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シナリオ詳細

鉄帝の夏、ドリルの夏

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝の夏
 夏が来る。
 夏が来る。
 鉄帝にも夏が来る。
 鉄帝の夏といえばなんだろうか?
 スイカ?
 かき氷?
 ボディビルコンテスト?
 いいや、ドリルだ。
 毎年鉄帝では夏になると、ドリルのぶつけ合いが発生する。
 鉄帝の色んな研究所が技術力を披露する為、古代文明の力を利用したドリルロボを繰り出すのだ。
 それで鉄帝の町を練り歩き、所属の違うドリルロボを見つけたらぶち壊す。
 そうして最後に残ったドリルロボが優勝という、そんな鉄帝らしいお祭りだ。
 物騒にも聞こえるが、毎日のように合体ロボが空中爆発している鉄帝ではたいしたことではない。
 むしろ暴走しない分、安心してみていられるお祭りだと言えるだろう。
 それを証明するかのように道ではドリルまんじゅうやドリルポテト、ドリルかき氷などの露店が出ていて、かなり盛大なお祭りの様相を呈している。
 賭けなどもしているというから、まあ鉄帝らしいとは言えるだろう。
 暇なイレギュラーズにとっても、この日はお祭りを楽しむ日になるのだが……どうにも問題が発生したらしく、ローレットに依頼が飛び込んできたのは……ドリル祭りの3日前のことであった。

●ドリルロボ、完成せず
「あー……まあ、依頼です」
 『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)は、物凄くやる気無さそうな第一声を放つ。
 彼女の近くにいるのは……鉄帝の研究員、だろうか?
 こちらはどうにも疲れ切った顔をしている。
「こっちの人は依頼人で『次世代ドリル研究所』のドンド氏です」
「どうも、ドンドです。はあー……」
 このドンド氏、ドリル祭りに出場する担当者であるらしいのだが……毎年、他の研究所に負け越しているのだという。
 ドリルと名をつけておきながら他の研究所に負けすぎて、そろそろクビの危機らしいのだが……かといってどうしようもない。
 各種のパーツは製作したものの、どう組み合わせるべきか全くアイデアが出てこない。
 まあ、仕方ないだろう。負けすぎてどうやればいいか分からなくなっているのだ。
 こういうものには成功体験というものが、どうしても必要になる。
「そこで皆さんの出番なわけです」
 イレギュラーズといえば勝利の代名詞だ。
 まあ、少なくとも世間的に見ればそうだ。
 だからこそ、今回のドリル祭りでドンド氏の代わりに出場し、「勝てる力はあるんだ」というのを示してほしい……というのが仕事内容になる。
 とはいえ、古代文明の技術を扱えるはずもない。どうすればいいのか?
「あ、組み立ては僕がやります。皆さんには実際のパーツ選択と、当日の操作を担当してほしいんです」
 ある程度は自律的に動くが、やはり指令者がいると動きが違う。
 壊しても壊されても問題ないし、ドリルロボという巨大ロボットを動かすチャンスなのだ。
 しかも、それを設計できる……こんな機会は中々ないと言えるだろう。
「協力していただけたら、まあ本物は無理ですがミニチュアの人形くらいならお土産につけますので……」
 そういう記念にもなる。この機会に鉄帝のお祭りに参加するのもオツなものだろう。

GMコメント

今回のシナリオは「前日まで」と「当日」の2つに分かれます。
各自お好きな方にプレイングを割り振ってくださいませ。

●前日(設計・組み立てパート)
ドリルロボ(名称は皆様のプレイングにて)を設計します。
【攻撃力】【装甲】【速度】【安定性】の4つの数値が重要です。
なお、【安定性】の数値の初期値は50です。減る程ロボの頭が悪くなりますし暴走したりします。
頭部、腕、胴体、足の4つが重要になります。
完成したドリルロボにどんな名前をつけるかは、皆さんで話し合って決めてください。

□頭部パーツ
【ドリルヘッド】攻撃力+50、安定性-30
ドリルのついた攻撃的ヘッド。俺の頭は並じゃないぜ!
【ツインアイ】安定性+20
主役の証ツインアイヘッド。高い安定性を誇ります。
【モノアイ】装甲+10、安定性+10
ちょっと悪役っぽいモノアイヘッド。機能を減らして硬さが増えました。
【ヘビーヘッド】装甲+30、速度-10
重装甲ヘッド。硬さなら任せろー!
【ライトヘッド】装甲-30、速度+10
軽装甲ヘッド。当たらなければ問題ないね!

□胴体パーツ
【ドリルボディ】攻撃力+50,安定性-20、装甲-10、速度-10
胸部からドリルを展開できる。浪漫の為に全てを捨てるぜ!
【ノーマルボディ】装甲+10、安定性+10
普通のボディ。可もなく不可もなく。
【ヘビーボディ】装甲+50、速度-30
重装甲ボディ。来い、俺が受け止めてやる!
【ライトボディ】装甲-30、速度+30、安定性-10
軽装甲ボディ。速けりゃいいんだよ。

□腕パーツ
【ドリルアーム】攻撃力+50(他の武器装備不可)
みんな大好きドリルアーム。
【ノーマルアーム】安定性+10
普通のロボアームです。共通規格です。

□足パーツ
【ドリルレッグ】攻撃力+30、速度-10、安定性-30
 足までドリル。いけ、ドリルキックだ!
【ノーマルレッグ】安定性+20、速度+20
 安心のノーマルレッグ。
【ヘビーレッグ】安定性+30、速度-20
 より安心のヘビーレッグ。でも速度は落ちちゃうね。
【ライトレッグ】速度+30、安定性-10
 とにかく足を使うんだ!

□ノーマルアームを選んだ場合のみ
【ドリルランス】攻撃力+20、両手持ち可能
 一般的ドリル。
【ドリルシールド】攻撃力+10、防御力+10、両手持ち可能
 ドリルのついた盾。防いで貫け!
【ハイパードリル】攻撃力+50、安定性-10
 必殺威力の凄いでかいドリル。お前のドリルを見せてやれ!

●当日パート
ドリルロボの肩とかに乗って指令を出す役割です。
たぶん乗るのは2人が限界ですが、1人につき安定性が5上がります。
飛べる人は飛んでもいいですが、ドリルバトルの妨害はダメです。

他の人は応援になりますので、お祭りを楽しんだり実況席のお手伝いとかしたりしてください。
露店の食べ物もおいしいのですので、ガッツリいきましょう。

●最後に
今回は優勝できなくても構いません。皆さんの頑張る姿がドンドのモチベーションに繋がります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 鉄帝の夏、ドリルの夏完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月02日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
リサ・ディーラング(p3p008016)
特異運命座標
夜式・十七号(p3p008363)
蒼き燕
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

●ロボットを組み上げろ!
「こういうのは練達のイメージだったけど別方向のロマンがあっていいよね! 重くて地響き立てて火花散るぶつかり合い! へこんだ傷は勲章になるやつ! ……でもこれに使われてる古代技術ってアレだよね。今ホットな話題の浮遊島アーカーシュが源流な可能性のやつだよね。たぶん」
 『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が今ホットな空中島の名前を出すが……どうだろう。
 鉄帝では今日も合体ロボが空中合体に失敗して爆発しているので、古代文明が単純にやべーだけかもしれない。
「ふむ……メカニックと言えば、という事でオレが一番信頼しているリサを連れて来たが……こういうのはあれだろう?エキスパートを集結させて互いの叡智と技術を結集させて完成させるものだと聞いた。何? オレは何のエキスパートかだと?見ればわかるだろう、力仕事及び雑用係だが?」
「こういうロボ組み立てるってのは元いた所からやってたんで、お任せあれっすよー! 操作? そりゃ専門外っす」
 『戮神・第四席』ウォリア(p3p001789)の隣で『蒸気迫撃』リサ・ディーラング(p3p008016)が自信満々にそう宣言する。
 そう、今回はパーツを選んでロボットを組み立てるだけでなく当日に参加しないといけないのだ。
「と、ともあれ前日までにガッツリ組み立ていくよー! 出力は定められてて、戦い方は本人(本機)と司令塔のふたりにお任せ。でも組み立て中だってできることはあるし、ちょっとしたことがいい結果につながるかもしれないしね! というわけでパーツ選定だけじゃないお手伝いをするよ!」
「よろしくっす!」
 アクセルとリサが頷き合えば、『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)がパーツのドリルを試験稼働させて悦に浸る。
「あー、このドリルのぎゅいんぎゅいーんって音を聞くと夏って感じがするのですよー……するのですよ??? ……するって言ってるのできっとするのですよ! 多分夏祭りの延長でして!」
 そうらしい。さておいて。
「……また変わった催し物だな。まぁ、こういう経験も時には大事か。何より、機械を弄るのは義肢や翼の調整に活かせるかもしれないからな……しかし、こういう催し物だと。私より、知り合い…ハンドレッドの方が出しゃばりそうな物だが。まぁ、奴は居るとしても実況席くらいな物か。やかましいしな」
 知り合いのことを思い出しながら、『蒼空』ルクト・ナード(p3p007354)も頷く。
 まあ、鉄帝はこういう場所であるが……鉄帝らしさを象徴する女性の1人、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)などは「そういうもの」とすでに全力で受け入れている。
「ドリルロボだって!? 何やら嫌な予感がするが特に問題はないだろう! さあ皆、ドリルロボを完成させ、優勝を目指して全力を尽くそう!」
「とらぁ……」
「ちなみにこっちはとらぁ君さ! 初日は、組み立て作業のパーツ運搬など手伝ってくれている! ありがとう! とらぁ君! 当日は旗振りのとらぁとはとらぁ君のことさ!」
 何やら決めポーズをする2人だが……いや違う。これはコブラツイストだ!
 マリアがとらぁ君にコブラツイストをきめられて「ぐあー!」と言わされている!
 まあ、問題ないのでさておこう。ファイナルとらぁバスター。
「さて、組み立てだな。ドンド氏に任せるとはいえ、三日間の超特急作業だ。差し入れだのをしないのも決まりが悪い。珈琲や、茶菓子くらいは持っていってやろう。好みに合うかはさておき」
 『蒼き燕』夜式・十七号(p3p008363)も頷いて、今後のスケジュールを確認していく。
「さて、機体の構成は……」
「組み合わせはルシアたちが決めてもいいのですよ? じゃあ全身ドリルで……ってホントはしたかったのですよ? でも、今回はドンドさんのこれからがかかってる大切な試合でして!」
 ルクトにルシアはそう言いながらパーツのカタログを広げていく。
「うーん……まず性能の高さからノーマルレッグは確定ですよー? 次にー……ヘビー系統もぱっと見は悪くは無い、悪くはないけども……速度を得るには性能を平均以上落とさなきゃな点が気になるのです。だから極力速度は減らない装備で、さらに無駄なく性能を盛るためには……ノーマル統一ですよ? でもそれだと安定性が100超えそうなので……頭だけモノにして、後は腕でして! 腕は普通の+武器と武装腕、でー、あれ……? ドリルアームは両腕をドリルにしてるのに一本のハイパードリルと性能同じでハイパーよりは長さ短め……? しかもこれ構造上両手同時攻撃は多分……」
「パーツの相性も考えていかないといけないね!」
 かなり本気のルシアに触発されたか、全員が真剣にカタログを眺めながら意見を交わしていく。
「……でもあれですよ? もし片方壊れてもそのままの性能で続行出来るってことでして!? じゃあ火力と保険を兼ねてこれでして! 名前は……ドリルを回して勝利に届かせる、という願いを込めて『リーチング・ローリング』なんてどうでして?」
「よし、それじゃあ今の意見を採用で頭部:【モノアイ】胴体:【ノーマルボディ】腕部:【ドリルアーム】脚部【ノーマルレッグ】という安定性を重視したスタイルで組んでいくっすよ! 普通過ぎて華がない? チッチッチ、そりゃ大間違いっすよ。確かにドリルと云えば浪漫。浪漫と云えばデカい! 沢山! ブッ壊す! そんなイメージが強いっすし私もそれには同意するっす。しかーし、次世代のドリルという事であれば汎用性も優れている事を証明するのも大事っす! それにどんな場所、どんな相手でも対応を変えられる強みを生かせる汎用さならではの華ってもんもあるんすよ! というか鉄帝はロマン過ぎてそこらを活かせてない感があるっすし」
 確かに浪漫重視で構成すれば、かなり安定性が減る。その辺りが暴走率の高さなのだろうが……リサはそれを良しとしないというわけだ。
「安定性に重きを置いた構成……であれば、機体の細かいメンテナンスが重要だ。全体のバランス、立て直す動作、隙、反応速度。上手い事調整する必要があるだろうな。とはいえ、組み立て自体は依頼主がするとの事だったし、下手に改造などはしない方が無難だろう」
 ルクトはリサと話しながら、自分の役割を確かめていく。
「私は……時間があるなら、機体の動作テストにでも付き合うとするか。移動や攻撃の動作の際、どこに隙がありそうか、バランスは問題ないか、しっかりと見ておくとしよう」
 そう、パーツはもうあるのだから動作テストにはたっぷりと時間をとれる。
 そこにクオリティをアップさせるヒントもあるだろう。
 そんなリサとルクトを見ながら、十七号も頷く。
「速度と装甲は並み程度。攻撃力はお墨付き。安定性はかなりのものらしいが、どうなるかな。設計思想で「柔軟さvsドリル」とか、「安定性vs浪漫」とか、色々ぶつかりながら相談していたし……。いい結果になるといいのだけれど。ともあれ見守るしかないか」
 具体的には【攻撃力:50】【装甲:20】【速度:20】【安定性:100】となるわけだが……絶対に暴走させないという「リーチング・ローリング」の設計思想が見えてくる。
「よし、構成も名前も決まったし、私は組み立ての手伝いをしよう!」
 マリアはそう宣言すると、効率的に作業をする為に作成したマニュアルを元に非戦:統率スキルで皆に指示を出し、作業効率と正確さをアップさせるべく動き出す。
「ボルトやナットが緩んでいないか? 接合部はしっかりと接合されているか? パーツの相性が悪くないか? 入念にチェックして組み立てて行こう! もしパーツの接合相性が悪いなら、同じ能力値の別パーツに交換するなどして、機体の安定性を高め操作担当者が十全にドリルロボの性能を発揮できるようにするんだ! 仮眠を挟みギリギリまで入念に起動テストと試運転を行おう! 全力!全力を尽くすんだ!」
 勿論、作業の合間にゴチックメヱドを使用し、お茶や軽食を出してリフレッシュさせることも忘れない。
「組み立て中だってできることはあるし、ちょっとしたことがいい結果につながるかもしれないしね! というわけでパーツ選定だけじゃないお手伝いをするよ!」
 アクセルも運ばないといけないものができた時はパッシブの運搬性能で運んだり、非戦スキルの広域俯瞰でドリルロボの全身を見てバランス調整などの手伝いをしていく。
 更に携行品のカラーボールから蛍光塗料を取り出すと、要所にすばやくペインティングを施していく。
「要所要所に小さい三角とかのマークを描いてかっこよさも演出するよ! あとはオリーブが乗る場所に滑り止めとか手すりをつけて落ちたり振り回される心配なく指令を出せるようにしないとね」
 そこまで言って、カイトはフフッと笑う。
「かっこいいロボを作るのって楽しいね! 勝てるように組み上げるのも頭をひねれていいし、たとえ負けても傷が勲章だよ。きっと」
「あとはギリギリまで頑張るだけさ!」
 そう、努力は裏切らない。鉄帝だとよく裏切るけど、これだけ安定性を考えていれば問題ないはずだ。
 ……そうしているうちに時間は流れ、前日の夜。
 出撃を待つばかりのリーチング・ローリングをウォリアは見上げていた。
「聞こえるか……ドリルロボ? ……なんだろうな、ちゃんと話しておきたくて……」
 ウォリアの問いかけにリーチング・ローリングのモノアイが光る。
 勿論、何か返答があるわけではないが。
「ここ数日、どうだった? オレ達という客を迎えて、来る祭の為に焦りながらも前に進むドンド。そしてオマエは、何を考えているのだろう。荒っぽくて、妙な欲望に満ちていて、夏の熱気に浮かされた様なやつらの祭典だが……それでも、明日の祭には意味があって、オマエという存在が生まれてきた事にも意味がある。明日はどうか、楽しんで欲しい……敵は強大だとしてもオレ達も、ドンドも、共にある。だから 明日は楽しんで……そして勝とう!」
 ウォリアのそんな問いかけにモノアイが動く。答えは無くとも、何か通じ合うものがあったのかもしれない、そんな夜が過ぎて。
 そして……ついに、当日がやってきたのだ。

●夏の鉄帝ドリル祭り
「つまり最後に立っていたヤツが一番強い。実に判り易い。すごくいい。やるからには勝ちを狙おう……大船に乗ったつもりでいろ。クビどころか研究費にボーナス上乗せウハウハのハングリー精神で。後が無い状況を吹き飛ばすには、鬼気迫る気迫が必要なのだ。マイクを取れ、オマエの想いを爆発させろ! 戦ってくれるこいつに全てを託せ! そして勝て! 踏ん張れ!! 貫け!!! 咆哮せよ、ロボ! ファイナルローレットドリルモードだ!!!」
「やはりこういう依頼である以上最後まで見てあげたいっす。例え今の私じゃ扱えない技術だとしても。なんで作成したロボにとっとことついていって、その戦闘の様を見ておきたいっす。堅い早いデカい、どんな相手であっても動けるのを見てあげたいっす! ついで、戦闘後で破損した箇所を改造なり修理なりで補強しておくっす! 職人ならアフターケアも任せろっす!」
 そんなウォリアとリサの声援が届いたのかは分からないが……オリーブとルシアをサポート役にしたリーチング・ローリングは快勝を続けていた。ちなみにリサは熱意が届きすぎてロボの応急修理センターの手伝いに任命されていた。
「おおっと、次世代ドリル研究所所属、リーチング・ローリング! ドリルアームの攻撃重視コンボが見事決まりました!」
「いやー、鉄帝で此処まで安定性を重視するのは珍しい構成と言えますね!」
 安定性が低すぎて踊り始めた敵ロボットをリーチング・ローリングのドリルアームアタックが見事撃破し、ズシンズシンと歩いていく。
 オリーブとルシアは趣味の方向性こそ違えど、この場において勝ちたい気持ちは同じだ。
「ロボは高い安定性を持ちますが、押し付けられるだけの強みを持ちません。なので的確に指示を与え、効率的に動かす事が必要です。避けられる攻撃は避け、相手より重い一撃を入れられるなら多少の損傷は無視してでも一撃を入れます。相手の姿勢が崩れた時は足を狙い、その行動力を削るのも重要です。足を破壊すれば相当有利になります。ここはずっと近接戦闘をしてきた経験が活かせそうですね」
「ロボ視点の指示はこのままオリーブさんに任せるのです! ルシアは飛んで別角度から距離、間合いを逐一報告するのですよ!」
 そう、ルシアとオリーブは役割を分担することで勝利に最大限貢献できるようにしていた。
 命令の一本化は勝利への大切なファクターだと分かっているのだ。
 攻撃はドリルがふたつあるのを活かし、一方のドリルで守りを崩してから本命のドリルを叩き込む。これが基本だが、大正解でもあった。
 両方のドリルによる同時攻撃は補いきれないほどの隙が生まれるので、確実に叩き込める時だけ用いる作戦だ。
「ドリルだからと必ず突き刺す必要はありません。時には振るって叩き付ける事で敵を牽制したり動きを阻む選択もします」
 そう、ドリルなだけではなく腕でもあるのだ。オリーブの指示次第で様々な選択が可能であり……それはリーチング・ローリングの動きに現れていた。
「がんばれー!」
 アクセルがドリルポテトとドリルソフトクリームソーダを両手に応援しているが、どちらも結構おいしい名物だ。
「頑張れー!!! きっと皆なら勝てる! 絶対さ! これだけ頑張ったんだもの!」
「とらぁ……」
 とらぁ君も旗を振って応援していて、実に楽しそうだ。
「……油断するとバスターを食らわされそうな気がするけど、きっと気のせいだよね? 多分。妙に熱心に応援している。やはり楽しいようだね!」
 マリアが油断した瞬間にとらぁ君の目がキラリと光った気もするが、きっと気のせいだろう。ファイナルとらぁバスター。
 何やら聞き覚えのある「ぐあー」という声を聞きながら、ルクトも露店巡りをしていた。
「……当日は私は特にする事もないが。出店があると聞いたな。うむ。折角だ、全種制覇しつつ、他の参加者のロボットでも見て回るか。とりあえず、出店のメニューを端から端まで、1品ずつ頂こうか」
 そんな事を言っていたルクトだが、実に楽しそうだ。結構最初の方で脱落した全身ドリルロボなどは、中々に見ごたえのある浪漫構成だ。
「うん、美味い。やはり、こういったイベントに出店する店の味は素晴らしい物だな。後でオリーブたちにも持って行ってやるとしよう」
「ぶっちゃけ応援しかできることはないが、これはこれでいいものだ。鉄帝ってこんなにアホがーー失礼、脳筋が集う国だったっけ、と思わなくもないけれど。ジャンクフードの美味しさは評価できるんだよな。悔しい事に」
 一緒に歩いていた十七号もチーズバーガーを食べながら、そう呟く。
 丁度その時、リーチング・ローリングがズシンズシンと歩いていく姿が見える。
「よーし、イレギュラーズチーム頑張れー。勝ったら焼肉だぞー」
 さて、いったいどこまで勝ち上がるかな。不確定要素が表れたら、その時はその時だ。Dモードとか叫ぶやつがいても面白いんじゃないか。
 そんなことを十七号が呟いて、ルクトが笑って。
 そうして、リーチング・ローリングは見事優勝を果たしたのであった。
 響く歓声は、この夏の日々の確かな思い出に変わるだろう。

成否

成功

MVP

マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫

状態異常

なし

あとがき

皆様の完璧な構成が優勝をもたらしました!
おめでとうございます!

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