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シナリオ詳細

<真・覇竜侵食>巫女姫は二度死ぬ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 亜竜集落フリアノンへの『アダマンアント』の大襲撃から若干の時間が経過した。想像以上の襲撃規模は、しかしローレット・イレギュラーズによる防衛線が奏功し辛くもその撃退に成功、致命的被害を齎すことはなかった。
 なかったのだが、この事態に前後してイレギュラーズへと送られた書状がひとつの事実を暴き出した。
 『蟻帝種(アンティノア)』の存在。そして、イレギュラーズへの不干渉要求。邪魔さえしなければ中立であると宣言した書状の内容は、つまり早晩、亜竜集落への襲撃を企図しているという証左にほかならない。
「アダマンアントの次はアンティノア、か。実物は知らないけど、この様子じゃあ連れ去った人達を利用しているのは明らかだね。蟻が自発的に知性を得るなんて考えにくいし」
「……そうだね。この辺りはまだアダマンアントが近付いている気配はないし、一度戻ったほうがいいんじゃないかい?」
 新たな脅威の存在は、ひいては過去に助けた人々や関わった人々の危機を意味する。伏見 行人(p3p000858)は憂鬱な思いを隠しつつ、フリアノン周辺の哨戒を行っていた。が、同行していたラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)は些か生返事かつしかめ面だ。どこか空々しい言葉には、やや棘が含まれているようにすら思われた。
「なんでそんなに不機嫌なんだ? 俺が何かしたのなら言ってくれないとわからないぞ」
「別に? 行人君が悪いことをしたとは思っていないよ。関係ないとも」
 アントワーヌは行人の問いに首を振るが、どう見ても機嫌が悪い。非常に悪い。そこに、イレギュラーズに同行していたひとりの少女が声をかけてきた。
「……あ、あの、伏見さん。わたしに何か落ち度はおありでしょうか?」
「いや、特には。……なんでついてきたんだい、遥花」
 巫女服然とした衣装に身を包み、静かな足取りで行人に近付いてきた少女の名を、遥花(はるか)という。先日、アダマンアントに襲撃された『神殿集落』の生き残りだ。
 不安そうな、しかし瞳の奥に芯のある彼女の姿と立ち振舞いは、不安定さを抱えつつも確固たる意思があるように思われた。
「話は伺っております。他の集落より攫われた者を自らの兵として詔勅する行い、決して許せるものではありません。……それに……」
「それに?」
 言い淀んだ彼女の姿に行人が気遣わしげな視線を投げかけ、アントワーヌがやや顔を顰めたそのタイミングだった。
「誰かを探している、というだけで自らを、そして皆さんを危険に晒したわけではないのでしょう?」
 冷たい声とともに、彼等の近くにあった大岩が爆散する。
 その跡から姿を表したのは、アダマンアントが3体。そして、
「……姉、様?」
 遥花が『姉』と呼ぶ、得体のしれぬ鎧に身を包んだ亜竜種、否、蟻帝種の姿であった。


「……何故、ここにおわすのですか。あなたはあの日、還らなかったではありませんか」
「遥花。私はあなたをずっと探していましたよ。貴女は蟻帝種(わたしたち)に相応しい」
 動揺に声を震わせる遥花をよそに、その女性――蟻帝種は清々しい表情で笑みを浮かべた。蟻じみた触覚を有すヘルムと、全身を覆う鎧は工業製品的な無機質さを覚えもする。
「どうやら顔見知りみたいだね。あれが『ついてきた理由』だね?」
「…………はい。わたしの『先代』、巫女姫 雛水(ひなみ)です。暫し前に姿を消し、わたしが次代を継いだのですが」
 行人の問いかけに静かに頷いた遥花は、心からの不快感を隠さなかった。雛水に敵愾心があるわけではない。おそらくは逆、極めて強い敬意を払っているはずだ。それでも『別物』となった彼女の姿と振る舞いを見て、それが真逆になっただけなのだ。
「あの娘からこの『巫女姫様』を守ればいいんだね? それだけわかれば十分さ」
 アントワーヌは心得たとばかりに前に出ると、遥花に流し目を送った。何を意味しているのか分からぬ遥花は、緊迫した状況で尚、不思議そうに首を傾げるばかりであった。

GMコメント

 なんだかいつの間にやら遥花がすごい凛々しい姿になって帰ってきたのでもっと曇らせたいなって思いました。

●成功条件
 『蟻帝巫女姫』雛水の撃退
 アダマンアントの撃破

●失敗条件
 遥花の死亡、捕獲、その他自由意志の通じない状態にされてしまうこと

●『蟻帝巫女姫』雛水
 蟻帝種『第一世代』(アンティノア・ファースト)と呼ばれるアダマンアントの亜種です。
 なお、この状態になった存在は「記憶があるがそれだけのまがい物」であるため、助けることは不可能です。
 神秘攻撃に非常に強い耐性を有し、さらに【毒系列】や精神系に対する強い耐性を有しています。
 もとは『神殿集落』の先代巫女姫であったため、神秘系列の戦闘力を有していましたが、今般は武器に付与する形での神秘攻撃となっています。
 全体的にHPを減少させる系統のBSや【呪殺】を備えたスキルが多く、守りの硬い敵を想定した作りになっていることは明らかです。

●アダマンアント(通常種)×4
 非常に堅固な外殻を持ち、牙による攻撃と強酸を吐く攻撃が基本となります。
 近付けば怪力を持つ足で押さえつけ、顎で食らいつく攻撃(威力大)などを用います。
 離れていても酸が飛んできます。流石にレンジ3までのようですが……。
 全体的にそこそこの強さであり、雛水を積極的に守りにきます。

●アダマンアント(戦闘種)×1
 アダマンアントの上位種です。
 非常に攻撃精度が高く、待ちの姿勢からの強烈な一撃が恐ろしい相手です。
 全体的に接近戦主体ですが、口から遠くまで届く収束消化液(物超貫、【万能】【乱れ系列】【毒系列】その他)を放つこともあります。
 また、攻撃のほとんどに【呪殺】がついてきます。

●遥花
 「<覇竜侵食>一人のための屍山血河」にて救出された亜竜種の少女です。
 神秘攻撃系統に得手で、それなり強いです。が、防御が紙なので注意しましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <真・覇竜侵食>巫女姫は二度死ぬLv:30以上完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年07月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)
ワルツと共に
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)
想い、花ひらく

リプレイ


「蟻帝種かぁ。まいったね、知り合いの顔をした別人が敵になるほど辛い事は無いよ。蟻達の進化は早すぎるけど今回の進化は正直最悪の進化だね……」
「遥花。気をしっかり持てよ。俺たちが付いてるからね」
「……お気遣いなく。あれはもう、姉様ではありません」
 『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)は今般のアダマンアントの進化の速さにはほとほと呆れ返っていた。が、これは『とびきり』だと思う。でなければ、最悪の表情を見せはすまい。『神殿集落』の先代巫女、だったものがそこにいる。現(という表現に疑問が残るが)巫女である遥花にかかる心理的負担は如何ばかりか。『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)が彼女の心配をするのも無理からぬことである。が、遥花は思いの外しっかりとした口調と視線で、雛水と名乗った蟻帝種を見た。
「まがい物、それは偽り。わたしがが知りたい真実とは遠く、なぜ蟻帝種になるとそんな人ではないものとなってしまうのでしょう?」
「蟻の方が人間よりも余程、理知的ではある。僕の知らない所で知らない人間がどうなろうと知った事でもない」
 『フラッチェ』プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)は蟻帝種となった人々にはちゃんとした本体が、生きているという救いがあるのではないかと考えた。希望的観測として、そうであればと考えた。夢見がちな推論と言えど、無視しかねる話ではある。……おそらくは、叶わぬ夢想であるが。『獏馬の夜妖憑き』恋屍・愛無(p3p007296)は、相手が生きているかどうかはさしたる興味がない。蟻帝種の『交渉』は愛無をして理性的だと称賛してもいいくらいだ。だが。
「だが。まぁ、僕の関わった者を差し出せと言われれば否と答えるだろう」
「ああ。私も別にこの虫自体に因縁も何もないんだが……死者を冒涜する真似してんのは、死神としちゃあ無視できねぇんだよな!」
 戦いに『思い入れ』などというものがあれば強いのか、といえばそうではない。理由を見いだせればそれでいい。愛無同様、『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)は過去はどうあれ、今まさに己の領域を冒涜されているという事実にこそ腹を立てている。『死者』という単語にプラハがぴくりと眉を動かしたのを、ミーナは見なかったことにした。
「要はこの子に指一本触れさせずに、あの蟻達と鎧の娘――蟻帝種? をぶっ潰せばいーんだよね? 深ーい事情とかめっちゃ配慮しなきゃいけない複雑な関係とかあると頭こんがらがっちゃうけど、単純なことならボク得意だから任せてよ!」
「ヒィロ。雛水って巫女のことは『私のガワを奪った別人』って考えてみて」
 『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)に難しい理屈は必要ではない。理由は単純なもので、『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)がその辺りを補完すれば勝手にヒィロも理解できるからだ。然るに、蟻帝種(そんなやつ)はヒィロにとって明確な敵となった。
「あなたはもう少し、内側に籠る性格だと思っていましたよ、遥花。よく頑張りましたね。さあ、此方へ。もう頑張る必要などありませんよ」
「……姉様」
「おっと。遥花君は私のプリンセスだよ。少なくとも、今はね。……今宵は私と踊っていただけますか?」
 姉様は私を分かってくれている――そんな理想に一瞬の惑いを覚えた遥花を、しかし『ワルツと共に』ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)はしっかりと繋ぎ止めた。行人が助けた相手を、みすみす誰かにくれてやるなど我慢ならなかったのだ。
「……はい、喜んで」
「アントワーヌ、遥花を頼むよ」
「頼まれたからには喜んで」
 アントワーヌの手を取り、行人の顔をちらりと見た遥花は、次いでアントワーヌの顔を覗き見、その声と表情に不思議な気配と言うか、己の知らない感情の残滓を見た。多分、うまくかくしているのだろうけど。
「遥花さんの気持ちはよーくわかったから、全力で敵を叩きのめそう!」
「『その顔と声で、オマエが喋るな』ってね。早く倒すよ、ヒィロ」
 ヒィロと美咲はこういう点、つまり敵意や感情のゆらぎという点で一心同体と言っていいほどに意思疎通が正確に行える。故に、結論は同じ。雛水へと向けた殺気を敏感に察知したアダマンアント達は、行人とアントワーヌが挑発し、その矛先を歪めていく。
「さて、押し切れるか否か」
「押し留める分くらいは押し返してもらいたいね。俺が死ぬ前に頼むぜ」
「私の前で死なせるワケがねえだろ! 倒させもしねえよ!」
 小さくごちた愛無に、行人が軽口を叩く。ミーナがそれに反論する様は、この鉄火場にあってコミカルですらあった。それほどまでに、戦いになれた者達ということ。
 それだけ互いを知っている相手ということ。
「……アントワーヌさん?」
「なんでもないさ、始めよう。キミの力も頼りにしてるんだよ?」
「……はい!」
 アントワーヌの表情は、先程とも違う。必至に塗り重ねた顔の下に、ころころと変わる感情が隠れている……遥花はそれを、知りたくなった。


「ごめん、わたしはちょっと、あの蟻帝種と相性が悪いみたい。先に周囲の蟻達を倒すから、蟻帝種の対応はよろしくね」
「攻撃は最強の防御なり! ん? ちょっと違う?」
「やりたいことは伝わるから大丈夫だよ、ヒィロ」
「あなた達には余り興味がないのです。自意識の硬いイレギュラーズなど素材にもならない」
 Я・E・Dの苦々しい言葉に応じたヒィロと美咲による連携攻撃は、雛水の出端を挫くことには一定以上の効果があった。挑発に軽々に乗る雛水ではなかったが、さりとて美咲の攻撃を隠すための隠れ蓑としての役割を十全に果たし、彼女の一撃を正確に送り込んだ。頭部の兜で受けることを選択したが、それでも衝撃は大きい。美咲は意図して狙った『それ』を絶妙な位置でずらされたことに驚きこそすれ、苛立ちはしなかった。
「そういう訳なので、今から撃ちますよ、雛水様」
「『本物』が知りたかった、のでしたか。であれば、今ご覧に入れましょう」
 プラハが続けざまに打ち込んだ魔砲。それは彼女にとってそれなり以上の修練の結果だっただろう。が、雛水は武器で叩き切る形で弾き飛ばし、鎧に薄い焦げを残した。無傷ではない。ないが……。
「まったく、あっちは度し難いね。そういう意味では、君も大概だと思うよ戦闘種!」
「外殻が硬いのだったか。毒に得手でないのなら、少しは楽なのだが――『全く』ではないのか、厄介な」
 アントワーヌは戦闘種が(不本意にも)行人に引き付けられたのを見て、死を誘う舞踏を舞う。その動きの意を汲んだ愛無は戦闘種に次々と毒を打ち込むが、音を立て白煙を上げた毒反応は、決して愛無が望む類の結果でないことはあきらかだ。
「でも、不利にはなるんだよね。だったらそれで問題ないよ。……まずは何も出来ないくらい、雁字搦めにすることから!」
「器用に全部纏められるなら有難いんだけど、アンタ等いい感じに前のめりだからなあ!」
 ミーナはЯ・E・Dの糸が戦闘種と通常種、その双方を絡め取ったところに氷雪術式を打ち込んでいく。ミーナのそれは特に調整が面倒なだけに、状況判断に特段の注意が要る。翻って、それは高度な連携を要求されるということでもあるのだが。
「――――」
 そこは、行人の視線誘導や声に出さぬ意思でもって誘い込まれた戦闘種を狙うことで事足りた。無論、彼女の主たる役割は癒やし手で。戦闘種を筆頭に守りが堅牢なアダマンアントを相手にする長期戦に於いて最も消耗が激しい立場なのだが、それを差し引いてイレギュラーズは優秀だった。
 ……寧ろ、彼女がいることを差し引いても被害の程度が低いのだ。正気を取り戻した個体もいたが、雛水をサポートする前に感情を上書きされるのだから『通常種にとってのイレギュラーズ』は面倒極まりない。
「君達がタフなのはわかっている。なら、その殻が柔らかければどうだろう。僕の顎が疲れるから、やりたくはないが……」
「出来るなら、お願いしてもいいでしょうか」
「やれやれ、先輩遣いが荒いね。だが嫌いじゃない」
 愛無が大口をあけ、そして閉じるのを見て、プラハは即座に要求を向ける。あまりに流麗な要求に、さしもの愛無も驚きを禁じえない。くすりとも笑わず、しかし相手の要求に正確に応じる姿は、なるほど正しく先輩の在り方であった。
「遥花さんを狙ってるって最初っからわかってるなら、通すわけないよねー。ここを通りたいなら、ボクの屍を越えてゆけ!」
「左様ですか。その美しい顔ごと屍にしてもかまわないと――」
「ヒィロ、避けて!」
「? わかった!」
 ヒィロにとっては当然の挑発、しかし雛水にとってはなんらかの思い入れがある言葉だったのか、その身からは凄まじい殺気が膨れ上がる。彼女なら躱せるだろうと分かっていてもなお、美咲が警句を発すほどにその殺気は禍々しかったのだ。
 そしてその殺意の先は、アダマンアントごとイレギュラーズを両断しようと振るわれた。
 後方で敵の攻撃を引き受けていた行人は、その一撃を受け止めようとして断念した。避けられたのは、警戒していたからこそか。
「行人さん!? ……姉様、こんな……!」
 遥花はその所業に目を剥き、内面に溜め込んだ魔力を表出させる。アダマンアントの一体を衝撃で吹き飛ばした術式は、威力こそ低いが隙を生む。連携のための技術……それも、その個体を押さえていたアントワーヌに繋ぐための。
「ねぇ、遥花君、単刀直入に聞くね? ……行人君のことどう思っているんだい?」
「でっ、ど、どう!? ……ですか?」
(今聞くのか……?!)
(気持ちが通じれば、本物が見られる鍵がここにあるかもしれません。聞いておかなければ)
 アントワーヌはその姿を見て、俄然遥花に興味が湧いた。だからこそ、聞きたいと思ったのだろう。傍聞きしている行人も、知りたいものを求めるプラハも、この状況でなのか、とは思うだろうが。
「いや、私のお姫様はどうもふわふわしていてね? 彼方此方で可憐な花を愛でているようだから変な事されていないかなって気になっただけだよ……だから、君の今の考え方を聞きたい」


「だってさ、雛水! 遥花さんはもうそっちを向いてないよ!」
「こんなところでやるの? とは思うけど……大事な話だよね、お互いにとって」
 ヒィロと美咲はくすりと笑いながらアントワーヌ達の会話を耳そばだてている。互いにそこそこ疲労と傷が蓄積しているが、雛水が撤退を余儀なくされているのは明らかだ。痛めつけられながら、自分たちもよくやった、といえるだろう。
「遥花」
 ぎりぎりと歯軋りをみせた雛水は、しかし次の瞬間、二人に渾身の一撃を浴びせかけ、それを出汁に逃げに転じた。或いはそれは、冗談じみたやり取りのなか、激戦を制しようとしたイレギュラーズへの敬意か。
「種の生存のためにそうやって進化したのは理解できるよ。でも、それは、わたし達にとっては『悪』なんだ。もしかしたら共存できた未来もあったかもしれないけど、貴方達は滅ぼさせて貰うよ」
「それは、私達の主があなた達を滅ぼしたあとでいえるのかを重々、お考え頂ますよう。覚えましたよ、その言葉」

「私はアントワーヌさんの、色々と考えていらっしゃる姿勢は素敵と思います。そして、行人さんの依頼に対する真摯な姿勢は勝算に値します。そういう意味で、わたしはお二方のことを何れも『尊敬しています』」
「う、うん、改めて面と向かって言われると……困るね。聞いた私が馬鹿みたいじゃないか」
「ですから、お二人のことも、他の皆さんのこともより覚えたいと思っています。私はやはり、皆さんに興味があるのだと思います」
(なるほど……あれが彼女の本物、なのですね。世代を重ねても『巫女』とは呼ばれなくなるであろう、最後の巫女の……)
 プラハは遥花の言葉を十分理解することができなかった。だが、彼女の次はもう『巫女』ではないことを、薄々ながら悟った。それが彼女の得た真実の一端なのかもしれない。
「あの顔潰せなかったかー。ごめんね、遥花さん。あんな存在、すぐにでも抹消したかったよね」
「いいえ、いいのです。……いつか、私の居ないところで滅びる定めなのでしょうから」
 遥花の言葉に、ヒィロはぎょっとしたようにその顔を見た。なんら感情の乗っていない。のっぺりとした敵意を。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)[重傷]
ワルツと共に
プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)[重傷]
想い、花ひらく

あとがき

 おまたせしました。……ええと、戦闘中にやること?!

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