シナリオ詳細
覇竜式タケノコ「大地の角」
オープニング
●竹の子でなくても
タケノコ。
その名前の通り「竹の子」……つまり竹として成長する前に掘り起こされることで食材「タケノコ」となるわけである。
つまるところ、放置すれば竹になるものをタケノコというわけだ。
しかし、覇竜のタケノコが必ずしもそうであるかといえば、さにあらず。
外でそういう姿の食材をタケノコというから、とりあえずタケノコと名付けてみたみたいな食材も存在する。
どういうことか?
簡単だ。
外でタケノコと呼ばれている食材とソックリで、味も調理法もタケノコそっくり。
なら面倒だし「タケノコ」ってことでいいんじゃね?
そういう風に名付けられたものがある。つまりはそういうことである。
元の名前は大地の角。
なんとなく亜竜種の角に似てるよね、ということからつけられた名前だ。
食べれば強い子に育つとか、そんな適当な謂れもあるらしい。
勿論そんなことはない。バランスよく食べよう。さておいて。
そんな覇竜式タケノコ「大地の角」は……丁度今が旬である。
ただし、旬の美味しいものはモンスターも食べにくる。
それもまた、覇竜の定めである。
●大地の角を掘り起こそう
「外にはタケノコっつーもんがあるじゃろ?」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)はそう言うと、タケノコを1つ取り出す。
中々に立派なタケノコだ……ラサ方面から入ってきたのだろうか?
「しかしながらこのタケノコっつーもんはこっちでは育たなくての。たぶん弱いんじゃろうな」
いや、そんなことはない。
竹程生命力の強いものもそうはない。ないが……覇竜においては儚いものなのだろう。
当然、外のタケノコを覇竜で採取することはできない。
できないが、それっぽいものは覇竜にもある。
「たまに覇竜式タケノコとして輸出品になっとるみたいじゃがの」
覇竜式タケノコ。
こちらも「外」では栄養が足りないのか育たないらしいが……その名も大地の角。
亜竜種の角に見立てて名付けられたものだ。
味と調理法は外のタケノコと然程変わらず、しかしあく抜きの手間に関しては外のものよりもだいぶ楽だ。
お湯で茹でれば、それで完了するお手軽さだ。そういう意味では食べやすいと言えるだろう。
しかも、外のタケノコと違い竹に成長しないので、地上に「あ、タケノコだ」と分かる形で出てきた時点で成長しきっているという、そういう食べやすい代物だ。
そしてこの時期、大地の角は丁度旬を迎える。
……迎える、のだが。
「儂等に美味いもんは当然、他の生き物にとっても美味いってわけじゃな」
この時期になると色々なモンスターが大地の角を欲して現れる。
しかし、一番乗りで現れるモンスターは決まっている。
「タケノコモドキっていうんじゃがな」
その名の通り、タケノコに似た角を持っている地中を移動する小型のモンスターなのだが……地中からボリボリと「大地の角」を食べると、満足してそのまましばらく寝る習性があるのだという。
当然、「大地の角」と間違えて取ろうとすれば激怒して襲ってくる。
よーく見れば間違えないらしいのだが……しっかり観察する必要はあるだろう。
「取ってきてほしいのは3本じゃが……余分に取って来れば色々と料理して楽しめるじゃろ。ま、頑張ってくるとええ」
- 覇竜式タケノコ「大地の角」完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年04月27日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●タケノコ狩りだ!
「さぁ、今回は食べ物回だよ!! 覇竜ってロクでもない動物とか食べ物が多いよね。厳しい環境だからそうでないと生き残れなかったかもしれないけど、個人的には限度があると思うなぁ……まぁ、気にせずに食べるんだけどね」
「確か仕事内容は「大地の角」というタケノコ堀りだったな」
『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)の言葉に、『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)が道すがら、依頼の内容を再確認する。
大地の角。まあ、見た目がタケノコならタケノコだろう。
依頼されたのは3本だが、自分たちが食べる分も掘っていいということになっている。
つまり報酬に追加ということだが……これは中々嬉しいものではあるだろう。
「収穫したてのタケノコなんて向こうでも食べる機会がなかったからよ、楽しみだぜ」
「タケノコとは……なんだ。聞いたことの無い食物だな」
「大地の角? タケノコなのか? 美味いのか? 美味いなら好きだぞ! ワイバーンも食うかな?」
『夕陽のガンマン』スティール・ダンソン(p3p010567)と『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)は、そんなことを言い合うが……食べる機会がないと、そんなものかもしれない。
基本的に季節モノなので、食べない人は一生食べない。
「こういうものは探せばまだまだたくさん出てきそうだが……ともかく、それを採取すれば良いんだな?」
「タケノコいっぱい掘りてー! って思うけど、どのくらい採ってって良いんだ? とりあえず言われた分と、俺達の分一個ずつは欲しいよな」
「確か3つだったな」
「3つかー!」
そんな2人を見ながら『龍魔術師』カーリン・ラーザー(p3p010424)は頷く。
「大地の角ですかーあれ、特異点になる前に旅していた時も食べたことあるんですけど美味しいんですよねー。まぁ、そのぶんとるのも大変なんですけどー」
カーリンはドラゴニアだから食べたことがあるのだろう、その言葉は実に実感の籠っているものだった。
「タケノコまでも淘汰される覇竜……改めて考えると恐ろしい場所だ。今度、俺の領地から生えてくるカジキマグロをリリースしてみようか。生き残るか見ものだな」
『残秋』冬越 弾正(p3p007105)がそんな恐ろしいことを呟いているが、増えたらどうするのだろうか。美味しいならいいのだろうか。
「さて、冗談はさておき仕事に集中するとしよう。特に背後には気を付けなければ。尻に防御無視攻撃を喰らったら一大事だからな!」
そう、今回の敵はソックリな「タケノコモドキ」だ。防御無視を尻に刺されたら、さぞ痛いに違いない。さておいて。
「調理に結構な面倒が伴う食材と記憶していましたが、どうやらここのはそういったのがないようで。存分に掘ってお料理なのです!」
『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は言いながら、弾正の尻がどうのこうのという台詞を思い出す。
「……しかしその、タケノコっぽい角の蛇って。ふつう逆じゃないのです?どうして満腹で寝ているときに、わざわざ他の生物に取って食われかねないような真似を……?」
「覇竜の生き物だからなあ……」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)がクーアに苦笑しながら、そう答える。
覇竜の生き物には何かこう、常識では考えられない「よく分からん」特性を持つものも多い。
タケノコモドキも、そういう類なのだろう。しかしそれでも含めて冒険だ、とゼフィラは思う。
「いやぁ、やはり未知の土地の冒険は良いねぇ。知らないモノだらけで、新たな発見が楽しみになってくるよ」
しかし、そういった興味はひとまず後回しにしなければならない。
「さて、タケノコモドキというモンスターも気になるが、今は依頼の方を優先しようか。大地の角というのがどんな味かも気になるしね」
そして歩いていくと……やがて、見えてくる。
覇竜式タケノコ「大地の角」と……その中に混ざるタケノコモドキ。
ついにタケノコ狩りの始まりである。
●タケノコが出たぞ
覇竜式タケノコ「大地の角」の並ぶその光景。
それは中々に壮観だが……どうタケノコモドキと区別をつけていくべきか。
「うおー、いっぱい生えてるー!! ってあれタケノコじゃないやつもいるんだな? タケノコモドキ? あれってタケノコ食って寝てるんだよな? タケノコ食ってお腹いっぱいになってるなら、タケノコモドキの角の近くにあるタケノコは下の方が食われてるんじゃないはそんな予想をつけてみるが……そういった虫食いのようなタケノコはない。
一本丸々食べて、そこに代わりに収まっているのかもしれない。
ならばとスティールはまず、アウローラを引き抜き地面に向けて撃ってみる。
音と衝撃に驚けば姿も見せるだろうかと思ったのだが……何も反応はない。
寝ているせいで気付かないのだろうか?
「まー、炙り出してどーんって倒した方が、手っ取り早く安全地帯を作れて、ヘビを気にせずタケノコ掘りできるんだけどなー」
「痛い思いする必要もありませんしねー。タケノコモドキさんを間違えて掴まないようにエネミーサーチとエネミースキャンでよーく調べて……ちゃんと本物の大地の角だけ採りますよー」
カーリンは言いながら、エネミーサーチをかけていくが……すると、なるほど。確かに引っかかるものがある。
(他の方がうっかりモドキさんをおこらせちゃったら……悪いが〆させてもらおう、確かこいつもそれなりにうまかったはずだ)
そんなことを考えながら、カーリンは本物を掘り起こしていく。
「勿論、依頼された三本だけでなく私たちの分も採りますよー。とはいえ採り過ぎて持ち帰れなくなるのは本末転倒なので持てる分くらいですけどー……モドキさんはー怒らせちゃった分だけですかねー」
そしてЯ・E・Dは、それとは違う方法で大地の角を探していた。
活用しているのは、植物疎通と透視の力だ。
とりあえず大地の角を探して発見したらまず植物疎通。
意思を何となくでも感じたら本物の大地の角だから採取……と、こういうことだ。
大地の角は植物でタケノコモドキはモンスターなのだから、確かにこれで判別できる。
更にここでもう一手、意志を全く感じなかったら大地の角の周辺の地面を透視……タケノコモドキがいたら破式魔砲をそのまま地面に叩き込んで焼き蛇にしてから採取するという方針をとっていて、実際に1匹採っていた。
「……食うのか?」
「……えっ? 蛇肉も食べるよ? 大地の角と蛇肉の煮物とか最高じゃないかなぁ?」
弾正にそう答えながら、Я・E・Dははリュックサックを背負って採取した大地の角と蛇肉を入れていく。
「大地の角って大きさで味が変わるんだよね? 濃い目の味も良いけど、刺身とかで食べる時はあっさり目の柔らかい物の方が良いかな?」
言いながら透視を駆使して地面に埋まっている小さい大地の角も探していくЯ・E・Dだが、そんな彼女を見て弾正は「ならいけるな」とい頷く。
弾正のやり方は聴力に頼る者の近くでは出来ないが……彼女の近くでなら蛇狩りの方針も合わせていけそうだ。
元々、皆で手分けして収集にまわるようだから、導きの輝石で周囲の地理を把握し、聴覚の非戦スキルを持つ者とは離れた場所で収穫作業をしようと……そう考えていたのだ。
「俺は音の精霊種だが、堅い固体を伝わる音は空気中よりも弱まりにくい事を知っている……俺のリサイタルで寝ているタケノコモドキを叩き起こして纏めて倒してやろう!」
ユニコーンサウンドを響かせ、なじみのマイクで熱を込めて歌唱するべくすうっと息を吸って。
「今呼び覚ませ地の底よりTAKENOKO Soul! おっはよーーーー!!!」
そしてタケノコソウルが……タケノコソウルってなんだろう。分からない。輝くのかもしれない。さておいて。
同時に、周囲のタケノコモドキが飛び出してくる。地面の中から槍のような何かが飛び出てくる光景は、中々心臓に悪い。
飛び起きたタケノコモドキへ名乗り口上をあげると、大地の角に影響が出ない場所へ移動していく。
そうして戦闘が始まるが……置き去りになっている本物のタケノコは、メカ子ロリババアに掘り起こして被害がない場所に寄せておいてもらう手はずだった。
そんな弾正やЯ・E・Dたちをクーアは「おー……」とちょっと感心したような目で見ていた。
確実に蛇も食べるタイプの動きだが、クーアとしては蛇は起こさない方針だった。
(わざわざ寝た子を起こす必要もなし。タケノコモドキは一匹たりとも起こさないつもりで臨むのです)
移動も極力慎重に歩きたいところだったが、やりすぎると日が暮れかねないので丁度いい具合を探りつつ。
「未知の物品の解析(アナザーアナライズ)もメイドの領分……メイドが領分と言ったら領分なのです。聞いたことがなかろうが知ったことではないのです」
とにかく、「それが生物であるか植物であるか」に観察目的を絞れば手早く解析できるはずだとクーアは考えていた。
「生物であれば無視、植物であれば採取。ぱぱっと済ませるのです」
そうして掘った大地の角は……どうやら、中々に上物であるようで。
同じく戦闘を避ける方針のゼフィラも、【看破】のスキルを活かして、タケノコモドキが隠れていないかを判断していた。
タケノコモドキを発見しても、不用意に刺激せず距離を取り、まずは「大地の角」を収穫するのを優先するつもりだった。
「……よし、これだな。中々掘りやすいが……やっぱりタケノコとは違うんだな」
周囲に竹らしきものはない。つまりタケノコそっくりでもタケノコではないのだとゼフィラは納得する。
これは、こういうモノなのだろう。
その近くを義弘も歩き、ハイセンスでしっかりと観察していた。
(別にタケノコモドキを全部倒せってわけでもねえし、落ち着いて見極めよう。正直、たくさん生えている大地の角が全部タケノコモドキって可能性もあるしよ)
そんな場所があってもおかしくはないし、義弘は焦るつもりは一切ない。
視力でそれと思しきものの発見、超嗅覚・超聴力でタケノコのにおいがするか。
そして蛇も呼吸しているはずだから、呼吸音がするかどうか、確認しながら採取を進めていた。
「確か、鍬のようなもので根元からさっくりやればいいんだったな。手元が狂わないようにしねえとな……失敗した分無駄にはしたくないしよ」
そうっと掘り起こせば、綺麗に取れて。収穫物に、義弘は満足げに頷く。
そうして手に入れた大地の角は、かなりの数で。
持ち帰り渡した残りをどうするか……当然、料理である。
「あく抜きは楽らしいから、向こうでやっているよりも短時間で済むだろうな」
それどころか、ちょっと水につけるだけで出来上がりである。
「なるほど……たったそれだけの手間で」
「外のものはめんどいんじゃのう。食うのに幾つもの手間が要るとは」
「食への執念故なのです」
クーアは相賀に調理方法を聞いていたが、どうやら確かに外のタケノコとは勝手が違う……いや、相当に楽な代物であるようだった。
「メイドは日々是お勉強なのです」
しかし、分かってしまえばどうということもない。
「今回は海洋からお出汁を持ち込んで来たので、これで煮込んでしまいましょうか。削り節の類はあるでしょうか?」
そうして調理を進めていくクーアだが……義弘たちもそれさえ分かってしまえば気楽に調理が出来る。
「そのまま茹でて醤油をちょいと垂らして食べるのもいいし、藁焼きにしてもいいだろう。酒が欲しくなるかもしれねえがよ」
義弘は楽しげにそう言って。
「そうだね。折角だし、酒も用意しておこうか。ふふっ、楽しみだね」
そう答え煮物を作るのはゼフィラだ。料理が苦手で簡単なものしか出来ないと言ってはいるが、中々に手慣れた動きだ。
「混沌米『夜さり恋』に、油揚げ、醤油、みりん、塩を少々。それと……相賀殿、お酒を少しだけ分けて貰えるだろうか?」
「ほれ」
「感謝する。剥いたタケノコも加えて釜で炊き込めば、タケノコご飯の出来上がりだ!」
弾正は米を持ち込んで炊き込みご飯を作っていたが……なるほど、おかずばかりでなく、こうしたものも必要だろう。
「~♪」
「いい匂いだなー」
カーリンも鼻歌を歌いながら料理を作っていき……熾煇はそんなカーリンにタケノコモドキを渡してかば焼きにして貰っていた。
漂ってくる香りは、熾煇の嗅覚を実に楽しげに刺激する。
そんな中をスティールも手伝うべく動き回って。
そしてЯ・E・Dは、こちらは中々に本格的だった。
大地の角がタケノコに似た味だと信じて醤油を用意するという手際の良さは、弾正と同じものを感じる。
「焚き火に丸ごと放り込んで焼くのも良いけど、今回のメインは煮込み料理だよね。もちろん、炊き込みご飯も基本だから、お米も用意したよ!!」
そうして作るのは4品。
・大地の角と蛇肉の炊き込みご飯
・小さめの大地の角の刺身
・大地の角の丸焼き
・大地の角と蛇肉の醤油ベースの煮物
おお、なんということか。蛇まで使い、大地の角の大きさにまで気を遣った調理の方法だ。本気っぷりが伺えるが……そうして出来上がった各自の料理は、どれも甲乙つけがたいもので。
季節のものをたっぷりと食べて、目と鼻もしっかりと楽しませて。
そんな、楽しい一日を過ごしていくのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
タケノコご飯、超美味しいですよね……
GMコメント
覇竜式タケノコ「大地の角」を手に入れましょう。
依頼は3本。残りは皆さんが食べられます。
焼いても煮ても美味しい旬のもの。どう食べるかは皆さん次第です。
タケノコ掘りと料理、その辺りにプレイングを割いてくださいませ。
●場所
フリアノンから岩場を抜け歩いた先、岩山の近くの土の上にたくさん生えています。
ただし、幾つかは「タケノコモドキ」の角であるようです。
見た目はそっくりですが「よく見るとこれ、角じゃないか?」程度の違いはあるようです。
●大地の角
覇竜式タケノコ。全長60cm。
地中にまだ埋もれているものはもうちょっと小さいみたいです。
ただし、地上に完全に出てきたものは味が濃くなっています。地中にあるものはまだあっさり。
優しく根元を切り取ることで収穫できます。
●タケノコモドキ×不明
地中から角を出して寝ている蛇みたいなモンスター。
角が大きいので、攻撃時は槍みたいになって跳んできます。
防御無視の【スパイラルアタック】を使用してきます。
ただし、攻撃力は高いですが他はそれほどでもないです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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