗ることで交戦数は増えます。
 また、特務派軍人達もイレギュラーズを追っています。彼らと遭遇せずにフロアの踏破は可能ですが、うまく相手を誘導する必要があるでしょう。

●敵
〇セレストアームズ(天空機兵)
 このフロア内には以下の3種が配備されており、最短ルートの場合、1体ずつを相手にします。

・斧タイプ……力強い近接攻撃を得意としています。
・槍タイプ……素早い突撃と得意としています。
・機関銃タイプ……遠距離攻撃を得意としています。

○特務派軍人×10人
 20代男性、小隊長パッサ率いる鉄騎種小隊。
 パトリック・アネル特務大佐の命令を受けた軍人達です。
 軍刀、拳銃を使う他、機械となった四肢で強打を打ち込んでくることも。
 イレギュラーズを倒すよう指令を受けているようですが、鉄帝の危機を救ってきたイレギュラーズを倒すことに疑念も抱いており、士気は高くありません。
 ただ、軍人である以上、職務は全うしようとし、遭遇すれば交戦は避けられません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <Stahl Eroberung>立体は巡り合う完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
アルヤン 不連続面(p3p009220)
未来を結ぶ
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

リプレイ


 浮遊島『アーカーシュ』、ショコラ・ドングリス遺跡。
 その内部では、多数のキューブ状のブロックが規則正しく動いている。
 遺跡の奥へと向かうなら、これらを乗り継いでいくのは必須だ。
「ブロックに乗って移動、楽しそう!」
 『不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は子供のように心を躍らせる。
「ブロックが移動……不思議っすね。まぁ扇風機の自分が言うのもものすごくあれっすけど」
 見た目が完全に扇風機の姿をした『逆式風水』アルヤン 不連続面(p3p009220)も文字通り、首を傾げる。
「可能な限り最短ルートで進みたい所っスね」
 『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)も移動するブロックの軌跡を追いかける。
 何らかの魔力で満たされたその遺跡では、飛行することができない。『乗り越えた先』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)はそれを確かめ、あからさまに乗るよう動くキューブ、そして移動しないいくつかの大きなキューブを見回して。
「まあ結局進むんだ、乗るだけだな」
「……だけど、特務派さん達……戦わずにすませたいな」
 ヨゾラは後方から追いかけてきている鉄帝の特務派軍人部隊を気に掛けると。メンバー達も主観を語る。
 元々、軍属であり、利益云々で揉め事が起きるのは目に見えていると『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)も思っていたが。
「明らかに強行的過ぎて不自然だな」
 上が功を焦った影響なのか、それとも……。
「この構造だけなら時間をかければ大丈夫だけど……追いかけられてるっていうのが厄介だね」
「なんにせよこんな状況下で追ったてられるのは勘弁してほしんだがなぁ……」
 『蒼穹の魔女』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は眼前のキューブのフロア、そして後方から少しずつ大きくなっていた多数の足音の両方を気に掛けると、マカライトがこれ見よがしに溜息をつく。
「特務派との交戦を避けるには、追い付かれるより先に前へ進んで行けば良いのです」
 そこで、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)がこの状況を打破するための最善策を口にする。
 大きなキューブで待ち構えている天空騎兵、セレストアームズを一気に撃破し、最短経路を行けば追いつかれるまでの猶予を得られると話す。
「とりあえず、移動しましょう。考える猶予が得られれば、後から何とでも誤魔化せます」
「そうだね。むやみに戦いたくもないし、できるだけ急いで駆け抜けよう!」
 オリーブ、アレクシアの意見に異論はできず、メンバー達は早速接岸していたキューブの一つへと乗り込んでいく。
「アーカーシュ、自分達の方が先に攻略しちゃうっすよー。ふぁいとっす」
 気合いを入れるアルヤンが最後に乗ると、キューブはゆっくりと入口を離れてフロア内を移動し始めたのだった。


 イレギュラーズは班を分けることをせず、全員で固まって移動することにしており、実際の移動もそのように行う。
 一行が2つ目のキューブを伝って移動を始める頃、鉄帝の特務派軍人達が部屋へと駆け込んできた。
「なんだこれは」
 小隊長パッサの叫びを受け、隊員がキューブについて調べ始める。相手もすぐに乗る様子はなく、どう移動すべきかと頭を悩ませていたようだ。
「改めて、特務兵が追ってくるというのは厄介だ」
 メンバー全員、バクルドと同様のことを考えるが、今はフロア踏破の為の最短ルートを導き出すのが最優先……としたいのだが。
「突撃しろ」
 深く考えるのを止めた軍人らがキューブに乗りこんでくる。
 それは直進し、丁度イレギュラーズの乗るキューブとニアミスする形となってしまう。
 敵の接近を察したバクルドは素早く聖弓を構え、敵の乗るキューブを鋼の驟雨で打ち付ける。
 ヨゾラも式神を召喚し、特務派の脚を止めようとしていた。
 その間も、メンバー達はこのフロアの構造把握に努めて。
「どうにもブロックの移動には法則性がありそうだね」
 マルク・シリング(p3p001309)はいくつかのブロックの動きをすでにチェックしている。
 大きなブロックにいるセレストアームズを含め、軍人達とも戦いはできるだけ回避して最小限に食い止めたいところ。
 その為にも、キューブの軌道確認をと、ライオリットはあちらこちらに視線を巡らせる。
「飛行できないってのがもどかしいっスけど、そこはもう割り切るしかないっスね」
 普段は手足と同じように翼を使うライオリットとしてはもどかしさも大きかったことだろう。
 さて、フロアの把握についてはまず、アレクシアが広域俯瞰によって上からフロア内の構図を把握しようとしていて。
「こういうのは自分たちの目線で見るだけじゃなくて、真上から見たほうが動きがわかりやすいからね」
 キューブの移動速度は決して速くない。焦ってもしょうがないとアレクシアは紙を広げ、キューブの位置、動きを書き記し、フロアの全体図を作製する。
「迷路の攻略は、ゴールからスタートへの道筋をたどる事だ」
 マルクはフロアの出口の位置をチェックし、そこからの道順をたどりたいが、セレストアームズの討伐によって出現する小キューブがネックとなる。
 ただ、その行く先となるであろうキューブは、現状行きたくてもいけないはずなのだ。
 それを考慮しつつマルクは仮説を立て、正解の道筋の解析を進める。
「上下移動がややこしいなあ」
 特務派への牽制攻撃を終えたヨゾラもマッピングを始め、他メンバー達と考えをすり合わせる。
「……ふむ、読めてきたっすね」
 アルヤンもスキルをフル稼働させ、キューブの移動法則を暴く。そうして、彼(?)もまた分かったことはすぐさま仲間と共有する。
 確認できる大きなキューブは9つ。つまり、特務派を含めて最大10回も戦う必要がある。
 それらに待ち受けるセレストアームズの武装は3種。
 事前情報によれば、最短ルートであれば1体ずつを相手にするという。
「となれば、同種のセレストアームズがいるキューブを繋ぐ経路は外れです」
 小同士の連結も、経路が固定なら隣接するキューブは限られる。
 オリーブは今まさに乗っているキューブですらも外れである可能性も念頭に置き、経路特定を詰めていく。
「この間に小キューブ出現可能性が考えられる。ならば……」
「こっちの方が早いみたい!」
 ストラテジーを働かせるマカライトの言葉もあり、アレクシアも今いるルートとは別方向から行くべきと結論を出す。
「消去法で何とかなります」
 自分でも最適解に近づけるとは考えていたオリーブだが、こうして仲間と話すことで確信へと変わる。
 こうして、一度スタート地点へと戻ることにした一行が気になるのは特務派軍人達の位置だ。
 マカライトもそちらを視認していたが、相手側から自分達が死角となったところで、ヨゾラは自分達の乗ってきたキューブへと油や撒菱を撒くことを提案する。
「妙案だな。なら、今から乗るキューブに……」
 敵も自分達を追うなら、今から乗るキューブを使う筈。バクルドはヨゾラと共に、仲間達が次のキューブへと移る際にこのキューブへと罠を仕掛けていく。
 しばらく進んでいたメンバー達は程なく、油で足を滑らせて転倒し、かつ撒菱で苦悶する特務派軍人達の叫びの声を耳にしたのだった。


 さて、しばらくして、メンバー達が到達した最初の大きなキューブ。
 そこで待ち受けていたのはセレストアームズ。この場の個体は斧を武装としている。
「出来るだけさっくりと終わらせたいっスね」
「自分結構役に立つかもっす」
 本音を漏らすライオリットへと呼び掛けるアルヤン。
 今回の依頼では特務派との交戦が絡まなければ、敵1体とだけ対する形だ。その状況であれば、自分の土俵だとアルヤンは胸を張る。
 ブロオオオオム。
 駆動音を立て、機械的な動きで重い斧を振り下ろしてくる敵に対し、アルヤンの動きは速い。
「うぃーんうぃーん。そこっす」
 嵐止まぬ突撃戦術に出る彼はターボ全開にし、戦場を俯瞰して攻め込む。
「逆式風水──吉兆返し」
 斧を振り下ろす敵の背後へと回っていたアルヤンは、執拗に敵の装甲へと鋭い一撃を叩き込むと回路を走っていた電流が外へと漏れ出し、一時的な機能不全に陥ってしまう。
 なお、アレクシアが赤き花の如き魔力塊を炸裂させ、セレストアームズの気を強く引く。
「追いつかれないように火力重視で行くよ!」
 ここでもたついては、特務派の追撃から免れない。
 アレクシアは相手の斧を受けつつ、創造した神滅の魔剣を突き出し、大ダメージを与える。
 仲間が気を引いていれば、吹っ飛ばされる心配はないと、ヨゾラも渾身の力で星空の極撃を叩き込む。
 多少なりとも重厚な造りをしているはずのセレストアームズだが、イレギュラーズの効果力を立て続けに浴びれば、機体の装甲がボロボロになってしまう。
 無論、それはメンバーにとって攻めるポイントだ。
 マカライトも倒すことに問題を感じてはいないが、足場からの落下は大きな懸念事項だ。
「足場に注意しろ。落下には対応できんぞ」
 再確認だが、このフロアでは飛行できない。マカライトもそれが分っているからこそ、メンバーへと警告を促す。
 敵の牽制をとマカライトは足回りの関節を狙い、黒龍の顎に編み上げた膨張する鎖群で食らいつかせていく。
 マカライトにも負担を強いる技だが、すでに相手は満足な挙動もできぬ状況。
 仲間の呼びかけもあり、ライオリットは縦横無尽の動きを自制しつつも、軍刀の刀身に駆け巡らせた雷撃でその巨体を切り付けると、跳ね飛んだ首がキューブに一度バウンドして奈落の底へと落ちていった。
 入れ替わるように底から浮き出してくる小キューブに乗り、メンバーは先へと進む。
 ただ、その軌道自体は惑わす為か他の小キューブとニアミスすることもあり、特務派小隊と遭遇することも。
「ルートとしては近づいてきているが……」
 すでにほとんどのキューブの動きを把握していたメンバーだ。バクルドが敵の位置は簡単に割り出す。
 その特務派を道中惑わすべく、ヨゾラは式神に誘導用経路を移動させる他、猫や味方の罠を思わせる幻影を作って自分達の位置を定めさせぬようにしていた。
 マルクもまた自分達の幻影を別のブロックへと見せ、敵を攪乱する。
「罠があると思わせれば、それだけで敵の歩みも慎重になる」
「本物はどこだ」
 ただ、小隊長であるパッサもマルクらに翻弄されていたことで、些か苛立っていたようだ。
 そこで、マカライトが特務派へと鎖の塊の眷属ウェボロスをけしかけ、足止めする。
「もうちょっとそこにいて欲しいっすー」
 加えて、アルヤンが特務派を魔眼で見つめ、精神を揺さぶる。しばらく、向こうは立て直しができないはずだ。
 その直後に、メンバー達は2体目のセレストアームズと対する。機関銃を装備したその機体がこちらへと銃弾の雨を降り注がせてくるが、ここでもアルヤンが敵の気を引くが、今度は合わせて攻撃の一切を封じ切ってしまう。
 とはいえ、それも一時のこと。バグルドが鋼の驟雨を浴びせかけて強引に態勢を崩させ、オリーブが一気に迫る。
 仲間達の攻撃の合間を縫うように、オリーブは竜撃の一手で猛攻を仕掛け、前の機体同様短期決戦に臨む。
 防御技術は高いはずのセレストアームズだが、イレギュラーズの行う全力近い攻め、さらにチームとしての連携になすすべがない。
 マルクがダメ押しにと歪みの力を持つ呪言を聞かせ、相手を弱らせていたところを、バクルドが狙う。
「お世辞にも足場が良かねえが、それを利用できるなら心強いこと他ねえな」
 相手は総崩れの状況。丁度仲間達の攻撃でキューブ端へと追いやっていたこともあり、バクルドは一度距離をとってから出発的な移動で得た推進力を伴い、タックルをぶちかます。
 それによってキューブの外へと吹き飛ばされたセレストアームズは体ごと落下していったのだった。


 さらに先へと進もうとするイレギュラーズだったが、その背後から特務派軍人達が近づいてくる。
「さすがにここまでコケにされてはな」
 小隊長パッサは小隊を3人、3人、4人と3つ分けて一行を追いかけてきており、この場には自身を含めて4人で追いついてきた。
 幻影や式神に惑わされていた彼らは当てずっぽうに進むことにしたのだが、悪運強く当たりを引いたといったところか。
「──止まるっす」
 強い口調で信仰を制止するアルヤン。
 軍人達と戦いたくないと感じていたのは他のメンバー達も同じだ。
「すまんな、敵対するなら突き落とされるのも覚悟しておきな」
 近づいてくる軍人達に言い放つバクルド。
 相手もイレギュラーズと対して勝てるなど思っていないだろう。
 だが、上からの命令を受ければ、嫌でも武器を抜くしかない。バクルドもそれが分かっているからこそ、すぐさま牽制射撃によって彼等の進行を妨げる。
「必要以上の戦闘はできる限り避けたいっスが……」
 ライオリットもここまで追いすがってきた軍人達に、多重残像を展開しながら、足止めをはかる。
 これ以上進むなら容赦はしないといった忠告だ。
「だが、我々に止まることは許されんのだ」
 パッサは配下と共に、イレギュラーズのいる大きなキューブへと渡ってくる。
 ヨゾラはすかさず終焉の帳を下ろす。
 刹那紫色の闇に襲われる軍人達は、恐れながらも発砲してくるが、その弾丸がメンバーに当たることはなかった。
「軍人らしく冷静に、僕らに追いつけるかどうかを判断して欲しいな」
 マルクはそんな彼らへと言葉を選びながら諭そうとする。
「君らは尊敬に値する忠誠心と実行力の持ち主だ。だから、無駄に争いたくは無いし、殺したくも無い」
「…………」
 追いつけなかったという客観的事実を持ち帰り、報告するようマルクは促すが、武器に手をかけたままのパッサは足を止めない。
「あなた達にも役目はあるんだろうけれど、本当にそれに従ってていいの!?」
 アレクシアも呼びかけながら、仲間へと攻撃が及ばぬように魔力塊を弾けさせ、軍人の注意を引く。
 彼女目掛けて刃を振るう軍人らへ、アレクシアはさらに続けて。
「確信が持てないのなら、こんなところで争わないで! 生命を無駄にはしないで!」
 理不尽な命令に抗えぬ軍人達はなおも止まることを知らない。……いや、そのきっかけを探しているようにも見える。
 仲間に危害が及ぶこともあり、マカライトはやむなく再度眷属を投げつけた。
 ウェボロスがパッサの体に絡みつくと、オリーブは配下との間に入って連携を取らせぬように立ち回る。
 そこで、バクルドがパッサへと衝撃を与え、キューブの外へと突き飛ばす。
「悪いがこっちも仕事なんでな」
「く、ううっ……」
 動かぬ身体で、これも軍人としての務めと諦めの表情をしていたパッサの手を、ライオリットが掴む。
 少なからず、恩を売って撤退してもらうという打算的な考えはライオリットにもあった。しかし、それ以上に。
「でも、別に死んでほしいとは思っていないっスからね」
 キューブの上へと助けだされたパッサを始め、軍人達はもう抵抗をやめ、茫然としてしまう。
 イレギュラーズは彼らが完全に敵意を失ったことを確認し、改めてフロアの奥を見据えて。
「さて、この先には一体何があるのだろうな」
 バクルドの意見を受け、メンバーはそれを確かめる為にも3つ目の大きなキューブを目指す。


 その後、イレギュラーズ一行は3体目のセレストアームズの元へとたどり着く。
 最短ルートを導き出していたメンバー達が最後に戦うのは、槍を持つタイプだ。
 素早い突撃を繰り出してくる機体だが、これまで同様に皆が満足に敵が攻撃できぬよう動きを止め、高火力を叩き込む。
 これまでの戦いで多少なりとも傷を負っていたアレクシアは、傷を攻撃力に転化して渾身の魔力を振り絞る。
 激しく燃えあがる復讐の念が力を高め、振り抜いた神滅の魔剣がセレストアームズの両腕と腹部を切り裂く。
 今度はキューブの上へと金属音を立てて転がったが、キューブの外にまで至ることはなかった。
 メンバー達はその後出てきた小キューブを渡り、後方を見やると、今なお入り口にも出口にも出られず、あちらこちらへと行きかう特務派の軍人の姿が目に入って。
「後からゆっくり抜けてきてね」
 悪い者とはともかく、彼らとは戦いたくないとヨゾラが本音を漏らす。
 ともあれ、イレギュラーズとしては1人も脱落することなく、全員でフロアを突破して先へと向かうのである。

成否

成功

MVP

マルク・シリング(p3p001309)
軍師

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは最短ルート選択の為に決定的な一言を発した貴方へ。
 今回もご参加、ありがとうございました!

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