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シナリオ詳細

春風に遡る海

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春風に遡る海
 鉄帝国北部に広がる、ノルダイン地方。
 南部では新たなる浮遊島が発見されて、昨今は活気付きつつあるものの、この北部ノルダイン地方は全くと言っていい程に、いつもの光景が繰り広げられていた。
 そんなノルダイン地方は春を迎え、長い間降り積もっていた雪も大方溶け始めてる。
 それは、短い夏から秋を謳歌すると共に再びやってくる長い冬に向けての保存食を仕込む為に、様々な準備をする時……。
『よーっし。それじゃ卿も張り切って出航だー! 一杯獲って、冬の暮らしを楽にするぞー!』
『おー!!』
 威声を上げるは、極々普通の生活を送るノルダインの村人達。
 仲間達と共に冬を越す為、塩漬けにする魚を獲りに穏やかになりつつあった海へと漕ぎ出す。
 冬を越えた海の魚たちは身も締まり、生で食べても、塩漬けにしても美味しいという、この時期でなければ獲れない良好な釣果を誇る。
 ……でも、そんな釣果に沸き立つ村人達の船を、密かに遠くから付け狙っていたのは、ノーザンキングス『ネーローマ』一族。
『あいつら……いい気になってやがるな。気にくわねえ……この海で勝手に漁をしやがってよぉ』
『ああ、全くだぜ!! こーいうふざけた奴らはよ、うちらが天誅を喰らわせてやらなきゃあかんな!!』
『そうやなぁ! うっしゃぁ、んじゃああいつらに泡吹かせてやろうぜぇ!!』
 意気揚々と、海賊船に乗り込み海へと漕ぎ出る彼等。
 そして……船一杯に釣果を満たした漁船が、村に向けての航路を取った……その瞬間。
『おっしゃぁてめぇら! そこでとまれぇ!!』
『その釣果、ぜーんぶ置いて帰って貰うぜぇ!! ま、置いてっても、無事では返さねえけどよぉ!!』
 酷い笑い声を上げながら、筋骨隆々なバイキングの男達は船から船へと飛び移る。
『ひぃ……な、何だよこいつらぁ……!!』
 突然の事に混乱の境地に陥る村人達……それを逃がさず、彼等は無惨な斬殺を楽しもうとするのであった。


「イレギュラーズの皆さん、ちょっとこっち、こっちに来て欲しいのです!!」
 と新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ローレットに居る君達に手をブンブンと振りながら呼びつける。
 仕方ないな、と苦笑為つつ集められた君達……別室に連れて行かれると、そこには『祝呪反魂』レイチェル(p3p000394)が居て。
「あー……ユリーカ、サンキュな。詳しくは俺からちょっと話させて貰うわ」
「ん、分かったのです。宜しく頼むのですよ!!」
 うんうんと頷くユリーカ、そしてレイチェルは。
「皆に集まって貰ったのはよ、ちっとまたノーザンキングスの奴等が村人達を苦しめている様でな……もう、完膚なきまでに叩き潰し手やらねえとな、って思ったのさ」
「本当はこういう迷惑事、面倒だししたくはねえんだけどよ……泣きつかれちまったらま、イレギュラーズとして一肌脱がざるを得ないって訳さ」
 と言いつつ、レイチェルは鉄帝国の地図を広げてその北方を指す。
「丁度この時期、雪解けも進み、北の海は厳しくもない漁のかき入れ時って訳なのさ。村人達も、この時期を狙って冬を越す準備を早々に整えてるって訳だ」
「だが、そんな短い間に獲れる釣果を我が物顔で接収しているノーザンキングスの奴等がいてよ。『ネーローマ』とか名乗るバイキングの連中だそうだ」
「ま、こういう奴らをのさばらせておくと、どんどんつけあがっていってしまうだろうし、さっさと今の内にぶちのめしておいた方がいいかって思うのさ。という訳で、ちょっと力を貸して欲しい、って事なのさ」
 とレイチェルの言葉にユリーカは。
「うんうん、そうなのです! イレギュラーズとしては、困っている村人さん達を助けるのも大事なお仕事なのです! という訳で……皆さん、宜しく頼むのですよ!!」
 と、満面の笑みで皆の肩をぽん、と叩くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 鉄帝北部ノルダイン地方……短い夏から秋の恵まれた時期の釣果を掠め取っていく、極悪非道な輩達がどうやら出没している様です。

 ●成功条件
  ノーザンキングス『ネーローマ』一族の討伐です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  『ネーローマ』一族は、いわばバイキングの血筋に繋がる者達の様で、船の先端に船を破壊する角のようなものを備えた船で先手の突撃を行い、船を航行不能にした後で大量の釣果を横取りしつつ、命令に従っても従わなくても村人達を惨殺する、という事を繰り返しています。
  突撃する前は息を潜めており、夕焼け空の逆光の中を突撃してくるので、その姿を事前察知する事は難しいでしょう。
  又、ノーザンキングスの彼等は残虐非道かつ、自分達の思い通りにならない事は苛立ち、やけになるという……ちょっと子供じみた頭をしている様です。
  尚、村人の船に目星を付けているので、皆様の船で引き寄せるとかは出来ないのでご注意下さい。

 ●討伐目標
  極悪非道な『ネーローマ』バイキング一族
   丸太の如き筋骨隆々な腕と脚の男達です。
   その腕から繰り出される一撃は高い攻撃力を誇り、更に体力もかなり高くしぶとい相手です。
   武器とするのは両手斧のみで猪突猛進に突撃してきます……バッドステータスを与えるような特殊能力は無い模様です。
   とは言えパワーファイターで押しきってくる方向で攻撃を仕掛けてきますので、皆様も押しきられない様にご注意下さい。
 
 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 春風に遡る海完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月16日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)
彼方への祈り

リプレイ

●再来する刃
 鉄帝国北部、ノルダイン地方。
 北部に広く渡るこの地域……南部地方に新たに発見された浮上大陸の盛り上がりとは裏腹に、この地方においてはいつもと代わらぬ光景が繰り広げられている。
 更に吉報としては、北国特有の厳しい冬の寒さも過ぎて、次なる冬に向けて少しずつ準備を始める時。
 少し気が早いと思うかもしれないが、今から準備することにより、少しでも来る冬に向けての準備を整えている。
 ……しかし、そんな準備をしている村人達の所に好き勝手な理由で乱入し、食料やら資材やら、生きる為に必要な物全てを奪い去ろうとするのはノーザンキングスに属する一派『ネーローマ』一族。
「全く……二度ある事は三度ある……タタニアスにゼルマノフ、そして次はネーローマ一族か……」
 深く溜息を吐くのは、『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)。
 そんな彼女の言葉に『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)が。
「そうだな。前も同じようなノーザンキングスの奴等だったが、今回もまた一般人達に迷惑を掛ける輩達の様だな。流石悪党、まるで羽虫の如く湧いて出るし、めげない、そしてしつこい……と」
「そうそう。全く……他の仲間達が同じように酷い目に遭ってるってのに、そういった情報は回ってないのかね? ノーザンキングスの奴等はそういう様な組織的な動きをしている……って訳じゃねえのかもな」
 肩を竦めるレイチェルに、『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)も。
「そうでありますね。本当いい加減に、もう少しまっとうな掠奪者が出て来ないものでありますかねぇ……」
 と、海よりも深い溜息を吐き、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)も少し眉を顰めて。
「全くですね。彼等の考える事は、このノルダイン地方に住む人々から奪う事ばかりしか脳が無い様ですし、そんな奴らに何度言い聞かせても無駄なのかもしれません。徹底的に叩き潰す……それが自分達に課せられた使命なのでしょう」
「そうであります。この事態を見過ごせない以上は、自分らが首を突っ込むであります。鉄帝国に刃向かう輩は、必ずしや倒す、それ一つなのでありますよ」
 エッダとオリーブが零す、並々ならぬ気合いの言葉。
 それに重ねて、『想光を紡ぐ』マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)と『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)も。
「ホント、オヤクソクを繰り返す海賊達だね! 大体似たような言動で似たような襲い方をしてくるんだよね! ほんとメイワクだね!」
「ええ……相も変わらず悪さをしている様ですね? 例え彼等にとっては獲物の一つかもしれませんが、村人達からすれば、季節の狭間に命を繋ぐ大切な釣果……それを自分勝手な理由で奪おうとするとは……指一本触れさせる訳にはいきませんね」
「そうだね! 絶対に村人達の釣果を奪わせない様にしないとネ!!」
 ニッ、と笑みを浮かべるイグナート。
 そんな仲間達の言葉を聞きつつ、依頼を持ち込んだレイチェルが。
「ま、皆の思いはそれぞれだろうが、俺にとってもこれ以上の被害が出るのは見過ごせん。此処で食い止めようじゃないか」
「そうだな。やっかい極まりないが、仕事はこなすとしようか」
 と言うと、その場に『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が。
「お待たせ。村の方々に話は付けてきたわ。守ってくれるのなら、喜んで……って言ってくれたわ」
 そんな彼女の言葉に、同行した『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)も。
「村人の方々も、最近そういう事件がこの辺りで頻発しているというのは聞いている様で……話を切り出したら、少々怖がっていました。でも僕達が必ず守る、と言ったら、とっても安心した様な表情を見せてくれました。だから……失敗する訳には行きませんね」
「ええ……海賊船の撃退。今迄いろんな海賊を撃退して来たけど、まだまだ居るものなのね……とりあえず、ぶっ倒さないと!」
「そうですね。速やかにお帰り願いましょう。まあ帰りたくないと言うのでしたらそれはそれで、ここで魚の餌にするのも悪く在りませんし」
 ……どうも村人達からだけでなく、イレギュラーズ達からのヘイトもこの『ネーローマ』一族はかなり高くとっている模様。
 村人達を救うと共に、完膚なきまでにノーザンキングスを叩き潰す為……イレギュラーズ達は、交渉を取り付けた村人達の船へと同乗していくのであった。

●暴虐非道
 そしてイレギュラーズ達は村人達と共に、北海へと漕ぎ出していく。
 冬を越し、春を過ぎた海は穏やか……村人達も、ノーザンキングスの事件があるだなんて、思っても居ない事態であっただろう。
 勿論それが杞憂であればいいな、とは思って居る所もあるけれど、無防備で海に漕ぎ出るよりは、こうしてイレギュラーズの人達と一緒に大海へと出る方が、まだ安心出来る。
 ……とは言え北の海に吹きすさぶ寒風は寒い。
「相変わらず寒い……まぁ、問題無いけどな」
 とルナールは苦笑為ながら言うと、それにイナリも。
「そうねぇ……確かに結構寒いわね。でも、寒さなんかに負けていられないもの。さぁ、船縁に立ってしっかりと監視していかないとね?」
 と仲間達を励ましつつ、周囲の監視を開始。
 そして船は更に北の海を進んで行き……漁場へと到着。
「それじゃー今日も漁を開始するとするかー!」
『おー!!』
 船長の号令一下、網を海に投げ入れる村人達。
 大きく水飛沫を上げると共に、どんどんと網が海中へと落下……そして海底に到着したらば、船を暫く動かす。
 小一時間程経過してから、再びその網を巻き上げ始めて……網に掛かった釣果を確保……そんな曳き網漁を繰り返して行く。
 そんな村人達の漁に、エッダが。
「大変、手際が良いでありますね。この様な熟練の技の積み重ねで、国は支えられているのでありますね」
 と目を細めると、それに迅とマグタレーナも。
「ええ……人々にとって、食は重要ですからね。鉄帝国は厳しい環境ですが、魚や貝、海藻等々……食に彩りを与えてくれる、こういった人々の成果は大切にしなければなりません」
「ええ……ですが、その釣果を横から掠め取っていく悪徳な輩が居るという訳です。絶対に止めなければなりません」
「そうですね……」
 そう頷き合うと共に、船は更に次の地へ。
 北の海の漁場を転々としながら、曳き網漁を繰り返す……かなりの釣果が獲れて、村人達の顔も笑顔になる。
 そして多くの魚を獲り終えて、時刻も夕刻に鳴り始める頃。
「よーっし。釣果も上等上等! それじゃー後は帰りすがらに網を降ろして、最後に引き揚げるぜ!」
 と船長が操舵輪をぐるりと回し、帰港の途に方向転換。
 その進路は丁度陽が落ちる方向で、眩い光に向けて進んでいく事になる。
 ……しかし、そんな進路の方向から、逆行を背にし、真っ正面から近づいてくる……一隻の船。
「……ん? あれかぁ?」
 とレイチェルが指を差し、目を凝らし、匂いを嗅ぐルナール。
「見辛いが……ああ、その様だ。良くみつけたな?」
「ん、これでも吸血鬼なんでなァ、感覚は優れてるンよ」
 ニッ、と笑みを浮かべたレイチェル、そして仲間達に合図を送ると共に、迅が。
「見辛いと思いますが、真っ正面から来ています。合図をしたら、舵を取って下さい。船が大きく揺れると思いますので、みなさんしっかり捕まって……横付けにした所で、こちらが乗り込みます!」
 落ちついた口調で語りかける事で、村人達を驚かさないようにしつつ進路を維持。
 ……そして、夕陽を背にした海賊船が、いよいよ……間近に迫ったその瞬間。
「今です!」
 迅の声に遭わせて、船の進路を展開する村人。
 少し傾くくらいに船は揺れ、真っ正面から突撃してくる敵船の正面衝突を避け、横に着く。
『ちっ……気付いてやがった? まぁいい、なら力尽くで奪い去るのみだ!!』
 と怒り心頭で叫び、両手斧を手に威声を上げる『ネーローマ』一族。
「皆さん、こっちです! 一旦船倉の中に避難を!」
 と迅、イナリ、マグタレーナの三人が村人達を避難させる。
 一方で船縁を足蹴に、次々と村人の船へと乗り込んでいく……が、それに対峙する様に包囲するは、エッダ、レイチェル、ルナール、イグナートとオリーブの四人。
『あぁん? 何だてめぇら。反攻しようってのかぁ!?』
 メンチを切る敵陣……だが、クールな表情を崩さずエッダとイグナートが。
「全く……こんだけの手練れに逆に包囲されている中で、我々より村人をネ会おうとするとか、意味わからんでありますな。死んでも良いと思うところ、間違えない様にして貰いたいのでありますよ」
「ここまでご苦労様! 船を捨てて泳いで泳いで帰るなら、命だけはタスケテあげるから、さっさと帰るのをオススメするよ! 死にたいヤツからかかって来なよ!!」
 はぁ、と肩を竦める素振りを見せるエッダと、満面の笑みでさらっと酷い扱を口にするイグナートに、明らかに彼等は。
『な、なぁんだと! てめえらなんてこの俺達がちょちょっとぶっ殺してやらぁ!! おい、皆行くぜ!!』
 威勢良く、その両手斧を掲げて一斉に攻撃してくる『ネーローマ』。
 完全に力一辺倒故、下手に作戦をとるなんて事はなく……真っ正面から斧を振り下ろしてくるがばかり。
 とは言え、そんな敵の攻撃を船体に喰らえば、被害は免れない……なので、そんな敵の攻撃を引き付ける様に。
「はぁ? そんだけご立派な斧を振り回しておいて、俺みたいなひょろい女も殺れねぇのか?」
 にたり顔で挑発するレイチェル、更にオリーブも。
「全く……その斧の力に自惚れて、略奪行為を始めたとかなのか? 全く扱いがなっていない。寧ろ斧に振り回されている様な感じだ。その程度の実力で今迄何隻の船を沈めた? 何人の命を奪った? ……その報いを今此処で受けてもらうぞ」
 辛らつな言葉を放ち、敵との間合いを詰めると共に、長剣から繰り出す鉄帝国に伝わる武技の一閃を開戦一番に叩きつける。
『ぐっ……!?』
 と、流石にイレギュラーズ渾身の一撃を食らったネーローマの一人は抵抗する間も無く崩れ墜ちる。
『な……一撃、だと!?』
 と驚愕の表情を浮かべる彼等に、ルナールが。
「ま……という訳で俺達は明らかにお前達よりも強い。それでも仕掛けてくるというのなら……まぁ、完膚なきまでに叩き潰すだけだぞ?」
『くそっ……ふざけやがって!! おい、力を合わせればきっと、こっちが且つ。あきらめんじゃねぇぞ!!』
 と仲間達を鼓舞しつつ、更なる攻撃の手を強めていく。
「ふぅん……まぁ諦めねえってんならこっちも後腐れ無く倒せるからなァ。後悔すんじゃねェぜ?」
 笑うレイチェルが、更に紅蓮の焔で敵を包み、苦悶の声を上げる中イグナート、ルナール、オリーブ、エッダらが次々と一閃。
「まぁそうでありますね。面白みもない敵には、誉れもない死を与えるでありますよ」
「そうだな」
 とそれら攻撃を、一匹に集中砲火する事で、敵を一匹ずつ鎮めていく。
 そして数刻の後……村人達を避難させ終えた迅、イナリ、マグタレーナの三人も戦列へと合流。
「お待たせ。さぁ……大切なこの船にこれ以上の被害が出る前に、さっさと倒しましょう!」
 そうイナリの言葉にマグタレーナはこくりと頷き。
「力には力を。彼等のお株を奪う勢いで打ちのめして悪事の報いを、ですね」
 と絶望の海を歌いし呪いの歌を奏で、ネーローマ達を魅了。
 更につぎの刻には狂気を付与する終焉の帳を拡げ、ネーローマを狂わせる。
 狂い、言葉を解釈しようとしなくなった彼等は、自傷行為も重なり、加速度的にダメージが積み重なる。
 そして……傷ついた奴らを狙い済まして、オリーブ、イグナートの単体攻撃。
 強烈な一閃で、完膚なき迄に叩きつぶして行く事で……多くの『ネーローマ』達は死屍累々に転がる。
 ……そして残るは、号令を叫んでいた男。
『く、くそったれが……』
 唇を噛みしめる彼へ、イグナートが。
「……本当は叩き潰したい所だけどサ、まぁ、ちょっと情報もとっておきたいし……ネ!」
 その脳天に叩きつける一閃は、『ネーローマ』を掃討するのであった。

●零れし命を掬い
 そして……ノーザンキングスの輩達が、全て崩れ墜ちた跡。
「ふぅ……どうやらもう、動ける『ネーローマ』一族の人は居ないみたいね?」
 汗を拭いつつ、周りを見渡すイナリ……迅とオリーブも。
「その様ですね……数が多くて結構大変でしたね」
「はい。ですが数が多くとも、私達が絶対に守ると約束しましたから、万が一にも奴らが積み荷に触る事も無かったでしょう……大丈夫でしたか?」
『え、ええ……ほ、本当にありがとうございます……!』
 頭を下げる村人達……本当に心の底から感謝している様で、目はとても爛々としている。
 とは言え全員が無事という訳でもなく……さすがに傷を負ってしまった村人達もちらほらと見受けられる。
「取りあえず、応急処置が出来る道具は……ん、あるな。傷を負った村人達は軽く手ぇ上げてくれ。応急処置だが治療させて貰う。こうみえても元医者で医療知識もあるからな。出来る事をやらせて貰うぜ」
 とレイチェルが提案。
 確かに身なりは元居者と言われると、一様に信じられない感じではあるが……レイチェルの間近に居た村人を、そそくさとレイチェルは包帯を取り出し、負傷部を消毒すると共に包帯で手当。
 その手際の良さを見て、他の周りの村人達も手を上げて、彼女の治療を受けていく。
 そして……そんなレイチェルの横で手伝うのはルナール。
 消毒したところを包帯でグルグルと巻いていくのだが……何故か絡まってしまう。
「……レイチェル。包帯ってのはどうやって巻けばいいんだ? 俺がやると何故か絡まるんだが……?」
「あー……そうじゃねえって。ほら、こうやって……こうだって」
「そうか……こうやって、こう……ん、いや、やはり絡まるんだが……これは、俺が不器用なだけか?」
 真顔のルナールに、はぁ、と溜息を吐きながら。
「いいや、んじゃ消毒の方やってくれ。包帯は俺がやるから」
 と交代する。
 と村人達の治療をしている一方、迅は無事な村人達に明るく声を掛けて。
「それでは無事な方々は、漁の続きをしましょう。たくさん獲れば、冬が楽に過ごせるのでしょう? 精一杯お手伝いしますから、いっぱいとっていい冬を迎えられるようにしましょうね!」
 と、村人達を促し、最後に降ろした網を引き揚げていく。
 そう村人達が動く中……ほんの数人だけ、死まで至らなかった『ネーローマ』一族の者達を後ろ手に縛り上げて、同じ場所に集める。
 ……彼等が意識を取り戻すまで待つこと、小一時間。
『……ぅ……?』
 ぼんやりと目を開く彼等……その目の前には、イナリとイグナートの姿。
「目が覚めた様ね? ……それじゃあ、早速だけど……貴方達のアジトの場所、教えて貰おうかしらね?」
「そうですね……言うも言わないも自由です。ですが……村人達を傷付けた罪は、しっかりと償って貰いますから」
 そんな二人の言葉に震え上がる彼だが……勿論自業自得。
 ともあれ『ネーローマ』一族の企みを封じ込めたイレギュラーズ達は、村人と襲撃船と共に……村へと帰っていくのであった。

成否

成功

MVP

ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングス以来に参加頂き、ありがとうございました……!
北国の方々からすれば、夏は短い準備期間……皆様のお力添えで、きっと少しは生活が楽になる事でしょう……!

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