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シナリオ詳細

<覇竜侵食>氷結墓標のウェンディゴ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●永久氷結の墓
 フリアノンから離れた、巨大な洞窟のその奥に。
 その周囲の全てが凍り付き、雪に埋もれた広い空間がある。
 天井に穴が開いているわけでもなく、その周囲の気候に何か問題があるわけでもない。
 だが氷の柱が乱立するこの場所はただ広く、入り口の広さも思えばそれなりの大きさの生き物がねぐらにするにも丁度良い。
 それも、この何故か洞窟の中に吹雪く雪がなければ、の話だが。
 この不可思議な洞窟に立つ氷柱……よく見ればモンスターや亜竜が中に入っているものもある。
 まるで墓標のように立つそれは、この洞窟から動かない「主」によるものだ。
 その主の名は、ウェンディゴ。
 全長20mの巨人であり、しかしアトラスやサイクロプスとは違いドクロのような顔をしている。
 爛々と光る眼は如何にも恐ろしく、ウェンディゴに殺されれば此処にある氷柱のように氷の中に閉じ込められてしまう。
 だからこそ、ついた字名は「氷結墓標」。氷結墓標のウェンディゴである。
 だがウェンディゴはこの洞窟の奥から出る事は無く、ウェンディゴの放つ凶悪な気配に気づかない間抜けが時折凍り付くだけだった。
 だからこそ、ウェンディゴの脅威は話として伝えられるだけに納まって。
 だというのに、ウェンディゴは何かの気配を感じ取っていた。
 此処に住む自分の気配を辿ってきている、無機質な……しかし、それ故に強力な「敵」の気配を。

●ウェンディゴを救援せよ
「頭の痛い話じゃが……アダマンアント共が、今度はかなりヤバい相手を狙っとるようじゃ」
 黒鉄・相賀はそう言うと首を軽く振る。
 先日、とある洞窟の付近をアダマンアントの群れが探索しているのが発見された。
 数はおよそ12。決して無視できる数ではない。
 アダマンアントがいるということは、その近くに狙いがあるということだが……その場所は、ひどく危険なモンスターが潜んでいる場所なのだ。
「そこにある洞窟の、更に奥。ウェンディゴと呼ばれるモンスターが隠遁するように暮らしとる」
 ウェンディゴは刺激しなければ何の問題もないモンスターだが、1度刺激すれば相手を氷柱に変えるまで戦い続けるという「キレたらヤバい」系のモンスターだ。
 恐らくだが、そうなればイレギュラーズも見つかったら氷柱にされてしまうかもしれない。
 それだけではない。ウェンディゴが怒りを持続させたまま地上に出てきたら大きな被害が出るし、アダマンアントが勝利すればさらに大問題だ。
 アダマンアントたちがウェンディゴを狙う理由は分からない。
 分からないが……ウェンディゴが殺されて肉を回収されるような事態になれば、予想を超えた何かの引き金となっても何もおかしくはないのだ。
 だからこそ、ウェンディゴを支援し……出来れば、怒りも収めて貰わなければならない。
「一応、手段はある。無理矢理ウェンディゴを鎮めるよりは、その方が成功率はずっと高かろうの」
 その手段は……雪月花。
 ウェンディゴの住む洞窟の何処かに咲き乱れるという、氷の花だ。

GMコメント

到着時、すでにアダマンアントたちは洞窟の中に侵入してウェンディゴを探しています。
ウェンディゴを最優先で探しているので、皆さんを見つけても「ひとまず」無視するでしょう。
洞窟の中はそれなりに入り組んでいますが、アダマンアントたちは何らかの生態的機能により集合したりできるようです。
なお、雪月花は吹雪の中で光を放つ為、取り出せばウェンディゴは怒りを納めるでしょう。
ただし、取り出すタイミングについては考慮したほうがいいかもしれません。

●現場
入り口が目茶目茶広い洞窟です。
内部は入り組んでいて、何処かに雪月花の生えている場所、最奥には常に吹雪いているウェンディゴの住み家があります。
この場所の吹雪はウェンディゴの存在により自動で発生する能力で、止むことはありません。
また、僅かではありますが防御力の低下効果があります。

●モンスター
ウェンディゴ
全長20mのドクロ顔の巨人。
その巨体に似合わず、かなり素早いです。
目からの凍てつく光線、巨大な氷の槍を放つ攻撃を使用します。
また、ウェンディゴの攻撃により死亡した対象は「氷柱に閉じ込められる」ことになります。
(これは演出的なものであり、普通に復活可能です)

アダマンアント(12体)
嫌になる程硬い巨大アリ。攻撃方法は岩をも溶かす酸を弾丸のように飛ばす技と、強靭な顎による振り回し&叩きつけ攻撃です。
ウェンディゴを狙っているようですが、皆さんを狙わないわけではありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <覇竜侵食>氷結墓標のウェンディゴ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月07日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
一条 夢心地(p3p008344)
殿
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート
カーリン・ラーザー(p3p010424)
龍魔術師
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠
アンバー・タイラント(p3p010470)
亜竜祓い

リプレイ

●雪月花を探して
「……虫は零下で行動できないとばかり思っていましたが…覇竜は規格外なのかあるいは余程の命知らずか。ま、どっちにせよこの寒さの中に入る身になって欲しいですね?」
『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)はそう呟きながら洞窟を歩く。
「……冬に素肌を露出しようと平気なのが夢魔って奴ですが、ほら、流石にこれはね?!」
 そう、此処はウェンディゴと呼ばれるモンスターの住み家の洞窟だ。
 氷結墓標と呼ばれるそのウェンディゴが住み家としているせいか、あるいは元からそうなのか。
 それは分からないが……この場所は、利香の言う通りにとても寒い。
「それにしても本当に寒いわね……クーア、ちょっと抱きついても良い?こう、もふもふしてそうであったかそうだし……」
「……利香、私も寒いので邪魔にならない程度にくっついてて下さい」
 利香と『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)はそう身を寄せ合う。
 しかし、何故そんな思いをしてまで此処に来ているのか?
 それはここ最近、覇竜を騒がしているアダマンアントの問題に起因する。
「……こんなところにまでアダマンアントが来てるんですね。一体、何の目的があって……いえ、今は先に雪月花を探さないといけませんね」
「栄養価のある餌を求めて西東ってとこか。アダマンアントの奴ら、本当に何にでも喧嘩売るようになって来たんじゃねーの?」
『龍魔術師』カーリン・ラーザー(p3p010424)と『ラッキージュート』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は、そんなことを言い合う。
 アダマンアントによる襲撃事件。それは現在覇竜のあちこちで発生しており、その対応に追われている状態だった。
 イレギュラーズはそれらを「襲われているモンスターと共闘する」という発想によって解決してきており、今回もそれによってかなりの有利を確保できるものと思われたが……。
「まずは花を探さなきゃ。それに、ウェンディゴ様の居場所も」
『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)の言葉に、全員が頷く。
 そう、ウェンディゴ自体は覇竜のモンスターの一角であり、その例に漏れず強力なモンスターだ。
 だからこそウェンディゴ自体と戦闘にならないように、その怒りを鎮めるという「雪月花」をも見つけなければならなかった。
 その為に今、2チームに分かれて探していた。
 このチームは利香、クーア、ジュート、カーリン、ニル。
 そしてニルはチームでの情報の共有の為、別チームの『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)とファミリアーを交換していた。
 目的地が2つある以上、これはかなり有効なはずだ。
「吹雪の中でも咲き乱れる花……そこだけボウッと明るくなったりしているのでしょうか? 吹雪がどこからくるかがわかれば、ウェンディゴの居場所もわかる? アントの動きからも特定できるかもしれませんよね」
「とにかくアダマンアントが無辜の存在の平穏を、ひいては覇竜のひとを脅かそうとしているのは確かなこと。今回も逃さず成敗してやるのです!」
 クーアはそう吼えながらも、聞き耳をしっかりと立てていた。
(雪月花の発見は事実上マストオーダーなのですが、その前にアントとウェンディゴの動向も把握しておきましょう。アントは捜索に注力しているようなのですし、ウェンディゴも戦闘が始まれば音を立てずにはいられないはず。聞き耳を立てて彼らを探すのです。雪月花捜索において無駄に戦闘に巻き込まれないためにも、またアントを奇襲するのにもきっと役に立つのです)
「……雪月花ってどんな花なんでしょうね?」
「分かりませんが……吹雪の中で輝く性質。咲いている場所では光っていないようですね」
 カーリンにアンバーは、精霊と疎通して得た情報を元にそう答える。
 ウェンディゴの居る場所でしか光らないというのも寂しいものではあるが……まあ、そういうものなのかもしれない。
 まあ、もっと詳細な情報が得られればさらに良かったのだが……こればかりは仕方ない。
(この入り組んだ洞穴を闇雲に探索するよりは少しの情報でも得て他の仲間たちのスキルと組み合わせれば具体性も増すというものです)
 そんなことをアンバーが考えている中、カーリンもアダマンアントの目的に想いを巡らせる。
(アリ共が何を企んでるか知らんが下手につついてウェンディゴが興奮したまま里まで行ったら危険だからな……もしかしてそれが狙いだったりするのか? もし、そうだとしたら……やつらの女王はそれなりの知能を持ってることになるが…これも後でいいな)
 分からないことばかりだ。だが……こうして地道に潰していくことで、確かな妨害は出来ているのだ。
「大丈夫だ皆、ラッキーな俺が付いてるからさ!」
 ジュートが場を和ませる為にそうおどけてみせて、そうして仲良く洞窟の中を進んでいく。
 さて、もう1チームはどうか。
「こんな寒い環境もあるなんて本当に覇竜は楽しい場所だね! とは言え鉄帝育ちのオレからしたら大した寒さでもないけれどね!」
『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がそう叫ぶが、意外にも先頭は『殿』一条 夢心地(p3p008344)であった。
\殿!後ろ!後ろ!/
 突然響いてきた謎の声に夢心地を含む全員が振り返ると、アダマンアントが此方を無視して通り過ぎるところだった。
 わざわざ追いかけていくつもりもないが……夢心地には聞こえない「夜の八時に響く声」は、なんとも不思議なギフトではあった。そんなものはないが、タライの1つも落ちてきそうなイメージをなんとなく抱いてしまう。
 そんな夢心地の役割は、超方向感覚を活かした人間方位磁石だ。
「アダマンアントたちは先行しており、尚且つこちらは雪月花を見つけ出した上で、最奥を目指す必要があるからの。時間的猶予はそこまでないものと見ておる。故に麿は入り組んだ洞窟の中で迷うことなく、効率的な探索を行う為の、人間方位磁石としての務めを果たそう」
 そう、アダマンアントもウェンディゴを探してはいるが……アダマンアントとの違いは「雪月花を必要としているか否か」だ。
 だからこそ迷いやすいこの洞窟の中、夢心地の超方向感覚は役に立つというわけだ。
「アリさんといえば、童話だと冬の間は働いていなかったりするし、冬眠するとも聞くけれども。こんな所で活動できるほど元気いっぱいだったりするのねぇ。もちろん、わたしは年中無休で炎上中ですの」
「寒いのはウェンディゴーって巨人のせいかー? アリは本当に多いなー。巨人も食べちゃうんだなー? 食べないかもしれないかー? アリは結局何がしたいんだろーな? でも、ここ寒いな。奥に行ったらもっと寒くなるんだな!」
「そういうことなの」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)に『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)が、そんなことを言い合う。
 ウェンディゴの住む場所まで行けば吹雪いているのだから、寒さはこの場の比ではないだろう。
 だが、それでもやらなければならない。アダマンアントにウェンディゴを狩らせるわけにはいかないからだ。
「このような環境の地までアントは侵攻してくるのですね……各地で対応しているとはいえ多少の漏れはあるでしょうから今のアントの規模はどんなことになっているか想像したくありませんね。ウェンディゴは暴れだしたら手が付けられないと聞きます。雪月花を早急に手に入れなければ……」
『亜竜祓い』アンバー・タイラント(p3p010470)の呟きに胡桃もコャーと鳴く。
「さっきはああするのが正解だったけど……アリさんにばったり出くわした場合は相手をして、できれば散らばってる間に数を減らしておきたいの」
「そうじゃの。叩けるタイミングがあれば、適宜潰しておきたいところじゃが……今回の依頼の趣旨を考えると、全面的にぶつかるのは最奥部での可能性が極めて高い、かとな。ウェンディゴも交えた三つ巴の戦、やり辛いことは確かじゃが、この程度で怯む麿ではない」
 夢心地も頷き、そうして進んでいく。
「ん? これは……」
「冷気、じゃの」
 何処かから飛んできた歪な雪の結晶をイグナートがその手の平に載せたのと……雪月花発見の事実が利香たちのチームから齎されたのは、そして……戦闘音のようなものが響いたのは、ほぼ同時であった。

●共闘、ウェンディゴ
 氷結墓標のウェンディゴ。そう呼ばれるモンスターとアダマンアントの戦いは、凄まじいとしか言いようがない状況だった。
 吹き荒れる吹雪の中で放たれる凍てつく光線はアダマンアントを凍らせ、アダマンアントも噛みつき酸を吐きだし、己の損害を考慮しない凄まじい戦い方を見せていた。
 だが、アダマンアントをこのまま放置すればウェンディゴは倒されてしまうだろう。
「ふふ、愉快な頭の巨人さん! お手伝い致しましょう!」
 アニキカゼならぬアネゴカゼ吹かせカッコよくキメる利香が、そう叫び魔剣グラムを構えて。
「今回は利香の手前、格好悪い姿は見せられないのです!」
 クーアもまた、しっかりとアダマンアントを見据える。
 気の立っているウェンディゴはそんな利香たちをギロリと睨みつけて。
「まずは寝床を騒がせてしまってごめんなさい。危害を加えたいわけじゃなくて、仲良くしたいの」
 肉体言語を駆使して胡桃がそう呼びかけながらアダマンアントにこやんふぁいあ〜を放つ。
 まずは敵意がないことを伝えなければどうしようもないが、雪月花は今は使うべきではない。
「ニルたちはアントをやっつけに来たのです。ウェンディゴ様の邪魔をしに来た、敵ではないのです。その気持ちが、伝わったらいいのですけど……」
「まずはウェンディゴに意識を向けてるアダマンアントの意識を引き付けて、負担を和らげてあげねーとな」
 それは態度と行動で示すしかない。
 ニルのコーパス・C・キャロルが広がっていき、ジュートのNo.79が発動する。
「とにかく、まずはアリ共を絶やさなくては!」
 カーリンの魔弾が放たれ、熾輝も叫びながら紅焔撃を放つ。
「ウェンディゴー、助けに来たぞー! って言葉はわかんないんだよな。アリを攻撃したり、ウェンディゴを回復したりしてたら、味方だって思ってくれるかな? そうだったらいーな!」
 そう、結局のところはそういう方向性でやるしかない。
「アリもちょっとしつこいぞー! なんでウェンディゴ達を狙うんだー!? いい加減にしないと根絶やしにされちゃうぞー? ここのは全滅させるけどな!」
 根絶やし。それをアダマンアントは恐れはしないだろう。
 その動きは軍隊じみていて、その動きは死兵じみている。
 覇竜そのものを敵に回すようなこの大規模行動は、恐らくは止まる事は無いのだから。
「今回のオレは極寒超越で調子は最高! さあ、かかってこい!」
 寒い程調子が上がる今のイグナートにとっては、吹雪くこの場所は最高のパフォーマンスを発揮できる場所だ。
 だからこそ堂々たる名乗り口上が響いて、アダマンアントたちを引き寄せようとする。
「多少硬かろうと真っ向から叩き斬ってやる……つもりではあるが、意外と数がおるからの」
 東村山を両手に構えた夢心地の狙いは、弱ったアダマンアントだ。
 とにかく一体ずつ片づけていけば、自然と敵の数も攻撃も減っていく。
「吹雪の影響はアリ共も同じく受けておるハズじゃ、鉄壁の防御にも付け入る隙は十分にあるじゃろ」
 そう、この吹雪はウェンディゴの能力。僅かに防御力が低下するというこの場所では、アダマンアントの最大の強みである防御力も僅かにその力を減ずる。
(アダマンアントがウェンディゴを狙い続けるか、それとも攻撃対象をこちらに切り替えるか、その判断が下されるまでの、どっちつかずの状況下こそ、最大の攻め時と心得、一気に切り崩したいところよ)
 夢心地達はウェンディゴの敵ではないが、アダマンアントの敵だ。
 予定外の敵である夢心地達にアダマンアントがどう動くかは不明だが、無視し続けるわけにもいかないだろう。
 そのイレギュラーとしての強みは、こちらの最大の利点でもあった。
「この凍気……ここに長居は危険だと判断します……速やかにケリをつけなければ……」
 イグナートのような例もいるが、基本的には寒さは敵だ。
 アンバーの黒顎魔王が放たれ、合わせるようにイグナートが覇竜穿撃を繰り出す。
「寄ってきたらせーので行きますよ、クーア!」
「お任せなのです。殴り抜くのです!」
「行きますよ、硬かろうが殻ごとバリバリやってやります!」
 そうしてなんとかウェンディゴの攻撃を受けずにアダマンアントを倒し切る……が。
 アダマンアントを倒し切ったウェンディゴは、そのまま利香たちを睨みつけて。
「男と男が分かり合うには身体をぶつけ合うのがイチバンさ! つまりスモウだね!」
 そんなことを言い出したイグナートが四股を踏む。
「オレの十倍くらいのサイズだけれどモンダイ無し! 行くぞウェンディゴ!」
 まずは怪我をさせない範囲で止めようかと気合を入れるイグナート。
 だが、そのタイミングでニルが雪月花を取り出す。
 少し多めに摘んできた雪月花は、吹雪に触れると同時に強く輝きだす。
 吹雪の白に対抗するかのような緑色の……春の象徴のような温かい色。
 その輝きに、ウェンディゴの瞳からはみるみるうちに敵意が消えていく。
「えと……こちらにあなたを害する気持ちはありませんよ……?」
「この地の主たるウェンディゴよ私たちにあなたの住まうこの地を荒らす意思はありませんどうかその怒りをお納めください」
 カーリンとアンバーもそうウェンディゴへと話しかけて。
 ウェンディゴは黙ったまま、その場に座り込む。
 もういいから何処かへ行け、そう言っているかのような態度にジュートがふうと小さく息を吐く。
「何とかなったじゃねーの」
「そうですね……良かったのです」
「今日のところは、このくらいが限度なの」
 ニルに胡桃もコャーと鳴きながら頷く。
 ウェンディゴにはすでに敵意はない。だが、この場に居座ればどういう反応を見せるかは分からない。
 早々に退散するのがお互いにとって良い結果になるのは間違いない。
「じゃあ、帰りましょうか」
「なのです」
 利香とクーアも、この寒すぎる場所にあまり居たくはない。
「ま、そうだね。ウェンディゴも鎮まったことだし!」
「だな!」
 イグナートと熾輝も同意して。そうして一行は、帰り道を歩き始める。
 そうして……ニルはふと、振り返る。
 そこには吹雪の中にいるウェンディゴと……その白い風景の中で輝く、雪月花があった。
「ほっほっほ、美しい光景じゃの」
 そんな夢心地の言葉にニルも頷いて。全員が、その光景を目に焼き付ける。
 永久に吹雪で閉ざされた中に輝く、暖かい緑の光。
 その光景は……ただ美しく、暖かくて。
 簡単には、忘れられない光景だった。

成否

成功

MVP

ニル(p3p009185)
願い紡ぎ

状態異常

カーリン・ラーザー(p3p010424)[重傷]
龍魔術師
熾煇(p3p010425)[重傷]
紲家のペット枠

あとがき

ウェンディゴを救いアダマンアントを倒しました!

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