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シナリオ詳細

交易の準備を始めよう

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 かつては人類未踏の地とも言われていた『覇竜領域デザストル』。
 しかし、ローレットイレギュラーズがこの地……覇竜に至ったことで、その道程をたどる形で向かう者が少しずつ現れ始めていた。
 イレギュラーズ達はもちろんだが、混沌を旅する冒険者や傭兵、そして、交易を行うパサジール・ルメスの民は覇竜へと交易を拡大させる機会を窺っていたようだ。
「亜竜種さん達との交易……きっと実になると思うっすよ!」
 『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)は新たな交易路の開拓に意欲を見せる。

 覇竜は険しい山岳地帯にあり、竜の血を引くという亜竜種が住まう場所。さらに上位の竜も存在するという。
 加えて厳しい環境に適応した魔物もかなりの強さであり、下手に踏み込むだけでそれらの餌になりかねない。
 それもあって、パサジール・ルメスの面々にとっても、ほぼほぼ不可侵と言える場所であった。
「でも、センパイ達はあの絶望の青……もとい、静寂の青を越えた人達っす」
 R.O.Oの事件は多大な被害を主に練達でもたらしたが、おかげで竜骨の道より「亜竜集落フリアノン」への道を拓くことができた。
 今後、パサジール・ルメスの民も、亜竜種と交流を重ねて交易を行いたいとのこと。
 とはいえ、現状、覇竜の地に至ることができるのはローレット所属のイレギュラーズのみ。パサジール・ルメスは依然として近寄れぬ状況が続いており、何もできないのが現状だ。
「正直言うと、本当に覇竜での活動を行っているのか疑問を抱いている同胞もいるっすよ」
 そこで、まず、本当に覇竜に至ったのか証明する品が欲しいとのこと。
 討伐した魔物の部位があったり、亜竜種を連れてこれれば証明となるだろう。
「あと、荷物を積み下ろしできる場所が欲しいっすね」
 交易品を売り込むにも、荷の整理したいとリヴィエールは言う。
 当面、それらを含めて交易品の売り込みすらイレギュラーズにお願いすることとなる。その下準備をしたいそうだ。
 おいおい、その場所などは考えるとして、依頼とあればローレット所属員としては断るわけにはいかない。
「それじゃ、今回はよろしくお願いするっす!」
 彼女は笑顔でイレギュラーズへと握手を求め、出立の準備を整えに向かっていったのだった。


 覇竜へと至ったメンバー達。
 交易品を運ぶに当たり、フリアノン内だと亜竜種達の邪魔となることもある為、近辺で荷の積み下ろし場所を作りたいところ。
 フリアノンの近場で開けた平たい岩場を発見したイレギュラーズ達。ここなら、多少大きな荷物を持ち込んでも亜竜種達の邪魔にはならないだろう。
 この場所に荷物を積み下ろし、保管できる建物を作りたいのだが、この地では一時たりとも油断はできない。
 まず、岩場中央にはこれ見よがしに中央に大きな岩が。
 ……いや、岩と思いきや、内部からは怪しげな2つの視線がこちらを見つめている。
 それだけではない。脇に岩の陰からは複数の鋏を持つ巨大なザリガニ。さらに、空からは猛禽の魔物がじっと獲物を見定めて空を飛び回っている。
 丁度、魔物の部位を持ち帰る必要もある為、これらの魔物を討伐して部位を持ち帰れば、リヴィエールの要望にも応えられそうだ。
 まずは積み下ろし場を作る為、イレギュラーズは邪魔な魔物の掃討に当たることにしたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 覇竜に至ったと聞きつけたリヴィエールの要望に応えてあげてくださいませ。

●成功条件
 交易品積み下ろし場建築に邪魔な魔物討伐、及びその部位を持ち帰ってリヴィエールに覇竜行きを証明すること。

●概要
 パサジール・ルメスの一員であるリヴィエール・ルメスより、覇竜との交易路を開拓したいと要望があっています。
 まずは、交易品積み下ろし場を造るのに邪魔な魔物を討伐しつつ、その部位を持ち帰ってリヴィエールに覇竜で活動中であることを証明してあげてくださいませ。
 
●敵……魔物
 まず、岩を甲羅のように纏うロックタートル1体の排除に当たります。
 その1,2ターン後にロックタートルやイレギュラーズを喰らおうとツインシザーズ2体。さらに1,2ターン後、死肉を啄もうと狂暴なハゲタカが襲ってきます。

○ロックタートル(岩亀)×1体
 全長5mほどもあり、巨大な岩を甲羅としており、岩に擬態しており、近づく生物、鳥などを捕食するようです。
 噛みつき、地鳴らしと近距離特化に見えますが、戦いとなれば岩飛ばし、猛タックルと距離を活かす戦法も取ってきます。

○ツインシザーズ(二鋏)×2体
 全長2.5mほど。2組4つの鋏を持ち、陸に生息するザリガニです。対象がやや暗色になり、保護色として岩場に潜み、獲物を狙います。
 4本の鋏(全て斬撃、2本で拘束して2本で斬撃)、尻尾(振り回し、振り払い)とそれぞれの部位で2パターンの攻撃を行います。

○V・ヴァルチャー(禿鷹)×3体
 Vはヴァイオレンスの略。全長2mほど。死肉を喰らう覇竜に生息するハゲタカで、この場の敗者の肉を狙っているようです。
 急降下からの強襲、旋回特攻、鋭いクチバシによる連続ついばみと、素早い動きで獲物は全て自分達の物だと襲い掛かってきます。

●NPC
〇リヴィエール・ルメス
 今回の依頼人。
 ローレットが覇竜に至り、亜竜種と交流を持つようになったのを聞きつけ、新たな交易路を確保したいと考えているようです。
 覇竜が危険地帯とあって、まずはイレギュラーズが覇竜へと至った証明品が欲しいと主張しています。
 彼女は別の仕事も兼ね、ラサ南部の集落に待機しているそうなので、そこまで証明品を届けるとよいでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 交易の準備を始めよう完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
恋屍・愛無(p3p007296)
愛を知らぬ者
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
小鈴(p3p010431)
元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘

リプレイ


 覇竜領域デザストル。
 「亜竜集落フリアノン」から出たイレギュラーズは、集落民の邪魔にならない場所を捜索する。
「交易拠点は重要です。物品が、そして情報が集積・流通される起点となりますからね」
 『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)が、今回の依頼の意義について語る。
「覇竜との交易……ある意味豊穣よりも遠い場所故、大きな利益になりそうであるなぁ」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)もリヴィエールの展望に大きな価値を見出していた。
「悪くない話だ。覇竜との公益が盛んになれば、ローレットにも仕事が回ってくる」
 『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)が指摘するよう、現状覇竜絡みの仕事はローレットの独占状態。
「それならいっそ、ここで俺達の力を示す事で地盤をより一層固めてしまおう」
「此度の仕事はしっかりと取り掛からないとね。ヒヒヒヒヒ!」
 ジェイクに続き、『闇之雲』武器商人(p3p001107)はイレギュラーズ以外でも使える交易路の開拓は、自身のギルドであるサヨナキドリとしても積極的に行いたい事業と主張する。
「覇竜との交易か。ラサの交易が栄えるの、僕にとっても悪くない」
 今回の一件に、『獏馬の夜妖憑き』恋屍・愛無(p3p007296)も協力は惜しまない構えだ。
「まぁ、吾は商売人ではいし、流通に乗るのを楽しみにさせてもらおうか!」
 百合子は商売熱心な仲間に感心しつつ、気楽な態度で依頼に臨んでいた。
 一方、その覇竜に住む亜竜種もまたイレギュラーズとして覚醒し、今回の任務に当たっていて。
「私が力を振るうに異論はないが……」
 フリアノンの民である『ベンデグースの赤龍』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)は新たなローレットの一員として、ラサからの交易ルートの確率は歓迎すべきだと考えている……が。
「……如何せん、わが身の不足が悔やまれるばかり」
 まだ至らぬ自らの力量を嘆くレーカだ。
「マジか……」
 もう1人の亜竜種、『元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘』もこの場にいる状況に戸惑いを隠せないでいた。
 倍率の高い仕事で落ちれば、「残念じゃのー。じゃが、抽選に落ちてしまっては仕方が無いのじゃ。妾、めっちゃ仕事する気だったのにのー」などと言って引きこもり続けるつもりだったのだ。
「働くのを先延ばしにする計画が台無しなのじゃ……」
 頭を抱えてぶつぶつ呟く小鈴はさておき。
「何にせよ竜や亜竜に限らず、この地の生物は危険だ。油断せずにいこう」
 とりわけ、外部から来たローレットメンバーは気を引き締め、住民から聞いた荷物の積み下ろし場候補地となる岩場へと向かうのである。

 目的の岩場は確かに開けており、足場もかなり平たく安定している。
 積み下ろし場を造る場所としては申し分なさそうではあるが……。
「ふむ、あれはリヴィエール殿への手土産に相応しかろうか?」
 岩場の中央、これ見よがしにある大きな岩の下部から視線を感じ、百合子が身構える。
「まぁ、やることはシンプルでわかりやすいな」
 『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)は周囲から殺気を感じ、離れた場所で保護色を纏うザリガニを発見する。
 また、ジェイクも頭上に飛来するハゲタカが気になっていたようだ。
 岩への擬態。保護色を纏うザリガニ、空飛ぶ竜……それらを武器商人は見回して。
「狙われないようにするための知恵かねぇ?」
 であれば、搬送中は擬態する生物に注意、またはそれらの生物を真似て運搬車両に偽装が必要……武器商人は後のレポート作成を見越してメモを取っていく。
「邪魔者を排除して場所確保、ついでに倒したモンスターを一部でも持って帰れば一石二鳥ってわけか」
 リヴィエールが場所だけでなく、覇竜に生息する魔物の部位を求めていたことをエイヴァンは思い出す。
 戦闘準備を整える仲間達の後ろ、小鈴はぶつぶつと独り言を続けていて。
「ガチで人生初仕事なのじゃ……」
 家の荷物を届けて小遣いをせびって帰るのとはわけが違う。
 幸い、メンバーは年齢を重ねたメンバーも多いが、同じ亜竜種のレーカはまだ10代。自身の年齢が気になる小鈴である。
「むっ、あの岩……普通の岩では無いのじゃ」
 そんな彼女もさすがは亜竜種。仲間達の話を聞かずとも、エネミーサーチを働かせて敵対勢力の存在を感じ取っていたようだ。
「では、地均しを始めましょう」
 メンバー達は早速邪魔な岩の排除にかかる。合図を出した寛治がその岩を注視したまま、自身の近くに陣取る百合子に戦い最適化の為の支援から始めるのである。
 

 岩に擬態し、目を輝かせる岩亀……ロックタートルが動き出す前に、メンバー達が仕掛ける。
「どんなに亀が硬かろうとも、これは無視できない筈だ」
 距離をとったまま、ジェイクが大型拳銃で一弾一殺とも言われる狙撃で大亀を狙い撃つ。
 ブオオオオオォォ!!
 さすがに覇竜の巨獣を一撃とはいかぬが、相手も黙っておれずに4つの脚で岩のような甲羅を持ち上げ、その姿を現す。
 続き、接近したエイヴァンが堅牢な氷拳を叩き込み、愛無も先手を打って拳を振り上げる。
「我が一撃は雷光の如く」
 粘膜で爪を生成して迅速の殴打を浴びせかけた愛無はさらに、追撃を叩き込んで岩亀の早期撃破を目指す。
「ここは素人らしく大人しく……大人しく? いや、大人しくなんてするわけがなーかろーなのじゃ!!」
 大人しくなどしていたら、仕事してなかったと報酬替わりにたった1枚のコインを投げつけられ、それを拾ってトボトボ帰る羽目に……。
 ニートだからこそ仕事の厳しさは知っていると仕事に対する物凄い偏見を持つ小鈴。
 大きく首を振りつつ飛行した彼女は岩の甲羅の上に降り立ち、霊力を伴った言の葉に魔力を籠めてひたすら殴りつけていく。
 ブオオオオ!!
 反撃にと岩亀が地ならしをし、振動に身体を揺すぶられる小鈴を武器商人が庇いに当たっていた。
 その一撃は相当の威力。まずは、仲間が気を引きやすくすべく、レーカは全身の力を雷撃へと変えて大剣を叩き込む。
 仲間達が敵と攻撃する間に、百合子は寛治からの支援強化を受けて岩亀へと殴りかかっていく。
 飛び込む暇に、百合子自身も自己強化であらゆる全てを色に変換して知覚して。
「ユリユリユリユリユリユリ!!」
 激しく拳の連打を浴びせかけていく百合子。
 勢いはイレギュラーズ側にあるように見えたが……。
 シャキンシャキィン!!
 4つの鋏を持つザリガニ、二鋏……ツインシザーズが2体、岩場から素早く歩みを進めてくる。
「それで隠れてたつもりか?」
 しかし、愛無は臭いでその接近をすぐに察し、視線を向けた。
「焦ることはないでしょう」
 新手は自分達を捕食したいのだろうが、寛治は冷静に岩亀の甲羅の隙間や、首、四肢の付け根など柔らかそうな部位へと自動拳銃の弾丸を撃ち込んでいく。
 さて、新手の二鋏は名前にある鋏だけが攻撃手段ではない。
 尻尾もまた凶器となってメンバーを攻め立てるが、ジェイクが銃弾をかすらせて敵を煽る。
 近づいてくる二鋏らの鋏や尻尾を引きつけるジェイクを、武器商人がカバーに当たっていた。
 アアァァァ! アアアァァァ!!
 その戦場は空を舞う禿鷹……3体のV・ヴァルチャーらにとって、格好の狩場に見えたことだろう。
 どちらが勝っても獲物が得られる。状況を見て襲い掛かってくるはずだ。
「明らかにタイミングをはかっているな」
「むぅ……」
 頭上の猛禽類の不意打ちを気に掛けるエイヴァン。小鈴も岩亀を仕留めるまではと攻撃を集中させる。
 現状、岩亀や二鋏を引きつけるジェイクが敵を纏めて捉え、戦場に敵だけを打ち付ける銃弾の雨を降らせる。
 相手は硬い甲羅や殻によって高い防御力を持つが、レーカの雷撃による一撃の影響も小さくなく、ジェイクの攻撃によって態勢を崩す魔物達にはかなり有効打となっていた。
 ブオオオオオオ!!
 その時、岩亀がジェイク目掛けて猛タックルしたことで、武器商人が庇いに回る。
 防御に注力していた武器商人だ。今しばらく、敵の猛攻に耐えられるだろう。
 だが、そこで不意に二鋏の1体が近場にいたレーカに鋏を振り下ろす。
 それに気づいたエイヴァンが怒りを買おうとするが、二鋏の動きは非常に素早く、尻尾での追撃を繰り出す。
 ブロックして、その猛攻を抑えようとしていたレーカ。
 思わぬ攻撃で体力を減らした彼女は一旦下がって体力回復をと考えていたが、次なる尻尾の一撃から逃れられず、そのまま地に伏してしまう。
「こっちだ」
 仲間が倒れたことに口を歪めるエイヴァンだが、二鋏を野放しにせぬ為に相手を煽り、強く気を引いていた。
 ただ、イレギュラーズの攻勢自体は決して衰えてはいない。
「オラオラオラオラオラ!」
 その場で踏ん張る百合子は殺人剣、邪剣の極意を刹那その身に秘めて。
「吾が白百合清楚殺戮拳、その程度の装甲で守り切れると思うなよ!」
 激しい連打の後で振りかぶった拳は硬い甲羅をも叩き割り、その身にめり込む。
 ブオオオオオオオオオ!!
 目から光を失った岩亀が断末魔の叫びを挙げてその場へとへたり込み、動かなくなる。
 それを見計らい、降下してくる禿鷹達。
 ジェイクが銃弾で牽制するが、それに耐えた禿鷹は岩亀の甲羅から降りるのが遅れた小鈴を、邪魔者と認識して強襲する。
 それによって崩れ落ちてしまう小鈴。甲羅から逃れて禿鷹達から逃れたものの、パンドラを使う羽目になってしまったようだ。
 アアアアァァァ!!
 なおも迫る禿鷹群を武器商人が抑える間、メンバーは途中から迫ってきた二鋏の排除へ。
 変わらず2種、数は増えて5体の敵が存在する戦場とあり、愛無が二鋏2体を纏めて乱撃を浴びせ、立て直した小鈴が魔砲を撃ち込む。
 しかしながら、相手は覇竜で生き抜く魔物達だ。
 二鋏や禿鷹を抑えるメンバーを庇っていた武器商人はその猛攻に耐えられず、膝をつきかけて運命の力に頼っていたのだった。


 禿鷹の乱入直後は少し苦しめられたイレギュラーズだったが、その後は立て直し、徐々にその数を減らす。
 戦場においても、スタイリッシュに立ち回る寛治。
 仲間の攻撃で足のもつれた二鋏に対し、彼が死神の狙撃を放つと、弾丸が脚の付け根から体内を貫通。鋏をバタバタと地面に叩きつけていた二鋏は程なく動かなくなった。
 殻の硬さは岩亀以上。
 愛無が火焔と変えた闘気を纏って猛撃を撃ち込み、至近へと迫った武器商人が蒼き煮え炎を纏い、たおやかな腕でその硬い殻を引き裂く。
 まさに意趣返しとも言える武器商人の攻撃によって、二鋏も力なく岩場へと倒れこんでしまった。

 残るは、空から襲い来る禿鷹のみ。
 岩亀を背にして魔砲で応戦を続ける小鈴だが、それがまた獲物を横取りしているように見えたらしく、そちらへと旋回してからの特攻、さらに至近距離からのクチバシによるツッツキと攻撃は激しい。
「確実に順番に倒していくとも」
 すでに2種の魔物が倒れている。百合子はこのまま倒す意気込みでこれまで同様激しい連打を禿鷹へと叩き込んでいく。
 百合子とて疲弊はしている。力を奪う技「蛇守徒」も織り交ぜ、死肉を狙う猛禽を撃墜させんとする。
 空を飛ぶ相手であれば、狙撃を得意とする寛治やジェイクの技が冴える。
 寛治は倒した2体と比べれば防御は薄い相手と判断し、念入りに自身に強化を施してから二鋏を倒した死神の狙撃で翼を撃ち抜く。
 それでも飛び上がろうとするそいつを愛無は特殊なフェロモンを発し、足止めした禿鷹の機動力だけでなく、体力までも確実に削ぎ落としてしまっていた。
 残る2体もジェイクが弾丸を掠らせて強く気を引き続ける。
「俺が『挑発』を積んできた理由が、禿鷹にあると言っても過言ではないからな」
 絶対にこいつらを逃さないと、ジェイクがさらに弾丸をばら撒く。
 当然、ジェイクへと禿鷹の素早い攻撃が集まるが、武器商人に代わってエイヴァンが立ち塞がり、攻撃を通さない。
「禿鷹にモンスターを食われたり持っていかれちゃ、たまったもんじゃないからな」
 倒れたままの仲間もそうだが、魔物とて素材として残す必要があるこの戦い。
 エイヴァンも少しずつ傷が深まってきてはいた。
 それでも、エイヴァンは内気と外気双方を使って傷を塞ぎ、最後まで禿鷹を抑えつけようとする。
 アアアアァァ、アアアアアァァ!!
 覇竜の生物が強いことは禿鷹も熟知している。
 明らかな外部者の多いこの一団は簡単に倒せると鷹をくくったのがこいつらの落ち度であっただろう。
 ジェイクが打ち付ける幾度目かの鋼の驟雨に耐えられなかった禿鷹1体がうめき声を漏らして地に落ちれば、もう1体が危険を察して翼を羽ばたかせて飛翔しようとする。
 武器商人が腕を叩きつけ、寛治が放った銃弾で翼を穿つが、それでもなお敵は高度を上げる。
 ただ、最後に小鈴が放った魔砲が胴体へと命中し、最後の禿鷹もまた岩場へと落ちていく。
 全ての魔物が倒れ、傷を負った小鈴は大きく息を吐いて。
「仕事大変なのじゃ……布団が恋しいのじゃ……」
 この後、さらに魔物の部位を切り離せば、さらに武器に血が付着することも考え、小鈴は一層気を重くしてしまうのだった。


 魔物を討伐し終えて。
「倒したモンスターをバラして戦利品として持って帰ろうぞ!」
 百合子が意気揚々と腕を振り上げる。
 覇竜という地では、強者が弱者を駆逐する。
 食料となるのはもちろん。残された体までも強者の糧となるのだ。
「亀なら甲羅、蟹なら鋏がよかろうか?」
「そうだな……」
 百合子の問いに、武器商人が選定眼で商品価値のありそうな部位を見定める。
「それにしても、他の魔物が食料として狙って来たという事は毒とか持ってないのであろうな」
「その毒すら商業的価値はあるが、今回の魔物はなさそうだな」
 百合子の懸念に、同じく持ち前の知識で回収部位の選別を行う愛無は覇竜の魔物とわかるような部位を切り出す。
 さらに、愛無は死体に防腐措置を施していて。
「頭の固い馬鹿は何処にでもいるからな。状態で難癖付けられても面倒だ」
 中継ぎも買い手も、自分に有利な取引としようと働きかけてくることを、愛無は考えていたのだろう。
「こういった『商品』も得られる事が分かれば、交易も盛んになるだろう」
 選んだ部位は、ジェイクがゴリアテに積み、持ち帰ることに。
「極力この場所に死骸は残さない方が良いんじゃないか?」
 交易の為の積み下ろし場を造りたいというこの場の確保を考えれば、エイヴァンが言うように禿鷹などが居つくのは避けたい。
「持って帰れないにしても、どこか別の場所に移しておいた方がいい。どうせ建物を建てるにも邪魔になるだろうしな」
「……一杯戦ってお腹空いたのである。これをおやつにすることは出来まいか?」
 エイヴァンの提案の直後、百合子がお腹を鳴らすと、フリアノンの亜竜種達が得た魔物の肉を使って簡単な料理を作ってくれるとのこと。肉はそのまま、フリアノンの亜竜種達へと卸すことになりそうだ。
 また、作業と並行し、現場についての調査を進める面々も。
「道を整えるのに必要だろうしな」
 武器商人は長居せぬよう手早く道中にある土の質や木の種類、山の起伏などを調べる。
 それらもまた、武器商人はレポートにすべく纏めていたようだ。

 状況を整え、メンバーはフリアノンへと戻る。
 フリアノンを通過する際、アイムは陣地周辺の生物の生態、弱点について部位と合わせて渡し、巡回ルート、忌避する物などを聞き出す。
「情報は武器だからな」
 ラサでは名も知られる愛無は、商人達にも伝手がある。亜竜種達もこの交易には関心を示す。
 加えて、寛治は携帯品でスキル強化した交渉術を活かし、亜竜種達の需要について聞き出す。
 パサジール・ルメスの扱う物品は飲食、日用品と幅広いが、付加価値が高く嵩張らない物品(宝飾品や反物、貴金属等)について重点的に情報収集する。なかなか覇竜では得られぬ物品には、亜竜種達も興味を持ち、是非見てみたいと主張してくれていた。
 一通り、亜竜種と交流したメンバーは覇竜の外へと向かい、ラサ南部集落に滞在するリヴィエールと合流する。
「ふむふむ、話に聞いていた特徴と合致するっす」
 甲羅に鋏にクチバシ、爪。いずれも加工する為の素材として十分と彼女は頷く。
 そのリヴィエールへ、武器商人は先程纏めたレポートの写本の販売を持ちかける。
「是非買わせてもらうっす!」
(今はまだ人類が使える販路を作る事からスタートだからね)
 パサジール・ルメスの民も覇竜の情報に興味を示したことで、武器商人は情報を共有して交易路の開拓に生かすことに。
「交易の成功、祈っております」
 まだまだ、着手したばかりの事業だが、寛治はそれが成功することをリヴィエール達へと願うのである。

成否

成功

MVP

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼

状態異常

シャールカーニ・レーカ(p3p010392)[重傷]
緋夜の魔竜

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは敵をの狙撃、抑えつけ、逃走防止と広く活躍した貴方へ。
 交易方面に注力する方々もいらっしゃり、今後、この活動がどうなるのか楽しみです。
 ご参加、ありがとうございました!

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