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シナリオ詳細

開通せよ、避難通路

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●薬草畑にて
 覇竜では、高台で山菜や薬草などを育てている。
 何故低地ではなく高台か……というと、低地で起こり得る様々な危険を排除する為である。
 アトラスにネオサイクロプス、ドレイクにワーム。
 ワイバーンなどを除けば、覇竜の生き物は大地を闊歩していることが比較的多い。
 勿論、それで油断すればワイバーンにパクリといかれるのが覇竜という場所なのだが。
 ともかく、そんなわけで覇竜においては高台の畑というものは、メジャーなものなのである。
 しかし、しかしだ。
 高台であろうと登ってくる相手は当然いる。
 ネオサイクロプスも興味をもてば登ってこようとするし、崖など平地の如く登ってくる生き物もいる。
 最近覇竜を騒がせているアダマンアントの件も、従来の防御策の不完全さを露呈させた。
 横穴の避難場所だけでは足りない。
 ならばどうするか。イレギュラーズという新しい風が吹き込んできた今、そうした議論も覇竜では活発になってきている。

●避難通路を作れ
「と、いうわけで若いもんにアイデアを募っての。高台の薬草畑に避難通路でも作ってみようかっつー話になったんじゃ」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)はそういうと、とある薬草畑までの地図を取りだす。
 その薬草畑はフリアノンから少し離れた場所にある岩山の中腹程の高台にあるようだが、いざという時の為の避難用の横穴は掘っている。
 しかし、そこに手やら首やらを突っ込んでこられた時の為、「下」に降りる為の避難通路を作ってみようという話になったそうなのだ。
 無論、どういう形で作るか、それによってどんな影響が出るかは分からない。
 その為のテストケースという形での作成ということになったのだ。
 一応、フリアノンの若者たちの案では「階段」だの「滑り台」だの、色々とアイデアも出たようだが……その辺りは、荒事に慣れているイレギュラーズのほうが良いアイデアが出るだろうということになったのだ。
 ちなみに某3人娘のうち、主に2人から「修行場」とか「お昼寝場所」とかいうあまり役に立たないアイデアが出たことは別の話である。
 幸いにもこの薬草畑は収穫を終えたばかりであり、次の耕作期まではまだ少し時間があり、改造し放題……ということだ。
 万が一襲撃を受けた際に隠れるだけではなく、下へと逃げられるような何かをこの間に作ってしまえ、ということなのだが。
 大きな音を立てれば、相応に惹かれてやってくるモンスターもいる。
 たとえば最近、この辺りをウロウロしているのは野次馬根性の凄いタイプのネオサイクロプスだ。
 穴を掘っているような音がすれば、なんだなんだと見に来るのは確実だ。
 丁度いいからと作っているものの実地試験をしてもいいし、邪魔だと戦って追いかけしてもいい。
 もともと野次馬根性で来ているのだ、ある程度ダメージを与えれば逃げていくだろう。
 さて……では、その穴を掘る人員は何処にいるのか?
「ん? そりゃ勿論……それも仕事の内じゃろ?」
 採掘道具を並べる相賀に、集まった面々は小さく溜息をつくのだった。

GMコメント

高台の薬草畑をビフォーアフターしましょう。
襲われても下に逃げられる機構、あるいは安全をより高いレベルで確保できるものを作りましょう。
手掘りで。大丈夫、いけるって。ちょっとガチで硬い岩盤ってだけですから。
というわけで、どんなものを作るかはプレイングにてご指定ください。

●野次馬のネオサイクロプス
面白そうなことやっていたら、すぐ見に来ちゃう一つ目巨人。
その辺の岩山を割って作った巨大な剣を持っています。
その剣による薙ぎ払いと切り裂き、巨体を利用した踏み潰し攻撃を使ってきます。
……が、今回は登ってくるので攻撃は吹き飛ばされそうな程に強烈な「凄い息」です。
なお、ある程度ダメージを与えると戦意を失って逃げていくようです。

●黒鉄・奏音
亜竜集落フリアノンに住む亜竜種の少女。
明るく元気で修行大好きなボクっ子。
見た目はチャイナ少女って感じの子です。武器は青龍刀に似た武器を持っています。
強さはそれなり。今回、同行していますが皆さんにかなり好意的に見えます。
ていうか、いつ来たの?
「お話終わった頃かな! 皆が溜息ついてた頃! こういうのも修行だよね!」
そっかあ……。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 地図通りのルートに沿っている限り、想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 開通せよ、避難通路完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月02日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
祭・藍世(p3p010536)
桜花絢爛

サポートNPC一覧(1人)

黒鉄・奏音(p3n000248)
鉄心竜

リプレイ

●穴を掘ろう
「モンスターと戦ったら倒したりもいいけど、たまにはこういう平和な依頼もいいよね」
 そんな『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)の声が高台に響く。
 覇竜に幾つも存在する、亜竜種の山菜畑だが……丁度休耕期であるらしいその場所には、何も植わってはいない。
 掘られた横穴は、亜竜種が作ったのだろう……かなり手間暇をかけた跡があるが、最低限のものだ。
 緊急避難用なのだろう、あまり長期の滞在に向いているようには見えない。
「高台に畑があるのはそーゆー意味があるんだな。あんまり高いとこに昇ってくるモンスターはいないのかな?」
『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)が呟くが……結果から言えばいる。
 しかし、地表近くに作るよりはある程度安心……という程度の話だ。
 何しろ、ワイバーンであれば高さなど何の意味もないし、それ以外のモンスターだってその気になれば登ってくるのだから。
「高台に畑を作るというアイディアが……それでも難しい問題があるんですね……この地方、本当に大変そうです」
『炯眼のエメラルド』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)は言いながらも「でも、こういうもので作戦を立てて考えるのは面白いですね」と付け加える。
 実際、此処で作ったものが結果を出すようなら、それがスタンダードになるかもしれないのだ。
 面白さで言えば、相当に面白いはずだ。
「相賀さんからのご依頼、本当に色々なものを見かけますけど……この岩盤を手掘り……手掘り……? 本当にできるのでしょうか。やるしかない、ですよね……」
「だね! だいじょーぶ、どうにでもなるって!」
「奏音さんいつの間に? ふふ、今日はよろしくお願いします♪」
『未来を願う』ユーフォニー(p3p010323)と『鉄心竜』黒鉄・奏音(p3n000248)の視線の先には硬い岩盤がある。
 これを掘るのは大変そうだが……なるほど、無理ではないように思える。
「せめてスコップくらいは女性達には支給されても構わんのじゃないか? ……まあ、奏音の言う通りこれもまた修行の一環とでも思えば良しか。避難通路がまだ完成していない内に何かが起こっても遅い、出来得る限りの事をやってみせよう」
「そうだね」
「ん?」
『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は静李の持っているツルハシを見て「ん?」と声をあげる。
「静李……それは?」
「相賀翁が『確かに手掘りとは言ったが素手で掘れとは言っとらんのじゃが……若者は元気じゃのう』だそうだ」
 言われてベネディクトは思い出す……そういえば手掘りとは機械を使わず簡単な道具などで掘ること、だっただろうか。
 フッと小さく笑いベネディクトは空を見上げると……爽やかな笑顔で静李に向き直る。
「静李には力仕事を手伝えと言うつもりはない。俺達の仕事ぶりを見て、何かアドバイスなどがあれば教えてくれないかと少し期待してはいるが。君の友人二人の意見は「修行場」と「お昼寝場所」だったと聞いたからな」
「うん、そうだね。まあ、あなたのことだから、本当に素手でやる方策も考えついてるんだろう。そっちの方が道具を使うより面白い結果になるかもしれないな」
 そんなベネディクトは事前にファミリアーの小鳥を飛ばしておき、空からネオサイクロプスの姿を視認するようにしている。
 どうやらまだ何も気付いていないようで、ボーッとしているのが見える。しばらく此方には来ないだろう。
「いざというときがない方がいいですけど、もしものために、ニルは、道を作るおてつだいがんばりますね」
『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)もグッと拳を握るが、そこで思いついたように声をあげる。
「ふと思ったのですが……作った野菜とかを高台から下ろすときとかにも使えると便利なのでしょうか?」
「かもしれねえな」
『桜花絢爛』祭・藍世(p3p010536)もニルにそう頷く。
「アタシとしちゃ逃げ道を作るってのは好きじゃねえんだが……ま、仕方ねえわな」
 藍世はそう溜息をついてしまうが……本当にこればかりは仕方ない。
「残念ながらアタシの力じゃ、覇竜のモンスターからフリアノンを絶対に守りきれるとは確約できねえし、戦って華々しく散るってのも他の奴らに強要することじゃねえしな」
 そう、覇竜の人々はこれ以上ないくらいに死にやすい。
 ふとした調子に死んでしまうのが日常であり、数少ない安全地帯を探して生活しているのだから当然なのかもしれないが、そうした中での「生活の知恵」として、こうしたものも必要になってくるのだろう。
 そして、実際にどういうものを作るか。
「今回のお話をまとめますと、避難経路としては『滑り台』を作ることにしましたが……そこからどういう風に補強していくかはそれぞれの提案、という形になります。ですよね?」
「そうですね、すべり台の形が一番早く逃げられそうだなって、ニルは思うのです」
 ニルも頷き、どうすべきかを考えていく。
(降りた先もすぐに外に出るのではなく入り口と同じように横穴があったほうが安心でしょうか? 逆に出口で待ち伏せされたり、この道を逆走して高台に上がってこられても困りますよね。出口は何かカモフラージュできたらいいのですけど岩で塞がっているように見えるとか、薮か何かで隠すとか……そういうのも考えて、掘り始めなきゃなのですね)
「結局のところだシンプルでわかりやすく老若男女問わずに使えるのが避難経路としては重要なところだ。それすなわち滑り台ってな。野次馬が来る前に粗方終わらせっぞ」
『帰ってきた放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)も言いながら、軽く肩を鳴らしてみせる。
「まあ、大分おっさんになっちまったが力仕事の方は任せとけ」
 やるべきことは多くある。
 そして今回は仕様書があるわけでもないから、好きに掘っていい。それは……とてもやりがいのある仕事であった。

●掘って掘って掘りまくれ
「とりあえず、まずは岩盤を掘り進めて穴を通さねえとな」
 藍世が拳を使って岩を殴り砕くが、中々に豪快だ。
「力自慢なもんでね、これくらいはやらねえとな……ま、設計とかは苦手なんで、穴掘りの方向は仲間の指示にしたがうとしよう。適材適所ってやつだな」
 ……ギフトのせいで攻撃のたびに花弁が散らかるから、あとで片付けねえと……などと呟いてもいるが、まあ協力すればどうにでもなるだろう。
「掘り……掘り進むよー! なんなら失った体力をパンドラ使って回復して掘り進むよ!」
 アクセルが物騒なことを言いながら穴を掘っていく。
 そんなアクセルが考えている脱出機構は滑り台と危険生物の追撃をかわすための横穴式の出口だ。
 陣地構築の技術を活用した作業は中々順調なようだが……バクルドも同様に陣地構築の技術を活用している。
 黒顎魔王で岩盤を砕き絢爛舞刀で形を整えるというやり方は、流石に熟練ということだろうか?
 更には腕を突っ込まれた時の腕対策として滑り台は螺旋状に、そして木材を使って滑りを良くすることも検討していた。
 他にも入り口と出口を罠設置と陣地構築の技術を活用して傍から見たら避難口に見えないように岩肌に見せた布を使ってカモフラージュを施し、入り口は利用者に分かるように火をつけてない灯台を2つ両脇に置いておくこともバクルドの計画にはある。
 この辺りは、脱出愚痴をモンスターに利用されない為の対策としては上々だろう。
「分かり難く、だが分かりやすく。結構匙加減は難しいもんだ」
 それだけではない。近くにはソリ代わりとして丈夫な布袋を用意してある。
 これは……まあ、摩擦でお尻が凄い事にならないためには大事である。
 出口にも横道を作り、仮に出口から待ち伏せてきた用に武器置き場を作っておけば臨時とはいえ対応できるかもしれんな……などとバクルドは掘りながら呟く。
「ソリに関しては最悪子供たちが滑るような布みたいなものでもいいかもですね。これを再び上まで運ぶのも大変ですし、螺旋滑り台には結構注意が必要ですね……」
「ガキの頃麻袋をソリ代わりにしてたこともあったな。まあ、布ならなんでもいいだろ」
 マリエッタとバクルドはそう言って笑いあう。
 そういうので子供が坂を滑って遊ぶのは定番だが、その発想を持ってこられるのは才能と呼ぶほかない。
「あと、個人的にサイクロプスの息が耐え難いので……空気穴用意したいですね…できるでしょうか」
 後で奏音に時間ができたらこの土地のお話をいろいろ聞きたい……などとマリエッタが言えば「いいよ!」と元気な返事も返ってくる。
 ベネディクトもまた陣地構築の技術を活用していたが、他のメンバーとも調整をしながら作業を進めていく。
「素手だろうとなんだろうと、打ち砕く必要があるのなら俺の拳で叩き砕いてやろう。俺も頭を使う事は苦手だからな、これぐらいの方が丁度良い」
「まあ、あなたはちゃんと頭を使えるのを知ってるから構わないが……」
 静李にそんな事を言われてベネディクトは笑う。
 事実、ベネディクトは工夫に資材を使うなら力仕事が必要になるだろうし、と言って運搬などを率先して手伝っていた。
 他にも実際にはどれくらいの通路の大きさが必要なのかなども実地で調査しながら進めていくといった、司令塔的役割も果たしていた。この状況を見て「頭を使うのが苦手」などと思う者は、あまりいないだろう。
「ニル、ツルハシとかあんまり触ったことないですが、掘るのがんばります」
 砕いた岩盤とか土とかを運び出すのに、妖精の木馬を用意したニルだが、他にも色々と用意してきていた。
 暗いところでの作業であることを見越したカンテラ。
 怪我人対策はコーパス・C・キャロル。
 保護結界で、余計なところが崩れてしまったりするのを防ぎ、簡易飛行で移動の補助も完璧だ。
 他のメンバー同様にファミリアーで外の様子を確認することも忘れない……そんな、ニルの気遣いや優しさが垣間見える準備の万端っぷりだ。
 そう、ユーフォニーもファミリアーの「リーちゃん」に外を見張ってもらっていた。
 どうにもネオサイクロプスが何かに感づいたらしく、きょろきょろと見回しているが……まだ問題はないようだ。
 そしてユーフォニーは滑り台を降りた先がすぐ外ではなく、入口同様に横穴を通って出られるようにしようと考えていた。
 これもまた、何かあった時の役に立つだろう。
「一応スマートドリルを持ってきてみましたが……結構掘れますね!」
「というか、ワイバーンに乗って逃げるのじゃ駄目なのか? ワイバーンも育ててるんだろ? やっぱり数が足りないか? 数が足りなかったら駄目だなー」
 まあ……というよりもワイバーンに乗って逃げても逃げきれないというのが最大の理由だろうか。
 熾煇の言うようにそういう手もあるのだが、目立てば撃ち落とされる確率は上がってしまうのだ。
「レール引いてトロッコとかも良いけど、手間だしなー。単純で楽なのは滑り台かー。あのさ、ちょっと広めの部屋みたいなの掘ってさ、そこに隠れられるようにしたらどうだ? しぇるたー? って言うのか? その下から滑り台にしたらな、ちょっと隠れてモンスターがいなくなったらそのまま作業して、本当に危ない時に滑り台でがーって逃げたりしたら良いと思うんだ。まぁ部屋みたいなの掘るのは大変だけどな」
 そうやって様々なアイデアを出しながら作っていけば……やがて、それらのアイデアを盛り込んだ避難通路が出来上がる。
 螺旋状の滑り台を中心にパニックルームの機能も兼ね備えたそれは、かなり実験的でありながらも意欲的、そして機能的な……そんな素晴らしいものに仕上がっていた。
 そしてユーフォニーたち、ファミリアーを放っていた面々がネオサイクロプスの接近に気付く。
 どうやらこれだけドッカンドッカンやっていれば、何かをやっていることに気付いたらしい。
 そして丁度良い事に、避難通路は完成したのだ。
「面白そうなことって気になっちゃいますよね……気持ちはわかります」
「好奇心旺盛なサイクロプスさんには悪いですけど、準備が間に合いましたし実験台になってもらいましょう」
「よし、行くぞ!」
 ネオサイクロプスが来るその前にカモフラージュの奥へと進み、螺旋滑り台を滑っていく。
 外に出れば、崖を登ったネオサイクロプスが首を傾げているのが見える。
 そのまま逃げて行けば、追ってくる様子もない。どうやら大成功のようだ。
「いい避難通路が出来ましたね!」
「ああ。このまま戻ったら持って来た弁当も食べるか。興味があるなら皆も少し食べて見るか?」
「そういえば何か持っていたね」
 ニルとベネディクト、そして静李がそんなことを言い合って。
 イレギュラーズによる「避難通路試作第一号」は、見事に完成したのだった。

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

状態異常

なし

あとがき

滑り台ってあれ、服のお尻のとこが破けたりするらしいですね。
ご参加ありがとうございました!

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