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シナリオ詳細

<覇竜侵食>万物快癒のカラドリウス

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カラドリウスの戦い
 全長3mの鳥を、アダマンアントの群れが追っている。
 あまり強そうではない白い鳥だ。
 首回りと足は黒いが……他に特徴的なのは、その虹色に輝く眼だろうか?
 正直、大きさを除けば何処にでもいそうではある。
 だが、それを追っているのはアダマンアントの群れと……その先頭にいるアダマンアントナイトだ。
 空を飛んで逃げる鳥を地上から酸や炎が撃ち落とすべく放たれるが、そのどれもを白い鳥はヒラリと躱す。
 かなり驚異的な回避力を持っている。
 ……だが、先程から白い鳥は1度も反撃していない。何故だろうか?
 覇竜に生きる物であれば、エグい攻撃能力の1つや2つ持っていそうなものなのだが。
 だが、白い鳥は一切反撃しない。
 当然だ。この鳥はそうしたものを一切持たない、覇竜の中では稀有なモンスターなのだ。
 通常であれば生き残れそうにはないが……この鳥には、その能力故の自己防衛手段がある。
「ピイイイイイイイイイイイイ……」
 遠くまで響くような、その甲高い声。
 まるで何かに呼びかけるようなその声に応えたのは……遠くから凄まじい速度で迫る、巨大なサンダードレイクだった。
 ドラゴンの如しと言われる程のその威容を現したサンダードレイクは稲妻の雨としか呼べないようなものをアダマンアントたちへと降らせていく。
 ドレイクの中でも特に聡明と言われるサンダードレイクは、状況を即座に把握しているのだろう。
 アダマンアント達へと降らせる稲妻には、一切の容赦がなかった。
 その隙に白い鳥は何処かへと飛び去り、サンダードレイクもそのまま飛び去っていく。
 後に残されたのはアダマンアントの焼け焦げた姿と、悔しそうに顎をカチカチと鳴らすアダマンアントナイトのみ。
 そう、白い鳥の名前はカラドリウス。
 万物快癒の医鳥とも呼ばれる、あらゆるモンスターや亜竜、そして亜竜種にも愛される「モンスターの医者」でもあった。

●狙われたカラドリウス
「カラドリウスが狙われておるようでの」
 黒鉄・相賀はそう言うと、周辺の地図を広げる。
 カラドリウス。万物快癒の医鳥と呼ばれ、普段は傷ついたモンスターや亜竜などを癒して回り、病気の場合には薬草をも届けることがあるという。
 時として気まぐれに亜竜集落にも飛んできて、怪我人や病院を快癒にも導くことがある、まさに医鳥だ。
 そんなカラドリウスはモンスターであるのだが、そうして誰かを助けて回るのは「自分の味方」にする為であり、実際その目論見は非常に上手くいっている。
 カラドリウスが一声あげれば周囲のモンスターが我先に助けに来るとすら言われ、カラドリウスも声の波長を変えて「勝てそうな」味方を呼び寄せているという。
 なんとも上手い生き方をしているものだが、覇竜においてはどんな生き物にも愛される「流れの医者」であることは疑いようもない事実なのだ。
「実際フリアノンにも時折飛んでくるからのう。アレに手を出すモンスターがいるとは思わんかったが……アダマンアントに只ならぬ何かが起こっているという証拠かもしれんの」
 しかも「傷ついたアダマンアントナイト」がアダマンアントを連れてカラドリウスのねぐら付近をウロウロしているという情報が入ったという。
 万が一カラドリウスがアダマンアントに狩られるようなことがあれば、何が起こるか分かったものではない。
「何が何でも止めねばならん。付近のモンスターや亜竜の大暴れでも起こったら、収集がつかんからの」
 なんとしてでもカラドリウスを守らなければならない。
 それが、今回の最優先目標なのだ。

GMコメント

地図の示すルートに従い、岩山の頂上にある「カラドリウスのねぐら」に向かいましょう。
岩山の頂上には大きな広場と洞窟があり、その洞窟がカラドリウスの寝床になっています。
カラドリウスは皆さんの到着時は夜の為、洞窟で寝ています。
起こしてなんとか味方だと思わせる必要がある為、初手からカラドリウスが不機嫌な状態から始まります。
色々と手を尽くしてみましょう。皆さんの誠意次第でカラドリウスからの支援内容が変わってきます。

アダマンアントは岩山を四方八方から登ってくるので安全地帯は存在しません。
カラドリウスも鳥目なので、上手く飛ぶことはできないでしょう。

●モンスター
カラドリウス
万物快癒の医鳥。全長3mの白い鳥。
中距離範囲内のHPを回復する「癒しの波動」
中距離範囲内のAPを回復する「活力の波動」
中距離範囲内のBSを解除する「解呪の波動」
物理攻撃力、あるいは神秘攻撃力の上昇する光を纏わせる「輝きの波動」

上記の4つの支援を使用してくれます。
なお、皆さんへの信頼度が高いと波動が「波動・改」に変わり威力が上昇します。
逆に信頼度が低いとサンダードレイクを呼び寄せて皆さんをアリ諸共砕こうと稲妻が降ってくる可能性もあります。
そうならないように気を付けてください。

・アダマンアントナイト(1体)
アダマンアントの戦闘種。攻撃方法は強力な火炎放射と強靭な顎による振り回し&叩きつけ攻撃です。
通常種よりも更に強力かつ凶悪です。
サンダードレイクの攻撃で深い傷を負っています。

・アダマンアント(7体)
嫌になる程硬い巨大アリ。攻撃方法は岩をも溶かす酸を弾丸のように飛ばす技と、強靭な顎による振り回し&叩きつけ攻撃です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <覇竜侵食>万物快癒のカラドリウスLv:5以上完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年04月05日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
エア(p3p010085)
白虹の少女
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

リプレイ

●カラドリウスと仲良くなろう
「カラドリウス……ね。不思議な鳥っていうのは色々と見てきたつもりだけれども、癒やしの鳥とはまた…世渡りが上手そうだなぁ」
「癒やしを施すことで、味方を得る、か。人間に近い種なら兎も角、魔物がそういった手段で生きるとは珍しい、な」
『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)と『金色の首領』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が、そんな事を言い合う。
「できれば、亜竜種達にも恩恵が得られるよう、縁を結びたいところだ、な」
 エクスマリアはそう呟くが、カラドリウスとはそういうモンスターだ。
 万物快癒の医鳥と呼ばれ、普段は傷ついたモンスターや亜竜などを癒して回り、病気の場合には薬草をも届けることがあるという。
 時として気まぐれに亜竜集落にも飛んできて、怪我人や病院を快癒にも導くことがある、まさに医鳥だ。
 その頻度がもう少し高くなるだけでも、かなり助かるのは事実だろう。
「カラドリウス…人が自然の脅威に畏怖し敬うように、亜竜種達に敬われてきたんだろうな」
「万物快癒の医鳥……ですか。その生態には見習うべき点が沢山あるように感じます。わたし達がカラドリウスを助ける事で沢山の命が助かるというのなら、わたしは医鳥を守る盾となりましょう」
 郷に入らば郷に従え。そんな気持ちで地元の亜竜種達にカラドリウスへのお供物などを聞いて手土産を用意してきたマルク・シリング(p3p001309)も、そう呟き、『優しい気持ち』エア(p3p010085)もそれに同意する。
 古来より「救うもの」「壊すもの」はそうした信仰の対象となることは多いが、前者の方がより敬われるのは当然だ。
 即物的などとは言うまい。誰だって、救いを有難がるに決まっている。
 そうしたカラドリウスと仲良くなるのは、後々のことを考えても大切なのは今更語るまでもない。
「誰かを助けて回るのは自分の味方になってもらうって言う理由もあるんだろうけど、それでもやってる事はとっても立派だし狙われてるって言うなら放っておけないもん。皆で絶対に守ってみせるよっ!」
「だな。それにしても覇竜領域って場所で生きてる種ってのは、ほんと色んな特性持ってるんだなあ。感心するぜ。ま、アリどもには赤十字のマークも意味なかったみたいだけど。ほんと迷惑な存在だな! そんなだからオレらと敵対することになるわけだ」
『可能性を連れたなら』笹木 花丸(p3p008689)と『嵐の牙』新道 風牙(p3p005012)がそんなことを言うが、まさにその通りではあるだろう。
 風牙の言う通り、アリ……今現在覇竜を騒がせているアダマンアントは今や、覇竜全体の問題となっている。
 亜竜集落イルナークを滅ぼし、地下に巨大な帝国を築き……過去に例を見ない程の侵攻速度で地上へと出てきているアダマンアント。
 亜竜にモンスター、様々なものを襲い……最近はカラドリウスのような珍しいモンスターにも手を出してきている。
 その目的が彼等を殺してその死骸を巣に持ち帰ることであるのは確かだが……覇竜で知られているアダマンアントの生態を考えれば、あまりにも性急に過ぎる動き。
 しかもカラドリウスのような「他者を癒す」モンスターを狙っていることからも、その凶悪な行動の片鱗が見受けられる。
 だが同時に庇護者がいることも前提に上位種にして戦闘種たるアダマンアントナイトを繰り出してくる辺り「確実に狩る」という意思と戦略構築が存在することも理解できてしまう。
 これは他のアダマンアントによる襲撃事件でも同じで「確実に狩れる」戦力を繰り出してきていることが確認されている。
 その意味するところは、想像すればアダマンアントという軍隊じみたモンスターに軍隊じみた戦略が存在するという恐ろしい想像に繋がってしまうが……それを砕く為にも、この先に居るカラドリウスと仲良くなるのは必須であった。
(まずは、食物を貢物として与えるのが良さそうか? 何が好物かを事前に調べられれば良かったんだが……反応が良さそうな物を渡してみるのも手だろうか)
 だからこそ、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)も真面目にカラドリウスと仲良くなる手段を考える。
「うーーん。寝てる所を起こした鳥さんと仲良くする方法かぁ。とりあえず紙芝居は持っていってみるけどちゃんと見てくれるかなぁ」
『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)も自作の紙芝居を用意してきているが、どの程度効果があるかは不明だ。
 暗い夜道をそうして歩いて行けば、やがて辿り着いたのは山頂だ。
 そこにあるのは、大きな広場と洞窟。事前の情報通りなら、洞窟の中にカラドリウスがいるはずだが……。
「うおお、あれがカラドリウスかぁ……すげーでけーんだなっ、3メートルだっけ」
『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)が興奮を隠しきれない声をあげる。
「真っ白で、綺麗な羽してるんだなー……加えて生き物を癒す力を持ってるなんて……」
 まあ、持っているからどうかという話にはならない。
 だが、カラドリウスは他者を癒すモンスターだ。
 だからこそ、エドワードはこう呟く。
「……きっとあいつ、優しい奴なんだな」
 本当にそうかは分からないが、そう考えるだけでいくらか交渉に前向きにもなれる。
(……よっし! 今回はきちんとカラドリウスのこと守り切って、ちゃんとともだちになって! そんで……様子がおかしいアダマンアント達のことも調べてやらねーとなっ。あいつらも、なんか困ってるかもしんねーしよ!)
 まあ、アダマンアントに関しては非常に「悪」寄りだとは思うのだが、そこはエドワードらしさとも言えるだろう。
「カラドリウスさんには寝ているところ申し訳ないっすけど……寝耳に水ならぬ寝耳に酸なんてことになったら大変っスからね。自身を直接守る手段がないなら猶更危ないっス」
『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)の言う通り、カラドリウスは自己を守る手段があまりない。
 故に、この交渉はなんとしても成功させたいところ……なのだが。
 ちなみにライオリットが僅かに混ぜた茶目っ気はスルーされた。そういうこともある。
「入り口は……どうやら1か所か。此処だけ守れば良さそうだな」
 エクスマリアがそう言って、周囲を確認する。
 此処を襲撃してくるであろうアダマンアントは、アリだ。アリの難所の踏破性能の高さは凄まじく、垂直な壁でも平気で登ってくる。
 だからこそ、カラドリウスを守るためのポイントはしっかりと確認しておきたかった。
 そして……何かがやってきたことに気付いたカラドリウスが、不機嫌そうに眼を開ける。
 事前に行人が精霊に「洞窟へついたら、俺たちの周りを優しく照らして欲しい」とお願いしていたことにより、周囲が僅かに照らされて、カラドリウスの如何にも不機嫌そうな表情がよく見えるようになる。
 まあ、寝ていたところにやってきて電気をつけられたようなものだから、当然の反応とは言えるだろうか。
 此処からが、腕の見せ所であった。

●カラドリウスとの共闘
 全長3mの白い鳥。
 万物快癒の医鳥。
 カラドリウスを現す言葉は色々あれど、確かに敵意を抱きにくい鳥だとマルクは思う。
 カラドリウスはモンスターだ。
 だが、モンスターの中にも奇妙な性質を持つものは時折現れる。
 どういう生態か全く不明なモンスターや……カラドリウスのように、人間にも益をもたらすモンスター。
 そしてカラドリウスは、人に敬遠されにくい……もっと言えば好意を抱かれる見た目をしていた。
 カラドリウス自身、それを理解している節が伺えた。
 まずは寝所を騒がす非礼を詫び、アダマンアントらから守りに来た旨を説明するべき。
 そう感じたマルクは、動物疎通の力を使いカラドリウスへと話しかける。
「アダマンアントは我々にとっても倒すべき敵。ここでの戦いをお許しください」
 無論、そうしている間にもマルクはファミリアーを召喚。巣の外側を見張り、アダマンアントが接近してきたら皆に知らせることが出来るようにしていた。
 それだけではない。蟻が地面を掘る能力で入口以外から侵入してこないかの監視も怠らない。
 何しろ相手は元々地下を掘り進むアダマンアントだ。警戒してし過ぎるということはない。
 行人も広域俯瞰による警戒を行っているが……まだアダマンアントがくる気配はない。
 そしてライオリットも動物疎通の力で敵ではないこと、アダマンアントの接近、それを倒すつもりであること。伝えられることは包み隠さず伝えようとしていく。
「あ、一応米を持ってきてるので、良かったら戦闘後にでもいっしょに食べるっス! 狩りの能力がないなら多分草食っスよね?」
 そんなことも問いかけるが、答えはない。
「寝てるところに大勢で入ってきてごめんなさい。でも、どうしても今貴方と話をしておかないといけなかったから」
 花丸もカラドリウスの目を見て、言葉が届くように真摯に話しかける。
 目と目を合わせる事にカラドリウスがどれだけ意味を見出すかは定かではない。
 だが、そうすることでしか伝わらない誠意もある。そう信じるからこそ、花丸はカラドリウスから目を逸らす事はしなかった。
「今ここに以前貴方を追っていたアダマンアントが迫って来てる。きっと貴方なら私達より強力な味方を呼べるんだろうけど、それでもどうか私達に貴方の事を守らせてくれないかな?」
「起こしちまってごめんな。悪い悪い、そりゃびっくりするよな。大丈夫。オレ達は……そうだな。お前と”ともだち”になりに来たんだ!」
 エドワードもカラドリウスにゆっくり近づきながら手を差し出すが、カラドリウスの視線はエドワードと、そして花丸をもじっと見ていた。
 触れるなというオーラはしっかりと出ていたが……敵意というほどではない。
「お前、あのアリ達に最近襲われてんだろ? あいつらのこと、追っ払ってやるからさ、安心して見てろよな」
「わたし達は多くの命を救う貴方を助けに来ました。それは……貴方を守る事で示しましょう」
 エアもそう付け加え、Я・E・Dは用意した紙芝居を取り出す。
「あっ、紙芝居の間は持って来た食べ物を食べてて良いよ。皆も色々なものを持って来たから、全部食べるには時間が足らないだろうけれど」
 ついでに敷物にリュックにオレンジ、ザクロ、イチジクなどの果物を置いていくが……それで少しだけ、カラドリウスの反応がよくなった気もした。そこはすでに風牙の用意した捧げものやその他もある。
 紙芝居の内容自体は今回の訪問目的を示すものだ。
 デフォルメされたカラドリウスと洞窟に、夜の間……これは黒い色と星と月で表現したものだが、そこに蟻が沢山攻めよって来て、それを自分達がカラドリウスと一緒に退治する物語に仕立ててある。
 文字は判らないだろうから完全にイラストだけで勝負、という勢いのソレをカラドリウスは見ていた……ようにも見える。
 鳥の表情など分からないので何を考えているかも当然分からないが……カラドリウスの不機嫌さは消えているように見えた。
 交渉成功した……と考えていいのだろうか?
「これは……」
 考えた矢先、マルクはファミリアーの目を通してアダマンアントの来襲を察知する。
「来る……皆、準備を!」
「後は、身を挺して守り続ける様を見て貰うしかない。カラドリウスの一番の目的は、『守ってもらう事』だ……ならば、私達に守る意思と力がある事を見せるのが一番かもしれんな?」
 妖刀『絹剥ぎ餓慈郎』を汰磨羈は抜き放って。カラドリウスを守るように布陣する中、アダマンアントの群れが崖を登ってくる。
「まあ、お前らも単にこの地で生きているだけなんだろうけどな。これも生存競争。出る杭は打たれるってやつだ!」
 烙地彗天を軽く振るった風牙も、名乗り口上をあげる。
「洞窟内には一匹たりとも通さない! かかってこい!」
「そういうことっ! 花丸ちゃんたちは、簡単には抜けないよっ!」
 連鎖するように花丸も名乗り口上をあげる。
「ここは絶対に通しませんっ! 風竜結界っ!」
「エア、ありがと!」
 エアが風竜結界を展開し、エドワードが前に出る。
「お前、あのアリ達に最近襲われてんだろ? あいつらのこと、追っ払ってやるからさ、安心して見てろよな」
「大丈夫です、沢山の命を救ってきた貴方の事はこの身に代えても守り切ってみせますからね……っ!」
 そうしてエドワードも名乗り口上をあげて。
「騒がせて、済まない。お前を狙う連中は、就寝中でもお構いなしなもので、な」
 エクスマリアが、娃染暁神狩銀を構える。
「味方をしてくれると助かる、が。無理強いは、しない。ただできれば、怒りをぶつける相手は、あの蟻共だけにしておいてくれ。マリア達は、勝手にお前を守るだけ、だ」
 そう言ってアダマンアント達を睨みつけるエクスマリアを……いや、仲間達を輝く波動が包み、武器が輝きに包まれる。
 輝きの波動。攻撃力が増加するという、カラドリウスの支援スキルだ。
「ははっ……これは心強いね」
 マルクは姿を見せたアダマンアントナイト……深い傷を負いながらも通常種とは明らかに別格の強さを持ったソレを見ながら、指に嵌めたワールドリンカーを握り込む。
 仲間が引き付けてくれている間に、まずはアレを倒す。
「絶対に、カラドリウスの所には通さない!」
「ああ、やろうか。関節を切るにも一苦労するのだろうが……いやしかし、いい加減に慣れてもきたな?」
 不敵に笑う汰磨羈と共にマルクはアダマンアントナイトへと攻撃を加えて。
 ライオリットも斬神空波を放つ。
「なに、カラドリウスさんが倒されなければ、なんてことないっス!」
 そう、カラドリウスは支援特化型のモンスター。それが味方してくれるのならば、これほど頼りになる味方も居ない。
「守るべきものがあって、頑張れって応援してくれる人が居るなら絶対に負けないよっ!」
 花丸も波動に驚きつつも、そう気持ちを奮い立たせる。
 Я・E・Dの破式魔砲も叩き込まれ……そうして戦いは激化していく。
 最後の1体を汰磨羈が切り倒した、その時。皆ボロボロではあったが、1人も倒れてはいない。
 確かな戦術と作戦が機能したが故だろう。
「も、もう朝……か」
「キツかったっスね……」
 座り込んだ風牙とライオリットが、そう言って大きく息を吐く。
 そう、気付けば大きな朝日が地平線の向こうから登ろうとしている。
 かなりの長期戦となった戦いは、やはり「守る」戦いであったことと……他の同種の戦いと比べると、カラドリウスが火力型のモンスターではなかったことなどがあるのだろう。
 だが、そんな火力など無くともやりきった。それは、誇れる素晴らしい結果であることは間違いなく。
「穏やかに眺めるくらいは良いかな……カラドリウス」
 朝日にキラキラと輝く羽根を見つめながら、行人はそんなことを呟く。
「なあ、1つ頼みなんだが……」
 集落の亜竜種に良くしてくれるよう、エクスマリアはカラドリウスに語り掛けてみる。
 それにカラドリウスは答えず、洞窟から出てきてその翼を広げる。
「ピイイイイイロロロロロロロ……」
 響く鳴き声と共に、癒しの波動が広がっていく。
 それは美しく……朝の光の中に溶け込んでいくような、そんな素晴らしい輝きだった。

成否

成功

MVP

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標

状態異常

なし

あとがき

カラドリウスを守り、アダマンアントナイトを撃破しました!

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