シナリオ詳細
再現性沖縄20XX:ドクター・バレンタインの挑戦
オープニング
●いつも通りなわけですが
グラオ・クローネが近づくと、沖縄もチョコめいてくる。
愛? 恋? 知らん。そういうのは東京でやれ。
此処を何処だと思ってるんだ。沖縄だぞ。
チョコでくるんでパッケージングしてやろうか。
僕が私がプレゼントだ!
あとどうでもいいんだけど、ああいう「私がプレゼント系」って外したらどうすんの?
帰るの? 大丈夫? サスペンスにならない? ナイスボート。
さておいて。
グラオ・クローネとかはおいといて、バレンタインである。
沖縄だから仕方ないね。
とにかく、沖縄は今チョコめいていた。
それは餅の次はチョコだと予測していたサイズ(p3p000319)に、充分な警戒をさせていた。
まあ、当然だろう。前回お餅の具にされた恨みはなんだかんだでまだ残っている。
しかし今回はミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)も一緒だ。
沖縄に完全に染まっているミルキィの表情はのほほんとしていて、どうやらクッキングモンスターの気配は無さそうだった。
しかし、しかしだ。
クッキングモンスターはいなくても、此処は沖縄なのだ。
料理馬鹿の聖地たるこの場所では、どんな料理馬鹿が潜んでいるか分からない。
たとえば、そう。
「ジジイ! てめえ、今年もか!」
「ひょーひょっひょ! 今年もじゃよ! 儂のチョコレート☆ロボ2022の実力を見るがよいわ!」
何やら、チョコレート色のクッキングロボが暴れている。
クッキングロボが何かって?
それを聞く段階だと魂に沖縄が足りてない。もっと沖縄に魂を売るんだ。
●チョコレート☆ロボ2022をぶっ倒せ。料理で。
「まあ、そんなわけで今回はクッキングモンスターじゃないらしい」
「相手はドクターバレンタインのチョコレート☆ロボ2022だよ!」
サイズとミルキィの説明に首を傾げる者と頷く者がいる。
沖縄に対する理解度の差が表れた形だが……分かりやすく説明するとこうである。
練達の一区画に存在する再現性沖縄。さらにその一区画には翔波と呼ばれる地域が存在する。
それは異世界『地球』よりこの世界に召喚された人々の言う《沖縄》を何か凄い勘違いして、「大体こんな感じだろう」というイメージで出来上がった魔境である。
沖縄にはあらゆる夢がある。沖縄は食べ物が美味しい。
そんなイメージを植え付けられた料理人たちは「沖縄こそは料理人に約束されし聖地である」と思い込み、事実翔波ではあらゆる食材が手に入る。
そして全ての物事は料理でのみ解決され、あらゆる暴力は此処では排除される。
料理こそ全て。料理が世界を救う。
火と油、水と調味料に囲まれた世界こそ我が人生……それに気付かないなど料理人として愚かだし何なら皿洗いからやり直せばいい出直してこいやド素人が……その境地に至らなければ料理人としては未熟に過ぎ、究極の一皿になど永遠に届きはしない。だからこそ、街ではいつでも料理バトルの音が鳴り響いているのだが……。
そんな中にクッキングロボが居たところで何の不思議もない。
不思議だと言ってしまうのなら沖縄が足りてない。
話を戻そう。
「ドクターバレンタインはチョコレート特化型の料理人で、この時期になると『儂のチョコレートは世界一ィィ!』って暴れ始めるみたいなんだ」
ミルキィの説明通りならロクでもないジジイだが、沖縄では標準的なご老人の姿である。
そんなドクターバレンタインが作ったのがチョコレート☆ロボ。
究極のバレンタインチョコを作る為のスペシャルマシーンである。
普通なら放っておいてもいいのかもしれない。
だが此処は沖縄だ。
我こそ世界一と競い続ける料理馬鹿の町なのだ。
「今回は俺達カフェローレットにどうにかしろって役が回ってきた」
だからどうにかしよう、と。サイズはそう語り掛けるのだった。
- 再現性沖縄20XX:ドクター・バレンタインの挑戦完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年01月29日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●難しいことを考えるんじゃない
「ひょーっひょっひょっひょ! さあさあ、儂の義理チョコを受け取るがよいわ!」
ドクター・バレンタインとチョコレート☆ロボたちがチョコレートをバラまいている。
なんとも阿鼻叫喚の光景だが……パッと見ただけで「東京とは全然違うな?」と思わざるを得ない。
「ここが再現性沖縄か。実は元の地球でも沖縄は訪れたことがなかったんだが……さ、流石に元の沖縄はここまでおかしな所ではなかった、よね? 混沌からでは確認しようも無いのだけれど、まさか……ねえ?」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)がそんな疑問を抱くが、おかしいと感じるのは沖縄が足りていない証拠だ。
少なくとも翔波の住人ならそう答えるだろう。
そしてゼフィラ同様、沖縄が初めての綾辻・愛奈(p3p010320)は、やはり何とも微妙な表情をしていた。
「沖縄。右も左も判らぬままに仕事をしてきましたが、こうして聞き馴染みのある単語に出会えるとは思っていませんでした。終ぞその地を踏む事はありませんでしたが、少し位は郷里に想いを馳せて……」
「ひょーっひょっひょ! 照れるな照れるな!」
視界の先を通り過ぎていくドクター・バレンタインを愛奈は遠い目で見て。
「……ああ。やはりここは日本ではないのですね」
そんなことを、口にする。
気候、海。全体的な雰囲気。あらゆる全てが愛奈の思うソレに似ている。
けれどまあ……此処は再現性沖縄なのだ。再現性東京の担当研究員が聞いたら怒りのフライングボディプレスを仕掛けてきそうだが。
ところで愛奈はセンチな気分になっているように見えるが、その心の中は大混乱である。
(なんぞこれ。転移からクエストやなんだである程度は荒事に関わったがこの方向性はちょっとはじめまして。何で料理で吹っ飛ぶの……? しかも今年「も」……? やだ混沌こわい」
翔波の初心者向けのパンフレットに描いてある内容が謎過ぎる。めんそーれじゃない。
もっと再現すべきところがあったはずだけど気にするのは沖縄が足りてない。
「まあまあ、練達にこの様な場所があるとは……異世界の沖縄とは摩訶不思議な場所なのですね」
結果として異世界の沖縄が誤解を受けているがまあ、気にしてはいけない。
『殺戮の愛(物理)天使』アナト・アスタルト(p3p009626)の沖縄適性の高さが炸裂した結果であるとも言えるだろう。
アナトは両手を広げると、慈愛に満ちた笑みを浮かべてみせる。
「さて、バレンタインのチョコ勝負と聞けばここは私の出番でありましょう。何てたって私の存在意義は『アガペーを遍く人々に振りまき、『愛』の素晴らしさを説く』事! そしてその手段として一番わかりやすいのが『バレンタインのチョコ』! ええ、故にこの季節は私が活発になる時! まさに季節限定SSRキャラ的な!」
「アガペーか……」
やる気満々のSSRオーラを振りまくアナトを見ながら、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)はハッとしたような顔になる。
「よくよく考えてみたら戦う理由って特に何も無くない? どうにかしたい奴が料理勝負挑んでどうにかすればいいよな? ……俺がおかしいのか? 沖縄が足りてないのかぁ!?」
足りていない。世界には沖縄が足りていない。
でも問題ない。沖縄の風と海と太陽は、そんな世界を優しく包むから。
「まあ相手と勝負すればその自称世界一のチョコレートにありつけるんだ。役得だと思って依頼を遂行しよう」
ついでにいえばその自称世界一に勝たなければならないのだが、さておいて。
「沖縄に来るのは、これで三度目か……うむ。ここは相変わらずだな」
「あのロボは機械油で動いているのか、それとも植物性の油か、動物性の油か……まあ、食品機械用の油使ってなかったら確実に沖縄の法則で壊れてそうだからどうでもいい考えか……」
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)と『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はチョコレート☆ロボを見ながらそんな会話をする。
アナトの言葉を借りればあれらは季節限定レイドボスといったところだろうか?
「ところで、シュークリームを作るクッキングロボはいないのか? いない? そう……」
「あ、でもプロフェッサー・シューは居るって聞いたことあるかも」
『甘夢インテンディトーレ』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)がR-Senceを発動させながらそんなことを言えば、汰磨羈の目がキラキラと輝き始める。
「何はともあれ……アレを料理で倒せばいいってことよね?」
「ひょ?」
『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)の言葉に気付いたドクター・バレンタインとチョコレート☆ロボたちが走り寄ってくる。
「ひょーっひょっひょ! なるほど、誰もクッキングバトルを仕掛けてこないと思ったら……今年はお主等か! よろしく頼むぞ!」
「え、礼儀正しい」
「そりゃまあ、此処は沖縄じゃし? というわけで……料理で勝負じゃ!」
「……いいでしょう。愛しい誰かとやらはついぞ考えた事はないけれど、作ってみせようじゃないのよ」
ルチアが受けて立てば、双方の前に地面から調理台がせり出してくる。
バレンタインならではのクッキングバトル……開始である。
●愛のこもったチョコレートを君に
「チョコレート、カカオと砂糖と……後何で作れたかしらね」
言いながら、ルチアはチョコレートの木に視線を向ける。
チョコはこれを使った方がいいかもしれない。むしろ、アレンジ力が勝負の決め手だろう。
そしてサイズは沖縄に大分慣れてきたせいか、ただ勝つだけではなくお土産を主軸に動き始めていた。
この辺りの余裕は、サイズが沖縄に大分魂を売ってきた証拠かもしれない。
「作るのはチョコクッキーとフォンダンショコラ……これはあるイレギュラーズ二人に渡す、お持ち帰り用なので、ロボ相手に出すのは二つを作る際に余って出たチョコの生地を使ったクレープやワッフルだな、余り物の生地とはいえ、侮るなかれ、うまいもんはうまいもんだ、それにクリエイターなら無駄遣いはしないようにしないとな」
なるほど、だが自分の実力に余程自信がないと出来ない事ではある。
「クレープはのせるフルーツやクリームでいくらでも変化を出せるし、ワッフルもかけるシロップやのせるフルーツ次第じゃいくらでも味変するし、美味しいものだ。この後予定があるんだ、その予定ついでに依頼を受けたんで、ロボや老人に時間を大量に割くわけにもいかないんでね!」
おおっと、言い草がかなり沖縄に染まっている。料理勝負に何の疑問も抱いていない。その調子である。
あとは料理を主軸に人生をやるだけだ。
さて、ゼフィラはどうだろう? こちらはまだ戸惑いがあるようだ。
「お題はバレンタインか。いや、この勝負受けずに放置したらどうなるのかとか、気になる所はあるのだけれど」
ちなみに放置すると、ドクター・バレンタインが義理チョコを配り歩く。
モテない男子学生の戦果がドクター・バレンタインの義理チョコ1個とか、あまりにも悲しすぎる。
「……思い返せば、現代日本出身なのにまともにバレンタインのイベントを起こした覚えがないぞ? 昔から体が弱くて寝込んで切りだったので、学校にもなかなか登校出来なかったからなぁ。男子どころか、友チョコすらまともに用意した覚えがない。気にしてなかったけど、私の青春って灰色だったのでは……? い、いかん! これでは碌なモノが作れん!」
思わぬところからゼフィラの闇が噴き出てきたせいで、ドクター・バレンタインが慈愛の目をしている。
「やめろ! そんな目で見るんじゃない! な、何か無いのか、バレンタインの思い出は……チョコを仕舞え!」
配り歩いていたチョコを差し出すドクター・バレンタインから視線を逸らすと、ゼフィラは思い出エピソードを絞り出す。
「そうだ! 結婚してからは、旦那には毎年送っていたじゃないか! 成人後はますます病気が重くなって、立つことすら困難だったが、それでも夫婦っぽいことがしたくて頑張ったな。まあ、それでも湯煎したチョコレートをデコレーションした程度のものだが」
それは不器用で、しかし暖かい思い出だ。そしてそういう気持ちは、沖縄では力に変わる。
「……うん、思い返しながら作ろう。愛情を込めて作るっていうのは、きっとあの頃の私がやっていたことでいいはずだ」
しかし、それは諸刃の剣でもある。
ホームシック……というよりも元の世界のことを思い出して、涙ぐみながらゼフィラは会場の端でチョコを作る。
本人は「勝手に」と言っているが、そう思う者は沖縄にはいない。
此処は、そういう町だからだ。
そして、汰磨羈。こちらもかなりヒートアップしている。
「先に告げた通り、ここに来るのは三度目……もう慣れたものよ。準備は万端だ!」
各種料理技能にモンスター知識まで活用した汰磨羈の狙いは黒毛チョコレート和牛だ。
見つけるなり猛ダッシュだが「いやほら。ほぼモンスターみたいなものだろう、こいつら」とのことであった。
事実、かなりのレア食材なのは間違いないだろう。
「――A5牛チョコ肉ゲットォ!! 次はココアエッグの確保か。ふふ……何の疑問も抱かないどころか、わくわくしてしまう自分が怖いな!」
ココア色のガチョウに追いかけられ突かれながらも、汰磨羈は食材をゲットする。今日の汰磨羈はどうやら一味違う。
「材料は揃った。作るぞ! 料理は愛情、チョコも愛情、そして、愛情とは――躊躇うことなく糖分をブチ込む事ッ!」
手順は簡単。
・鍋にA5牛チョコ肉を入れ、湯煎で溶かします
・いい感じに溶けたら、手近なツタをブッた切り、断面から出る生クリームを投・入!
・甘さを調整しつつ混ぜ、なめらかになったら自然に冷ます
・その間にシュークリームの生地を作成
・シュー皮が出来たら、そこに丹精込めて作ったチョコクリームを注☆入!
・注入を終えたら、皿において適度にグラニュー糖(雪みたいに積もってた)を掛け、更にココアエッグを挽いたココア粉末をふんだんにかけて――。
「ねこ姉さんのチョコシュー、完成!! 正直、私が食いたい」
ぢゅるりとよだれを垂らしそうになる汰磨羈だが、その料理馬鹿っぷりはR-Senceの片鱗が見えている気がする。
では、すでに目覚めているミルキィはどうだろうか?
「チョコレート勝負ならパティシエとして絶対負けるわけにはいかないねー。ボクの全身全霊をもって最高のチョコレートを作っちゃうぞー☆」
気合十分だ。こちらも具材探しに手を抜くつもりはなさそうだった。
「ボクが作るのはチョコトリュフだよ♪ シンプルなチョコレート菓子だけに素材と腕の良し悪しで味がだいぶ左右されるんだよねー。そんなわけで、料理スキルブーストにR-Sence全開でいっくよー☆」
沖縄に染まった者だけが目覚めるというR-Senceに鑑定眼を併用し、ミルキィは最高級のチョコレートを選んでいく。
更には他のチョコ作りをする仲間にもチョコレートはわけておくという、まさに沖縄精神に満ち溢れたその姿。
「さあ、調理開始! ママから教わった生クリームの風味たっぷりのミルクチョコトリュフと、ボクの独自アレンジ深緑茶の粉末を混ぜ込んだ深緑茶チョコトリュフの二つで勝負! これが今のボクが作れる最高のチョコレートさ♪ ママから受け継いだ愛情とボクの愛情を込める事で愛情二倍! さあ、ママの味を召し上がれ☆」
そう、ママの味は愛の味とも言う。まさに無敵に近いものをミルキィは作り上げた。
そして世界は何を作っているのか。
「さて、俺が作るのはチョコクリームたっぷりのチョコレートパイだ。俺が本当に美味いチョコって言うのを教えてやろう」
なんか料理に関しては世界一めんどくさい男みたいなことを言いながら、世界はチョコレートパイを作り始める。
「とはいえ基本的には普通のチョコレートパイと作り方は一緒だ、見た目も特に変わりはない」
ならばどこが違うのか。その答えは、すぐに世界から示される。
「違う部分があるとすれば砂糖の量だ。生地にもクリームにも限界ギリギリの飽和状態になるまで砂糖を入れてある。『砂糖is正義』という言葉を知ってるか?お菓子を作る時には砂糖をぶち込んでおけば取り合えずなんとかなるという意味らしい。それを今回実戦してみたんだ。そんな言葉聞いたことが無い?――そりゃそうだ、今俺が作ったからな。恋より甘い砂糖の暴力で完全勝利を狙わせてもらう」
ちなみに汰磨羈も愛情は糖分だとか言っていたので、2人は似た者同士なのかもしれない。
「あ、ちなみに俺は愛しい誰かとかいないので自分の為にチョコを作るぜこん畜生。リア充いたら爆発しろ」
沖縄でバレンタイン近くに女の子と料理しているのはリア充だと非リア法廷で結論は出ているので、この場合爆発するのは愛無き男、世界かもしれない。上告は却下である。さておいて。
愛に満ちているっぽいアナトもまた、順調なようだ。
「ともあれ、「愛」を教える為のチョコ作りに妥協などありはしません。まずはチョコに大事なカカオ豆は……原材料を一から加工いたします……フン!
フリークス&無双流を使う事で、すり鉢でカカオ豆を粉砕しているのはまあ、沖縄らしいのでオッケーだ。
「ええ……これこそ愛の力。やはり愛(暴力)はいい……愛(暴力)は全てを解決してくれます」
うっとりしているが、なんかそのうち普段ダメなIQ高い少年にやり込められそうな事を言っている。大丈夫だろうか?
「そして面倒な部分……カカオ豆をペースト状にし湯煎にかけながら、砂糖とカカオペーストを混ぜ合わせる作業を丁寧にやり……後は味の微調整を整え、ハート型の型を取って冷やせば完成。これこそ私のアガペー的チョコ、愛天使アナトチョコです。Simple is the best……無駄に奇を衒う必要はない、他者を想う「愛」を込めれば料理というモノは自然美味しくなるのです。さあ、私の「愛」を存分に堪能してくださいまし、ドクターバレンタインにバレンタインロボ」
ちなみにだが「因みに…仲間以外で私の愛天使アナトチョコを食した者は…当然対価を支払ってもらいます。お一つ3000G……これ以上の値下げは愛への冒涜になりますのでびた一文値下がりませんわ」らしい。無償の愛とは何だったのか。
さあ、そしてラストは名前に「愛」の入った美女、愛奈である。
作る料理はチョコレートクッキーとストレートティーのセット。
「きっとみんなカロリー高めなのでちょっと安心できるものにしましょう」とのことであるらしい。
愛は此処に在ったんだ。皆愛に還ろう。さておいて。
「クッキーなら焼く時だけ目を離さなければ大失敗はしないでしょう。基本に忠実に、丁寧に」
元の世界では古書堂の店主であったらしい愛奈の手つきはまだぎこちないが、優しさに満ちている。
「生地を作って、成型して、焼成する。こうして手を動かしていると、ここに居ない人の事がどうしても思い出されます」
思い出すのは、遠くへいってしまった最愛の祖父のこと。
(手の込んだ料理に比べればきっと時間も余るでしょう。苦戦している方や手が足りないところは手伝いましょう。使わない食器や調理器具を洗い片付ける。整理する。得意分野です。あるいは足りない食材があれば探しに行きましょう)
なんということか。輝く愛だ。アナトとはまた違う形のアガペーが此処に在る。
「何がどうなって料理でヒトが飛ぶのか理屈はわかりませんが、きっとそういうモノなのでしょう。気持ちで負けなければきっと大丈夫。最後まで諦めずに立ち向かいましょう」
そうして並べられた無数の料理。互いに試食して、「負けた」と魂が認めた方が吹っ飛ぶ、何処までも神聖なクッキングバトルは……ドクター・バレンタインとチョコレート☆ロボたちを天高く吹っ飛ばす。
そしてチョコレート☆ロボたちは空中で分解し……チョコレートやクッキーとなって降り注ぐ。
「ひょひょひょ……愛か。強く感じたよ。今年も儂の負けじゃのう」
ガクリと気絶するドクター・バレンタインだが……降り注ぐチョコを1つ手に取りながら、サイズはぽつりと呟く。
「そういえば此処、沖縄だったな……」
まだまだ奥深い再現性沖縄。その深淵は、コーヒーの神髄のように深いような、そうでもないような。
「しかしまぁ。世界一というだけのチョコを作るというのなら、是非とも私の領土に輸入したいところなのだが。そのチョコレート☆ロボ、量産出来たりしないのか? できればシュークリーム作成機能付きで。是非とも」
「えー? そういうのはプロフェッサー・シューに頼んでくれんかのう……」
何やら汰磨羈がドクター・バレンタインを叩き起こして何かを頼んでいたが……どうなったかは、汰磨羈とドクター・バレンタインだけが知っている。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ハッピーバレンタイン!
GMコメント
今回はチョコレートです。
愛しい誰かに作るつもりでバレンタインチョコを作ってドクターバレンタインを倒しましょう。
なお、今回の敵はドクターバレンタインとチョコレート☆ロボたちです。
ドクターバレンタインは「心躍る☆チョコケーキ(イチゴを挟んだチョコケーキ)」、バレンタインロボは「ドキドキハートの贈り物(ハート型チョコ)」を作るそうです。
皆さんのチョコと愛が試される一戦です!
●翔波
再現性沖縄20XXに存在する料理バトルの街。
何かあれば料理で解決する料理馬鹿の聖域。
ローレットのイレギュラーズの皆さんは料理人として参入することができます。
此処では全てのステータスは無意味です。武器は振ってもハリセン程にも通じず、ギフトもスキルも無効化されてしまいます。
ただし、相手より美味い料理を作れば大ダメージを与えて海老ぞりで大空に吹っ飛ばすことができます。
相手の料理の方が美味ければ自分がそうなるってことですよ。
なお、必要な食材や調味料は「基本的」にはその辺に生えています。
豚肉の木とか砂糖の実とかあります。超怖ぇ。
幻の食材と言われる類のものは特殊な場所、あるいは状況でしか存在しなかったりします。
(逆転が必要なシーンで偶然見つかったりするかもしれません)
●情報精度
このシナリオの情報精度はRです。
料理には常に想定外が付きまといます。
プライドなんてミキサーにかけて飲んでしまいましょう。
ハヴァナイスデイ。
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