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シナリオ詳細

イレギュラーズVS海賊VSガイコツオバケVS大嵐

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●何日か前の話
「――と、いう訳でね。今回イレギュラーズの皆には、ウチの商船の護衛をして欲しいんだ。まあ正直な所、護衛というのはほとんど建前みたいなものでね。さっきも言った通り、今回のルートはかなり危険が少ない。治安が良いから海賊もほとんど出ないし、怪物に襲われたーなんて話もほとんど無い。それにあの辺りは今、随分と気候が安定していてね。突然の嵐に襲われるなんていう危険もほぼ無いと断言してもいいだろう」
 数日前ギルドローレットまで直接訪れてきた今回の仕事の依頼人、海種(タコ頭)のサザン。彼はそんな話をしていた気がする。
「だから本当は別に君たちに依頼をする必要もないんだけど……ほら、最近君達って結構いい活躍してるらしいじゃない? だから今の内にコネを作っておこうかなぁって……ハハハ、ここだけの話だよ? 目的地の島に付いたら綺麗なビーチで美味しい料理を沢山振る舞う予定だからさ。あんまり気を張らずに、海洋にちょっとした船旅をする気分で――」
 そんな話を、していた気がする。

●そして現在
「ギャァアアアアアアアアシヌウウウウウウ!!!」
「ウオアァアアアアアアアアアナンダヨコレハアアアアア!!!」
「カチカチカチカチカチカチカチ……!!」
『ゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオオ……!!!!』
 あまりにあんまりな状況にパニック状態の船乗りが叫び、半狂乱になっている海賊が滅茶苦茶に曲剣を振り回しながら雄叫びを上げ、海に落ちまいと必死に船の端に捕まっているガイコツオバケが絶え間なく歯を打ち鳴らす。
 そして嵐は、そんな彼らを嘲笑うかの様に唸りを上げ、その勢いを際限なく強めていく。
「話と違う……」
 誰かがそう呟いた。それは確かに。もっともな感想だろう。
 あの日、依頼を快諾したイレギュラーズ達は早々に色々な準備(主に遊びの)を済ませると、護衛(建前)する為にサザンと共に港へ向かい、商船に乗り込んだ。
 船乗り達は本当に人柄の良い人達ばかりで、数日に渡る船旅、そして到着してからのちょっとした(大嘘)バカンスはきっと楽しいものになるだろうと思った。思っていた。
 だがそんな矢先、突如として現れたのだ。夜の闇に紛れ、デスストーム海賊団とかいうダサい名前の海賊達が。
 まさかの海賊の登場に慌てかけたサザンと船乗り達だったが、ふと思い直した。そう、我々にはイレギュラーズがいるじゃないか!! 頼んだイレギュラーズ!! あの海賊たちをやっつけてくれ!!
 しかしそんな事を思っていたら、またも突如として現れたのだ。沢山のガイコツオバケを乗せた大きな幽霊船が。彼らはなんと、商船も海賊船もまとめて沈めるつもりらしい。
 さらなる脅威の出現に流石にヤバイんじゃないかと思い始めるサザンと船乗り達、そして海賊達。
 だけどまだ大丈夫。三つ巴の戦いというのは難しいかもしれないが、うまく行けば漁夫の利を狙えるし、なんてったって我々にはイレギュラーズがいる!! 頑張れイレギュラーズ!! 海賊とガイコツオバケ達をまとめて蹴散らしてしまえ!!
 だが、二度ある事は三度あった。またも脅威の出現だ。その脅威の名は――大嵐。
 突発的に出現した超ヤバイ規模の大嵐が、ぶつかり合う3つの船を巻き込み猛威を振るった!!
 誰もが思った。サザン、船乗り、海賊、ガイコツオバケ。全員が思った。ここで死ぬと。こんな滅茶苦茶な状況で生き延びられる筈が無いと。
 だけどまだきっと多分恐らく大丈夫!! だって僕たちにはイレギュラーズがいるから!!
 さあ出番だイレギュラーズ!! この混沌の極地と化した状況から、どうにかして抜け出すんだ!! 海賊とガイコツオバケは別にどうなろうといいぞ!!

GMコメント

 のらむです。わちゃわちゃした状況ですが、どうにかしていい感じに切り抜けて下さい。

●成功条件
 商船が沈没せず、かつ商船の乗員の6割以上が生き残った状態で嵐から抜け出す。

●シチュエーション
 大嵐です。商船、海賊船、幽霊船の3つの船はそれぞれ沢山の鉤付きの縄や網がかけられ、付かず離れずの状態で嵐の海の中を漂っています。
 海賊とガイコツオバケ達は、嵐以前の接敵の時点でその大半が商船に乗り移っており、直接的な戦闘のほとんどは商船の甲板上で行われています。
 甲板上は嵐かつ夜の為非常に視界が悪く(命中率にペナルティ)、荒波で船が大きく揺れて足場は水浸しの為非常に動き辛いです(機動力、防御技術、回避に大幅なペナルティ)。この状況に適したスキルなりギフトなりがあれば、これらのペナルティが緩和される可能性があります。また、これらのペナルティは敵味方関係なく全員に適応されます。
 
●デスストーム海賊団
 結成半月程度の新米海賊団。今回が初仕事。あまり警戒されずに仕事を行えそうなこの海域に意気揚々と乗りだしサザンの商船を襲ったものの、ガイコツオバケやら大嵐やらに襲われ完全に士気が下がっている。やめておけばよかったと思っている。
 船長はかつて素手でサメを殺した事があるという屈強な大男らしいが、いつの間にか海に流されてしまっていたため特に関係は無い。しかし船長が早々に不在になってしまったという事実は、他の団員たちの士気を更に下げてしまっている。
 曲剣や短銃といった武器を主に使用して戦闘を行う。1人1人の戦闘力はそう高く無いが、数が多い。人間種と海種が半々程度の割合。

●ガイコツオバケ一行
 元海賊の亡霊たち。かつて別の海域で海賊として活動しており、生前の記憶もおぼろげに残っている。特に理由は無いが、夜な夜な船を襲って沈没させようとしている。しかし彼らもまた新米亡霊の為、今回が初仕事。
 彼らが死んだ理由は今回の様な大嵐に巻き込まれ、船が沈没してしまったから。その為今回の大嵐は彼らの生前のトラウマを大いに刺激し、かなり怖がっている。
 オバケの癖になまじ実体を持ってしまっている為、海に落ちれば唯では済まない。
 錆びた武具や簡単な呪術を用いて戦闘を行う。こちらもやはり個体の戦闘力は低いが、数が多い。 

●サザンと船乗り達
 人柄の良いすごく良い人達。しかし海賊、おばけ、大嵐の三重苦に見舞われ、大パニックに陥っている。だが船を安定させて大嵐から抜け出す為には、彼らの助力が必要不可欠。乗員数はイレギュラーズを除くと全部で40人。大半が人間種。
 戦闘力は低く、戦い慣れてもいない。その辺に落ちていた鉄の棒とかで必死に抵抗している。
 サザンはこの船の船長でもあり、他の船乗り達に比べれば幾分落ち着いているが、やはりパニックに陥っている事には変わりない。戦闘力は4レベルのイレギュラーズ相当。
 サザンの統括があれば他の船乗りに的確な指示を出す事も可能だろうが、最低限海賊とガイコツオバケ達という脅威が排除されなければ、サザンが冷静に指示を出す事は非常に困難だと思われる。

 以上です。皆様のプレイング、お待ちしております。

  • イレギュラーズVS海賊VSガイコツオバケVS大嵐完了
  • GM名のらむ(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月23日 20時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

アクア・サンシャイン(p3p000041)
トキシック・スパイクス
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
罪のアントニウム
八田 悠(p3p000687)
祖なる現身
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
天之空・ミーナ(p3p005003)
死神教官
蓮乃 蛍(p3p005430)
鬼を宿す巫女

リプレイ


 奇跡の三重苦に見舞われたザガン率いる商船。そしてイレギュラーズ。
 混沌ここに極まれりといったこの状況で、イレギュラーズ達はどうにかしていい具合に立ち回らなくてはならない。
「きゃあああああああ!! サザン様の嘘つき嘘つき嘘つき! なんなんですかこの状況は!?」
 そんな中、一際慌てふためき取り乱し、半パニックな状態なのは、『鬼を宿す巫女』蓮乃 蛍(p3p005430)。おうちに帰りたい。只々帰りたいと心の底から思っていた。 
「ふ、バッドラックは重なるものよな! あのようなワードを重ねることをフラグというらしい! しかして、それを乗り越えるのもまた人の世! ゴッドがそれを示すとしよう!」
 蛍と対称的に微塵も動揺していないのは『不知火』御堂・D・豪斗(p3p001181)。むしろこの危機的状況に張り切っている風にすら見える。
「簡単な依頼だって聞いてたのに……全く、どういうこったよこの状況は……!!」
「全くね……はぁ、中々上手くはいかないわよね」
 ガイコツやら海賊やらなんやらかんやらが飛び交う状況を前に、『死喚剣士』天之空・ミーナ(p3p005003)と『凛花』アクア・サンシャイン(p3p000041)の口からやや苛立ち混じりの感想が漏れ出てきたが、それも致し方ないだろう。アクアに至っては既に水着まで着てしまっているものだから更に仕方ない。
「三つ巴、とはこういう状況の事を言うのでしょうか。それにプラスして私達。乱戦が予想されますね」
 冷静に思考を巡らせる『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)。この状況で被害を最小限に抑える為の策を考えていた。
「捕縛、殲滅、話し合いと助け合い……確かに取れる手段は多くありますが、完全な平和的解決は難しいかもしれませんね」
 『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)は青いカンテラに火を灯す。いざと言う時は、嵐の海に飛び込む覚悟も決めていた。
「別に平和的解決に拘る必要も無いしね。とはいえ全部纏めて対処することは出来ないだろうし……まずはガイコツからどうにかしようかな」
 『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)は冷静に言い切る。荒れ狂う風と延々と降り注ぐ雨が非常に鬱陶しかったが、やる事は変わりない。
「商船団の皆さんは自分の命優先で自衛してね、敵は僕達が蹴散らすから!! ……さあて、仕事の時間だ」
 『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)は漆黒のマスケット銃を構え、微かな笑みを浮かべた。
 かくして、嵐の夜の大混戦は始まった。


「サザンさん。亡霊は海賊はこちらで対処いたします。貴方は出来るだけご自分の身の安全を優先に考えてください」
 クラリーチェは甲板の片隅で必死に海賊の1人を叩き伏せたザザンに近づきそう告げる。
「し、しかし……船長の私が黙ってこの状況を見ている訳には……」
「今のサザンさんの状態では、まともに指揮を取る事は難しいと思います。それに、いざ脅威を排除出来たときに貴方がいなければ、まともに船を動かす事もままなりません。今は私達に任せ、どうかご自分の身を最優先に」
「……分かった。君達には本当に迷惑をかける……」
「大丈夫ですよ。これが私達の役目ですから」
 サザンはクラリーチェの説得に応じ、頷いた。サザンは商船員の中では一際戦闘力がある為、この状況では目立つ動きをしなければ倒されるという事はないだろう。
「金品と自分の命、どちらが大切なんですか!? このまま争っていては皆仲良くガイコツさん達の仲間入りですよー!?」
 多少落ち着きを取り戻した蛍が、海賊達に必死の呼びかけを行っていた。
「このような極限状態では誰もが一蓮托生の身! すなわち家族です! どうでしょうか、こ、此度は『のーげーむ』ということで手打ちにしませんかー!?」
 蛍は必死だった。とにかく必死だった。大雨でずぶ濡れになりながら、それでも尚必死だった。しかし心の底から本気で必死の説得であるが故、その姿を見た海賊の中には僅かに攻撃の手を緩める者もいたが――。
「クダバレエエエ!!」
 一方で、全く説得が耳に入っていない狂乱状態の海賊もいた。剣を振るい叫び、味方か敵かも分からぬ相手に斬りかかっていく。
「全く、そんなことやってる間に沈むわよ! どうあっても話を聞かないっていうなら……大人しくしてて頂戴!」
 海賊の凶刃が船員に届く寸前、アクアが魔術を発動。その手から放たれた雷の鎖が海賊の全身を痺れ上がらせ、海賊は白目を剥きながら倒れ伏した。
「ハァ……この状況で略奪行為とか馬鹿げてるわ! 私達もあなた達も、この状況から抜け出すのが最優先だと思うわ! どう考えても!」
 そこからアクアは間髪入れずに猛毒滴る棘を数本放ち、狂乱の海賊を更に1人仕留める。
「いい? こっちから出せる条件は、あなた達の安全! つまりここからの脱出よ!」
 これだけの数の海賊がいれば、話が通じるものもそうで無い者も存在する。アクアはそうで無い者を優先的に排除する事で、説得の成功率を高めようと試みていた。
「流石に説得だけで完全な鎮圧は厳しいか……なら、やるしかないよね」
 仲間の説得の様子を伺っていたルチアーノはゴーグルとギフトで視界を確保すると、ガイコツ達が密集する地点目掛け一気に飛び出した。
「風が強いけど……ギリギリいけるかな?」
 背負ったバックパックを一瞬起動させ、ルチアーノはガイコツ共の上方へ素早く跳躍。唖然と上を見上げるガイコツ共の中心部に着地すると同時に、ルチアーノは甲板に拳を叩きつけた。
 次の瞬間、ルチアーノを中心に巻き起こった爆発がガイコツ共の身体を粉々に吹き飛ばし、塵と変えた。
「…………海賊の皆様はお強いですね! 貴方達を敵に回したくはないなぁ……ここは、『不慮の事故に見舞われた者同士』停戦しませんか?」
 自らの力を見せつける事による、別方向からの説得。ここまでの流れで海賊達はイレギュラーズ達の実力を身を持って理解し始めていた。
「私達と助け合うか、全員お縄につくか、それとも嵐に呑まれるか……お好きなようにどうぞ。戦うというのなら、躊躇はしません」
 そう海賊たちに投げかけつつ、フロウは暴れ狂うガイコツに静かに接近する。片手に白く輝く聖なる魔力を宿しながら。
「さて、あなた達にはもう少し黙ってもらいますよ」
「ガチガチガチ!!」
 ガイコツが振るった棍棒がフロウの頭上を掠め、そのままフロウはガイコツの頭上に白き魔力を撃ち放つ。
 魔力は一瞬にして白き槍へと姿を変え、降り注ぎ。ガイコツの身体は塵となって消えた。
「おいお前ら! いい加減私らの実力は分かったろ!! そこの幽霊共みたいになりなくなけりゃ、私らに協力しな!!」
 ミーナは更に海賊たちに停戦を呼びかける。戦いの序盤に比べれば、海賊たちの顔には更なる迷いの色が浮かんでいたが、
「誰が協力なんざ……!!」
「まだ分かんない奴が居るのかよ……まあいいや、やるか」
 無駄に意志が固い槍持ちの海賊目掛け、ミーナは翼を駆使した高速移動で急接近する。そして両手に持つ剣を低く構えると、
「後悔するなよ!!」
 すれ違いざまに剣を大きく振り抜き、海賊の身体を一閃した。
「もう一押し……な感じがするかな。目立った反抗的な分子も少なくなってきたけど、まだいるね」
 前線にて立ち回りを続けてきた悠。海賊たちの攻撃対象が徐々にガイコツ達に偏ってきている事を感じ取っていたが、まだ決定的ではないとも感じていた。
「ビビるな!! 最終的にはこいつらも倒さなきゃ、ブッ!」
「あんまりそういう事言わないでくれるかな。折角流れが来てるんだから」
 血気盛んな巨漢の海賊の顔面に毒瓶を叩きつけ、悠は一気に至近距離まで迫る。
「荒れることはしたくないから……出来れば死なないでくれると助かるよ」
 そして海賊の胸元に手を当てると、その体内から一気に肉体を破壊する。ドサリと倒れた巨漢の顔からは血の気が引いていたが、多分まあまだ死んではないだろう。
「クソ、こいつらマジで強いぞ……殺される前にさっさと協力体制に入った方が……」
 非協力寄りの海賊の多くが倒された事もあり、残る海賊達の間にイレギュラーズ達に従うべきではという空気が流れ始める。
 と、その時。闇に包まれた戦場を巨大な光が照らした。その場の多くの者達がその光の元――豪斗に思わず目をやった。
「諸君! 既に状況は理解しているであろう。バッドなストームによって引き起こされたカオス、そしてこのデンジャーな状況! それはパイレーツであろうとスケルトンであろうと変わりはない!」
 ゴッドこと豪斗は大きく手を広げ、嵐の中声を張り上げる。凄く神々しい感じのする様な気がする光を背負いながら。
「故にゴッドは言おう! ユー達も救いたいと! まあギルティはギルティである故、人の世のロウに則った対応となろうが、まずは生きる事! そのライフ……ゴッドに預けてはくれまいか!!」
 平常時ではいざ知らず、初仕事でここまでの窮地に立たされ疲弊しきった海賊達にとっては、なんだかよく分からないが豪斗の言葉が強く心に響いてしまった。悠が言う所の最後の一押しが、成った。
「うむ、実にグレートなディシジョンだ! なに、乗り越えられぬストームなどありはせぬ! ビッグシップに乗ったつもりで進むがよい!!」


 状況は一気に変動した。一時的ではあるかも知れないが、海賊たちはイレギュラーズ側に付いた。残る脅威はガイコツオバケ、並びにビッグストーム。
「先ほどユー達を救いたいとゴッドは言った。そして、それはスケルトンたちも同じだ!」
 ゴッドことゴッドは更に語りかける。スケルトン達をも説き伏せる為に。
「ユー達が一度死して後、今再びそのソウルを失うことをゴッドは望まない! 望むならばそのソウルがヘヴンへ向かえるようハンドを貸しても善い!」
 ゴッドソウルに満ちた豪斗の言葉はスケルトン達の心にもなんとなく響いた。が、停戦には至らない。やはり死者と生者、ましてや人に害為す悪霊とでは、大きな隔たりがある様だ。
「だったらまあ、やるしかないね。単純に手勢が増えたから、殲滅はそう時間がかからなそうだね」
 悠はひとまずは味方となった海賊達の援護に回る。単体での海賊とガイコツの力量はほぼ互角であったが、他者の援護があれば海賊側の優位は揺るがない。
「ウォオオオオオオ!! くたばれ腐れガイコツ共!!」
「はいはい、その調子その調子。次は一気に3ガイコツを倒しちゃおう」
 暴れまわる第二の巨漢海賊に向け、悠は今度こそ毒瓶ではなくちゃんとした薬瓶を投げ渡す。
「か、海賊が味方についた……これならなんとか、生き延びられそ……あっ」
 状況が好転した事に安心したのも付かのも束の間、2人の船乗りが大波に呑まれ、一瞬にして甲板から滑り落ちた。
「っ……この状況で泳げそうなのは私だけですね。船上はお任せします!」
 人数的な余裕が生まれた事も功を奏した。フロウはすぐさま人間形態から人魚形態へと姿を変えると、迷わず海の中に飛び込んだ。
「アビ、アベエボ、アボボボボボボ…………」
「大丈夫です、落ち着いて! しっかりと私の手に掴まって下さい!!」
 荒れ狂う海の上をスルリスルリと突き進み、フロウは流された2人の船乗りを掴み上げた。フロウの水泳能力、場に適した光源、素早い判断力が無ければ、間違いなくどちらかは海に流されてしまっていただろう。
「ゲボ、ゲホゲホ……すまない人魚の姉ちゃん……」
「いいんですよ。協力して、この大嵐を乗り切りましょう」
 フロウと2人の船乗りがゆっくりと船を這い上がっている最中も、甲板上では戦いが続いていた。
「やはり聞き入れませんね……ですが、何度でも繰り返します。自分の船にお帰りなさい。そしてこの場から去ってください」
 クラリーチェは諦めず停戦の呼びかけを行いつつも、向かってくるガイコツオバケと相対する。
「ならば……申し訳ありませんが、大人しくなって頂きますね」
 ガイコツが放った矢がクラリーチェの頬を掠める。クラリーチェは動じる事無くガイコツを見据え、素早く魔術を詠唱した。
 すると、再び矢を構えようとしたガイコツの全身を猛毒の霧が包み込み、ガイコツは悶え苦しむ様な動きをしながら後ずさり、そして海に落ちていった。
「カチカチ!! カチカチカチカチ!!」
「カチカチ、カチカチカチカチ!?」
 凄まじいカチカチの応酬。しかし後者のカチカチは蛍のものであった。霊魂と意思疎通を試みる事が可能な蛍は、渾身のカチカチ術によってどうにか船長のガイコツを見つけ出し、必死の説得を試みていたのだ。
「カチカチ? カチカチカチ……!!(貴方達もまた水底に沈むのは嫌でしょう? 今ならまだ間に合います、今度こそ自分達の船を護りましょう……!!)」 
「カチカチカチ……カチカチ!!(悪いな嬢ちゃん……確かに俺達は馬鹿で臆病な海賊だが、今更物分りの良いフリしてまで生き延びたくはないんだよ!!)」
 格下のカチカチとは違い流石に船長は肝がすわっていた。蛍の説得を突っぱね短銃による銃撃を返し、蛍は止むを得ず呪符を構え、光明の白鴉によって船長のガイコツを撃ち抜いた。
 密かな決闘を蛍が制し、ガイコツ側の船長は討ち取られた。
「……さぁ、ここからどうする気なのかな? 骸骨くん?」
 一気にプレッシャーを与えるべく、ルチアーノは猟奇的な笑みを浮かべながらマスケット銃を構える。海賊達が味方についた事により自然と混戦状態が解け始め、ガイコツ達の多くは徐々に甲板の隅へと追いやられていたのだ。
「『敵』は誰であろうと容赦なく爆破する……纏めて『沈没』させちゃうよ?」
 そして引き金が引かれた。放たれた銃弾はガイコツ……ではなく、密かにガイコツの足元に滑り投げていた爆弾に直撃。複数体のガイコツを巻き込み爆発した。
 その強烈な一撃にガイコツ達は確かに動揺を受け、海賊達も早いところ協力しておいて本当に良かったと思った。
「さあ、あと少しよ! これ以上長引けば船が保たないわ、一気に蹴散らすわよ!!」
 海賊たちにそう投げかけ、アクアもまたガイコツ達に突撃する。敵が固まってくれるのなら、纏めて吹き飛ばすのに実に都合が良い。
「いい加減邪魔なのよ、さっさと海にでも船にでも還りなさい!!」
 そう言い放ち、アクアは圧縮された高濃度の魔力の塊をガイコツ達の中心に叩きつける。そして巻き起こった本日何度目かの大爆発が、ガイコツ達を消し炭に変えた。
「……流石に、もう終わりかしらね」
 アクアの言葉通り、海賊を味方につけたイレギュラーズの手によって、ガイコツ勢力は壊滅寸前である。
「お前らも、海の藻屑になりなくなけりゃ邪魔すんじゃねぇ! 自分達の船で逃げるなら見逃してやる!!」
 残り僅かのガイコツ達を剣で斬り飛ばしながらミーナはそう言い、残党達を斬り捨てていく。
「よし、ようやくか……これくらい数減らせば、移動中に蹴散らせる!! 操船頼むぜ、船長!!」
 甲板際のガイコツを蹴落とし、ミーナが身を守っていたザガンに声をかけると、落ち着きを完全に取り戻したザガンが姿を表し、船員達に指示を飛ばしていく。
「とりあえずこの鬱陶しい網を切り落とせ!! お前らの船は……まあ諦めろ!!」
 ミーナはサザンの護衛を行いながらも声を張り上げ、サザンの指示を噛み砕きながら海賊たちに飛ばしていく。船のコントロールを完全に取り戻すには幾ばくかの時間がかかったが、その間にガイコツ達の殲滅は完了した。
 戦闘が終わるとイレギュラーズ達もまた慌ただしく船員たちの作業を手伝い、あっという間に時間は流れ――。


「終わった……」
「助かった……」
「生き延びた……!!」
 あの大嵐が嘘のような日差しが、一同を照らしていた。嵐を抜けた頃には既に陽が昇っていたのだ。
「やりましたね、皆さん……もう安心ですよ……!」
 クラリーチェが呼びかけ、一同の緊張の糸が一気に切れた。
「ああ、早く地面に降ろして……早くお家に帰して……もうお船は嫌……お船は嫌……」
 おうちに帰りたい病が再発した蛍はともかくとして、一同は疲労感と共に、あの苦境を乗り越えた達成感に包まれていた。目的地の島に到着するまでそう時間はかからないだろう。
「うむ、当然の結果であろうな! 何故ならこのゴッドが付いていたのだからな!」
「なるほど流石ごっどだね」
 満足げなゴッド豪斗と若干適当な感じがしないでもない悠。
「やれやれ……ここまで来ると私の巻き込まれ体質も相当なもんだな」
 ダラリと甲板際に寄り掛かり呟くミーナ。憶測に過ぎないが、その体質は永遠に治らない気がする。
「ところで……この海賊達どうしようかしらね。彼らの助力で大分助かりはしたけど……」
「うーん、まあ、難しい所だけど……『のーげーむ』って事で、良いんじゃないかな。今回に限っては」
 アクアとルチアーノがそんな事を言っている内に、船は島の港まで到着した。
「なんというか……あれですね。色々ありましたがまとめると……」
 我先にと船から飛び降り地面を満喫している誰かさんをフロウは見送り、
「……非常に疲れる一件でした」
 誰もが共感するであろうそんな言葉を呟いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。大混戦の中で海賊たちを味方につけた事により、商船側の被害はかなり抑える事が出来ました。
 ガイコツオバケ達もしっかり殲滅出来たため、再び他の船が襲われるという事もないでしょう。
 以上です。ご参加ありがとうございました。

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