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シナリオ詳細

食堂「女神の尻尾」鉄腕繁盛記

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●悪徳娼館ですがなにか
 ラサの夢の都ネフェルストには悪人には少しばかり有名な悪徳娼館がある。
 女神の前足。そう名付けられた娼館であり、少しばかり奥まった場所にある娼館でもある。
 今日も、そんな店から2人組の悪人が出てくる。
「じゃあ、確かにそいつは売ったぜ」
「はい、確かに。また入荷するようなら持ち込んでくれよ」
「ははっ、もう次の催促か!? ったくよう!」
 カラカラと笑いながら金袋を持って悪人2人は去っていくが……どうせ酒代に消えるのだろう。
 そんな事を考え、娼館主である男は煙管の煙を吐く。
 ちなみにこの煙管の中身は煙草ではない。似たような挙動を見せるハッカの一種だ。
 娼館主は煙草があまり好きではないのだ。
「さて、お嬢さん」
「ヒッ」
「そう脅えるな。アンタ、まともな手段で売られてきてないな? 何処ぞから攫われてきたかね」
 男がそう聞くと、少女は震えてしまい……まともに会話にならない。
 まあ、自分を買った男でしかも悪人面なのだから仕方ないとも言える。
「ふーむ……おーい、誰か!」
「……うす」
 娼館主の声に応え出てくるのは、顔面に幾つもの切り傷を残すイカつい男だ。
 体格もかなり大きく、その場にいるだけでかなり威圧感があるだろう。
「あ、あああああ! ごめんなさい! ごめんなさい!」
「お前が出てきてどうすんだバカ! 誰か女の子呼んで来い!」
「うす」
 ちょっと傷ついたような顔で男……イーモンが姿を消すと、入れ替わりで猫が1匹と女性が1人入ってくる。
「あら旦那。また泣かしたの?」
「今回は私じゃない。イーモンの馬鹿のせいだ」
「あらあら」
 笑うと、女は少女の近くに座り色々と話を聞いていく。
 結果として、どうにも攫われて売られてきたらしいということが分かった。
 ラサではよくあることだが、どうしたものか。
「うーむ……まあ、まずはアンタの希望を聞くとしようか。どうするね、働きたいなら仕事は色々ある。そうだな……食堂とかもあるぞ」
 最近作ったばかりの新職場のことを言いかけて、娼館主……「女神の前足」娼館主ギルギットは「あっ」とその食堂の問題を思い出すのだった。

●ラダへの依頼
「というわけで、伝手を辿って私に依頼がきた」
 ラダ・ジグリ(p3p000271)はそう言うと、今回の依頼について話し始める。
「依頼主はラサでも有数の悪徳商人……を装っている善人のギルギットだ」
 ギルギットの運営する娼館「女神の前足」は夢の都ネフェルストにある娼館だ。
 悪徳娼館と名高いその娼館だが、実は悪徳でも何でもないのだという。
 むしろ悪徳娼館というていで売られてくる子を買い取って助けたり、犯罪者一歩手前の連中を上手くコントロールしたりしているのだ。
 ラサは……特に夢の都ネフェルストはその性質上、悪徳商人がキノコより良く生える。
 そういった連中が生えてくる土壌を作らない為に用意された「悪徳娼館風の娼館」が女神の前足なのだ。
 無論、働く場所は娼館だけではない。穀物商や食堂、酒場、普通の宿屋までギルギットの仕事は多岐に渡る。
 その中で今回問題が出ているのは食堂である「女神の尻尾亭」だ。
 営業時間は昼から夜までとかなり健全。
 怪しげな商売も一切して……そういうと何処かで裏商売をやっているように聞こえるが、とにかく健全な、そんな食堂だ。
 しかし最近、その「女神の尻尾亭」に悪質な輩が絡みついてくるのだ。
 その背後関係は不明だが、雇われている連中は分かっている。
 ネフェルストを中心に活動するチンピラ集団「サーベルクロー」である。
 剣なんだか爪なんだかハッキリしろという感じではあるがまあ、そんなものであろう。
 とにかくその連中が女神の尻尾亭に様々な手段で嫌がらせを仕掛けてくるのだ。
 その行為は段々とエスカレートもしており、ギルギットとしても対処に苦慮していたのだが……。
「そこで私達、というわけだな。真正面から叩き潰してほしいらしい」
 相手が実力行使に出ようと嫌がらせに出ようと、真正面から叩き潰せる「強さ」が欲しい。
 つまりは、そういうことだ。
 後始末はギルギットが官憲(の上層部)に掛け合ってくれている。
 思いっきりやれ。そういう依頼なのだ。

GMコメント

皆さんは1日の間「女神の尻尾亭」の従業員となり、此処を運営することになります。
朝の開店作業に調理、クレーム対応(物理含む)、閉店作業まで。
バタバタとバイオレンスなラサの食堂の一日をご体験ください。
なお今回の依頼では「お客様とて許せん!」とクレーマーをドロップキックで店の外に吹っ飛ばすのは仕事の範疇です。

なお、今回の敵です。
・料理に虫とか髪の毛とか入ってたと騒ぐクレーマー
・女性店員に絡んでくるチンピラ
・酒乱(を装った)暴れ役
・ショバ代を要求してくるチンピラ集団
・店の前にたむろして普通のお客さんを威圧するチンピラ集団
・店の中でわざと大騒ぎして普通のお客さんを追い出す強面たち
・店に落書きして逃げる奴
・店の前に生ごみをまき散らす奴
・店にこっそり壊そうとする奴
・金ならあるから最高級の料理を持ってこいとか無茶を言う奴
・etc

なお、真面目に対応してもしなくても構いません。
その辺りは皆様の采配次第です。
それでは皆様の鉄腕繁盛記の始まりでございます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 食堂「女神の尻尾」鉄腕繁盛記完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
鹿王院 ミコト(p3p009843)
合法BBA

リプレイ

●女神の尻尾にて
「中々手広く商売してるじゃないか。多角経営は難しいと聞くが、そもそもの目的を考えればこの方が良いんだろうな」
 事前に現地入りしていた『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は店を……食堂「女神の尻尾」を見上げてそう呟いた。
「なるほど。最近オープンしたばかりの食堂の手伝いですか」
『青き砂彩』チェレンチィ(p3p008318)も頷きながら店を見上げるが、真新しい建材が実に綺麗だ。
(で、ギルギットさんの元へ売られてきた女性をこちらにも回すと。それならば、チンピラ共に負けないような店にしなくてはいけませんねぇ。女性メインで店を回すのならば尚のこと。ボクらの手伝いが終わって居なくなったあとも、平和に営業していてほしいですから)
 攫われ売られてしまうような人々は多く居るが、元の場所に戻すのが必ずしも幸せであるとは言えない。
 また同じことになる可能性が非常に高いからだ。
 売られて戻ってきた。ならまた売ってしまえ。こう考えるクズはかご一杯の豆の数より多い。
 だからこそ、こうした強い庇護を受けた職場は必要になってくる。それを邪魔させるわけにはいかないとチェレンチィは思う。
「こういう接客業は初めてですが、まぁ頑張りますよ」
 そして……実はラダは強力なコネクションを用い、サーベルクローの情報収集をしていた。
 目的はサーベルクローの人数や各人の容姿・個人情報を調べ、共有すること。
 そしてそれは、これ以上ないくらいに成功していた。
「皆、こいつらの姿が見えたらよくよく注意してくれ」
 集まった仲間たちにラダはそう伝えて、『月夜に吠える』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は小さく溜息をつく。
「んだよ、うぜぇ客を絞めるだけかとおもったら、店員の真似事もさせられんのかよ……仕方ねぇか。ラダの縁故の奴なんだろ。仕事は仕事だ。やってやるよ」
「一族傘下にいくつかの店を持ってはいるが、実際に給仕をした経験はないの。いや、転移してきてすぐは生きるために色々やったかもしれぬの。覚えてないが」
『合法BBA』鹿王院 ミコト(p3p009843)も頷きながら、設備を確かめていく。
 そう、向こうが手出ししてきたところを撃退しなければならない。
 事前にどうにかするわけにはいかないのだ。
「相手が何をしてこようと真正面から叩き潰せる「強さ」。それを求めるなら確かに私達はうってつけだね。お店の従業員。頑張っていこう」
「背後がどんな組織であろうと、町の食堂は町の食堂だ。まぁその組織も自称悪らしいしな」
『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)もそう頷いて、今回の仕事に関わる事情を聞いていた『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)も同意する。
 つまるところ、これはまじりっけなしの善行なのだ。此処を守ることが、ネフェルストで暗躍するクズどもの被害者を守ることに繋がるのだから。
 もっとも、今日は特別開店。給仕から調理まで、全部イレギュラーズに入れ替えだ。
 料理のマニュアルも当然存在するが……料理には当然「腕」も必要だ。
「ここは、いとしのゴリョウさんに料理を習った、わたしの、出番」
 グッと拳を握る『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、実にやる気に満ちている。
 愛しい人から学んだ技術を活かすのは愛の証明でもある。
 つまりはまあ、そういうことだ。そして、そんな「女神の尻尾」だが……実は『終縁の騎士』ウォリア(p3p001789)が早入りして掃除を開始していたりする。
「「あるばいと」等、数億年を軽く超える「神生」を省みても初めての事だ。召喚されてからというもの、毎日全く退屈しないな」
 そんなウォリアは身体の構造上制服などがあれば着用不可能だったのだが、此処はラサだ。
 窮屈な制服などは存在せず、エプロンで対応なのは流石といえるだろう。
「鎧姿で店内に立つのは不審極まりなく、食器類を無用に破損させる恐れもある。何よりこの図体では店内を動くだけでも邪魔だ……このまま平時は警備を含めた店外作業全般を主に行うドアマンを務めよう」
 そう言いながら、ウォリアは掃除を進めていく。
(……「誰がいつ来てもいいよう神殿はきちんと清掃しなさい」と姉によく窘められたのを思い出すな)
 他の作業をフォロー出来るように少し早めに始める心遣い。
 箒と塵取り、雑巾を手に食堂の中の掃除も忘れはしない。
 テーブルに椅子、壁や窓、どれも破損させぬ様に力加減に気をつけて綺麗に磨いていくその姿は、店内を動いていても全く問題なさそうなマメさだが……それ故にウォリアなりに思うところもあるのだろう。
「よし、では開店準備を始めましょう。掃除をボクたちも手伝って、あとは……お金の準備などでしょうか。抜かりなく、皆で手分けしてきちんと手早くこなしましょう」
「うむ。ところでどうじゃ? シンプルな着物にエプロン……町娘みたいじゃろう?」
 チェレンチィとミコトがそんな事を言いあうが、この「町娘に見える」というのは、ナメてかかってくる連中をぶっ飛ばせるので何気に良い手段であったりする。
「まあおかげで粗忽物からは舐められるかもしれぬが。くく。油断しきった顔が恐怖に歪む顔に変わるのがこれまた楽しみなのじゃ」
 おおっと、ちょっとミコトは性格悪……もといラサ適性が高そうだ。
「あ、支払いや勘定の類は得意だしやっとくよ。割り勘も合算も売上計算もお任せあれ」
 ラダのそんな言葉が響く中、ホール組の店内での動きかたも決まっていく。
 そんなわけで食堂「女神の尻尾」の……特別営業日の始まりである。
(「テリトリーだけで無く、目の届く一帯までも気配りを届かせなさい」とも姉が言っていた。うるさい小言だと思ったが役に立つものだ 姉さんありがとう)
 その中でもウォリアのマメさが目立つが……「姉さん」の教育の賜物なのかもしれない。

●鉄腕繁盛記
(店の雰囲気に合わせて服や口調、立ち振る舞いはある程度意識するつもりだったがよ。下町の食堂的なところなら、そこまでつくらなくてもいいかもしんねぇか?)
 人間の姿に変化していたルナが「スープにサソリが入ってた」とかほざくアホを絞めて放り出しながら、そんなことを考える。
 サーベルクローに限らずアホは結構出ているが、ハイセンスと聞き耳を併用し、怪しい動きがあれば周囲にも合図を送り、証拠を押さえた上で奇襲技術用いて大ごとにされる前に先手必勝という戦法をとっているルナを誤魔化せるはずもない。
 そして肝心の味のほうだが……変化したノリア、モカ、フォルトゥナリアと鉄壁の布陣である。
「まなんだのは、和食が主でも……応用は、ラサの料理にも、通じるでしょう……! むしろ、調味の鍵が、塩加減よりも、スパイスならば……海中育ちゆえ、塩味にはにぶいわたしにも、おあつらえ向きな、料理ですの」
「確かにラサの料理は独特だな。このマニュアルも分かりやすいが……フフッ、いくらでもアレンジできそうだ」
 ノリアとモカは基本的に厨房に籠り、鍋やらフライパンやらを振るっていた。
 女神の尻尾の料理のマニュアルはラサ料理の基本を踏襲しているが、初心者でも「本格的」な味が出せるように工夫されたものだ。
 自分の店を持つプロのモカからしてみればアレンジの方法は何通りも浮かぶが……だからこそ、というものなのだろうと思う。
 此処は立場の弱い人々が安心して働くための場所だ。
 誰にでも出来るというのは、非常に重要なことだ。
 それがこういうマニュアルという形で目に見えることで、経営者の人格の善良さすらモカには見えていた。
 だからこそ、振るう腕に妥協はない。モカもノリアも基本的には厨房に籠もり、注文が入った料理をひたすら調理していく。
(もしも最高級の料理を注文された時のために、最高級の食材を自分の店から持ち込んでおいたが……さて、どうなるかな)
 注文した人物が食べなかったら、私が作った最高級の料理は店内にいる皆で食べようとすら思っている。
 食後のお茶もモカが手ずから入れてもいい。此処には、そうする価値があった。
 髪を纏めて調理帽を被るヴェルーリアは、モカやノリアのサポート的役割を果たしていた。
 注文をしっかり覚えて捌くことは勿論、問題が起きない場合のタイムテーブルもある程度想定しておくことで、昼時のお客様の波を迎え撃つ準備も完璧だった。
 そして皿洗いもヴェルーリアの担当だ。厨房が回らない原因の1つには食器の洗浄が間に合っていないというものがある。
 それを防ぐためには皿洗いを優先できる人員の配置は必須なのだ。
「昼時のお客様が一段落したあたりで休憩を取りたいね。何が起こるかわからないから交代で取る形になるけど……」
 賄い楽しみだね、と笑うフォルトゥナリアにノリアが「任せてほしいですの」と笑い、モカもニッと自信ありげな笑みを返す。
「……もしも、料理のことで、何か、理不尽なことを言ってくるかたがいらしたら、料理人として、わたしが、対応しますの」
 ノリアはそう言うが……その機会はないだろう。何故ならホールに居るのは先程アホを叩き出したルナに加えラダとチェレンチィ、そしてミコトだ。
「流石に目に余る……のう!」
「ぐあーっ!?」
 今まさに、ミコトのドロップキックが酔っ払いを装って暴れようとしたアホを店の外へと叩きだす。
 そこにいるのは……警備を兼ねたドアマンをしているウォリアだ。
「オキャクサマはカミサマ、らしいな? ___思い上がるなよ?此方は本物の「神」だ! 鉄拳制裁の時間だ、覚悟しろ!」
 ボコボコにされたアホがそのまま迷惑にならない場所に捨てられるが、誰も気にしない。
 ウォリア自身、ラサは砂や砂利が特に多いからと入り口に敷いたドアマットのほうが気になっているようだ。
 そして店内でも、ミコトの見事なドロップキックに拍手が巻き起こるほどだった。
「なんじゃ、ひとを物の怪みたいに」
 これで締めるのはミコトのお作法であるらしいが、まあいわゆるルーティーンなのだろう。たぶん。
(今のはアレでよかったが……徒党を組んで現れたらそう個体に構っておられぬ。組織だった嫌がらせをしてくる可能性もあるしの)
 しかしまあ、実に忙しい。
 店内が空いている時間帯なら、エプロンをとって客席に座り、多少飲み食いしても構わぬじゃろ……などと考えていたミコトではあるが、本当にクルクルと回転が激しい。
「ったく、騒がしい店だ」
 思わずルナもそんな愚痴を漏らしてしまうが……此処が良い店である事は良く分かる。
 客層が、「わきまえた」客が多いのだ。それは場所がどうこうとか値段がどうこうとかではなく、店の雰囲気なのだろう。
 チェレンチィも愛想良く対応しているが、酒がどうのとクレームをつけてきた客を店の外へと蹴り飛ばす。
「店だって、お客を選ぶ権利はあるのですから。お帰りください」
 度を超えたクレーマーに振りまく愛想はない。
(それにしても……お国柄、ですかね)
 料理を運びながら、チェレンチィは思う。
 事前の調査でサーベルクローの構成員については把握できているが、今のはそれ以外のフリーのチンピラだった。
 ひょっとするとサーベルクローに雇われたのかもしれないが……ネフェルストの治安の問題なのかもしれない。
 まあ、今日を乗り越えさえすれば一掃されることは確約されている。
 合間合間に休憩時間を挟むが、ルナは反動で首元緩めてどっかと座り込んで酒……と行きたいところだが仕事中だから、と水でごまかして、頭からも水をかぶってラサの熱気を冷ましつつ髪をかきあげる。
 ミコトも酒を何度もチラ見しつつも手は出さない。
「酒は飲まぬ。飲まぬって」と言っている辺り、自制心がしっかり働いている。
 ……ちなみにだが、ノリアにはいざという時の、自前のつるんとしたゼラチン質のしっぽを客の目の前で切って調理する「海洋直送のお刺身」という凄まじい秘儀を隠し持っていたが、それを披露する機会は幸いにもなく。
「しかし落書きに生ごみとはねぇ……子どもか。ほら、自分達で掃除しろよ。あ、逃げたら撃つぞ」
 いよいよ物理的な妨害手段に出てきたサーベルクローをラダやウォリアが撃退して。
 場合によっては奥に連れ込んで殴ったりとバイオレンスなこともやりながら、閉店時間になっていく。
「アリガトウゴザイマシタ マタノゴライテンヲ オマチシテオリマス」
 最後の客を、ウォリアが礼をして見送って。
「ふー……まさに自分がもう一人いて欲しい忙しさだったな!」
「ああ、分かる。これは凄かった……」
 ウォリアとラダが、互いに健闘を称えあう。
「ま、参考にはなったね」
「おつかれさまですの」
「うん、おつかれさま!」
 モカにノリア、ヴェルーリアといった厨房組も笑いあう。
「あとは閉店作業をして終わりですね。お疲れ様でした」
「そしたら一杯やるのもいいのう」
 チェレンチィとミコトもそう言いながら、動き始めて。
 全てが終わったその後、ルナは一人こっそり、屋根の上にいた。
「っかし、怠い仕事だったな。本当に騒がしい店だ。群れるよりも、独りで月見ながら酒でも飲んでる方が、俺にはあってるぜ」
 万が一のために、外での見張り番を買ってでたのだが……店の中や裏でも仲間たちが見張りをしているので、油断すると仲間たちが差し入れを持ってきてしまう。
 本当に騒がしく……けれど、やりがいのある。そんな、忘れ得ぬ一日であった。

成否

成功

MVP

ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
つけ入るスキを許さぬ、見事な対応でした!

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