シナリオ詳細
<チェチェロの夢へ>古代遺跡を調査せよ
オープニング
●アーカーシュの秘めたる可能性
ノイスハウゼン上空に発見された伝説の浮遊島アーカーシュの調査が始まった。
調査は鉄帝国軍と、依頼を受けたローレットのイレギュラーズの合同で行われている。
百年前に消息不明となった探索隊の子孫(レリッカ村住人)の協力もであり、進捗は順調だ。
新発見は既に百年前の探索隊によるものを大きく凌駕し、島に関する様々なことが明らかになってきた。
その中には地下遺跡の深部に到達するルートが見つかった事も含まれている。
いるが……それは、地下表層の遺跡の重要度が低くなったという意味ではない。
地上部や地下表層の遺跡は朽ちた都市であることはこれまでの探索で分かっている。
しかしながらアーカーシュがほとんど前人未踏の古代遺跡であることに変わりはなく、未だ手の付かぬ場所は数多くある。
古代文明は精霊を使役した高度な文明を有していたであろう事は分かってきている。
ランプのようなもの、コンロのようなもの、冷蔵庫のようなものなど、様々な道具が発見されているのだ。
古代の人々の生活を解き明かせば将来的に入植や農地開拓なども可能となるかもしれない。
まあ、危険な古代獣、暴走する精霊などの問題はあるが……これは大きなチャンスなのだ。
鉄帝国軍部が機密特権と階級を盾に強引な派閥形成を始めたパトリック・アネルの『特務派』と、彼に反感を抱く軍人達で形成される『軍務派』とに分かれ始めている程度には……大きな可能性を秘めた、そういうモノなのだ。
●古代遺跡調査
アーカーシュ地下表層の遺跡。
それらが朽ちた都市であるという前提が加わると、視野が色々と広がってくる。
此処が都市であるならば、この遺跡は何であるのか?
そうした考察は非常に楽しいものであり、いわゆる未知を既知へとする作業はそうした楽しさが肝であるとすら言えるだろう。
……しかしながらアーカーシュでは、それを楽しむには一定の能力が必要だ。
今回の調査対象である遺跡も「そう」であり、つまるところイレギュラーズによる実力行使が必要な案件だ。
具体的にだが、その遺跡は崩れかけた入り口の「すぐ先」に大きな階段があるようなのだ。
その先は真っ暗で見通す事は出来ないが、百年前の探索隊による報告では「幾つもの部屋、あるいは建物で構築された空間に思える」とのことであった。
まあ、それ以上の詳しい報告については探索隊の全滅により届かなかったし、恐らく不可能だったのだろうが……そうなる程度には危険性のある空間だということだ。
無論、遺跡の更に奥に進めば、此処にも深部遺跡に通じるルートがあるいはあるのかもしれないが……少なくとも今回に関しては関係ないだろう。
この遺跡に潜む危険を排除し、一体どのような目的を持つ場所であったのかを確かめる。
その謎が分かれば、アーカーシュの秘密がまだ1つ解き明かされることになるだろう。
だからこそ、この遺跡に全力で挑まなければならないのだ。
- <チェチェロの夢へ>古代遺跡を調査せよ完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年06月03日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●遺跡の探索
「地下に街、しかも商店街……住んでたヒトたちを思わせて面白いね! ……商店街にヤバい防衛兵器があるのはなんでなんだろう」
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)はそう呟くが、この場所がどうやら地下商店街らしきものであることは一目で分かっていた。
というのも、作りがまさに「それ」であるからだ。
等間隔……通路を挟んで並ぶ区画と陳列台。これだけで店舗の集まる場所、つまり商店街のようなものであったと判断するには事足りる。
「ここが店舗の立ち並ぶ場所なのであれば、周辺にそれを利用する人が住んでいた事になります。それはつまり、これらの店舗が作られる程度に人が集まる理由があった、という事です。何かしらの中心になる施設がどこかに、あるいはここから繋がっている場所にあるでしょう。それを見付けるか割り出せれば、依頼の半分は達成です」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)の言葉通り、何かしらの中心になる施設はあったのかもしれない。
それが何であるのかは、探してみなければ分からないが……。
「この地形……四辻に穴を掘り、天より降り来りた異界の生物を生き埋めにしたというアレに似て……不意を打たれやすい地形だ、埋まっている所でも油断はしないように気をつけよう」
『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も周囲を確認しているが、確かに見通しが良く、それでいて障害物は多いという不意を打たれやすい地形だろう。
「事前に特徴的な小石を拾っておいたんだ。曲がり角の所等々において道しるべ代わりにしようと思うよ。家に帰るまでが探索だからね!」
『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)が拾った黒い石を見せるが……そうした細やかな気遣いが、後々役に立つだろう。
「一応明るいのは安心、といったところでしょうか……」
『シロツメクサの花冠』ジュリエット・フォン・イーリス(p3p008823)の言葉通り、天井の照明らしきものが全てではないが生き残っている。
暗ければジュリエットも自分のギフトである「スモールワールドオブイーリス」によって分の周辺が明るくなる程度の虹を出すつもりだったが……この程度の明るさであれば、虹によって悪目立ちをして、敵に囲まれる可能性を消す方が重要になる。
そして『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)も、明かりの補助にと額の宝石を発光させていた。
「「幾つもの部屋で構築されてる」って話だったが……見た所、昔は店が並んでたみたいだ。いわゆる地下街って奴だったのか? 俺の世界にはそういうの無かったからあまりピンときていないが……」
『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)も呟きながら周囲を見回す。
「まぁどんな遺跡であれ、元冒険者として知的好奇心がそそられるのは変わらない。ここはかつて生活の場だったみたいだしさすがに財宝は無いだろうが……昔の文化について分かるものがまだ残ってるかも……そう思うとワクワクしてくるな」
確かに、財宝らしい財宝はあるかどうかも分からない。
だが、古代の文化自体を宝と考えれば……これもまた「宝探し」と言えるだろうか?
ちなみに、全員で一緒に歩いている。
これはこの状況からして、分散して行動するのはあまり利にならないと判断してのことだ。
何も並んでいない……いや、朽ち果て尽くしたのであろう商品はもう並ぶことすら出来ない。
そんな中、照明設備が生きていない箇所を『聞き耳』と『エコーロケーション』の組み合わせで感知しようとしながら『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)も進む。
「うーん、あっちは真っ暗なんだね、地下の遺跡かぁ……表層にお店があるって事はやっぱり地上から出入りしてお客さんを受け入れてたのかなぁ? 明かりがどういう仕組みなのかも気になるけど、自動の防衛機構が生きてそうなのがやっかいだね」
瞬間記憶もあるので重要そうな物は全て記憶しておいて、あとで紙に描きだして情報のすり合わせをするつもりだが……そんな中、Я・E・Dは暗闇の中で何かが光ったのを見つける。
ガシャン、と音を立てて向かってくるのは……斧を構えたセレストアームズだ!
「出たねっ! さっさと片付けようか!」
咲良のバーンアウトライトが命中し、アーマデルの英霊残響:逡巡が響き渡る。
ジュリエットのソウルストライクも叩き込まれ……やがて、セレストアームズはその機能を停止させる。
「遺跡、商店街……防衛兵器が動く条件が何かある筈、店である事を考慮すると中で設備を破壊するとか、何か持ち出そうとするとか……? だが今のはどちらのパターンにも当たらないはずだ……壁抜けするのは明らかに怪しそうだな、やむを得ない場合以外なるべく正規の出入り口を利用したいな」
アーマデルが考察をするが、確かに何か通常の客では有り得ない行動をした時に襲われる可能性は高いように感じられる。
だがそれは探索時間が長くなることをも意味する。するが……。
「時間を掛かっても良いので虱潰しにすれば、何かしらの成果はあるでしょう」
オリーブのそんな言葉に、『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)も頷く。
「天空機兵の存在から鑑みるに、どうやら遺跡のセキュリティはまだ生きているようです。驚くべきことですが、同時にこれは問題でもあります。エネルギー供給が完全に断たれているなら、セキュリティ類その他は完全に沈黙します。そのため、探索活動等はむしろやりやすくなりますが、中途半端に供給がなされている現在、それは探索活動の大きな妨げとなります」
そう、この施設は生きている。セレストアームズが独立的なエネルギーで動いているとしても、施設自体にもエネルギーが供給されている。
それは今までの調査を鑑みれば精霊の可能性もあるが……。
(エネルギーの供給源があるとすれば、一度目の調査で見つけたあの壁画……そして語りかけてきた声と、何らかの関わりがある可能性が高いです。エネルギーの供給源を速やかに把握し、可能であればコントロール下に置くことが肝要になりそうです。霊核……その言葉が示す意味を、一刻も早く見つけなければ)
思い出すのは、ハインがアーカーシュに来た時に最初に行った遺跡のことだ。
未だにその意味は分からないが……此処にその謎の一片でもあればいいとハインは願っていた。
「それにしても今になってもまだ動くゴーレムがいるってのには驚きだな……」
「とりあえず防衛機構は全部破壊しておこうか。調査中に何かあると危ないしね」
ライとЯ・E・Dの提案に反対する者は……いるはずも、ない。
●地下商店街の奥にあるものは
「こういう遺跡の調査ってあんまりやらないからちょっと新鮮なんだよね! 遠足に来たみたいでちょっと楽しいな」
何度かセレストアームズを撃退する中で、咲良はそう笑う。
「ていうか、昔の人たちっていろんな技術も持ってて、結構充実した生活してたんだねぇ」
料理屋……とはいえ営業しているはずもないが、そんな店を見つけるがメニューは当然朽ち果てて残っていない。
「とはいえ、何が起こるかわからないからね。気を引き締めて臨まないと、ミイラ取りがミイラになっちゃうこともあるし、浮足立たせないようにちゃんと頑張らないと」
それはそれとして、探索は重要だが……ジュリエットは興味深そうに中を調べていた。
「料理屋さんなどもあったのですね。珍しい調理器具などはあるでしょうか? どんな物を食べられていたのか、朽ち果てているかもですが情報を見つけたいですね」
アイス・スピリッツ製氷機と命名された製氷機の同型、暁の火と名付けられたコンロ……どれも精霊機械だが、精霊を扱う能力があれば、まだ動きそうな器具もある。
「……これは?」
冷蔵庫、だろうか? 温度を逃がさないように頑丈に作られたソレは、開けても食材など入ってはいないが……。
「持って帰ってみる? オイラなら運べるけど」
アクセルがそんな提案をする中、仲間達も料理店の中を探す。かつては人気店だったのかどうか。
当時のことについては想像するしかないが……修復さえ出来れば、また営業できそうなくらいには形が残っている。
「地下街か……壁の内には換気や給排水の設備が張り巡らされているのだろうか」
アーマデルも言いながら壁を探せば、それらしきものが見つかる。
こちらはどうやら稼働していないように見えるが……壊れているのだろうか。
「家電などのような高度な設備の痕跡があるなら、恐らくセキュリティ……迷惑客を放り出すような仕掛けもあるかもしれない。そういうのを統括する警備室的なものもあるだろうか? もしその手の仕掛けが働いていたら、従業員等が引っかからないような解除か認証手段があるはず……」
「……地図とか案内の跡が残ってたりしないだろうか? 冒険者の時の経験である程度古い文字でも「解読」できるから見つけられたら探索に活かせそうだが」
「マッピングはしてるけど、何処かに案内マップとか残ってないかな?」
ライとアクセルもそう頷きあうが、今のところそれらしきものは見つかっていない。
劣化して朽ちたのかもしれないが……探せば解読可能なものがあるだろうか?
「壊れていても良いから持っていけそうな道具と、その道具がどこで見つかったか、マップに記載して残して行けば、この遺跡が昔はどう使われていたか判るんじゃないかなぁ?」
そうすれば、その配置から自然と警備室……あるいは重要な部屋の位置を割り出せるはず。
そうЯ・E・Dは言うが……あるいは地図は残っているかもしれないと考えてもいた。
長い年月でも朽ちない硬い石などに刻まれた文字や絵があれば、店の名前とか場合によっては案内図が見つかるかもしれないと、そう考えていたのだ。
「そうだね。注意深く探していけば全容も分かるはずっ!」
「たとえ品物が朽ちていても、此処みたいに残っているものがあるかもしれないしね」
咲良とアクセルも頷き、地下の探索は続いていく。
途中にある瓦礫もセレストアームズが埋まっていないことを確認した後にЯ・E・Dが物質透過しすり抜けて奥を確かめる。
そうして進んでいくと……やはり瓦礫に埋もれた場所から物質透過で戻ってきたЯ・E・Dが「何かあったよ」と報告する。
「じゃあ、この瓦礫をどかしてみよう。オイラが運ぶよ」
アクセルの自らの運搬性能を活かした提案に仲間も頷き、瓦礫をどかしていけば……その先に、確かに今までのものとは違うドアのようなものがある。
そして……破壊されたゴーレム……セレストアームズの姿もある。
瓦礫で崩れたのか、それとも別の要因か。部品があれば直せそうだが、今はドアの確認が優先だろうか?
「……鍵がかかっていますね」
オリーブがドアを開けようと試してみるが、鍵がかかっていて開きそうにはない。
そして此処に来るまでの間、ドアの鍵らしきものは見つかっていない。
「これは……管理室、かな?」
ライが劣化したプレートの文字を解読すると、アーマデルも「やはりこの類の部屋があったか……」と呟く。
セキュリティの程度は分からないが、ここまで来れば入らないという選択肢もない。
「地下の店舗の壁なんて1mの厚みも無いだろうし……やってみよう」
Я・E・Dが物質透過しすり抜け、内部からドアを開ける。
この手のドアにはありがちだが、中からであれば開けられるものであったようだ。
そうして中に全員で入ると……ハインが「うわあ」と声をあげる。
そこには、何らかの装置が壁一面に並んでいた。
練達にあるような「警備室」「管理室」から連想するイメージとは違い、何に使うのかも分からないような装置の群れだ。
時折装置を光の線などが走っていくのが見えるが、稼働中……ということだろうか?
「霊魂は……居ないようですね」
オリーブの霊魂疎通に反応する霊はいない。ここで誰かが死ぬようなことはなかった……ということだろうか?
「くろねこ、ピカッと頼むぞ」
微妙に暗いこの部屋をアーマデルはくろねこダンジョーに発光して貰い調べていく。
「これも精霊道具、なのでしょうか?」
「分からないけど、不思議だね」
ジュリエットと咲良も頷きあいながら、周囲を探していく。
どうやら此処は本当に何らかの管理をする部屋だったようで、まだそのシステムも停止してはいないようだった。
あるいは確かな知識で整備することが出来れば、この地下商店街も機能を取り戻し生き返るだろう。
それを誰もが強く確信していた。そうなれば、あるいは此処も新たな住人で満たされるような……そんな日も、来るのかもしれない。
今はまだ、分からないけども。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ちなみに八重洲地下街ですが、リニューアルされて凄い綺麗になったらしいです。
現代に残る地下商店街、是非1度……いや違う。
皆様の探索の結果、地下商店街もバッチリ探索できました。
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
表層遺跡の探索です。
階段を降りた先に広がる空間ですが、どうやら地下街のようなお店の立ち並ぶ空間であったようです。
料理屋さんに食材店、あるいは雑貨店……などがあるのですが、陳列されていたであろう商品類は朽ち果て尽くして消滅しています。壁は他の遺跡同様に石やセラミックのような硬い素材で出来ています。
古代の道具なども見つかるかもしれませんが、動くかどうかは分かりません。
あちこち壊れているので、瓦礫などで埋まって進めない場所も出てくるかもしれません。
以下、その他の必要情報です。
●敵(埋もれていたり、待ち構えるようにじっと佇んでいたりするかもしれません)
・セレストアームズ(天空機兵)(斧)×5
アーカーシュに眠る古代の防衛兵器です。稀に動き出し、襲ってくることがあります。
近接戦闘全般に長け、力強い斬撃を行います。
・セレストアームズ(天空機兵)(機関銃)×3
アーカーシュに眠る古代の防衛兵器です。稀に動き出し、襲ってくることがあります。
遠距離闘全般に長け、恐ろしい銃撃を行います。
●特殊ルール『新発見命名権』
浮遊島アーカーシュシナリオでは、新たな動植物、森や湖に遺跡、魔物等を発見出来ることがあります。
発見者には『命名権』があたえられます。
※命名は公序良俗等の観点からマスタリングされる場合があります。
特に名前を決めない場合は、発見者にちなんだ名が冠されます。
※ユリーカ草、リーヌシュカの実など。
命名権は放棄してもかまいません。
※放棄した場合には、何も起りません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
……ん? 想像できない具体例を示せと?
その通りですね。では八重洲地下街みたいなのをご想像ください。
それでは皆様の冒険に幸あれ!
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