PandoraPartyProject

シナリオ詳細

満ちるténèbres

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 よお、サンディ!
 聞いてくれよ、新しくテネーブル遺跡が見つかったんだ。俺はこれからそこに行ってこようと思う!
 え、どんなところかって? 調査も全然進んでないような場所だからわからない部分も多いが……そうだな、『暗い』らしいぜ。
 灯りをつければって? それがそう簡単にもいかないのさ。あそこの暗闇はちょいと特殊だ。
 普通のランタンや……そうそう、発光できるヤツとか。そういう光源がほぼ使い物にならないのさ。光が消えるわけじゃないから全くってほどでもないが、手元が見えるくらいかね。遠くを見通そうったってそうはいかねぇ!
 それにあの遺跡には何かがいるぜ。どんなヤツがいるかはっきりとはしてないが、音を頼りに動いていると見た。
 何、俺様の敵じゃねえさ! そんなもの軽々避けて、お宝を頂いてきてやるよ!
 ま、順調にいけば年の暮れには帰ってくるさ。そうだ、忘年会しようぜ、サンディ! 俺が奢ってやるよ!
 それじゃ来たばかりだが俺は行くぜ。誰が先に入るか分かったもんじゃない。1番に乗り込むのは俺様だ。
 そういうわけだから――年末の予定、ちゃんと空けておいてくれよな!



「うーーん……」
 とん、とん、とん。
 サンディ・カルタ (p3p000438)はこめかみを指に当て、記憶を遡っていた。目の前のジョッキに満ちた酒はまだ飲まれた様子もない。
 彼の背後にあるテーブル席はどこも満席で、年の暮れに賑わいを見せている。対してカウンターはサンディのように静かに1人で、という者が多いだろうか。
「やっぱり、遅いよなぁ」
「――何がだい?」
 応えの声に小さく肩を跳ねさせ、サンディはパッと振り返った。シキ・ナイトアッシュ (p3p000229)はやあ、と片手をあげてサンディの隣に座る。
「マスター」
 早々に飲み物を注文し、シキはサンディへと視線を向けた。
「随分と唸ってたじゃないか」
「いや……うーん、まあ」
 シキの前にグラスが置かれる。2人は軽くグラスを掲げ、一口含んだ。それを嚥下してサンディは口を開く。
「ベンタバール、最近見ないなと思ったんだよ」
「ああ、彼か。また遺跡に?」
 頷くサンディ。ベンタバール・バルベラルがいつものように飛び出していったのは、1ヶ月以上も前の話だ。大体1ヶ月もすればこの酒場に戻ってきて飲んだくれている男なので、もう戻ってきておかしくない時期なのである。
 遺跡荒らしなんていつ命を落とすとも限らない。サンディもそれは承知の上だろうが、ベンタバールは知り合いだ。死人で見つかるようなことがあれば寝覚めも悪い。
「今回はどんなとこに行ったんだい? 気になるなら見に行こうよ」
 私も一緒に行くからさ、とシキはグラスを煽る。氷がカラン、と崩れた。
「まあ、このままじゃ気になって仕方ないしなあ。どうせ何かに巻き込まれてるだろうし、ユリーカに依頼として出してもらって仲間を募った方が良さそうだ」
「わかった。じゃあまずはローレットだね」
 何事もなければ良い。その時はベンタバールに忘年会を……いや、帰ってくる頃には新年会か。依頼を受けたメンバーに奢ってもらうとしようじゃないか。

GMコメント

●成功条件
 ベンタバール・バルベラルの救出

●情報精度
 このシナリオの情報制度はCです。不測の事態に気をつけてください。

●テネーブル遺跡
 別名『光の墓所』。内部には光源の効果が非常に落ちる、特殊な闇が満ちています。
 内部は軽い迷路構造であり、2人ほどが並べる程度の道幅です。ベンタバールが潜入後、調査団が後追いしており、1階の構造は把握されているものとします。1箇所、下層につながる階段が発見されています。全貌は不明です。
 この遺跡は非常に音が響きます。足音、喋り声、火を焚く音。後述のモンスターを対処するにあたり注意してください。
 また、階段のある小部屋はセーフティポイントのような場所であり、音を出してもモンスターは入ってこられません。ただし部屋の前には寄ってきます。

●エネミー『???』
 テネーブル遺跡に生息するなにか。正体不明ですが、音に対し非常に敏感です。距離のある音も感知し、それを頼りに近づいて攻撃してきます。
 静かに近づいてくることから、追いつかれるほど素早いということはないでしょう。しかし逃げるために走ると他の個体を呼び寄せる可能性があります。
 調査団から2名の犠牲者が出ており、その死体はどこかしらの一部が食いちぎられたようだったそうです。
 モンスターを見つけられない状態での攻撃を受けた際、【混乱】BS判定が発生します。
 

●NPC『ベンタバール・バルベラル』
 サンディさんの関係者であり、ちゃらちゃらした雰囲気の遺跡荒らしです。彼については謎に含まれた部分が多くありますが、ナイフの腕前は確かです。
 1ヶ月以上音信不通であることから、なんらかのトラブルに巻き込まれた可能性があります。どこにいるかは不明です。
 光源の効きにくい遺跡へ向かうことから、暗視効果のあるアイテムを身につけていると想定されます。

●ご挨拶
 愁と申します。リクエストありがとうございます。
 帰ってこないベンタバールを救出しましょう。元気だったら新年会奢ってもらいましょうね。鍋とか良いと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 満ちるténèbres完了
  • GM名
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年01月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
優しき咆哮
※参加確定済み※
ねぇサンディ君。君の友達、迷子になり過ぎじゃない?
ふふ、愉快でいいけどさ
忘年会おごってくれるっていってたんだろ?私もうお腹すいちゃった!

暗視(弱)効果を獲得
【ハイセンス】と【エネミーサーチ】で視界に頼らず音と匂いで周囲の把握
エネミーの唸り声や足音、獣臭に特に注意。接近に気付いたらすぐに位置含め仲間に共有
通路に横に並べるのは2人。なんで2人×4列で移動だね
私は前から2列目で壁に手を付いて道に沿って歩く
走ると音が立つから出来るだけ静かに移動。ハイテレパスを通じて声を出さずに会話する

1階は内部構造わかっているので地図をあらかじめ作成
ランタンで光源を確保し手元は見えるようにしておこう
確認した部屋は地図にバツを付けていき確認漏れがないように

1階を見回ってベンタバールがいなかったら…いないんだろうなぁ
下層に繋がる階段がある小部屋で一度休息でも取らない?
暗いと気持ちが不安になるし、音立てないようにずっと気を張り詰めてたでしょ
運命にだって可能性にだって、休息は必要さ

下層は内部情報がない
調べた小部屋には音を立てず目印の石を置いておいて効率的に捜索
【ハイセンス】でベンタバールの声や匂いにさらに注意する

●戦闘
【エネミーサーチ】があるので恐らく奇襲は受けない
APのある限りAKA→黒顎魔王。牙があると想定し、中距離攻撃で距離を取りつつ警戒
適宜車輪蓮咲で【光輝】自付与、HP回収。容易く倒れてなんてやるものか!
サンディ・カルタ(p3p000438)
横紙破り
※参加確定済み※
あいつも懲りねぇな。
ま、派手に新年会させたろ。食べたいものはあるか?

調査隊は帰ってきてるんだよな?第一階の情報あるなら聞いてく。
一階にベンタバールが居ねえってんなら、本格的な捜索は次の階からだもんな。

お、そうだ。
洞窟の前に、歩行音とかをリピートサウンド(のカード)に保存しとこ。

光の墓所、かぁ。また面倒そうなところに入り込みやがって。
携行品で暗視(弱)を用意して、忍び足もバッチリ。ついでに聞き耳スキル。
ひとまずこれで洞窟の中の魔物と概ね同等、の、はず。

通路が狭い時は2人ずつ×4の隊列を組むぜ。
俺は3番目、前からREDちゃんと並ぶことになるな。
統制のノウハウで、皆がバラバラにならないよう注意を払う。

先行組がある程度は探ってくれるはず。
暗視はあるので、進めと止まれぐらいはあれだな、赤と青のカードとかで伝達できてもいいな。
ベンタバールの捜索と奇襲への警戒をこめて、聞き耳や人助けセンサーで警戒する。

基本なるべく敵を刺激しないで進めていく。
敵が多数こっち来る、または一時的にどかす必要がある場合には、
リピートサウンドの「任意の場所で再生できる」を利用して、離れたところから録音した音を出す!
これで敵が向こうにむかうはず!

戦闘時にはBSモリモリ+呪殺な遠距離の通常攻撃!
混乱した者や負傷が重なった人がいればオファーでHP&BS回復の支援に。
敵に肉薄されたらWSSで敵の防御を崩し味方からの横槍に期待。
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
◆遺跡荒らしだって聞いてますから、普通の人が入らないようなところに妙味があると思うのは分かりますけど…救出するとなると、相当手間ですね
ま、頑張っていきましょう

あ、食べたいもの…うーん
水炊きですかね

◆隊列は前から2列目、シキさんと並びます
暗視と、機能するかはわかりませんが広域俯瞰を用いて、捜索しましょう
戦闘中はまだしも、捜索中はなるべく足音を立てないよう気を付けますね

敵の正体はなんでしょうね
静かに近寄ってくるなら、ネズミやコウモリは違うのかな…
ヘビ…?

◆戦闘時は、下記を左から優先

副行動:主行動に合わせて移動、攻撃集中
主行動:2体以上を対象に神気閃光、HP3割以下の味方へミリアドハーモニクス、自身のHPが5割以下ならハウリングクロウ、通常攻撃

負傷度合いの高い敵、味方後方の敵を優先して狙います

戦闘音をきっかけにでも、ベンタバールさんの方がこちらを見つけてくれると楽なんですけどね
まぁ、敵の性質は分かってるでしょうから、難しいですか
怪我をしていた場合は、無理に動いた音でも、荒くなった呼吸音でも敵が寄ってきても困りますしね

◆さ、ベンタバールさん救出を祝ってみんなでご飯を食べましょう
お酒を飲まれる方は、お酌しにいきましょう
ゼファー(p3p007625)
雪風
ほんと遺跡ってヤツはどこもかしこも珍妙なとこよねぇ
普通なら関わり合いになりたくない様なとこなんですけど

…ま、お仕事とあればね!

>探索
前列を歩き、哨戒役として遺跡内を進む
忍び足と気配遮断を適宜使って、出来る限り静かな足取りで行動
少し前を歩いて安全を確認したら後方に身振り手振りで合図を送る

暗闇対策に暗視を使い、床の段差や壁の出っ張りなど、
移動時に音を立ててしまう恐れがありそうな箇所を見つけた場合は
味方に報せて出来るだけスムーズに進めるようにガイドする
しかしまぁ、厄介なところね
作った当人だってロクに管理出来てなかったんじゃないの、これ?

通路が狭い場合は最前列を歩く
警戒はそれまでと同様に行う

敵との無駄な接触は控える
もし、敵の気配や姿を確認出来た場合は一旦足を止め
やり過ごせる様な状況ならやり過ごし、どうしても戦闘を避けられない場合のみ排除しましょう

余裕があればセーフティポイントで休憩がてら状況を取りまとめ
実際に肌で感じた、モンスターへの対策を共有しましょう

戦闘時は可能な限り短期決戦を意識
手間をかければかけるほどややこしいことになりそうですからね
複数体襲い掛かってくるならH・ブランディッシュでまとめて攻撃し
単体相手なら蒼嵐散華をメイン
生憎、遊んでる暇はないからね
サクっと退いて貰うわよ

…んで。この遺跡に潜った甲斐はあったのかしら
出来れば土産になるモノでもありゃあいいんですけどね?

アドリブ歓迎
小金井・正純(p3p008000)
燻る微熱
シキさんとサンディさんのご友人?が行方不明とあらばお手伝いさせていただくしかありますまい。
……とはいえ、遺跡の探索などファルべライズ事件の時にした程度。基本的には慣れてる方々の指示にしたがって動くとしましょう!

遺跡内部は暗い、ということですし暗視を常に活用して視界は確保しておきます。
隊列は最後尾、お隣を歩く予定のサルヴェナーズさんは暗視(弱)とのことですし、何かあればお声かけしつつ連携を取っていきましょう。
最後尾なので、基本的には後方を警戒。

敵の正体が分からない以上、警戒は怠れない。
理想としては敵との接会無く下層へ降りていくこと。
もし遭遇した場合は音を立てて他の敵を引き寄せないように早々に撃破を目指します。
使用するのは亡兆星、遺体が食いちぎられていたということは牙が余程鋭いのでしょう。
攻撃する際、敵の口、牙を視認出来たらそこを優先して狙います。
呪縛もついていますし、動きを止められそうなら止めてしまいましょう。

謎の敵、せめてその全貌が分かれば…。

暗い遺跡ですし、同じ道を通らないようそちらも警戒が必要そうですね。届くかは分かりませんが、星の声である程度の位置を把握しておくようにします。

ベンタバールさんを見つけたらとりあえず状態の確認を。歩けそうなら良いですが、そう出ないなら肩を貸したり担いだりが必要でしょう。
周囲を警戒しつつ帰りも気をつけて帰ります。

ご馳走して貰えるなら美味しいもので!
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
光が通らない暗闇に満ちた遺跡だなんて、不思議だな。
興味が湧くのも解るよ。
ベンタバールさん、無事だといいな。

《行動》
ベンタバールさんを捜索・救助する。
隊列の一番前に立ち、索敵やガイド役を担う。
『暗視』で視界を確保する。
仲間との会話には『ハイテレパス』を使い、音を立てないように行動する。

遺跡の地図を書いて構造を把握しながら進む。
周囲を警戒し、障害物などがあれば仲間にも知らせる。
敵の姿形と数(見かける頻度)も確認したい。
救助を優先するから敵との戦闘は避けるが、後で多少は戦うだろうからな。

ベンタバールさんを発見したら念話で話しかける。
『ベンタバールさん、大丈夫か? あっ静かに、音を立てると敵が寄ってきてしまう。声は出さずにこれで意思疎通しよう』
『助けに来た、遺跡を脱出するぞ』
ベンタバールさんを隊列の真ん中に入れて護りながら、遺跡を出る。

もう年明けだぞ。
やるなら新年会だ、生きて帰って祝おうよ。

《戦闘》
接敵したら『響奏撃・波』で攻撃し、敵を【飛】ばして遠ざけつつBSで動きを鈍らせる。
戦闘を避けるならこの隙に逃げる。
敵を倒すなら攻撃を続行する。
『黒顎魔王』か、【背水】ならば『雷切(真)』で攻撃。
俺のHPが3割を切るか、無効化できないBSを受けたら『イモータリティ』で回復。

階段部屋に陣取れば、部屋に寄ってくるが入ってこない敵を一方的に攻撃できないだろうか?
もちろん、敵の総数が多くなければの話だが。
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の断罪狼
◆準備
遺跡対策で【暗視】と【罠対処】をセット

ベンタバールが長期で遺跡探索してるなら
食料が切れてる可能性もあるので
パンや果物や水を追加で用意

◆予想
「うーん。ベンタバールさんは階段の小部屋に居ると思うな。
さすがに敵が徘徊する遺跡の中だと安全地帯じゃ無いと長くは生きられないよ」

ベンタバールは罠で負傷したか
敵が強すぎて帰れなくなったと推測

敵は闇に適応して牙を持って足が遅いなら
蝙蝠みたいなタイプか
目が退化したワニ等の爬虫類型か?

◆探索
足音はなるべく立てない
敵に関しては
空を飛んだり壁や天井を這う可能性もあるので注意
暗視組の一人なので索敵はきちんとする

階段はすぐ降りる
目標は階段のある小部屋に居ると思うので
遺跡を隅から隅まで探す必要は無い

「ただ、ベンタバールさんが居る小部屋の前には、
敵が沢山集まってると思うからそれだけは注意だね。
たぶん彼の音で敵を引きつけちゃってると思うから」

◆戦闘
戦闘では『狼を縛る光糸』でまず敵の移動を封じる
狭い通路だから仲間を巻き込まないように
逆に言えば敵が多くても範囲攻撃の餌食である
泥沼と停滞が両方入ると機動力-5で
通常の人間以下の機動力の敵なら移動できなくなるはず

この状態なら敵の位置が固定され
敵を見失う事が無くなり仲間の混乱も防げるはず
あとは破式魔砲で吹き飛ばす

◆彼の発見後
「ベンタバールさん、自分で歩けそう?
食べ物と水もあるからゆっくり食べてね、少し休んだら帰ろうか」
サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)
砂漠の蛇
ここですか。随分と暗い、心を削ぎ落としていくような冷たい気配を感じますね

最後列で、正純と一緒に殿として行動しますね。音を立てないよう慎重に進みます
探索の際は、後方を警戒しながら、時折イズマの方も注視。変わったことがないかをハイテレパスで共有します
警戒にあたっては、携行品の暗視を活用すれば混乱に陥るリスクを低減できそうですね
敵を見つけた場合は、予め決めておいたハンドサインで情報を共有。音を立てないように身を潜めてやり過ごす、迂回する等の手段で可能な限り戦闘を回避するつもりです。それでも敵が襲いかかってくるなど、戦闘を避けられない場合は味方に警戒を促しますね。魔眼が効くようであれば、音を立てながら私達が別の方向へ逃げようとしている幻を見せても良いかと思います

戦闘の際は、まず殯の山で反撃の準備を整えます
次に、イブリースの囁きで怒りを付与して私に攻撃を引き付けましょう。不首尾に終わった場合は、同じく最後列に居る正純をかばいながら戦うつもりです。そうすれば、後列に被害も出ないでしょうから
余裕があれば、泥の舞踏やペイヴァルアスプでBSを付与して味方を支援するつもりです

ペンタバールを救出できたら、彼が襲われないように隊列の中心に行くよううながします
「今回は無事に見つけられましたが、次もそうとは限りません。財宝を手に入れようと頑張るのも良いですが、今後は十分に気を付けて下さいね」

アドリブ歓迎です

リプレイ


 足の裏に柔らかな砂の感触を覚える。頭上から降り注ぐのはからりとした太陽の日差し。ここ、ラサの砂漠は晴れていれば冬でも比較的過ごしやすい。
 とはいえ、それを堪能しているような暇もなく、イレギュラーズたちは砂に足跡を残しながら件の遺跡へと向かっていた。
「それにしてもさぁ、サンディ君。君の友達、迷子になり過ぎじゃない?」
「懲りねぇ奴だよ」
 呆れ声の『横紙破り』サンディ・カルタ(p3p000438)。それでも絶交はないんだろう? と『優しき咆哮』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)はくすくす笑う。その愉快さと怯まぬ勇気、憎めない性格がサンディと彼に今なお繋がりを持たせているのだろう。
「遺跡荒らしの方なのですよね。奥へ進む理由は分からなくもないのですが……救出する側としては、相当手間ですね」
 一体どこまで進んでしまったのか。帰らぬ男に『砂上に座す』一条 佐里(p3p007118)は小さくため息をつく。少なくとも、普通の者が踏み入れるより奥まで進んでいるのだろう。依頼を受けた以上は頑張るしかない。
「忘年会おごってくれるんでしょ?」
「もう新年会だな。派手にやらせたろ」
 サンディの言葉を聞いてシキが嬉しそうに万歳する。実はここまでの道すがらでお腹ペコペコなのである。たっぷり奢ってもらおう。他人の金で食う肉は美味いと決まっているのだ。
「食べたいものとかあったら、今のうちに考えておいてくれよな」
「うーん……水炊きですかね」
 その言葉に佐里はぽつり。この場所だからそこまで寒さも厳しくないが、世界的には冬である。鍋の美味しい季節だ。
「あら、見えてきたんじゃない?」
 『雪風』ゼファー(p3p007625)の言葉に一同が視線を向けると、砂上に建築された建物――テネーブル遺跡が眼下に姿を現す。周囲はお椀のように盛り上がっていて、イレギュラーズたちはその縁に辿り着いたようだ。
「こっちから下れそうだ」
「ゆっくり行きましょう」
 緩やかな坂を見つけた『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)に佐里は頷く。ショートカットするなら崖とも呼べるような縁から飛び降りることだが、遺跡に入る前から怪我は避けたいもの。救出対象の事を思えば時間が惜しいが、自分たちまであの遺跡に取り残される訳にはいかない。
「調査隊は帰ってきてるんだよな?」
「うん。地図は貰って来たよ」
 シキから羊皮紙を受け取ったサンディはサッと目を通す。いくつかに分かれた道とその先に続く小部屋。内1箇所に階段があるようだ。サンディの経験からしても、この見取り図だけであればそこまで特殊な遺跡ではない。しかし。
「光の墓所……光が通らない、暗闇に満ちた遺跡か」
 かつん、と靴が砂ではなく石を踏む。イズマは大きく口を開いた入口に顔を上げた。
 日差しは僅かに傾き、遺跡の中を照らすように差し込んでいる――そのはずだというのに。遺跡の内部はようとして知れない。まるでそこに闇色の壁でもあるかのようだ。
 かつん、かつん、かつん。幾人もの足音が遺跡の玄関に小さく響く。イズマだけではない、他の面々も闇の特異さを目の当たりにしていた。
「……ベンタバールさん、無事だといいな」
「だな。まあ、1階の探索は地図もあるから難しくない。本格的な捜索は『この下』だ」
 サンディがぴっと足元を指す。階段は地下へ向いているという。ベンタバールも宝を求め、そちらへ向かったはずだ。
「ベンタバールさん、階段の小部屋にいると思うな。そうでなければ……もう死んでしまってるか」
 セーフティポイントの話を思い出す『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)がそう呟く。特殊な状況下、モンスターもいるとなれば安全地帯に逃げ込まない限り長くは生きられまい。
 とはいえ、ベンタバール自身もそれなりの実力があるはずだ。行って帰ってこれず、生きているのならば、負傷しているか想定より敵が強かったのか。
「急ぎましょう。行方不明のご友人を早く見つけ出さなければ」
 『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)に頷くイレギュラーズたち。順に踏み込んでいけば、まるで外界と隔てられたかのように闇と静寂が彼らを包み込む。
(心を削ぎ落としていくような……冷たい気配)
 『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)はその空気に知らず知らず息を詰めた。窒息してしまいそうな窮屈さ。心を確かに保っていなければ呑まれてしまいそうだ。
 足を忍ばせ、ゼファーはその最前列を進む。普段なら関わり合いになりたくない場所だが、仕事となれば仕方がない。後ろに控える仲間たちのためにも、帰って来られなくなっている不憫な男の為にも、1枚脱いでやろうじゃないか。
 その傍でイズマは暗視を用い、狭い道を見渡す。今のところモンスターらしい姿もなく、罠らしい罠もない。2人で安全を確認すると、ゼファーは振り返りながら静かに手招きした。
『ここまでは問題ない。ついてきてくれ』
 同時にイレギュラーズたちの脳内へ声が響く。実際に空気を震わせているわけではない。想いを直接届けるイズマの術だ。彼はその力を用いて柱などの障害物についてもガイドする。
(この部屋にはいない、か)
 最初に辿り着いた小部屋はからっぽだ。部屋がそこに存在しているだけで、物のひとつも置いてやいない。こんな浅い階層はあっという間に遺跡荒らしが持って行ったか、調査隊が回収したかのどちらかだろう。シキは地図にバツ印を付ける。
(……それにしても、ランタンがこんなに暗いなんて)
 本来ならば光源であるはずなのに、それは蛍の光より弱々しい。ランタンぎりぎりまで近づけて、どうにかその周囲が見えるという程度だ。1歩離れてしまえばそれすらも危うい。暗視の力を持ち主が多いことが幸いだ。
(光の墓所、かぁ。面倒そうなところに入り込みやがって)
 入ったなら出てこいよ、と思ってしまうのは仕方ないことだろう。ひたり、ひたりと足音を忍ばせながらサンディは耳を澄ませる。
 ひたり、ひたり。かつん。
 小さな物音も、この遺跡ではずいぶん響くようだ。床や壁が反響する材質なのだろう。
 佐里の広域俯瞰は狭いながらもまっすぐ進むイレギュラーズたちの姿を捉える。とはいえ暗がりに変わりはない。周囲にモンスターらしき存在は見当たらないが。
(静かに近寄ってくるなら、ネズミやコウモリではない……?)
(闇に適応して、牙を持っていて、足が遅い……なら、コウモリみたいなタイプか、目が退化した爬虫類みたいなタイプ?)
 佐里とЯ・E・Dはこの遺跡に住み着くモンスターについて考える。ある程度仮説を立てておけば、いざというときにも対処しやすい。
 無闇に敵を引き寄せないよう、一同は一言も発することはない。何かあればイズマを経由してハイテレパスという手がある。
 サルヴェナーズは後方に何の気配もないことを確認し、イズマの方へと視線を向けた。若干暗がりが強いが、それでもどうにか視認できる。
 正純は隣を進む彼女の様子に、大丈夫そうだと視線を前へ戻した。基本的には後方警戒のみで、主体的な探索は仲間任せだ。サンディたちとは経験値が違うのだから、同じようにというわけにもいかない。
(任せる分、後方からの不意打ちは絶対にさせない)
 最後尾を預かる者として、それは絶対だ。理想としてはそもそも出くわさず、この階層の探索を終えることだが――。
『イズマ、何か向かってきてる』
 ぴりっとした感覚。シキはイズマへハイテレパスで伝える。それを受けてゼファーはぴたりと足を止めた。
(やり過ごせるかしら)
 イレギュラーズたちの仕事は遺跡に潜り、負傷していると思しき対象を連れ帰ること。できる限り戦闘は避けたい。
 しかしてモンスターたちは願い虚しく、こちらへ近づいてきているらしい。階段のある小部屋に向かうならこの道を通らなければならないが、十中八九鉢合わせるだろう。
 皆が武器に触れかけたその時。サンディが静かに何かを懐から引き抜いて掲げた。発生源として指定するは分岐した道の、さらに奥。

 ――かつん、かつん、かつん。

 遠くから小さく、複数の足跡が聞こえた。皆が固唾を飲み込む中、モンスターたちはそちらへ向かって方向転換する。
『リピートサウンドか』
『ああ。でもカード切れだ、同じ手は使えない』
 イズマからのハイテレパスにサンディはひらりとカードを振る。ここで録音しようとすれば敵を呼び寄せてしまうし、わざわざ再録音のために入口へ戻るのも馬鹿らしい。
(敵の姿は……見えなかったか)
 イズマはモンスターたちが向かっただろう方を見やる。のちの参考になると思ったが、見えなかったものは仕方ない。
 階段のある小部屋――セーフティポイントへ辿り着いた一同にシキは休息を提案する。1階層にベンタバールがいない以上、必然的に下層へ潜る必要がある。より集中力の必要な階層となるだろう。気を張り詰めてばかりではいられない。
 それならば状況をまとめようとゼファーは壁に寄りかかりながら告げる。この1階層だけでも床の段差や壁の出っ張りなど、意図的に音を出させようという箇所があった。都度イズマと皆に知らせていたからどうにか防げたものの、厄介なことこの上ない。
(作った当人だって、ロクに管理できてなかったんじゃないかしら)
 そもそも作ったのは誰なのか知らないが。



 多少の休憩と情報共有を挟み、一同は階段を降りる。ここからは未知の領域だ。
(星の声は……遠いですね)
 導きが得られないかと正純は気配を探るが、地下に降りたからか、それとも周囲を取り巻く闇のせいか。さらに瞬く煌めきの声は遠く霞む。
 せめて、同じ道を通らないようにしなければ――小さく頭を振った彼女の脳内に、ハイテレパスの伝令が伝わった。
 視線を巡らせれば、サンディが小さく首を振る。避けるためのカードはすでに、無い。更に言えば彼らの立つこの場所はただの一本道。逃げる場所もなければ隠れる場所もないのである。
 こうなってしまえば戦うだけだとЯ・E・Dは手をかざす。その指先から幾重もの糸が紡がれ、淡く光りながら前方へと拡がった。遺跡のそこかしこへ張り付いたそれがごく僅かな範囲を照らし、暗視の力を持つ者たちはモンスターの全貌を目に映す。
(あれは……なんでしょう)
 激しく瞬く光を起こす佐里。その瞳に映ったのはネズミでもコウモリでも、爬虫類ですらない。
 強いて言うならば汚いスライムと言ったところか。悪臭こそしないものの、濃い色の何かを纏ったそれはヘドロにも見える。鋭利な刃物らしい箇所は見当たらない。目も耳も、手だってどこにあるのかわからない。
 しかし、佐里の目の前まで音なく迫ったそれは『ぐわりと口を開いた』。前も後ろもわからぬような表皮が、裂けるように内側を晒した。周囲の闇よりもっと濃い、虚無の深淵にひゅっと喉が鳴る。
 次の瞬間、ゼファーの槍が翻った。その乱撃が今にも襲い掛かろうとしていたモンスターの群れを僅かなりとも押し返す。
(手間をかければかけるほど、ややこしいことになりそうな敵だこと!)
 イズマの鳴らすマルカートが敵を弾き、後方へと押し出す。サルヴェナーズの目元に当てられていた布がひらりと落ち、隠れし魔眼が煌めいた。
(裂けた内側……牙は見えたけど、その中の暗闇も嫌な感じがする)
 シキはまかり間違っても変わらぬようにと距離をとりながら黒の斬撃を放つ。追うようにして黒き星が瞬いた。
 狭い場所であるが視認できている、かつ数で優っていればそう難しい敵でも無い。問題は戦闘の音に新たなモンスターが寄せられることだ。
 まだ倒れるものかと、自らに潜んだ可能性を掴み取るサルヴェナーズ。彼女のためにも長い時間はかけられないとサンディのクナイが飛ぶ。その隙に佐里から放たれた力がサルヴェナーズの傷を癒した。
 彼女の舞踏のような格闘術と、正純の瞬かせる星々が相手の動きを鈍らせていく。シキの持つ得物が一閃し、道を切り開いていく。そこへ躍り出たモンスターがサンディへと肉薄するが、闇に渦巻いた風――ただの風というには荒々しい――が苛立たしいと言わんばかりに渦巻いた。立ち往生したモンスターをイズマの黒顎魔王が喰らい尽くす。
 それでも残ったモンスターに、恐れや怯えの類は生まれないのか。未だイレギュラーズを喰らわんとするその口を、その深淵をゼファーの気が貫いた。
 ――悪いわね。
 闇に溶けてしまいそうな、囁く声。いつまでも遊んでいるつもりはないのだと手にした槍を縦に薙ぐ。
「皆、退いて」
 Я・E・Dの呟き。それが響くも、その後に放った魔砲には敵わない。残存していたモンスターを飲み込み、突き当たりまでぶち当たった魔砲は間もなくして闇に消えた。
 周囲には一時の静寂が生まれる。しかしこれだけの戦闘を繰り広げたとなれば、音でさらに敵が現れるのは時間の問題だ。
『皆、こっちに』
 イズマのハイテレパスとゼファーの先導で、一同は先へと音を立てず急ぐ。その最中、佐里は周囲をそれとなく見渡してみたものの、先程の戦闘音でベンタバールが現れるということはなさそうだった。
(まぁ、敵の性質はわかってるでしょうからね)
 助けを呼ぶだけでも命取りな行為となる。彼は見つけてもらうのをひたすら待つしかないはずだ。
 幸いにして接敵することもなく、何度目かの小部屋で下るための階段が見つかる。まだこの階層を全て探索したわけではなかったが、彼がセーフティポイントにいるという仮説で探索をするならば、降りた先の部屋か、降りる前の部屋にいるはずだ。Я・E・Dはこの階層にはいないだろうと検討をつける。
『ベンタバールさんが居るなら、敵が沢山集まってるかもしれない。それだけは注意だね』
『ああ、そうだな』
 イズマはハイテレパスでЯ・E・Dの言葉を皆へと伝える。一同は音を立てないよう、階段を降りていった。
 更に下の階層は、より濃い闇に満ちているような気がする。眉根を寄せたイズマだが、不意に肩を叩かれて振り返った。
『ベンタバールが近いぜ』
 こんな場所で人助けセンサーに引っかかるような奴は、彼1人だけだろうとサンディは気配を探る。そうそうこんな場所まで、しかも1人で来るような酔狂がいてたまるものか。
 サンディが感知した方角をもとに、変わらず敵の気配を探りながらイレギュラーズたちは進む。その先にうっすら見えた小部屋には、また下層へ続く階段と――1人の男が寝っ転がっていた。
『ベンタバールさん、か?』
 視認したイズマがハイテレパスで問い掛ければ、その影はばっと身を起こした。その瞳は確かにイレギュラーズを捉えている。彼もまた、暗視効果のあるアイテムを持っているのだ。
『静かに、音を立てないようにしてくれ。念じれば伝わる』
『……こう、か?』
 念話での会話は当然ながら慣れないのだろう。しかし聞こえた声にイズマは頷き、その間にもイレギュラーズたちはセーフティポイントへ入った。Я・E・Dが水や食料を出し、ゆっくり食べて欲しい旨をイズマ経由に伝える。
『少し休んだら、遺跡を脱出しよう』
 ここまでに作成した地図があるから、行きよりも短い時間で出ることができるだろう。ベンタバールが休んでいる間にイレギュラーズたちは脱出ルートを確認する。そしてベンタバールを隊列の中央で支えると、多少の戦闘がありつつも遺跡を脱したのだった。



「太陽が眩しいぜ……」
 遺跡の外に出ると、ベンタバールが下を向いて目を瞬かせる。かくいうイレギュラーズたちも、闇に慣れた目ではなかなか刺激が強い。日陰を見て視界を慣らし、改めてふぅと息をついた。
「……んで。この遺跡に潜った甲斐はあったのかしら」
 これだけ危険を冒したのだものね、とゼファーがベンタバールへ視線を巡らせる。それを受けた彼はニィと笑った。
「おうともよ! 売っぱらえばサンディだけじゃねぇ、ここにいる奴ら全員に酒を奢って余りあるってもんだ」
「けれど、今後は十分に気をつけてくださいね? 今回は無事に見つけられましたが、次もそうとは限りませんし」
 サルヴェナーズの言葉に――麗しい女性だったというのもあって――素直に頷くベンタバール。しかしサンディは知っているのだ、こいつ1ヶ月もすれば綺麗さっぱり忘れてどこかの遺跡に潜るんだろうな、と。
「それなら是非ご馳走して頂きましょうか。美味しいものが良いですね!」
「助けてもらったしな。皆でぱーっと忘年会と行こうぜ!」
「あー……ベンタバールさん。もう年は明けてしまったんだ」
 イズマの言葉にベンタバールは目を見開き、あんぐりと口を開ける。
「やるなら新年会かな! もうお腹の虫が大合唱を始めそうだよ」
「そうそう。忘年会がなかったんだ、その分きっちり奢ってもらうぜ?」
 お腹に手を当てるシキに、にんまり笑うサンディ。そんな彼らに佐里はくすりと笑う。
「何にせよ、ベンタバールさん救出を祝いましょう。お酒を飲まれる方はお酌しますよ?」
 知らぬうちに年が明けていたことへ呆然とするベンタバールの背中を押し。一同は意気揚々と近くのオアシスへ向かったのだった。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)[重傷]
砂漠の蛇

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ。
 ベンタバールを無事に救出しました。怪我を治したらきっとまた、どこかへ行ってしまうのでしょうね。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

PAGETOPPAGEBOTTOM