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シナリオ詳細

<マナガルム戦記>ヴェアヴォルフ・ラメント

冒険中

参加者 : 6 人

冒険中です。結果をお待ちください。

オープニング


 ――鉄帝が一角、ハウランド地方。
 山を一つ抜けた先にある盆地の隅に一つの村があった。
 ハスペンと呼ばれる其処は寒村と言って差し支えない程に小さな小さな村だ――交通の便も悪く、行商人が通る事も稀。それでもこの地を生まれ故郷としてずっと住み続けている者達がいれば村は小さくとも続くものである。
「が、今年はかなり寒いからか農作物の収穫が上手くいかなかったらしくてな……」
「なるほど。それで――この分の食料を届けに行くって訳だね」
 その山中を突き進む影があった。
 馬車だ。引いているのはベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)であり、彼の言に対して返答したのはハンス・キングスレー(p3p008418)か――『黒狼隊』と呼ばれる彼らは、この先にある村から依頼を受けて荷を運んでいる真っ最中であった。
 理由はハンスらの会話の中で出たように食料を届ける為。
 寒村であらば一度何か困難が発生すれば外に助けを求めざるを得ない事態に発展する事もままある――故、今回は黒狼隊へとその白羽の矢が立った訳だ。大量の食糧を荷として積んで、辛うじて道と言える道を進んで往くもの。
 が、まぁその道のりはあまり早くはない。
 空からは雪が降り注ぎ、地はあまりの寒さに凍結している所もあるのであればどうしても慎重になってしまうものだ……馬が滑りて転落してはまずいと。まぁ村の方も明日に餓死してしまう程に切羽詰まっているという事でもなければ、少しばかりの遅延など問題なく――
「おっ? 見ろよ、この先から煙が上がってるぜ――もしかして件の村がもう近くか?」
「……んっ。いや、でも何か妙な気が……あれは、黒煙……?」
 瞬間。前方の方から何やら煙が立ち上がっているのを秋月 誠吾(p3p007127)が確認した――が。よくよく見据えれば何かおかしいとマルク・シリング(p3p001309)が訝し気な表情を醸し出すものである。
 この寒い時期だ、焚火をしているのでもあれば生活の端で出る煙ぐらいはあるだろう。
 ――しかし妙に『黒い』
 マルクが感じたように黒煙と言っていい程に。
 あれは暖炉から出る煙程度で生じるモノではない。あれはもっと……別の……!
「ご主人様、これはともすれば――」
「ああ。少し急ぐぞ。これは……まずいかもしれん!」
 故に。リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)は主へと言の葉を紡ぐものだ。
 不測の事態が起きている可能性が非常に高いのだと。
 恐らく、家が燃えている。その原因は魔物か、それとも――


 悲鳴が轟く。
 扉は破られ雪崩れ込むは悪意の笑み達。
 何とか今を凌がんと微かに残っていた食料は根こそぎ奪われ。
 亡き妻の形見たる指輪も――金になりそうだと強奪される。
 抵抗せんとした若き男は刃に一閃。倒れ伏した所を二閃、三閃、四に五に六に……
「けっ! よえぇ癖になーにを粋がってやがるんだか! 胸糞わりぃ……燃やしとけ、んな家!」
 動かなくなっても尚に切り刻むは――賊だ。
 抵抗した事そのものが気に入らないと。
 骸となった男に蹴りをくれながら、木で出来た家の隅にあった薪へと火種を一つ。
 ――燃える。生活の跡も、住民が生きていた証もなにもかも。
 そしてこの光景は此処だけではない。周囲に存在する他の家でも同様であり……
「ぐ……はぁ、はぁ……貴様……一体何者……」
「――わりぃな爺さん。アンタらに恨みはねぇが、俺らも生活があるんでね」
 その中でも少しだけ大きな家の中にて。
 息も絶え絶えな老人がいた。右肩から左腰へと深い傷が刻まれており、命の灯が尽きんとしている――その老人は今でこそ一線を退いているが、かつて鉄帝の軍にも所属していた古強者であった。
 賊の襲来を感じ取り古き剣を手に取って戦いを挑んだのである。
 ……しかし敗れた。
 如何に年を取ったとはいえ只の賊如きに遅れは取らぬと思っていた――のに、だ。
 目前には、かの老人を打ち破ったと思わしき壮年の男が一人。
 ……こいつは只の賊ではない。明らかに確固とした実力のある者――
「貴様ら、まさか、噂のラド・バウ崩れ……」
「アンタには関係のねぇ事さ――それよりもこの剣、結構なモンじゃねぇか。古ぼけてて実用的じゃあねぇが……こういうのこそ好むマニアってのがいるんだよ」
 そいつらに高く売れそうだな――貰っておくぜと。
 強奪したその男の名は、フィー・ビィーズ。

 ――元々はラド・バウの闘士でもあった男だ。

 それなりに将来を有望視されていたのだが、試合中の事故により甚大な怪我を負って以降は引退を余儀なくされる。この村を襲撃した賊にはそういう『崩れ』共がそれなりに所属している連中だったのだ。
 全員ではなく、実力は玉石混合な所だが、一人でも強者がいるかいないかで脅威は天と地。
 ……彼らと戦わんとした男は殺され。そして。
「おぉい! 女子供が立て籠もってる場所を見つけたぞ! 早くブチ破れ!!」
「まだ火を放つんじゃねぇぞ! 金品まで燃えちまったら意味がねぇからな!!」
 戦う力がない者達の命も――最早、風前の灯火であった。
 扉を破らんとする音が響くたびに中からは悲痛な叫びが聞こえてくれ、ば。
「はぁ、はぁ、やめろ……女子供にまで……手は出すな……」
「そいつは負けたアンタがどうこう口出し出来る事じゃねぇだろうよ。
 ――この国がどういう国か、今更知らねぇとは言うまいね」
 フィーもまたそちらの方へと向かわんとするものだ。
 老人が最後の力を振り絞り足を握りしめ、時間を稼がんとするが――彼の目に迷いはない。
 ……強い者が生き、弱い者が静かに息を引き取るこの国では強さが無くては生き残れないのだ。
 弱い事こそが罪であると言わんばかりにフィーは老人に冷たい視線を向ける。
 ――そうだ。この国で弱者とはそれだけで罪である。
 かつてラド・バウで輝いていた筈の己も、負傷により弱者と転じてからは……

「――なるほど。たしかに、この国はそういう国かもしれないな」

 刹那。老人にトドメを刺さんとしたその横から――一つの影が襲来した。
 ほぼ反射的にフィーは斬撃の軌道を塗り替える。影より至る殺意か闘志へ反応したのだ。
 ――交差。激しき金属音。
 影は跳躍。家の壁を再度蹴りて、地へと着地した――その人物は。
「……テメェ何者だ? この村の奴じゃあなさそうだな」
「そうだよ。通りすがり――と言えばいいのかな。まぁアンタには関係ない事だよ」
 シオン・シズリー(p3p010236)だ。彼女は此処に向かってきている黒狼隊と関係……は『無い』
 完全に別件である。彼女がこんな辺鄙な寒村近くにいた理由、それは。
「オイオイ関係ないってんなら、邪魔をする理由はなんだ?」
「それもアンタの知った事じゃない」
「けっ。腕っぷしに自信はあるみてぇだが……小娘如きが俺に勝てるとでも思ってんのか?」
 フィーには語らぬし語る事でもないが……
 実は彼女はふと噂を耳にしたのだ――この近辺に現れた『ある男』がいたと。
 それは彼女の父の特徴に似ていた。行方不明になった、己が血族。
 ……彼女は恨みを抱いている。
 貧しさに喘いでいた自分たちに何もしてくれなかった鉄帝という国。
 ひいては戦いに興じるだけの闘士。
 故郷の村が滅んだ一端となった幻想、自分を追い出した家族や行方不明の父――
 あらゆるモノに。
 普段は別に、殊更にその感情を曝け出したりなどせぬが。ふと耳に入ってきた情報の一つは。
 彼女の心の背を撫ぜた。
 ……だからだろうか? その憎悪の一端たる『男』の微かな痕跡があるかもしれぬと、足が向いていた。
 その心中を渦巻くは何か――いや勿論ただ少しばかり耳に挟んだ程度の情報であり、本当に父かは知れぬ。違うかもしれない。
 ……しかし真実どうこう以前に辿り着いてみれば、そこは村ごと焼き尽くさんとしている賊の群ればかり。
 これではあの男の手がかりが本当にあったとしても残っているかどうか――
 ああ。この馬鹿共は、本当に余計な事をしてくれた。
 憎悪の向きが変わる。ただただ暴を振るうコレらも、彼女にとっては気に食わぬ一端であると――その時。
「フィーの兄貴! ここに今女が一匹逃げ込んできやせんでしたか!」
「あの野郎俺たちを切りつけやがって……あ、いやがった!」
「……ああ本当に苛立たせてくれるよね……誰も彼も」
 外で油断していた馬鹿な賊二名が乱入してくる。彼らはシオンに強襲され、傷を負っている者達だ――まだ戦う力が残っていたのか。しかし背後を取られたまま戦う事もあるまいと、一端再跳躍。
 力をただ思いのままに振るう、鉄帝国らしい賊の馬鹿共め。
 シオンはとにかく苛立っていた。それが憎しみより至る波の一端なのかは、さておき……
「――さぁ。始めようか」
 精々、せめてこの気の高ぶりを解消させてもらおうかと。
 ――『餓狼』の戦いが始まらんとしていた。

GMコメント

 リクエストありがとうございます――以下詳細です。よろしくお願いします。

●依頼達成条件
 敵勢力の全ての撃退

●シチューエション
 鉄帝の中でも山一つ越えた先にある盆地――ハウランド地方と呼ばれる一角です。
 そこに『ハスペン』という村があります。
 辺鄙な場所にあり、交通の便も決して良いとは言えない寒村です。しかし昨今の寒さで食料が付きかけているらしく、黒狼隊の皆さんは村に荷を届ける依頼を受けていました……が。偶然にも賊の襲撃が行われてしまった様です。
 既に犠牲者も出ており、このままでは残った生存者もどうなる事か。
 至急村へと駆けつけて賊達を撃退してください――!

 なお。黒狼隊の皆さんはハスペン村までまだ若干距離があります。即座に辿り着く事は出来ず、恐らく数ターン程度は最低でもかかる事でしょう。(ただし機動力に優れていれば話は別かもしれません)

 シオン・リズリーさんだけは状況が別で、村の中。既に交戦状態からスタートします。
 シオンさんを追わんとしているのが後述するフィーを含め三人。
 その他のメンバーは生存者が立て籠もっている倉庫を打ち破らんとしてるようです。

●フィールド
 ハスペン村。いくつかの家屋が点在し、後は畑がある程度の寒村です。
 既にいくつかの家には火が放たれており、黒煙が上がってもいます。
 無事な家もある様なので、そういった家などは障害物としても使用できるかもしれません。なお、生存者は村の中の一角にある倉庫に立て籠もっている様です。ただ、賊に扉を打ち破られようとしています。

 時刻は昼なので灯りの心配などはいらないでしょう。

●敵勢力
●フィー・ビィーズ
 山賊団の中でも主力たる実力を持つ壮年程度の男性にして、元ラド・バウ闘士です。
 元々のランクは不明ですが、若い頃はそれなりに実力のあった闘士の様でした。しかしながら戦いの最中に甚大な負傷を負い闘士引退を余儀なくされます。その後は『弱くなった』として散々な扱いを受けたようで、紆余曲折の末に賊へと身を落とします。

 過去の怪我が原因で長時間の戦闘が出来ないようです。
 戦闘が長期化し始めると段々と能力値が低下していきます。(逆に言うと短時間であれば能力値の低下などはなくフルで戦ってくるという事でもあります)

 その戦闘スタイルは前のめりな近接戦闘型です。
 我流の剣術を用いてめまぐるしい勢いで攻めたてる流れを得意とします。
 尤もその戦闘スタイルは怪我による短時間戦闘が故もあるかもしれませんが……

●山賊団メンバー×9
 剣や槍、弓などを携えた賊のメンバーです。
 先述のフィーも合わせてつまり全部で10名の敵戦力がいます。
 普通の賊に関してはさほど強くはないのですが、この中にはフィーと同様になんらかの理由で元々ラド・バウ闘士だった者もいます。闘士崩れとはいえ、それなりの実力はある様で、全体的な強さは玉石混合と言えます。
 ただ基本的に全員攻撃型の様で、治癒魔法の類を扱える者はいないようです。

 内二名はシオンさんの強襲(OPより)により体力が低下したメンバーもいます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <マナガルム戦記>ヴェアヴォルフ・ラメント冒険中
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 出発日時2022年01月19日 23時59分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険中です。結果をお待ちください。

参加者一覧(6人)

マルク・シリング(p3p001309)
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
特異運命座標
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手
シオン・シズリー(p3p010236)
餓狼

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