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シナリオ詳細

<光芒パルティーレ>ブラック・セレニティ・ムーン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●三番街:カジノ狂想曲
 セレブ御用達。先進的かつ高級志向な施設が建ち並ぶここ三番街(セレニティ・ムーン)には身分の高い者しかいない――かといえば、実はそうではない。
「イカサマだ! こんなのイカサマに決まってる!」
 微妙にサイズのあっていないだぼついたスーツを着た男が懐に手を入れ、ポーカーテーブル越しにディーラーをにらみ付けた。
 彼の手元には自棄気味に詰まれたチップ。手札の役はツーペア。
 対する親の役はフルハウス。誰が見ても、分の悪い賭けに負けた男の逆上という風景である。
「チップを返せ! 金を返せよ!」
 徐々に言葉に理屈が通らなくなり、子供のようにわめき始める男。
 ついには懐から拳銃を取り出し――た所で。
「お客様ァ?」
「店内での武器の取り出しはァ?」
 両サイドからポンと肩を叩かれた。
 右からはグリーンフェイスのゴブリン。
 左からは真顔で100人くらい殺してそうな目をしたサラリーマン風の男。
 二人が同時に顔をのぞかせ、取り出した腕を、そして銃をそれぞれ掴む。
 キドー(p3p000244)とバルガル・ミフィスト(p3p007978)である。
 バルガルは男の肘を掴んだだけだというのに手首から先の力がしびれるように抜け、キドーはといえば銃を片手で掴んだだけにもかかわらずパーツを分解し射撃に重要な部分だけを抜き取ってしまった。
 手品のように男を鎮圧すると、両サイドからプレッシャーをかけながら呆然とした彼を店の裏口へと引きずっていく。

 ぽんと放り出せば、薄暗いゴミの山へと男が転がった。
「金のある社交場に用心棒がいねーわけねーだろーが。おのぼりさんかアンタはよ」
「殺すとフロアが血で汚れますので、できればお帰り願いたいですね」
 慌てて起き上がる男に、キドーとバルガルは懐にそれぞれ手を突っ込んでみせる。
 男は自分がしたことを相手もやると察したのか、両手をあげてばたばたと後じさりした。
 そしてそのまま悲鳴をあげて逃げ去っていく。
「金が回ると、ああいうヤカラが増えるよなあ」
「おかげで、暴力しか自慢のない人間でも仕事に困りません。社会とはかくもよくできたものです」
 二人は懐からそれぞれ煙草を取り出すと、口にくわえた。
 ここはスチーム・オブ・ドリームスの、裏。
 シレンツィオ・リゾート三番街における輝かしさの象徴がこのカジノだとすれば、それによってできた影こそがこの風景というべきだろう。
 金が周り、そして金を求める人間が増えたこの三番街。当然ながらアウトローが目を付けるわけだが、そんな彼らに対抗するために『より強力なアウトロー』を手札に加えてデッキバトルをするのだ。これがアウトローバトルの常識である。
 そこにつけて、無番街で組織化されたアウトローたちはうってつけである。キドーやバルガルのような名の知れた男達をはじめ、腕っ節に自信のあるやつらが高級カジノをはじめ歓楽街の裏側を守っているのだ。
「ま、今日はレア中のレア、ウルトラレアの俺様がついてっからな」
「ええ。どんなトラブルが起きても問題ないでしょう」
「カジノが爆発でもしねーかぎりはな!」
 ハッハッハと笑い合いながら煙草にライターの火をつけた――瞬間。
 後ろでとんでもない爆発音がした。

 スチーム・オブ・ドリームス内にて海乱鬼衆による強盗事件発生。
 海賊である海乱鬼衆は何らかの手段を用いて三番街湾部まで侵入。そのまま都市警邏に見つかることなくカジノまで入り込んだものと思われる。
 強盗団はまずスロットマシンエリアを爆破すると、カジノホール内の客およびスタッフたちを人質にとり立て籠もりを開始。逃走用の蒸気車両を要求した。
 セレブだらけの三番街。とられた人質たちの価値もかなりのものだ。都市の警備隊は踏み込むこともできず、解決できるのはカジノ内部のスタッフや用心棒たち。そして偶然居合わせた客たちのみとなってしまった。
 そして偶然というべきか。そこには――あなたもいたのだ。

GMコメント

●状況
 あなたは三番街の高級カジノ『スチーム・オブ・ドリームス』の中(あるいは裏口)に射たところ、強盗団による事件が勃発しました。
 あなたはカジノのバニーガールやディーラー、用心棒やボーイといったスタッフとしてこの場にいてもいいし、客としていてもよいでしょう。
 少なからず巻き込まれ、そして十中八九解決すればギルド・ローレットとして報酬がもらえるはずです。やらない手はありませんね!

●エネミー
・強盗団
 客になりすまして侵入し、強盗をはたらいた犯罪者集団です。
 現在彼らはカジノ客を人質にとり立て籠もりを始めています。
 アサルトライフルや拳銃を装備し、顔を隠した状態で人質への脅しと見張り、周辺への見張り、金庫を開くために責任者をつれて奥へ行った人間……といった具合に分かれています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●名声に関する備考
<光芒パルティーレ>では成功時に獲得できる名声が『海洋』と『豊穣』の二つに分割されて取得されます。

  • <光芒パルティーレ>ブラック・セレニティ・ムーン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー(p3p000244)
最期に映した男
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
酔狂者
ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
奏で伝う
トキノエ(p3p009181)
劇毒
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

●scene0
 カジノの裏で、上下ひっくりかえった状態のまま煙草に火を付け直す『最期に映した男』キドー(p3p000244)。
「オイオイ勘弁してくれよ! どうせ強盗するなら俺が用心棒やってない時にしてくれや!」
「冷静ですねえ。まさか言った傍から爆発するとは思ってもいませんでした」
 隣で全く同じポーズの『酔狂者』バルガル・ミフィスト(p3p007978)がくわえた煙草に百円ライターで火をつける。
「あーあ、丁度出てた時に強盗に入られたなんてなりゃあ、後から文句言われんじゃねえの?」
 逆さになったままスパーッと煙を鼻と口両方から吐き出すキドー。
 バルガルはといえば、その体格と格好からは想像もつかないほど身軽に、片手で地面に倒立した状態からぴょんと飛んで直立姿勢に戻るというへんな動きをしていた。
「まぁ、こういう事件ならボーナスがでる契約ですし。頑張りましょう」
「まぁな。つか、ここでサボってちゃ今後の評判にケチがつく。汚名挽回、名誉返上ってな!」
「逆です逆」
 キドーはころんと転がり、器用に立ち上がると煙草をその辺にポイ捨てした。
「わざとだよ」

 一方、フロア内。
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はバーカウンターに座ってため息をついていた。
(はあ、今は思考を止めて、無心で休みたかったんだけどな……それすら許されないとはね……はあ、くそ、考え出したらネガティブが止まらない……。
 悪いけど……今の俺は誰かに……妖精以外に不殺の情けをかけれるほど……心に余裕はない……だから……死ぬ前に降参することをおすすめする)
 サイズが静かに殺意を燃やしているのをよそに、『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)がポーカー台に上半身をずべーっとなげだした。
「さてさてさてさて、強盗団が来たのなら仕方ありませんね!
 今日のゲームは無効ですよ無効無効無効!」
 まわりのカードとまとめて混ぜてわちゃわちゃにすると、自分が出していたチップを手元にかき集めてディーラーを見る。
 ディーラーは、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)だった。
 赤いベストと蝶ネクタイというディーラーらしい格好をした『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は、強盗の命令通りに両手をあげた姿勢のままじっとライを見つめ返している。
(慌てた客の振りをして油断を誘い強盗達を奇襲する作戦か)
(わたくしの気持ちを察してゲームを無効にしてくれるつもりですね)
((私達は、通じ合っている……!))
 結構すれ違っていたが、案外利害という点では合致していたらしい。
 手に持っていたカードを放り投げ、チッと舌打ちをする『劇毒』トキノエ(p3p009181)。
「絶対勝ってたぜ今のはよ。イイ所を邪魔しやがって! ツキが回ってきてたんだっで! あーあ! 爆発がなけりゃあなあ!」
 ライとウェールは放り投げたトキノエのカードがなんとも微妙な役になっていたことをそれぞれの動体視力で見抜いていたが、なにも言わなかった。
 どうせ無効になるゲームだ。
 それより……。
「どうする? ローレットにゃ依頼行ってるぜこりゃ」
「まあ、そりゃあ……」
「だな」

「ま、カジノと言ったらトラブルが尽きぬもんだが、今回はちとばかり運が無かったな」
 ソファに腰掛け足を組み、『奏で伝う』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は右隣に座った金髪のバニーガールの肩を抱く。
 余った左手をそっと左隣のバニーガールに伸ばそうとして……それをバニーガール衣装を着た『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)がぺちんとたたき落とした。
「折角リゾートのカジノでバイトして社会経験積もうと思ってたのにぃ」
「良い経験じゃあねえか」
「強盗退治は社会経験っていわないの!」
 諦めてか金髪バニーガールに伸ばそうとした左手をギュッとつねると、咲良がステージのほうを顎でしめした。
「お仕事、するんでしょ」
「ここで酒飲んでるだけじゃあだめかい?」
「だーめ!」
 ヒヒヒとヤツェクは楽しそうに笑い、ギターケースに手をかけた。

●scene1
 フロアの端。ボーイの格好をして帽子を目深に被ったバルガルがいた。いつのまに加わったのか、そもそもこんなやつがいたのか、強盗たちはおろかカジノ内のスタッフでさえ容易に気付かない。
「すみませぇん」
 そんなバルガルが、拳銃を手に見張りをしている強盗団のひとりにヌッと顔を寄せた。
「『漏れそう』なんですけど、ここでまき散らして良いですか?」
「いいわけないだろ! なんなんだよその質問は!」
「段階を踏め!」
「最初から人間をやめるな!」
 左右から別の強盗たちが、というかカジノスタッフや客でさえツッコミを入れてきた。
 両手の指を胸の前でつんつんとやつバルガル。
 麗しの乙女がやれば可憐な可憐なしぐさだったろうが、血色の悪いアラフィフ男がやることではない。
「だってぇ、絶対トイレ行かせてくれないと思ってぇ……」
「いや……」
 急に『トイレに行きたい』とか言い出したらバケツにしろやと言って銃を突きつけたところだが、こいつにそれを言ったら秒でまき散らしかねない。脅してるつもりが逆に脅される格好となった強盗Aはクシャッとした顔になった。
 ちなみにこの強盗Aの名前はアントニーという。
「いいよ、連れて行くよ。連れてきゃいいんだろ? 変なことしたらぶっ殺すからな」
「たすかりますぅ」
 そういって二人してトイレへと立つ。
 流石は高級カジノというべきか、トイレですら清潔かつラグジュアリーだった。そそくさとトイレに入っていくバルガル。アントニーはその様子をよく観察し、わりと短い間隔でノックを返すように求めるなどだいぶ注意を払っていた。強盗の人質がトイレに入るなど、映画であれば逃げる絶好の機会だからだ。
 が、逃げ出す様子はない。どころかバルガルの方から『前にいますか?』『怖いので歌ってもらってもいいですか?』とか言ってくる始末である。
 そろそろ嫌になってきたアントニーがため息交じりにトイレから視線を外にやった……瞬間。
「――」
 サイズがそこにいた。いつ移動してきたのか気付かなかったが、どうやらなにかしらの方法でここまでやってきていたらしい。
 ヒッと声を上げ銃を構えるアントニー。サイズはそんなアントニーの懐に滑り込むと、鎌で思い切り斬り付けた。
「人質は殺さないように気を付けるが、強盗団の生死を気にする心の余裕はない。
 まあ、元から敵対した人間相手にそこまで慈悲深くは無い。優勢じゃなきゃ慈悲はあげれないさ……死にたくなければ早期の降参をおすすめする」
 わざと内心を口に出すことで恐怖を植え付け、サイズは更なる斬撃をみまった。
 血が吹き上がり、トイレの清潔な壁面や天井がべっとりと赤黒く染まっていく。
 咄嗟に一発ほど発砲したが、弾はサイズのよこをそれて大きな鏡の中心にめり込み、放射状のヒビを広げるのみに留まった。
 仰向けに崩れ落ちたアントニーを、トイレの個室から出てきたバルガルと協力して掃除用具入れへと押し込んでいく。
 ついでに軽く水で流すなどして血の跡をごまかした。
 そうしていると。
「おい! 何があった!」
 外から声。発砲音を聞いたのだろう。
「『大丈夫だ! いや大丈夫じゃねえ、この男直前で漏らしやがった! クソッ、トイレがクソまみれだ! チクショウ! 誰かかわってくれよ! 靴についちまった!』」
 バルガルが見事にアントニーの声を真似て叫ぶ。悲鳴交じりの情けない話し方だ。
 向こうからは笑い声と『お前が面倒見ろよー』という声。
 サイズとバルガルは顔を見合わせ、次の行動へと移った。

●scene2
 フロア内は一転して静かだ。
 外に警備隊が集まってこそいるが、突入すればカジノ内にいるであろうVIPたちにまで被害が及びかねない。正直この島の財力でいうなら強盗もろとも建物を吹っ飛ばしちゃっても全然平気なのだが、高級な建物よりも人のほうが圧倒的に(金銭的な)価値があるというのが、今彼らが動けない最大の理由であった。
 無論、そうすることで人質に価値があることが強盗達にバレてしまったし、時間をかけることはこの場合悪手だろう。
 中に戦える者が誰も居なければ、の話だが。
「Lady's and Gentleman――」
 スタンドマイクの前に、ヤツェクが立っている。当然ステージ上だ。
 こんな目立つ場所にいきなり誰かが立つなど思ってもみなかった強盗たちは驚いて銃を向ける。
 ヤツェクの格好はといえば、仕立ての良い上下揃いのブランドスーツに蝶ネクタイ。普段の風来坊のようなスタイルとはうってかわって高級志向だ。
 肩から提げているのはそんなスタイルにはやや不似合いなツインネックギター。
 これが強盗の立て籠もり中でなかったら、今からでも陽気に歌い出すところだろう。
 ……いや、この前言は正しくない。
 ヤツェクは銃を向けてきた強盗たちにウィンクすると、低くムーディーな声で歌を歌い始めた。
 ギターのゆったりとした音色に合わせ、歌い出しの文句は『もう過ぎ去った過去なのに、泣いてばっかりだ。俺の涙が人知れず喧噪に消えていく』。
 どこか悲しげに、そして余韻たっぷりに歌うヤツェクについ強盗たちは聞き惚れてしまった。
 いつの間にか後ろに並んでいたバニーガール姿の咲良がコーラスを挟みはじめ、強盗のひとりが思わず銃口を下げてしまった――その瞬間。
 ヤツェクは抜いたビームリボルバーで天井を撃ちシャンデリアを破壊。転落し砕け散るシャンデリア(多分見たくもないくらいの値段がする)に強盗たちが驚く間に咲良はステージから助走をつけ、老婦人のそばで銃を握っていた強盗へと飛びかかった。
 先ほど銃をぬいたヤツェクに銃を向けるか、今飛びかかる素手の咲良に銃を向けるか、それとも飛び散るシャンデリアの破片に手をかざすか。はたまた老婦人に銃を突きつけて脅すか。いずれかで迷った強盗の末路は咲良による膝蹴りを顔面にくらうというものだった。
 『ぶぐっ』という鈍い声をあげて倒れた強盗にそのままマウントを取り、床に転がっていたシャンパンの瓶でめっためたに殴りまくる咲良。
「おばあさんを脅かしたらだめでしょ! もう!」
 強盗をノックアウトし立ち上がる咲良。
 一方でヤツェクは陽気なジャズを歌い始めた。ジュークボックスがどうという歌だが、もはや誰も歌詞の意味を考えない。
 なぜならヤツェクは歌いながら強盗達めがけて撃ちまくり、強盗たちはそんなヤツェクの堂々とした挑発に怒り狂ってステージへとよじ登り始めたからだ。
 咲良はその間にも人質たちのそばで見張りをしていた強盗へ飛びかかり、ハイヒールで思い切り蹴りつける。
「この――!」
 強盗のひとりが咲良の後頭部に銃を突きつけ、『この』から先が分からないわめき声をあげた。怒りに口が滑ったからというのも、まああるのだろうが。
 なによりも強盗の腕にトランプのカード(ハートのエースだ)が突き刺さったからである。
「女性の、それもバニーガールの頭に銃口を突きつけるとはいただけないな」
 ポーカー台の上から、自分が伏せていた残りのカードを次々に放つウェール。
 強盗にその全てが刺さり、ハートのジャック、クイーン、キング、そして最後に顔面に刺さったカードにはジョーカーが描かれていた。
 テーブルをずだんと叩いて立ち上がるライとトキノエ。
「「無効になってよかったー!」」
 刺さるたびノックバックした強盗が偶然そこにあったスロット台に激突し、おもわず掴んだレバーをひくとスリーセブンが並びチップがじゃらじゃらとあふれ出ては倒れた強盗の顔に降り注ぐ。
 一方でつい本音(?)を漏らしたライとトキノエは立ち上がったそばから左右へそれぞれ身体を向け、ライはどこから取り出したのかわからないピストルをすぐそばの強盗に発砲すると、そのままポーカー台の上に飛び乗った。(そしてさりげなくカードを下に蹴り落とした)
「タイミングよく来てくれて心より感謝いたしますよ。撃ち殺す事に変わりはありませんが」
 台の上からピストルを撃ちまくり、空いた手でチップをくるくると回してみせる。
「ほら、チップを投げ出してごらんなさい。あなたの近くに居る強盗を、優先的に倒すかもしれませんよ?」
 ライがそういうと、恰幅の良い髭の紳士が手にしていたチップボックスから両手をはずした。地面に大量のチップが散らばり、ライは『リクエストどうも』といって隣にいた強盗の頭を撃ち抜く。
 一方のトキノエはキセルをくわえ、吐き出した煙から霧状の黒犬を召喚した。
「手加減はするが……死んだら己の運を恨んでくれよ?」
 霧の黒犬たちが強盗のひとりに群がり、強盗は悲鳴をあげながら手にしていたサブマシンガンのトリガーをひきっぱなしにしたまま仰向けにひっくり返った。というより、黒犬の群れに『溺れた』と言った方がいいだろうか。
 やけに高そうな絵画から順に天井画へと走るサブマシンガンの弾痕。
 トキノエは『おお』と言ってその様子を振り返った。
「これは俺のせいじゃねえよな?」
「ふっ、わっーはっはっはっ! 暑い中顔隠しご苦労強盗団諸君!
 だがな、俺の透視で貴様らの顔は丸見えだ! たとえ逃走手段があったとしても。
 俺がここで口封じされない限り、貴様らは国々の誇りにかけて世界の果てまで追いかけられるだろう!
 わっーはっはっはっ!」
 すると突然ウェールもポーカー台に飛び乗り、手にしたカードを次々に周囲へ投擲していく。
 仲間が突然叫びだしたのでトキノエは驚いたが、どうやら強盗たちはヤツェク、ライ、ウェールの誰を攻撃すべきか迷ったあげくにバラバラに走り回るという、愚行中の愚行を犯し始めたようだ。

「ま、そういうワケであんたの仲間は全員死んだぜ?」
 キドーがあぐらをかいて煙草に火をつけなおしていた。
 ジッポライターをなんどこすっても火がつかないので、『おい火』といって顎ごと煙草を突き出す。
 その先には、ピストルの銃口を頭にぐりぐりと押しつけられた強盗のひとりがいた。
 ついでにもうひとりはキドーがカーペット変わりにしている。理由は床が当人によって血塗れだからだ。
 振るえる手で火を付けた強盗によしよしとキドーは言うと、煙草をくわえたままスパーッと煙をはいた。
 後ろには金庫があり、どうやら扉は開いているらしい。中にはぎっしりと金が詰まっており宝石や金塊といったものも見える。まさに宝の山だ。
 こっから一個くらいチョロまかしてもバレないんじゃね? という考えがキドーの脳裏をよぎったが、ぷるぷると首を振った。次の日の朝にドラム缶風呂(入浴剤はコンクリ)に浸かる自分を想像したからだ。
「あんたらは上手くやったよ。ただ、運がなかったよなあ。なにせ――」
 といったところで、ついピストルの引き金を引いてしまった。
 ウッと言って頭から血を吹き出し倒れる強盗。
「やべ、決め台詞まだ言ってねえのに殺しちまった」
 へへへとキドーは笑い、何度か惜しそうに中をチラ見した後金庫の扉を閉じた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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