PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>ひかりは疾うに

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●航海(セイラー)
 コンテュール商会は航海国に於いて、物流の重鎮を担う。一流貴族と名高きコンテュールはその立場故に様々な顧客を相手にすることがある。
 例えば、神光――遥か大海を隔てたあの小国との貿易を引き受け、国家元首たる霞帝との友誼にも厚い。
 故に、彼らの国で起きた動乱の『真実』を聞き、不憫にも国を追われることとなった遮那という青年の身柄を引き受けたのだ。
 コンテュール商会で働く彼は日々忙しなく走り回って居る。今までは小国の貴族階級――加えて、あの国は航海とは大違いの長閑さだ――であった彼は慣れない商会の仕事に目を回している事だろう。
 まだ彼自身が仕事に慣れきらぬうちに訪れた国家の、否、世界の危機。
 カヌレ・ジェラート・コンテュールは直ぐに彼には後方支援、つまり商会の在庫の管理や裏方業務を任せる事とした。
 カヌレの補佐の立ち位置に付くこととなった遮那は此れで前線に出ることはない。つまり、霞帝という『友人』から預った御仁を易々と前線に出すわけには行かぬ、という訳だ。
「遮那さん、私は此れより物流が滞っておりますポイントへと行ってきますわね。
 その間、お渡ししたリストのチェックを宜しくお願いしたいのです。それから、お任せしたい事が……」
 普段纏っている簡素なドレスではない。運動服とも呼べるような軽装で武装を整えたカヌレは書類を手にした遮那を振り返る。
「出来ることでしたらば何なりと」
「ええ、護って頂きたい子が居るのです。と、言っても航海そのものは戦場にはなりませんでしょうから。
『追いかけてこないように』見張りをしていて欲しいのですわ」
「……と、言いますと?」
 不思議そうな顔をした遮那にカヌレはくすくすと笑った。
 商会の見習い娘が共にカヌレと前線に赴くことになった。彼女は其の儘、イレギュラーズのベヒーモス戦線にも協力したいと申し出ているらしい。カヌレは戦況確認を終えた後、航海に帰還するが『彼女』は兄・ソルベへと合流するつもりである。
 その言葉を聞いて遮那は合点が言った。自身にも剣の稽古を付けてくれと毎日毎日声を掛けてくる快活な少女――
 目映い黄金色の髪は蜂蜜のように柔らかだ。黒真珠を思わせた美しい瞳は勝ち気で、何時だって希望に満たされている。

 ――ビスコッティ・ディ・ダーマ。

 それが、遮那の初めての後輩であり、カヌレの言う見習い娘である。
 彼女はイレギュラーズと出会い、彼らの在り方に憧れた。そして、冒険者になる事を志し『双子の姉妹』と共に商会の門を叩いた。
 彼女の片割れシャルロット・ディ・ダーマに戦う力は無い。内気で、どちらかと言えば事務仕事に向いていた。
 快活で大雑把なビスコッティに事務は任せられないがシャルロットならば遮那が行う在庫管理にも向いているはずだ。
「つまり、商会でシャルロットと留守番をしていろ、と言う事で間違いはありませぬな?」
「ええ! 私とビスコッティは『お邪魔虫』の討伐に参ります。
 此処で責任者が討ち死にしては困りますから、護衛役には声を掛けておきましたのよ」
 ねえ、と振り返ったカヌレはイレギュラーズを見遣る。
 イレギュラーズの姿にシャルロットは「ビスコを護って下さいますか」と不安げに声を投げかける。
 シャルロットの不安など余所に、ビスコッティは瞳を輝かせて「イレギュラーズ!」と呼びかける。
「あっ、違う。カヌレお嬢様に怒られるんだったわ!
 うふふ。こんにちは、イレギュラーズ! 私の名前はビスコッティ・ディ・ダーマ!
 コンテュール商会の見習い冒険者よ。貿易に携わる仕事をして、様々な世界を見る……予定なの」
 うふふ、と微笑んだビスコッティは先程まで不安げであったシャルロットと瓜二つだ。
「帰ってきたら、大事な友達にお土産話をする予定があるの。ふふ、確りと護って――アダッ!」
 ……ビスコッティの頭にげんこつが落ちた。
「ごほん。
 砂嵐へと軍備を運ぶ最短の海域にて、船の連絡が途絶えることが頻発するようになりましたの。
 どうやら、終焉獣による影響が此方にも出ている模様。拠点や周辺の村々への支援物資でもありますから戦況に影響を及ぼす可能性もありますのよ。終焉獣を退け、私たちの力になっては下さいませんでしょうか?」
「そう! そう言いたかったの。えへへ、シャルの元に無事に帰ってくるために、一緒に頑張ろうね、イレギュラーズ!」

GMコメント

 夏あかねです。航海組。

●成功条件
 『コンテュール商会の船』が通る海域での掃討作戦:終焉獣の掃討クエストをクリアする。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●商会の海域
 砂嵐への最短の海域です。出来る限り海獣やモンスターの居ない海域をセレクトし、コンテュール家は独自に道を確保していましたが飛行型の終焉獣が飛来し、妨害を行っているようです。
 これ以上は支援物資を失わないために海域での掃討作戦を行って下さい。
 尚、現場まではカヌレ達と共に船で向かうこととなります。コンテュール商会は海賊よりも強かに、そして『商魂』に溢れてます。
 船にはサクラメントが設置されており、復帰にはそれ程不便しません。
(※遮那とシャルロットはお留守番なのでシナリオでの描写はありません)

●エネミー
 ・飛行型終焉獣 *20体
 ・水中型終焉獣 *10体
 終焉獣(ラグナヴァイス)です。空より飛来し、そして、水中から狙いを定めてきます。
 それらは獣のような形をしています。種類は様々なのか回復タイプや支援タイプと分かれているようです。
 カヌレ・ジェラート・コンテュールが有する能力(どうやら品定めすると同等にエネミーのデータを何となく把握できるようです。少し時間が掛かります。)を利用することも可能です。

○石花病と『石花の呪い』

 ・石花病とは『体が徐々に石に変化して、最後にその体に一輪の華を咲かせて崩れて行く』という奇妙な病です。
 ・石花病は現実の混沌でも深緑を中心に存在している病です。
 ・R.O.Oではこの病の研究者アレクシア・レッドモンドの尽力により『試薬』が作られました。試薬を駆使して、『石花の呪い』に対抗できます。(プレイヤー一人につき、誰か一名による1Tのギミック解除時間が必要)

 ・『石花の呪い』はバッドステータスと種別を同じくする特殊ステータス状態です。
 ・敵の攻撃がクリーンヒットした時に20%程度の確立で『石花の呪い』が付与されます。
 ・『石花の呪い』に感染したキャラクターは3ターン後に体が石に転じ死亡します(デスカウントが付与される状態になります)

●カヌレ・ジェラート・コンテュール
 コンテュール商会のお転婆お嬢様。飛行種です。
 貴族でありながらも商人としての立ち位置が強いのか、どうにも現実よりも豪胆でアグレッシブすぎます。
 モンスターの能力などを何となく把握できる能力を有するほか、狙撃などの護身に優れます。
 また、石花の呪いに対しての対処は万全に行ってくれるでしょう。

●ビスコッティ・ディ・ダーマ
 シャルロット・ディ・ダーマ(ミロワール)の双子の姉妹で人間種。愛称はビスコ。
 現実世界ではミロワールが魔種になった切欠のひとつ、彼女がミロワールに殺害された事が全ての起点ですが、R.O.Oでは幸せそうに暮らしております。
 見習い剣士として戦っており、商会の先輩の遮那にも色々と剣術を習ったようです。と、言ってもまだまだですが……。
 皆さんと共に頑張るという決意に漲っています。
 ――彼女について、詳しくは拙作『約束』などにもでております。

●コンテュール商会のNPC(味方) 5名
 船の操縦などを引き受けてくれるコンテュール商会のNPC達です。カヌレの指示を聞いて其れなりの護身術や水中のモンスターへの対処を行ってくれます。

 それでは、本来ならば共に戦うことの無かったビスコッティと共に。
 『電脳世界』ならではの冒険へ出掛けましょう!

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>ひかりは疾うに完了
  • GM名夏あかね
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月16日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
ヨハンナ(p3x000394)
アガットの赤を求め
花糸撫子(p3x000645)
霞草
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
アンドレイ(p3x001619)
わーるどいずまいん♂
フェアレイン=グリュック(p3x001744)
聖獣の護り手
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
桜陽炎(p3x007979)
夜桜華舞
ホワイティ(p3x008115)
アルコ空団“白き盾持ち”
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ


 あなたが、世界は恐ろしくて怖いところだと言ったから。私は鴎になって世界を見回そうと思ったの。
 羽を休める場所を選んで、世界は怖くはないのだと教えて上げようと思った。
 あなたが、旅をするのは怖いからと泣いていたから。私は海月になって世界を揺蕩ってみようと思ったの。
 のんびりと辿り着いた場所の恐ろしい敵なんて全て毒針で刺してやろうと思うから。

「よお、久しいなァ。ビスコッティ」
 片手をひょいと上げて挨拶をした『アガットの赤を求め』ヨハンナ(p3x000394)にビスコッティ・ディ・ダーマは「お久しぶり」と微笑んだ。
「セイレーンの時以来か? 元気そうで何より。んで、だ。今回のオーダーは承知した。支援物資は大事だしなァ、全て完璧にこなそう」
 目映い金の髪。黒曜石のような光を湛えた瞳。かんばせはヨハンナにとってよく知っているとある魔種と瓜二つである。
 シャルロット・ディ・ダーマ――『ミロワール』
 彼女が現実世界で殺してしまったという双子のかたわれ。本来ならば出会うことのなかった彼女は軽い武装に身を包み楽しげに微笑んでいる。
「ご機嫌よう。来て頂けて感謝致しますわ。ご存じかと思いますけれど、終焉の使徒により砂嵐は現在壊滅的なのです。
 私たちの目的はその様な壊滅的な砂嵐に支援物資を届けること、それから『このおばかさん』を前線へと連れて行くことですわ」
 嘆息したのはカヌレ・ジェラート・コンテュール。『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)にとってはお転婆お嬢さんと言えば彼女の方だ。
 だが、其れを凌ぐ勢いで危なっかしいお転婆少女が戦場を目指すというのだ。周りの大人も勿論止めたのだろう。見送りにやってきた天香・遮那と、彼に付き添われた不安げなシャルロットの様子を見れば良く分かる。
「ビスコ、やっぱり……」
「……まあ、危なっかしいが本人がやる気になっているのであれば止める必要も無いだろう。
 危険が及ぶようであれば此方で庇う事も出来よう。ビスコッティ……に、カヌレも守れるようにしておかねばな」
「あら、わたくしはついでですの?」
 睨め付けるようにじっとりと見遣ったカヌレにヴァリフィルドはやれやれと肩を竦める。この世界では守る義理もないが、目の前で死なれるのも目覚めが悪いというのが彼の言だ。現実世界ではある意味で主君に等しき貴族令嬢だ。護衛役として連れ回されることにも慣れた彼にとって、カヌレの面倒は朝飯前とでも言うことか。
「まあ、ドラゴンさんっていい人ね!」
「……と、まあ、危なっかしいのですけれど。放置していれば一人でほいほいと戦場に行って知らないうちに命を落とす可能性もありますもの。
 皆さんにはご迷惑をおかけしますけれど、戦場に『この子が辿り着いた』ら面倒を見てやっては下さいません事?」
 柔らかにそう告げるカヌレにこくこくと頷いた『竜は誓約を違えず』リュート(p3x000684)は「任せるっす!」と微笑んだ。小さなドラゴン、リュートを抱え上げたビスコッティがヴァリフィルドの背に乗せて「ドラゴンの親子」と巫山戯る様子にリュートはぱちくりと瞬いて。
 リュートとて『中の人的な事情』でカヌレを困らせるのは我慢できない。ある意味ビスコッティの天真爛漫さはR.O.Oでのコンテュール商会の居心地の良さによるものなのかも知れないが……。
(何時もは人を振り回す方のカヌレ様が疲れた顔をしてるッス!)
 驚いた様子のリュート。自身の中の人の存在はバラす様なことはしない。もしかすれば航空戦力の護衛として此方の世界の自分が支援をしてくれる可能性があるからだ。勿論、こちらの自分であるならば信ずる者も似通っている――が、護るべき主を前にして、竜にばかり構うことはしないのが海洋軍人カイト・シャルラハなのである。
「カヌレさん、依頼確りとお受けいたしました終焉獣――人々を守る為、希望の航海を続けるためにこの力を」
 お任せ下さいと微笑んだ『夜桜華舞』桜陽炎(p3x007979)は膝を突く。天真爛漫に、そして何処までも自由奔放で戦場には慣れていない様子のビスコッティを見る度に不安になる『わーるどいずまいん♂』アンドレイ(p3x001619)は「本当に行くのか?」と問いかける。
「ええ! 私は世界を見て、シャルに教えてあげたいの。怖いことばかりじゃなかったわって。
 けど、あの終焉の獣(ベヒーモス)は怖いの。怖いからって指を咥えて待ってたら世界は怖いんだってシャルがもっと怯えちゃうから」
 アンドレイを見上げるビスコッティの瞳には意思が満ちあふれていた。アンドレイはがりがりと頭を掻く。そうだ、自分自身が過保護なだけかもしれない。引くべき所をしっかりと抑えて置けば難なく戦闘もこなせるはずだ。その引き際を教えるのも大人か。
「子の成長を見守るのも親の務め……いや、俺様が親と言う訳じゃあねえんだが!
 それなりにやれるってことを信じるぜ、だから俺様が戻って来る前にやられたりすんなよ」
「ふふ。変なの」

 ――おとうさん。

 ミロワールの唇が、そう呼んだことを覚えている。父と慕って、嬉しそうに微笑んだ。光に焦がれた闇色の少女と同じかんばせで、本物の両親を思うビスコッティに僅かな寂しさを感じずには居られない。
「安心してね。無事に皆に認めて貰える様に頑張るから」
「はい。…ビスコッティさん、"無事に帰る”その思いは大切に。その上で、この場には様々な戦い方をする方達がいます
 護衛だけではなく……どうか貴女にとって多くの学びが在らんことを――大事な友達に、それも教えてあげてくださいね」
 優しく声を掛けた桜陽炎にビスコッティは微笑んだ。そっと手を伸ばして、ぎゅうと握る。
「あなたも、私たちを護るために無理をしないでね」
 彼女はサクラメントがなんたるかを教わったのだろうか。コンテュール商会は其れなりに巨大な船舶を有する。故に、イレギュラーズの行動も見透かしたか。
「……はい」
 言われてしまったと頬を掻いた桜陽炎にビスコッティは悪戯っ子のように微笑んだ。その笑顔は、屹度『彼女』では見せなかったものだ。


 二人は自分の道を見付けたのだろう。一方は冒険者となり広い世界を見せたいと願う。もう一方は生きていく為の知識を身に付けたいと願う。
 それはとても素敵な事で、互いを大切にし慮るかたちの在り方。正しい姿なのだと思えばこそ、『ホワイトカインド』ホワイティ(p3x008115)は出立の前に彼女に声を掛けておきたかった。
「……大丈夫。必ずビスコちゃんを守るから。約束だよ、シャルロットちゃん。
 それじゃあ、冒険が終わったらいっぱいお土産話をしなくちゃ。頑張ろうねぇ、ビスコちゃん!」
 シャルロットちゃん、と久しぶりに口にしたその名前に「おねがいします」と柔らかな声音が返った。その声は、聞き覚えがあって、か細い。不安の滲んだ優しい響き。「もちろん!」と言ってのけたビスコッティの声も同じであろうに明るく快活だ。
 そんな二人の様子を眺めていた『聖獣の護り手』フェアレイン=グリュック(p3x001744)はホワイティが『ビスコちゃん』と呼ぶその様子にどきりと胸を跳ねさせた。
 フェアレインにはビスコッティを愛称で呼ぶ勇気は無かった。グリュックの事やログアウト不可能を考えたら腰が引けていたのも確かだった。
 それでも、彼女が戦場に行くと決めたのだ。帰りを待つのはとても勇気がいることで、シャルロットが告げた「いってらっしゃい」はどれ程に心のこもったものであるのか。想像するにも易くはない。
「シャルロットとビスコッティが勇気を出したのなら……レイさんも出さなきゃな!」
 決意をし、乗り込む船はセイラーから砂嵐の後方拠点へと向かう。陸路は僅か、出来るだけ軍備を運び易いようにと布陣しているらしい。
「まあ……これが海! ふふ、知ってはいるけれど、"見た"のは初めてよ! こんな風なのね」
 潮の香りも、鴎の鳴き声も、波の音さえ『霞草』花糸撫子(p3x000645)は知っていた。知っては居たけれど『見る』のは初めてだと心を燥がせた花糸撫子は肺を満たすように潮風を吸い込んで。
「観光だったら良かったのだけれど、そうも行かないわ。全て護りきって、色々な世界を見る予定をしっかり詰めないとね。
 そうでしょう、ビスコッティさん? 頼りないかもしれないけれど、私も頑張るわね!」
「じゃあ、その時は一緒に遊びに行きましょう? ね、花糸撫子!」
 にんまりと微笑んだビスコッティに花糸撫子は頷いた。同じように身を乗り出した『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)は「いえーい、海だぜ!! 船だぜ!! でも敵が来たぜ!!」と敵影にげんなりとした表情を浮かべる。
「…………いや、本気で空気よめねー敵だな!! 今回はこれが仕事なんだけどさ!!」
 護衛役。そして必ず襲い来る終焉獣(ラグナヴァイス)。知っては居たけれど空気が読めないと呟いたルージュに『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)はふ、と笑みを浮かべた。
「上と下からの同時攻撃ってか。獣のクセに、生意気にも厄介な攻め方をしてくれるじゃねーか――いいぜ。その喧嘩、買ってやんよ」
 St.Elmo'sFireを構えたTethが狙いを研ぎ澄ませる。大型ハンドガン『Castor』とのリンクが接続される。
 災厄の嵐を鎮めるとも言われた力を生み出すZodiac Armsを構え、周辺に召喚したのは自動反撃ドローン。サブプロセッサを兼ねたそれが彼女の行動をさらに機敏にさせた。
「俺様は空だ!」
 告げて甲板を蹴る。ふわりと空へと躍り出たTethの重厚は空より迫り来る終焉獣へと狙いを定めた。
 連携のとれる空戦力。敵ながらなんとも天晴れな航空機動部隊だ。其れ等がどれ程の脅威になるかをTethはよくよく知っている。攪乱させるべく放たれたのはARC(高等放射性呪詛)。
 肉体の電気信号をも掻き乱す『呪雷』が魔術となって放たれた。Tethに引き続いて空を眺めたのは頬を膨らませていたルージュ。
 サクラメントの利用を主としていたため海には馴染みのなかった『妹』は海を眺めて楽しむ機会を失わされたとも言える。
「お気を付けて。奴、遠距離攻撃を有していそうですわね」
 カヌレの言葉に「オーケー!」と応えたルージュがその身に宿したのは各種スキル。設定されたそれらを順に使用して、マザーハンマーを振り上げる。
「カヌレねーってすげーな!! 敵の能力が何となくでも判るんだろ? なら、どいつがめんどくせー敵、回復とか支援とかか教えてくんねーか?」
「ええ。観察致しますわね」
 ルージュの言葉に自慢げに胸を張るカヌレ。その様子にヴァリフィルドは「余り前へ出すぎるな」と嘆息した。航空戦力へと戦場からの砲撃戦をとるルージュは「カヌレねー、後ろに下がっていてくれよ!」と微笑んだ。
「それじゃ、さっさと倒して海を楽しもうぜ!」
「そうだねぇ。ビスコちゃんにとっても初めての船旅でしょ?」
 ねえ、と振り返ったホワイティにビスコッティは「ええ、お恥ずかしながら!」と頬を掻いた。剣を手にして、届かない空中の敵を睨め付ける彼女へくすくすとホワイティは笑う。
 透き通るような光の翅をその背に。飛び上がったホワイティに引き続き、ビスコッティは「カヌレ様、私も外に出て良いですか!?」と叫ぶ。
「……ええ」
 嘆息するカヌレに桜陽炎は肩を竦めた。彼は大樹の守護をその身に宿して水中行動をスムーズに行えるようにと海へと飛び込んだ。
 水中に存在するその数は10。カヌレは現状では水中の確認は難しいか。船上に居るビスコッティが空を攻撃できるようにとカヌレから武器を手渡されていた様子に僅かな安堵を覚え、彼女を狙う敵が出ぬようにと躍るように剣を振るう。
 桜陽炎と同じく水中へと飛び込んだアンドレイはエネルギーを解き放ち、すいすいと水を泳ぐ。
 地面を殴れなくとも世界を揺さぶり犯す事には貴賤はない。水中であろうともその拳を突き立てるだけだ。
「お?」
 するすると下りてきたロープ。船から降ろされた其れを見上げたアンドレイの耳に「それじゃあまた後でね、ビスコッティさん! お互い頑張りましょ!」と軽やかに微笑んだ花糸撫子の声音が聞こえる。次いで、水しぶきが上がったのだろう。
 勢いよく飛び込んだ花糸撫子は「わ」と小さく息を呑む――美しい青。そして其れを台無しにするような終焉獣たち。
「うふふ、せっかちさんね! それじゃあ早速だけど、1曲聞いてちょうだいな!」
 水の中でも自由自在に動き回ることの出来る花糸撫子は無粋な輩に対して歌を紡いだ。それはヴェールのように揺らめいて、神秘の加護を彼女に降ろす。
「10体、連携するとは賢いっスね!」
「ええ、そうね。けれど、統率がとれるのはこちらだって?」
 ねえと微笑んだ花糸撫子に頷いたリュートは竜神ならば何処へだって行けるのだとすいすいと水中を泳いだ。水中でさえも後光が射すように辺りを明るく照らし上げ、力ある声を発する――その声が、僅かに終焉獣を驚かせたか。
「ただの獣が、ドラゴンに勝てると思わないことっすね!」


 天高く、飛来する終焉獣はまるで世の終わりを伝えるようである。それが悪魔だというならばヨハンナは鼻で笑ってみせるだろう。
 船が壊れた末に沈没などとなられては困るのだと己の手首に一閃、走らせたそれが地を呼び出して結界の媒介を作り上げる。
「カヌレ、これで大丈夫だぜ」
「感謝を」
 穏やかに頭を下げたカヌレはヨハンナが護りたいと願った『ビスコッティ』を一瞥する。彼女の元へと差し出されたのは眷属か。空を舞う事の出来る鷲の大賢者の末裔たるヨハンナは自身と離れていても大丈夫なようにと念には念を入れて蝙蝠を手渡したのだろう。
「……ま、御守りだ。危なくなったら直ぐに俺が行くから」
「私、頼りない?」
「ッ、いや……そうじゃ……そうじゃないんだ。ビスコッティ、シャルロットの元に戻るためだ」
 くしゃりと彼女の頭を撫でたヨハンナは肩を竦めた。少しばかり拗ねたビスコッティは「そうね」と小さく頷いてくれる。

 ――護る、絶対に。

 そんな仕草一つでもこんなにも心が温かくなるのだ。シャルロットもビスコッティも、此方の世界では前を向いて前向きに歩んでいるのだ。
 そう思うからこそ、ビスコッティをフォローするように立ち回るホワイティと同じ。自身も彼女を護りたいと願うのだから。
(……守らなきゃ、今度こそ。幸せが壊されない様に。双子が、引き裂かれる事が無いように)
 あの青き海。絶望の中で光り輝いた彼女。黒い髪に海を揺らして、微笑んだ彼女の最後の願い。
 目の前で戦おうとする彼女を『弔いたい』と願った彼女。それだけ大切だったビスコッティの命を任されたのだ。
 感傷など悟られぬようにヨハンナはビスコッティと名を呼んだ。ホワイティが彼女に合わせて動くというならば自身が先導を任されよう。
「剣を握るなら、強くなれ。絶対に、シャルロットを残して死ぬんじゃないぞ。……片割れを喪った痛みは、ずっと残るから」
「――……ええ、そうね」
 前線で戦い続けるTethが狙い澄ます敵を目標にしてフェアレインは願うようにスキルを放つ。カヌレやビスコッティ、そしてヨハンナが保護をしてくれた船そのものを狙う事も少なくなると考えて火力を生かして戦い続ける。
 デスカウント、それは死亡の累積だ。
 簡単にデータが掻き消えるわけではない。死という途方もない闇が迫り来る。傷を負う痛みだって感じられる。
 それが表面上はデータが蓄積されるだけだと知りながらも、死という概念そのものをフェアレインは恐ろしかった。
 フェアレインが死したならば、『グリュック』の肉体を於いて言ってしまうことを想起させる。それが、死だ。
「ビスコッティは、怖くない?」
「……こわいわ」
 緊張をして、脚も竦んで。それでも、此処を狙えと先導するヨハンナに、共に剣を振るうことを選んでくれたホワイティに。
 果敢にも空を舞うように戦うTethとルージュに。此方を見てカヌレに前に出るなと忠告するヴァリフィルドに。
 水中で戦う花糸撫子やアンドレイ、リュートに桜陽炎だってそうだ。
 彼らは死すら恐れぬ冒険者だから。
「私はね、本当は怖がりなの。シャルロットも驚くほどの。怖がりで、泣き虫。
 だけど、私よりも強くて、頑固者な癖に最初の一歩に驚いちゃうシャルロットにおいでって手を差し伸べる役割が必要なの。それが、私」
 とても怖い。そんな本音をこっそりとフェアレインに囁いて、ビスコッティは「行こう!」と手を差し伸べた。
「貴方が怖いなら、私が手を引いて上げるから」
「――――、うん」
 希望に満ちた、彼女の瞳にシャルロットも救われたんだろう。不安を我慢して、無茶をせずに「いってらっしゃい」と笑ったシャルロット。
 フェアレインよりも年若い彼女達が頑張るのだ。それならば、男として、年長として、フェアレインだって全力で頑張らねばならない。
 果敢にも戦場で戦うフェアレインの眼前をヴァリフィルドが横切った。
「どれが『回復役』だ?」
「よく見えないので前に言っても?」
「出てくるなと。余計な仕事が増えるだけだ」
「まあ! いけずですのね。その緑色が変な動きをしていますわね。回復行動では?」
 先に言えと吼えたくなったヴァリフィルドにカヌレはくすくすと笑う。現実と同じく軽口と、お転婆さを隠しもしない貴族令嬢の『審美眼』にヴァリフィルドは「緑だ!」と叫んだ。
 データが外部へと放たれると共に荒れ狂う奔流となる。飲み込まれた終焉獣に向かって、追撃と言わんばかりにTethが攻撃を放った。
「カヌレ、後ろに下がって居てくれ。石花の呪いの治療は任せてあるのだ」
「ええ、構いませんわよ」
 ヴァリフィルドとカヌレの様子を上空化ならがめていたTethは「石花の呪いか」と呟いた。確かに、それは厄介だ。全ての終焉獣が使用できるというのだからそれは特有のスキルだと認識した方が良い。
(特段、そうした行動がなくともその呪いが伝播する……まるで廃滅病みたいだな。胸糞悪い)
 Tethは何にせよ、彼女達をそうした危険に巻込むわけには行かぬと肩を竦めた。空を飛び交う飛行型は数は多いがカヌレの『目』を活かせれば効率よく倒せるだろう。
「さて、お嬢様方二名を危険に晒す訳にはいかねーんでな。徹底的に嫌がらせしてやらぁ!」
 Tethは周囲を見遣る。カヌレやビスコッティを気にするそぶりを見せる仲間達が多い。それならば、自身はサポート役として彼女達を救う手立てを指し示してやれば良い。
「カヌレねー! 次はどいつだ?」
 死すら恐れぬルージュはデスカウントを増やすことを考えていた。最終決戦に向けて『デスカウント』の累積で自身が強化されれば、其れだけで攻略の目が生まれるはずなのだ。敵が『司令塔』であろうカヌレに集まる事が無いように。ルージュはカヌレに「出来るだけ後ろに居てくれ!」と叫んだ。
「カヌレねーを狙うだけの知能はありそうだからな!」
「まあ! ……護って下さいます? 私、末っ子でして妹は居なかったのですけれど姉と慕われるのは悪い気分ではありませんわね!」
 ふふん、と笑ったカヌレにルージュは面食らったような顔をした。明るい『R.O.O』カヌレは軽口を言いながら船室側に身を潜めたか。
 攻撃を用いて弾き飛ばし、移動に手を割いた終焉獣を一匹ずつ倒し続ける。ビスコッティが剣より衝撃波を放てば、それに合わせてホワイティが剣を振り上げる。
「……遮那に剣術を習ったみたいだが、実戦は初だろ。俺と同じ敵を狙えるか? 上空だ」
「狙いがはずれる!」
 神光の『ただの』遮那から習った剣術はまだまだ付け焼き刃。実践レベルには遠く及ばぬのだろうが、足手まといだとはこの場の誰も言わなかった。
 海の中で懸命に戦う仲間を思い浮かべてからルージュは「此の儘掃討するぜー!」と手をぶんぶんと振り回した。


 美しき海の中を自由にすいすいと動いたリュートは「我を無視して行こうなぞ不遜極まりない。竜王からは逃げられぬのだ!」と叫んだ。
 遊ぼうと誘うようにじゃれついて、船を狙おうとする雑魚――それは文字通りの意味合いだ――を引っ剥がす。勢い良く引き摺り倒したリュートはすう、と息を吸い込んだ。
 両手を前へと突き出して魔弾が前方へと放たれる。船は狙わせない。それは翼の姫、己の護るべき主君を害する者は万死に値するのである。
「ぎゃう……」
 リュートはふと、思い出す。泳げない誰かが落ちたらリュートが助けるっすとぴょんと跳ね上がった小さな竜へカヌレは「わたくし、泳ぎには少し自身がありますの」と言って居たのだ。そうは言いながら装飾華美にも思える衣服に身を包んだカヌレは海に落ちたら溺れる気がしてならない。
 顔を合わせては居ないが上空で船の護衛を行って居るであろうカイトの事を思い浮かべてリュートは海の中で自分は頑張るのだと努力を重ね続ける。
「ふふ、海の中で戦うって何だか不思議な感じね? だって、『海の中』って響きだけで新鮮じゃない?
 こんなにも自由自在に海を泳いで、戦って……そうして過ごしているのが一番不思議なんだもの!」
 死んでもサクラメントからの『アンコール』が為せると思うからこそ、花糸撫子は安心するのだと船と共に進み続ける。
 回復行動を行って居るであろう敵はカヌレの目でなくても見極めることが出来た。花糸撫子が歌を歌い続ける。囁くような声であっても、魔力を帯びたその声はよく通り――周囲の視線を引付ける。
 花糸撫子が引付けた其れ等を切り刻むのは桜陽炎の鋭き刃。
「回復支援をしているのは『奴』ですね?」
「ええ。そうみたい!」
「……了解しました。奴を狙いましょう」
 囁くように、声音を紡いだ桜陽炎が花糸撫子に集う終焉獣を払い除ける。桜を舞わせ、切り刻む一閃は鋭さを増すばかり。
 海中の敵が船を狙うのであれば、桜陽炎は必ずビスコッティを護ると決め、その身をも投じる。
 身をも擲っても良いほどの。そうだと感じるだけの全てがそこにはあった。綴った物語の先を見遣るような『桜吹雪』のような彼女達。
 祈るように舞い踊る。切り刻む剣の先を追いかけて、拳を叩きつけたのはアンドレイ。
「『娘』達が頑張ってるんでね!」
 手の届く範囲ならば何があっても助けてやる。それはビスコッティだけではない。コンテュール商会の皆も同じだ。この場所で命を失わせてなるものか。
 一体、又一体と海の中で倒し続ければ、空から影が落ちる。討伐された終焉獣の体が落ちて、霧散する。まるで、毒の霧のように――鬱蒼とした気配を乗せて。
「海の敵は一匹でも倒しそびれると後が大変だしなー」
 上空から降ったルージュの声に桜陽炎は「数を数えて倒しましょうか?」と揶揄うように囁いた。倒し終わったと感じても、完全に敵影が消えたことを判別せねばならないか。一体一体、確認してカウントしながら、チェックを行わねば下からやってきた終焉獣に襲われるなど堪ったものではない。
 桜陽炎が「1、2」と倒した敵を数える度に霧散して消えてゆく其れは毒の霧となる。
「海中でも使えるのか?」
 試薬を持っていたアンドレイに「使えそうね」と花糸撫子は首を傾ぐ。商会として持っていたらしい終焉獣への対抗用『石花の呪いの解毒剤』は海の中でもその効能は健在だ。伝染すると書けばなんともあの海の冒険を思い返させられる気がしてアンドレイは嘆息した。
 思い出さなくても良いだろうそれ。その苛立ちを伝えるように拳を突き立て続ければ、先程声の聞こえたルージュが海の中にどんと飛び込んでくる。
「ねーちゃん、にーちゃん、大丈夫か? 上空は皆で頑張ったぜ!」
「……『ビスコッティ』はどうですか?」
 桜陽炎の問いかけにルージュは「大丈夫だ!」と微笑んだ。まだ幼く見えた彼女もホワイティやヨハンナの介添えでどうにか戦うだけの力を身に付けるまでにはなったらしい。遮那に教わった神光流剣術を生かし、生き生きと終焉獣を討滅した。
 ルージュに引き続き海へと飛び込んだTethは「寒ぃ!」と叫ぶ。水中の彼らと連携し、攻撃を重ねるまではまだ良いが、寒中水泳とは聞いちゃいない。
 Tethの声にフェアレインとビスコッティは顔を見合わせた。ルージュの言葉の通り『海の中』の敵を討ち漏らさぬように気を配るために半数が海の中へと入り、索敵を掃討を行う。上空からの援軍がないかも確認するためにヴァリフィルドは周辺を警戒していることだろう。
「ぷあっ!」
 海中から顔を出したリュートは肩を竦めて息を吐く。「海中はもう大丈夫っすよ!」の一声だけで商会の面々が安堵したことに気付いた。
 これだけ美しい海であれども船が進めば、その内情は分からなくなる。不安を胸にしたカヌレを見れば、安心させてやらねばならないとリュートは強く感じた者だ。
「怪我はないっすか?」
「え、ええ。大丈夫ですわよ。ビスコは……あら。擦り傷があるじゃあありませんの」
「えっ!?」
 大丈夫、と慌てた様子のホワイティに「擦り傷だもの」とビスコッティが唇を尖らせる。慌てた様子で見遣ったアンドレイが彼女の頬に手を添えて水を掛けて傷を清める。刀傷などは注意しなくてはならないと注意する彼の様子は父その者だ。
「……守れて良かったじゃね――くしゅん」
 流石に海は寒かったと肩を竦めたTethに「R.O.Oの技術力には驚かされますね」と桜陽炎が苦く笑みを浮かべる。
「『約束』が守れて良かったさ」
 ヨハンナの呟きに「そうだな」と応えようとしたTethは再度くしゅんとくしゃみを漏らした。
「まったくよ、とんでもねぇ寒中水泳だったぜ……。あったかい飲み物ねぇか?」
 呟いたTethに「ホットココアでも作りましょうか?」とカヌレは微笑んだ。

「この戦いがね、終わったら。ビスコちゃんは何をする?」
「そうね……まずはシャルの所に帰って、凄かったって話そうと思うの」
 ホワイティはうんうん、と頷いた。微笑んで彼女を見遣れば指折り数えるように微笑んでいる。
 シャルロットに聞きたいことは沢山あった。今日の冒険の話を、これから来るベヒーモスとの戦いを。無事に生き延びたらこう言うのだ。

 ――そっちのお仕事はどう? 事務仕事や在庫管理って聞いたけど、やっぱり大変?

 そんな風に話しかければ、屹度彼女は笑うのだ。どうかしら、難しいかも、なんて。
 あの笑顔を思い出してからホワイティは「勝とうね」とビスコッティの手をぎゅうと握った。
 これからも、いつまでも、二人の物語は続いていくはずだから。
 だからこそ、この先の未来を大切にして、一瞬一瞬を宝箱にしまうようにそうと抱き締めるのだ。

「ねえ、陸(おか)が見えたわ!」

 ほら、見てと指さした花糸撫子が微笑んだ。その笑みを受け止めて――ビスコッティは「もう一度一緒に戦ってくれる?」とイレギュラーズへと問いかけるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ヨハンナ(p3x000394)[死亡]
アガットの赤を求め
ルージュ(p3x009532)[死亡]
絶対妹黙示録

あとがき

 この度はご参加ありがとう御座いました。
 もしも、無事に世界が救えたら思う存分に遊びに行きましょうね。

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