シナリオ詳細
<異世界プリンの恨み>甘さの秘密?
オープニング
●甘味への執着
「アマダケという高級なキノコがあるのです。皆さんにはそれを取ってきてほしいのですよ」
それはごく一部の地域にしか生えないキノコだ。その貴重さから美食家の間ではレア食材の1つとされている。
絶対美味しいのです……と『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)も頬へ手を当ててうっとり顔だ。
依頼人は幻想のとある貴族。この依頼人は甘い物に目がなく、自ら採取しに行くという奇特な人物だった。
「今回も探しに行こうとしていたみたいなのですが、ご家族の方に猛反対されて渋々諦めたみたいなのです」
アマダケの生える森には甘いもの好きなクマが生息している。森から出てくることはないが大変凶暴で、冒険者でもなければあっという間に殺されてしまうだろう。
また、森自体も静かすぎて不気味だ。植物たちもだんまりを決め込んでいると常に薄く霧が立ち込め、先を見通すことは難しい。
それでもアマダケが食べたいと駄々を捏ねる依頼人に、ならローレットへ依頼しましょうと使用人が提案したのである。
「洗ってそのまま食べても、何か料理に使っても美味しいらしいのです。あと、先日の『幻のプリン』にも使われたって断言されたのです」
ユリーカの言葉にイレギュラーズ達は顔を見合わせた。
先日、アラモード伯爵の主催するパーティーが行われた。場所の提供は別の貴族であったが、そこではサプライズとして『幻のプリン』が出されたのである。
幻のプリンは異世界プリンとも呼ばれ、とある旅人(ウォーカー)が苦労と偶然の賜物により再現した故郷の味だとか。
参加者分しか用意されなかったプリン。こういう時必ずや現れるのだ、1人で2つ以上食べてしまう者が。
……というより、一緒に盗み食いしてくださいって依頼がローレットに来ていた。イレギュラーズの諸君の内、何人かはその依頼書を目にしただろう。
「実際の所、本当にアマダケが使われたのかわからないのです」
レシピは門外不出。確かめようのないそれは、あくまで依頼人の推測だ。
「そのまま美味しく食べるのか、幻のプリンの再現に挑戦するのかはわかりませんが、ともかく依頼内容としてはアマダケの採取なのです。よろしくお願いしますね」
- <異世界プリンの恨み>甘さの秘密?完了
- GM名愁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年08月03日 21時32分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●どんなキノコ?
「マサカ、あのプリンのツマミ食いがここまでオオゴトになるだなんて思いもしなかったなぁ」
『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の言葉に、全員の視線が一気に集まった。
「食べたの!? ヤバかった!?」
目を輝かせて問う『壊れた楽器』フルート(p3p005162)。
「至上の甘味だと聞いておりますよ。僕も食べてみたいもので御座います」
『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)がそう告げながら羊皮紙を広げた。
羊皮紙はまっさらの状態。霧深い森の地図は手に入らなかったので、作ってしまおうという算段である。
「プリンにキノコって言われてもピンとこないけど、美食って言うのは常人には理解出来ない発想から来る物なのかしら?」
「そうかもしれませんね。……最も、この混沌においては常識などと言ったものが揺らいでしまいそうでは御座いますが」
『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)の呟きに幻は苦笑を漏らした。
旅人(ウォーカー)は世界を跨いで召喚されているのだ。当たり前だったことがそうでないことも多々あるだろう。
現に、この世界に住まう者達はさほど驚いていないようで──。
「キノコいっぱい持ってったら、作ってくれる、かな」
「食べてみたいよね! キノコ好きなグルメ熊さんも、食べたら美味しかったりしないかな?」
「甘い物ばかりを食べて、ハニーベアのお肉も甘くなってるかもしれませんね」
──なんて、『孤兎』コゼット(p3p002755)やフルート、『守護者の末裔』シエラ・クリスフォード(p3p004649)はキノコやハニーベアの味を想像していた。
まあ、異世界のプリンなんて大抵の者が興味を抱く名前である。
「今回は是非依頼人に再現して頂いて、ご相伴に預かりたいものですね」
「あたしも、食べてみたい、な」
幻の言葉にコゼットを始め、仲間達が頷く。
「そのためにも、キノコを無事持ち帰らねばなりませんね」
『昏き森の』ノエル(p3p006243)は霧の漂う森へ視線を向けた。
常に霧がかかっているというその森は、少し不気味だ。
「森へ入る前に情報共有と致しましょうか」
「ええ。確か、アマダケは蛍光ピンクだそうですね」
「傘に四つ葉マークだよね!」
ノエルとフルートの言葉を聞きながら幻が羊皮紙の端にアマダケの特徴を書いていく。
(……毒キノコ……)
竜胆は思い浮かべて思わず心の中で呟く。
いやいやここは混沌だ。毒キノコに見えたって美味しいのだ。恐らく。
「1カ所に、1つしか、生えないって、聞いた、よ」
高そうなレストランにも聞いてみたの、とコゼットが言う。群生して生えないから希少性が高まるらしい。
幻はキノコの特徴を書いた上にそれを書き足した。
「あ、コシより下くらいのタカサにしか生えないんだって」
イグナートが自らの腰の高さを示した。
「ふむ……近くの住民によると、生える場所に規則性がないようです。逆に、この森の中ならどこでも条件を満たしているのやも知れませんが。高さが絞れたのは良いですね」
幻が頷いて書き込んでいく。そこへ声を上げたのは竜胆だ。
「あ、そういえばハニーベアが通った場所にはアマダケがないって聞いたわ。話していたとおりね」
『ハニーベアが通った場所はアマダケを食べつくされている』という予測が確かとなったわけだ。
「ハニーベアに遭遇した時、たまたま持っていた甘味を遠くへ投げつけたら九死に一生を得た、という話も聞きました」
もちろんアマダケを持っていない時ですが、とノエルは言う。『観光客』アト・サイン(p3p001394)が続けて口を開いた。
「ハニーベアと言えば、基本的に4足歩行の熊だね。戦うときは大きく見せる為に後ろ足で立つ。それと、甘い物を見ると他が見えなくなるんだ」
大柄な熊が立ち上がれば、それだけで威圧感は凄まじいだろう。甘い物への執着は激しいようだ。
「こんなものでしょうか」
「私も見せてもらっていいですか? 手元でも確認できるようにしたくて」
幻が情報をまとめた羊皮紙を眺めてそう呟く。シエルがアマダケの特徴をメモしようと、断りを入れて羊皮紙を覗き込んだ。
アトは仲間達から森へ視線を移す。
(森もまた1つのダンジョンと考えれば、この冒険にこそ意味はあるだろう)
「さあ、森を『冒険』するとしよう」
かくして、イレギュラーズ達は霧のかかる森へ足を踏み入れたのだった。
●行きはよいよい?
「キノコどこの子元気な子~♪ カサを開いてポポポーン♪」
即興で歌を口ずさむシエラ。その機嫌を示すかのように狼の尻尾が揺れる。
(こういう任務は嬉しいですね)
元々森の中に住んでいた為か。少し安心するような、そんな気がするのだろう。
「今は……こちらの方角ですね」
幻が方位磁石で確認しながら羊皮紙に通った場所を書きこみ、ロープを木に繋いで目印にする。
(このロープがなくなる前に見つかればいいのですが)
ちら、と幻はロープを見下ろした。
まだまだ余裕はありそうだが、油断は禁物である。
同じようにコゼットもまた、ナイフで木に傷をつけて目印にしていく。その視線が彷徨う先は地面の方──先ほどの情報共有で示された『(イグナートの)腰から下』の位置であった。
先頭を進むのは長い棒を携えたアトだ。霧で見落とさないよう、棒で周囲を探りながら進んでいく。
(熊は恐ろしいものだ)
恐ろしい膂力を持ち、走れば早く、水の中を泳ぐことや木に登ることだってできてしまう。
不意に、棒が落ち葉に触れてカサリと音を立てた。
「この一帯、葉が落ちているようですね。吹き飛ばしてみましょう」
幻が見える範囲の地面を見渡した。
秋でもないのに葉が落ちているのは不思議だが、こういった場所にアマダケは隠れているのかもしれない。
星空のようなシルクハットから魔術が飛び出し、辺りの落ち葉を巻き上げる。イレギュラーズ達は手分けして周辺を探った。
「あった?」
「ううん、見つからない、よ」
「こちらも御座いませんね」
幻は探している途中に甘い香りの漂う木の実を見つけ、そっとシルクハットの隠しポケットへ。
キノコが無いことを確認し、一同は再び探索へ戻った。
鋭い感覚で周囲を探るのはフルートとノエルだ。
フルートは森に響く音を耳でしかと捉え、ハニーベアの接近に備える。
(仲間達の歩く音、棒で地面を探る音、……あ)
「あ」
「ドウした?」
心の中と口で同時に声を上げたフルート。最後尾で警戒にあたっていたイグナートにもそれは聞こえる声量だったようだ。
「熊さんみたいな足音が聞こえたなーって思って。結構距離ありそうだけど」
あっちの方、とフルートは左の方を指差す。
「それなら、少し進路を逸らしながら進みましょう」
イグナート同様最後尾で警戒していた竜胆の言葉に頷き、一同は今までより若干右寄りへ進路を変更した。
(熊さんでも嗅ぎ分けられる匂いなら、私の鼻でも嗅ぎ分けられたりしないかな?)
くんくんと鼻をきかせるフルートの横で、ノエルも同じように嗅覚でアマダケの匂いを捉えようとする。
アマダケらしき独特の香りはまだ感知できない。そういった香りを発していないのか、それともこの周囲にはないのか。
(採取したからこそ匂いが放たれるのでしょうか?)
そんな予測を立てながら、ノエルは見落としのないよう森の中を探していく。
「皆、ハニーベアの足跡だ」
先頭を行くアトが地面に残る跡に気づいて声を上げた。皆がしげしげとその足跡を眺める。
「同じ方向へ向かってるわね」
「じゃあ、アマダケあっても、食べちゃってる、よね」
「そうだね。この道はサケテいこうか」
竜胆の言葉にコゼットとイグナートが続く。
仲間の中でも聴力の鋭いコゼットとフルート、ノエルが耳をすませたが、どうやらこの足跡の主は近くにいないようだ。
「霧、深いねぇ……」
突然襲撃されても慌てないようにしないと、と呟くフルートにアトが頷いた。
アトは言う。熊が人を襲う理由は大きく2つに分かれるのだと。
「1つは突然遭遇した時。防衛反応だね」
「へぇ、もう1つは?」
「餌に対する執着心だよ」
今回、イレギュラーズ達はその理由をどちらも満たしていることになる。気を引き締めて行かねばならないだろう。
「あ、僕は熊ハント初めてだから当てにしないでね」
「そうで御座いましたか。ハニーベアについても詳しく知っていましたし、てっきり……」
「事前に知識は得ておくべきだと思ったからね」
そんな会話も交えつつ、イレギュラーズ達は段々と森の奥へ──。
──進み始めてどれくらい経っただろうか。
霧が日差しを遮り、まだ日が出ていることだけが明るさで分かる。
時間の感覚も狂いそうだ。
「ジメジメしてるし早く見つけたーい!」
フルートの言葉はこの場にいる全員の思いだろう。
五感を使うというのは酷く精神的に消耗するようで、全員に多少の差はあれど疲れの色が滲んでいた。
「けど、だいぶ森のオクまで来たんじゃないか?」
イグナートが辺りを見回しながら告げる。竜胆も同じように見回しながら口を開いた。
「ここまで、全然見かけなかったわね」
「本当にねー。きっとアレだよ、この倒木の裏とか……あっ!」
フルートが近くの倒木を覗き込み、「あったよ!」と声を上げる。
ぞろぞろと同じように覗き込むと毒キノコ──いや、聞いていた特徴に合致するキノコが1本だけ生えていた。
「では、採取しますね」
「待ってください。これで包んでから採取してみませんか?」
シエラを止めてノエルが出したのは紐で口を縛る袋だ。
匂いを防げるかもしれない、という言葉にシエラが頷くとノエルはアマダケの上から袋をかぶせる。
オーラの刃でアマダケの根元を切ると、シエラは持ってきていたザックに袋ごとアマダケをしまった。
周囲を警戒するために少し離れた場所で見ていた竜胆は、実際のアマダケに顔を引き攣らせた。
(凄い見た目をしているわね)
やはり毒キノコにしか見えない。
「依頼では何本必要だったかしら?」
「シテイされてなかったから、何本でもいいんじゃないかな」
竜胆の言葉に答えたのはイグナートだ。
何本でも、ということは最低1本あれば依頼は達成か。
「余分に採取できるなら、私達の分も欲しい所だけど……」
「そうですね。もし先ほどの採取法でハニーベアに気づかれないのなら、複数採取も視野に──」
ノエルが竜胆の言葉に頷きながら話していると、不意にコゼットがぱっと別の方向を見た。
「ざわざわ、聞こえる」
コゼットのギフト《ノイズ》がこちらへの悪意を拾い上げたのだ。今回の場合は敵意、と言うべきかもしれないが。
狼の耳をそよがせ、ノエルが目元に険を滲ませる。フルートも同じ方向を見て目を眇めた。
「足音、だんだんこっちへ近づいてるみたいだね」
「それじゃあ、アマダケは首尾良く手に入れられたし……脱出する?」
アトの言葉に一同は深く頷く。
幻の作った地図とロープ、コゼットの付けた傷跡を目印としてイレギュラーズ達は足早にそこを立ち去った。
●帰りはこわい
コゼットが聞こえる雑音に後ろを気にしながら走る。
「ざわざわ、大きくなってる」
「もう追い付かれちゃうかな?」
「出口まではあと3分の1程……逃げ切るのは難しいようで御座います」
フルートの問いに幻が答え、イレギュラーズ達は立ち止まって臨戦態勢を取った。
大した時間もなく、霧の中に大きな影が浮かび出る。
真っ先に影の前へ飛び出したのは兎耳の少女──コゼットだ。
鋭い肉薄から薄氷のナイフを滑らせるが、傷つけてもハニーベアはそちらを気にする素振りを見せない。
その標的は明らかにシエラだ。
「マッテました。アマダケはトウゼンとして、オレとしてはこいつと出会うのもキタイしてたんだよね。キョウから『クマゴロシのイグナート』と呼んでもらおうってね」
イグナートがその進路へ立ちはだかる。一瞬遅れて竜胆も道を塞ぐべくそこへ立った。
腰に括りつけたカンテラの光がユラ、と揺れる。
「匂いに釣られてやって来たんでしょうけど、そう簡単にアレを渡す訳にはいかないのよね」
2人が立ちはだかっても突破しようとするが如く突進してくるハニーベア。アトが剣を閃かせるとほんの一瞬だけ視線がアトへ向けられる。
ぐわ、と牙をむいたハニーベアにアトはにやりと笑った。
(僕と体力勝負しようってのか)
「いいよ、どっちかが倒れるまで存分にってあいたー!?」
「アト!?」
横殴りの攻撃にアトが地面を転がる。思わず竜胆が声を上げた。
「やめろよ、僕は柔らかいんだぞ!」
「さっき、いいよって、言ってた、のに」
アトの文句にコゼットが呟く。
彼は先ほどの攻撃をモロにくらった割に口調も体も元気そうだ。裂傷も少しずつ塞がっているのを見て、まだ回復の心配はなさそうだと幻はハニーベアへ視線を移す。
「さあ、お客様に奇術をお見せ致しましょう」
シルクハットから飛び出すのはハト──ではなく、魔力の塊。次いで魔力の弾丸もハニーベアへ降り注ぐ。シエラはサイバーゴーグル越しにハニーベアをきっと睨みつけた。
超大型の火器を両手に携えたフルートはハニーベアと格闘を──もとい、その武器で殴りつけるようにして攻撃する。
ハニーベアを食い止める前衛が攻防を繰り広げる中、ノエルの魔弓から放たれた矢がハニーベアの肩に刺さった。
「……森に踏み入った事は謝りましょう」
ノエルは小さく呟いた。
アマダケはハニーベア達の好物。美味しいと感じる物なのだろう。
(けれど、美味しい物を食べたいという気持ちは私達も同じです。故に、これは譲れません)
竜胆のカンテラをを目印に、ギリ……と弦を絞るノエル。その耳に竜胆の声が入った。
「誰か交代お願い!」
シエラへの進路へ立ちふさがる竜胆とイグナートは消耗が激しい。幻が癒しの奇術を順に施しているが、少しずつダメージは蓄積しているようだ。
竜胆の言葉に、コゼットが交代しようとハニーベアの進路方向へ回り込む。その時、振り上げられた爪が竜胆をなぎ倒した。
「ダイジョウブか……っ」
竜胆の方をみたイグナートもまた、逆から向かってきたハニーベアの腕に打ち付けられる。
ぐぐ、と起き上がった竜胆へ幻が奇術を飛ばす間に、ハニーベアはイグナート達が立ちはだかっていた場所を通過した。
(来る……っ)
シエラは咄嗟に防御の体勢を取り、迫りくるハニーベアの牙を2振りの剣で受け止める。
そのまま横へ受け流すようにして敵をいなしたシエラの前へ、盾を構えたコゼットが立った。
「シエラを、守る、よ」
再び向かってこようとするハニーベアにアトが発砲音を鳴らす。
「うーん、やっぱり皮膚は貫けないか!」
鹿くらいならなんとかなるのに、と言いながらアトはコゼットの横へ体を滑り込ませて同じように立ちはだかった。
それと同時にハニーベアの横へ躍り出たフルート。重さのままに勢い付けて武器を振り回し、その腕を打つ。
鳴き声を上げたハニーベアは爪を振り下ろしたが、フルートは体を捻ることで直撃を回避した。
幻に治癒してもらった竜胆が2振りの刀を手にハニーベアの背中から切りかかる。
傷を負ったハニーベアは前足をつくと、低く唸りを上げてシエラを睨んだ。
ノエルがシエラの隣に立ち、満身創痍のハニーベアへ厳しく声を発する。
「──退きなさい。命を失う事は本意ではないでしょう」
追われなければ命は取らない、と告げるノエル。
しかしハニーベアはゆらりと体を揺らして突進してきた!
シエラが2振りのオーラソードを構え、ハニーベアを睨みつける。
「食いしん坊さんですね、お仕置きです!」
魔力をまとった全力の攻撃がハニーベアへ叩きつけられ、その巨躯はゆっくり地面に沈んだ。
動かなくなったハニーベアに一同はほっと息をつく。
しかし、コゼットが再び兎耳をそよがせた。
「まだ、いる。ざわざわ、小さいけど」
(おにく、持って帰るよゆう、ない、かな)
ハニーベアの肉はまたいずれの機会にするしかないだろう。
「出口までもう少しです。抜けてしまいましょう」
幻の言葉にイレギュラーズ達は頷いて踵を返す。
走って、走って。走った先には久しぶりに感じる陽の光が待っている。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。久々に戦闘中心でないリプレイを書きました。
オープニング公開当初に想定していたものとは違ったアプローチで新鮮でした。危険を可能な限り避けるという皆さんのプレイングにより、アマダケは1本しか取れませんでしたがハニーベアとの交戦も1体のみとなりました。
これをどう受け止めるかは皆様次第ですが、依頼達成の観点から見れば良いと思います。
それではまた、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。
GMコメント
●成功条件
アマダケの採取
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人や情報屋の言葉に嘘はありませんが、不明点もあります。
●アマダケ
極一部の地域でしか採取できないレアキノコ。
大きさは15cm程度。
一見すると毒キノコを思わせる様な蛍光ピンクの傘を持っており、クラゲのような四つ葉マークが目印。
どのような条件下で生えてくるのか不明です。
●ハニーベア×??
凶暴なクマ。体長2m程度。
牙や爪で攻撃をしかけ、耐久力に富んでいます。
アマダケだけでなく、ハチミツ等甘い物なら何でも好みます。
甘い物を持っていれば森の中にいる限り追いかけまわしてきます。しかし匂いを的確に嗅ぎ分けることができるようで、アマダケを持っている者を何より優先して追いかけます。食べ物の恨みは怖い。
●森
ハニーベアの生息する森です。
甘味の良い材料が多く採取できるため、何人か森の中へ入ったことがありますがハニーベアに返り討ちに遭ったり帰ってこなかった者もいます。
常に薄く霧が立ち込めています。見通せるのはR2まで、命中や回避にマイナス補正がつきます。不意打ちに遭いやすく、見落としも多いかもしれません。
●ご挨拶
愁と申します。
<異世界プリンの恨み>タグは依GMのシナリオ『食べ物の恨みは怖しプリン食いたし』の後日談的シナリオです。
排他ではないので、安心して他の方のシナリオも参加してみて下さいね!
森では霧が出ているので迷子にご注意ください。
それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
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