シナリオ詳細
<咎の鉄条>Tread a throny path
オープニング
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深緑の異常事態。
迷宮森林が謎の茨に覆われているという情報がローレットを駆け巡っている頃――その迷宮森林に取り残されている者がいた。
「うぐ……な、なんだこの様子は……」
「はぁ、はぁ、とにかく今はこの森を早く脱出しなければ……!」
彼らはラサから訪れていた商隊のメンバーだ。
深緑と時折商品のやりとりを行う程度には縁があった――だからと今日もいつも通りに首都でもある大樹ファルカウを目指していたのだ、が。其処に在ったのは木々にすら纏わりつく茨の数々。
なんだこれは――どうなっているんだ――?
慌てふためく商人。しかしその時は、森の一角だけでの問題かと思っていた。
だから迂回してどこからか奥に進めぬかと――安易な事を考えてしまえば。
うっかりと茨が肌に刺さってしまった。
……そこからは体に異常も生じ始めていたのである。
まるで毒が回る様に身体の自由が奪われていく。
同行していた護衛の傭兵達もいつのまにか茨の被害にあっていたのか、誰も彼もの動きが鈍り始めて……
「ま、まずい……この事態を、一刻も早くラサに伝え……ねば……」
やがて意識すら朦朧となり始め。
その意識は闇の中へと落ちていく。
――幸いと言うべきか死んだわけではない。真実、眠りの中に落ちる様に瞼が閉じられただけだ。
まるでこの静寂の森に溶けてしまうかのように。
……ここは迷宮森林。
多くの生命が本来あるべき深緑の大森林。
しかし今は――『死の森』
そう形容するかのような静寂に満ちていた。
●
「……なんという事態でしょうかね。まさかこのような事になるとは」
ラサの首都ネフェルスト。
そこでイレギュラーズ達を迎えたのはファレン・アル・パレスト(p3n000188)であった。ラサの商人の中でも屈指の有力者である彼は、ラサにとって重要な取引相手でもある深緑に生じている異常事態に思わず頭を悩ますもの。
――深緑が閉鎖されてしまっている。
そう言うしかないこの事態。ファルカウにいるであろうリュミエ達と連絡を取る事も叶わず……目下の所、何があってこのような事態が訪れてしまったのかは不明だ。
「ラサとしても深緑の事態に対し、ただ座して待つ事はしません。調査は行うつもりです
……が。その前にひとまず皆さんには間に合う者の救助を行ってもらいたいのです」
「――救助?」
「ええ。深緑方面へと商売の為に赴いていた商人達の保護です」
ファレンは語る。幸か不幸か、迷宮森林外周部に関してはまだ活動可能な個所もある――そして、その地点にて茨の被害を受けてしまったラサの者を救ってほしいのだと。
「なるほどな……国境線側から事情を知らずに近付いた奴がいた、って事か」
「ええ。そして、国境線に近い場所であれば助ける事もまだ可能なはずです。
商人と、その護衛の為に共に至っていた傭兵も含めて救助をお願いします」
ただし、と一息付けながら。
「魔物の類に注意を。どうにも、魔物は動けている個体も存在しているとの報告を受けています」
「……人は大体ぶっ倒れているのに、か」
「それに何者かの思惑が絡んでいるのかも現時点では不明ですが」
されど。危害を加える者があらば全て排除してほしいと――ファレンは言うものだ。
そして何より。
「――仔細の知れない『茨』にはあまり触れないように。
イレギュラーズであっても被害を受けないとは限りません」
木々すら覆う謎の茨……如何なるモノかも知れぬが。
危険な性質を抱いているのだけは確実だ。
――万全の注意と共にかの地へと赴くとしようか。
- <咎の鉄条>Tread a throny path完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年02月28日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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茨が全てを覆っている――これが、深緑?
緑に生い茂ったあの美しき地はどこへと消え失せてしまったのか。
「深緑が封鎖か……些か事態は違うが、どうしてもR.O.Oでの出来事を思い起こしてしまうな」
「ん、R.O.Oの翡翠の時と似たような感じなのかなぁ。あの時は色々と裏で動いてたのがいたけれど……ま、良いよ。ちょっと難しいけど、頑張って商隊の人達を探そうか」
この光景にR.O.Oでの戦いを経験している『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)や『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)の脳裏には、かつての『クローズド・エメラルド』事件が思い浮かぶものだ――
どこか似ている。無論、全く同じと言う訳ではなく偶然かもしれないが……
ともあれ、今はラサの商隊を助ける為に――動くとしようか。
Я・E・Dは既に己が情報網により、該当の商人達が動きそうなルートの判別に努めていた。さすればその方面よりベネディクトは優れた嗅覚をもってして、人の匂いを探るものである。自然の中に紛れている人の気配がこの奥に必ずある筈だから。
そして――Я・E・Dは同時に、植物と意志を疎通させる術によって情報も収集。
「……んっ。どこかに気配がないかな」
詳細な情報は得られずとも。
今のこの森の状況から――つい最近まで動いていた人がいれば目立つ筈だ。
或いは人に反感を持たれていれば、それでも『目立つ』可能性はある。
故に感覚を働かせ探るのだ。どちらの方角が妙かと……
「聞けばこの茨、ROOにおける大樹の嘆きと似た状況だとか。
それはつまり、誰かがこの森を傷つけているというのでしょうか?」
「あり得る話だね。深緑の、ファルカウの方の様子も一刻も早く確かめたいけれど……
今、焦りは禁物だね――まずは助けられる人を助けよう!」
過去を照らせば『そう』なのではないかと推察するのは『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)に『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)の両名だ。
R.O.Oの折と状況が完全一致している訳ではないが、しかし。深緑の国境が封鎖されているという状況は似ており、なおかつ特徴的な存在であった『大樹の嘆き』も発生しているというのは偶然にしては――出来過ぎている。
あの事件と似通っている部分があるのならば、裏で暗躍する何者かがいるという事だろうか。
深緑に縁深き二人は想う所もあるが……とにかく今は目前の事態に集中をと。
アレクシアはЯ・E・D同様に己が父の伝手を頼りて交易商の者達から情報を探っていたものである。今回の救助対象者が通る道を知っている者はいないかと――恐らくいつものルート上のどこかで囚われているだろうから。
そしてエルシアは道を進む中で――森を傷つけぬ道のりを探していく。
茨がなんなのかは分からぬが、守を護っている一端であれば深緑の民である己が傷つける事には躊躇いを感じるものであるから……
尤も。万一の際は隣人の命を守る為に成すべきことを成すかもしれぬが。
ともあれ『その時』までは茨を躱し、無理に抉じ開ける必要がなさそうな地帯を索敵して――進んでいき。
「……この茨、一見すると森を守護する為の防衛網の様にも見えますが……だとしたら、一体何から森を守っているのでしょうね? 他者を寄せ付けぬ茨である事の意味が込められている様な気がします」
そして同様の考えに至っているのは『人間の矜恃』ルーキス・ファウン(p3p008870)もだ。彼もベネディクトと同様に嗅覚によって救助対象の位置を捜索せんとするもの。同時に、周囲を覆う茨の謎に関しては実に気になる所でもあるのだが……しかし今この場では答えが出ぬかと思えば前を向いて。
「……空には、邪妖精がいるようだ、な。しかし、奴らは眠りに落ちないのだろう、か」
「魔物の類は例外、と言う事かしらね……ラサの商人さん達は外からの存在なのに巻き込まれている辺り、そういう事な気もするけれど」
直後。ファミリアーの小鳥を放りて周囲を捜索する『金色の首領』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は――更なる上空を舞う敵の存在を感知するものだ。薄暗い場所すら見通す為に視界を巡らせている『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)も気付く、が。
まだこちらに気付いていなければ無理に襲う事は無いかと、己らの存在を顰める事に注力。
あくまでも目的は救助なのだから――そして。
「うん――多分あっちの方だね! あっちから、なんとなーく助けを求めてるニオイがする!!」
森の中の在る方角を、先頭切って進んでいくのは『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)だ。彼女の嗅ぎ取る事件のニオイが『此方』であると示している――
微かではあるが感じるのだ。困っている人の声が。
――彼女に与えられし祝福が導いてくれる。
ただし盲目的に過信している訳ではない……事象の内容までは分からぬのだ。もしかすれば違う『声』を捉えているかもしれない。もしかすれば迷い込んでいるかもしれない。
故に歩みは慎重に。皆と歩調を合わせ、声を掛けて確認を取りながら進むものだ。
――茨に満ちた迷宮森林の中を。
●
「……だめだ。やっぱり茨からは話が聞けないね。
植物じゃなくて魔法とか、そういう神秘によって作られた系統なのかな……?」
「あり得る話ですね。これほどの大規模に影響を齎すとは、根底に何があるのかは知れませんが……」
そして救助対象を探索しながらアレクシアは茨に付いても幾つか調べてみるものだ。
大自然と意志を交わし『茨』がはたしてなんなのか、と……しかし事前に『話が聞けない』とは聞いていたのだが――本当に全く反応が見られない所を見ると『そもそも植物ではない』という疑いがより強まるものだ。
ルーキスも同様に思考する。道に迷わぬ様に方向感覚が正しいか何度となく確認しながら……茨自体にも触れぬ様に注意して。
「まだ、あまり触れぬ様に、な。
何が起こるか分からない、し、邪妖精に気付かれるかも、しれない」
「たしかにそうだね……あっどうかな? 人の声が聞こえたり、変わった事ってありそう?」
「そうですね、今の所はまだ……いえ、お待ちを。其方の方に何かが……!」
さすれば、茨の隙間を縫ってファミリアーの小鳥に閉所を探させるエクスマリアが注意喚起。次いで己がギフトの感覚の方向に進みつつある咲良と、周囲に視線を巡らせるエルシアが在れば――気付いた。
植物が抱くのとは違う『体温』がこの先に在る事を。
温度を知覚する目をもってして見つけたのだ――救助対象達を。
「待って。……んっ、確かに件の商人みたいだね。生きてはいるみたい」
「眠っているのか……呼びかけた程度ではやはり起きないか?
しかし息が在るのは間違いないな。少なくとも最悪の事態ではなさそうだ」
であれば、Я・E・Dとベネディクトが即座に皆の状態の確認を行うもの。
Я・E・Dは優れた三感をもってして事前に周囲に敵影がいないかも確認すれば。
見据える――商人らは不自然に眠ってはいるものの、それだけだ。
今すぐラサに運べば特に問題もないだろう……故に。
「よし、準備できた、な。マリアは、木馬に乗せて、運んでいこう」
「うん! さっ、あたしたちが来たからもう大丈夫! 帰ろう! みんな心配してる!」
「頼んだぞ。俺は二人抱えていく――後は、道中で何も遭遇しなければいい……が」
一名はエクスマリアが用意した妖精の木馬に乗せ込むものだ。
もう一名は意気揚々と咲良が。
そして残りの二名は担ぐ術に優れたベネディクトが担当し――これで四名。
後は帰還するのみ、だが。
「運搬者の負担を考えても邪妖精には遭遇したくないわね……けれど『上』になんだか集まってきている様子があるし、早めの行動でこの森を抜けないと、かしら」
「4人だしギリギリ荷物とかも運べるかなぁ。
戦える人が少なくなるけど、後は帰るだけだから頑張ろうね」
上空。見据えれば――先程よりも邪妖精の数が多くなっている気がする。
森の中を歩くイレギュラーズ達の気配をなんとなく感じているのだろうか……見つからねばそれが最善だが、数が多くなっていれば、そうもいかぬかとエルスとЯ・E・Dは思考していた。
そしてその際の戦闘は運搬役を護るべき己らの役目であると。
「出来るだけ見つからないように、慎重に、慎重に……!
鳥さん気付きませんよーに……! もうちょっとの間だけだから……!」
同時。咲良は一人を運びながら――祈るものだ。
あと少し。一分でも一秒でも気付くなと。
――しかし。
「……ッ! これは、茨が――棘を!?」
ルーキスが気付いた。近くの茨が一つ、棘を飛ばして――イレギュラーズを狙っていたことに。偶然にも躱す事が出来たが故に、それ自体は大事に至らなかったが……しかし、その戦闘の気配を察して上空の邪妖精も眼下に気付いたようである。
「コレが何かはまだよく判らないけど……仕方が無い、一気に破壊して走って抜けるよ。
もうこうなっちゃったら――バレる事を気に留めている暇はなさそうだしね」
「ええ、同感です。参りましょう――切り開きますッ!」
さすればЯ・E・Dとエルシアが動き出すものだ。
邪妖精達が上より迫ってくるのがЯ・E・Dの耳に捉えられる――だからこそ、最早遠慮はいらぬとばかりに収束させた魔力を放ちて道を作るのだ。万物を貫くソレが攻撃してくる茨を巻き込み、同時にエルシアもまた火線の砲撃にてより道を広げよう。
後はこの先へと突き進むのみ――!
「ごめんなさいね、私達は急いでるの。
邪魔をせずここを通して貰えると有難いのだけれどっ!」
故にエルスも、上空より飛来する邪妖精へと紡ぐものだ。
こちらを敵視し襲ってくる連中へと――迎撃の斬閃を放ちながら。
●
イレギュラーズ達は駆けていた。
商人達を運ぶ者と、襲い来る邪妖精を迎撃する者達で――森の中を。
「くっ結構な数が来るねッ……! 私が引き付けるから先に行って!!
さぁこっちだよ――向こうにはいかせないんだから!!」
その中でアレクシアは迎撃側の一人として立ち回っていた。
紅き花の如き魔力塊を生成すれば、目立つ様に展開。
邪妖精達の眼を引き付けて――足止めの為の一手と成すのだ。
万が一にも救出対象が負傷する様な事があれば命に関わるかもしれない。なにせ彼らは眠っているのだ――防御的な行動も取れないのであれば、極力にも奴らを引き付けておく必要があり。
「しかし地上側も気を付けなければなりませんね。
先程の様に攻撃してくる茨がまだ残っていないとも限りません……!
とにかく皆さんは出口方向へ! ここは足止めします!!」
「そうね――でも歩みを止めるのだけは駄目よ、追いつかれちゃうわ……!」
次いでルーキスも襲い来る鳥を遠当ての斬撃にて斬り伏せれば。
エルスもまた、暗きを見通す目をもってして奴らを迎撃せしめるものだ。
直死の一撃が邪妖精の身を削る――幸いにして耐久力が高くないのであれば、確実に当てる事さえ出来ればその数を減らしつつあった。とはいえ、周囲から更に集ってきている状況であればまだ油断は出来ぬが……
それでも、誰一人置いては行かない――
「必ず全員で……帰還します!」
強き意志と共にルーキスは襲い来る鳥へと立ち向かえば。
「無駄だよ。今のわたしにそんな大きな音を立てたらダメだからね?」
そして、噂をしていれば別方向より至る鳥もいた――が。
それは即座にЯ・E・Dが撃ち砕く。優れた聴覚にて奴らの不意打ちを許さぬのだ。
精密無比なる銃撃にて叩き落し、そのまま救助班へと付き従っていく。
……ここは迷宮森林の外周部。であれば森を完全に抜けるのにそう時間はかからぬ。
あともう少し。もう少しばかり凌ぎ続ければ――と。
「お待ちを。感じますね、こちらに敵意を向けてくる茨の気配を……そこでしょうか」
その時。言の葉を述べたのはエルシアだ。
彼女は祈る――静かな、しかし強き祈りにて。
それは周囲へと波及する程だ。彼女の祈りが波打ち、自然の摂理に反する存在達をすら自然への愛に目覚めさせ――激しい後悔で苛ませる力の一端。さすれば、敵意を向けてくる茨達が悶えるように。
だが、ただではやられぬとばかりに鋭利たる棘が飛ぶ。
さすればエルシアに突き刺さりて――しかし。
「くっ……ですが、この程度で朽ち果てたりなどはしませんよ」
そちらへと。指を向ければ火線の砲撃。
強力無比たる一撃にて更なる道を切り開こう――
「よし。しかし、茨も、しつこいな……眠らせた対象を、保持しようとでも、しているの、か?」
「うーん、ハッキリとはしないよね……! まるで生きているみたいな気味の悪さもあるし、潰しても潰してもまた再生してくるし……誰かの意志に沿って動いてる、ていう事はあるのかも……」
そこへ往くのがエクスマリアと咲良だ。
商人らを運ぶ彼女達が外を目指して全力で駆けていく――
その度に投じられる茨の棘に、エクスマリアは疑問も抱くものだ。どうしてここまで執拗に追いすがってくるのかと……まぁ範囲内に誰ぞがいれば自動的に動くトラップの様な可能性もあるだろう、が。
「……まぁいい。妖精木馬も、茨に壊されたくなければ、しっかりと運ぶのだぞ。
あとでちゃんと、甘いお菓子をやるから、な。ほしい、だろう?
駄目だったら、お預け、だからな」
「むっ――見えたぞ! あと少しで、外だ――クッ!?」
ともあれ今は前へ前へと。
突き進んでいたベネディクトの前方から――邪妖精が襲い掛かってくる。
救助対象を抱えている状況では満足に体を動かせぬ。かといって仲間との合流の為に後ろに進むは論外。ならば――多少強引でも捻じ伏せるのみ!!
「行くぞ……! 勝負など、刹那もあれば十分すぎる!」
腕に抱く槍を、鋭い踏み込みと共に――投じれば。
交差する。邪悪なる意志を、打ち砕く様に。
――その一閃、正に直死。
穿ち貫き、希望の道を――作り出さん。
『――!!』
「回り込めば倒せるとでも思った? ――調子に乗ったね」
更にそこへЯ・E・Dが駆けつけ魔砲一つ。
空の敵影を振り払い――迷宮森林の外へと出れば。
「う、うう……ここは……?」
「……! 気付いたの? 眠りの力が浅かったのかしら……なにはともあれ良かったわ。
イルナス様もファレンさんも心配してる……早くネフェルストへ戻りましょ!」」
直後。暫くして商人達が気付いたようだ。
エルスが安堵する。彼らを救助できたのは比較的外に近く、茨の効果が薄かったからだろうか……? その辺りを知るためにもと、言を紡ぎて。
「……そういえば。何があったのか聞きたいわ。深緑で――何があったの?」
「わ、分からない……我々が森を訪れた時にはあの茨が……
何もかも眠りについたように……我々もいつの間にか意識を失っていて……」
「そうなんだ……ねぇねぇ。迷ったときって、なんか変なことってあった?」
「ええ。俺も気になりますね――何か変わった物を見たり、聞いたりしませんでしたか?」
「変な事……? いや……分からない。しかしどこを見ても茨で覆い尽くされていた……完璧な程にだ……まるで外から入ってくる者を拒絶する意志というか、壁の様なというか……」
エルスに次いで咲良にルーキスも気になっていた事を言の葉に乗せるものだ。
森の中の情報が何かないかと。拒絶の意志と言うのが気になるが……さて。
やはり茨の遥か彼方までどうにか進まねば分からぬ事ばかりであろうか。
「茨自体、どうやって出てきたんだろうね。
もしも少しずつ浸食してたなら、誰かが必ず気付いていた筈だし……
迷宮森林も含めて全土を一気に覆ったのかな……」
「あり得る、が。そうだとすると、凄まじい神秘が、働いている事に、なるな」
であればと。合流したアレクシアとエクスマリアが思考する。
茨。外界を通さぬ意志を抱いているかのような、かの代物は――どのタイミング出てきたのか。
誰も抗えず国が飲み込まれるなど……やはり尋常ならざる事態であり。
「茨に望みはあるのでしょうか。彼らは何を想って――其処にあるのでしょうね」
エルシアは振り返る。茨に覆われた、迷宮森林を。
……茨ははたして何があってあの地を覆うのか。
彼らが抱いているは大望か。それとも只の、誰ぞの思惑の――道具なのか。
その謎の正体はきっと、茨に包まれた深緑の奥にあるのだろう……
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
皆さんのご活躍のおかげで商人達の命も救われました……
茨の謎を知っているのは果たして誰か……
ありがとうございました。
GMコメント
●依頼達成条件
囚われし商人達の救助。
●フィールド
茨に覆われた迷宮森林です。国境線に近い、外周部が舞台となるでしょう。
周囲は大自然に囲まれており辺り一面は木々だらけです。
時刻は昼頃ですので視界に問題はないでしょう。
ただし、現在の迷宮森林に関する情報はあまりにも少ない状況です。
あまり奥の方にまでは進まない方がいいでしょう……何が起こるか分かりません。
●敵戦力
・『邪妖精』×15~
妖精郷でも出現していた魔物の一種で『邪妖精』とも称される者達です。
この地域では鳥の様な個体が出現します。彼らは空から強襲を仕掛けてくるようです。
急降下による速度を付けた切り裂きには【乱れ系列】のBSを付与し、更には時折【呪い】のBS効果を追加で生じさせる事もある模様です。
全体的な性能としてはあまり耐久などには優れておらず、堅くもありません。
反面素早い動きと連続的な攻撃を行ってくる個体が多い事でしょう。
なお、彼らは最初纏まっている訳ではなく、フィールドの各地に散っています。戦闘や人の気配を察すれば集まってくるかもしれませんが、最初から全ての数が襲い掛かってくる訳ではないです。
ちなみに彼らは迷宮森林を抜けるともう追ってこない様です。
●『茨』
迷宮森林を覆っている謎の茨です。攻撃すれば破壊可能ですが、しかし暫くすればまた茨は再生してしまいます……破壊し続けていくのはキリがないかもしれません。
実は一部の『茨』は棘を飛ばして侵入者を攻撃してきます。この地帯の茨による攻撃を受けると、小さなダメージと毒・火炎・痺れ・乱れ・窒息・足止・不吉・麻痺の系列からBSが一個ランダムに強制付与されます。お気を付けください。
●救助対象
・商人×1
・傭兵×3
ラサから深緑へと取引の為に訪れていた者達です。しかし謎の茨の被害にあって、迷宮森林の中で昏倒しています……幸いにして眠る様に倒れているだけで、すぐ命に別状がある状態ではない様です。救助してあげてください。
イレギュラーズ一人で一人運ぶことができます。
ただし運搬性能やその他、人を運ぶスキルやギフト、その他なんらかのアイテムがあれば複数人運べたりスムーズな移動が可能になるかもしれません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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