PandoraPartyProject

シナリオ詳細

『このお守りがあなたを守ってくれますよ』

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幸運のお守り
「私の占いの評判を上げるために、協力していただきたいの」
 ラサ(傭兵)の風情が漂うアラビアンな衣装に身を包んだ女性は、依頼を請け負うために召集されたイレギュラーズに向けて語る。
 『アベラ』と名乗る占い師の女性は、自身をラサ中の金持ちに売り込むために、どんな手を使ってでも占い師としての評判をあげたいと目論んでいた。
「ある客に私が作ったお守りを売りつけましたの。そのお守りには確かに効果があると思い込ませるために、皆様にはその客の男に起きるトラブルを解決していただきたいの」
 アベラは何やら詐欺紛いの計画を語り始める。
 客の男――オルトは必ず泥棒に狙われ、持っている巾着を奪われる。ただの親切な通行人を装い、犯行に及んだ対象から巾着を取り返すことがイレギュラーズに課せられる仕事である。
 一通り説明を終えたアベラは「簡単なお話でしょう?」と、ベールの向こうの口元に微笑を浮かべた。
 オルトは裏社会の人間であり、それなりに後ろ暗い経歴の持ち主だ。それ故に恨みを買うことも多く、アベラの占いを1つの拠り所にしているという。
「私はオルトのような小物とではなく、もっと大物と取引がしたいのです」
 裏社会の人間とのコネクションを広げたいことをほのめかすアベラにその理由を尋ねると、
「それは――私としての贖罪(しょくざい)、かしら……」
 アベラは様々な思惑、事情を感じさせる一言を言い添えた。
「とにかく、協力して頂戴な。今後もお付き合いしていただけるなら、教えてあげてもいいわ。その分、報酬も弾みますわ」


●サンドバザールにて
 アベラはサンドバザールのある場所を指定してきた。そこで待機するように指示されていたイレギュラーズは、オルトの特徴に合致する男の姿を見つけた。
 屋台の間を行き交う人混みの中でも、オルトのその堅気らしからぬ強面の風体は一際目立っていた。
 オルトを見つけた直後、事態は急転する。
「泥棒!! だ、誰か捕まえてくれ!」
 アベラの言った通り、早速オルトは持っていた巾着を何者かに奪われた。巻き込まれることを避けて傍観するだけの人混みをかき分け、イレギュラーズは目深にフードを被った盗人の背を追いかけた。やがて盗人は袋小路に追い詰められる。
 人間種の盗人は鋭く言い放つ。
「お節介な野郎共だ!」
 追い詰めたのと同時に、狙い澄ましたように盗人の仲間らしき男たちが現れる。
「あいつの仲間か? 誘き寄せるチャンスを台無しにしやがって……!」
 盗人の言動から察するに、オルトを1人切りにしたい何かしらの理由があったようだ。
 盗人の男は、イレギュラーズの頭上を飛び越えてその身軽さを見せつけると、一部の仲間を引き連れてその場から走り去る。
 イレギュラーズの目の前には、全身を覆う突起がついたウロコが目を引く存在――複数のトカゲの獣種が立ち塞がっていた。

GMコメント

 占い(詐欺)の手伝いをこなす悪依頼となります。
 アベラがリピーターになりたいと思うほどすばらしい結果だった場合、報酬(GOLD)が上乗せされます。アベラが裏で糸を引いていることなど微塵も感じさせない手際、オルトがよりお守りの効果を実感する(異性との運命の出会いを感じさせるような展開とかとか)などが結果に影響してきます。


●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『傭兵』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●シナリオ導入
 トカゲの獣種5人が行く手を阻み、他の5人は市場通りに向かって逃走を図った。
 すぐに追わなければ、巾着を持ったまま逃げ切る恐れがある。また、人通りの多い通りでは、戦闘に一般人を巻き込む事案が発生しかねない。この状況をどう打破するか――。


●成功条件
 オルトの所有物を奪い返すこと。
(敵対する対象の生死は問いませんが、占い師アベラとの関係に気づかれた場合は失敗となります)


●戦闘場所&敵について
 大体14時頃、サンドバザールの一角。袋小路の空き地からのスタートです。
 オルトは完全にイレギュラーズたちの姿を見失っている。合流するまでには時間がかかるだろう。
 敵の数は計10体。
 トカゲの獣種(身長は成人男性並み)5人が別の5人を逃がすため、進路を妨害してくる。トカゲの獣種は、物理攻撃に対し高い耐性を持っている。
 逃げた5人の内、2人もトカゲの獣種で、3人は人間種。逃げた5人は、人気のない場所から大通りに出ようとしている。
 いずれもナイフによる攻撃(物至単)を用い、人間種3人は【麻痺】の副作用がある針を投げ飛ばす(物中単)。


 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • 『このお守りがあなたを守ってくれますよ』完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA
ノワール・G・白鷺(p3p009316)
《Seven of Cups》
玖珂・深白(p3p009715)
キリングガール
暁 無黒(p3p009772)
No.696
ウルファ=ハウラ(p3p009914)
砂礫の風狼

リプレイ

「――誘き寄せるチャンスを台無しにしやがって……!」
 イレギュラーズに敢え無く追いつかれた盗賊の一味は、そう息巻いた直後にその場から逃げ出そうとした。
「あぁ、そこの貴方――」
 その一言と共に、『《Seven of Cups》』ノワール・G・白鷺(p3p009316)の攻撃は壁となって進路を阻むトカゲの獣種らを飛び越える。そして、逃走を図った獣種の1人は白い波動によって突き飛ばされた。他の4人は地面に突っ伏したトカゲには構わず、市場で賑わう通りの方へ移動を開始した。
「途中退席は勿体ないですよ? お楽しみは此処からですから」
 その一言を添えて不敵な笑みを浮かべるノワールは、余計に凶悪そうな獣種――二足歩行のトカゲたちを煽った。
 『No.696』暁 無黒(p3p009772)はノワールに気を取られるトカゲたちの隙を突いて、トカゲたちの間を縫うようにしてすばやくすり抜けた。風のように捉えることができない無黒を制止する間もなく、トカゲたちは『キリングガール』玖珂・深白(p3p009715)が発揮する能力を目の当たりにする。
 深白は魔力を結晶化させる能力を駆使することで、自在にその形を形成する。雪の結晶を何重にも固めて肥大したようなそれは瞬時に現れ、屋根上に回り込むための足場を構築した。
「ほっほー、ナイスじゃ深白の嬢ちゃん!」
 『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)は喜び勇み、老齢の見た目とは裏腹な軽快な動きを見せ、真っ先に足場を利用して回り込んだ。その様子を見て足止め役を任されたトカゲたちは慌てたが、深白が形成した結晶は、同時にトカゲたちの進路を阻むように突起を突き出していた。
 『悪しき魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)も即座にチヨの後に続き、巾着を持って逃げた男たちを追った。トカゲたちはことほぎらを止めるために足場を利用しようとしたが、それらは体重をかけた途端にガラスのように砕け散った。
 ノワール、深白と共に、その場に残った『砂礫の風狼』ウルファ=ハウラ(p3p009914)は、
「……汝ら、怪我をする前に財布を返すが良い」
 トカゲたちを威圧する一言と共に、ウルファはそのモノの姿を発現させた。狼の輪郭を包帯で形成された風の精霊の一種――風狼を即座に放てるように身構える。
 風狼の存在に注意を向けたトカゲたちに対し、ウルファは瞬時に攻撃を放つ。
 何か糸状のものが周囲で一瞬きらめいたのを視認すると、トカゲたちの腕や脚には鋭い痛みが走った。張り詰めたピアノ線が食い込んだかのような切り口が全身に現れ、トカゲたちはウルファの魔術に表情を引きつらせた。

 ――フフフ……! 詐欺に加担するついでに脚も……いいですねー。
 『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)は隠密行動を心がけ、存在を悟られないように家屋の上などから追走し、合流地点を目指し始めた。
 一方で、通りに面した場所で大道芸人に扮した『横紙破り』サンディ・カルタ(p3p000438)は、盗賊らが路地裏から通りに出てくる経路を予想し、奇襲を仕掛けようと待ち構えていた。
 サンディは何食わぬ様子で、銃のジャグリングを披露することに集中しているように見える。その中の銃の1つ、短身のショットガンにだけは弾創を込めていた。
 狭い路地の向こうから目につくトカゲの獣種の姿が現れ、サンディはひそかにカウントを開始した。その獣種を含めた盗賊4人が目の前を通り過ぎようとした瞬間、サンディはジャグリングを止めた。宙に浮いていたショットガンを即座に構え、走り抜けようとしたトカゲの1人に向けて引き金を引く。
 不意に銃撃を受けたトカゲは驚愕したものの、確かに丈夫な皮膚を備えている。その場から逃走する姿勢を貫くほどには動揺を示さなかった。その反面、周囲の人々は騒然となり、一斉に人の波が引いていく。
 流れ弾に当たりかけた人間種の盗賊――盗賊Aは1人その場に残り、逃げ去る他の仲間を見送った。そして、サンディを血走った目で睨みつけ、怒号を飛ばす。
「てめぇ、ふざけんじゃねえ!!!!」
 盗賊Aに対してサンディはただ一言、「失礼、手が滑った」と肩をすくめるだけだった。サンディが血気盛んな盗賊Aを引きつけている間にも、通りを行き交う大衆を突き飛ばす勢いで、3人の盗賊らは遠ざかっていく。
「待てやコラ!」
 ことほぎは鋭い声をあげて盗賊らの背中を追った。「道あけろ!」と声を荒げることほぎの威圧感にも圧倒されたのか、左右に割れる人混みによってすんなりと道は開けた。
 何やら複雑な事情を抱えているアベラのことを頭の片隅で気に留めつつも、チヨは盗賊らに向かって全力疾走する。
 ――何はともあれ盗人を逃したらコトじゃ、追いかけるぞい!!!!
「伊達に長年近所の悪ガキを追いかけ回しとらんわ!!」
 ことほぎを追い抜く勢いで疾走するチヨの姿は、多くの通行人の視線を奪った。
「チヨばぁちゃん、めっちゃ速いっす!!」
 無黒もその1人であり、チヨの勢いに驚嘆しながらその後に従う。
 チヨを先頭とした3人は、盗賊らを懸命に追跡する。
 ワイヤーアクションのごとく空高く跳躍したチヨは、獣種の盗賊Bに向けて飛び蹴りの構えを見せた。チヨによって激しく背中を突き飛ばされた盗賊Bは、勢いよく転がり態勢を崩す。
 チヨの動きに目を見張る間もなく、ことほぎが放った魔弾がもう1人の盗賊Cを襲う。呪力を引き出す媒介となる煙管を構えたことほぎは、吹き出した紫煙をたちまち呪力を凝縮した魔弾へと変化させる。
 容赦なく攻めかかることほぎとチヨに翻弄される盗賊BとCには構わず、逃走を続ける盗賊Dを無黒は追いかける。無黒は通り沿いの家屋の上から追走するピリムの姿を認め、あることを思いついた。

 ウルファが魔術を展開した直後、反撃に出ようとしたトカゲAの動きをノワールは即座に封じる。
 ノワールは自らの能力を駆使し、半透明の黒いキューブをトカゲAの目の前に出現させた。キューブはトカゲAの全身を包み込むようにその大きさを増していく。
「申し訳ございません。ホントは私も、こんなことはしたくはないのですよー? なんて」
 ノワールがそうつぶやく間にも、完全にキューブに取り込まれたトカゲAの影は、苦しみ悶える姿を見せていた。
 わずかな間に犠牲となる仲間、ノワールの攻撃に気を取られている隙を狙い、
「それじゃトカゲさん、アタシと踊り――戦い――ましょ?」
 深白もトカゲBへと攻めかかる。
 トカゲBはその俊敏な動きに息を飲みつつも、深白の刃を受け止めた。円環状の刃を構えた深白は、トカゲBの皮膚の硬度を刃を通して知る。刃を表皮の上で食い止めたトカゲBは、接近した深白を払いのけようとナイフを振り回す。深白はその動きに応じて後退し、更に砕け散った結晶の破片を利用し、ナイフのように投てきしてみせた。
 トカゲたちの攻撃を阻むように、ウルファの風狼も旋風を巻き上げて威嚇を繰り返す。
 トカゲたちは厄介な魔術を展開するノワールとウルファを仕留めようと躍起になるが、冷静に身構えるウルファらにはそれほどの障害とはならない。相手の動きを予測するかのように、深白も不可避の斬撃を以て相手を翻弄し、むやみに突っ込んだトカゲはウルファの魔術によって切り刻まれた。
 最後の1人となって立ち竦むトカゲFはようやく相手を理解したのか、じりじりと3人の前から後退る。
「とりあえず首を落として心臓を潰して、それでも生きているようなら何か考えないといけないわね……」
 独り言のようにつぶやく深白を凝視するトカゲFは、すでに戦意を喪失し切っているように見えた。

 盗賊Aの怒りを買ったサンディは、「落とし前つけろや!!」と凄む盗賊Aから殴りかかられた。拳を振り抜く盗賊Aに対し、サンディは機敏に反応する。怒りのままに荒々しい拳撃を繰り出す盗賊Aにサンディを捉え切ることはできず、次第に肩で息をし始める。
 瞬時に至近距離から飛び退いた盗賊Aは、サンディの動きを鈍らせようと目論んだ。暗殺針を抜き出した盗賊Aは、サンディの肩口に向けて投げ飛ばす動きを見せた。しかし、サンディは咄嗟にその針を片手でつかんでみせた。寸前で針を受け止めたサンディに驚愕した矢先、盗賊Aは逆に飛ばした針を自身の肩口に突き立てられた。
 怯む間すら与えない速さで、サンディは一気に男をねじ伏せようと動いた。その体を貫く勢いで、サンディの拳は男のみぞおちを穿つ。魔力を帯びたサンディの凄絶な一撃は、男の体を容易に吹き飛ばすほどだった。
 ――さてと、もう一仕事あれば片付けるか。
 サンディは即座に踵を返し、盗賊の残党の有無を把握するため、騒然としたままの通りを後にした。

 オルトの巾着を持ったまま逃走する盗賊Dと、それを追跡する無黒の後ろ姿をかろうじて認めたチヨは、再度追走を開始する。
 盗賊らを振り切る勢いのチヨに対し、
「クソ、なんてババアだ!!」
 トカゲの盗賊Bはチヨを追いかけようとしたが、ことほぎが浴びせる魔弾によって追撃を阻まれる。
 盗賊Bはどうにかことほぎの攻撃を掻い潜り、盗賊Cにことほぎを任せてチヨを止めようと動く。
 背後に迫る盗賊Bに気づいたチヨは急転身し、盗賊Bの前に仁王立ちになる。
 「ほああああああ!!!!」と威勢のよさを見せつけるチヨは、磨き抜かれた老練の技で相手を圧倒する。チヨの殺人拳を次々と打ち込まれた盗賊Bは、たまらず後退する。そこへサンディも合流しようと姿を見せ、盗賊BとCは撤退する動きを見せた。
 「何なんだよ!」と悪態をつく盗賊Cは、「役に立たねえ情報よこしやがって」と何事かについてぼやいた。
 盗賊2人は盗賊Dと同じ方向に走り去る。チヨも盗賊Dから巾着を奪うことを優先しようと、真っ先に後を追った。
 チヨとことほぎが盗賊2人の相手をしていた間にも、無黒は盗賊Dから巾着を奪おうと行動を起こす。
 無黒から放たれる見えざる力、衝撃によって盗賊Dは足元をすくわれる。その瞬間、転倒した盗賊Dは巾着を放り出す形となり、無黒はすばやくその巾着を奪取した。
 巾着を奪われたことで激昂する盗賊Dだったが、無黒は指先から伸びる茨のツルをムチのように振り回し、盗賊Dを寄せつけない。そこへ盗賊B、Cも追いつき、ほぼ同時に加勢するチヨは無黒を促す。
「無黒坊、ここはばあちゃんに任しときぃ!」
 サンディやことほぎも加勢するチヨに続く中、チヨに従って動き出す。盗賊らをまくことに努める無黒は大通りから外れ、入り組んだ路地裏の方へと走り込んだ。

 ピリムは身振り手振りで合流を請う無黒の指示を遠目から把握していた。
 路地裏でピリムと合流を果たした無黒は、ピリムに任せたい役目を簡潔に説明し、奪い返した巾着をひそかに託した。
 そこへ必死に無黒の姿を探していた盗賊Dが現れる。ピリムは咄嗟に無黒が巾着を持っていることを印象づけようと、「早くそれを持って逃げてくださいー」と無黒に伝える。
 走り去る無黒に盗賊Dは追いつこうとしたが、立ち塞がるピリムのただならぬ雰囲気に圧倒される。
「2人切りになれましたねー」
 そうつぶやくピリムの視線は、目の前の獲物を捉えて離さない。ピリムは薄気味悪いほどに爛々と輝く眼差しで、
「せっかくここまでうまく行ったのですから、ご褒美をいただけますかー?」
 ピリムはそう言って、盗賊Dの胴体に向けて刀を抜き放った。

「誰の指示で、どういう目的だったのかしら?」
 痛めつけられ、深白に詰められるトカゲFは、観念したように目的を明かした。
 真の目的は、オルトのボスである人物から金を奪うことだった。オルトは占いに頼るような小心者だという話から、簡単に金の在り処を吐かせられると思った。そこでスリのフリをして近づき、オルトを袋叩きにするための機会を狙っていた、というのがトカゲFの話である。
 始めからマッチポンプを疑っていたウルファは、
「ほう……その占いに頼っているという話は誰から――」
 更にトカゲFから詳細を聞き出そうとしたが、まさにトカゲのように家屋の壁を登り切り、一瞬の内にその場から逃げ出した。
「あら……気づかれていたのかしら?」
 姿を見失ったトカゲFを追いかけようとした寸前に、その声の主――アベラは現れた。
 3人の前に姿を見せたアベラは、
「優秀なお仲間がよく調べてくれていたようですわ、あのトカゲもなんとかしてくださるでしょう」
 イレギュラーズの仕事振りを見てきたような調子で言った。
「やはりな……情報を流し、オルトを襲うよう誘導していたか」
 ウルファの一言を聞いたノワールと深白も、アベラの思惑を理解し始める。
「お守りを、あたかもご利益あるかのように演出するのは良いことじゃ」
 ウルファは尊大な態度を取りつつも、アベラの身を案じて遠回しに言った。
「――じゃが忘れるな……そこまで出来るのは情報の精度と伝手があるからじゃ。予想外という死角と裏切りには気をつけよ」
 ウルファの忠告を聞いていたアベラは一瞬真顔を見せたが、再度微笑を浮かべ、どこか食えない反応を返す。
「ご忠告ありがとうございます。そこまで考えていただけるのなら、また仕事を引き受けてもらえるということかしら?」

 サンドバザールを忙しなくうろつき、血眼になって盗賊を探し続けていたオルトをピリムは見つけ出した。
「この巾着はあなたのものですかー?」
 そこでピリムは一芝居打ち、巾着を預かっていたウソの経緯を説明する。
「私も彼らに大切な物を盗られてしまったのですが、親切な方が貴方の巾着と一緒に取り返してくれましたー」
 柄にもなく猫をかぶりまくるピリムは、
「フフ……揃って盗まれちまうなんて、私達少し似てますねー。大きなお怪我も無いようでよかったですねー」
 と、お守りによって訪れた幸運を演出するため、オルトを口説き始めた。

 サンディは独自の情報網を利用し、周辺地域に関連する盗賊の情報を仕入れていた。盗賊のたまり場となっている場所に目星をつけていたサンディは、ことほぎとチヨを引き連れて路地裏へと向かう。
 路地裏の一角に逃げ出した盗賊3人の姿を見つけ、サンディは躊躇なく引き金を引いた。
 ――占い師が何を企んでるか知らねーが。
「恩を売っとくためにも、後始末もきっちりしないとな」
 その盗賊らは、二度とサンドバザールに姿を現すことはなかった――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
アベラは皆さんの仕事振りを気に入ったようです。またどこかで会う機会が訪れるかもしれません。

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