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シナリオ詳細

再現性東京202X街:足元へ巻き付くは

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京202X街:足元へ巻き付くは
 年の瀬も過ぎ、新たな年を迎える再現性東京。
 昨年は平穏無事な一年……という訳には行かず、再現性東京は大きな事件へと巻き込まれてしまう。
 一応生活する分においては平和な日常を取り戻したものの、時には真っ昼間なのに空が暗闇に包まれてしまったり、普通にバケモノ騒ぎが表だって報道されてしまったり……。
 だからこそ、何の変哲も無い日常が、極々普通の日常である、と勘違いし始めていた。
 そんな新たなる日常の始まりと共に、新たなる年も始まったこの再現性東京。
 神社仏閣であれば、人々の信仰を集めし初詣で一番忙しい時の筈。
 ……だが、ここは街から少し外れた所にぽつりと存在する神社。
 人の手は愚か、神様の手すら離れてしまい、建屋はボロボロ、中は荒れ果ててしまっている廃寺となってしまっていた。
『へー、こんな所に……マジにあるなんてなぁ……!』
 と、どこか嬉しそうに言葉を紡ぐのは、の希望ヶ浜のとある高校に通う学生達。
 二学期も終わり、冬休み中……とはいえ受験を控え、最後の追い込みの時期でもある。
 ……だが彼らは、そんな受験勉強に疲れてしまった様で。
『あー……たりぃなー……なぁ、何か気分転換出来る事ってねーかなー?』
『あー、そうだよなー。俺も、もー疲れちまったよー。何かさー、ぱーっと気晴らししてーよなー!』
『だなー! あ……んじゃーさ、あの廃寺に行ってみねー? あの寺って、昔は学問の神様を祀ってたとか言うし』
『おもしろそーじゃん。ま、俺達に普通の学問の神様なんていみねーよなー! だって、偏差値40の大学でも危ういって言われてるしよ!!』
『『『ははは!!』』』
 ……どうやら彼らは、学校の中でも落ちこぼれらしい。
 だから受験だなんて、学校から一応受けとけと言われて受ける位で、通過儀礼くらいにしか思ってない。
 ……だが、そんな彼らが訪れた深夜の廃寺。
 がやがや、わーわーと喋りながら寺を探索していた彼ら……だが。
『……え? お、おい、なんか足うごかねーんだけど……!!』
『なんだよ、ビビってんのかよー! ……って、あ、あれ……おれも……?』
 最初は笑い飛ばしていた若者達だが……次々とその足が動かなくなる。
 実の所は……彼らの足元にいつのまにかまきついていた『何か』が原因。
 そして全員が動けなくなった所で、彼らを頭上から覆い隠すのは……巨大な黒影。
『……シィイィ……』
 気味の悪い鳴き声を上げたそれは、動けないままの学生達を音も無く、貪り喰らうのであった。


「……あー、みんなきたみたいだねー! ほらほ~ら、今日もみんなに新鮮な怪談話を持ってきたよー!』
 そう、綾敷・なじみは、カフェ・ローレットに居合わせた君達にぶんぶんと手を振り、くいくいっ、と手招きする。
 カフェ・ローレットでは良く見る光景……だが、彼女が皆を集めるという事は、依頼が来たよ、という標しでもあり。
「うんうん。みーんなわかってくれたよねー? それじゃこっちにきてねー。説明してあげるから!」
 とバックヤードに皆を呼び寄せる……するとそこには、『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)がふっふっふ、と腕組みして立っていて。
「みなさん、よーくきてくれたのですよ! なじみさんにかわり、メイから説明するのです!!」
「うんうん。メイちゃん、よろしくねー!」
 なじみはうんうんと頷き、そしてメイはピッ、と写真を一枚取り出して皆に見せる。
「あのですね、ここにおっきなおーっきな蛇が出ると言う噂があったのです。でもその噂は噂を呼んで、夜妖となってこの廃寺に棲みついてしまった様なのですよ!」
「そしてこの夜妖は今日も又、深夜の廃寺をおとずれる罰当たりな人達を貪り喰らっている様なのです! これはもう、イレギュラーズとして許してはおけないのです! メイ達がぱぱーっと見参して、しゅぱぱーっ、と解決するのですよ!!」
 ぐぐっ、と拳を握りしめて目をキラキラさせるメイ。
 ……色々とはしょられているが、被害が出ている廃寺に現れた蛇の夜妖を退治してきて欲しい、という事。
 そして、なじみも。
「廃寺に足を踏み入れるような人達だから、バチは当たって然るべきだと思うんだけど、命まで奪うのは話が違うってねー。まー、そーいう訳で、みんな宜しく頼むねー!」
 と満面の笑みで、イレギュラーズ達を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 本日の依頼は、廃寺に現れた蛇退治です。
 ただ……何故かはわかりませんが、廃寺を訪れるのは、ちょっと癖のある人達ばかりの様です。

 ●成功条件
   廃寺を支配する『大蛇』を誘い出し、ソレを倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  廃寺の足元は、草木がかなり繁っています。
  その草木は足首まではゆうにあるので、普通に歩く分でも、結構足を取られてしまうでしょう。
  ……そして、大蛇の夜妖は自分の分身を小さい蛇として作り出し、皆さんの足元に絡みつかせます。
  転倒したり、動けなくなった所に本体がどどーん、と登場する……という事になります。
  逆にその罠にひっかかってくれないと、大蛇は姿を表さない様なので、囮作戦は必須となります。
  
  尚周囲には当然灯りもなく、真っ暗なので視界不良です。
  何らかの灯りは必要でしょう。

 ●討伐目標
   巨大蛇『白大蛇』1匹、及び彼から分身した『足小蛇』が多数です。
   小蛇はあんまり戦闘能力は高くありませんが、茂みの中に潜みながら進んで来るので、事前にその姿を見つけるのは難易度が高いでしょう。
   一度足元に絡みつくと、ちょっとやそっとでは拘束を解きません(攻撃はしませんが、常に体勢不利を強います)。
   白大蛇は身の丈4~5mと巨大で、鎌首を持ち上げて、皆様の頭上から叩き落とすような攻撃を仕掛けてきます。
   複数を同時に攻撃は出来ませんが、一回一回の攻撃力はとても高い様です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京202X街:足元へ巻き付くは完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アレックス=E=フォルカス(p3p002810)
天罰
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
囲 飛呂(p3p010030)
君のもとに

リプレイ

●新たなる刻に
 年の瀬を過ぎて、新たなる年を迎えた再現性東京。
 昨年まで変わらず続いていたはずの日常は不意に終わりを告げ、世界に様々な怪異が襲い掛かるようになってしまう。
 そんな怪異に目を閉ざして、いつもと変わらぬ日常を過ごそうとする者も居れば、怪異に逆に興味をそそられてしまい、積極的に怪談へと飛び込もうとしてしまう者も居る。
 ……そんな怪談話を面白おかしく誇張し、むしろ積極的にそんな怪談話に首をつっこうもうとする人もまた居る訳で。
「お寺におーっきな蛇なのですよ! こういう怖そうなところに来るの、高校生のお兄さんお姉さんが多くないですか?」
 話を持ってきた『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)が小首をかしげると、『特異運命座標』囲 飛呂(p3p010030)が。
「そうだな……ま、高校生の辺りが一番無茶をするもんだ。行動範囲が広がり、出来る事も増えるからな」
「そうなのですか? しょうがないお兄さんお姉さんと思ってたですが、流行っているなら、シティガールとしては、メイも高校生になったらやらないといけないですか!?」
「いや……別に高校生になったら必ず通らなきゃ行けない通過儀礼でもないしな……しなくていいと思うぞ?」
「そうなのですかー……判りましたなのですよ!」
 にっこり満面の笑みを浮かべたメイに、『鏡越しの世界』水月・鏡禍(p3p008354)と『天罰』アレックス=E=フォルカス(p3p002810)も。
「そうだね……白蛇っていうと、神の使いとか聞いた事がありますが、こちらでは夜妖であるからなのか……思ってたのと違う様ですね」
「ああ……蛇の夜妖。白蛇は神の使いというか、堕ちたものだ……所詮人の想念か」
「かもしれません。しかし、ちょっと変わった人ばかりが訪れて食われていくのなら案外貢献を……いや、これは依頼です。やるべきことは為さないとですね」
 と、アレックスの『変わった人』、という言葉にピン、と反応したのは『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)。
「そうだね! 確かにみんな癖がつよい……会長も癖がつよいけどね!!」
 はははっ、と朗らかに笑う茄子子にメイも。
「そうですね! よーし、メイ達ぱぱぱぱーのしゅばばばーで解決するのですよ!!」
 と拳を振り上げる。
 ……まぁイレギュラーズ達も、今回救出する対象も、どちらも個性的な人だからこそ……なのかもしれない。
 何はともあれ……今回の依頼の軸は廃寺に現れる白蛇の夜妖を退治する事。
 その白蛇たちも、何故廃寺に姿を表したのかは解って居ないので、後から潰す対処しか仕様がない。
「まぁ……蛇の怪異、その出自は様々だからな。蛇から成ったものもいれば、古くは川から生じた水の化生であったり、藪や暗闇で足にからむ者への恐怖から生まれる事すらある。この蛇は……何から生じたものなのだろうな?」
 と『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が肩を竦めると、『砂上に座す』一条 佐里(p3p007118)と『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)も。
「そうですね……やはり、人がいなくなったから、人ではないものが棲みついたんですかね? ……いや、逆かもしれないですが」
「廃寺、蛇さんのおうちなのかしら? だったら勝手にお家に入ってきた人に怒るのは判るのよ。でも、命まで奪うのはいけないのよ!」
「ええ。どちらにしても、人にいなところへ踏み入るのはあまり褒められた事じゃありません。不良のたまり場ならいい方ですが、稀に今回みたいな場合……は本当に極端ですけれど、まぁ……危ないですからね」
「そうね! やりすぎた蛇さん、これ以上犠牲者が出ないようにここで止めないといけないわね!」
 そんな仲間達の言葉に飛呂と茄子子が。
「ああ。こんなトコに居座って、蛇の神様っぽくされるのは、あんま気持ちいいもんじゃないしな。元々神様だなんて都合の良いものじゃないけど、これは蛇への風評被害ってやつだ。個人的に、それは嫌なんでな」
「そうだね! 蛇って……へび年にはまだ早いでしょ! あと三年くらい冬眠してなってな!!」
 威勢の良い言葉を上げる二人。
 そんな仲間達の言葉を聞いて佐里が。
「では……用事を済ませてしまいましょう」
 と皆を促し、イレギュラーズ達は薄気味悪い廃寺へと急ぐのであった。

●苦難の果て
 そして、丑三つ時を迎えた廃寺。
 ホゥ……ホゥ……と遠くからフクロウの鳴き声が不気味に聞こえてくる場所。
 そこにはもう既に……被害者達の姿はなく、フクロウの鳴き声が止めば静寂が支配する。
「さて、と……それでは囮役が先んじて足を踏み入れるとしようか。私と……」
「そうですね。僕が行きます」
 アレックスの言葉に手を上げる鏡禍。
「えっと……判りました。蛇さんが出てくるまで、ルシェは二人を見守るから、頑張って下さいね!」
 にこっと笑みを浮かべるキルシェに背中を押され、廃寺の中へと足を踏み入れる二人。
 足首辺りまで、ぼうぼうに生え揃っている草木は足元に絡みつき、歩こうとすると少し足が取られる様な感じがする。
 そんな廃寺の状況に加えて、廃寺自体に灯りが通っていない為、真っ暗闇に包まれているので視界はほぼゼロ。
「うーん……本当に暗いね。でも、コレさえ舐めれば大丈夫!」
 ババーン、と茄子子がその手に取りだしたのは、蝙蝠の飴。
 ぽいっと口の中に入れると、殆ど見えなかった視界はぼんやりと僅かに見えるようになる。
 そんな暗視を身につける飴をなめたり、元々暗視を得意だったりしていて、漆黒の闇の中、いつでも飛び出せるように準備を整えておく。
 ……そして、暫くの間、アレックスと鏡禍の二人が叢を歩き回りながら、敵の気配が現れないかを注意深く警戒。
 歩き始めて……十数分くらいが経過した時。
『……シィィィ……』
 かなり小さな鳴き声が、廃寺に響きわたる。
 静寂故にイレギュラーズ達の耳にもその鳴き声は聞こえるものの、どこから発せられたのかは、正直な所判らない。
「ふむ……こっちの方か?」
 とアレックスは耳を欹て、声が聞こえた方向へ歩を進める。
 勿論、その後ろ姿を待機為ているイレギュラーズ達が監視する事で、いつ敵陣が出て来ても良いように臨戦態勢を取る。
 ……すると。
『……シィィィ……シィィィ……』
 更にその細い鳴き声が重なるように聞こえてくる……そして、次の瞬間。
『ガサガサッ』
 と叢を蠢く音が明らかに聞こえる。
 そしてその音はアレックスと鏡禍の下へと瞬く間に接近。
 躊躇する事も無く、数匹の子蛇達が二人の足元にぐるんぐるんと絡みついて、動けない様にまずは足止め。
 更に足元に強く巻き付きながら、不意の方向に動く事で転倒させように蠢くが。
『っ……!』
 足を踏ん張らせ、倒れないように抵抗、更に。
「私は天罰の獣。同じ獣同士、仲良くやろうではないか」
「ええ。獲物は倒れてませんよ。食えるもんなら、食ってみろ、です」
 あえて余裕の表情と、その様な言葉を叫ぶことによって、子蛇達の親玉である白大蛇を誘い込もうとする二人。
 ……そんな二人の言葉を聞いたのかは判らないが、一層強い、おどろおどろしい気配が草村の中からうぞぞぞ、と具現化し始める。
 勿論、それは白大蛇。
 自分達の背丈よりも数倍の高さに具現化した白大蛇は、人語では説明出来ない奇声を上げると共に、その鎌首をかなりの勢いで振り落とす。
 当然足元を強く拘束されているので、その攻撃を回避する事は難しい……二人にはかなりのダメージが及ぶ。
 だが避ける事なく、その攻撃を確実にディフェンスして立ち続ける。
 そして、二人が誘い出してくれた白大蛇の下へ、待機していた他のイレギュラーズ達が次々と合流。
 そして、早速茄子子が。
「さっそくで悪いけど邪魔だよ! おりゃ!」
 と白大蛇に先手かつ不意の一撃を与え、その鎌首を二人とは逆の方向へと吹き飛ばす。
 そしてその間に、キルシェが二人の体力を速攻で回復し、タンク役の二人の戦線が瓦解しない様に補強する。
 次の刻、メイはジェットパックを噴射して少し飛行した状態を維持しながら、敵に接近。
 そして蒼き彗星の一撃を突撃ざまに一発叩き込み、白大蛇に少なくないダメージを与えると、続いてアーマデルも。
「……周りに残る霊魂達よ、力を貸してくれ。あれを倒せば往くべき処へと逝けるだろう?」
 と、その場に漂う霊魂達へ意を交わしながら、彼らの力を刈り手の英霊の残響を戦場へ響かせる事で、白大蛇の抵抗と機動力を削いでいく。
 続いて飛呂は、かなり遠い所に位置。
「みんな、当たらないように気をつけてくれよな」
 と仲間達に呼びかけつつ、貫通する魔弾で白大蛇を撃ち抜き、続いて佐里は漆黒に眩しく光る神の光で、アレックスと鏡禍の足元に絡みつく足の子蛇達を攻撃。
 だが……どうやら足に絡みついた子蛇達は、攻撃はしないものの、体力はまあまあある様で、その一撃位で拘束を解除する事は無い。
「中々しぶとい様ですね……すいません」
 と佐里の言葉にキルシェが。
「大丈夫、ルシェもお手伝いするの!」
 と言いながら、魔性の呼び声を奏で、悲しき亡霊達を足の子蛇達に嗾けていく。
 その二撃目を喰らった結果、絡みついていた足子蛇達は拘束力を失い、二人を解放。
 ……だが、第二第三の足子蛇達が叢の中に潜んでいた様で、拘束が解けてもすぐに次の足子蛇達が絡みつく。
 そして、最初吹き飛ばされた鎌首を復帰させた白大蛇が態勢を整えると、次の刻は再び強烈な叩きつける攻撃を振り落としてくる。
 勿論足止めされた仲間達にかなりのダメージが及ぶ事になるが、茄子子が。
「はいがんばってー! うわー、蛇きもちわるいねっ! こっちに近づけないでー! 頼むよー!!」
 回復に専念する茄子子は、そう仲間達におどけた言葉を掛けながらも、回復の言霊で的確に体力を回復していく。
「ありがとうございます。茄子子さんのお陰で、専念出来ます」
 と鏡禍の言葉を掛けるが、茄子子は。
「大丈夫大丈夫! ほらー、みんながんばれがんばれ!!」
 と仲間達の激励を加えて行く。
 そう、茄子子が完全に回復を一手に引き受けてくれることにより、他の皆は攻撃に専念する事が出来る。
「しかし、足子蛇達には、余り構わない方が良さそうだな……倒しても、後から後に出現して来ている様だからな」
「ああ……ま、あいつらは白大蛇の分身とかって言われてるしな。なら、白大蛇を集中的に狙っていく事にしようぜ」
 アーマデルの言葉に頷く飛呂、そしてメイも。
「そうですね! ほら、今度はこっちから攻撃に行くですよ!」
 ジェットパックの勢いを調整し、白大蛇よりも高高度へと飛翔。
「メイももうすぐ中学二年生なので、賢いメイを目指すのですよ!! むふん!!」
 自信満々に、先程敵の周囲を飛び回って弱点と目星を付けた頭頂部めがけて、速力を威力にした音速の一撃を脳天から叩き込む。
 かなり背丈が高い敵だからこそ、それよりも高所から叩き込まれる攻撃に対する守りは薄かった様で……その一撃を位、鎌首が地面へと激突。
 その結果、白大蛇は脳しんとう状態に陥り、数刻の間の攻撃不可能な状態に陥る。
「今がチャンスか? 良し、一気に攻撃を嗾けていくぞ」
 と飛呂が仲間達を促しつつ、アーマデルと連携して攻撃。
 凶手より放たれる必殺の一弾と、白大蛇に絡みつく毒と病の呪。
 がっつりと体力を削られる白大蛇……その影響か、アレックスと鏡禍の足元の足子蛇の締め付けが、一気に緩む。
「良し……私達も仕掛けるぞ」
「判りました……」
 アレックスに鏡禍が頷き、白大蛇への間合いを一気に詰めて至近距離から喰らわす渾身の一撃と、戦場を貫く雷光の一閃を放つ。
 更に佐里から放たれる強大な鉤爪が白大蛇の背を切り裂く。
 脳しんとう状態で動けずに居る白大蛇を、その間に容赦無く攻撃を仕掛ける事で、瞬く間に敵を弱らせていく。
 数刻し、脳しんとうから回復する白大蛇だが、その体躯には数多の傷が残され、そこから緑色の血が流れている。
 おおよそ白大蛇とは言えない体躯の色……動くのもやっとだろう。
「良し。後もう一息だ……一気に押していこうぜ」
 飛呂が威勢良く仲間達に告げて、その勢いのままに白大蛇へ数多の方向から包囲攻撃。
 傷ついた身体は機敏に動ける訳がなく、躱そうとしても別の攻撃を受ける事に也……満足に躱せずに、更に追い込まれていってしまう。
 ……そして。
「……さぁ、これで最後だ。お前達に殺された怨念含め……喰らえ」
 そうアーマデルの紡いだ呪縛が敵を雁字搦めに縛り付け……そのまま敵を縛り殺すのであった。

●過ぎたる時に
 そして……白蛇たちを倒したイレギュラーズ。
「ふぅ……終わった様だな」
 息を吐いたアレックスに、頷く茄子子。
「うん、そうだね……うん、キミ達の冥福を、ちょっと祈らせて貰うね」
 そう茄子子はいいながら、骸となった白蛇たちに軽く跪いて目を閉じ……祈りを捧げる。
「……ちゃんと、成仏出来ますように」
 と……その祈りに白蛇達の魂は天へと召された事だろう。
 そして、キルシェが。
「……蛇さんも、もしかしたら自分達の住処を荒らされたから、怒っただけなのかもしれないのよね……」
 そう言いながら、キルシェは目を閉じ、周囲の自然に向けて。
「ねぇ……蛇さんが良く居た場所とか知らないかしら? 出来たら蛇さんもゆっくり眠って欲しいから……蛇さんが安心出来る場所に埋めてあげたいの」
 と問い掛ける。
 その言葉に、キルシェに語りかける自然……その場所にうんうんと頷きながら。
「キルシェ、蛇さん埋めてあげてくるね?」
 と、一旦その場を後にする。
 そして。
「さて……と。それじゃ後は、無謀な奴らの痕跡を探すとするかな?」
 と、アーマデルの言葉に皆も頷き、周囲の地面の捜索を開始。
 死体はどうも白蛇たちに食われてしまった様で、影も形もない。
 だが……地面を注意深く観察すると、装飾品や靴の破片等々……廃寺には相応しくない物も幾つか確認する事が出来る。
「……これは……ちょっと若い人がしてそうなアクセサリーだな。となれば、ま……十中八九間違いなさそうだな」
「そうですね……」
 アレックスの拾ったものに、頷く佐里。
 そう遺品を一通り回収しつつ、不届き者達が捨てたりしたゴミの類いも一通り回収し、来た時よりも吐いてたを綺麗にする様にする。
 ……そして遺品とゴミの回収を一通り回収した所で。
「どうか、迷わぬように。次へと生まれ落ちる事ができるように、な」
 とアレックスが廃寺への弔いの言葉を捧げ、静かに祈る。
 そんな弔いを一通り終えたイレギュラーズ達。
「お騒がせしました……これからは、静かに過ごして下さい」
 と、鳥居を出る際に頭を下げる鏡禍。
 再び静けさに包まれる廃寺が、これ以上騒動に侵されない様願いながら、その場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール

状態異常

なし

あとがき

新年の妖怪退治、お疲れ様でした!
怪談話にほいほいと行ってしまうのは危険ですね……。

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