シナリオ詳細
<タレイアの心臓>気まぐれな妖精に鎖を
オープニング
●
『ファルカウ制圧作戦』。
それは、ローレットによる幻想種達の保護や下層部に待ち受ける敵勢対象の排除を目的とした作戦だ。
「作戦に当たって、話を整理しますね」
『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が集まるイレギュラーズへと状況を確認する。
深緑全土を覆う『咎茨の呪い』の対抗手段として『タレイアの心臓』を得たイレギュラーズは、アンテローゼ大聖堂を拠点に作製を開始することになる。
「目指すは大樹ファルカウ。ただ、多数の障害が皆さんの前に立ちはだかるはずです」
暦ではもう夏になろうというのに、寒々しい空気に包まれたファルカウの周囲に無数の影が飛来する。
暴食の魔種ベルゼー、飽食の魔種カロン、冬の王、大樹の嘆きシェーム、常夜の王子ゲーラス……それらの敵の配下や魔物などがファルカウの防衛に当たる。
「深緑の幻想種達の命がかかっています。強引に突破してでもファルカウ上層を目指したいところです」
アクアベルが突破を願うのは、ファルカウに突入後に待ち受ける一隊の突破。
魔種カロン配下のインヴァリスがその隊を纏め、冬の王の配下妖精であるアイススプライト、アイシィ。彼女達の配下数体が通路を塞いでいる。
「アイシィという妖精は先日の依頼でも姿を現しています」
気まぐれな彼女はこの状況を楽しんでおり、思うままに振舞っている。連れているトロールと共に思いっきり暴れたいのだろう。
イレギュラーズの説得には耳を貸しており、説得できる可能性は低くなさそうだが……。
「なお、インヴァリスは鎖状の蔓を操る魔種だそうです」
そいつの引き連れるバーゲストもまた鎖を操る魔獣であることもそうだが、インヴァリスは気ままな妖精を良く思ってはおらず、縛り付けてでも自分達の組みしようとさせているらしい。
「敵対勢力も一枚岩ではないということですね」
状況を利用することで、突破が楽になるかもしれないが、相手は魔種。
危険すぎる力がイレギュラーズ達の身に悪影響を及ぼすことだってある。
その一つが『眠り』……魔種カロンによる権能である。
「インヴァリスは侵入者を深い眠りへと陥れることができるようですが……。詳しくはわかりません」
とにかく、敵の動きには細心の注意を払いたい。
依頼の為の準備を整えるメンバー達へと、アクアベルは最後にこう告げる。
「鎖に眠り。それらに皆さんが打ち勝つことを私は信じています」
●
木々に囲まれる大樹ファルカウ。
普段は国名の通りに緑あふれる地域で有るはずが、寒々しい冬の暴威によって全身の葉を落としてしまっている樹も少なくない。
これだけ寒ければ、深緑の幻想種も屋内で暖を取りそうなものだが、その全てが『咎茨の呪い』の影響で昏睡状態に陥っている。
「…………」
それらを目にしながら、ファルカウの通路を歩いていたのは、幻想種の女性……いや、すでに堕ちてしまった彼女は魔種となり果てていた。
怠惰の魔種カロン配下、インヴァリスは冷めた表情で周囲を見回す。
「このままでいいのに」
ぽつりと呟いた彼女は後方からついてくる魔獣。そして、さらに後方に従える妖精を睨みつける。
冬の王の配下というが、自由奔放なこの妖精に、インヴァリスは露骨な嫌悪感を示して。
「このまま、止まってしまえばいい。そう思わない?」
「……思わないの」
妖精アイシィの表情は浮かない。その四肢に蔓の鎖でできた輪が付けられており、下手な動きをすれば縛り付けると言わんばかりだ。
彼女達の連れていた魔獣達はそんな主達のことなどお構いなしにうなりを上げている。
「さあ、来るわよ」
前方から近づいてくる足音。それがイレギュラーズのものとインヴァリスは疑いもしなかった。
- <タレイアの心臓>気まぐれな妖精に鎖を完了
- GM名なちゅい
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2022年06月04日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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謎の茨に覆われて久しい深緑、アルティオ=エルム。
アンテローゼ大聖堂を経由したローレットイレギュラーズは、国の中央部に聳え立つ大樹ファルカウを目指す。
なんでも、この上層に国土を封鎖した元凶がいるという。
ならば、イレギュラーズ達にとって、目下の目的は……。
「ファルカウ下層を突破するのじゃ」
白塗りの顔にちょんまげというどこかのコントで見かける様な殿様メイクをした『殿』一条 夢心地(p3p008344)が閉じたセンスで大樹上方を指す。
腰に届く程に長い銀髪、中性的な印象を抱かせる『闇之雲』武器商人(p3p001107)は大樹内部の部屋にて昏睡状態のままとなっている幻想種の人々の姿を見て。
「土地への被害も、人的被害もなるべく避けたいところだ」
武器商人がそう思うに至ったのは、戦場になりそうな大樹内の状況を見た他にも理由がある。
それは、武器商人にとての番が深緑の情勢に心を痛めていたというのも大きく、彼はなるべく被害を少なくして事態を解決させたいと思っている。
ただ、その為の道筋は決して平坦ではない。
「アイシィ様……何とおいたわしい事に」
深緑西部の生まれ、恵みの森を意味する名を持つ『風のテルメンディル』ハンナ・シャロン(p3p007137)は、その理由の一つについて口にする。
先日の依頼に現れた妖精……アイススプライトのアイシィは、気ままな性格らしく、自由で楽しいからといった理由で冬の王の配下となり、
協力していたようだった。だが……。
「契約もしてないのに、妖精を縛るのはいかがなものかねぇ」
武器商人の持論に合わせ、ハンナが強く拳を握って。
「参加を決めたのは己の意思かもしれませんが、鎖をかけられてまで使役される謂れはないはずです!」
「妖精には自由が似合うものさ」
熱くなるハンナに対し、武器商人は極めてクールに言葉を返す。
そして、もう1人、今回の話を聞いて並々ならぬ使命感を抱くメンバーが。
「……明らかにアイシィさんがつまらなさそうだな、ならやることは決まっている!」
自由にできず、鎖で拘束されているという妖精アイシィの説得を。
大鎌を持ち、翼を生やす小さな妖精、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が力強く語る。
なお、サイズの本体は鎌の方であり、人型はギフトによって作成されたもの。人型と鎌が鎖で繋がれているが、彼にとってはこれが動きやすい状態のようである。
話を戻すが、妖精アイシィを鎖で縛り付けるもう1人の敵が問題だ。なんでも、そいつは怠惰の魔種カロンの部下なのだという。
「ほーん……蔓で縛ったり、あんなことやそんなことをするおなごか」
夢心地が言うように、この魔種インヴァリスは蔓を鎖状にして使うという。それで、アイシィの手足を縛り付けるのだという。
「縛り付けて言う事を聞かせようなんて浅はかな思い、イレギュラーズに通じるとは思って欲しくないな」
黒髪和装の鍛冶師青年『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)は、相手が魔種となればなおさらと、依頼に強い意欲を見せる。
また、その怠惰の魔種インヴァリスの考えにも、メンバーは思うことがあったようだ。
話によれば、変わりゆく深緑の状況を憂うインヴァリスは、冠位魔種達と協調して彼らの活動を助力しているという。
「特に不満の無い現状を維持したいという気持ちは分かる。……が、茨が蔓延るこの状況は明らかにその維持したかった現状とは違うと思うんだが」
「解せねぇ、解せねぇよ……」
気だるげな態度をとる眼鏡青年、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)もこの事態について思うことを口にすると、幻想出身で隻腕の獣種、の『航空猟兵』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360) がやるせなさそうに呟く。
「平和に暮らしたかった幻想種が既に各地で犠牲になってんだよ」
魔種となったインヴァリスらが自分達の主張を通そうとすることで,
森林各地で幻想種が死に至る事件をアルヴァは目にしている。
「俺はもう、絶望に染まった死体なんぞ見たくねぇんだよ……」
しばらく、イレギュラーズは無言で先を急ぐ。
その間もメンバー達の視界にずっと茨が映っており、場合によってはそれらは通路を塞いでいる。
「魔種もだが、なによりもこれだけ張り巡らされた茨が厄介だ」
自身を泥人形と自称する土気色の肌をした『死と泥の果より』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)は協奏馬3体、泥、沼、雷を広く展開させ、いつ束なった茨が強襲してもいいよう備える。
「なら、茨ごと切り捨ててでも進まないとな!」
錬は仲間と共に茨を排除しつつ、先を急ぐ。
ファルカウ内通路を進んでいた面々。
深緑内は初夏とは思えぬ寒々しい空気が漂っており、思わず身震いしてしまうメンバーも。
(いるね)
そんな中、広域俯瞰で周囲の状況を見ていた武器商人がハイテレパスを通して仲間達へと伝える。
曲がった先の通路の先で待ち構えていたのは、すらりとしたスレンダーの見た目をした女性、四肢を蔓の鎖で縛られた美しい氷の妖精。そして、それぞれが連れていた魔獣バーゲスト3体とトロール2体が後方で待機していた。
「麿のスカウターではえっち度【782】と出ておる。なかなかのえっち魔種じゃ」
その中で、夢心地は魔種と化した幻想種女性を注視して。
「来たわね、ローレット……」
「初手からえっち魔種との真っ向勝負といきたいところじゃが────
」
物憂げな視線を投げかけてくるインヴァリスに、夢心地は勝負を仕掛ける気満々ではあるが。
「相手になるの」
傍の空中に浮かぶアイシィはローテンションに身構える。こちらも一筋縄ではいかぬ相手。
ブオオオオオオオオッ!!
アアオオオオオオ!!
それに、彼女達の連れている魔物達もこちらの身長以上の体躯を持つ大物ばかり。こちらも下手な立ち回りを行えば大怪我しかねない。
「これは気を引き締めてかからねばならぬぞ」
「……どうでもいいや、さっさと片付けようぜ」
「この先へ進むためにも、アイシィ様のためにも、全て斬り伏せてみせましょう!」
戦いに備え、世界が周囲から魔力を集め始めると、ハンナもいつでも抜けるようガンエッジに手をかける。
少しだけ浮かび上がるアルヴァは通路脇にあるいくつもの部屋で眠りについている幻想種達の存在を改めて認識し、加えて……。
「周囲に張り巡らされる茨も煩わしい存在だな」
加えてアルヴァは皆に、どこから現れるか分からぬ茨の襲撃に警戒を促す。
「茨は厄介だが今の俺には為す術が無い。任せるぞ」
むしろ、世界が気にしていたのは、あまり敵にはしたくない妖精アイシィ。
「……絶対、助けるよ」
強く説得を希望しているサイズがきっと何とかすると世界は信じ、仲間の支援回復に努める。
「なら、他の奴らは俺たちが抑えないとな」
「敵の数は多いですが、まずはそれ以外の取り巻きから排除していきましょう」
マッダラーもまた、サイズが絶対にアイシィを何とかしてくれると疑わず、彼が対応に注力できるよう他の敵を抑えに当たる。
「まずは取り巻きの魔獣共を片付けてからの方が、集中できるかの」
むさくるしい連中は早めに葬ることにした夢心地は仲間に合わせ、妖刀を抜くのである。
●
大樹がざわめく。
また一つ戦いが始まったことで、ファルカウが何かを訴えかけているのかもしれない。
だが、イレギュラーズがそれを感知しようが、しまいが、応じている余裕はない。目の前の敵は、茨は、問答無用でこちらを排除しようとしてくるのだから。
氷の妖精は四肢を縛られてはいたが、その動きは素早い。
「……こちらから行くの」
アイシィは感情の籠らぬ声でぼそりと一言。
続けて前方へと吹き出した氷のブレスが待機中の水分を凍らせ、こちらを纏めて凍り付かせようとしてくる。
しかしながら、そんな中でもサイズは突っ込んでいく。
「アイシィさん……これが君の望む楽しいことなの?」
彼も無策でいるわけではない。自身や仲間の周囲に植物の葉や花を舞わせることで回避力を高めて直接攻撃を浴びぬよう対処していた。
ただ、サイズはそのスキルを、アイシィにまで施していて。
「どういうことなの!?」
「信じてほしい……俺はアイシィさんを助けに来たと!」
至近距離にまで近づき、氷の妖精へと訴えかけるサイズにアイシィは戸惑いを隠せずにいて。
「なんでなの……」
四肢の拘束もあり、自由に振舞うことができないアイシィはサイズや他メンバーに向けてなおも攻撃を続けてくる様子だった。
その他メンバー。武器商人は一直線にインヴァリスの抑えへと動く。
「……私を狙ってくるなんてね」
少し大儀そうな素振りも見せるが、一度魔種へと堕ちた力を放てばその威圧感は並々ならぬものがある。
その力の一端として、彼女の発する空気を浴びるだけでも全身に倦怠感を覚え、敵対する者はその動きを鈍らせてしまう。
だが、すでに異常攻撃に対する対策をとっていた武器商人はその力に抵抗し、侵攻を食い止めようとブロックする。
そんな武器商人の足止めに続き、錬は他の仲間達が取り巻きを倒すまで攻め続けんとインヴァリスへと接近する。
錬は取り出した式符から真銀の刀を鍛造し、斬りかかっていく。その勢いは一気に倒そうとする気概に溢れていて。
「気持ちで負けてはすぐに呑まれてしまうからな!」
魔種に対するに当たり、錬は支援も当てにしていたが、そちらは世界が担う。
世界は魔種の展開する戦闘意欲を削ぐ技の対処をと、簡易式召喚陣で風の精霊を召喚する。
そうして、味方の周りに風のカーテンを展開することで、敵から受ける影響をシャットアウトとまでいかずとも、軽減しようというのだ。
世界自身も平常心で事に当たり、ギフトの並行心と合わせて万全の対策を期す。後は徹底的に仲間達の回復支援に当たるのみだ。
一方、取り巻きと対するメンバー達。
ブオオオオオオオオッ!!
アアオオオオオオ!!
魔種、妖精の引き連れたバーゲスト、トロールが立ち塞がる。
「救うために、俺はここを進ませてもらうよ」
トロールへと接近していくアルヴァは、それらを2体同時に引きつけるべく名乗りを上げた。
オアアアッ!
アアアアッ、アオオオオオ!!
毛むくじゃらのトロール達は周囲を揺るがすほどの声量で叫ぶ。
身の毛もよだつほどの叫びは、聞く者の身を竦ませてしまう。
だが、世界の支援もあり、さほど大きな悪影響が及ぶことなく、イレギュラーズは攻撃に出て。
携行してきたバレットガンエッジへと装填したハンナは、いくつもの鎖を垂れ流す鎖を装着したバーゲストから攻撃する。
ブオオオオオオオオッ!!
長い鎖を引きずり、二本足で歩くその魔獣もまた耳をつんざくような大音量で吠えてくる。
「デカブツなりのタフネスは備えておりそうじゃが、ここで手間取るワケにはゆかぬ」
イレギュラーズの目的はこの場の突破だと夢心地は改めて口にする。
物理的に道を塞いでいる魔獣を早々に倒すことで、この場を上位魔種から託された魔種インヴァリスへとプレッシャーをかけるのだ。
――強引に突破されるかもしれない、と。
「よって、初手から全開じゃ」
バラエティでコントでもやりそうなその見た目からは思いもしないような素早い動きで、殺人剣を操る夢心地。
先ずは刀を操りながらも、膨張した黒い顎を手近なバーゲストへと食らいつかせる。さらに、彼は猪、鹿、蝶の三連撃を立て続けに見舞う。
血飛沫を撒き散らすバーゲストへと、夢心地を休むことなく斬撃を刻み込んでいく。
ハンナもまたバーゲストと距離を詰め、ガンエッジの刃でバーゲストの巨体へとこちらも三連撃を浴びせかけていく。
確実に、正確に、斬撃を刻み込むべく、ハンナは呼吸を整え、効果的な攻撃をと集中してから刃を振るう。
ブオオオ、オオオオオオオオオ!!
身体を駆け巡る傷み故か、それとも本能か、バーゲストは激しく荒ぶって鎖を叩きつけてくる。
バーゲスト達に対して、盾となるのはマッダラーだ。
普段から自我について試行錯誤するマッダラーは更なる思考を重ねることで自らの血からを高め、バーゲストの前に出る。
「魔獣も広義において獣だろう、一つ泥人形が躾けてやろう」
ブオオオ、ブアアウウウウ!!
相手を自由にさせぬ為、常に2体をブロックするマッダラーに向け、じゃらじゃらと鎖を鳴らすバーゲストは獣の膂力を叩きつけようとしてくる。
マッダラーはそれを、モンスターの知識をフルに活動させることで先読みし、回避に当たる。
全てが避けられるというわけではないが、相手の筋肉の動きや、間接駆動などが分かっているだけでも敵の攻撃パターンはある程度割り出しができた。
相手の挙動を見定め、マッダラーはすぐさま動いて避け、攻撃を受ける頻度を減らす。
(思ったよりは行けそうだな)
ここで味方が疲弊してしまえば後に響く。
「どうした、泥人形一つ破壊することもできんのか」
そう考え、マッダラーは名乗りを上げてもう1体のバーゲストまでも気を引く。
ブオオオオ、オオオオオオオオ!!
まんまとその思惑に乗ったバーゲストは怒り狂い、マッダラーへと鎖を振るってきた。
●
しばらく、イレギュラーズと魔種インヴァリスを筆頭とした混成隊は
激しい攻防を繰り広げる。
イレギュラーズ側は主だって盾役となっていたのは3人。
魔種インヴァリスを抑えつけていたのは武器商人だ。
「旅人……あんた達が一番厄介なのよ」
次々に混沌へと呼び出される旅人は当然深緑の地にも多数やってくる。不変を是とするインヴァリスとしては耐えがたい事実だ。
それ故に彼女はイレギュラーズをも縛り付け、戦意を奪おうとする。
「そんなに変化が嫌かぃ?」
「ええ、このままでいい、いいのよ……!」
不快感を示すインヴァリスは鎖状に組み上げた蔓で武器商人を縛り付けようとしてくる。
ただ、武器商人はそれからするりと抜け出し、相手の進行を食い止める。ダメージ皆無とはいかないが、武器商人にとってはそれすらも戦略の一つ。仲間へと及ぶ攻撃すらも引き付け、武器商人はじっと攻撃に耐える。
庇っていたのは主に共闘する錬だ。
「魔種相手だ、大盤振る舞いで行くぞ」
熱い血を滾らせた錬は真銀の刀で斬りかかる。
多少縛り付けられたところで、接近していれば問題ないし、世界の支援もある。
「『怠惰』なんて司ってる連中だ、搦め手主体の相手の土俵に登る事はない!」
全力で刃を煌めかせ、一撃、一撃を見舞っていく錬。
再び発される倦怠感のある空気は頑固職人魂で気を強く持ち、その性質が分析できないかと探りながら、錬はさらなる一撃を打ち込んでいた。
「大丈夫だ。風が守ってくれる」
世界は号令をかけて仲間の状態を立て直し、別の盾役の状態を確認する。
サイズは盾役とは言えぬが、妖精アイシィを抑えている状況ではある。
敵対勢力ではあるものの、アイシィを敵と認識してはいない。
なぜならば、サイズが必ず説得するであろうと皆疑っていないからだ。
「…………!」
サイズは自らの本体である大鎌を魔力体に操らせる形で連続して振り抜く。
鋭利な刃は敵の身を激しく切り裂く乱撃となる。確かにサイズはアイシィに向けてそれを振るってはいたが、彼が障害と感じていたのは、アイシィの四肢を縛り付ける蔓の鎖。加えて周辺の魔物達だ。
思った以上に強固なそれを、サイズは破壊するまで切り裂く。
「何してるの!?」
前回もそうだったが、サイズは一切アイシィを傷つけてはいない。
妖精はイレギュラーズを邪魔な相手としか見ていなかったはずだが、そんなサイズの態度に当惑してしまっていた。
ブオオオオオ、ブフォオオオオ!!
「まだまだだな」
マッダラーがバーゲストをいきり立たせて抑える間、アルヴァはトロール2体の注意を引き付けつつ通路の中央部へと移動する。
グオオオオウ、ガアアアアアウ!!
唸るトロールの拳は掠るだけでも肉が引き裂かれる程の威力。
直撃を防ぎ、アルヴァはその驚異的な回復力を上回る殺人剣を行使し、逃がすことなく空中から切り刻まんとする。
トロールだけなら、うまく急所を突くことで仕留めることもできたかもしれないが、周囲でかさつく茨がアルヴァの集中を乱す。
いずれ動き出すとは皆思っていたが、それが今だったらしい。
「茨の動きがおかしい。警戒を強めるんだ」
協奏馬達が落ち着きなく騒ぎ出したことで、マッダラーがアラームを発して仲間達へと呼び掛けると、周囲の茨が一気に絡み合う。
「来ます!」
「この忙しいときに!」
魔物を相手にしていたハンナやアルヴァが眼前の敵をそのままに、茨の対処を優先していくのである。
●
戦いは激しさを増すが、近場で眠っているはずの人々は一切目を覚まさない。
その元凶こそが戦場を覆う茨である。
耐性のない深緑の民を眠りへと誘い、決して目覚めぬ昏睡状態へと落としてしまう。
それは、イレギュラーズとて、例外なく襲う。
下手に捕まってしまえば、激しい眠気を覚えてしまい、戦いどころではなくなってしまう。
「しゃらくせぇ、全部ぶっ壊してやる!」
それゆえに、アルヴァもそれまで抑えていたトロールを放置してでも茨の排除を最優先する。
広域展開する茨を完全に排除するのは極めて困難だが、攻撃に特化して束なった状態であれば、一気に切り裂いて無力化できる。
自身へと向かってきた茨に、アルヴァは高機動を活かして茨の周囲を飛び、雷鳴の神を冠する雷撃で焼き払おうとする。
一方、夢心地にも別の茨が近づいてきていた。
周囲から及ぶ茨に加えて、魔種の発する眠気。
これらは怠惰の魔種カロンによって与えられた職権であり、インヴァリスは自在に使いこなす。
その眠気に囚われてしまった夢心地は……。
「――突撃じゃ」
敢えて、茨の攻撃を喰らいに向かう。
それだけなら、彼も対処のしようがあっただろう。だが、そこにトロールが飛びかかってきたのが運のツキ。
グオオオオオオ!!
風を切るトロールの一打は夢心地の体を強く打ち付ける。
思惑通り、彼は距離をとることはでき、眠気を振り払うことはできたものの、代償としてパンドラを失ってしまう。
束なる茨の攻撃力はかなりのものだが、その反面防御力が恐ろしく脆弱だ。
茨はイレギュラーズだけでなく、トロールやバーゲストにも襲い掛かっていたようで、その体を絡めとって鋭い先端で突き刺してくる。
なお、インヴァリスや協力者であるアイシィを茨が襲う様子はない。カロンの力の一端を持っていることで、敵視されないのだろう。
さて、茨の絡みつきから距離をとるアルヴァは防御を集中し、次なる茨の一撃を見事に躱してから再度雷撃を迸らせ、束なる茨を焦がし、無力化してしまう。
もう1体はハンナが攻め立てていて。
「刮目せよ」
ガンエッジを振るうハンナは剣舞で複雑に絡み合って1本になった茨を切り裂く。
細い茨を幾十、幾百と切り裂くハンナ。
茨はそれでも更なる茨を集めようとするが、復帰した夢心地がそれを許さず、切り払っていく。
「麿の返礼、ありがたく受け取るがよいぞ」
にやりと微笑む夢心地へと再度伸びる茨。
丁度、インヴァリス対応組へと差し掛かったこともあり、錬も対処に当たって武器を氷の薙刀へと換装する。
後は魔種共々、茨を薙ぎ払うのみ。
錬によって切り裂かれた茨は通路の床に落ち、そのまま枯れ果ててしまう。絡み合っていたはずの茨は完全にほどけてばらばらになっていた。
周囲の茨が晴れれば、メンバーは再び元の攻撃対象の引付、攻撃へと戻る。茨にさほど耐久力がない為、その攻防はあっという間に終わる。
ただ、その短い間に、サイズとアイシィに動きが。
サイズが振り下ろす刃がアイシィの四肢を縛っていた最後の蔓の鎖を切り裂いたのだ。
「ああ……っ」
アイシィはちらりとインヴァリスの方を見やるが、武器商人が抑えていたことでこちらの状況をまだ把握できていないらしい。
「アイシィさん……君はどうしたい?」
サイズは周囲の状況など意にも介さず、ただアイシィへと問いかける。
このままの状況でいても、楽しいはずがない。
現に、四肢を縛られていたアイシィはそれらから解き放たれて表情が一気に明るくなっている。
「え、えっと……」
返答に困るアイシィに、彼女の枷が無くなったことに気付いたインヴァリスが視線を投げかけて。
「……遊びたいのならこの騒動が終わった後に一緒に遊びましょう、友達になりましょう! だからこちら側に!」
「わ、わかったの……!」
意を決して離反を口にしたアイシィ。同時にインヴァリスが舌打ちして気だるげな空気を発して鎖状の蔓を打ち付けてくる。
世界が再びそれに対抗すべく支援の為に風の精霊を呼び寄せ、さりげなくサイズの周囲も風で包み込んでいた。
またも仲間達の攻撃の手を止めようと、武器商人はインヴァリスを抑えつける。
そして、すぐさま茨を排除した錬が戻り、淀んだ空気を吹き飛ばしてから再度真銀の刀でインヴァリスへと切り込んでいた。
いくらタフだとはいえ、所詮は魔獣。
バーゲストはいずれも全身に傷を負い、どす黒い血を垂れ流していた。
ここまで、茨が出ようが、マッダラーは敵の攻撃を一点に引きつけていたが、バーゲストは彼に向けて殴り掛かり、鎖を叩きつけてくるのみ。
攻撃は重い一撃が多く、その分隙も大きい。
「一気に薙ぎ倒すのじゃ」
夢心地は攻撃直後に至近から連撃を浴びせかける。
アオオォォォォォ……。
その3撃目でついにバーゲストが仰け反る様に倒れる。
程なく、ハンナも別のバーゲストを追い込んで。
至近距離から敵の背面、側面部からガンエッジで切り込む。
「武神(かみ)に捧げる血の舞を――」
軽やかに舞う剣の舞。バーゲストはハンナの刃によって何度も血を舞わせ、ついには目から光を失って崩れ落ちていく。
敵の数が減ってきたことで、抑え役を担っていたマッダラーも攻撃に加わる。
(サイズくんは上手く説得できたようだ。それなら……)
自分も役割を果たすべきだと、攻勢に打って出たマッダラーは朱い旗
をはためかせて敵の精神を侵食する。
バーゲストはただ存分に新鮮な餌を食べられる程度の考えだっただろう。だが、全身傷だらけのそいつは己の血をすすり、肉を喰らおうとし始める。
無論、マッダラーはそいつが正気に戻ってしまう前に、首輪上部を切り裂いて首を跳ね飛ばす。
マッダラーは倒したバーゲストを見下ろすこともなく、次なるトロールへと名乗りを上げる。
「さて、先程の魔獣より歯応えがあるのか見せてもらおう」
トロールは自己治癒力を持ち、序盤から抑えるアルヴァの与える傷も徐々に塞がっている。
グオオオオオオッ!
突如叫び出すトロールの絶叫はこちらの体勢を乱す。
だが、世界がすぐさま号令をかけて立て直しを図ってくれている。後は手数で圧倒するのみだ。
仲間と共に、ハンナが巨躯の敵へと3連撃を与え、すぐに追撃を繰り出し、その傷を抉る様に刻み込む。
泡を吹いて倒れるトロール。傍では、バーゲストを倒したメンバーの助力を受け、アルヴァがすぐにもう1体も追い込む。
敵は大柄な為、拳を振り下ろすときに前屈したり、前かがみになったりといった態勢をとる。
アルヴァはそれを狙い、相手の頭や胸部目掛けて殺人剣を浴びせかける。
オオオオォォォォ……。
弱弱しく叫び、大樹を揺らがしてトロールは倒れる。
アイシィが引き連れた手下ではあったが、彼女は仕方ないと首を振る。暴れ出したトロールを止めることは難しいとのこと。
「……悪いことしたの」
思うように暴れられればそれでいいと思っていたと、アイシィは吐露する。
その時、周囲へと放たれる酷く耳障りな音。
1人になったインヴァリスが原罪の呼び声を放ってきたのだ。
「抵抗しないで」
ひどく冷たいその声はこの場の面々の体を揺らがす。
旅人への影響は軽微だが、混沌で生まれ育ったメンバーの魂を、身体へと強制的に魔性を植え付けるおぞましい響きだ。
「呼び声だ。皆、離れるんだ」
旅人である武器商人が一喝し、混沌出身メンバーへと退避を促す。
もちろん、妖精アイシィも例外ではない。
「呼び声に答えたらだめだ! それを受け入れたら最後、二度と楽しい事が出来なくなる!」
サイズはアイシィを抱きかかえ、素早くインヴァリスから距離をとる。
「あ、あう……」
戦意を失ったアイシィはそれに抵抗するが、呼び声はとてつもなく強い。
「俺が作った秋の都とか、妖精郷にはまだ楽しいことがあるんだ! 呼び声に抗って! 俺が必ず助けるから!」
彼女を激励するサイズへと、いつの間にかインヴァリスが迫る。
抑えに当たっていた武器商人を鎖状の蔓で締め上げて一気に戦闘不能へと追い込もうとし、彼が脱力したところで動いていたのだ。
「余計なことはしないで」
鎖状の蔓を操るインヴァリスは小柄なサイズの体を締め上げ、さらに貫いてしまう。
それでも、サイズはパンドラを使ってでも堪え、アイシィをこの場から離脱させようとした。
これ以上魔種を自由にさせるわけにはいかぬと、マッダラーが力尽くで抑えようとする。
そのマッダラーを、インヴァリスが気だるげな空気を発することで無力化させようとする。
動きが鈍ったところで、相手を仕留めるのがインヴァリスのやり方。
「茨が蔓延るこの状況は変化と呼ばないのか? 呆れたものだ」
マッダラーを追い込むそいつへと、世界が呼び掛けて。
「結局、わがままを抜かしているだけじゃないか」
「なんですって……!?」
嘲笑すらする世界を憎々しげに睨みつけるインヴァリスは一直線に蔓を伸ばして彼の体を貫通させる。
一度は血を吐いた世界だが、パンドラの力でその傷を塞いで。
「今だ。いくら魔種とはいえ、力の行使には制限はあるはず」
世界はそう考えて号令を放つが、インヴァリスは両手を広げて何か言葉を紡ぎ始めた。
両手を広げて力を使う魔種へと、ハンナやアルヴァが迫る。
「この体が動く限り舞い続け、罠でも何でも食い破ってみせましょう!
」
相手がどんな力を使おうとも、ハンナはただガンエッジを振るって敵を討ち倒すのみと切りかかる。
「アンタの気持ちがわからないわけじゃないさ。でもな」
同時に、アルヴァも攻め入る。
仲間達がかなり傷つけているはずだが、涼しい顔をしている魔種へと、アルヴァは鋭い刃を突きつける。
「同胞を傷付けて、殺してまで叶えたい事だとは思わない」
手応えは十分。その体深くへと刃を埋め込み、切り払うアルヴァだ。
僅かに怯むインヴァリスだが、時折紡ぐカロンの名。どうやら、その権能を使うようだ。
やはり本人でない為か、即座に力を行使できないらしい。
「目標が星の如く高いからな……『怠惰』にこんな所で立ち止まる暇なんてないんだよ!」
錬も相手の操る鎖状の蔓ごと切り裂く勢いで斬りかかる。
だが、そこでインヴァリスの詠唱が完了する。
「さあ、眠りなさい。深く、深く……」
すると、インヴァリスに見つめられた錬が不意に瞳を閉じる。
床へと倒れこんだ錬は寝息を立ててしまう。
「思うがままに縛り付けたいというその気質、悪くは無いが……やはりおなごには寛容さも不可欠よ」
ならばその前にと、夢心地は残る力を振り絞って。
「──突撃じゃ」
自然豊かな国土を守るのもまた、殿的存在の務め。
このような寒々しい世界は放置できぬと、夢心地は迷わずインヴァリスの首を狙って切りかかる。
だが、敵はその刃を蔓の鎖で食い止め、素早く振り払って夢心地を排しようとする。
次なる一撃が繰りことを見越し、再び敢えてそれを受けて吹っ飛ばされる夢心地。
入れ替わるように、マッダラーと態勢を立て直した武器商人が同時に迫る。
「眠りの力に驕れるものに、幸せな夜明けが訪れると思うな」
泥人形の身体は倦怠感や睡眠などとは無縁と語るマッダラーが境地に足を踏み入れる。
武器商人も己の負傷を力へと転化し、全身に青い炎を燃え上がらせていた。
「泥人形殿」
2人は息を合わせ、攻撃のタイミングを同じくして。
「泥のように眠れ」
カムイグラに伝えられる闘法で攻めるマッダラーは敵の抱く夢想を現実にまで体現せんとする。
武器商人もまた変化を厭う敵に掴みかかり、それが無駄であることを直接示さんとする。
2人の攻撃は相当、インヴァリスにとって痛手となったはず。
だが、彼女は倒れず、全身を蔓で覆って防御を固める。
「哀れなものだな。不変を願った者が、何もかも既に変わっちまってる」
生に縋ってまで不変を願う敵へと、アルヴァが皮肉を告げるが、インヴァリスは鼻を鳴らして。
「……諦めないわ。深緑は閉ざされるべきなのよ」
刹那大量の蔓が現れたかと思うと、次の瞬間インヴァリスは姿を消してしまう。
そんな彼女に、アルヴァは思う。
反転さえしなければ分かり合えたかもしれない時間さえ費やせば、納得できる道があったのかもしれないのに、と。
「怠惰だな。簡単に諦めちまうなんて」
すでに、堕ちてしまった彼女には自分の言葉は届かない。アルヴァは改めてそう悟ったのだった。
●
不利を察して撤退した魔種インヴァリスは大樹の情報へと向かっていったようだが、イレギュラーズも満身創痍。錬などはいかなる手段を使っても目覚める様子はない。
先に進めばそれだけで茨の脅威にさらされ、さらに魔種の手勢と交戦する確率も上がる。
何より、この場にアイシィを置いていくわけにもいかないだろう。
「……ありがとう、なの」
地面へと降り立ち、うな垂れる氷の妖精は自分を束縛していたインヴァリスが去ったこと、そして、自分の連れてきたトロールが倒されたことを再確認する。
傍で彼女の無事をサイズが喜んでいたが、そこにハンナが近づいて。
「面白さで動くのも良いですが、これに懲りたら危ない事は控えめにしてくださいね」
「…………わかったの」
アイシィは小さく了承の意を示したのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは妖精の説得に成功した貴方へ。
今回はご参加ありがとうございました。
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
<タレイアの心臓>のシナリオをお届けします。
茨で鎖し、眠りの呪いへと幻想種を鎖した元凶こと『冠位』怠惰カロンへと至る際に障害となる存在の除去を願います。
●状況
部隊はファルカウ下層。
木の幹を刳り抜いたような通路内にて、魔種インヴァリスや冬の王配下妖精のアイシィと彼女達の部下が待ち構えています。
通路の再度には幻想種達の住居があり、戦いの影響が拡大すれば、そちらへと被害が及ぶ可能性があります。
目的は上層へと至る為にこの場を突破することですが、様々な要因を考慮して戦う必要がありそうです。
●敵
魔種カロン配下に冬の王の配下である妖精が協力しており、イレギュラーズの侵攻を食い止めに当たってきます。
〇魔種インヴァリス
身長は人間種の一般成人女性相当。怠惰の魔種。カロンの部下。元幻想種女性。
すらりとしたスレンダーな見た目をしており、変化していく深緑の実状を憂い、カロンに与しています。
カロンの権能『眠り』を利用し、『眠りの世界』を構築。侵入者を深い眠りへと陥れることができます。
戦闘では鎖状に組み上げた蔓を使って相手を束縛したり、鞭のように打ち付けてきたりします。
また、広範囲に倦怠感をもたらす空気を展開し、浴びた者の戦闘意欲を削ぎ、強く動きを鈍らした上で、先述の鎖状の蔓で相手を縛り上げたり、貫いたりとしてきます。
○バーゲスト×3体
全長2~3m程度。二本足で立つ魔獣。首に装着された首輪から数本、地面に至る程に長い鎖を垂らしています。
不吉の象徴ともされ、近しい者に死をもたらすとも言われます。
遠吠えで力を高めた上で相手を怯えさせ、鎖を叩きつけたり、太い腕で殴りつけてきたり、直接牙で食らいついてきたりします。
○冬の王の配下妖精:アイススプライト・アイシィ
「<13th retaliation>無邪気なる冷たき妖精」にも登場。
全長5,60センチ程度で、見た目だけなら氷の肌を持つ美しい妖精なのですが、面白そうだからと冬の王に味方し、やりたい放題振舞っているようです。
ただ、その四肢にインヴァリスが両手首、足首に蔓の鎖で作った輪を装着しており、この場から逃げないようにしているようです。
凍てつく視線は複数の相手を射抜き、凍てつく吐息を広域に吹き付け、宙を舞うダンスは見る者を引き付け、魅了します。
また、気まぐれな一面もあり、彼女の気を引くことができれば……。
〇トロール×2体
全長5mもある毛むくじゃらで筋力のある巨人。力で殴り掛かってくる他、絶叫してこちらの体勢を崩し、倒木などを投げつけてきます。
加えて、高い自己治癒力を備えている厄介な相手です。
○茨×2体
有刺鉄線の如く一定空間へと張り巡らされる謎の荊。
一体範囲の茨が束なってから敵対するもの目指して伸び、絡みついてきます。また、強引に排除しようとする者を昏睡状態へと陥らせたり、体力、気力を奪いつくりして死に至らしめようとしたりする。
茨は戦場のどこからでも束なることができるようで、その出現の把握はかなり難しいでしょう。
ただ、茨を傷つけることでその活動は低下します。
戦場に張り巡らされた状態では範囲攻撃に耐性を持つ為、非常に厄介な相手ですが、束なった茨は耐性が無くなるため絶好のターゲットとなるでしょう。
●魔種
純種が反転、変化した存在です。
終焉(ラスト・ラスト)という勢力を構成するのは混沌における徒花でもあります。
大いなる狂気を抱いており、関わる相手にその狂気を伝播させる事が出来ます。強力な魔種程、その能力が強く、魔種から及ぼされるその影響は『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』と定義されており、堕落への誘惑として忌避されています。
通常の純種を大きく凌駕する能力を持っており、通常の純種が『呼び声』なる切っ掛けを肯定した時、変化するものとされています。
またイレギュラーズと似た能力を持ち、自身の行動によって『滅びのアーク』に可能性を蓄積してしまうのです。(『滅びのアーク』は『空繰パンドラ』と逆の効果を発生させる神器です)
●『夢檻』
当シナリオでは<タレイアの心臓>専用の特殊判定『夢檻』状態に陥る可能性が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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