PandoraPartyProject

シナリオ詳細

鉄帝にて最強は竜でも虎でも麗でもねぇ……”クマ”だッ!!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●荒い熊の群れ
 鉄帝国、とある荒野――。
 その、鉄帝国ならどこにでもある武芸者が修行するような荒野を、いつものごとく鉄帝国ならどこにでもいるような武芸者たちが歩いていた。理由はもちろん、修行のためである!
「兄者、しかし大丈夫であるか?」
 と、弁髪の男が言う。兄者と呼ばれた禿頭の男は、むぅ、と唸った。
「何がだ?」
「この辺り、出ると聞き及ぶ」
「何がだ?」
「出るのだ……奴らが!」
「いや、だから何が!?」
 しびれを切らした兄者が叫ぶ。弟者はうむ、と唸ると、
「熊、と」
「熊?」
 ははん、と兄者は笑った。熊。熊だと?
「熊などと。七歳の時に殺したよ」
 兄者は強者であった。もちろん、ラド・バウのスターファイターには及ばずとも、しかし鉄帝の武人としてたゆまぬ訓練を積んできた男である。そんな男であるから、七歳の時に熊を殺すなどはお茶の子さいさいであった。そして、齢20をはるかに超え、肉体の最盛期を迎えたこの男にとって、もはや熊などは子供を相手取るに等しい――。
「故に、怯える事などあるまい。所詮は、熊だぞ? 竜とか虎とか麗帝とかではあるまいし」
「しかし、兄者。この熊、かなりのやり手である、と。この荒野に修行に訪れる者達が、もう何度も返り討ちにあっているというのだ!」
「ははぁん?」
 兄者は嘲笑った。
「さては弟者、噂に怖気づいたな?」
「いや、しかし、これは本当に恐ろしい噂で……ああっ、兄者! あれを!」
 と、弟者が、声をあげて指を指す! 兄者がその方を観た! ああ、そこにはなんと!

 ク
 マ
 注
 意

 の看板が!!!
「兄者! クマ注意の看板だ!」
「むぅ!」
 兄者は唸った! おお、なんと威圧的なフォントだろうか! そのフォントだけで分かる、このクマ注意の看板は、恐ろしいクマの出没を予言している!
「し、しかし、所詮は熊……我々の敵では……」
 兄者がそう呟いた刹那! くっくっくっ、と言う笑い声が響く!
「それはどうかな?」
 声も響く!
「何者!」
 弟者が叫んだ! 同時、
 ク
 マ
 注
 意
 の看板から、ひょこ、っと顔を出す獣種の姿があった!
「ぬぅ!」
 兄者が呻いた! ひょこ、と看板から顔を出すその顔は、おお、恐ろしい! どう見てもアライグマである!!!
「虎? しょせんはにゃんこじゃねぇか……悪? しょせんはカエルじゃねぇか……犬? 経口補水液じゃねぇか……。
 教えてやるよ……鉄帝において、『アライグマ』が最強って事をよ……!」
 ぶわーーっ、と看板からアライグマが飛び出す! 空中でくるりと回転すると、アライグマは八つに分かれて地に降り立った! 分身か!? いや、違う! こいつらは八人いたのだ!
『我ら八人のデスアライグマ!!!!!!』
「デスアライグマ…………!?」
 兄者が戦慄した! 弟者はこの時点で泡を吹いて気絶している!! その恐ろしいほどの闘気に当てられたのだ!!
『行くぜ、兄者よぉ……鉄帝で最強がアライグマって事を、教えてやるぜーーーッ!!!』
 そして、アライグマたちが一斉に兄者へと飛び掛かる――。

 わずかな戦いの後。多分4ターンくらいの後。そこには、ズタボロになって倒れている兄者の姿があった!
『くっくっくっ……所詮人類もにゃん類もケロ類も水分も、アライグマには勝てねぇのさ……!』
 デスアライグマたちが笑う! おお、もはやこの荒野に秩序はない! 暴虐の限りを尽くすデスアライグマ! 誰か、この悪漢たちを止められるものはいないのか!!!
 デスアライグマたちは、
 ク
 マ
 注
 意
 の看板に隠れると、次なる獲物を待つのである――。

●出オチ
「以上です」
 と、『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)は遠い目をしながら言った。
 鉄帝の、ローレット出張所である。話によれば、武芸者たちの修練所でもある荒野に、デスアライグマを名乗る謎の八人組が現れて、武芸者たちを返り討ちにしているのだそうだ。
「えーと……以上です」
 ファーリナが遠い目をしながら言った。以上である。この愉快な……いや、迷惑なアライグマたちを、とりあえずぼこぼこにしてやるのが今回のお仕事である!
「デスアライグマたちは、
 ク
 マ
 注
 意
 の看板に近づくと、ひょっこり顔を出して攻撃してくるそうです。ちなみに、看板の場所はランダムらしいので、少し探す必要はありますが……」
 取り合えず、奇襲されたりすることはないだろう。デスアライグマも、看板を見つけられなければ襲ってはこないらしい。
「まぁ、ごくごくシンプルなお仕事です。力試しとかストレス解消にいかがですか?」
 と、ファーリナは言う。
 イレギュラーズ達は、多少困惑しつつも、デスアライグマたちを懲らしめるべく、立ち上がるのであった!

GMコメント

 デスアライグマが来たぞ!!!!!

●成功条件
 八人のデスアライグマを倒す

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 鉄帝の荒野に現れた、謎の集団、8人のデスアライグマ!
 ク
 マ
 注
 意
 の看板からひょっこり顔を出し、武芸者たちを襲う彼らは、「鉄帝にてアライグマが最強、虎とかにゃんこじゃん。悪とかカエルじゃん。犬とか水分じゃん」と調子に乗った事を言っているようです。
 ボコりましょう。
 作戦決行タイミングは昼。周囲は荒野になっています。デスアライグマたちは、
 ク
 マ
 注
 意
 の看板に隠れており、近寄ると攻撃してくるようです。戦闘するには看板を探す必要があります。
 ちょっとしたピクニック感覚で探してください。

●特殊ルール
 このシナリオはコメディシナリオなので、『不殺』が無くても、敵に死亡判定が発生しません。思う存分、調子に乗ったアライグマをボコって説教してぬわーってしてください。

●エネミーデータ
 八人のデスアライグマ × 8
  名前通り、八人いるデスアライグマです。それぞれがラド・バウのファイターくらいの強さは持っており、ただの雑魚、と言うわけではありません。
  八人いるので、それぞれ微妙に性能が違いますが、基本的には全員がアタッカータイプです。
  主に物理属性の攻撃を多用しますが、わたあめを食べて体力やBSを回復したり、不思議な気合で遠距離神秘属性攻撃を行ったりもします。わたあめに水をかけて溶かして、回復を妨害したりすると良いと思います。
  以下、八人のプロフィールをぞれぞれ記載していきます。参考にして……スペースが足りない? じゃあカットで。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • 鉄帝にて最強は竜でも虎でも麗でもねぇ……”クマ”だッ!!!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月25日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
妖精■■として
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
一条 夢心地(p3p008344)
殿
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官

リプレイ

●荒野のデスアライグマ!!
「お鍋も持って、お野菜やお豆腐も用意してっと……出汁はかつおと昆布とかでいいかな?」
 にこにこと、笑顔を見せる、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)。背中にリュックと共にはおっきな鍋を背負っていて、リュックからは野菜が顔をのぞかせている。鍋パの用意である。
「あっ、〆はおうどんとおじや、どっちがいいかな?」
「悩むのう――〆は重要じゃ。ラーメンとかでもいいかもしれぬ」
 『殿』一条 夢心地(p3p008344)が、むむ、と唸った。
「いやぁ、しかし冬はデスアライグマ鍋に限る! デスアライグマ丼も捨てがたいが、やはり冬と言えば鍋! 鍋と言えばデスアライグマ鍋!
 八匹もいれば、皆もお腹いっぱいになるじゃろう!」
「そうだね! 八匹もいるなら、もう、こう、日ごろの怨みもいっぱい晴らせるよね! 何が怨みなのかはよくわからないけど!」
 わーっはっはっは、と笑う二人。一方で、『ワイルド・レンジ』ムサシ・セルブライト(p3p010126)は、明確に困惑した顔をしつつ、宇宙保安官用の獣害対策マニュアルをぺらぺらとめくっていた。
「え……食べるのでありますか……? デスアライグマを……?
 というか、デスアライグマって何なのでありますか? 獣種……? いや、それだと倫理的にまずいので魔物という事にして……」
 マニュアルには、宇宙アライグマの対処法は載っていたが、デスアライグマは載ってはいない。ムサシは嘆息した。
「分からないということが分かりました……」
「そうだな、わからない。アライグマの概念がおかしくなりそうだ」
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が頷く。
「……アライグマって、そんな変な生き物じゃないはずだよな……?
 妖精とか、R.O.Oの奴とか……なんでそんな……変な事に……?」
「他にも変なアライグマが……?」
 困惑するサイズに、さらに困惑するムサシ。アライグマとは一体。
 さておき。一行がこうして荒野を歩いているのは、件のデスアライグマを討伐するためである。デスアライグマたちは荒野の何処かに変な看板を立てて獲物を待ち受け、近づいてきたものを無差別に襲う。
「しかし、皆の殺意とか、食欲とかがすごいな……俺、要らないんじゃないか……?」
 そういうサイズであるが、前述したとおり焔と夢心地の食欲などは凄いし、そうでなくても『伝説の勇者妖精アライグマ』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の、デスアライグマたちへの敵意は凄い。なぜかすごい。なんかすごい。なんでだろうか。
「師匠(せんせい)、大丈夫ですか?」
 思わず弟子の『ジョーンシトロンの一閃』橋場・ステラ(p3p008617)が心配するくらいに、敵意がすごい。にじみ出ている。汰磨羈はにこにこと笑って、
「おう、大丈夫だとも!」
 と返すが、目が笑っていない。こういう時の師匠は本当に怒っているのを知っているので、ステラは愛想笑いを浮かべながら、
「そうですか、大丈夫なら大丈夫です」
 と返すだけにとどめておいた。
「ふふ……今日こそ、今日こそは……あの洗井……じゃなくてアライグマに……一泡吹かせてやろうじゃないか……!」
 汰磨羈がなんかぶつぶつ言っているので、ステラは本当に心配であった。が、まぁ、たまにこうなることもあるので大丈夫かな、と気を取り直した。
「しかし、最強だなんだといいながら、やっていることは八匹で一人を闇討ち、ですよね」
 ステラが小首をかしげるのへ、『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)が頷いた。
「そう言えばそうっスね。なんだかんだ小物なんスかね」
 葵の言う通りかもしれない。最強を名乗るなら堂々としているべきだし――八匹で闇討ち・不意打ちとなれば、なるほど、最強のふるまいとは程遠い。
「看板から顔を出すアライグマっての、ガチャガチャとかの景品になってたら面白いんスけどね。それが人様に迷惑かけたら問題っスね……っと、あれスかね、看板って」
 と、葵が指を指す。そこには、






なる立て看板があった。
「なるほど、確かに、クマ注意の看板ですね」
 『挫けぬ軍狼』日車・迅(p3p007500)が頷く。情報によれば、この看板に不用意に近づくと、看板の影からデスアライグマたちが飛び出してきて、攻撃を仕掛けてくるのだそうだ。
「近づくと不意打ち……そして無視もできない。では皆さん、『予定通りに』」
 迅がそう言うのへ、皆はにっこりと頷いた。
「うむ! では行くか!」
 特に汰磨羈がにっこりと頷いた。
「ある日~♪(まずはカジノ・ロワイヤル付与)
 荒野~で~♪(ここでプロトコル・ハデス付与)
 アライグマ~に~♪(ゆっくりと看板に接近)
 ――出会い頭の無現斬ッ!!」
 ずばっ、と叩きつけられる汰磨羈の一撃! いきなり看板を斬りつける汰磨羈をとがめるものはいない。というか、全員が全員、思い思いに全力攻撃を看板に叩きこむ! 爆散する看板!

 マ      ク

   意
        注

 と四散する看板! の影から、飛び出してきた八つの影!
『ぬわーーーーっ!!!』
 それは八匹のデスアライグマだ! デスアライグマたちは、イレギュラーズ達の足元に、べちん、と落下する。
「おみごとです、師匠(せんせい)」
 ぱちぱちとステラが拍手した。実際イレギュラーズ達の攻撃は見事なものである。無防備のアライグマたちも、突然の奇襲にぬわーってなった。が、すぐに飛び跳ねると、イレギュラーズ達前から飛びずさって距離をとった。
「普通看板ごと攻撃する!?」
 ドン引きした様子で、リーダーデスアライグマが言う。
「いえ、相手の生死を問わない状況で、相手が潜伏している場所が分かっている。そして、巻き込まれる一般市民などもいない。
 そう考えるならば、絨毯爆撃も一つの軍事的手段かと」
 迅がこともなげにそう言う。軍人は合理的である。デスアライグマは引いた。
「というか、我々、キミらとは初対面だよね!? 何でこんなに殺意高いの!?
 そっちの二人は、なんか鍋にする気満々でこっちみてるし!」
 じゅるり、涎を飲み込む夢心地。ぎらりと目を輝かせる焔。
「まぁ、皆アライグマにはひどい目にあわされてるんだよ。俺だって」
 サイズが言う。ムサシはさもありなん、と頷いた。
「害獣ぅ……でありますからね。
 そもそも、鉄帝の武芸者を闇討ちしているのは紛れもない事実でありますよ」
「さて、デスアライグマ殿たち。鉄帝最強を名乗る、何者も恐れぬその大気炎、御見事です。
 しかしここは鉄帝。どれ程勢いがあろうと力が伴わなければ意味がありません。
 最強を名乗るのでしたら我らを相手にその実力を示してもらいましょう!」
 迅が構えた。
「ぬうう、よかろう! なんかみんなタイマンしたそうだし、ここは八匹対八人! タイマン上等!」
 八匹のアライグマが飛ぶ! それぞれのイレギュラーズ達の下へ!
「鉄帝最強がアライグマであることを教えてやらぁ!!」
 かくして――鉄帝最強を決める(?)戦いが始まった!

●鉄帝最強決定戦(?)
 八匹の中で最も素早いデスアライグマが駆ける! スピードアライグマだ!
「ついてこれるか! イレギュラーズ!」
 ほきゃあ、と雄たけびを上げぎゅんぎゅん走り回るスピードアライグマ! だが――迅はさらに、その速度の上を行く!
「なるほど、確かに見事な健脚。ですが、最強を名乗るには――遅い」
 スピードアライグマが駆け抜けるその先に、鳳圏の軍狼が先回りする!
「速い! ぬぅぅぅ、ワッチャァァ!!」
 雄たけびを上げながら蹴りつけるスピードアライグマ! 迅はそれを己の腕で受け止めた! 強烈な衝撃が走るが、迅は笑ってみせる。
「良い一撃です。此方もお返しをしなければなりませんね」
 迅はスピードアライグマの首根っこを掴むと、そのまま空へと高く放り上げた! ぬわー、と宙を舞うスピードアライグマ! 追うように高く飛ぶ迅が、空中でわちゃわちゃするスピードアライグマへと迫る!
「件の水の方とは、特別の縁があるけではありませんから、これはおせっかいの様なものなのですが――」
 迅が言う。
「生まれた世界は違っても、同属が煽られたとあっては聞き流せませんので。代わりにぶん殴りますね!」
 振り下ろされた拳が、スピードアライグマを穿つ! 勢いよく落下したスピードアライグマが、ぬわー、と叫びながら地面に上半身をめり込ませた! そのままダウン!
「スピードォォ!!」
 トリックアライグマが叫ぶ。トリックアライグマはトリックが得意なデスアライグマである!
「おっと、よそ見してる暇があるんスか?
 仲間がやられたらうろたえる。それに最強とか言ってるクセに隠れてボコるとか、最強の風上にも置けねぇな!」
 挑発するように言う葵の言葉に、トリックはすんなりとのった。煽られると弱いのだ!
「おのれ! この俺のトリックを見るがいい! 物理と神秘を使いこなすこの攻撃ぃぃぃぃっ!!」
 神秘的なトリックパワーだ! 赤と青のトリックエネルギーボールが、葵を狙う!
「へぇ、そっちもボールの扱いには自信ある感じっスか! ちょうどいいっスね!」
 葵は鮮やかにボールを回避してみせると、ワイルドゲイルをポン、とけり上げた。
「けど、まだまだストライカーとしては三流っスよ! ジュニアリーグから出直してこい!」
 オーバヘッドキック! ボールに稲光が巻き起こり、まさに雷撃となったストライカーのボールが、トリックに迫る! トリックは回避……できない! 腹に直撃を喰らったトリックが、ボールのように跳ねまわりながら、地面にたたきつけられた! ぬわーっ! 叫びと共にトリックはダウン!
「はっ、アンタのボールじゃ、ハットトリックなんて夢のまた夢っスよ」
「言うではないか……だが、スピードもトリックも、我々の中では強い方……」
「というか、我々八匹は得意分野は違えど大体強さは同じ!」
 デスアライグマたちが言うのへ焔は、かんかん、と鍋を叩いた!
「そんなことはどうでもいいよ!
 何故かわからないけど、アライグマ許すべからず、見つけ次第狩りつくせって声がどこかから聞こえてくる気がするんだよね」
「ぬぅ、お鍋!」
「という事で、今日はデスアライグマ鍋パだよ!」
「いかん! マジでやつは我々を狩る気だ!」
 ミスティックアライグマが叫ぶ! ミスティックなパワーによるミスティック・気合・キャノン! 輝くエネルギー粒子が、焔を襲う――。
「見え見えの攻撃だよ!」
 焔はお鍋でエネルギー弾をかこん、と弾くと、一気に接敵! 手にした槍に、己が名の如き焔を巻き起こし、ミスティックを穿つ!
「ぬわーっ!」
「まだまだだよ! お肉は叩けば叩くほどおいしくなるって、ジビエお料理本で読んだからね!」
 救い上げるように放たれた、槍の一撃! ミスティックが空に浮かび、追従する焔が、上段から追撃! 振り下ろされた槍が、ミスティックを強襲! 地面にたたきつける! ミスティックはこれにはたまらずぬわーする!
「んあああああああああああッ!!!」
 一方、大地では雄たけびを上げながら、夢心地が名刀東村山を手に疾走する! その前にはカタナアライグマが、自慢の刀を放り投げながら、ぬわー、と叫びながら逃げ惑う!
「わたあめを食べたアライグマは美味い……ジビエお料理本にも書いてある。うまそうじゃなぁ、お主ぃ」
 べろりと舌なめずりをする夢心地! その圧倒的な捕食者オーラには、デスアライグマも完全にビビり顔だ!
「やばい! ヤバいやばいやばいよ! 食う気だよ! 完全にこっちを食う気だよ!!」
 ぬわー、と叫びながら逃げ惑うカタナ! 夢心地はかわらず「んああああッ!」と叫びながら、その後を追う! まさに阿鼻叫喚! 地獄絵図!
「すごい、味方の食欲がすごい……!」
 ムサシはサボテンの影に隠れながら、暴れまわる仲間達へと視線をやった。だが、すぐにサボテンから飛び出す。間髪入れず、そこに弾丸が叩き込まれた。ガンマンアライグマの攻撃だ!
「こいよ、保安官! ショウダウンと行こうぜ!」
 なんか無駄にかっこよさを醸し出すガンマン。銃撃をかわしながら、しかし保安官は反撃の時を待つ!
「害獣という事で困惑はしましたが、ガンマン相手と見れば、いくらでもやりようはあるであります!」
 ムサシはガンマンがリロードする、その一瞬のスキをついて、手にしたリボルバー銃の照準を合わせた。撃鉄を起こして、トリガを引く。同時、弾丸が発射され、弾倉が回転。バァン、と乾いた銃声が響き、訪れる静寂。一秒、二秒――三秒の時点で、ガンマンは倒れてぬわーした。
「生憎、悪漢の相手にはなれておりますので」
 ムサシはホルスターに拳銃をしまうと、倒れたガンマンを縛り上げた――。

「――アライグマ死すべし慈悲は無い。
 御主等のような存在さえいなければ、『こんな称号』を与えられる事は無かったのだ!
 ――いや、これが只の八つ当たりなのは分かっている。
 悪いのはいつぞやの魔王アラーイであり、スマホの翻訳機能を鵜呑みにした妖精アライグマなのだから。

 ――だが、それでも。

 アライグマと来たら、ぬわーさせずにはいられないのだ! 後でわたあめを洗い続ける刑も追加してやるからな御主等ァ!」
「しまった! これは八つ当たりだ!」
 ブレードアライグマが、汰磨羈の刃を受け止める! 走る強烈な衝撃!
「こうなったらわたあめを食べて回復を……」
「回復ぅ!? させるか!
 大の甘党である私の前で、わたあめを出してしまった不幸を呪うがいいッ」
「ああっ、こいつ人のわたあめをぺろぺろしてる!!!」
「はーっはっはっはぁ! アライグマはせん滅だぁぁぁぁ!!」
 強烈な、刃と刃のぶつかり合い! ステラはそんな師匠の戦いぶりを観ながら、
「いつもと違う、苛烈なほどの攻めの姿勢……流石の気迫です、師匠(せんせい)!」
 なんか感心していた。
「そう言うお前も中々の使い手と見える」
 剣豪っぽいアライグマがなんか言った。ステラはふふ、と微笑むと、
「拙も訓練は欠かしませんから。最強を謳うアライグマ……獲らせていただきます!」
 ステラが踏み込む。その手に赤と青の光が輝き、瞬く間にその両の手を覆う。赤と青、二つの拳が、剣豪っぽいに迫る! 振るわれる拳を、剣豪っぽいは刃で受け止めた! 返す刃が、ステラの身体を捉える! 斬! 衝撃が身体を突き抜け、
「くっ……!」
 ステラが身体をよろめかせる! 好機! 剣豪っぽいのが追撃を決めるべく飛び込む――だが、剣豪は気づいていない! ステラがいたずらっぽく浮かべた笑みに!
「残念でした。ここまで予定通りですよ」
 そう、確かにダメージは蓄積されていた。だが、それも織り込み済み……追い詰められてからこその本領発揮が、ステラの刃だ!
 カウンターのように、ステラはその右こぶしを撃ち抜く! 切れ味無双の雷を斬る一拳! それが剣豪っぽいの顔面にめり込んだ!
「ぬわーっ!!」
 剣豪っぽいのがフッ飛ばされる! そのままごろごろと地面を転がってからだ、ダウンした!
「ふふ、残念でしたね。
 最強を名乗るには、まだまだです」
「ってわけで、仲間はみんなやられたみたいだけど。
 仲間放置してると、食欲旺盛な奴に食われるぞ? 連れて逃げないのか?」
 と、サイズが相対するリーダーアライグマに言う。リーダーはぐぬぬ、とうめくと、
「だが! この俺がいる限り、最強の名は揺るがない――!」
 叫ぶ! そのまま両手を振り上げながら、サイズへと迫った! サイズはめんどくさそうにため息をついて、
「まったく、どうしてアライグマって言うのはこう、めんどくさい奴らなんだ……」
 武器を構える――刹那、交差! 一撃を繰り出したお互いが、お互いにダメージを受け――ぬわーしたのは、リーダーだった。ばたり、と倒れるリーダー。
 サイズはふん、と鎌を肩に担いでみせた。
「もう変な事するんじゃないぞ……頼むから」
 その言葉と共に――戦いは終わりを告げた――。

「えーっ、鍋しないの!?」
 焔が声をあげる。縛り上げられたデスアライグマたちだが、なんだか命を奪うまでにはしのびない。
「反省しているようなので、野に放ってあげましょう」
 迅が言う。
「流石にしゃべるアライグマは……食べたくありませんからね……」
 ムサシが苦笑した。
「って事で、反省するっスよ。今度こんなことしたら、ケツキック改めケツ神威っスからね」
 葵が言うのへ、アライグマたちがこくこくと頷いた。
「残念じゃなぁ……食べたかったのじゃがなぁ……?」
 夢心地が目をぎらぎらさせて言うのへ、アライグマたちが心底ビビる。
「ふ……これでまた一つ、私が猫である証明をしてしまったわけだが……」
 汰磨羈が得意げに言うの絵h、
「そうですね、師匠(せんせい)は猫です!」
 と、にこにことステラが笑う。
「変な依頼だったな……」
 サイズが言う。全くである。こほん、とサイズは咳払い。
「まぁ、せっかくだ。看板を直しておくか」

 クールな乗り物が
 マッハで飛んできます
 注意しょうがないので
 意(遺)書かいとけ

「これでよし、と」
 出来上がった看板に、満足げにサイズは頷いた。
 かくして、荒野には新たな看板が生まれ……。
 ひとまず、平穏が戻った、ようである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました!
 認めるぜ……お前らが最強だ……!(デスアライグマ談

PAGETOPPAGEBOTTOM