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シナリオ詳細

『月の果実』ムーンフルーツ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ムーンフルーツ
 太陽の果実。そんな異名を持つ果物があった。
 正式名称はサンフルーツ。外の世界でいうマンゴーであり、様々なモンスターや亜竜が奪い合う代物だった。
 お酒に入れても美味しい代物だったが……ならば、と思う者がいた。
 そうして彼女は……『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ (p3p004400)はフリアノンに来ていた。
 彼女がじっと見ているのは、お酒のたっぷり入った甕だ。
 フリアノン名物の酒がたっぷりと入ったその甕の中身は、そろそろ飲み頃なのではないだろうか?
 分かる、分かるのだ。そろそろ美味しく仕上がっている頃だ。
「これ、呑んでもいいやつかしらぁ?」
「お主、ほんに酒が好きなんじゃのう。まあ、ええがの」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)が笑うが……そこでアーリアはハッとしたような表情になる。
「そうそう、今日はお酒の話をしにきたわけじゃないのよ!」
「ほう」
 酒の甕をしっかりと抱えながら、アーリアは声をあげる。
「この前のサンフルーツの時にチラッと噂を聞いたのよ。決まった夜にしか採れないムーンフルーツなんてあるかしら!」
「ふむ……まあ、丁度時期に入る頃じゃな」
『月の果実』ムーンフルーツ。そう呼ばれる果実は……ちょうど、このくらいから時期に入るのだ。

●月の果実とは
 ムーンフルーツ。サンフルーツと対になるとも言われる果物だ。
 甘いサンフルーツと比べると酸味が非常に強く、ジュワッと広がる果汁には栄養がたっぷり含まれているという。
 外の世界では「夏みかん」とも呼ばれたりする、月のように黄色い果実だ。
 最大の特徴としてはアーリアの言った通り「決まった夜にしか採れない」ことがあげられる。
 具体的には満月の夜。その月の光を受けた時、ムーンフルーツは最大にその旨味を増すのだという。
 1度もいでしまえばその味が保持される為、シビアなのは収穫のタイミングだけなのだが……当然、問題はある。
 ムーンフルーツは、覇竜にしては普通のサイズの木に生る普通サイズの実なのだが……ムーンフルーツの木の近くには、共生生物がいるのだ。
 その名もコンヒュージョンオウル。
 超音波のようなものを発して敵を錯乱させる、フクロウ型のモンスターである。
「恐らくじゃが、ムーンフルーツの木に近づく敵を無差別に攻撃しておるのじゃろうな」
 まあ、覇竜で普通のサイズの木は戯れにモンスターに倒されたり引っこ抜かれたりしてもおかしくはない。
 そしした共生生物がいてもおかしくはないだろうか?
「まあ、幸いにもコンヒュージョンオウルは木からそう遠くへは行かんじゃろう。必要な分を採ったら逃げるのがいいじゃろうな」
 ムーンフルーツはサイズも普通なのでそれなりの数を採る必要があるだろうが……ムーンフルーツ自体は鈴なりだし、現場には3本のムーンフルーツの木が生えている。
 作戦次第では、コンヒュージョンオウルを怒らせないようにすることも出来るだろう。
 その為に使えるおまじないじみたものもある。
「上手く採ってくるとええ。アレは酒にも合うからのう」

GMコメント

アフターアクション、ありがとうございます。
『太陽の果実』サンフルーツの続編、ムーンフルーツです。
夏みかんですね、ええ。夏みかんサワーとかジュースにしたりしようぜ!
そんなシナリオです。
なお、今回のシナリオは「夜」です。

●コンヒュージョンオウル
『錯乱の魔眼』を持つフクロウ。全長1m。
サイズは覇竜のモンスターにしては小さいですが、実力は結構高いです。
夜目が効く上に超視力、超聴力を所持しています。
ただし、明らかにムーンフルーツ狙いだな、と確信するまでは動かないでしょう。
基本攻撃は急降下突撃&離脱の「オウルアタック」ですが、最大の特徴として「錯乱の魔眼」を所持しています。
この魔眼による「月夜の錯乱」状態に陥った場合、効果中の行動が50%の確率で「カッコいいポーズ」に変更されてしまいます。

なお、コンヒュージョンオウルは戦闘中以外であれば「理解できない行動」を見るとじっと注視する特性があります。
誰かが犠牲になって収穫の間にプライドを全部ゴミ箱に捨てて変な動きに終始すれば、戦闘を回避できる可能性はあります。人数が増えれば増える程成功率も上がりますが、回収班を編成するのを忘れないようにしましょうね。

なお、ムーンフルーツの木から一定以上離れるとコンヒュージョンオウルは木に戻っていきます。
無事にフリアノンまで戻ることが出来れば、試食会&呑み会です。
季節の果物を味わったり、炭酸水や炭酸酒に入れて楽しみましょう。
まあ、大体「収穫」&「宴会」で半々くらいを基本に、どっちの描写を濃くしたいかでプレイングをかけてくださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 『月の果実』ムーンフルーツ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
ラズワルド(p3p000622)
あたたかな音
武器商人(p3p001107)
闇之雲
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
カフカ(p3p010280)
蟲憑き
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜

リプレイ

●ムーンフルーツを求めて
 満月の夜。月明かりに煌々と照らされる中に、複数の人影があった。
「ムーンフルーツ、か。決まった夜にしか採れない上に、守り手までいるときた。さぞ、美味な果物なのだろうな?」
 実際に見るまでは、そんな『ベンデグースの赤竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)のような台詞を言う者が結構いた。
 しかし……近づくにつれ、レーカも「ほう」と声をあげるようになっていた。
「ムーンフルーツ……成程、美味しそうだな。いけるんならお土産で色々ほしいし、アニーにも食べさせてあげてぇなぁ」
「サヨナキドリで抱えている果樹農家がムーンフルーツのサンプルをご所望でね。うちの稼ぎ頭でもあるからなるべく要望を叶えてやりたいのさ。ヒヒヒ……!」
 愛すべき妻のことを考えながら、『恋揺れる天華』零・K・メルヴィル(p3p000277)はそう呟く。
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)も取引先のことを考えているようだが……それもまたモチベーションだ。
 零の視線の先にあるのは、何本かのムーンフルーツの木だ。
 その天辺には、一羽の大きな鳥がとまっている。全長はおよそ1mだろうか。
「コンヒュージョンオウル……だっけ? 俺もあんま戦いたいわけじゃねぇし引き付け担当、頑張るぜ」
 攻撃してくる様子も敵意もまだ見えないが、こちらをコンヒュージョンオウルはじっと見ている。
 恐らくはこちらがムーンフルーツを狙う意思を見せた途端に敵になるだろうが……手はある。
 それが零の言った「引き付け」だ。その為に、今回は引き付け班と回収班に分かれている。
 いる、のだが……ここからでもたわわに実るムーンフルーツが見え、その爽やかな香りも漂ってきている。
「ムーンフルーツ、ロマンチックだね! それに美味しそうだ。そのまま食べてもいいし、ジャムもいいだろうし、ジュースも……おっと、いけないいけない。まずはしっかり収穫してこないとだよね!」
 『微睡む水底』トスト・クェント(p3p009132)がそうやって仕事を一瞬忘れてしまう程度には爽やかな……夏を感じさせる香りだ。
「ムーンフルーツ、どないな味がするんやろなぁ。夏みかん、ってことは柑橘系なんやろうけど、ふっふー、是非とも手に入れて料理してみたい所やなぁ。そのためにも、まずはコンフュージョンオウルの目をかいくぐっていかなあかん。しっかりと引きつけ担当させてもらおうか」
「フルーツの回収! わたしに任せろー!」
 『ケイオスイーツ』カフカ(p3p010280)と『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)もやる気十分といった様子で準備運動をしている。
「ふふーん、やっぱり探せばあるものよねぇ。甘くてもう、まさに太陽の恵み! なサンフルーツも美味しかったけれど、酸っぱくて大人の夜の恵み! なムーンフルーツも楽しみねぇ……景気付けにガソリンを飲んだら出発よぉー!」
「ああ、酒でも飲まねばやっていけん」
 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)がガソリン(お酒)を一気しているが……『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)から貰ったフリアノン名物の酒だ。予想していた通りのスッキリした味わいが喉を通り抜けて。
 レーカも倫敦製合成ジンをぐっと煽る。
 そうして、作戦が開始される。イレギュラーズによる……ライブキッチンショーの始まりである。

●ムーンフルーツ、実食
「と言う訳で空飛ぶ屋台が下りてきます。分かるかお前に、空から飛来する屋台が……! ……いやローラーシューズで移動しつつ料理してるのも怖……」
 謎のスチーム出しつつ着地するのは屋台『羽印』Ver4.00。
 零がいきなり訳の分からないことをやっているが、理由は決して「暖かくなったから」とかではない。
 コンヒュージョンオウルを引き付けるには、訳の分からないことをする必要があるのだ!
「まぁはい、非戦を全部駆使しまして。あちらのライディングクッキングをワイプに此方はパン屋の出張晩御飯の時間です」
 料理番組風のBGMが屋台から流れるが、どういう原理かはよく分からない。
「彼方は肉料理、と言う事で。此方も肉にしよう、此処で撮れたワイバーンの肉でハンバーグとかな、ギフトで出したフランスパンで挟んだハンバーガーとか旨いだろ。なんかカッコいいポーズ居る時はリズムよく肉をすぱぁん!」
 ちなみに零のギフトは誰が食べても美味しいフランスパンを何時でも何処でも幾らでも出せる能力であるらしい。
「カクテルか何かかこれ?? まぁ勢いで何とか誤魔化せるだろ。あと宴会用に食いやすい料理も……いや、他のは会場の方が良いかな?」
 時折分からない行動を織り交ぜているが……( ・◡・*)で( ‘ᾥ’ )なせいではないに違いない。たぶん。
 さて、その頃の武器商人だが、こちらも料理中だ。
「自然界で『料理』という行動は非常に奇異に移るはずだから、囮班で料理をすることでコンヒュージョンオウルの視線を向けるよぉ」
 そう、武器商人の作戦としてはオウルの気を惹けるようにお喋りしながら料理をする……おしゃべりクッキングである。
 カスタードを作る時カシャカシャ混ぜるのって結構不思議な動きだから目を引けるんじゃあないかな、とのことだが……突然喋りながら料理をやり出す時点でかなり「変な動き」ではある。
「まず簡易キッチンでタルト生地を作って焼いてー。焼いてる間に卵と牛乳でカスタードクリームを作ってー。焼いたタルト生地にカスタードを流し込んでぇ」
>>ここで無言でタルトを零の顔に投擲<<
「まぁこの調子なら良ぐわっ?! うぇぇ美味しいいや違うわ!!! 師匠!? 師匠!!?! なんで?! なんで俺にタルトなげたの!?」
「何事もなかったように二つ目のタルト生地を焼いてー」
「なんで無言で料理再開してんの!? え、待ってせめて反応してぇ?! ……反応されない……!」
 実に高度な武器商人の「変な動き」に零も感心しているに違いない。さておいて。
「焼いてる間にカスタードクリームを作ってー。焼いたタルト生地にカスタードを流し込んでー。カスタードごともう一度焼けばカスタードタルトの完成」
 そしてカフカ。こちらも中々に凄いことになっている。
「見せたるわ、ライディングクッキング……! お前に理解できるんか? ローラーシューズで移動しながら料理をしようとするこの異様な光景……! 俺には理解出来へんわどないなっとんねん俺」
 カフカに分からなければ誰にも分からない。
 しかし何故だろう。練達辺りでテレビに出れば受けそうな気もする。
「というわけでカフカの、ライディングクッキングのお時間がやって参りました。今日作るのはこれ、フリアノンで取れたワイバーンのお肉のソテーです。ワイバーンのお肉ってあんまり印象ないと思うんですけど、これがしっかりと下拵えして焼いてあげるとかなり美味い! というわけで調理の方始めていきたいと思うんですけ……え? かっこいいポーズ?」
 虚空にあるフリップを見るような動きを見せると、カフカは何処か虚空へと頷く。怖い。
「左手を高くあげて、高い位置から塩を振りかけるポーズ!! さらに、オリーブオイルをひいたフライパンに追いオリーブオイルするポーズ!」
 ちなみに追いオリーブオイルは伝統がありそうでなさそうでやっぱあるかもしれない技である。
 さておいてアルコールをきめたレーカを見てみよう。
「それではいい感じに酔いも回ってきたことだし、ひとつ料理を始めよう。食材がない? 良いことに気付いてくれた。これから用意する。そう、ここはサバイバル飯のゾーンだ。その辺にいる小動物やら適当な雑草やらにひたすら喧嘩を売り(雑草に喧嘩売るってひたすらシュールだな)、その上で収集していく。「ソウルオブガストロリッター」の効果で食材適正付いているだろうからいけるだろう。特に草。付いてなかったら……そのときは頑張ろうな。食事は無駄にしてはいけない」
 途中で正気にふと戻っているのはアルコールが足りないのかもしれない。
「そしてそれらを……寸胴鍋に全部放り込む! 火なんてものは必要ない。何せ私にはこのギフトがある。鍋を両手で挟み込んで煮込む。絶対人間ケトルとか言うなよ。隠し味に倫敦製合成ジンを注げば完成だ」
 レーカのギフトとは両手で持った物の温度を、摂氏100度までの範囲で加熱することができるというものだ。便利である。
 さて、そうして料理班……もとい引き付け班がアーリア命名「トンデモクッキング」を頑張っている間に、回収班も出発である。
 コンヒュージョンオウルの戦闘中以外であれば「理解できない行動」を見るとじっと注視する特性を利用したコンビネーションである。
「それじゃあ回収班、行っきまぁす」
 ラズワルドはお誂え向きなダンボール箱に隠れて気配遮断と機動力を活かしてささささーっと移動していく。
(上は飛べる人にお任せして下の方から、極力枝を揺らさないように。収穫したムーンフルーツはダンボール箱に詰めてーっと)
「んー、イイ香り……これならお酒もすすむってのも納得だねぇ。んっふ……確かにあっち(クッキング)も肴には良さそ……んふふ」
 アーリアも忍び足でそーっと歩いて近づき、暗視で仲間には足元の注意するものなんかを伝えてある。
(トンデモクッキングは極力見ないように――あっだめやっぱり気になる! 収穫の合間に眺めて、酒の肴にするために瞬間記憶しちゃいましょ)
 どうやらトンデモクッキングはアーリアの記憶に残されることになったようである。
「……こ、こらー……! 君までトンデモクッキングに惹かれないで……! ほら、この果物を採ったら後で食べるんだから。ね」
 トストは食いしん坊なリトルワイバーンをなだめつつも、空から回収していくが……コンヒュージョンオウルの特性がなければ、こんな大胆な回収方法は無理だっただろう。
 その一方ではユウェルが飛行し、アーリアと協力しながら回収を進めていた。
(でもでもやっぱり何をしてるか気になっちゃうし……チラっと見るくらいいいよね!?)
「きゃはは! なにあれー! あっ、いけないいけない収穫はちゃんとしないとね! おしごとおしごと!」
 そうして回収をしていると、引き付け班から「そろそろ限界のサイン」が飛んでくるが……それに頷き回収班が退避し、ネタのつきた引き付け班が「退場用変な動き」を駆使しながら離れていく。
 それをコンヒュージョンオウルはじっと見ていたが……最後まで、攻撃してくる事は無かったのだ。
 そのままフリアノンに戻れば、いよいよ宴会である。
「さてメインイベントの宴会! 冷えた炭酸にお酒を注いで、ムーンフルーツを入れたサワーでかんぱぁい!」
「宴会だー! おさけはまだ飲めないけどいっぱいジュース飲むもんね! 果物もいっぱいあるみたいだしそっちもたのしみー!」
「勝利の美酒、かんぱぁい!」
 アーリアとユウェル、ラズワルドがグラスを打ち合わせ、それぞれの飲み物を楽しんでいく。
「今日もメカバーテンダーのルシアンくんにもたっぷり働いてもらうわぁ。半分に切ってスクイーザーで絞ったムーンフルーツ100%果汁で、色々カクテルを作ってもらって堪能! ブルーキュラソーのカクテルだったり、ベリー系とも合わせたり……ふふ、きっと髪はものすごーい色になってるはずねぇ」
 ムーンフルーツ。夏の香りが漂う果実は剥けばぶわっと閉じ込められた香りが溢れ出す。
 薄皮を剝いて飲み物に入れるだけで、その甘く酸っぱい味が飲み物を支配していくのだ。
「今日は零くんにカフカくんにって凄腕シェフさんもいるし、とことん飲み倒す! おーだー、お酒に合う美味しいものちょうだいなぁ~」
「カフカと零せんぱいは料理してくれるんでしょー? はやくはやく!」
「なんかカリカリさくさくでぇ、食感がイイやつ食べたいでーす!」
「なんで俺のハードルあがってんの?? ただのパン屋だぞ?? いや良いけどさ! 酒に合うってんならガーリックトーストとか……ムーンフルーツはすぐには無理だろうけれど、ドライフルーツとか出来たらいいのかな。あとで仕入れていい?」
「ええぞい」
 相賀とそんな約束をしつつも、零の動きは止まらない。
「他にもつまみは色々用意しとこ、美味いと良いが」
「ではカスタードタルトを振る舞うとしよう。ムーンフルーツを乗っければカスタードのとろっとした甘さとムーンフルーツの酸味がよく合うと思うよぉ」
 武器商人もデザートを差し出すが、実際カスタードと柑橘系は相性がいい。
 そしてカフカも先程のトンデモクッキングで作ったものを仕上げていく。
「はい、ここからが本番ですよ。さっき焼いておいたワイバーンのお肉に、ムーンフルーツから作った柑橘系のソースをかけることでお肉の旨味とソースの酸味がいい感じにマッチして美味しくなるんや、召し上がれ」
 そうして出来た料理の数々は、美味しくて。
「じゃじゃーん!ユウェル、一発芸します!」
 興ののってきたユウェルがパッと立ち上がる。
「というわけで日頃は美味しくないしあんまりやらないんだけど炭酸水の入ってた瓶をバリバリ食べちゃお! ガラスは宝石の仲間みたいなものだからいける!」
「!?」
 本当にバリバリ食べているユウェルに、びっくりして口をあーんとさせて。
「この子ってばほんと危なっかしくてかわいくて……あーよしよしよしちこうよれ~」
 そんなウザ絡み……もとい愛でを始めていく。
「こんなゲテモノ一歩手前の鍋、他人に迷惑は掛けられん……」
 そんな中、レーカは自分で作った鍋を処理するが……これはこれで酒に合う味だろう。
「まぁ美酒とか言いつつ、僕は美味しいとかわかんないんだけどねぇ? 柑橘系の香りはさっぱりして好きかなぁ。夏はちょーっとダルくなりがちだし、いーっぱい飲んで英気を養わなきゃねぇ」
 そんなレーカの隣にラズワルドも座り、お酌をする。絡み酒……ではあるが、これは良い絡み酒だろう。
「おれはサワーくらいしか思いつかなかったから、いろんなお酒や料理ができて凄いなぁ……!」
 そんな中、呑み過ぎないように気をつけていたトストも感心したような声をあげる。
「あれもこれも……うーん、目移りしちゃうよ。ランタンやたいまつの光が映りこんで、目にも楽しい宴会だねぇ」
 言いながら、トストは傍らのリトルワイバーンにムーンフルーツを剥いていく。
「おっと、君にもお礼をあげないと。手伝ってくれてありがとね」
 そうして宴会も進んでいき……月を見上げながら、アーリアはへらっと笑う。
「ま、なんにせよこうして夜に外で飲んでいても心地良い季節になったなんて、幸せねぇ。覇竜で過ごす初めての夏も楽しみねぇ、相賀さん!」
「そうじゃのう。随分と騒がしくなったが……」
「夏が来る……ってわけね!」
 夏が来る。
 覇竜にも夏が来る。
 それはきっと……今までよりも騒がしく、楽しいものになるだろう。

成否

成功

MVP

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

状態異常

なし

あとがき

夏みかんは美味しいので好きです。
ちょっと剥くの大変ですけどね!

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