PandoraPartyProject

シナリオ詳細

おもてなしは郷に従え

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ペイトの花南
 前人未踏とされた危険領域――覇竜領域デザストル。その覇竜において、イレギュラーズは珱・琉珂が提案した『覇竜領域トライアル』に応じ、亜竜種たちと友誼を図ることに取り組んでいた。
「琉珂さんが話していたイレギュラーズというのは、あなたたちですか?」
 1人の亜竜種の女性――花南(かなん)は、イレギュラーズのことを外の世界から送り込まれた使節として認識し、そのように接する。
 花南は『亜竜集落ペイト』――地竜とあだ名された亜竜種が築いたとされる、洞穴の里の出身であることを名乗った。
「あなたたちが私たちの領域の様子を知りたいと考えているなら、私と同道してもらえないか? そのついでに、頼みたいことがあります――」
 花南は姉の青蓮(せいれん)のことを探しているらしく、半日以上待っても洞穴から帰らないという。
 ペイトの集落は地下空洞に存在し、更にその地下にもアリの巣のように複雑に入り組んだ洞穴が存在している。集落の周辺には、地中生物たちも数多く棲息している。青蓮はある獲物を追って洞穴の奥へと向かったらしいが――。
「べ、別に、私は姉様のことを心配している訳ではないのですが……
万が一ということがあっても困ります。それにあなたたち、イレギュラーズという者の実力がどれほどなのか気になるところだ……」
 外の世界の人間が領域の環境にどれほど順応できるのか――どれほどの強さを持っているのか、花南は青蓮の捜索を兼ねて、イレギュラーズの腕を見定めたいようだ。

●洞穴に向かった青蓮
 花南の求めに応じた者たちは、花南の後に従い洞穴の奥へと進んだ。
 闇の中で輝きを放つ鉱石を利用したランタンを掲げながら、花南は洞穴の中を照らしていた。
 花南は歩みを進めながら、青蓮が洞穴に入った詳しい経緯を語る。
「姉様はあなたたちをもてなしたいとのん気なことを言っていた……それで、リーコロを狩りに行くと――」
 『リーコロ』という聞き慣れない単語を発し、聞き返された花南は説明する。
「私たちは、その魔物のことをそう呼んでいる。リーコロというのは、鳴き声がそんな感じだからです。あれは1番でかい後ろ脚がうまいんだ」
 そう話す間にも、花南は脇目も振らずに洞穴を進み、迷うことなく入り組んだルートを降っていく。
 「まったく、姉様もどこで油を売っているのか」とぶつぶつぼやきながら先頭を歩いていた花南だったが、
「この先の道は、かなり急な下り坂になっているので、注意して――」
 そう言いかけた花南は何かで足を滑らせ、その急勾配の下り坂を尻もちをついたまま滑り落ちていった。
 「えええぇエェええおあああああー?!」という花南の叫び声が洞穴に響き渡る。花南はその下り坂全体に、何やら生臭い油がまかれていることに気づけなかった。
 花南を追いかけたイレギュラーズは、同様に坂を滑走したか、あるいはなんやかんやでスマートに花南の下にたどり着いたことだろう。
 花南が滑り落ちた坂の先には、今までよりもかなり広い空間が広がっていた。そこには暗闇の中にうごめく巨大な影が数多く存在していた。イレギュラーズや花南に気づいたその存在は、小刻みに鈴の音を震わせるような音を一斉に響かせる。
 ランタンの光に照らされたのは、巨大な虫――コオロギによく似た魔物の姿だった。
 花南は油まみれになりながらも立ち上がり、「リーコロだ!」と魔物のことを指して身構える。
 花南は油の臭いを嗅いで顔をしかめると、
「この油は……リーコロを誘き寄せるためのものじゃないか」
 触覚を動かし続けるリーコロたちは、油に誘き寄せられるように花南の方に体を向けた――。

GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。


●成功条件
 花南を護衛しつつ、青蓮を見つけ出す。

●シナリオ導入
 花南の案内で地下に続く洞穴を進んだあなたたちは、通称『リーコロ』という魔物の群れに遭遇する。青蓮を探す前に、リーコロの群れを撃退する必要がありそうだ……。

●洞穴内(戦闘場所)について
 暗闇が広がる洞穴ですが、花南は人数分の特殊な鉱石のランタンを用意してくれました。
 暗視やその他のスキルがない場合、中距離以上の攻撃は命中率にマイナス補正が生じます。
 花南はリーコロが好む油まみれになっている……。花南に群がろうとするリーコロは厄介だが、油は利用できそうだ。

●花南について
 自身の身はある程度守れますが、イレギュラーズのサポートなしでは苦戦を強いられるでしょう。
 剣術を駆使した近接戦で戦う。

●魔物について
 コオロギによく似た魔物、リーコロ。計30体の群れがはびこっている。
 大きさは全長5、6メートル(象並みの大きさ)だが、戦うには充分な広さがある。
 1番大きな後ろ脚がおいしいらしく、エビのような味がする。
 羽を利用して飛びついてきたり(物中単)、岩をも砕く強烈な前足フック(物至単)で、相手を弾き飛ばそうとする。所詮は虫なので、混乱した魔物同士で攻撃し合うことも考えられる。水や炎系の攻撃に弱い。

●姉妹のもてなし
 青蓮・花南姉妹はリーコロの脚をごちそうしたいらしい……。
 青蓮が見つかった暁には、友好を深めるためにももてなしを受けるのはいかが?


 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • おもてなしは郷に従え完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年03月08日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

冬越 弾正(p3p007105)
終音
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
小鈴(p3p010431)
元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘
嶺 繧花(p3p010437)
嶺上開花!

リプレイ

「ぎゃあああああ! む、虫ィィィッ!?」
 洞窟内の坂を下った先で見た光景――巨大コオロギそのもののリーコロの群れを前にして『嶺上開花!』嶺 繧花(p3p010437)は誰よりも大きな絶叫を響かせた。
 洞窟内全体に反響する繧花の声は、小刻みに羽を擦り合わせることで鈴に酷似した音を出していたリーコロたちを、一瞬で沈黙させた。
 ――リーコロって、虫だったの!? し、しかも大きいよぅ……。
 繧花は半泣きの表情になりながらも、花南を守ろうと身構える。
 同じ亜竜種である繧花の反応を見た花南は、
「なんだ、リーコロを見るのは初めてか? 私たちの間では当たり前なのですが……」
 どことなくカルチャーショックを受けているように見えた。目の前の魔物の数を見る限り、悠長に構えている場合ではない。
「まぁ、とりあえず目の前の問題を何とかしましょうか」
 そう言って、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)も花南を守ろうと、リーコロを迎え撃つ態勢を整える。
 洞窟内で魔物に遭遇するというシチュエーションに、『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)は懐かしさを覚えるところがあったが、
(「……いや、今は感傷にひたってる場合じゃないな」)
 イナリの一言もあり、目の前の危機に集中しようと、ライは気持ちを切り替える。
「アナタたち、美味しいんだってねぇ???」
 『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)は、巨大なリーコロにも動じず、食欲を露わにして討伐に臨もうとしていた。
 ――それを聞いちゃあ京ちゃんとしては、我慢できないところなのよね〜!
「大人しく調理されて、アタシの胃袋に収まりなさーい、あっはっはー!」
 京は魔力の弾丸を放ち、幾重にも岩肌を跳ね返る無数の弾丸でリーコロたちの体を貫く。
「これが、リーコロか……」
 身構える『Utraque unum』冬越 弾正(p3p007105)は、弾丸の嵐によって怯んだリーコロの群れに向かって、即座に攻撃を放つ。
「まあ、ジビエと思えばいいだろう……!」
 突き出された弾正の拳は爆炎をまとい、多くのリーコロを巻き込んで焼き払う。
 『元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘』小鈴(p3p010431)は、爆炎を巻き上げる弾正の技を利用するように、激しく燃え盛る火柱を生み出す。リーコロは驚いたようにイレギュラーズから距離を取るが、火柱は小鈴が生み出した幻影であった。
「……虫が30匹とか、多すぎる気がするのじゃが?」
 まともに戦えば無駄に消耗することを懸念し、小鈴自身も炎の力を操りながら考えを巡らせる。
 小鈴は、その身の丈ほどもあるような大きな扇の形に揺らめく炎で、リーコロを散らそうと薙ぎ払う。
「さすが、豪快っすね!」
 炎の乱舞を前にした『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)は言った。
「相手が虫なら、これはどうっすか?!」
 ライオリットは自走式の爆弾をリーコロの群れの中央に放つことで、更にリーコロを混乱させようとした。
 一部のリーコロが爆発によってバラバラになる瞬間を見た繧花は、思わず鳥肌を立てる。一方で、花南は爆発の衝撃に不安を覚えて言った。
「い、勢いがいいのは結構だが、洞穴ごと崩さないでくれ……!」
 心配する花南だったが、リーコロたちは頻りに跳ね回り、結果的に爆発の衝撃に混乱し慄いている様子だった。
 『宝石ぱくぱく』ユウェル・ベルク(p3p010361)は逃げ惑う無防備なリーコロに対し、
「青蓮を探すためにも、頑張って倒すぞー!」
 斧と槍の刃を組み合わせた長柄武器――ハルバードを振りかざし、逃げ惑う無防備なリーコロを連続で突き倒す。
 イレギュラーズの攻撃に逃げ惑い、リーコロは更に洞窟の奥へと引く流れを見せた。しかし、一部のリーコロはイレギュラーズを退け、正面突破を図ろうとするように攻撃的になる。
 象のように大きなリーコロは目の前の相手を威圧し、前脚から放たれるフックは岩肌を砕くほどの威力を見せた。しかし、イレギュラーズはリーコロの動きを見極め、果敢に攻撃を続ける。
 結界や魔力による障壁を駆使するイナリは、更に毒霧を発生させることでリーコロたちの混乱を煽る。アルコールが主成分の妖しげな毒霧によって、洞穴には酒の臭いが充満した。
 毒霧は奥に固まるリーコロの群れを中心に発生し、毒に犯されたリーコロ同士が攻撃し合う姿が続々と見受けられた。リーコロが毒の影響を受けている内に、リーコロを一掃しようとする動きは加速する。
 京や弾正は、リーコロの攻撃を引きつけるように暴れ回る。京の全身は瞬時に燃え盛る炎に包まれ、雷が走るように閃光を発する。炎の勢いそのままに、京は全力でリーコロへと突撃した。得意の空手でリーコロを蹴散らす京は、炎によって服の一部が焼失することもいとわず、接近しようとするリーコロを打ちのめしていく。
 ――如何なる命もイーゼラー様の身元へ還そう。
「我が黒き煌きの音をその身に刻むがいい!」
 弾正の鞭剣――刃をつなぎ合わせた剣は、鞭のように変形し、勢いよく振り回される音が洞穴内に響く。弾正は、その音のエネルギーを武器として変換させる特殊な術を発揮する。音の波動は無数のクナイと化し、多くのリーコロに向けて突き立てられた。
 リーコロの勢いを削ごうとするイレギュラーズに対し、リーコロはイレギュラーズに飛びかかろうと周囲を跳ね回る。
 飛び跳ねながら迫るリーコロに向けて、ライも繰り返し応戦する。杖を振るライは炎の力を操り、リーコロに向けて激しく炎を放射していく。
 リーコロ同士で、あるいは岩壁に激突するなど、混乱している様子は見られるものの、イレギュラーズは多くのリーコロの攻撃に晒される。
 ライは傷を負った者に向けて、透かさず杖を振る。ライの治癒魔法によって活力をみなぎらせ、イレギュラーズは花南からリーコロを遠ざけるための陣形を維持し続けた。
「やきつくせー!」
 ユウェルは自らの闘気を炎へと変換させ、業火をまとう拳で攻めかかるリーコロを突き飛ばしていく。
 ライオリットはその巨躯から放たれる強烈な一太刀で、確実にリーコロにとどめを刺していく。不意に飛び跳ねるリーコロの動きにも、ライオリットは機敏に反応し続けた。
「危ない!」
 リーコロの姿に強く拒絶反応を示したものの、繧花は相手の隙を補うように援護を担う。
 繧花は瞬時に自らの気力を集中させ、光の奔流を放つことで宙に躍り出たリーコロを仕留めた。
「なかなか……切りがないっスね」
 ライオリットは、半数近くまで減らされたリーコロの群れを眺めてつぶやく。
 正攻法で消耗し続けるのは得策ではないと感じていた小鈴は、花南にあることを申し出る。
「花南殿、ちょっと――脱いでみる気はないかのう?」
 花南は『上着を』の部分を完全に聞き逃し、あらぬ方向に勘違いした様子で「は、はぁあ?!」と驚愕する様子を見せた。小鈴は即座に誤解を解くことで、互いに冷静さを取り戻す。
「な、なるほど。うまくいけば、リーコロを誘導できるかもしれませんね」
「そうじゃ。全身についた油を全部上着でぬぐって――」
 花南は小鈴の言う通りにして、油が染み込んだ上着を手渡す。
 小鈴は花南の上着をリーコロの群れに向けて全力で放り投げた。
 ――上着を巡って、虫共の中で争いでも起きるとよいんじゃが。
 小鈴が予想していた通り、リーコロはそばに投げ出された上着に反応を示した。
 リーコロたちは花南の上着に群がり、その内の1体がアゴを使って上着を運び出そうとしていた。上着を運ぶリーコロに追随するように、他のリーコロもイレギュラーズを無視して洞穴の奥へと移動していく。
 暗闇の中でもよく目が利くイナリやライは、一斉に移動したリーコロたちが巣穴のような場所に潜っていくのを確認できた。
 ひとまずリーコロの脅威が去ったことで心底安堵した繧花は、大きなため息をもらした。
 ――あんな虫とこれ以上至近距離で戦うなんて、ごめんだよ!!
 そう心中でぼやいていた繧花は、転がっているリーコロの死骸をつい視界に入れたことで、鳥肌を立てずにはいられなかった。
「油って、青蓮さんが撒いたものなんスかね?」
 ライオリットは青蓮の痕跡の1つであることを予想し、花南にそれを確かめるように尋ねた。花南も「多分、そうだろうな」とその予想を肯定した。
 小鈴は周囲を見渡しながら言った。
「この近くに隠れておるんじゃないかの……?」
 五感を研ぎ澄ます小鈴は、匂いや音に集中する。
「……あれ?」
 同様に聴覚を集中させていた繧花は、あることに気づいてその方向を見つめた。
「これって……もしかして、イビキかな?」
 そう言って、繧花は小鈴と顔を見合わせる。小鈴もその妙な音の存在を感じ取っていた。
「音はどこから聞こえるんだ?」
 そう尋ねたライは、鋭敏な聴覚を持ち合わせる2人の指示を請い、ある場所に目星をつけた。
 数メートル離れた場所――洞穴の天井付近に、人ひとりが入れそうな窪みを見つけたライは、自在に浮遊する能力を駆使してその場所まで向かった。その窪みの中には、寝息を立てる1人の人物が横たわっていた。
 ライの後について窪みの中を覗き込んだ花南は、その人物を見つけて声をあげた。
「姉様?!」
 窪みの中で寝ていた亜竜種の女性――青蓮は、寝惚けながらも即座に花南の声に反応した。
「んエ?! か、花南か……?」
 花南と同じく、長髪をポニーテールにして束ねた青蓮は、髪型だけでなく顔立ちもよく似ていた。
 花南と一緒に窪みを覗き込んでいたライを見て、青蓮は言った。
「え……なんだ? そのちっこいの? 新しいペットか?」
 寝ていた青蓮を見つけた花南は呆れた表情を見せていたが、青蓮の発言を聞いて顔色を変える。
「失礼なことを言わないでください!! とにかく、はやく下に降りてきてください!」

 花南と行動を共にしていたイレギュラーズと対面した青蓮は、これまでの経緯を一通り説明された。
「わざわざ探しに来てくれるとは……君たちには、迷惑かけたなぁ」
 薄笑いを浮かべる青蓮に対し、花南は苛立った様子で問い詰める。
「どうしてあんなところで寝ていたのですか?」
 保護者に叱られる子どものごとく萎縮する青蓮は、我慢できずにリーコロの脚をドカ食いしたこと、満腹感と狩りの疲労も重なり、丁度いい寝床を見つけて寝過ぎしてしまったことをもじもじと語り出した。
 「どんだけ食べたんですか?!」と激しく小言を言い募る花南を見兼ねたイナリは、仲裁に入る。
「まあまあ……無事に見つかってよかったじゃない。花南がお姉さんを心配していたのもわかるけど」
 花南はどこか顔を赤くして、「わ、私は別に……そこまで心配していた訳ではない!」と何やら必死に否定する様子を見せた。そうしている間に、青蓮は別の話題に意識を向ける。
「ところで、すごいな! リーコロをこんなに狩ったのか」
洞穴内に転がるリーコロの死骸を見て、花南の説教から開放された青蓮は早速駆け寄る。
「お! これなんか、いい感じに炙られているじゃないか」
 炎の攻撃によって焼目のついたリーコロを見つけた青蓮は、その後ろ脚をもぎ取って豪快に食べ始めた。
「うま〜〜〜〜い♪」
 その味に感嘆する青蓮は夢中で食べ進めていたが、
「姉様! 少しは恩人をもてなすことも考えてください!」
 花南の一言にはっとした青蓮は、イレギュラーズにもよく焼けているリーコロの脚を勧めた。
「どうだ? 君たちも味見してみないか?」
 リーコロの脚を勧められた8人は、それぞれ異なる反応を示した。
 例え虫であっても、京に好き嫌いはないらしく、
「ここまでデカいと、虫ってより甲殻類に見えてきたわ! どんな味か楽しみね!」
 実に肯定的な反応だった。ライも京と同様の反応を示す。
「まぁ、美味しいって言うのなら本当にそうなんだろうし、頂こうか」
 イナリはリーコロの味に興味を覚えつつも、正直な感想を述べる。
「これだけデカい虫だと、見た目では食欲はあまり沸かないわね……まぁ、昆虫食に対しての経験や慣れが無いから、そんな風に感じているのだろうけど……」
 青蓮は折り砕いたリーコロの脚の一部をイレギュラーズに分け与える。それを誰よりも引きつった表情で受け取る繧花を、弾正は一瞥した。
 ――味は美味いのだろう? それくらいの救いはあるよな?
 弾正がリーコロの脚を真顔で見つめる間にも、バリバリサクサクと脚を噛み砕く音が聞こえてくる。
「おぉー! んまい!」
 ユウェルはすでに、エビのしっぽによく似た歯応えと味に夢中になっていた。
「んん?! なんかエビっぽいわね、これ。ソースが欲しくなる味だわ」
 すでに完食している京の一言を聞いて、躊躇っていた者も次々と口に運んでいく。
「まあ……悪くない味じゃな」
 そうつぶやく小鈴の横で、食欲旺盛なライオリットは、夢中でリーコロの脚を食べ進めていた。
「意外といけるっスよ、この脚!」
 リーコロの脚がおおむね好評だったことで、青蓮は満足そうな表情を浮かべていた。
 青蓮は更にリーコロの後ろ脚を削ぎ取ろうとナイフを取り出し、里に戻った後のことを楽しそうに語る。
「これだけの量があれば充分だ、戻ったら宴を開こうじゃないか」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。

PAGETOPPAGEBOTTOM