シナリオ詳細
<Paradise Lost>ジーニアス・フェイク
オープニング
●我が蒼薔薇
たとえ正直な気持ちを述べた所で、信頼された事など無い――
幼い頃から常に私は卒が無く、大人の喜ぶ歴とした優等生を演じるのが得意だった。
些細な問題で右往左往する誰の勘も鈍く、何時だって無為で、虚しい程に稚拙だと思っていた。
話のレベルが合わないのなら、同世代と真の意味での友情を築く事も難しく。
私は何時だって他の誰かをせせら笑って生きていた。
……いや、そうしたくてそうしていた訳ではない。
『才能(ギフト)』なる呪いは周囲と自身を隔絶させる呪いに他ならない。
そんな風に産まれついた事を倦厭しながら――それでも『本音』を隠すのは億劫で。
私は常に多少の精神力を仮面の維持に強いられていた。
……無理解な大人は私の内心も知らずに『麒麟児』を誉めそやし、そして或る時。
酷く胡乱で、酷く特別な一つの仕事を押し付けるに到る。
――クリスチアン、お前に頼みがある。
アーベントロート侯爵家のご令嬢の世話を焼いて欲しいのだ。
天下のアーベントロート家との繋がりを確固たるものにすれば、得るものは大きいという判断か。
子供を『だし』にそんな小細工を考える家人にもほとほと呆れるしかなかった。
……同世代はおろか、大人を相手にしても辟易する私に『子守』をしろというのだ。
当時の私の失望と嘲笑はきっと理解して貰えるものだと思う。
しかしながら、この一見するだにうんざりするような仕事は結果として私にとっても特別な意味を帯びるに到る。
――ご機嫌よう。私、リーゼロッテ・アーベントロート、ですわ。
私より大分年下の――歳不相応に落ち着いた少女のその顔を、最初に見たあの日を今も鮮明に覚えている。
かの毒巣、アーベントロート侯爵家のご令嬢はまさに家紋を体現するかのような『薔薇』だった。
ほんの一瞬だけ『仕事』も何も忘れて見惚れてしまう程に――彼女は硬質で美しく……
……付き合ってみれば直ぐに分かる位に、不躾で神経質で我儘で享楽的だった。
最高のアクセサリは、芸術品は。その作家性に如何なく奔放である程に強く輝く。
実際問題、『彼女』は退屈に首まで漬かって生きる私にとってのほぼ唯一の慰めだった。
……実に益体も無いが、感情的にどう否定したくても難しい。
単なる事実として、常に彼女は私の特別だった。特別になり得る『主人』だったのだ。
嗚呼、嗚呼――繰り返す。
繰り返すが、たとえ正直な気持ちを述べた所で、信頼された事など無いのだけど――
――本当に、厭な男! 虫唾が走りますわ!
――お嬢様は手厳しい。私は『或る意味で』貴女の事が愛しくてたまらないのに。
――私は彼女に退屈な嘘を言った事等一度も無い。
●ジーニアス・フェイク
「やあ、よく来てくれたね」
イレギュラーズが『あの』サリューに呼び出されたのは青天の霹靂だった。
時刻は夜である。警戒しながらも火急との事で駆けつけてみれば、彼等を出迎えたのはいよいよ難しいクリスチアンの顔だった。
「警戒は解いて構わない。今回については小競り合いしている暇も無いし、裏も無い。
……信じないだろうが、本当だ。少なくともこの話をしている間は一時休戦とさせて貰えれば幸いだ」
苦笑するクリスチアンはローレットにも確かな尻尾を掴ませていない。
「信じないし、警戒はする。
こうして話を聞いてやっているだけでも感謝して欲しい位だな」
しかしながら『魔種反転』ないしは『狂気伝播』の疑いを持つ彼は幻想とイレギュラーズを脅かした幾つかの事件における犯人、ないしは黒幕の一端であると目星をつけられている札付きの存在である。厄介な事に幻想でも最上級の名声を有する彼は、所属するアーベントロート派の意向もあって排除し難い存在であり、まさに平穏に対する病巣のようですらあるのだからイレギュラーズの構えも当然だ。
「勿論、そうさせて貰うとも。ただ、言葉遊びの時間が無いのは本当だ。
幾ら君達が相手でも本来はこんな時間に呼びつけるなんて失礼は、趣味ではないんだ。
……しかしながら、そうせざるを得なかったのは理由があるからだ。
勘のいい君達だから、何となく想像はついているかも知れないけれど」
「……アーベントロートの事件、か?」
「御名答だ」とクリスチアンは頷いた。
「アーベントロート侯――つまり、かの家のご当主だ。
侯の意向により、お嬢様が『解任』、そして『指名手配』されたのは知っていると思うがね。
……今回の用件はそれに纏わる話になる」
イレギュラーズにもリーゼロッテと親しい人間は多い。
突然のニュースは幻想中に驚きをもって受け止められ、ローレットを騒がしくしたのは確かである。
「アーベントロートの一件がどうした?」
「私も『今回』は多少のリスクを飲み込もう。
君達を信頼して言うが、私は正直を言えばこれが余り――非常に有難くない」
「……」
「君達も似たようなものだと思うが、これは極めて個人的な事情だ。
私は本来、アーベントロート家――侯に仕えるべき立ち位置の人間だからね」
クリスチアンの言葉は何時もよりは随分と直接的であり、言質を得るものであった。
「リスクを飲み込む」と言った言葉の通り、隠し事をしていないように思われた。
「……それで?」
「私は君達に依頼をしたい」
『想像はついたが、やはり答えはそれに極めて近かったらしい』。
「お嬢様の確保を?」
「……それが最上だが、それには到らないだろう。
逃走したお嬢様を追撃しているのは薔薇十字機関のエリート達だ。
そもそも、半端な相手ならば彼女や彼女の麾下が遅れを取る可能性等ないのだから、それはそういうものだと思うべきだね。
つまり、極めて危険かつ強力な追手が組織的に逃走中のお嬢様を追い詰めている。彼女自身が本気で逃げ回っている以上は接触も容易くなかろうが、我々がより現実的に彼女をアシストする方法なら明確だ。要するに――」
「――遊撃して、追手の薔薇十字機関を食い止める。無力化する」
「そういう事だ。一先ず彼女自身に安全な場所まで逃れて貰う必要がある。
一連の事件の開始地点はアーベントロート本邸だ。
つまり、彼女の現在地は本拠からこのサリューに逃れる途上にあると考えられるが、北部はアーベントロートの牙城だ。
これだけ電撃的に見事な追い込みを見せた侯が生温い事をするとは思えないから、お嬢様は文字通り四面楚歌の状態だろう。
……味方をしそうな有力者は精々が物好き、つまり私位しか居ないだろうね。
その私も、実際問題この動きが明らかになれば『洒落』じゃ済まない。
……その上で君達に協力を願っている訳だが、聞いて貰えるだろうか?」
安全な場所から常に物事を進めたがる黒幕気質(クリスチアン)が敵にこんな弱味を見せるとは随分な博打を打ったものである。
とはいえ、天才の彼の事。イレギュラーズが断ったり告発しようとも、幾らでも防御の方策は用意しているのだろうが……
実を言えばこの話はイレギュラーズにとっても渡りに船である。
友人めいた関係であるリーゼロッテを助けたい者はローレットにも数多かったからだ。
クリスチアンがイレギュラーズに話を持ち掛けたのは信頼性と動機の重視からだろう。
実力という意味でも、お抱えの鬼札(ばいせんいっこう)を除けばイレギュラーズは格別と言えるだろうし。
「具体的なプランは?」
「薔薇十字機関の動きはある程度把握している。
王都から北上して逃げるお嬢様を囲みにかかる有力な部隊の二つを我々が潰す。
一つ目は君達が、もう一つはバイセン達がやる。それで圧力が大分緩むだろう。
確実とまでは言えないが、お嬢様なら自力で切り抜ける可能性は高くなる」
クリスチアンは余り見たことがない顔をしたままイレギュラーズに頭を下げた。
「……私は君達の敵だが、この依頼、どうか受けては貰えないだろうか?」
それはとても――困ったような顔だった。
- <Paradise Lost>ジーニアス・フェイクLv:65以上、名声:幻想100以上完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別EX(悪)
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2022年05月23日 13時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費250RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●鮮血のヨルI
青天の霹靂と呼んで尚、生温い。
幻想(レガド・イルシオン)を襲った急激な政変はまさに突然の出来事だった。
この程、世間を騒がせるのは幻想三大貴族の一角、アーベントロート家で起きた更迭劇である。
当主代行リーゼロッテ・アーベントロートを、その父親であるヨアヒム・フォン・アーベントロートが排斥したという一大ニュースは国内を駆け巡り、真偽ゴシップ入り混じる憶測を飛び交わせていた。
(まぁ、しかし――)
月の無い夜が生温い風にざわめけば『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は内心だけで呟いた。
(貴方の事は嫌いですが……今だけは感謝しておいてあげますよ、クリスチアン)
『高度に政治的な存在であるイレギュラーズ』が本来、この政変劇に首を突っ込む事は難しい。
(事件の展開が急すぎる。
ヨアヒムがこうも簡単に代行を切り捨てるのは、『次』を用意できるからか? それが可能な理由は、不死性?
家令のパウルもどうしている? 彼の行方は? いや、彼はそもそも味方なのか?)
寛治の思考は残念ながら纏まりを作るだけの材料を欠いていた。
何れにせよローレットは一つの勢力に不必要な心情的肩入れをしない中立を担保にして特別な活動を許されている所がある。ローレットが仮にこの事件を一枚噛もうとするならば、確実に『依頼人』が必要なのは確かだった。それも先の見通せない情勢で、鵺のような敵に正面から立ち向かえるだけの傑物が。
――私は君達の敵だが、この依頼、どうか受けては貰えないだろうか?
……そういった意味で、事態が決定的に悪化する前に。この初動でローレットに介入を『依頼』したクリスチアン・バダンデールの提案は彼に個人的に難しい感情を持つ寛治が割り引いても感謝に振れるだけの渡りに船だったと言える。アーベントロート侯の圧力、権勢を考えれば彼以外の人間が早期の段階でローレットに接触し、重要な情報を告げ、事態を打開するアイデアを持っていたとは考え難いからである。
「実際、リーゼロッテくんはとても品行方正なタイプじゃない。
叩けば埃が出る所か、毛玉が山のように出来るだろうからね――」
何時になく表情を引き締め、『珍しく』幾分か気負った顔を見せた寛治の横で『苛烈なる星輝』ロロン・ラプス(p3p007992)が呟く。
「これでも、アーベントロートの当主代行であるうちは敬意を示してきたつもりだけれど。
そうでなくなったリーゼロッテくんはボクにとっては捕まえるに吝かじゃない危険人物だよ。
……まぁ、こうして仕事を請けた以上はボクも甘い。出来損ないの願望器でも――いや、だから、か。
ローレットはもちろん、ボクの管理する領地の子たちも彼女のことは気に入っているみたいだからね」
「子どもが、だ。誰にも頼れず一人ぼっちで今も逃げ回ってるわけだ。
……んで、それも追い詰めてるのは実の父親なんて話、認められるわけがねぇ」
細かい事情は知れないが、断片的に伝わってくる情報だけでも恐ろしく人のいい『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)を憤慨させるには十分な――『もう沢山な』話だと言えるのだろう。
「俺ぁ確かに。真の意味で親になったこたぁねぇ。ねぇが、これは『違う』だろ?」
「ああ、うん。それはそう。それに助けるのもやっぱり吝かではないんだよねぇ」と一方のロロンは幽かな笑みを見せていた。
クリスチアンは幼馴染であるリーゼロッテの行動を『南下しての逃走』と読んでいた。あの美しい至高の薔薇は政治的には上手ではなく、今回の事件はアーベントロート侯に完封されている状態と思われるからである。寛治等からすればそれ自体が些かの悔しさを感じる話であるのかも知れないが、クリスチアンは追い詰められた彼女が頼れるのは『自分だけだ』と判断していた様子である。同時に第十三騎士団の精鋭が王都から挟撃の形で放たれた事実を鑑みるに、その読みは辣腕たるアーベントロート侯も同様だったと見ていいだろう。
それが成功するかどうかは別にしてリーゼロッテはサリュー、或いはサリューの勢力圏に向けて逃走を続けている筈だ、というのが大方の見立てであった。これを成功させるには目下の脅威である王都からの挟撃部隊二つを『何とか』せねばならないのは明白だ。
つまり、逃走するリーゼロッテを追撃する第十三騎士団の精鋭――薔薇十字機関を食い止めるのが今日の八人の仕事だった。
「リーゼロッテさんはあれで皆に好かれている方ですから。
何かがあったら――皆が悲しむのは嫌です。だからの皆の為に。彼女の為に。
それに、親離れの良いチャンスだと思いますよ。わたしに親なんて、たぶん……いないだろうからそう思うのかもしれませんが」
「ああ。お嬢とは縁があるからな、ミーの領はアーベントロートだし。
……ま、お茶会やらない位の癇癪で暴れ散らかすようなトコはどうかと思うが……
とにかくご当主サマとやらは胡散臭すぎる、あっちに付く気にはなれねえよ。
消臭剤もって出直して来いってんだ、鼻が曲がっちまうぜ!」
不器用な優しさを言葉に滲ませた『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)の背を『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)が優しく叩いた。
幾らか気負うような顔をした彼女だったが、プレッシャーを解くような傍らの彼に視線をやり、「ええ」と表情を緩めている。
「まさかリーゼロッテ嬢が指名手配される事になるとは思わなかったがな。
これでも知己の彼女なのだ。あの淑女(レディ)が危険な目に合うのを黙って見過ごす訳にもいくまい。
俺も幻想の騎士として名を連ねる者なれば――薔薇十字機関の実力をこの身で味わう良い機会だろう」
「伝え聞くサリューの鬼才は――ここで尻尾を巻く連中に声をかける輩じゃあないだろうからね」
一方で『黄金剣』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)に、薄く笑みを湛えた『白砂糖の指先』ジェック・アーロン(p3p004755)が頷いた。
(出来る事はやらないといけないからね。『どうするのがこの場での最良なのか』)
ジェックの考える所はイレギュラーズが選択した『プラン』を指している。
クリスチアンは北上する二つの部隊を便宜上『A』と『B』の二つに分けた。
より強力な方をAとしたのだが、今回イレギュラーズの選択した担当はAの方であった。
「梅泉達に任せれば失敗する事はないだろうけど――」
「――Bで成功とAで失敗は等価、と考えればこの選択以外無いでしょう。
生憎とこの局面で『他力本願』を出来る程、私は他人を信じ切れる性質ではありませんからね」
言葉を繋いだ寛治にジェックが頷いた。
クリスチアンが子飼いにする武闘派集団は極めて強力だが数的な不利は否めない。
また、殺傷に特化した連中はチームとしてのバランスが悪く、小器用な立ち回りを期待するに難しいという事情もあった。
(かの、戦いぶりを見れぬのが残念だが――)
ベネディクトが脳裏に描いた顔――刃桐雪之丞等は広い視野で上手くやりそうだが、残る面々は如何にもである。
死牡丹梅泉、紫乃宮たては、伊東時雨。何れも今回のミッションを考えれば奔放過ぎる――
何れにせよ、明確にリーゼロッテにつく事を選んだ面々は多少の泥を被る覚悟を決めていた。
状況は未だ混沌としており、先行きは全く五里霧中の中ではあるのだが――
「臭くて敵わない」と漏らした貴道の言葉は一同の代弁に違いなかった。
今回の事件は如何にも嫌な予感、嫌な臭いに満ちている――
あの面倒で美しい暗殺令嬢が子供のお遊びに見えるかのような恐ろしいまでの悪意を彼等は直感的に受け取っていたと言って過言は無かった。
「さて――時間のようね」
夜闇の中に敵影は見通せない。
されど殆どの確信をもって――反響音からその時の訪れを知った『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)は見えざる敵に宣告した。
「蒼薔薇のタナトスは暫く返上だわね。
お嬢様を救うまでは――唯の、レジーナ・カームバンクルとして。
いえ死を喚ぶ者(ナハトメルダー)として戦場に立ちましょう。
言っておくけど、今夜は愉しい劇にはならないわよ?
今、私は機嫌がとても悪いの。だから――だから、一切の容赦は無いと知りなさいな!」
●鮮血のヨルII
ゴリョウの放った光源が夜闇を裂く。
「些か、無作法なようですね」
『言うほど』分かり易いものではなかったが、ココロの研ぎ澄ませた耳は動き回る敵の足音を察知していた。
魔道を使うアサッシン達、薔薇十字機関は何れも一流のプロである。
リーゼロッテに付き従う連中もそうだったが、今回の事件を契機に『見慣れない連中』が特に増えたというのはクリスチアンの言である。
やはり一筋縄ではいかない彼等は視界の利かない暗闇の中、更に自分の姿を覆い隠す術を有していた。
だが、それはイレギュラーズにとって予想の範囲でしかない。
「ボクは水だからね、闇夜に紛れるのはそう難しいことじゃない。
それから君達を見つけるのも実はそんなに厄介な話じゃあないんだよね」
先のレジーナ然り、このロロン然りだ。大半の者が予め『視覚以外の手段で敵の存在を知覚する方法を準備していた』。
それがエコーロケーションであろうと、聴覚を頼りにするものであろうと、温度の関知であろうと同じである。
五感の内の一つを遮断した程度でやり過ごせるような温い相手でない事は敵方も早晩理解したに違いない。
イレギュラーズとて、元より魔道に精通した『専門家』を奇襲出来るとは思っていない。
但し、この早いタイミングで出撃の情報を察知され、あまつさえ準備万端の強敵に待ち構えられた事は薔薇十字機関からしても想定外だっただろう。
それは紛れも無くあの天才クリスチアンの情報収集能力、正確な進軍コースの先読みの為せる技であり、同時に迎撃に出るイレギュラーズの練度の賜物でもあった。
「所詮は走狗相手! この場を切り抜ける事が出来ても、まだ終わりではあるまい。
だが、こちらを選び、任された以上は――下手な仕事は出来ん。それなりの仕事を果たさぬ訳にはいかんな」
多数の気配を察知し、迎撃の構えを取ったイレギュラーズの動きは早かった。
「油断出来ない相手だが――それだけの準備はした。此処から先は俺達が通さん!」
文字通り雷霆の如き反応速度である。手練れの暗殺者達をも圧倒する爆発的な反応速度を見せたのはこの戦いの為に『それだけの準備』を見せたベネディクトであった。竜の騎士たる戦闘力をそぎ落としてでも牽引役を買って出た彼はこの戦いにおいて最前線(フロント)ではなく支援役(バッファー)を買って出る。ベネディクトはおいそれと失敗出来ないこの作戦における要であり、献身の象徴の如しであった。
「ぶははははは! 任された! これだけ期待されちゃ――滅多な事も出来ねぇな!」
ベネディクトはパーティの作戦の起点である。
彼を軸に連鎖する行動はパーティに淀みないスピードを齎すのだ。
ベネディクト程の男が極限まで振り切ったこの反応速度を超えるには明らかにそれ用の準備が必要である。
この迎撃を予期していたとは思えない薔薇十字機関はそんな器用さは持ち合わせまい!」
「ここに居る、命張る理由なんざそれだけで充分だ――そうだろ!?」
ベネディクトから防御の支援を受け取ったゴリョウが豪放磊落に強力な後衛二人――寛治とジェックの前に立ち塞がる。
アタッカーである二人をタンクである彼が守る構えだ。数に劣り、強引に質で押し切るのも難しい相手なら、一瞬の油断は命取りになる。
「何処に居ても逃がさないよ」
正確な場所を言い当てる必要は無い。
スナイパーの直感が撃つべき場所を撃てばいい――
(封殺されるなら良し、怒りに駆られて寄るも良し――
効かなくたって、『アタシは唯一の手段じゃない』)
吹雪くように、風吹くように。ジェックのGluttonyが吐き出すは銃弾の嵐。
ジェックのGreedは痛みなんて求めない。ただ心に突き刺さる棘を夜の舞台に演出するのみ。
「負けられませんね。確かにこれは競争では無いのですが――いえ、おためごかしは辞めましょう。
私にとってはね、『今夜だけは確かに競争なのですから』」
冗句めかした寛治が間断置かず、ジェックと同様に敵陣に『名刺代わり』を叩き付けた。
超高速のベネディクトを起点にした封殺、そして引き付けの戦術は見事と言うに相応しいものだろう。
何せジェックと寛治、何れ劣らぬスナイパー二人はローレットにおいても最高峰に近い『精度』の鬼札である。
事実、この強烈な先制攻撃を受けた薔薇十字機関の凶手は迷彩を解いた姿を現し、強烈な二重の封殺に状況をコントロールされている。
辛うじて動ける者が怒り任せに前に出れば、効いてくるのは先に仁王立ちになったゴリョウの防衛能力である。
簡単に越え難いこの大壁は、耐久力という面で大いに不安を抱えるジェックと寛治を守る文字通りの盾であった。
「ゴリョウさん、こちらから支えます!」
敵もさるもの、複数を引き付け受け止めれば流石のゴリョウでも傷付く事は否めない。
だが、この有機的連携はココロという存在をもって更なる機能を産んでいた。
即ち、ベネディクトが引っ張り、ジェックと寛治が荒らし、ゴリョウが食い止め、ココロが癒す――
教科書のような戦いは一切の無駄が無く、薔薇十字機関は短い展開で幾つも予想外を重ねたに違いない。
だが、これは序の口だ。
『パーティはまだ痛打にフェーズを移していない』。
これが戦いである以上、その本懐は打撃力である。
戦いの華たる打撃を任されたのは筋骨隆々たるボクサー。
「――おっと、ミーの事も忘れて貰っちゃ困るぜ!
何せ薔薇十字(あんたら)とやり合うのは、中々愉しそうだからな!」
怪気炎を上げた貴道が姿勢を低く、ゴリョウに手間取る敵の横腹に喰いついた。
「――チッ!」
「遅ぇよ!」
身を翻しかけた敵の懐に飛び込んだ貴道が口元を歪める。
左右へのウィービングと共に放たれたのは体重の乗ったフック。
無限の軌道を描く体捌きが終わらない乱打となって暗殺者のガードを叩き割る。
出色の動きを見せたのは、抜群のインファイトを展開した貴道だけではない。
「痕跡を残さない方がいいだろうからね。分かる事が分かったら――最後は呑んでしまおうかな」
剣呑たるその言葉は決して冗句ばかりではないだろう。
恐ろしい程の存在感をただ一つの破壊力で見せつけるのは――このロロンも同じだ。
裡なる海、星霊の庭へと接続を果たせば流れ込むのは混沌の泥を混沌の泥たらしめる戦いの記憶である。
「言った通り――吞み込むよ」
流体のボディが拡散し、貴道の攻め立てた暗殺者に纏わりつく。
ボクサーの手数とテクニックに圧倒された敵は悪夢めいたその攻撃から逃れる術を持っていない。
濁流の如き『それ』は一度では絶えない。何度も、何度も。執拗に、冷酷に、残虐に。
「……ふう」
肉塊を前に流体を元の少女体に収めたロロンは一つ息を吐きだした。
「ボクは食事にきただけさ。アーベントロートでは人が消えても詮索無用、だよね?」
その言葉も在り様も凡そ並のものではない。
旅人は往々にして常識の埒外に存在するが――笑顔で嘯くロロンは格別だ。
暗殺者数人がたまらず一層の警戒を向けている。
緒戦の展開は成る程、イレギュラーズの圧倒だった。
「――驚きました」
短いながら濃密な戦況を見てか。後方に残っていた暗殺者の一人が呟く。
だが、その声を発した女は驚くべきかジェック、寛治の『狙撃』も受けた素振りもなく涼しい調子のままだった。
「一応、この状況も考慮の内でしたが――流石はローレットと言うべきでしょうか。
思った以上にやる。思った以上に戦い慣れている。ああ、言っておきますが――これは素直な感想です。偏に褒めているのですよ。
薔薇十字機関(われわれ)を相手にこれだけ戦える人間は幻想を見回してもそうおりますまい」
軍服を着た女は豊かな金髪の影から赤い瞳を覗かせていた。値踏みをするようにパーティを見回していた。
『何処と無く、誰かに似ているその女は――似ている『元』とは似ても似つかぬ表情で夜闇に佇んでいる』。
「あら。では怪我をしない内に帰っては如何かしら」
目を細めたレジーナが皮肉に告げる。
「その言葉をそっくり返した所で、貴女は従わないでしょう?
能吏とはそういうものです。『侯よりこの場を預かった私は必ずお嬢様を確保する義務がある』」
「……っ……!」
レジーナは――イレギュラーズは直感的にその女が『特別』である事を理解していた。
クリスチアンの告げた所の『大将格』。決して侮れない特記戦力は『見れば分かる別格』だ。
涼やかながら底知れない女からは粘つく悪意が垣間見えた。
(今の状況とアタシ達の目的を鑑みるならば常に『最悪』を警戒して然るべきだ)
ジェックは思わず周囲を『警戒』する。彼女が直観した『最悪』はここにリーゼロッテが現れてしまう図柄だった。
それを『最悪』と判断できる時点で既に語るに落ちている。素晴らしい緒戦の先制攻撃を決めたに関わらず、ジェックは本能的に理解してしまったのだ。『これより始まる戦いにて、確実に自分達が勝つ保証等無い』と。もっと言ってしまえばそれはかなり甘い希望的観測である事が否めないと――
「しかし改めてローレットですか。ローレットは依頼が無ければ動けない立場の筈ですが、はて。
……まぁ、大方の予測はつきますが案外情に厚い方々が多いようで」
女は状況を概ね理解しているように思われた。
されど『ローレット』への言及は茶番染みても認められるものではない。
この仕事はあくまでも悪名を伴うものだ。それは暗殺機関の連中も大差はないのだが。
「どうやら、話が通じないタイプみたいだわね……!」
レジーナ・カームバンクルはこの局面で『お互い様』を理解すまい。
今、尚安否が知れぬリーゼロッテ・アーベントロートは彼女の最愛である。
決して傷付けてはいけない至高の薔薇そのものなのである。
ならばこそ。犬歯を剥いた彼女が今まさに目の前に立ちはだかる『敵』に全力をぶつけるのは当然であり、最優先であった。
「この身がある限り。二度と愚かな手段を取れないように――その魂に刻んであげる!」
終焉のレーヴァテイン――万物を焼き尽くさんとするその魔炎はまさにレジーナの持つ烈火の心に違いなかった。
この日の為に力を尽くした。この時の為に磨いて、鋭利に研ぎ澄ませたのだ。
『最愛のお嬢様』に仇為す何者かを完膚無きまでに撃滅する為に、レジーナは今ここにあるのだから!
飛び込んだレジーナの繰る魔王の黒顎を女は紙一重で回避する。
厳密には威力の余波が彼女の軍帽を飛ばしていた。一撃は無傷足り得ず「成る程」と小さく零した彼女の眉は幽かに動いていた。
だが――
「……っ……!」
――それまで。
レーヴァテインの諸刃の剣は凌がれればレジーナにこそ牙を剥く。
「繰り返しますが、私は貴女方を評価しているのです」
未だに冷静を微塵も崩さない女は両手十指より闇色の鋼糸を放っていた。
空間そのものが刃と化したが如き斬撃空間に鮮血が散る。腕を、脚を、腹を、次々と切り裂かれたレジーナの姿が鮮血に染まっている。
それでも彼女が崩れ落ちなかったのは愛(プライド)故か。
「乗りかかった船だからねぇ。おねーさんはちょっと苦労しそうだけど」
ロロンは相変わらず不敵なままで。
「ここからが本番という訳か。
……フ。つくづくとこういう星の下に産まれている。
強敵に苦労しないのは――有難い限りだが」
「あらあら。イケメンの方に口説かれてしまいました」
ベネディクトの言葉に女は嘯く。
「は! 丁度いい。温まってきたトコだからな」
幾分か表情の揺れたココロに貴道は「な!」と笑いかける。
「……はい」
ココロは眩しい位に強い彼の顔を見た。
(あなたがその闘志を貸してくれるから、私はここにいられるんです)
間違いない事実だ。レジーナだけではない。大抵の場合、恋は女の子を強くする。
(あなたの強気はわたしに勇気をくれる、わたしを無敵にしてくれる――)
「言ってやれよ、ほら!」
「はい! 今宵、わたしは無敵です。負けないから!」
気を吐くのは貴道にココロだけではなかった。
「全部キッチリ終わらせたらよ。
あのお嬢には顔よりデカい握り飯を腹一杯食って貰わにゃいかんのよ。
お上品なディナーとは対極にあるような握り飯な。
ぶはははッ、絶対にだ! 覚悟しとけよって話だよ、アンタもお嬢様もな!」
嘯くゴリョウが目前の敵を振り払い、豪放磊落に言い切った。
「ねぇ。さっき、外したの」
「はい」
「……何だか、ちょっと悔しくない?」
「同感です。同じ事を考えました」
ジェックと寛治は同じような表情をして今一度集中力を増している。
レジーナ程分かり易い男ではない。外から見て何を考えているのか分からない事が大半だろう。
だが、今夜の寛治は確かに何処か彼らしくはなかった。それは幽かな変化に過ぎないけれど。
――私も男の子ですからね。
惚れた女の危機に体の一つも張れないようでは、彼女に合わせる顔がない――
それは斜に構えた彼がおいそれと口にしない真実だ。
そして簡単には譲れない事情にするには十分だった。
●鮮血のヨルIII
「Hey! それでおしまいかい!?」
頬を掠めた刃が肌を切り裂く。
闇夜に咲く血色の花にも構わず、貴道の剛拳が因果応報をお返しする。
(……チッ、まあまあ足に来てやがる!)
流れ落ちた血をぺろりと舐めた貴道はトントン、と爪先でステップを踏んで己を鼓舞し、荒い呼吸を整えた。
強烈な戦いは互いの余力をそぎ落とし続けるか如きものになった。
「ここが戦いの分水嶺だ!」
「……わあ、責任重大!」
ベネディクトの号令にジェックが応える。
ベネディクトを起点にしたパーティの高速戦術は有効に働いていたが、遮蔽物の無い街道での戦いは初撃程封殺を機能させる事はなかった。
状況を察知した女が指揮を加え、暗殺者達は散会しての戦いを展開したのだ。
全距離(オールレンジ)に殺傷力を有するスタンドアローンの集団は精強であり、同時に器用でもあった。
先制攻撃でロロンが仕留めた分を差し引いても数に劣るパーティは常に彼等の脅威にさらされていた。
「……っ、大丈夫か!?」
「はい!」
敵の刃を受け止めたゴリョウが半身で振り返り、ココロのフォローに入る。
一方のココロもまるで折れず、厳しい状況を支え続けていた。
ここでは、退けない――
ブロックを抜けられても大丈夫。レジーナさんの一撃を耐えられる者はいないし、ジェックさんの狙撃を避けられる者もいないわ。
だからわたしは前に出て敵を止め、この術式で皆を守ってみせる……!
徹底して胸を張り、粘り強く強い意志でこれに立ち向かったココロがいなかったら、もっと早い段階でパーティは致命的な状況を迎えていただろう。
パーティは確実に奮闘した。誰かが倒されても、一人を倒し返した。
押されても押し返し、傷付けられても傷付け返した。
「お返しだよ! さっきのは――痛かったからね!」
ロロンの猛撃が襲い掛かるも、残るリソースは当初に比べればかなり薄い。
針鼠のように執拗に目には目を、歯には歯を。
繰り返すがこの戦いは互いの肉をそぎ落とすかのような戦いだった。
「……これは予想以上に頑張られてしまいました」
だからこそ、件の女の『異様』は際立つ。
「……っ、負けられ……ないのだわ……」
――膝を突き、顔だけを前へ上へ向けようとしたレジーナが睥睨するのは明らかに軽傷しか負っていない女だった。
薔薇十字機関の大半が傷み、パーティが余力の殆どを失った戦いの結末にあって尚、まだ『何か』を持っている。
「ええ。相手は未だ我々です。お嬢様の出る幕は――ハッキリ言ってありませんね」
レジーナは寛治は『これ』をお嬢様の下へ向かわせてはいけない、と理解していた。
女は溜息を一つ吐いた。
状況からすれば『最後までやれば全員殺せる』可能性は高いが、相手がイレギュラーズでは何が起こるか分からない。
そして、イレギュラーズは折れない。薔薇十字機関の精兵は既にかなり痛めつけられている。
つまり、それは。
「これでは任務の達成は不可能でしょうね」
「とっとと――尻尾を巻いて逃げ帰る事をお勧めするのだわ……!」
レジーナの言葉に女はもう一度溜息を吐いた。
「……止むを得ないので、この場はそういう事にしましょうか。
アーベントロートの能吏たる私はお嬢様を確保する義務がありますが、果たせない任務に拘泥して貴重な兵を失うのも問題なのです。
……ついでに言えば皆さんのような政治的に面倒くさくて、侯が大喜びしそうな人達を進んでどうこうする趣味もありませんから」
女が合図を出せば、暗殺者達は大きく飛び退いてパーティから距離を取る。
「今夜はこれまでとしましょう。まさか、そちらに異論はないでしょう?」
女の言葉は或る種の脅しであり、厳然とした事実だった。
少なくとも続ければ決定打を受けるのはパーティであり、彼等はまだ十分に『やり合える』。
「……ああ、そうだ」
やや緩んだ空気の中で女は思い出したように言う。
「申し遅れました。私、ヨル・ケイオスと申します。
以後お見知りおきを――いえ、違いました。私は暗殺者ですので、願わくば二度とお会いしないように」
その言葉が今夜の戦いの終結だった。
成否
大成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす。
プレイングとても良かったです。
失敗するかもなあって思ってましたが、十分でした。
ヨル・ケイオスについては以下を参照。
https://rev1.reversion.jp/guild/1/thread/4058?id=1382837
ルル家さんの関係者です。
AとBとで後天的にルートが変化する為、遭遇前では今回ルル家さんに優先はついていません。
次出てきたらついたりするかも知れません。
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
どんどん前倒そうね。
以下詳細。
●依頼達成条件
・薔薇十字機関の部隊(AかBのどちらか)を食い止める
●背景
リーゼロッテ・アーベントロートがアーベントロート侯爵にその任を解かれ指名手配になりました。
北部、そして王都から放たれた薔薇十字機関の走狗が逃走する彼女を狙っています。
詳しくはトップページ『LaValse』下、『Paradise lost』のストーリーをご確認下さい。
●リーゼロッテ・アーベントロート
ご存知蒼薔薇のお姫様。
アーベントロート侯爵家当主代行でしたが解任されて指名手配になっています。
●ヨアヒム・フォン・アーベントロート
リーゼロッテの父でアーベントロート当主。
もうずっと表舞台にはおらず、噂ではリーゼロッテに殺されてしまった、とさえ言われていましたが……
どうも全然違ったようで、しかも見た目に反して辣腕なようで……
●クリスチアン・バダンデール
幻想北部の要衝、サリューの王と呼ばれる大商人。
実は反転魔種なのですが呼び声を抑える特殊能力を持っていて正体が割れていません。(ローレットは疑ってます)
今回の依頼人。
●チーム・サリュー
死牡丹梅泉、紫乃宮たては、刃桐雪之丞、伊東時雨からなるサリューの用心棒集団。
AかB、イレギュラーズの選ばなかったチームに対処します。
プレイングで何か言えば伝わる場合は伝わります。
●第十三騎士団
魔道を使用する精鋭アサシン集団。
リーゼロッテ……というかアーベントロート麾下の汚れ仕事を請け負う通称『薔薇十字機関』です。
近接戦闘から距離戦闘までもバランスよくこなすスタンドアローンであり、相当の手練れ揃いです。
暗殺者なので殺傷力が高いタイプが多いと推測されますが能力の詳細は当然ながら不明です。
今回はAないしはBのチームの片方をイレギュラーズが請け負います。
A:かなり強力なチームです。
B:Aには及ばないが強いチームです。
数はどちらも十人で、特に結構マジで強力なリーダー格のアサシンが一人ずつ居ます。
メタ的な説明をするとAを梅泉達に任せた場合、幾らか抜かれます。(人数半分以下ですしね)
より完璧な成功を望むならばPCがAを担当する必要がありますが、失敗率は当然上がるでしょう。
(比較的の)安定を取るか冒険をするか話し合って決めて下さい。
●戦場
遭遇個所は見晴らしの良い街道です。
時刻は夜で明るさ的な意味では視界は効きにくいです。
●アーベントロートに歯向かって平気なの?
平気ではないのですが、皆さんは特異運命座標で政治的に難しいのでアレです。
あと天才クリスチアンがありとあらゆる誤魔化しとバックアップで状況を煙に巻いてくれるはずです。
但し皆さんもクリスチアンの依頼(=関与)を誰かに漏らすべきではありません。
そうした場合、クリスチアンは全ての責任を皆さんに被せる可能性が非常に高いからです。(逆を言えば先に裏切らない限り、少なくともお嬢様の問題が解決するまでは皆さんを真面目に友軍として守ろうとするでしょう)
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
●注意事項
この依頼は『悪属性依頼』です。
成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
以上、宜しければご参加くださいませ!
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