シナリオ詳細
<太陽と月の祝福>焔の影翳り
オープニング
●<太陽と月の祝福>焔の影翳り
深緑(アルティオ=エルム)。
国を覆い尽くした【茨】の影は、深緑の首都【大樹ファルカウ】に影響を与えており……ファルカウに棲まう人々は茨へと包まれていた。
しかし……イレギュラーズ達の活躍により、ファルカウを包んでいた茨の影は次第に消えつつある。
そんなイレギュラーズ達の耳に入ってきたのは、『タレイアの心臓』を奪取し合いし魔種ブルーベルの一言。
『--主様は……冠位魔種カロン様は、ファルカウと共に眠りにつきたいだけだ』
眠りにつきたいだけ……というのはどういう事なのであろう?
その意図は分からないものの……ただ、間違いなく言える事は、ファルカウを救う刻は、後もう一息の所まで来ているという事。
「……」
静かに眼を閉じた『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
「……ファルカウと共に眠りに付きたい……だから、ファルカウの皆様を手に掛けていい訳なんてありません。ファルカウの皆様には何の罪もありません。なのに……」
自分の故郷、大切な場所、友人、知人、仲間……沢山の人達がこの深緑に降り、この茨に囚われた。
茨は深く、生死は不明……心が壊れそうになる時もあった。
でも……ここまで一緒に戦ってきてくれたイレギュラーズの仲間達がいるから、ルリアはどうにか立ち続けることが出来ている。
だから。
「……私は弱いです。カロンさんと戦う力はありません……ですが、私に出来る事はある筈だから……力を振るわせて頂きます」
と……強い意志をその瞳に込めるのであった。
●
そしてルリアは仲間達と共に、ファルカウ中層へと進んでいく。
見慣れた中層の街並みは……居住区とお店が建ち並び、以前ならば幻想種の人々がいつも行き交うような所。
だが……当然今は、幻想種の影はない……いや、正しく言うならば、地面に倒れている。
「……どうにか、大丈夫の様です。呼吸はある様です……ただ、眠って居るだけの様です」
とルリアはそんな人々の呼吸を確認しながら、中層を進んで行く。
……すると。
『ドォオオン』
突如響きわたる衝撃……それと共に薫るは、焦げ臭い匂い。
「っ……え?」
その匂いは、樹が燃える薫り。
眼を見開くと共に、ルリアは仲間達と共に薫りの方向へと急ぐ。
……大樹の中層の一角、一番外周側に位置する区画は、炎へと包まれていた。
「火が……何で……!?」
大樹ファルカウが燃えるなんて、想像などしたくない……でも、目の前で繰り広げられているのは、樹が燃え、その中を歩く……幻想種達。
「な、なんで……皆さん……!!」
とルリアが呼びかけるが、歩く幻想種達は反応を返さない。
……そんな幻想種達の背後には、炎を周囲に吹き付ける『焔霊鳥』と呼ばれし高位精霊。
更にその手前には。
『フフ……あらあら、まぁだここにイレギュラーズ達が居た様ねぇ……?』
艶のある言葉を紡ぐは、人型の姿をしたもの……『夢魔』スロースサキュバス『ユーティア』。
「す……すぐに炎を止めて下さい……! ファルカウが……!」
ルリアが声を上げるが、ユーティアは。
『なぁによ? 止める訳ないじゃない。こんな楽しいコト……辞めるなんて万が一にも無いわよぉ? ほら、アナタ達。あの子達を止めなさい』
指を差すと共に……ふらふらと歩く幻想種達は、イレギュラーズ達に向けて歩いてくる。
更に。
『ほらほら、この子達だけじゃぁ心許ないしねぇ? ふふふっ!』
大きく笑いながら、更にその足元に、大量のバクの姿をした大怪王獏『グレートバクアロン』が出現。
明らかに敵の数が多く……かなり厳しい状況なのは間違いない。
だが……。
「皆さん……力を、貸して下さい……」
逃げる事無く真っ直ぐに敵を見据えるルリアと……君達は、襲い来る敵を迎え撃つしかなかった。
- <太陽と月の祝福>焔の影翳り完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2022年06月28日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●故郷の悲劇
深緑のファルカウ中層、樹の幹をくりぬいたような空間。
平時であれば、幻想種の人々が平穏たる生活を過ごしている場所……だが、今イレギュラーズ達の目の前に拡がるのは炎の影。
「うわー、あちこちに火が拡がっちゃって大変な事になってるね!」
と『毒亜竜脅し』カナメ(p3p007960)が声を上げると、それに目を伏す『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
「……ええ……本当……皆様、お力をお貸し頂き、ありがとうございます……」
己の大事な場所が、このような惨事になってしまっているだなんて……信じたくない。
でも、故郷が業火に包まれているのは紛う事無き事実であり、更に言えば……このままではファルカウ自体が滅亡の危機に瀕するのは間違いない。
そして……そんな業火を燃やしているのは。
『……あらぁ? どうやら何者かが来たみたいねぇ……?』
くすり、と妖艶に微笑む邪妖精『夢魔』が一つ、スロースサキュバス『ユーティア』。
イレギュラーズ達に気付いたものの、くすりと笑うだけの彼女。
そして彼女の指示に従い、炎を纏いし高位なる精霊の『焔霊鳥』が、辺り構わず炎を吐き、炎を燃え上がらせている。
「おーおー……本当、派手に燃やしちゃってるわねぇ……下手人は余程の命知らずに思えるわ……ん?」
『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)はくすりと笑いながら言葉を零す……と、傍らの『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は。
「あのサキュバスまがい……と、ついでに鳥と獏が今回の敵。アレだけは私がやってやるのです」
と、深い怨恨が籠もりし言葉を零す。
そんな彼女の心境にリカは。
「ふーん……へぇ……」
と、彼女を理解しているからこそ、うんうんと頷き、スロースサキュバスの方を見据える。
ただ、サキュバスらはクスクスと笑い、イレギュラーズ達を馬鹿にする様な態度を崩さずに。
『本当、こーんな所までやってくるとはねぇ……? この子達を助けに来た、とかかしらぁ?』
と言いつつ、彼女の足下の辺りに転がっていた幻想種の人々に魔法の様な物を掛ける。
すると……倒れていた幻想種の人々はむくり、と立ち上がり……苦悶の呻き声を上げながら、彼女を護る様に立ち塞がる。
更には彼女の力によって変質した、巨大化した獏の群れも、幻想種達の間に配される。
そんな敵の陣容は、イレギュラーズ9人に対してかなり多いのは間違いない。
『どう? 私の仲間達はこーんなに多いのよぉ? これでも対抗しようって訳かしらぁ? さっさと尻尾巻いて逃げるなら、見逃してあげてもいいのよぉ?』
と、小馬鹿にした雰囲気で声高らかに笑うユーティア。
だが……そんな言葉に『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が。
「全く……魔種に言っても詮無き事だが、寝たいなら一人で寝やがれ。どんだけ寂しがり屋なんだって話だぜ」
と肩を竦めると、『竜穿刃』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は。
「ああ……ったく、なんでこう森ってーのはいちいち燃やされなければいけないんだ? どこかのヒロイックサーガだってそうだ。なんで燃やす必要がある? いや、今回燃えてるのは森じゃなくて、巨大な樹だがよ」
と息を吐く、そして更に『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)も。
「本当だね。操って陣取って燃やすだなんて……よっぽど意地が悪いんだね……!」
と辛辣な指摘。
『はははっ。本当に面白い事ばっかり言うわねぇ……? ……まぁ、逃げないって言うのなら、ちゃーんと相手にしてあげるわ……ってね?』
パチパチ手を鳴らすユーティア……そして、配下の敵陣は、唸り声を上げたり、ウウウ、と呻き声を上げたり……と、各々が反応を返す。
ただ、その間ずっと、焔霊鳥は炎を木々に吐き続けるままで……火の勢いは着実に拡がりつつある。
「……深緑って火はダメって言われてるし、これは何とかして止めないと……この後ろに魔種が絡んでいるらしいけど……今は目の前の問題が先だね!」
「ええ、恐らくこの会話は時間稼ぎね。敵の陣容も、明らかに時間稼ぎの構えだし……ちんたらしていると、ファルカウが焼かれておじゃん。ってことは……心がけるべきは速攻!」
「そうだね。幻想種のヒトたちが住む場所がこれ以上壊されないように、速攻で片付けちゃおう!」
カナメと『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)の言葉にアクセルが仲間達にそう声を掛けると、ルリアが。
『……ええ、時間がありません……どうか……皆様……』
深く頭を下げる。
「ルリア、だったか……しゃあねえ。乗りかかった舟だ、力を貸すぜ」
「そうですな! ほら、ルリア殿!! 大丈夫ですぞ! 我等は喜んで助太刀致しますからな! このファルカウもまたこの世界に息づく友です! 友が困っているのなら、力を貸すのが道理というもの。大切な友達のためにスケさん粉骨砕身、骨身を惜しまず頑張りますぞ!」
とエレンシアの言葉に『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)はルリアの肩を叩き励ます。
そして。
「無理やり眠らされて勝手に夢遊病よろしく操られるのも忍びないし、炎に捲かれない内に救出するとしようか」
「そうね。幻想種さん達のことは皆様に任せるのですよ……さぁ、それでは始めるのです!」
錬の言葉にクーアの言葉……そして先陣を切るはカナメ。
「ねぇみんな! 敵の言いなりなんて幻想種として恥ずかしくないのー? あ、それともそんな誇りなんて持っていない人たちなのかなー?」
と、呻き声を上げる操られし幻想種達に向けて開口一番に挑発を放ちながら、その敵陣に向けて突っ込んでいく。
……どうやらイレギュラーズ達の言葉は操られているとは言え、耳に届いたようで……その攻撃の切先は、潜り込んできたカナメへ集中。
左から、右から……幾重にも幻想種達の魔法攻撃が間髪を入れずに放たれ、カナメの身体を傷付ける。
「だ……大丈夫ですか!?」
とルリアが心配の声を上げる……だが、カナメ自身は。
「うえへへへ……身体の芯まで凍り付きそうな痛み、とってもいいよぉ……♪」
と、どこか嬉し気な表情を浮かべる。
とは言えカナメは、しっかりと操られし幻想種達の攻撃を引き受ける事になる……そして、その間にヴェルミリオはルリアに向けて。
「ルリア殿。元凶を叩けば正気に戻りますゆえ、足止めに徹していただきたいのですぞ! 何より、どうか彼等を呼び続けてあげてくだされ! もしかしたら、ルリア殿の熱い想いが、必死の声が届くかもしれません。ただし、無理は禁物ですぞ! いのちだいじに。皆さまが目を覚ましたときに笑って『おはよう』を伝える為に!」
『解りました……! 皆さん! どうか、正気を取り戻して下さい……! 私達は、皆様を助けに来たのです……だから、攻撃を止めて下さい……!』
ヴェルミリオの指示に従い、声を張り上げ幻想種達の説得。
更にアクセルと錬の二人も、前線に立ち塞がる幻想種達に対峙し。
「あんなのの命令に負けないで! 一緒にファルカウを守ろうよ!」
「そうだ。可能な限り傷付けたくはない……だが抵抗するのならば、力尽くでも気絶させなければならない……!」
と呼びかけつつ、神の光や陰陽の拘束術を放ち、幻想種達を不殺の力で無力化する。
そして幻想種を一部無力化しつつ、幻想種の周りで蠢くグレートバクアロンの群れにはエレンシアとヴェルミリオが対峙。
その動きは他の敵に比べれば、比較的ゆっくりではあるものの……その攻撃手段は直接パンドラを傷付けるという厄介な一撃。
「かなり面倒な敵ではありますが、スケさんはとっても元気いっぱいなのでありますよ!」
と、まだまだ元気なヴェルミリオは、意気揚々とグレートバクアロンの群れに向けて口上を述べて怒りを買い、そこにエレンシアが。
「ったくよ、くっだらねえことしやがって……まあいい!」
と舌打ちしつつ、己を中心に得物から巻き起こす暴風で敵を纏めて薙ぎ払う。
……そう幻想種とグレートバクアロンに仲間達が対峙し、足止めしてくれた結果……スロースサキュバスと、その後ろの焔霊鳥へのルートは程なく確保。
「クーア、一気に行くわよ」
と利香はクーアに告げると、仲間達が切り拓いてくれた道を先んじて駆け抜けて行くクーア。
猫の如き素早さは瞬く間に敵へと対峙する事になる。
「ご機嫌よう、ユーティア。我が名は『クーア・サキュバス』……まあ、同胞と言えば同胞、でしょうか」
と語る。
それにサキュバスは。
『ふぅん……同胞、ねぇ……? それで私の仲間になりたい、のかしらぁ?』
クスクスと笑う彼女……だが、クーアは。
「……追ってもう一人来るはずなのです。先ずは私と遊びましょう?」
と言いながら敵をマークし、その強力な拳を叩きつける。
『おおっと……あらあら、凶暴な子ねぇ? いいわぁ、遊んで上げてもいいわよぉ?』
笑いながらその攻撃を回避し、彼女をシビレさせようと雷鳴を放つ。
しかしクーアはキッ、とその動きを鋭く見据え続け、追いかけるように身を跳ねさせて回避。
そして、クーアから少し時間を空けて追いついた利香。
「いい雷鳴ね、貴女でしょ? リカ・サキュバス--ねぇ、奇遇だと思わないかしら♪」
と言いながら利香も雷の魔力を帯し鞭を振るう。
ただサキュバスにはその攻撃も躱し続ける。
「他の下級夢魔とは違って楽しませてくれそうじゃない。いひひ♪」
と利香は悪戯っぽく笑い、更に。
「ねぇ……私と遊んでくれるわよね? 一緒に楽しみましょう? 乗ってくれるわよね? だって似たもの同士だもの。私なら絶対に、こんな楽しいコト……ね♪」
と、二人はサキュバスを追尾しながら攻撃していく。
……そして、最後に残る朋子は、木々に火を放つ焔霊鳥をターゲットに収め。
「かなり素早い様だけど……なら、この攻撃なら当たるんじゃないかな!」
と天をも揺るがす大咆哮で、敵に必中たる一撃。
……直撃はしないものの、ギリギリ攻撃は掠り僅かながらのダメージを喰らう焔霊鳥。
とは言え焔霊鳥の炎を止めるには、このままでは時間が掛かるのは間違い無い。
しかしながら、火元である焔霊鳥を即座に倒す事は難しいのは、先程の必中攻撃の状況からは明らか。
「これは時間が掛かりそう……やっぱり一対一で対抗するには限度があるね」
「ふむ、了解であります。このバクアロンを倒し次第、すぐにそちらに加勢に向かうでありますから、それまで耐えるのですぞ!」
「了解っ……!」
ヴェルミリオの言葉に頷き、朋子は焔霊鳥を確実に削るべく、集中しながら敵を攻撃。
その一方で幻想種は殺さないように不殺の一撃で攻撃……一方のグレートバクアロンに対しては、速攻撃破を狙う為に、火力を上げて攻撃する。
幸い幻想種達は……ルリアの投げかける言葉は幻想種の仲間達に届いており、攻撃を躊躇する様な素振りを見せる。
そして……その素振りをした幻想種に不殺の一撃を食らわせれば、大怪我を負うことなくに倒れていく。
対しグレートバクアロンは、イレギュラーズ達の動きに興奮し、咆哮を上げて暴れ廻る……そして噛みつき、確実にイレギュラーズ達のパンドラを貪り喰らう。
……ただ、幸いな事にヴェルミリオもエレンシアも、その精神を貪られても、どうにか耐えきる様に動く。
そして……一番の強敵であるスロースサキュバスは、怒りの炎を燃やすクーアと利香の二人が激しいバトルを繰り広げる。
利香が魅了の魔眼で彼女を見据えると共に。
「さぁ、踊りましょう?」
ふふっ、と笑みを浮かべながら利香がくいっ、と挑発するような仕草を行うと……それに連携するようにクーアはサキュバスを足止めするよう、簡易術式から光弾を繰り出す。
ただサキュバスはその攻撃を喰らうも、その場を軽く跳びはねて距離を取り、遠距離から再び雷撃を喰らわせる。
「くっ……!!」
喰らいしクーアが唇を噛みしめ耐えると、サキュバスは。
『ふぅん……なっかなかしぶとい様ねぇ? ははは、面白いじゃないの!』
と、更に気分を高揚させる。
……だが、決して油断する事は無く、激しい雷撃を幾重にも迸らせる事で、炎と雷鳴に戦場は支配される。
しかしそれら攻撃を喰らい膝を突こうとも、決して諦める事は無い……それほどまでに、サキュバスを倒すという強い念が、二人を突き動かしている。
そして、イレギュラーズ達が仕掛けてから数刻……パンドラの消耗はありつつも、どうにかグレートバクアロンを倒したヴェルミリオとエレンシア。
「こっちは倒したぞ、サキュバスは……」
「それは、私たちに任せてくれる? 助太刀は不要よ」
エレンシアの言葉に利香は告げる……それに頷き、二人は焔霊鳥の方の加勢へ。
そしてクーアは……サキュバスの疲弊状況を見据えて。
「そろそろねこを被る必要もなくなったでしょう……」
と言うと共に……一際強い憎悪の炎を燃やす。
「……怠惰の配下、ひとを痛めつけるしか能の無い輩を、誰が同胞と認めるものですか。一刻も疾く死に絶えるがいいのですっ!!」
と、辛辣に言葉を吐き捨てながら、サキュバスの懐へ即座に潜り込む。
そして、彼女の懐めがけて電流と炎熱を重ね合わせた術式を叩きつける。
流石に懐に潜り込まれた上で放たれたその一撃を躱す事は不可能……その一閃により、その身体は大きく吹き飛んでいく。
そして……その吹き飛んだ先には利香。
「ほらほら、これだけで終わっちゃいないわよ! 笑ってみせなさいな!」
とユーティアを嘲笑いつつ、クーアと対になる雷を帯びた三閃が叩きつけられる。
そのままに、ユーティアは地面へと叩きつけられる。
……かなりのダメージに、最早立つ事で精一杯……しかし。
「これで、終わりにするのですっ!!」
利香と息の合った、強力無比な拳が決まり……その一閃にサキュバスの身は瞬く間に消え失せていった。
●焔の影と
そして……。
「……その、幻想種の方々も……皆様、眠って頂けた様です……後は……」
サキュバスを倒すのと同時に……操られていた幻想種の人々は全て気絶し、地に臥す。
残るは炎を吐き続ける焔霊鳥……三人が連携して攻撃してはいるものの、中々にダメージを与えられない状態。
「ユーティアの方の決着は付いたのです。後は……この焔霊鳥を仕留めれば、全てに決着が付くのです」
「そうだね……となれば、皆で周りを取り囲んで行こう。逃げる隙間を作らないようにね」
クーアにアクセルが言い、イレギュラーズ達は焔霊鳥の全方位を包囲開始。
流石に焔を吐き続ける方向に立ち塞がるのは難しいものの……鳥の逃げ道を先ずは塞ぐ。
そして逃げ道を全て塞いだ所で……。
「よし……そろそろいいだろう。一気に仕掛けるぞ」
と錬の号令一下、一斉にイレギュラーズ達は焔霊鳥を攻撃。
四方八方から繰り出されれば……流石に回避力が極めて高い焔霊鳥であろうと、躱す事は難しい。
一撃、二撃、三撃……と確実にダメージは積み上がり、焔霊鳥は傷つく。
そして……。
「それじゃあそろそろ終わりにしようか! 一気に行くよっ!」
と朋子はその拳をぐるんぐるんと回し、全力で叩き込む。
……その一撃が焔霊鳥に渾身の一撃を与え……息絶える。
『……終わりましたか……でも、皆様。炎が……」
焔霊鳥の焔は延焼はしないものの……まだまだ燃え盛り続ける。
「うん、大丈夫……さぁ、急いで消そう。この樹が燃え盛る姿は、見たくないからね」
「そうだな……急ごう。猶予はない」
アクセル、錬が頷き、そして朋子が。
「よーっし。それじゃあたしはこっちの方! 手分けして消していくよっ!」
とてきぱきと消化の方角を指示し……イレギュラーズ達は燃え盛る焔を急ぎ消していくのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
深緑の危機にご協力頂き、本当にありがとうございました。
やっと……平穏が取り戻された事でしょう……皆様のおかげです。
本当に、ありがとうございました……!
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
とうとうクライマックスフェーズの様です。
深緑を救出する為、どうか皆様のお力をお貸し下さい。
●成功条件
ファルカウ中層の一角に居た『ユーティア』ら敵陣を倒し、炎の影響を最小限に抑える事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
大樹ファルカウ中層が舞台となります。
下層と同様で樹の幹をくりぬいたような空間ですが……今回、そこが火に包まれています。
火を吐き付ける焔霊鳥を止めない限り、炎は拡大の一途を辿ることは間違いありません。
しかしながら焔霊鳥が居るのは皆様から一番離れた奥の所……更にその前には今回の首謀者であるスロースサキュバス『ユーティア』と、彼女が召喚した大怪王獏『グレートバクアロン』の群れ、更に操られている幻想種達を越えていく必要があります。
操られている幻想種達の対処と共に、出来るだけ敵陣を突破し焔霊鳥を討伐する事が必要です。
勿論、このシナリオはルリアも同行致します。(彼女が出来る事は何でもします。例え命の危険があろうと、今回は進んで行く事でしょう)
●討伐目標
・操られし幻想種
眠って居る幻想種の人達です。攻撃手段は魔法(水、氷)です。
眠って居る状態のまま操られていますが、傷を受けると目が覚める可能性があります。
ただ、操縦している親玉が強力な為、親玉を倒さない限り彼らが操縦から逃れる事は出来ません。
呼びかける事により、攻撃を躊躇する事はあるかもしれません。
・『夢魔』スロースサキュバス『ユーティア』
冠位怠惰カロンの影響により変質した邪妖精『夢魔』の一体です。
自信過剰、かつ人が傷つくのを見るのが至上の喜びの様で、その実力も折り紙付きです。
体力はちょっと高い程度なのでそんなにしぶとくありませんが、通常攻撃手段として皆様の体力、AP等を吸収する事が可能です。
また、遠隔範囲に雷鳴を迸らせる魔術と、魅了効果をその戦場に振りまく事が出来るので、遠近どちらの攻撃手段も持つ強敵です。
基本的にはいつも後方におり、幻想種、獏を盾にして後方からの遠隔攻撃を軸とします。
・大怪王獏『グレートバクアロン』
同じくカロンの影響で変質した獏です。
この獏は『魂を食う』事が出来る怪物となります。
攻撃手段は近距離物理攻撃(突進して噛みつく)のみですが、スマッシュヒットすると、皆様の魂を傷付ける(直接パンドラを消耗させる)事が可能です。
その為、パンドラが少ない方はお気を付け下さい。
・『高位精霊』焔霊鳥
その名の通り、炎を纏いし鳥です。
一体のみですが、彼は大樹を焼く事に集中しており、皆様へ攻撃をする事はありません。
体力はそんなにないのですが、ただ、回避力が極めて高く、遠距離からの遠隔攻撃は殆ど当たりません。
これを倒すには、距離を詰めた上で数人で包囲網を組み、倒す他にありません。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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