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シナリオ詳細

<13th retaliation>クッキングワールド

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●クッキングワールド
 いそがしい。
 いそがしい。
 いそがしい。
 ほら、ほら。お客さんがやってくるよ。
 サラダが出来た。
 チキンが焼けた。
 スープが煮えた。
 ああいそがしい。
 こうなったら仕方ない。
 サラダもスープもチキンも直接お客さんのところに行くがいい。
 おいおい、皿はどうした皿は。お客さんのところに行ってきなさい。
 なに、案内係が居ない?
 仕方ない。椅子が直接迎えに行きなさい。
 ああいそがしい。
 いそがしいったらいそがしい。
 こんな忙しいのにシェフは何処に行ったんだ?
 見てみろ、チキンなんか自分で焼けてるんだぞ。
 え?
 シェフはパスタと格闘してる?
 なら仕方ないな。あいつら、明太子以外は嫌だとかぬかしやがるし。
 ああいそがしい。
 ああいそがしい。
 で、シェフは今何処に?
 パインと格闘してる?
 なら仕方ないな。あいつら、プライドばっかり高いんだ。
 ああいそがしい。
 ああいそがしい。

●ふしぎなレストラン
 此処は何処だろう。
 その場にいた者達は、不思議そうにあたりを見回した。
 アンテローゼ大聖堂から大樹ファルカウに近付く辺りを包み込む猛吹雪。
 それを調べてみようと触れたはずなのだが……気が付けば、不可思議な場所に来てしまっている。
 窓の外にはロールケーキの切り株に飴細工の葉に花。綿あめの雲にマカロンのキノコ。
 そしてお菓子の家のレストラン。
 此処は何処だ?
 クッキーのベッドにマシュマロの枕、布団は……まさか求肥?
 宿屋の部屋、だろうか。何故こんなところに来てしまっているのだろうか?
 まるで悪質な夢のようだ。
「夢ですよ実際」
 忌々しそうに言うのは【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)の声。
 いや、違うコレは……なんだろう、飾ってあるチーサ人形?
 手のひらサイズの、随分と可愛らしいモノだ。
「これは夢です。『夢の世界』とでも呼ぶべきでしょうか。うっかり捕まっちまったですが」
 侵入者を深い眠りへと陥れ、何らかの『条件』を熟さない限りは眠りから覚めることが無いように形成されているようだが……チーサの夢を中心に構成された結果、こんな作りになっているということなのだろう。
 その性質上、外部からの助けを待つのは無理だろう。
 中からどうにかするしかないが……方法としては『術式に巻込まれてフィールドを作り出した』者の救出を行う事があげられるだろう。
 つまり、この人形のチーサを連れて、このファンシーな場所から森を抜けて逃げ出せばいいのだろうか?
「……そう上手くはいかないです」
 人形チーサはそう言うと、忌々しそうに手を動かす。どうにも上手く動けないようだが……見た目が人形なので普通の身体とは違うのだろう。
「レストランの中に『私』がいるです。シェフとか呼ばれてたので、ソレも連れて逃げるです」
 勿論、妨害はたくさんあるだろう。
 レストランからは戦争じみた喧騒が聞こえてくる。
 そこからシェフを連れ出すというのは……当然、並大抵ではないだろうから。

GMコメント

昔ファミコンのゲームでオーブンから出てくるローストチキンを延々と斧で叩き割るステージとかあったんですが、そんな感じです。
「人形チーサ」と「シェフチーサ」を連れて町と森を抜け、外へ逃げましょう。
森の外まで逃げ切ると目が覚め、この近辺の術式が破壊されます。
皆さんとチーサはアンテローゼ大聖堂周辺にて目を覚ますでしょう。

皆さんの現在地は町の中心部の宿屋の2階。他の建物は全部レストランなので、その中の何処かにいる「シェフチーサ」をとっ捕まえて抱えて逃げましょう。
なお、シェフチーサは料理をする事に全精力を傾けているので皆さんの言う事は基本的に聞きません。

シェフチーサを捕まえると「町の住人」が襲ってくるので、逃げ切りましょう。
なお「シェフチーサ」の居ないレストランに入ってもお腹を空かせた黒い影のような「客」や調理されていない食材が襲ってきます。頑張って探しましょう。

●人形チーサ
HP100、機動力0。その他の能力ALL1。手のひらサイズのお人形。
遠距離特殊攻撃「調理」を使えます。食材、あるいはドリンクを「可食」状態にします。
この状態なら食べても副作用はありません。だからどうした。

●シェフチーサ
 何処かのレストランでクッキング中です。基本的に言う事を聞かないので捕まえましょう。
 本人より移動力とかが凄いようです。

●町の住人
 おなかをすかせた黒い影のような連中。シェフチーサの居ないレストランに入るか、シェフチーサを誘拐すると怒って襲ってきます。武器はでっかい影のフォーク。お前を食べてやる!

●食材
 チキンにパスタ、フルーツにビーフにお魚にパンに……。
 基本的に飛び掛かって体当たりしてきます。
 食べて倒すことも出来ますが「腹痛」状態になります。
 この状態だと機動力が半分になってしまいます。

●ドリンク
 樽や瓶の状態で襲ってきます。攻撃は体当たり。
 呑んで倒す事も出来ますが「酩酊」状態になります。
 この状態だとあらゆる行動が半分の確率で失敗します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <13th retaliation>クッキングワールド完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月20日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
白いわたがし
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
スースァ(p3p010535)
欠け竜

リプレイ

●シェフチーサを見つけ出せ
「夢の中のはずなのに、なんだか不思議と、いいにおい。ふふ、これじゃあお腹が空いてしまうわねえ、クララ。このお仕事がきちんと無事に終わったら、ほんとうのワタシ達で美味しい草を食べましょうね」
「ニュー!」
『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)が金色砂のクララにそう声をかける。
 そう、此処は現実ではない。
『夢の世界』とでも呼ぶべき場所であり、ポシェティケトたちはそこに飲み込まれてしまったのだ。
 此処を抜けるには目の前にいる【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)……の一部である人形チーサと、何処かにいるシェフチーサを連れて町を出なければいけないのだ。
 ……ちなみにクララとしては精霊なので食事は必要ないけれど、どちらかというと草よりお菓子の方が好きだ。
 主人であるポシェティケトが、あまり食事に興味がなく鹿の姿で草ばかり食べているので少し心配だし、このお仕事が終わったら、夢で見たレストラン行こうよ! と誘ってみようと思っているのだが……それもこの仕事を終えてからの話だ。
「愛らしい姿になってますね……ちょっと欲しい、カワイイし。報酬で貰えたりしないかな、チーサ人形」
「そういうのはいいから、さっさとこんな場所からは抜け出すですよ」
「そうですね。それは置いといて……レストランから、シェフ姿のチーサ人形をみんなで探さないとね」
 それにしてもカワイイ……と呟く『見たからハムにされた』エル・ウッドランド(p3p006713)に人形チーサが小さく溜息をつく。こういうのは落ち着くまで待つしかないのだ。
「わぁ……! 凄いわ!ルシェたちお菓子の世界に来たのね! サーチお姉さんの夢の世界なの? じゃぁね、ここから出たら一緒にお菓子いっぱい食べましょう? きっと楽しいわ! その為にももう一人のサーチお姉さん探して夢の世界から一緒に出ましょう!」
「チーサです」
「サーチお姉さん!」
『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)に悪意がないだけに、人形チーサは遠い目になってしまうが、初期位置の宿の窓から『欠け竜』スースァ(p3p010535)も外を覗く。
「ずいぶん可愛らしい場所だが、外は相変わらずなんだろ。急いで出なきゃな。こんな状況でなけりゃアタシもお客さん側になりたかったね」
「不思議な夢の世界だね……面白くはあるけど、分類としては悪夢になるし、やられないうちに逃げちゃおう」
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が窓から外を覗けば、そこでは黒い人影のようなものがウロウロしている。
 可愛らしくも不気味な悪夢の世界。つまりはそんなところだろうか?
「なんだかメルヘンチックな場所だねえ……なんて、いってる場合ではないけれど! シェフのチーサ君を見つけて、早いところ抜け出してしまおう! こんなところで足止めされてて、ファルカウに向かうのが遅れるわけにはいかないからね!」
 言いながら『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が人形チーサを抱えれば、出発の準備は完了だ。
「ぶはははッ、なかなか愉快な夢だな。俺も料理するし他人事たぁ思えねぇぜ!」
「夢の世界とはいえ、ご一緒ですの……気合をいれますの!」
『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)と『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)がそう言えば……いよいよ、作戦開始である。

●夢の世界を抜けて
 シェフチーサは何処にいるか分からない。ならばどうするか……その為に、幾つかのチームに分かれていた。
 ゴリョウとノリアは広場らしき場所で、ちょっとしたパフォーマンスをしていた。
「まずは情報の起点を作らねぇとな!」
「シェフチーサさんの居場所が わからないならばこちらから おびき寄せるのが いいでしょう わたしだって けっして 食べられたいわけでは ありませんけれど 自慢の つるんとしたゼラチン質のしっぽは この 夢の世界では もっと うつくしく おいしくなれるに ちがいありませんから」
 どういうことか。つまり……食材適性持ちのノリアをゴリョウが料理スキル持ちとしてプロデュースしようと、つまりはこういうことだ。
(わたしの いとしの ゴリョウさんを 背中から 抱きしめるようにして しっぽを のぼりのように たなびかせて とびきりの食材を 宣伝ですの)
「いやまぁ流石に捌いたり試食させたりはしねぇけどな!」
 そう、ゴリョウとしては「そういうこと」にする気は微塵もない。
 ただ、人が集まって情報が集まればそれでいいのだ。
 具体的には色艶美しさの嫁(誇張表現)語りで一級品の食材であると町の住人に噂を流し、十全に活かせるシェフの存在を聞いたりしよう……と、そんなことを考えていた。夢でも惚気ることが出来る辺り、本物ではあるだろう。さておいて。
(後は情報の流れを他面子に追ってもらい、シェフチーサの位置を特定してもらうだけだな)
「おおっと、触れんなよ。相応しいシェフにしか渡せねぇし、この完璧な肌に傷は付けさせねぇ」
 フラフラと集まってくる黒い影のような住人達にゴリョウはそう言い放ち、ノリアもその背中にくっつきながら考える。
(関係のない お客さんが 寄ってくるのなら ゴリョウさんが わたしを まもってくれますの それにしても)
 ゴリョウも思う。
(それにしても……どうにも妙な連中だ。触るなって言えば本当に触んねえし。条件を満たさない限りは……ってことかね?)
 此処が悪夢の世界とはいえ、何かのトリガーに触れない限りは「ただの夢」なのかもしれない。
 そんなことをゴリョウたちが考えている中……アクセルとエルも町の中を探索していた。
「襲ってきませんね……」
「今のところは、だけどね」
 エルに答えながら、アクセルは他の班の面々と適宜情報共有をしつつ、聞き込みやノリアの噂を流していた。
 そうすれば結果的にゴリョウチームに情報が集まり、探しやすい……というわけだ。
 外にいる住人たちは今のところ襲っても来ない為、やりやすい仕事ではあった。
 他にもアクセルは聞き耳で料理してる音を聞き取ってみようとしていた。
 シェフチーサは1人しかいない。
 他の場所では食材が自分達で動いてるなら、食材と戦う料理の音は違うはず。そう考えたのだ。
「……此処は違う、かな?」
 そう呟き、次へと向かう。
 焦る必要は何処にもない。1つずつ、1ずつ選択肢を狭めていけばいいのだから。
 そしてキルシェとスースァは、その選択を更に狭める為に屋根の上にいた。
「まずはもう一人のサーチお姉さん探しね! どこかでシェフさんやってるのよね。手当たり次第探すのは大変だし、みんなで手分けして探さないとだわ!」
「だな」
 広域俯瞰で周囲を確認するスースァをルシェがサポートする形になっているが……ルシェはファミリアーによる連絡役も担っていた。
 ルシェたちの班を含めて四班に分かれるから、それぞれの班にファミリア―を渡してハイテレパスで連絡とるという、そういう仕組みだ。
 先程のゴリョウ班がアンテナなら、このルシェ班は中継基地。まさに重要な役目であった。
 邪魔をされにくさも考えると、この屋根の上というのはまさに理想的な場所でもあったのだ。
「暴れてる敵が少ない方、食材がやたら集まってる方が怪しいかな。調理してるんなら食材が必要で、その供給路もあるかもしれん」
 まあ、夢の中の世界なので必ずそうとは限らないので「かもしれない」程度で固執はしないが……それでも、仮定は行動の指針になる。
 暴れてる敵避けられるルートあればそれも伝えたいと思っていたが……「外」は驚くほど平和だ。
 それが逆に不気味ではあるのだが……やはり、ある程度内部も調べなければ見つからないかもしれないし、こうして集まった情報をルシェが中継することにより……ポシェティケト班は、とあるレストランの前へとやってきていた。
「まさか精霊もあの黒い影みたいのだとは思わなかったわ!」
 夢の中にも精霊がいますように、と願って精霊疎通をしていたポシェティケトは溜息をつきながら首を振り、アレクシアは苦笑する。
 まあ、夢の世界なのだから精霊も夢の世界の住人に決まっている。疎通こそ出来はしたが、他の住人同様に完全に信用してはいけないだろう。
 そしてこの班にはもう1人、アレクシアの抱えている人形チーサもいる。
「何かあった時は絶対に護るから安心してよ! こう見えても、護ることにかけては自信があるからね!」
「期待してるですよ。この身体、ほとんど動けねーですから」
「お人形チーサ君を抱えてるからね、できるだけ戦闘は避ける方向で行動するつもりだよ」
「まー、元の姿でもたいして役にはたたねーですが」
 そんな会話をしながらだが……味方の情報も頼りにしつつ、アレクシアは森羅伝心で植物に情報を尋ねていこうとしていた。
 特に、食べられそうな植物だったら食材にされている可能性もあるし、そういった子たちの気持ちを感じ取ることができればなにかの手がかりになるかも……と思っていた、のだが。
「しかしまあ……お菓子の家だもんね。植物もそうなるかあ……」
「飴細工の花ね……」
 ポシェティケトも花をツンと突くが、やはり植物も夢の世界の住人だ。それ相応の姿をしているようだった。
 だが……それでも情報は集まった。「恐らくこの建物が一番怪しい」という総合的な情報を元にポシェティケトがドアを開けると……そこには完全に満員な店内と飛び交う食材、そして縦横無尽に調理して回るシェフチーサの姿があった。
 窓の近くにも客がいるので、ドアを開けて確かめるしかなかったのだが……どうやら正解だったようだ。
 いつもよりも表情がクルクル変わっているので「ああ、なんか違うな」とすぐ分かるのがポイントだ。
「シェフ捕獲はみんな集まってからがいいかしらね」
「うん、そのままみんなを待って捕まえよう!」
 幸いにも中継班のルシェたちがいるため、皆で集まるのは簡単で。
「ぶはははッ、ここまでは簡単だったな!」
 裏口からおびき寄せシェフチーサを捕まえるのは、これ以上に簡単で……ゴリョウは思わず笑い出す。
 スースァに借りた上着でシェフチーサを包んだポシェティケトだったが……問題は此処からだ。
「ギャーギャーギャー!」
 どうやらシェフチーサは本物よりもだいぶ理性とか言語能力とかが下のようで、警報機のように騒ぐのだ。
 つまりどういうことかというと……街の住人全てが敵となってたった今、追いかけっこ中なのである。
 アクセルが雲海鯨の歌を振り足止めするが、何しろ数が多い。
 ポシェテぃケトの霧のパドドゥも放たれ、更に足止めをしていく。
「全部と戦っていたら、キリがないものね。さあ、全員で一緒に帰りましょう!」
「とはいえ、何かもう一手は必要だな!」
 ゴリョウは叫びながら、考える。
 その視線にチラリと映るのは、高速で飛んでくる食材たちだ。
(まぁ普通なら戦闘中に料理するなんざ時間的にも技術的にも不可能だが、ここはチーサの夢……クッキングワールドだ。『食材』が相手であり、料理という概念そのものである『夢』の世界であるならば、『料理』スキルが大幅に強化される魔力コンロもあるころで俺の調理力(ちから)も上昇している可能性がある。つまり、この世界そのものの法則を逆手に取ることで副行動『料理』も不可能ではねぇはず!)
 そう、それは此処が現実ではないが故、そして此処がクッキングワールドであるが故のゴリョウの結論。
 試しにと「料理」を意識してみれば、チキンが一瞬でローストチキンに仕上がっていく。
「よし、やっぱりだな! ぶはははッ」
「ゴリョウさんの お料理テクで おいしくなってしまえば いいですの!」
「とはいえ、これも足止めにすぎねえな!」
 何しろ住人の数が多いのだ。全員で逃げなければいけない以上、ゴリョウも料理に集中するわけにもいかない。
「もし進路を食材さんが塞ぐようなら、お人形チーサ君に【可食】にしてもらうかゴリョウ君に料理してもらって食べてしまうことも考慮に! その方が早く済むのならね! ……私はあんまり食べられないけど、大食らいの人もいそうだし!」
 アレクシアがそう叫んで……そして、その様子を見てエルも決意する。
 料理は出来た。ならば……これとて通じるはず。
「夢の中なんですから、失敗しない! 絶対に成功する! と強く思っていれば大丈夫だと思いますから!」
 そう、エルは是非試してみたいことがあったのだ。それはエルのギフト能力「手のひらの恵み」だ。
 この能力は一日一回だけ両手で持つ事が出来る、生きている状態の動物以外の有機物を干からびたパンに変換する凄い力だ。
 まあ、出来るのは干からびているパンなのだが。
 それをどうするか……簡単だ。たまたま近くまで辿り着いた食材を適当に両手で掴んでエルはギフトで「干からびたパン」に変えてしまう。
 やはり通用した。その事実にエルはニヤリと笑って。
「お前らもパンにしてやろうか」
 なんか白塗りの顔で言いそうな事を言いながら……一日一回だけなのでもう使えないことを全く気付かせない顔で言いながら、エルは再び走り出す。
 とにかく逃げて、逃げて逃げて。
 町の境界であろう柵を抜けると……全員の視界が光に包まれる。
 術式が破壊され、夢の世界が消えるのだと。そう感じた時には……全員が、草地の上に投げ出されていた。
 そこにはアレクシアに抱えられたチーサの姿もあって。
 成功したのだと、誰もが気付き笑うのだった。

成否

成功

MVP

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼

状態異常

なし

あとがき

チーサを救い出し術式を破壊しました!

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