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シナリオ詳細

スーパーチキンタイム

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「ククク、俺様はガ族の長ガ・グンベ。我等バジリスクの巣へと入り込む愚かな亜竜種どもよ、死をもって学ぶが良――」
「チキンゲットだオラアアア!」
 黒リザードマンのラリアットが炸裂した。
「グエエ!?」
 唐突なラリアットによって激しく反転したガなんとかさんはそのまま空中で三回転くらいしてから頭より落下。
 リザードマンはフンと鼻息を鳴らすと跳躍し、両手を胸で交差し両足を揃え縦にも横にも回転すると、そのままフライングクロスチョップをたたき込んだ。
「丸焼き確定だオラァ!」
「グエエエエエエ!?」
 ごきっとコミカルな音(首の折れる音)を鳴らして絶命したガなんとかさんに、残りのガ族の皆さんが震え上がった。
 リザードマンは額に手を当て、キュッとありもしない前髪をかき上げるような爽やかなモーションをして汗を散らした。
 むき出しの胸板は屈強で、腕は丸太のように太い。プロレスラーのような体格をした彼の名は、亜竜集落ウェスタでそこそこに知れていた。
「オレの名はブハサ。テメェらを今夜食う男の名だ!」
 カッと目を見開く彼から、ガ族の皆さんがが一斉に回れ右して走り出す。
 この森はかなりの広さ。四方八方に逃げられてはすぐに追いかけられるものではない。
「あっ、待て! ちょ――!」
 右見て左見て、ブハサは頭を抱えた。
「しまった、最初のヤツをヤりすぎた……!」

 という話から、数時間後。
「オレはブハサ。美味いメシを求め走る戦士」
 とかいいながらブハサさんはあのたき火の上でくるくる回して上手に焼く機械(ロティサリーっていうらしいよ)でゆーっくりと鳥肉を回していた。
 ぱちぱちとあがる火とほのかな炭の香り。
 たっぷりと油ののった鳥の丸焼きは回すたびに少しずつ油をおとし、ジュッという音とチキンのかぐわしさをあげた。
 皆も想像してる通り、ガ族の長ガなんとかさんの只今の姿である。
 ここはウェスタの持ち込み型ワイルドクッキングレストラン『俺御前丸齧』のクッキングフロアである。
「今日はチキン料理を山ほど喰らうつもりだったんだがなァ……しくったぜ。今じゃ鳥の丸焼きしか食えねえ」
 もも肉をむしっとちぎり取り、囓るブハサ。
 彼の話に寄れば、先日バジリスクの巣を見つけ早速食ってみようと乗り込んだものの、うっかり最初の一人(というか長)を皆の前でボッコボコにしてしまったせいでくものこを散らすように逃げられてしまい、収穫量がとっても少なくなってしまったのだそうだ。
「リベンジを果たしてえが、ああなっちまうと連中は警戒するだろう。人手がねえと多くを仕留められねえし、オレにゃあ探索系のスキルがねえ」
 肉体のパワーやワイルドな料理技術なら自慢だが、森に潜んで逃げ回るニワトリモンスターを見つけ出して倒すのは苦手なのだそうだ。
「オレは滅茶苦茶うめえメシを食いてえ。オマエは金が稼げてメシも食える。ウィンウィンってやつだな!」
 若干ローレット側が美味しすぎてウィンウィンではないが、ブハサは大声でがははと笑ったのでよしとしたい。
「バジリスクを狩って、そのあとまたここでメシにしようぜ!
 当日は腹ぁ空かせて来いよ!」

GMコメント

●オーダー
 ニワトリ型モンスターバジリスクを狩る依頼が舞い込みました。
 あなたはワイルドクッキングレストラン『俺御前丸齧』に集まり、その相談を始めています。
 周りで焼き肉なりシチューなり始めてるなかで、おなかを空かせながら得物を狩る相談をするのです。

●フィールド
 ウェスタ付近にある森の一画、バジリスクである『ガ族の巣』を襲撃してバジリスクをめっちゃ沢山とります。
 バジリスクとは呼んでいますが大部分が地鶏で尻尾だけ蛇でできています。
 蛇からはバジリスクビームを放ちバジリスクキックやバジリスクタックルを行いますが戦闘能力はふつうです。
 ちょっと余談ですがここはピシュニオンとは別の、しぬほど危険じゃないほうの森です。

 ゲットしたチキンはその晩皆で料理しましょう。
 どんな料理を作るか、持ち込み素材を使ってみるかなど好きにアレンジしてみてください。
 なんとなくですが、幅広く色々作るより一品入魂でプレイングを書くほうが美味しくお召し上がりいただける気がします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • スーパーチキンタイム完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月04日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
囲 飛呂(p3p010030)
点睛穿貫
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー

リプレイ

●ワイルドクッキングレストラン『俺御前丸齧』
 レストランと呼ぶにはあまりに広いスペースである。ウェスタの高い高い空の下、シートによって個別に仕切られたエリアに『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)たちは集まっていた。
 ワイルドクッキングレストラン『俺御前丸齧』の個室席……と呼ばれてはいるが思いっきり土の上に巨大な獣の骨から作ったであろう折りたたみ式のキャンプチェアが人数分並び、中央にはたき火スペースがあるという場所であった。レストランっていうかもう大体キャンプである。
 外敵に襲われず安全に調理し食べることができるという意味で、この場所はウェスタ的に良いらしい。
 ただそれは、食べるものを持ち込んでいたらという前提つきである。
「おなか空きました……」
 ぐう、とどこか可愛らしく腹を鳴らしたリュカシスがくにゃんと椅子の上で頭を垂らした。
「もういっそ、ガ族のバジリスクたちを全て刈り取ってしまいましょうか……」
 ギランと目に獣(?)の輝きを宿すリュカシスだが、それがほぼ不可能なことは予め知っていた。
 バジリスク(と呼ばれる個体は大量にあるが、その一種)は繁殖力が高く、仮にものすごく頑張って何十匹と手に入れたとしても充分余るし今後の食料調達に大きな支障はないとのことである。
「つまり、いくら喰ってもいい……チキンとヘビの食い放題ってことだな! HAHAHA!」
 『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)は豪快に笑って膝を叩いた。
 そこへ、同じようなハッハッハという豪快な笑い声が混ざった。
 聞き覚えのある声だ。なんなら、つい最近聞いた声である。
 その声は! と言って振り返る貴道に、(無駄に高い所にのぼって)腕組み姿勢で現れたのはブハサだった。
 トゥと叫んで宙返りをしながら一同のなかへ着地したブハサは、どこからともなくキャンプコーヒーセットを取り出した。
「火ぃくれ」
「只今」
 誰よりも早く反応したのは『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)だった。
 たき火の炎を慣れた手付きで調節すると、そこへブハサがコーヒーセットを置く。
 湯が沸くまでの時間は……案外短かった。
「ここは覇竜、強者共のねぐらにして外の国の手の及ばない危険領域。
 ……の依頼のはずなのですが。
 なんだか他とは毛色がだいぶ違う感じなのです?」
 頭にハテナマークを浮かべるクーアに、『雪風』ゼファー(p3p007625)が肩をすくめてこたえた。
「どの地平に行っても生きるには食べる必要があるから仕方ないんですけど」
 ブハサから無言で差し出されたコーヒーを手に取ると、その香りを楽しむように口元へともっていく。
「食われる側は気の毒ですけど。こっちもお仕事、何より新天地での足がかりですからね。
 気合入れて行こうじゃない?」
「そういうこった。食うか食われるかの世界なら、楽しく喰ったほうが人生が鮮やかだ」
 なんだか含蓄のあるようなないような、それでいてブハサの生き方を圧縮したような言葉だ。
 言われて見ればといった様子で、『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)が虚空を見上げる。
「覇竜領域のニワトリ、初めて!! これは見逃せない食材だね。
 現地でしか食べられない名産品はやっぱり浪漫だよ」
「ああ、そういう見方も出来るのか……」
 『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)は感心したように頷いた。
 再現性東京という土地は、他者が想像するよりきわめて巧妙に作られている。例えばタコという生き物は世界各地の海にいてそれぞれ同じような名前で呼ばれるが、『21世紀の一般的な現代日本人』がさすタコはかなり範囲が狭く、ともすれば奇怪なクリーチャー扱いされてしまう。
 『チキンの丸焼き』ひとつでここまで変わると言うことは、たこ焼きなんて要求しようものならどんな変化がおこるのか想像もつかない。
「食感もやっぱ違うのかな……なんか普通に喋ってたらしいし、普通のニワトリと同じ食感で想像してたけど……」
「ヘビ肉がチキンっぽいって聞いたことあるですけど、もしかして同じ味ですよ?」
 『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)がきょとんとした様子でそんなことを尋ねてきた。
「……尻尾のヘビのほうは?」
 食べるの? という視線をうけてブハサが微妙な顔をした。リザードマンタイプの表情は若干分かりづらいが、多分そうなのだろうと雰囲気と低く唸った声でわかる。
「俺はあんまくわねえな。喰う奴もいるぜ」
「ですかー」
 部位を場合によっては喰うという習慣は、食にひどく困った経験があるかないかで変わってくるという。
 ウェスタは危険な土地に集落を築いているわりに、喰う物にはあまり困っていないらしい。
「そっか……なら、ヘビ部分の調理方法も考えておいてもいいかもね!」
 『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)がパッと表情を明るくした。ちらりと視線をよこすクーア。
「けれどまずは」
「うん、沢山の人が食べられるように、たっくさん捕まえることからだよね!」

●森の罠
 さくりとかすかな音をたてて、草を踏む。Я・E・Dは周囲の風景を眺めて、自分の知っている森の類型に近いことに頷いた。
 ピシュニオンがどういう場所かまだ分からないが、こっちの森は針葉樹林帯の感覚に近いようだ。
 湖が近いことで植物資源も豊からしく、草を食べる動物やその動物を食べる動物。広く大きな、そして複雑な生態系サイクルが築かれているのがЯ・E・Dにもわかった。
「こういう場所にいるモンスターは、獣道をよく使うよね。似たようなモンスターを捕獲するときの方法がつかえるかも」
 Я・E・Dはそう言って木の枝を組み合わせた原始的な罠を作り始めた。
 細かい説明は省くが、狭い場所をくぐり抜けようとした際に発動し動きを止めるというものだ。長い時間をかければ脱出は容易だし身体を傷つけにくいが、その分近くで潜伏していれば容易に捕獲できるようになる。
「森が豊かじゃないと仕えない罠だから……ここが豊かで助かったね」
 Я・E・Dの言葉に、周囲を歩いていたアレクシアが小さく『そうだね』と呟いた。
 アレクシアが何をしているのかと観察してみると、植物をいくつか抜いては持参した籠へと入れていた。
「それは?」
「食べられる草だよ。香りのいいものを中心に、ってところかな」
 その辺の草を食べようとすると、状態が悪くなっていることを警戒するものだが、アレクシアにそうした警戒はない。どうやら草花の意志を読み取ることで健康に食べられる植物を選別しているようだ。
 なかなかファンタジックな食料採取法である。
 そうこうしていると、遠くから足音がした。Я・E・Dが隠れるように指示をだし、二人は物陰へと潜む。
 予想通りというべきか、周囲を警戒しながら数匹のバジリスクが歩いてくる。
 警戒している動物は狭い場所に入りたがる。先頭の一匹が狭い場所をくぐり抜けようとして……Я・E・Dの罠が作動した。
 ギャッという声がするや否や、Я・E・Dは物陰から飛び出して『狼を縛る光糸』を発動。指先からとんだ光の糸が罠にかかったバジリスクをしめあげた。
「アレクシアさん!」
 呼びかけの意図を理解して、アレクシアはバジリスクたちへと走る。
 当然こちらを警戒していたバジリスクは仲間を置いて逃げ出そうとする――が。
 アレクシアは赤き花の如き魔力塊を生成。魔法の花はまるで萌え広がるかのように発生範囲を拡大させるが、その速度は異常なものだった。
 影響半径なんと40mもの広大な魔法の花畑が生まれ、先ほど逃げだそうとしたバジリスクはおろか、遠くから様子をうかがっていたバジリスクたちまで強引に意識を染め上げられた。彼らの目に浮かぶ赤い光は、はじめからそうることが当然であったかのようにアレクシアをにらみ付け、そして声を上げて襲いかかる。
 集団バジリスクタックル。数発の打撃なら耐えきれる頑強なアレクシアだが、全てというわけにはいかない。
 そこで猛威を振るうのが、これまでほぼ完全に気配を殺して機をうかがっていたゼファーである。
 ザッと簡易ギリースーツを脱ぎ捨て、飛びかかったバジリスクをキックによって跳ね飛ばす。木の幹にぶつかって気を失うバジリスク。
 ゼファーは持っていた槍を縦横無尽に振り回し、無数のバジリスクたちをたたき伏せていった。
「いきなり頭をぶっ殺されてナーバスになってるか、ビビり倒してるか……いずれにせよ、こうなったら逃げる手は仕えないわね」
 問題は、怒りの効果が続く間にこの数を仕留めきれるかというところだが……。
「そこ」
 同じく気配を殺して陣取っていた伏せていた飛呂が狙撃銃のトリガーをひいた。
 タァンという銃声が響き、バジリスクの頭部を的確に撃ち抜いていく。
 素早くリロードしながら、別の個体へとシフト。このとき飛呂は温度視覚によってバジリスクと仲間のみを赤く識別し、森の色に混ざって身を隠そうとしていた土色のバジリスクへぴたりと狙いを定めなおした。
 一瞬一秒の早業において、こうした認識や思考をショートカットできるマーキングは有効だ。
 凄まじい速度での連射によって次々に倒れていくバジリスク。
 そして『このくらいかな』と飛呂が呟いた頃、ダァンという何かが破裂したような音が聞こえた。

 高威力の銃による射撃、ではない。爆弾の破裂、でもない。
 それはなんと、貴道が木の幹を拳で撃ち抜いた音だった。それも一発ではない。数発の拳によって木の幹をえぐり、傾け、最後には強烈な後ろ回し蹴りをくわえることで木の幹をまるごと倒す。
 安全圏に逃れようとしていたバジリスクたちはその広がった枝と尖った葉によって絡め取られるかのように動きをとめ、必至にもがいて逃げだそうとしていた。
 が、それを許すリュカシスたちではない。
「こんにちは! いただきます!」
「大量のご飯をゲットするですよ!」
 リュカシスは右サイドから、ブランシュは左サイドから回り込み、抜け出してきたバジリスクへと武器をたたき込んでいく。
 といっても、ただ叩き潰すわけではない。
 ブランシュは得意のグレートメイスを、ゴルフクラブを払うようなスイングで近くの木の幹へとバジリスクをぶつけて気絶させた。本気で上段から叩き潰せば可食部もろとも土にかえってしまうためだ。
 リュカシスはリュカシスで、右腕に仕込んだクレーンアームのようなパーツでガチンとバジリスクを固定すると、左手の針で的確にバジリスクの急所を刺していく。
 と、その時。後方でザッと網に上がる音がした。
 貴道の倒木を逃れたバジリスクを、リュカシスの仕掛けた網罠が釣り上げたのだ。
「逃げる方向まで予測して罠を仕掛けるとは、流石なのです」
 そういいながら罠のあった場所にスッと現れるクーア。
 クーアが現れてやることといえばひとつだ。
「一足お先にヤキトリにしてやるのです!!」
 網もろとも炎に包み、バジリスクたちは宣言通り一足先のヤキトリとなったのだった。
 じゅうじゅうと音を立てるバジリスク。
 貴道があたまをかきながら、焼け焦げた地面へと歩いてくる。
「いいのか? 毛をむしる手順を踏んでないが……」
 などといいながら一匹ほど掴み上げる。そうとう熱いはずだが、素手だ。
 よく見てみると、バジリスクの毛はちりちりに燃え、身の表面をサッと焼いた状態にしあがっている。
「……おお」
 よもや焼き方ひとつをここまで調節できるとは、と感心の声をあげる貴道。
「相手が無防備だったおかげなのです。殺すというより、燃やすというより、『料理する』感覚で炎を使えたのですよ」
「ほぉー」
 ブランシュが同じく感心したようにうなり、そしてぴょんと空へと飛び上がった。ジェット噴射によって枝枝の間を抜けると空へと上がる。
「他に密集してるところがないか探してみるですよ」
「おねがいしまーす! ボクは罠をもう一個作って待ち構えますね!」
 リュカシスはそんなブランシュに手を振って、リュックサックから罠用の道具を取り出し始める。
 順調な様子に、貴道が腰に手を当てにやりと笑った。
「こりゃあ、大漁になりそうだな。俺たちだけで食い切れるか心配だぜ」

●クッキングタイム
「まずはソテー!」
 肉が手に入って誰もがまず想像する料理。ソテー。
 アレクシアがオリーブ的なオイルをうすくひいたフライパンにバジリスクのもも肉を乗せると、じゅわあと肉がよい音をたててた。
 途中でとった香草や塩胡椒をまぶした肉は音のみならず香りもひろげ、仲間達のおなかにきゅうっという食欲をもたらした。
「この後は肉汁を使ってソースも作るからね。できたのから食べていって」
「「ありがとうございます!!」」
 答えたのは仲間達……ではなく、お皿とフォークを片手に並ぶジモトの亜竜種たちであった。
 ブハサのだした依頼の話を聞きつけて見物にやってきたのである。大半の亜竜種は『ローレットとやらがどれだけできるお手並み拝見といこうかァ?』みたいな台詞をいっていた筈だが、とんでもない量のバジリスクを荷車につんでやってきたアレクシアたちを見てからこの有様である。
 横ではクーアがあのくるくるするやつを使って鳥の丸焼きを作っていた。
「この手の調理は火力が肝要。ただ焼くだけと侮るなかれ。
 鍛え抜いた業火の神髄、ご覧に入れるのです!」
 炎に照らし出された真剣な表情に、ブハサたちが息を呑む。
 焼き上がった丸焼きを切り分けつつ、リュカシスはそっと鞄から笹の包みを取り出した。
 開いて見るとそこには……白き宝玉(しおむすび)があった。
 ゴクリと音がするほど見つめる亜竜種たち。
「そしてもう一品。ブランシュさんが見つけてくれた巣から卵をいくつか拝借してきたのです!」
 リュカシスはバジリスクの大きな卵をわってまぜると、巨大なオムレツを作り始めた。
「色々できてきたわねえ」
 ゼファーと飛呂はその一方で巨大な鍋に肉なり野菜なりを放り込み、持参したコンソメキューブを放り込んでいく。
 ゼファーは予め作って置いた肉団子(軟骨入り)を丁寧に鍋へ滑り込ませた。
「とってきた数も数だし。食べる人が多いのはむしろ幸運だろ」
 鍋をまぜながらいう飛呂に、ゼファーはそうねといって微笑んだ。
 鍋を作る人が居れば、スープを作るひともいる。
 Я・E・Dのメニューはまさかの参鶏湯であった。
「まだ少し寒い季節だしね。せっかくだから骨まで出汁にして食べようよ」
「おお! すごいですよ! とりの丸焼きならぬ丸煮ですよ!?」
 ブランシュはスープをひとくち啜ってから、うーんとうっとりした顔で肩をおとした。
 レガシーゼロでも味わかるんだねというもっともな疑問に、『そういえば?』と首をかしげるブランシュ。
 そして、あつあつにした鉄板の準備が整ったとみて、大きな銀トレーに載せた処理済みの肉をならべていく。
「さあ、ここからはバーベキューパーティーですよ!」
 イエーイと叫び集まってくる亜竜種たち。
 貴道はブハサと肩を並べ、その光景を満足げに眺めていた。
 カシュっとビールの缶をひらき、傾ける。
「それは?」
「ビアチキン。コイツがなかなか美味いんだ」
「ほお……マジモンの外の料理ってやつだな!?」
 ブハサの興味津々といった視線に、貴道はにっかりと笑う。
「おう、喰ってみな。里にビールが欲しくてたまんなくなるだろうからよ」

 レストラン『俺御前丸齧』の大広間には大勢の亜竜種がおしかけ、その夜はバジリスクパーティーとなったのだった。

成否

成功

MVP

アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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