シナリオ詳細
永遠のルシェ=ルメア
オープニング
●母親
流れを失った水はやがて澱み、腐り果てる。
永劫にも思える平穏は、永遠に等しい無変化で、同時に残酷で優しい微睡のようなものであった。
もし『彼女』の下に『運命(ダンテ)』が響かなかったなら、ルシェ=ルメアはもっと完璧だっただろう。
もし『彼女』が『運命(リア)』を宿さなかったなら、ルシェ=ルメアは常に完全なままだったのだろう。
さりとて、過ぎ去った日は戻らない。永きを生きた大精霊のたかがほんの一時(じゅうすうねん)は取り返しがつかない程に遠かった。
「……違うわね」
『永遠の淑女』は見るに堪えない程に下手な嘘に嘆息した。
「『もし時が戻ったとしても、恐らく私は全く同じ選択をするのでしょうから』」
自分さえ騙し得ない欺瞞に何の意味があろうというものか?
幾つかの局面において後悔が、或いは失意が皆無であったとは言えないまでも。
幾つもの局面においてこの最悪は常に最愛だった。
自身の頬に、唇に触れた熱い指先の熱も。玲瓏郷の静けさを無遠慮に破ったあの泣き声も――
玲瓏公ベアトリクスにとって何処までも繊細な色彩だった。
変化の無い世界に訪れた色褪せない福音であるかのようだったから。
「……でも」
だからこそ。
深緑が大いなる厄災を迎え、存亡の危機に立たされているからこそ。
完璧も完全も失ったルシェ=ルメアが決断しなければならないのは確かだった。
混沌にありながら混沌にない。次元の狭間、小さな揺らぎ。有り得ざる歪、幽かな例外。
外界からアクセスするには難しいこの場所は領域そのものが『遥か美しき願いを届ける願望機』である。
得る者が得れば――例えば、今まさに『外』で深緑の為に力を振るう特異運命座標が得たならば、それはあの茨をも寄せ付けない拠点になろう。
聖なるかな、二竜と大精霊の庇護を受けたこの場所は一時、彼等の力となり、怠惰なる七罪を打ち破る為の切り札となり得るやも知れない。
元より、最も旧き盟約は深緑と玲瓏郷の互いに守護の義務を交わしたものだ。
――だが。外界より押し入って来るものならば『例外』で済もうが。
「フォウ=ルッテ」
――己から外に道を接続すればそれは不可逆になろう?
外敵ならば話は別だが、世界の理には歯が立たぬ。
『守護』の契約の遵守が為に、主は玲瓏郷を消し去るか?
「茨紋」
無数の光を跳ね返す湖の上に薄ぼんやりと光彩を放つ竜の巨影が二つ。
――盟約も相手だけに滅べという筋は無いと思うがね。良いのか? 貴様も消えるぞ?
畳みかけた『フォウ=ルッテ』の直言に苦笑いを浮かべたベアトリクスは「そうね」と瞑目した。
元々不安定なルシェ=ルメアは混沌との接続で、その復元力で呑まれてしまうだろう。
一時の奇跡だけを残し、元からそんな場所等無かったかのように。
『彼』と過ごしたあの時間も、『彼女』を抱いた夜も消え失せてしまうのだ。
そしてそれはルシェ=メリアと色濃く繋がる自身さえも例外ではない。
「フォウ=ルッテ、それは不満かしら」
――『人』の考えるは分からぬ。
元より我等は彼奴との対決に敗れ、約定に従いこの地を守護したまで。
玲瓏の主たる貴様がそれを望むのならば、口出しする謂われなぞ無い。
「茨紋。貴方は?」
――好きにせよ。あの女(ミシェル)も流石にこれだけの義理を果たせば我を締め上げる事も無かろうよ。
「唯の約束なら――盟約なら」
ベアトリクスはやや独白めいてそう言った。
「それだけなら、見ない振りも出来たかも知れない。
それだけなら、確かに茨紋の言う通りだわ。約束でも出来る事と出来ない事はあるのだから」
「でも」と否定の言葉が宙を揺蕩う。
「……聞こえたの」
――何を聞いたのだ?
「愛しい音色を」
――感傷的だな。
「感傷的よ。今までで一番ね。愛しい、愛しい音だった。私の、私達の音色(クオリア)。
世界にたった一つしかない、音を聞いてしまったのよ」
ベアトリクスに迷いは無く、永遠で完全だった世界は充足を捨て、徐々にひび割れ始める。
「――そうしたら、娘の為に頑張れない母親なんていないものなの」
●天啓
時に聖職は神の声を聞く。
「はぁ、はぁ――」
理屈よりも先に結論が訪れる事はままある。
『何故』ではない問題に理屈は無く、強引な結論は直結的な『答え』に他ならない。
元より特異運命座標は『神託』等という眉唾を本気にして動いていて――
些かロマンティックな言い方をするならば運命の星を抱くとはつまりそういう事に他ならないのだろう。
「――は、は、は――」
『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)は止まらない動悸を抑える事は出来なかった。
呪いの茨に満ちた森の仄暗さよりも深く、静かに。彼女を締め付けんばかりの予感は強くなる一方だった。
それは本能的な畏れであり、同時に確信でもある。
人生で幾度も無い、理よりも先に立つ確信であった。
「大丈夫?」と問うた仲間に彼女は一つ、大きく頷いた。
「大丈夫よ。こんな所で倒れたら――死んでも死にきれない!」
一行が今、森林迷宮を急ぐ理由は簡単である。
口元を拭ったリアに天啓のように訪れた『招き』は実際の所、説明が難しいものだったが――
――いいから、手伝って! これはきっと大きなチャンスになるの。
深緑を、混沌を助ける為の大きな――
『何者からかも知れない招きに踊らされて』リアはレオンに掛け合った。
多くは要らない。しかしながらアンネローゼ奪還の余力を駆ってもう少し森林迷宮を――あるポイントを探索したいと。
夢見のように不確かな招きは冠位なる魔種の罠であるかも知れない。
そう考える事は何ら不自然では無かったが、先述の通り彼女は確信していた。
あの懐かしい声は、香りは。決して邪悪なものなどでは有り得ないと――
(仕方ねぇな、か)
前を向き、気持ちを入れ直したリアは内心だけで呟いた。
(……アレで案外、信頼してくれてるんだ)
敵勢力圏となった迷宮森林内は平坦な道程ではなく、多くの苦労に満ちていた。
だが、リアに同道を申し出た仲間達も、それからレオンもこの先を『信じて』くれているに違いない。
「……もうすぐよ」
呟いたリアに頷いた一行が歩を強めた。
暗い木立を抜け、茨を切り分け――開けたその先には風光明媚なる湖が広がっていた。
いや、彼方に霞んで滲んでいた。
「何これ……」
――ルシェ=ルメアという。玲瓏郷と呼ぶ者も多いな。
「……!?」
突如頭の中に響いた声に一行は思わず身構えた。
邪悪を思わせる声色ではなかったが、その威圧感は肌が粟立つ程に強烈で誰の肝胆も寒からしめるものだった。
――声は届いたか、人間共。
「……招きは、貴方が?」
イレギュラーズの一人が問えば声は「違う」とせせら笑う。
――我はフォウ=ルッテ。約定に従いルシェ=メリアを守護せし者。
それからこれは同じく茨紋。事情を細に語る心算は無いがね。
イレギュラーズはこの期に及び、蜃気楼のような湖より『此方側』に薄ぼんやりとした巨影が二つある事に気が付いた。
それは彼等の魂に刻まれた脅威の記憶を思い起こさせるものだ。それは確かに竜のシルエットを形取っていた。
「その、フォウ=ルッテさんと茨紋さんが何の用なの?
招いたのが貴方達じゃないなら――この先には」
――如何にも。この先の、玲瓏郷の主人が主等を招いた者になる。
リアの問いに茨紋が頷いた。
事情は兎も角、形が見えてきたのは確かだが、それは同時に。
「――案内、してくれる心算は無いんだよな?」
勘のいいイレギュラーズの言葉に茨紋がせせら笑う。
――如何にも。わしは兎も角、フォウ=ルッテは此度の招待に納得はしていないようでな。
故に此奴めは、己が責務を果たす心算なのだろうよ。
分かるか、人間。玲瓏郷の主は確かに主等を招いた。
そしてこの招きは主等にとって好都合を帯びよう。
だが、それはこの場を推し通って始めてのこと。
フォウ=ルッテに認じられねば、それは到底叶うまいよ!
――我は人を憎んでおらぬ。我が盟約は玲瓏郷の守護也。
故に貴様等がここで引き返すのであれば加害はせぬ。
だが、罷り通らんとするならばその武威を、価値を我に示せ!
轟、と風が吹き抜け――気が付けば目の前には真白く美しい竜が居た。
「正直――ゴメン」
前を向いたまま、リアは仲間達に言った。
「ゴメンついでなんだけど――コイツ、ぶっ飛ばす手伝いして貰っていい?」
- 永遠のルシェ=ルメアLv:60以上、名声:深緑30以上完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別EX
- 難易度VERYHARD
- 冒険終了日時2022年04月29日 22時11分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費250RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●理不尽な招待
「これはまた、予想もついてなかったのが出たというか。
つくづく私って鱗のあるものと縁ができるというか……
これって歴代の中でも相当なものだと思うけど――」
零した『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)の視線の先に白い巨影が佇んでいる。
これだけ間近で観測する事は滅多にない存在だ。
彼女の言う所の『鱗のあるもの』は人智が伝説とする神代世界の住人だ。
故に『理不尽(Very Hard)』とはきっとこういう事なのだろう。
人生につきものではあるが、何もここまでそうであって欲しくはない――
「――竜と戦うとは聞いてないんですけどぉ!?」
『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)のちょっとした泣き言は実に当然の権利であった。
友人たる『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)の予感――予感なる全く不明瞭な理由を頼りに頼まれ迷宮森林に同道し――
「正直、もうこの時点で泣きそうなんですけど!」
――何やかんやで進んだ先行きを竜が阻んだ。
真っ当に生きていれば――否、真っ当に生きていなくても殆どの人間が生涯で一度も目にする事がないであろう竜に、何度も何度も何度も何度も。嫌になる位遭遇するのは彼女達が特別な運命を帯びた特異運命座標だからに違いなかろうが、それにしたって肝胆寒からしめる事実はあるものである。
――我は人を憎んでおらぬ。我が盟約は玲瓏郷の守護也。
故に貴様等がここで引き返すのであれば加害はせぬ。
だが、罷り通らんとするならばその武威を、価値を我に示せ!
フォウ=ルッテを名乗る白竜はルル家の目にも邪悪なものであるとは映らなかった。
しかし、少なくとも彼だか彼女だかは呼び出された(らしい)リア、そして自分達に対して攻撃的な対抗姿勢を示している。
繰り返すが真っ当に生きていなくても何度も遭遇する方がおかしい竜との対決は決して歓迎したくなる話ではない。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、とは言うが。
よもや、竜の住処を引き当てるとは。相変わらず『持っている』な、御主は」
「ああ、ごめんって! 後で何か奢るから――」
人の悪い笑みを見せた『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)にリアが申し訳なさそうな苦笑いを浮かべた。
「丁度その辺りで手を打とうと思っていた所だ――そうだな、かなり美味い飯を所望しよう。
御主が丹精込めて作っても良いぞ。何、付加価値は十分だ。世の男共はそれで随分羨ましがろう」
「HAHAHA、グッドだぜリア・クォーツ! ベリーグッド!」
からかうようにそう言った汰磨羈の一方で、『仲間を巻き込んだ』リアの憂いを『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)の剛毅が笑い飛ばした。
「何を謝る必要がある! ミーとしちゃあ、釣り針も付けてない竿で鯛を釣った気分だ!
竜種とは豪勢じゃないか、滅多に食えないご馳走だ! 楽しめなくちゃ嘘だろう――!?」
ルル家や汰磨羈も別に本気で抗議している訳ではないが、貴道の方はもっとずっと露骨だった。
「折角奢らせてあげようと思ったのに。
いや、まぁ、奢っては貰うんですが。竜が現れたという事は――この奥に深緑を救う何かがあるのですよね。
実に皮肉な話ですが、こんな所に竜が現れたという事は――リア殿の予感だか神託はきっと正しかったという話なのでしょう」
言葉は半ばヤケクソに近かったが、本音にも近い。
「藪をつついたら蛇が出てくるというけれど、森に入って竜が出てくるのは現実は想像よりも奇なりというものよね。
歓迎できる状態ではないけれど、ね。『何も無かった』よりはこの方がずっといいのでしょうね」
『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)の見立てでも状況は同じだ。
竜が覇竜領域ならぬ迷宮森林に在る――それ自体がかなり例外的な話だが、『都合良く』行く手を塞いだというなら話は殆ど『確定』だ。
『ルシェ=ルメア』なる存在、場所が何だかは知らなかったが、竜の口にしたその場所に答えがあると考えられる。
彼女自身の言葉を借りるなら『藪をつついて竜が出た』ならば、想像出来ぬ『何か』が在るのは間違いないと言えるだろう。
「……素直に引けば何もしない、と言ったよね」
――如何にも。
「――確かに今日は練達の時とは違う。
あの時は私達の後ろには守るべきものがあったから。あれ以上後ろに退がる事なんて出来なかった。
実際問題、今回は引き下がる事だって出来るのかもしれない。
『その方が賢明で誰にとっても幸福であるのかも知れない』」
――……………。
『邪悪ならぬ』フォウ=ルッテが心なしか願うような風情で『可能性を連れたなら』笹木 花丸(p3p008689)を見つめている。
「でも――でもね」
だが、続く言葉はフォウの気持ちにそうものには成り得ない。
誰が呼んだか『可能性の獣(イレギュラーズ)』は望む望まないに関わらず運命をかき集め、道なき道に奇跡を引く。
単純な善悪のみならず『そうあるべき力』は当然ながら個人的感傷等、殆どの場合一顧だにすまい。
そこには自己や他者の区分は無い。『その力は、力を振るう彼女等自身も含めて必要ならば傷付ける』。
「……リアさんの呼びかけに応じて私達は此処まで来たんだ。
可能性を掴むために、大事な友達や仲間の大切な人たちの為にも、私達は……私は前に進むっ!」
力強く宣言した花丸の言葉にフォウが溜息を吐いたように見えた。
――交渉は決裂だな、恨むなよ。特異運命座標共。
「……恨むに決まってんでしょうが!
ンな身勝手が――はい、そーですかって納得して貰えると思うなよ!?」
直球にして本音である。
「第一、武威だか価値だか知らないけど――」
一方で、リアの勝気な青い双眸が白い巨影を睨み付けた。
「――そもそも、来いって呼んだのはアンタ達の方でしょうが!」
彼女はその語気や語調に関わらず、実にカラっとしたものだ。言葉で幾ら抗議した所で――怒ったような所を見せた所で、そこに『本気』が無い場合が大半だ。余程の相手や事情なら当然それは異なるが、少なくとも『理不尽な招待』位の話ならリア・クォーツの通常は崩れ得まい。
無論、今回の啖呵もその延長線上。良くも悪くも強気なリアの気質を良く表している程度に過ぎないが――
『そんなもの』をまともに浴びた――如何にも生真面目そうな印象を受けるフォウが面食らうのは当然だったかも知れない。
――一本も二本も取られておる。確かになあ、フォウ=ルッテが悪かろうなあ。
他方、姿見せぬ茨紋はくっくっと笑い声を零し、そんなフォウを皮肉っている。
空気は死闘を前にしたものと思えない位に弛緩しており、少なくとも竜種を目前にした中ではこれまでとは一線を画している。
されど、相手は確かに竜だった。それも戦う気たっぷりの竜。
彼等が立ち塞がる門をこじ開けようとするのなら、それはまさに不可能の遂行だ。
「ん~……はい! じゃ、話は決まったって事で――
でもね、戦う前にハッキリさせておきたいんだけど。幾つかいい?」
『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)の言葉を沈黙が肯定した。
「ありがと。じゃあ一つ目。
まず貴方達とわたし達は状況上、やむを得なく戦う事になる――
『不倶戴天の敵じゃない』」
――然り。お前達が退くのであらばそれまでだ。
我が敗るる筈も無いが、逆もまた同じであろう?
「そうね」とЯ・E・D。
「じゃあ二つ目。
さっきの話じゃ、玲瓏郷の主は貴方じゃない。
……玲瓏郷の主はリアさんを招いたんだよね?」
――然り。
答えたフォウの口調は重く、如何にも『それを言われると痛そう』だ。
Я・E・Dはふと考える。この相手は搦め手にも腹芸にも適していない。
茨紋の方でなくて良かった、と――
「なら、ルールを決めるべきじゃない?
殺し合いはしたく無いし、あなたは竜。状況からして多少の手心を加えてくれても良いと思うんだよね。
貴方の言う『武威と価値』が私達には分からない。
鱗を何枚か砕いたらとか、角を折ったらとか、認めて貰う条件を先に決めて欲しいな」
あくまで目的は玲瓏郷への到達である。
Я・E・Dの言葉は相手がフォウよりもう少し話の分からない、或いは戦うに価値が偏重した――例えば一菱梅泉のような者が相手ならば、激昂させかねぬ危険な交渉に違いなかったが、先述した通り生真面目で状況に引け目を感じているかのようなフォウには効果覿面だったのかも知れない。
――判定は我ではなく、茨紋に任す。それで納得せよ。
中立の茨紋はイレギュラーズを阻止する事を考えていない。
玲瓏郷の主に仕えるそれはその思惑の逆を行くフォウに必ずしも味方はすまい。
つまりその提案は『それで納得せよ』という最終ラインである。
「いいわ」と頷いたЯ・E・Dが静かに構えを取る。
緩んだ空気は急速に引き締まり、戦いの時が訪れつつある事を教えていた。
(玲瓏郷ルシェ=ルメア……)
そんな中、リアはふと考えた。
おかしな話だ。予感といい、導きといい――自分はどうかしてしまったのではないだろうか、と考えた。
初めて聞くその名なのに不思議と何処までも懐かしい。
何時になく高揚した気分が、気のせいであるべきなのか彼女にはまだ判断がつかなかった。
●フォウ=ルッテ
「――その武威を、価値を示せというのなら幾らでも!
私の希望(ヒカリ)で思いっきり焼き尽くしてあげるっ!」
花丸が凛然と声を張り、
「この前のあれでかなり自覚的になったけど……
私って、挑む事、挑み続ける事に関しては素養があるみたいなのよね。
それで、こっちを試すって言うのなら、本気で来なさいな。
まずそっちも――『私達が命運を託すに足ると、示す為に』」
静かに、強く。イリスが告げて力を込める。
パーティの基本戦術は八人の戦力を三つに分割し、強敵に挑むというオーソドックスなものだ。
奇をてらう事を考えるに情報は少なく、状況は不明瞭極まりない。
比較的地力の高いイレギュラーズを揃えたこのパーティならば真っ直ぐ挑むのが『一番マシ』という寸法だ。
まぁ、これが一発勝負、敗れれば即死の殺し合いというなら話は別だが。
どうも試すような事を言うフォウ、そして『審判』である茨紋の存在を考えても変に小細工を弄する事がプラスになるとは思えない。
従って、パーティは前衛にイリス、ルル家、貴道を。中後衛に花丸、汰磨羈、Я・E・Dを。間を埋める遊撃・支援役にリアとヴァイスを配し、多角度による攻撃を既に展開し始めていた。
「ちょっと! やっぱ信じられない位堅いんですけど!?」
「HAHAHAHAHAHAHA!」
一撃を見舞ったルル家の台詞を特徴的な貴道の声が笑い飛ばす。
(……全く、分からず屋共め!)
『自分の事』は盛大に棚に上げて、フォウは内心で悪態を吐いていた。
いざ始まった戦いはフォウを少なからず驚かせるものになっていた。
……いや、理屈では理解してたのだ。
特異運命座標なる人間達は遠き東の海でかの竜王、滅海のリヴァイアサンを御したという。
竜王が万全であらば勝ち目なぞない戦いだったのは確かだろうが、『そもフォウは自身をしてもその万全ではない竜王に歯が立つとは思えない』。
竜種の中でも数本の指に数えられるであろうそれは、単なる竜種の域を超えた謂わば神のようなものだ。
つまる所、どんなアスタリスクをつけた所でその竜王に認められた勇者達がか弱きものである筈等無いのだ。
『神話』をさておいても、彼等はあの練達で怪竜ジャバウォックや蒼穹のメテオスラークを防いだというのだから……
……こちらの方がずっと素直に腑に落ちる。フォウや茨紋の力にまだしも近い。
(いや、そんな事は良い。それより何より)
イレギュラーズの、パーティの戦いは多くの場合と同じようにこの竜種を驚かせるものとなっていた。
たった八人での挑戦は元より勝ち目のない戦いだ。
フォウは特別強力な竜種ではないが、それでも言ってしまえば戦闘タイプである。
冒険者の類に狩られる事もある亜竜(ワイバーン)や、分別も知らぬ年若い竜種とは比較にもならない存在だ。
脅せば帰るだろうという希望的観測の次に、それなりにやれば分かるだろうという希望的観測も打ち砕かれた。
ならば、自分はどうするべきなのだ、と考える。
筋を考えるならばむしろ今、ここで彼等を阻んでいる自分の方が間違いである。
だが、勇者(ミシェル・アデット・ルメルシエ)が自分に告げた言葉を覚えている。
――ねぇ、フォウ=ルッテ。
貴方はとても強いから、きっとベアトリクスを守ってあげて頂戴ね――
(……そうだ。故に我は盟約に反していない)
『苦しい理屈』に違いない事は自分自身で理解している。
恐らくあの性質の悪い茨紋は自分の内心を承知の上で遊んでいるのだろうとも思う。
深緑を襲った災厄はあの七罪カロンの権能によるものだろう。
特異運命座標は幾度も七罪さえも破っているが、『何も無くて』勝てた戦いがあったとは思えない。
今回の『何か』がベアトリクスであり、玲瓏郷であるのも『分かっている』。
ならば、それを殊更に阻まんとする自分はベアトリクスの意志を、その娘を見捨てようとしているのではなかろうか――
「――戦いの最中に考え事が過ぎるぜ、ユー!」
一流のファイターは『戦う事しか能がない』と自分自身を評価している。
しかしそれは同時に『戦う事なら誰にも負けない』という強いプライドを有しているという事でもある。
思い切り叩き付けられた貴道の拳は恐らく大岩さえ叩き割る物理的な衝撃の極みである。
鍛え上げた彼の拳がたとえ『かつて』のものには及ばずとも、混沌の彼の乱打(デンプシーロール)もやはり捨てたものではない。
「『武威』、『価値』……実際ミーにとって、俺にとってそれは同じものに過ぎん。
フォウ=ルッテ、俺が示せるのはこの両の拳だけだ。この拳だけを磨いてきた、本当だ。
俺にはそれ以上も、それ以下も存在しない」
――……っ……!
「だから、今日の俺はただの『弾丸』だ。
聞くことも、言うことも、俺には何もねえ。
お前はただ、この拳だけで俺を測れ、見極めろ。
そうするべきお前が、俺に示せといったお前が――『気もそぞろ』はあんまり失礼な『振り方』じゃあないかね?」
貴道はそう察しの良い方ではないが、彼だからこそ分かってしまうのだ。
期待させて、持ち上げて叩き落すのはあんまりだ。
それに自分の拳はそれで防げる程に甘くはないとも考える。
――失礼した。道理で貴様の拳はこんなにも刺さる、こんなにも痛いのだな。
「そいつを聞いて安心したぜ。効かないって言われたら流石の『ミー』でも傷付くからな!」
口調をいつものものに戻した貴道の口角が持ち上がる。
フォウ=ルッテの尾がガードの上から彼を弾き飛ばし、その背を木の幹に叩き付けた。
「――郷田さん!」
声を上げたリアがすぐさま彼を支援に掛かるが、指を横に振った彼は血を吐き、よろめきながらも「ロープだ。ダウンじゃねえな」と嘯いた。
「全く以て無茶な戦場に連れられたものねぇ。まぁ、事故のようなものなのだけれど……」
至近距離に攻め掛からない――遊撃の位置からでも呆れる位に敵の強さは良く分かる。
やや皮肉に嘯いたヴァイスは鋭敏な彼女らしく実にきちんと『察して』いる。
(これでまるで本気でないというのだから――文字通り『やっていられない』というものだわね)
しかし、全く以って話を難しくするのがイレギュラーズという事情である。
やっていられないのは間違いないが、多くの場合、彼等が立ち向かわねばならぬ相手や事態は『やっていられる範囲』に収まってはくれないものだ。
勇者等と持て囃されれば複雑極まりないヴァイスだが『今の人間らしい生活を悪くないものと考える人形』には守るべき相応の事情はあった。
「……せめて、やれる位は」
リアの方がずっと『頑丈』だが、遊撃の自身が彼女に庇われるようでは仕事は出来まい。
少なくとも迷宮森林の――そして深緑の現状(いま)が日常から遠いなら、人間の日々なる憧憬に浸る彼女はこれを看過しない!
「さあ、少し本気を出してみようかな」
嘯いたЯ・E・Dが間合いに続け様、何本もの火線を引いた。
強かに竜の巨体を撃つ銃撃は今の彼女に出来得る『ありったけ』。
(きっと。竜達は招待に納得してないんじゃなくて――
わたし達に何かさせたくて力を見たいんじゃないかな?)
全ては推測に過ぎない。竜の考える事も、この先の運命も霧の中。
もっと言えば『今日という日を生きて帰れるという保証もない』。
だが、それも関係ない。Я・E・Dは手管を弄するタイプだが、ここまで来れば単純明快。
ゴールが何処かは知れないが、やってやるだけと役割に従い攻めに、攻める――
「確かに勝てるような相手ではないでしょう――
それは分析するまでもなく、分かり切った事です。しかし!」
パーティはそう言ったルル家の指示に従い戦いを進めていたが、『分析をするまでもなく』フォウの迷いは顕著だった。
「『もし必要だと云うのならば』口だけではないところを見せて差し上げます!」
仲間との時間差を仕掛けた猪鹿蝶が続け様に閃いて、フォウの鋼鉄の如き巨体を叩く。
――囀るな!
怒号と共に放たれた一撃が軽やかなルル家の小躯を木っ端のように吹き飛ばすように見えたが――
「ルル家さん、貴道さんがいい所を見せるなら――負けてはいられないからね」
これを重く堅く。竜種のお株を奪うかのように堅牢なイリスが受け止めた。
「――自慢じゃないけど、耐え抜くって意味では早々負ける気はしてないのよね」
イリスのような重タンクは多くの場合で『主役』になる事は無かろう。しかしながら、竜種(フォウ)の威圧を前にしても文字通り一歩も引かない、要塞の如き存在感はこんな相手だからこそ際立つものだ。余人ならば戦闘不能を余儀なくされる一撃を受けようとも、イリスにとっては『まだまだ』だ。それでも竜種が『殺す心算』で来ればそうもいかないのかも知れないが――試すというそれ自体がどうにも迷いを捨てられないフォウの攻撃は所詮『イレギュラーズにあわせたもの』でしかない。荒っぽさはあったとしても、並のイレギュラーズを蹴散らす程度の重みではイリス・アトラクトスは超えられまい。
(関節、腹、翼の付け根、目……何でも良い。
敵を見よ、睥睨せよ、射抜け、貫け。ここが『運命』の分水嶺ぞ!)
揺らがぬ敵が揺れている。
元より殺す為の戦いではない。超える為の戦いならば、汰磨羈の直感はまさに正鵠を射抜いていた。
厄狩闘流『旺霊圏』が一つ――好機なる霊力を帯びた彼女が躍動し、妖刀を以って変幻自在に攻め立てる。
それは竜種からすれば小細工の集まりに過ぎまいが、彼女は知っている。
「安心するがいい。その期待にしかと応えよう。
今更厭と言っても止まらぬぞ?」
運命を侮り続けた大魔種が何故敗れたか。
か弱き、小さき者達を眺めた竜王は眠りを選んだ時、何を想っていただろうか?
繰り返すが仙狸厄狩 汰磨羈は知っている。そして確信している。
「さあ! 竜の御二方、我等が在り方、心行くまで御覧じろ!」
益体無いと嘲られようと、自己の極みを尽くし続ければ一念が、重ね続けた一滴が岩を穿つ瞬間もある事を!
――いい加減に……!
「――まだだよ!
誰かが諦めずに吠え叫ぶ限り――私達だって簡単に倒れる訳にはいかないんだ!」
苛立ちを見せたフォウを花丸の一喝が跳ね返した。
これまでよりもやや迫真を帯びた『殺しかねない攻撃』を彼女の決死が真正面から受け止めている。
「ま、だ、まだ……だから……ッ!」
どれ程に傷もうと彼女は言葉通りに――言葉以上に折れていない。
目前の勝てぬ敵(フォウ=ルッテ)を睥睨し、その運命さえ飲み込もうとでも言うように。
フォウの知る由もない事であろうが、花丸は何時もそうだ。
彼女の戦いは何時もそうだった。
直面する敵が、困難が巨大であっても――巨大である程に。
『考えるよりも先に身体が動く』。
『諦めるよりも先に魂が吠える』。
それが花丸の在り方で、故に彼女は強かった。
――フォウは強いんだけど、ちょっと考え過ぎる癖がねぇ……
フォウの脳裏に何故か。何時か聞いた言葉が鮮明に蘇った。
シンプルと言えば聞こえはいいが、こんなもの無謀蛮勇に過ぎまいに。
無謀蛮勇に過ぎない花丸の在り様にもフォウはやはり魅せられる。
――何という愚か者共か。人間は何時も何時も……ミシェルも、ベアトリクスも。
竜種からすれば獣種も精霊種も『人間』の内なのだろうか。
吐き捨てるような一言に字面とは異なる万感が込められていた。
「もういいでしょう」
そう言ったのはルル家だった。
傷だらけになり肩で息をしている。
彼女だけではない。イレギュラーズの大半が満身創痍に近く、戦闘はそう長くは続かないように見受けられる。
『如何な彼等が健闘しようとも、こんな戦いは元よりすり潰されるだけのものに違いない』。
例えばこれが『戦闘』ならば弱者が勝つ事もあろうが、『戦争』ならば話は別だ。戦術で一時の優位は奪えても、物量の絶対性は揺るぎない。そしてリヴァイアサン然り、ジャバウォック然り。竜を人間の身で御そうとするならば必要なのは『戦争』の方である。
だが、それでもルル家は自信をもって「十分ではありませんか?」と水を向けていた。
――何を。
「玲瓏郷の主は拙者達を――いや、リア殿を招待した。
貴殿は主に仕える竜で、それなのに今通せんぼをしています。
ならば、貴殿には極個人的な事情で通したくない私情がある――
そして、それは主人、いいえ、友人の身を案じての事かとお見受けしますが如何か」
フォウ=ルッテは応えず、ルル家は続ける。
「何が守護ですか! 何が試練ですか!
全てを掴む気がないなら引っ込んでて下さい!
『深緑の友人の家族を取り戻す為に、別の友人の家族を犠牲にするなんて真っ平御免なんですよ!』」
ルル家は全ての事情を理解している訳ではない。
だが、思いの丈を込めたその言葉はフォウを押し黙らせるに十分だった。
元よりフォウ=ルッテは、『彼女』は唯、嫌なだけだったから。
気の遠くなるような昔、出会って以来、ずっと同じ時間を過ごしていた――友人のような主が永遠にこの世界から消えてしまうのが。
そして彼女はそうなる選択肢に出会いながら、全く結論を惑っていないという単純な事実が。
「……そうなの?」
思わず戦いの手を止めたリアが問うた。
「『アンタも家族の為に、あたし達を止めたかっただけなの?』」
『家族』という言葉に異様に弱いリアの声色が、舌鋒が緩んでいた。
「アンタ達の身勝手何て知った事じゃない」と啖呵を切ればリアらしいが、効果覿面に吐いた言葉に些かの罪悪感を抱えるのも彼女らしい。
フォウは答えず、代わりに茨紋の言葉が響いた。
――これまでじゃな。もう戦いの風情にもなるまい。
どの道、招待はベアトリクスの意向故。客人等もそれでも阻みたかったフォウ=ルッテの気持ちも察されよ。
茨紋の言葉にフォウが苦笑した。
イレギュラーズの目の前で彼女の姿が消え失せる。
いや、正しくは二十メートルはあったかという巨体が真白い鎧を着た一人の女騎士へと変わっていた。
その姿かたちは何処と無くリアに似ていた。
「……偶然?」
「偶然だろう。昔、『世話になった』人間の女の真似をしただけだ」
先程よりもずっと明瞭に人間の言葉を紡いだフォウはついてこい、とパーティに背を向ける。
それが、迷宮森林と異界の狭間で生じたこの戦いの終わりだった。
●ベアトリクス
次元の揺らぎを超える経験は流石の特異運命座標であっても中々出会えるものではない。
強いてそれに似ている状況を挙げるとするならば、境界図書館における出来事が一番近いと言えるだろうか。
少し気の遠くなる瞬間を抜け、気付けば八人は恐ろしい程に風光明媚な森の湖畔に行き着いていた。
「玲瓏郷へようこそ」
八人に静かな言葉を向けたのは美しい一人の女性だった。
神秘的な雰囲気を纏う彼女は少女のような姿をして、しかし確かに淑女の風合いをも持ち合わせている。
「玲瓏郷の主である、ベアトリクスといいます。皆さんにご足労を頂けた事を感謝いたします。
……いえ、こんなおためごかしは辞めましょう。態々招待をした以上は私も覚悟をするべきでしょう。
愛しいリア、よく来てくれました。私が貴女の母親です」
「――――」
何時ものリアならば丁々発止と何かを言えたかも知れない。
その生い立ちを考えれば「勝手な事言うんじゃねえよ」位はやり返したかも知れない。
でもこの時のリアは唇を噛んで、そういう風情にはならなかった。
「……あぁ、やっぱり」
溜息を吐くように思わず零した言葉は正真正銘に彼女の本音だった。
つい最近した――してしまった『予習』の効果は覿面だった。
だから玲瓏郷の名を聞いた時に予感はしていた。してしまっていたのだ。
だから彼女はフォウ=ルッテにもほんの少しだけナーバスで、この道を急ぐ足は前のめりに絡んでもつれていた。
『自称』親に言ってやりたい事なんて山程ある。それでも、何故かその言葉を疑う気にだけはなれなかった。
「ともあれ『初めまして』。玲瓏公ベアトリクス。
あたしは『リア・クォーツ』よ。そういう事で……話をしましょうか」
瞑目したベアトリクスは「……ええ」とだけ頷いて八人のイレギュラーズに話をする。
それは深緑の命運をかけた戦い、困難に直面する彼等にとって非常にメリットのある話であり、八人の表情全てを曇らせるものになる――
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす。
綺麗だろう? まるでヒロインみたいな顔をしているね。
このシナリオはややプレイングが『本題(フォウ=ルッテ)外に散らかり過ぎている』為、『本来のVeryHard水準』ならば失敗が妥当でしょう。
但し内容柄、戦闘がどうこうというのは口実に過ぎず、当事者が納得するかの方なので(大変困りましたが)サービスで成功としています。
そういう意味では一番真っ直ぐでフォウ=ルッテ的に納得感の強かった郷田さんをMVPにしています。
……が、Я・E・Dさんの搦め手やらルル家さんの水の向け方もそこは良かったと思います。
尚、このシナリオは人数少ないのですが分量はEXなので多めです。
必然的に描写量が増えておりますので、価格調整なりとなっております。
追加アクションとして本件の参加者はそれぞれ『ベアトリクスに文通で聞きたい事や言いたい事を言っても構いません』。
但し回答の程度は問いや内容によります。
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIです。
まさかのvsドラゴンです。
以下詳細。
●依頼達成条件
・フォウ=ルッテを納得させる事
※茨紋は立会人のような風情であり、特に干渉はしてきません。
●ロケーション
迷宮森林より紛れ込んだ次元の狭間のような場所。
一見すると周囲は森林『っぽい』のですが揺らぎであり、歪みであるこの空間は元の世界に破壊の爪痕を残しません。
まぁ要するに森に被害は出たりしない、という事です。
前方は開けていますので、そちらでの戦闘に支障はありません。(後方は森ですが、フォウ=ルッテが「帰れ」と言っている事から、一定以上後退するとこの空間から放り出される可能性が高いと思われます)
●玲瓏郷ルシェ=ルメア
混沌、森林迷宮付近に存在する次元の揺らぎ、歪み。願いを叶える力を持つ願望機めいた場所。
『永遠の淑女』ともされる大精霊ベアトリクスの住処であり、通常は混沌からの道を持ちません。
全てPL情報ですが詳しくは↓を見て下さい。
https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/2847
●大精霊ベアトリクス
玲瓏郷の主でありかつて女勇者に救われた精霊種です。
全てPL情報ですが詳しくは↓を見て下さい。
https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/1199
●フォウ=ルッテ
中性的な声、武人のような口調で人語を操る真白く美しい竜。
フォルムはスマートであり、まるで白金のような光沢を帯びています。
サイズ感は凡そ20メートル程ですが、本当のサイズかは不明です。
能力等全く分かりませんが、正真正銘の竜種なので無茶な強さであるのは確かでしょう。
●茨紋
明確な姿を現していません。
こちらは厳めしい口調の男性的な声をしています。
本依頼においては立会人のような立場を取ります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
●備考
本シナリオにおける『●母親』の章、及びGMコメントにおける設定委託の情報は原則的にPL情報です。
しかしながら、適宜『偶然』を利用し、上手い事使ってプレイングを掛けると宜しいかと思いますので参考にしてみて下さい。
フォウ=ルッテちゃんったら「別にええよ」って言ってた癖にね。
以上、宜しくご参加下さいませ。
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