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シナリオ詳細

ドラネコと幸せの木

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幸せの木
 覇竜には、ドラネコが愛する木があるという。
 不可思議な木であり、それ自体は1年で枯れてしまう不可思議な木だ。
 細い枝と、同じ太さの幹を持つ木で、全長は1mほど。
 一定間隔で生えてにょきにょきと伸びては枯れ落ち、また時期がくると生えてくる。
 そんな不思議な木であり……同時に「幸せの木」、あるいは「幻の木」とも呼ばれている。
 では、何故そう呼ばれているのか?
 その理由は簡単で「ドラネコが大好き」だからだ。
 どうもこの枯れ木、ドラネコにだけ分かる香りを放つらしく……丁度良い頃になるとドラネコがあちらこちらから飛んできて運んでいってしまうのだ。
 そうして運ばれた「幸せの木」は各集落のドラネコが楽しむ姿が見受けられるが……此処で、1つ問題がある。
 実はこの幸せの木、粉などに加工するとドラネコがより強く好むマタタビの粉的なものになるのだ。
 更に水に溶かせばドラネコの好む香りになったりするわけだが……意図的にドラネコより先に持って帰らないと、全てドラネコに持っていかれてしまう。
 だからこそ、加工を望む者はドラネコに先んじなければならない。
 追ってくるドラネコから逃げ切り、加工して「ほら、こんなに素敵なものが出来ましたよ」と示さなければならない。
 その作業は非常にモフモフで、もふもふで……MOFUMOFUであるという。

●幸せの木を求めて
「というわけで、そろそろ近くに生えた幸せの木が枯れる頃なんでの。行ってもらえんか?」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は集まったイレギュラーズにそう切り出した。
 幸せの木。
 ドラネコが好きなそれを、よりドラネコが好きな形で捧げる為の作業だが……幸せの木を前にしたドラネコたちに、そんな理屈が通じるわけがない。
 ドラネコの為に、心に鎧を纏いドラネコを振り切らなければいけないのだ。
 幸いにも、フリアノンには幸せの木の加工所が2つある。
 中には木を粉にする為の道具や溶かすための水などが置いてある。
 さて、それではどうして加工所が2つあるのか?
 これは簡単で、ドラネコが待ち構えていた場合に連携してもう1つの加工所に飛び込む為である。
 何しろ定期的に追いかけっこをやっているのだ、ドラネコ側も学習する。
「まあ、なら何故勝手知ったる儂が行かないのか……と思うじゃろうが」
 そこで、相賀はクルリと背中を見せる。
 そこにはドラネコが2匹程貼りついていて。よく見ると、その辺の陰から無数のドラネコが相賀を見張っているのが見える。
 1匹、2匹、3匹。屋根の上にも1匹、2匹……不自然に上空を旋回しているドラネコもいる。
 分かる。相賀は……見張られている。
「……分かるじゃろ? 儂、見張られとるんじゃよ」
 たぶん相賀が動けばすぐにドラネコたちも動き出すだろう。
 これではフェイントも何も効くはずがない。
「地図は渡しておくでの。すぐに出発してくれるかの?」

GMコメント

フリアノンから少し離れた岩場で枯れ落ちている「幸せの木」を回収して、フリアノンの加工場に駆け込むんだ!
ドラネコたちが四方八方からモフッとやってくるので、見事チームワークで逃げ切りましょう!
逃げ切れなかった人はどうなるかって?
モフモフになります。まあ、囮だと分かったら離れてくれますし、大丈夫です。戦線復帰しましょう。
そうして加工を済ませたら、半分くらいはイレギュラーズのものです。
残りの半分を作業場の箱の中に隠し、瓶詰した粉や水溶液を皆で分け合いましょう。

分けてどうするかって?
モフモフタイムです。

ちなみにドラネコは本気モードになると機動力10で追いかけてきます。
怪我はしませんが今回のシナリオは「ドラネコが動けなくなるような手段は禁止」ですので、追い払えばいいモンスターよりもキツいことになるかもしれません……!

最後にモフッと幸せになる為、皆さんのチームワークを期待します!

●ドラネコ
亜竜集落をトコトコ歩いてるかわいい亜竜。
大人になってもサイズは猫程度。可愛さに全振りした結果戦闘能力を失った、可愛さで世の中を渡る亜竜。
猫にドラゴンの羽が生えたような姿で、色や模様は千差万別。
鳴き声は「ニャー」です。
今回、「ドラネコ」を所持している方は気をつけてください。
幸せの木はドラネコ全体の問題なので、気付かれないうちに相賀の家の中とかに入れといた方がいいかもしれません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • ドラネコと幸せの木完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年06月12日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
メイ・ノファーマ(p3p009486)
大艦巨砲なピーターパン
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
冬兎 スク(p3p010042)
跳び兎バニー
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
風花(p3p010364)
双名弓手

リプレイ

●幸せの木争奪レース
「幸せの木……そりゃドラネコも持って行くよね。それでも加工した先の幸せもふもふタイムを堪能したいから何としても回収して加工場に駆け込む……のを手伝うんだ!」
 マタタビや猫オヤツを持参していた『心優しきオニロ』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)がそう呟く。
 幸せの木。それはいわゆるマタタビじみた木だが……そんな中で更にマタタビを持ってくるとは、ヨゾラも中々に上級者と言えるだろうか?
 幸せの木……の枯れ木。現場周辺にはまだドラネコの気はないが……これを運ぶ班と、囮の班。
 2つに編成して上手く加工場に駆け込むのが今回の仕事の最大のポイントだった。
「確かにこんなモノがあれば目の色を変えて確保しに来るわよねぇとはいえ、加工した方がより好みな物になるというのなら、心を鬼にしてでも加工場まで持っていかなきゃね!」
 『プロメテウスの恋焔』アルテミア・フィルティス(p3p001981)も言いながら他の駆け込み班の仲間と共に用意しておいた『匂いが漏れ辛い箱』に詰め込んでいる。これでどの程度ドラネコの鼻を誤魔化せるかは……まあ、賭けだろうか?
 少なくとも何もしないよりはずっとマシのはずだ。
「ドラネコさんたち、幸せの木は粉にするとドラネコさんたちももっと幸せになれるのに……どうしてわかってくれないのかなぁ」
「ドラネコの虜にしてやまない幸せの木。加工すればもっと良くなると分かっていても、そりゃ目の前にあったら持って行きたくなるのは仕方がないな。だが、もっと幸せにするために加工するしかないのだ!」
 『青き大空のピーターパン』メイ・ノファーマ(p3p009486)と『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は、そんな会話を交わし合う。
 流石にもふもふを愛する者としてゲオルグは「分かっている」が、此処に至るまでに連れてきているドラネコを気付かれない内に相賀の家に入れていた。
(そりゃ連れてこない方が楽なのは分かるが私についてきてくれているドラネコが幸せの木を堪能できないなんて、そんなの可哀想ではないか。その分は私が努力すればいいことなのだ)
 なんたるもふもふ愛。しかしそれ故にゲオルグのやる気はしっかりと高まっている。
 ちなみに、『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)もまたドラネコを相賀の家に預けて来た1人だ。
「今日はルシアのドラネコちゃんたちもそわそわしてたのですよー。お留守番してね? って言っても翼に乗っかってきて、ちょっと重くて飛べなかったのでしてー」
 そんなルシアは相賀の家で一匹ずつ抱えて翼から降ろしながら「ごめんね? ルシアはこれから大事な任務があって、ちゃんとお土産持ってくるから今はあの人のところでいい子にして待っててほしいのでして!」と説得しており……それを経て此処に立つルシアは、ゲオルグと同様の心境だった。
「報酬には加工したものを貰えるとのことなので、ボクのドラネコの春夏秋冬のお土産のためにも頑張りましょう!」
「こ、こんな過酷な依頼があるなんて……今すぐもふもふしたい気持ちを抑えきれるでしょうか……!」
 『ゆめうさぎ』冬兎 スク(p3p010042)もグッと拳を握るが、どうやら気合は十分だ。
 『ためらいには勇気を』ユーフォニー(p3p010323)は揺れているが……まあ、仕方ないだろう。
 だが心を鬼にして目先のもふもふ誘惑に耐え、囮班として動く覚悟はきめている。
「ドラネコたちが殺気立つ季節になりましたか。あれですよね、この前キーンって感じに飛んでいたのは今日という日への準備運動的な出来事だったのですよね? 今までで学習し、相賀さんの監視の網はなかなかのもの……では今回はイレギュラーズとの知恵比べですよ」
 『双名弓手』風花(p3p010364)も自分のドラネコを相賀の家に預けていたが……「何かを察した目をしている」とは思っていた。
 そうしているうちに回収作業も終わり……木の皮や小さな枝など、加工後の量に大きく関わらない範囲で囮役に渡して臭いを分散させていく。
「後はそうね、採取時に落ちた木片や木粉を少し回収して、持参した水入り瓶に浸しておくわ。使う事になるかは……その時になってからね?」
「さあ、あとはひたすらおいかけっこですよ」
 アルテミアと風花が頷きあい、進み始めた時、風が吹いて。
 何処か遠くの空に、ドラネコの姿が見え始める。どうやらあの距離でも気付いたらしい……!
 キーン、と聞こえてくる本気のドラネコの飛行音は追いかけっこ開始の合図だ!

●ドラネコと幸せの木
 幸せの木とは、これほどまでにドラネコが好きなものなのか。
 ヨゾラはそれを確信していた。遠くから飛んでくるドラネコ、その辺りに隠れて不意打ちもふもふを仕掛けてくるドラネコ。
 ネコのネコであるが故の、ドラネコがドラネコであるが故の可愛すぎるもふもふタックル。
 マタタビも猫オヤツも、ドラネコたちを然程の時間足止めすることもできない。
 何しろ数が多い、多いのだ。そして本気のドラネコのなんと速いことか。
 囮としてヨゾラは幸せの木の皮を持っていたが、どうやらドラネコにしか分からないような香りが溢れているのだろうか。
 本気のドラネコの機動力には勝てないからと引き受けた囮役。しかし、これほどまでに!
 自分の顔の横を併走……もとい飛行しているドラネコと視線があって。
「皆、ここは僕に任せて先に行けーーーーー!! ……ごめん一度言ってみたかったうわああドラネコがもっふもふで幸せだああああ!?」
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「なーお!」
「あぁ抱っこするともふもふだなぁいててて爪は爪は勘弁!」
 あっという間にドラネコに埋もれていくヨゾラがもっふもふにされているが、ヨゾラの姿が見えなくなる程度にはもふもふになって。
 スペースのなかったその他大勢のドラネコは当然のように追いかけてくる。
「持ち前の反応速度と機動力で全力疾走しているけれど、ドラネコ達の執念凄いわね!? くっ! 飛んでくる方向を予想しながらだから、最短距離が走れないわ!」
 駆け込み班のアルテミアは囮に枝を投げてみるが……空中キャッチして咥えて飛んでくるのだ。
「そんなことある!?」
「にゃーん!」
 あるらしい。さておいて。
「それでも簡単には渡せない!」
 岩を足場に飛んだり、時にはスライディングで掻い潜っていくアルテミアは、機動力でも僅かにドラネコに勝っている。
 いるが……移動する度に増えていくドラネコ相手では、そうしたフェイントでもしなければ中々に難しい。
「ドラネコ達も毎年この追いかけっこをしているなら、両方の加工場で待ち伏せも考えられるわ。もしそうなったら……一か八かね」
「ここは私に任せてもらおうか」
 アルテミアにそう告げて、ゲオルグが速度を僅かに落とす。
 そう、ゲオルグも一時的に気をひくべく木の皮を持っていたのだ。
「私にもコレがある……即ち、ドラネコまっしぐら状態のドラネコと追いかけっこできるというわけだ。心ときめくに決まっている。頑張って引き伸ばせば引き伸ばすほど自分に向かってきてくれている時間を伸ばせるのだ」
 自分に出来る限りの手段を使い走るゲオルグだが……気付いてしまう。
 岩の陰に、お尻をフリフリして跳ぶ態勢のドラネコがいることに。
 気付いて、ゲオルグはフッとニヒルに笑う。あれは、躱せない。
「コレは仕方ないな……観念してもみくちゃにされるのだ。いや、そんな、わざとじゃないのだ。ドラネコの方が遥かに機動力が高いから仕方がないのだ」
 ゲオルグの顔面に、ドラネコがモフッとチュッと飛びついて。
「だからもみくちゃにされてしまったら少しでも惹きつけるためにもふもふしてしまうのは致し方のないことなのだ。嘘です、可愛いからに決まっている」
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「なーお!」
 そしてゲオルグがやはり見えなくなるまでもっふもふになって。
 同じ囮班のメイは、こちらは木の皮ではなく、枯れ葉や枝を持っていた。
「……もしかして、葉っぱや枝を口の中でかんでたりしてたら、ボクの息がドラネコ好みのにおいになるかな? 試しにやってみよう!」
 そんなことを言いながら枝を噛んでみようとするが……やる寸前で何か危険な予感がしてやめる。
 ドラネコとキスすることになりそうな予感があったのだ。ちょっとどころじゃなく危険だ。
(けど、ただドラネコにつかまってモフモフになるだけじゃダメなんだ。幸せの木を加工場に持っていく役目の人のサポートになるようなつかまりかたされなきゃね。ボクは飛べるから、輸送班のちょっと後ろでたくさんドラネコたちを引きつけて、もふもふ潰されようっと)
 うんうん、と頷きながら飛ぶメイの横で、グルグルとドラネコが喉を鳴らす。
 そう……すでにメイは囲まれていたのだ。
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「なーお!」
「あーっ!」
 そして同じく囮班のユーフォニーだが……こちらは搦め手を使っていた。
(ノーマルな猫じゃらしや、リボンやロープでじゃらしてみたり、音が鳴るものが好きな子には鈴を、鳥さん人形は蹴りぐるみにも
持ってきたおもちゃでドラネコさんの好みに合わせて遊……気を引きます! ワームの干し肉だってありますよ)
「おいで! どれが好きかな?」
「にゃーん!」
 お前が抱えてる木の皮だ、と動物疎通で返ってくる辺り冷や汗ものではあるが、ドラネコの嗅覚はとんでもないようだ。
「一緒に遊んでくれたらワームの干し肉をあげるね♪」
 そう、ユーフォニーには最終手段がある。
 ワームの干し肉を思いっきりばら撒くという、そんな自爆攻撃にも似た手段だ。
「干し肉、全部いきますよーー!!!」
(ミーちゃんたちもお家で楽しみに待ってるんです、だから何としても頑張るんです……!)
 決意と共にばらまかれた干し肉は見事な空中キャッチをされて。
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「なーお!」
 囮班全滅。この事実にルシアは軽い焦りを見せる。
「もう全滅したのでして!」
「加工場まではあと少し……! これを頼むわ!」
 アルテミアは自分の分の箱をルシアに託すと、幸せの木の木片を入れておいた水入り瓶を取り出す。
「加工したモノほど効果はないかもしれないけれど、ワンチャンあるかもしれない!」
「武運を祈るのですよ!」
 飛んでいくルシアを見送り、アルテミアは水の瓶の蓋を開ける。
「よし、後はこの水を撒い!?」
 だがなんたることか。躓き、盛大に転んで頭から瓶の水を被ってしまう。
「イッタタ、よりによって転ぶだなん……てえぇぇ!? ひやぁ!?ちょっ、やめ、くすぐったっ!? もっふもふがっ!? ふぁあぁ!?!?」
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「にゃにゃにゃにゃにゃぐるにゃー!」
 秘密兵器を用意していたせいか、たくさんのドラネコに埋め尽くされるアルテミアだったが……それが仲間達に僅かの猶予をもたらした。
「ここまで来れば……!」
 先頭を走るスクだが、フリアノンの内部でもドラネコたちが目を光らせている。
 そう、彼等は獲物が此処に来るのを待ち構えていたのだ!
 そして当然、先頭を走るスクがその対象になる!
 囮役はもう全滅している。だからこそスクは動きを多少調整し、万が一のダブルもふもふ地獄に襲われることを危惧して少し横に距離を取る。
「あとはとにかく走るだけ!」
「にゃーん!」
「もふっ!?」
 だがそこに真正面から飛びつくのは、待ち構えていたドラネコだ。
 そしてスクは追いつかれてしまってもふもふにされてしまったら、木材は放さないようにして少しでもドラネコをボクから離れないようにしようと考えていた。
「べ、別にもふもふを堪能したいわけではないですが、全身をもふもふにされるのは確かに良さそうですが、それはそれとして任務遂行のためです! そうなんです! だからみなさん頑張ってください!」
「にゃにゃにゃにゃーん!」
「にゃおぐるにゃにゃーん!」
 囮班より香りが強いせいかドラネコたちの勢いも凄いが、スクが此処で脱落。
 そして辿り着くのは2つの加工場。だが当然屋根の上でドラネコの目が光る。
「これは避けられませんね。覚悟を決めましょう」
 言いながら風花が取りだすは、幸せの木の枝。
「皆さん、あとはお任せします。私がスケープゴートです」
 そう、小枝を出し、わざと前のめりに転んだのだ。
「ふぁ、隠しておいたしあわせの木がー」
 小枝に右手を伸ばして回収を試みつつ左手は空の懐を守る仕草でドラネコの襲撃を誘う。
(出来る限りバレないように守りモフモフしつつ、本隊が辿り着けば私の勝利です!)
「にゃーん!」
「にゃにゃーん!」
「にゃぐるるるうるるにゃああああ!」
 最大級のもっふもふにされている風花をそのままに、ルシアは加工場へと駆け込み……そうして、手順通りに加工が完了すれば、最強の吸引力(意味深)を誇る粉が出来上がるはずだった。
「これは違う、これも違う、これは幸せの木で、これは……終わったのですよ! 段ボールから幸せの木の匂いがするのですよ。後は半分仕舞ってちょっと加工でして、これを使えばドラネコ寄せの香水が出来そうに思えるのです」
 仲間達の犠牲の果てにルシアは加工を進めていき……そして、ついに出来上がる。
「…ひとまず触れれる水溶液に溶かしただけの試作品でして」
 試しに自分にかけてみると、うっかり量をかなり多めにかけてしまう。
「わぁちょっと多っ、あっこれ匂い強いのですよ……! でも薄めたりしたら見込みはありそうでして!」
 ルシアでも分かる程度には匂いの濃いそれをかけたまま、外に出れば。
 ドラネコたちの視線が全てルシアへと向く。そう、此処からはルシアが囮の番だ。
「ここまで計画通りなのですよ……! 後はもう一回スピード勝負でして! 幸せの木の匂いが内側に染みた段ボールに香水つけたルシアの両方合わせて、最寄りの陽だまりスポットへ急行ですよ!」
 そう、その間に仲間達が残りの幸せの木も加工してしまうという、そんな作戦だ。
「どれぐらい来てくれたの……す、すごい数来てるのでして!」
 振り向けば、かつて体験したドラネコ津波ばりの数がルシアに向かって飛んできている。
「到着! したらすぐに段ボールを置いて! 中に入って準備よしですよ! 何匹でもかかってくるといいので……あーっ、わーっ!? ちょっ、助けっ」
 スゥゥゥゥ……と猫吸いの音が聞こえ始めてきた頃には、囮班も無事に戻ってきている。
 ルシアがドラネコの山に埋もれて記念碑みたいになっているので、比較的平和になっていたりもする。
「はぁ、最後はモフモフ地獄で至福ンンッ、酷い目に遭ったわ」
「にゃー」
 アルテミアは自分の横を飛んでいるドラネコに気付き、振り向く。
「ん? あなたさっきも居たドラネコよね? ……まだあの水の匂い消えてないのかしら? 仕方がないわね、後で香ぬいぐるみ作ってあげるから、ついてらっしゃい?」
 そんな落ち着いた光景の横を、ゲオルグが迎えに行ったドラネコを貼り付けて歩いていく。
「粉のままでも水に溶かしてもドラネコ達が喜ぶなんて素晴らしいことこの上ない。幸せの木の香りでゴロニャン状態のドラネコ……それが何匹もいるというのだぞ。もはやもふもふの楽園と言っても過言ではない。この貴重なふわもこメモリアルを脳内にしっかりと刻み込んでおかなければな」
 そう、ドラネコ記念碑……もといルシアの尊い犠牲のおかげで大分落ち着いたモフモフタイムを楽しめている。
「今日はこの為だけに頑張りました……! もうこのままもふもふに蕩けちゃいたいです……」
 ユーフォニーもメイもモフモフに埋もれているが、風花は右手に水溶液を付けてドラネコの顔を擽っていた。
「これがいい感じに蕩けた顔をするので可愛いのですよ」
 そんな仲間達の幸せな光景を眺めながら、ヨゾラは分けてもらった加工品を使いモフモフタイムを楽んでいた。
「ドラネコ達にねこおやつあげよう。遊ぶ好きなドラネコはじゃらして毛並みを撫でて、にくきゅうぷにぷにしてドラネコのおなかを猫吸い……できたらいいなぁ」
 そんなことを言っていたヨゾラだが、もうすでに顔にはドラネコが貼りついている。
(ドラネコ可愛くて幸せだなぁ……また一緒に過ごしたい)
 すうっと猫吸いをしながらヨゾラはそんなことを思う。
 皆でドラネコに埋もれて、ドラネコと楽しんで。そんな、幸せな一日だったそうである。

成否

成功

MVP

ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

状態異常

なし

あとがき

猫吸いという文化。もふもふ。

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