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シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>神は天にありて、地に手を差し伸べることなく

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●正義襲撃
「始まったようだな。世界の行く末を決める戦いが……」
 シェアキムは教皇庁の一室で、静かに呟いた。
 既に正義の聖騎士たちの殆どが、伝承国付近の決戦の場に赴いている。報告によれば、先ごろ第一陣が戦場に到着。終焉の獣たちとの戦いを繰り広げているらしい。
「エルベルト、首都下はどうなっている?」
「ええ、現在民の8割の避難は完了しています。が、残り2割は、元より重病者や老人など、すぐには動けぬ者たちが大半を占めております」
「結局は、聖騎士も首都防衛に、多少なりとも残らざるを得ないのです。
 本来は、私も最前線に向かうべきなのでしょうが……」
 シリウス・アークライトがそう告げるのへ、イェルハルドが頭を振った。
「現場はレオパルやロウライトの娘ごに任せておけばよかろう。それより、問題は国内に残ったワールドイーターどもだ。
 特務部隊『視える者達(スターゲイザーズ)』の報告によれば、首都外縁のデータが食われ始めたという事らしい」
「……ワールドイーターも、首都を喰らうために動き出したか……」
 シリウスが歯噛みをする。立場上、先陣を切って飛び出して戦う、と言う事は、正義騎士団長シリウスにはできない。正義の名のもとに、民を守るために戦う。功績を重ねたが故に、新たな責任と戦いの場が発生し、それができないのは何とも皮肉だ。
「シリウス、飛び出すなよ」
 エルベルトが言うのへ、シリウスは苦笑した。
「分かっているよ。私も少しは歳を取ったつもりだ」
「歳、か。そう言えば、お前の息子も、良い騎士に成長したようだな」
 エルベルトの言葉に、シリウスは頷く。
「ああ。仮に聖遺物の発動により、我らの命が失われたとしても……この国には、良き若者たちが育っている。
 ロウライト、ミルフィール、ヴァークライトの子らもそうだ。
 ……我々が潰えたとしても、若き希望は残っている。なら……」
 苦笑交じりにシリウスがそう言った刹那、世界にノイズが巻き起こった。ざ、ざ、ざ、と砂嵐が起きたかのように、ノイズが教皇庁を包み込んだ。刹那――。
「なら――ろーがいには退場してもらっちゃう?」
 嘲るような声が聞こえた。ノイズが激しくなるや、同時! そのノイズの嵐の名から、二つの影が現れる!
「何者……ワールドイーターか!?」
 シリウスが刃を抜き放つ。シェアキムを庇うように、エルベルト、イェルハルドが立ちはだかった。
「一緒にしないでほしーんですけど?
 あたしはパラディーゾ、天国篇第三天 金星天の徒。名前はお好きに?」
「……天国篇第二天 水星天の徒。『コルネリア』で良いわぁ?」
 名乗る、金星天、そして『コルネリア』。金星天は値踏みするように、コルネリアは嘲笑するように、異なる瞳でシリウスたちを値踏みする。
「ここにあたし達が来た理由は……わかってるっしょ?
 まさかスティアっちとスターイーターが特異運命座標たちに負けるとは思わないけど、念のため、ね?
 せーいぶつ、ってやつ? あれの発動を止めさせてもらうわ」
「狙いは、我々の継承した聖遺物……いや、命そのものか!」
 シリウスが歯噛みする。聖遺物である『アークライトの地槍』は管理のため教皇庁に隠されている。が、後継者たるシリウスの命が失われれば、その力を発揮することはできないだろう。
 それに、10の聖遺物の神の力の発動のキーとなる『天の杖』は、シェアキムが存命でなければそもそも発動できない。
「イェルハルド、エルベルト、猊下を! こいつらは私が止める!」
 シリウスが構える。
「へぇ、正義の騎士様はかっこいいわねぇ?」
 コルネリアが嘲るように笑った。
「でも、アンタがどれだけ強くても……所詮はNPC。悪いね、アタシたちには勝てない。
 正義。その名がもう、吐き気がするくらいにムカつくのよね。悪(りふじん)に屈しな、砂上の楼閣」
 コルネリアが笑う。手にした、ハンドガン。その引き金を、ゆっくりと引き――。

「つまり……アタシたちなら勝てる、って事っしょ!」
 同時、二つの影が、パラディーゾ達に襲い掛かった! 一つは、金星天へ。鋭い蹴りを繰り出し、強襲! 金星天は、舌打ち一つ、バク転をして距離を取る。
 一方、もう一つの影が繰り出したものは、シンプルな銃撃だ! 連続して響く銃声、コルネリアはとっさに飛びずさると、金星天と共に距離を取る。
 シリウスたちから大きく離されたパラディーゾ。その合間に立ちはだかった、二つの影。いや、同時にいくつもの光の柱が現れて、中から多くの人影が現れる。
「特異運命座標か……!?」
 シェアキムが叫んだ。
「そのとーり! 緊急クエってことで、飛んできた!」
 先ほどの声の主――エイル・サカヅキ(p3x004400)が、身構えながらそういう。
「ハッ。翡翠国で逃げ出してからどこで何をしてるのかと思えば、まさか正義国で遊んでるとはねぇ、コルネリア。
 いきなりクエストの呼び出しとは腹が立ったけど、しかし探す手間が省けたと思えばちょうどいい」
 銃撃の主――マチルダ(p3x009315)が、たばこの煙を吸い込んで、一気に吐き出した。そのまま床に落として、踏みつけて消火する。
「と言うわけだ。アタシは正義国の行く末には興味はないが、そこのアホ面下げた女には用があってね。
 さっさと逃げな。ケリはつけてやる」
「きょーこー様が死んだら大変なんしょ?
 あとはアタシたちに任せて!」
「……! すまない、特異運命座標たちよ……!」
 シェアキムがそう言うのへ、エイルとマチルダはひらひらと手をふった。
 シリウスに庇われながら、シェアキム、イェルハルド、エルベルトが、隠し通路から逃走を開始した。
「……邪魔してくれんじゃん、『エイルちゃん』。ま、そーでなきゃ面白くないよね」
 金星天が笑う。ゆっくりと身構える。
「アタシも会いたかったわ、『コルネリア』。此処で決着つけましょうか」
 『コルネリア』があざ笑うように銃を構える。

 もはや問答は無用。特異運命座標たち、そしてパラディーゾ。その決戦の火ぶたが、今ここに切って落とされようとしていた。

GMコメント

 緊急クエストです。
 正義国教皇庁に二名のパラディーゾが出現。教皇シェアキム以下正義国の要人たちを狙っています。
 あなた達にクエスト参加権を付与します。
 クエストを受諾するならば、サクラメントを利用し、現場へと向かってください。
 これは世界の行く末を担う戦いです。

●成功条件
 パラディーゾの撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●注意
 このシナリオの結果によって、『<ダブルフォルト・エンバーミング>ワールド・エンド・ゲーム』の戦場に重大な影響が発生する可能性があります。

●クエスト詳細
 金星天・水星天の二名のパラディーゾが教皇庁に出現しました。
 二名はシェアキム教皇以下、正義国の要人を狙っています。目的はもちろん、聖遺物の発動阻止のためです。
 あなた達は、今まさにその現場へと転送されます。この二名のパラディーゾを撃破し、襲撃を阻止してください。
 作戦エリアは教皇庁謁見エリア。周囲は充分広く、戦闘面でのペナルティは発生しません。

●エネミーデータ
 天国篇第三天 金星天の徒 ×1
  エイル・サカヅキさんに酷似したパラディーゾです。高い防御技術を持ち、高水準の近接攻撃を行ってきます。
  戦法自体は、エイルさんと酷似しています。が、その威力や性能などは、一段以上上昇しているようです。
  なお、戦況の状況によっては、撤退を選ぶ可能性はあります。
  撤退させて数を減らすか、ここで確実に倒す方を選ぶかは、あなた達次第です。
  なお、戦闘中、以下のスキルを使ってくる可能性があります。

   データクラッキング(槍)
    データを喰らうバグの槍。高威力・ログアウト不能状態を付与する可能性あり。

 天国篇第二天 水星天の徒 ×1
  コルネリアさんに酷似したパラディーゾです。『コルネリア』を名乗っています。
  コルネリアさんをベースにしており、遠距離からの強烈な銃撃を得意とします。
  全体的に極めて高水準なパラメータを所持しています。
  なお、戦闘中、以下のスキルを使ってくる可能性があります。

   データクラッキング(槍)
    データを喰らうバグの槍。高威力・ログアウト不能状態を付与する可能性あり。

●味方NPC
 シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世
 シリウス・アークライト
 エルベルト・アブレウ
 イェルハルド・フェレス・コンフィズリー

  正義の要人たちです。現在、隠し通路を利用して逃走中です。
  戦闘には参加しませんし、戦場にはいません。が、万が一皆さんが敗れるようなことがあった場合、パラディーゾに追いつかれて殺害される可能性は充分にあり得ます。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>神は天にありて、地に手を差し伸べることなく完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年12月08日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

スティア(p3x001034)
天真爛漫
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
エイル・サカヅキ(p3x004400)
???のアバター
入江・星(p3x008000)
根性、見せたれや
イデア(p3x008017)
人形遣い
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
うるふ(p3x008288)
銀河を狩る獣
きうりん(p3x008356)
雑草魂
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花
マチルダ(p3x009315)
その罪は譲らない

リプレイ

●衝突
 シェアキムたちが、隠し通路を奔る。
「口惜しいな……彼らに全てを託さねばならないとは……!」
 シリウスが言うのへ、エルベルトは頷いた。
「だが、我々がなすべきは、今敵と直接戦う事ではない」
「分かっている……一刻も早く、『聖域』へ向かう必要がある」
 シリウスの言葉に、イェルハルドが応えた。
「我らの戦場はそこにある……か。さて、我々の最後の仕事になるか……」
 最後の仕事、と言う言葉に、しかし何か申し訳なさげに吹き出したのはシェアキムだった。
「ふ……最後、か。このような事を言っていては、またラルクロークに叱られてしまうかもしれんな」
「ラルクローク……ああ、よく猊下に意見に来られる司祭でしたか」
 イェルハルドの言葉に、シェアキムは頷いた。
「うむ……何故、彼女の事を思い出したのだろうな……救援に来た特異運命座標、あの、緑髪の少女。
 何故か、彼女を……ナチュカ・ラルクロークを思い起こさせた……」

「っしゃー! シェアキムのピンチだ! 気合入れていくよ!」
 と、緑髪の少女――『グリーンガール』きうりん(p3x008356)が叫ぶ。同時、仲間達も一斉に構える。
「悪いけど、キミ達はここから一歩も先へは行かせない! 行かせるもんか! ここでやっつけるっ!」
 そういうきうりんをあざ笑うように、『コルネリア』は鼻を鳴らした。
「ハッ……随分と執着するじゃない? そういうのを目の前で壊してやってこそ、よねぇ?」
「前にも言ったよね? コルコル検定失格、って」
 『???のアバター』エイル・サカヅキ(p3x004400)が言う。
「コルコルはね……きっと、この世の辛い事を知ってる。けど、それに押しつぶされるような人じゃない。あなたと違ってね」
「らしいぜ、コルコル?」
 『銃の重さ』マチルダ(p3x009315)が肩をすくめてみせた。
「まぁ、そういう事だ。アタシはそう、ダセェことは言わないよ。
 遊ぼうぜ、『コルネリア』。つまんねー因縁にケリをつけよう」
 かちゃ、と拳銃を構えるマチルダ。にぃ、と口角を釣り上げる『コルネリア』。
「金星天、こいつはアタシの敵だ」
「ん、りょ。じゃ、アタシは――」
「私達がお相手するよ」
 『天真爛漫』スティア(p3x001034)が、エイルと共に一歩踏み出た。
「パラディーゾ。私達の姿と記憶を持って……どうしてすれ違ってしまうんだろうね?」
「そりゃ、けってーてきに、アタシらとアンタたちは違うから」
 金星天が笑う。
「アタシはエイルであってエイルでない……それ以上に、パラディーゾと特異運命座標は相容れない。
 現実で言う所の、魔種? あれと一緒。アタシたちは、世界の敵たることを宿命づけられて生まれた。
 どれだけ取り繕っても、アタシたちには破滅しかないって事」
「それが、駄々こねてやけになってる理由?」
 エイルが言う。
「悪いけど……それでこの国を傷つけるなら、私は許さない。
 この国は天義じゃない。死んだはずの人が生きている。間違ったことをしてしまった人たちが正しい道を歩んでいて、それはゲームの中のIFでしかないことは知ってる。
 けれど!」
 エイルは叫んだ。力強くこぶしを握り、構える。
「『私』はね、天義を守ったようにこの国も、この国の人も守りたいの!
 手伝って、皆! この国を、絶対に護る!」
「おう、任せといてや」
 『神落し』入江・星(p3x008000)が笑った。
「この国の今の姿が気に入っとるんはワイも同じや。それが優しいだけの夢だとしても……此処に生きとる人間にとっては現実や。
 それを壊すんは、そうやな、許せん」
「まずは水星天を狙う」
 『災禍の竜血』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)の言葉に、仲間達が頷いた。
「金星天の抑えを、頼む。二人とも」
「任せて! 早く来ないとやっつけちゃうから!」
 エイルが言う。同時、エイルとスティアが駆けだした!
「さぁ、行くよ! 金星天……原動天(あっちの子)に合わせるなら、ぱらえるさん?」
「何それ、ウケる! ぱらえる、いいじゃん!」
 スティアとエイル、2人が飛び掛かった。刃と、脚。鋭く放たれた二つの攻撃を、金星天は後方に飛びずさって回避。
「まって、ウチのスティアっちになんか変な名前つけたの!?」
 金星天が応戦にうつる! すぐに激しい剣戟と蹴戟の音が響くのへ、『コルネリア』がガトリングを構える。
「じゃあ始めようじゃない!」
 ぃぃぃぃぃ、とガトリングの駆動音が鳴り響く。同時! それは高らかな銃声と共に、無数の銃弾を撃ち放った!
 ダダダダダダダダダダダダダダダダ――――! それは、『コルネリア』の怒りの、憎悪の、叫びにも似た銃声!
「エイラ君! 二人で止めるよ!」
 きうりんが叫ぶ!
「わかったよぉ」
 『水底に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)が構える神性の楯が、憎悪の銃弾を受け止める! だだだんっ、と激しい音と衝撃が、エイラの持つ盾を揺らした。
「つぅ……流石に、パラディーゾって言う奴だねぇ」
「まだまだ序の口よぉ?」
 『コルネリア』はガトリングガンのレバーを引くと、銃弾はやみ、間髪入れずに強烈な炎が巻き起こる! 火炎放射モードの攻撃がエイラを盾ごと飲み込んだ!
「く、うっ……!?」
 身を焼く熱さに、エイラが耐える。
「残念だけどぉ、焼きクラゲになるつもりはないんだよぉ」
 エイラが盾を振るい、炎を振り払う。同時、きうりんが飛び出した!
「こっちだよ! さぁ、コルネリィ!ㅤ遠くからなんてみみっちいこと言ってないでこっちこいよぉ!!」
 一息に飛び込んで、身体のばねを伸ばした全力のアッパーカット! 『コルネリア』はそれを掌で受け止めて見せる。
「やるじゃない、雑草!」
 『コルネリア』が接射できうりんの頭蓋に銃弾を叩き込む! 銃弾が貫通して床に弾痕を穿った。
「銃弾が頭ぶち抜いたくらいできうりの手が止まると思うなよ……!」
 が、次の瞬間には傷口が塞がっている。もちろん、これはノーダメージなのではなく、そう見せかけているに過ぎない。その虚勢を知ってか知らずか、『コルネリア』はあざ笑うように口角をあげた。
「じゃあ、ハチの巣にしてやらぁな!」
 銃撃! 銃撃! 銃撃! 体を銃弾が貫通する痛みにきうりんが呻く――。
「テメェの相手はうるふデス、『コルネリア』ァ!」
 刹那、飛び込んだのは『アイアンウルフ』うるふ(p3x008288)だ! 接触からの、近距離銃撃! 舞うように放たれた銃舞のそれを、『コルネリア』は身をひねる様に回避してみせた!
「やっと会えたぜ、『コルネリア』。
 不思議デスネ、見た目も声も同じなのに……やっぱりアンタは違うんだ!」
 噛みつくように。吠えるように。うるふが食らいつく! 接触距離で放たれる銃撃、それはうるふの銃の冴えを見せていたが、しかしそれを至近距離から回避してみせる『コルネリア』もまた、まさに魔人か。
「なるほど、なるほど……記憶にあるわ、アンタの事もね。
 それで、なに? 姉御の代わりに文句でも言いに来た?」
 『コルネリア』がハンドガンを一発、撃ち放った。銃弾がうるふの太ももを撃ち貫く。痛みが走る。ぎり、と奥歯をかみしめて、うるふは殴り掛かった。ぱし、と、嘲笑するように、『コルネリア』はそれを受け止めて見せる。
 『コルネリア』とうるふの視線が交差する。
 ああ、似ている。でも違う。声も、目も、同じなのに、違う。
「……なぁ、水星天。
 「どうせ自分はデータ」って言ってたらしいな。うるふだって同じデスヨ。機械の身体があるだけで、所詮は造られた0と1の集まりだ」
 ぎり、と拳を、少しでも、少しでも打ち付けるように、うるふは力を込めた。それ以上の力で、『コルネリア』はその拳を握りしめる。
「それでも『今のうるふの思考』は自分だけのものデス。アンタもそうなんだろ?」
 『コルネリア』は笑った。
「ああ、そうさね。だから――」
「それでやることが世界への八つ当たりだけなんて、勿体無ぇだろ。アンタ自身の答えは、もっと他にも作れる筈だろ。
 ……どうなんだよ。答えろよ、『コルネリア』!!」
 激昂するように叫ぶうるふ。『コルネリア』は、はーっ、と深いため息をついて見せた。
「いくつか勘違いしてるわねぇ。
 金星天も言った通り、アタシらは世界の敵。
 世界にあだなすために生まれ、世界を汚して消えていく。
 いいか? アタシはな。『生まれながらにして悪だった』。
 アタシにはな。そうなる以外の道も未来も、ないんだよ。だったら……。
 その用意された道、悪を布いてやるのがせめてもののの、アタシが生きた証だ」
「そうじゃねぇだロ……!」
 うるふは吠えた! 血を吐き出しそうなほどに! 目の前の大馬鹿野郎に、噛みつかんばかりに!
「テメェは……諦めたんだ! かっこつけんな! 認めろ、大馬鹿野郎!
 むかつく、むかつく、むかつくぜ!
 姉御の顔で! 姉御の声で! 諦めた顔すんな! テメェが! 姉御を語るなッ!!」
 『コルネリア』は一瞬だけ、表情を歪めた。
「鬱陶しいわね……その口、一度ふさいでやるわ」
 ごり、と、うるふの額に銃口が突きつけられる――刹那、飛び込んできた影が、その銃を叩き落すべく竜刀を振り下ろした! 『コルネリア』はうるふを捉えていた手をふり払った斬撃を回避する。
「口論にまけたら暴力に訴えるか?」
 ベネディクトがにらみつける――同時、飛び込んできた『人形遣い』イデア(p3x008017)が、『コルネリア』へと攻撃を仕掛ける!
「ベネディクト様、うるふ様を一度後方へ」
「分かった」
 ベネディクトが頷くと同時、イデアがその拳を振るう。鋭い連撃が、僅かに『コルネリア』の身体を捉えた!
「チッ……」
 『コルネリア』が舌打ち一つ。イデアは攻撃の手を緩めない。
「同じ顔だとしてももはや別物の貴女方を、ここで止めさせていただきます」
 イデアの突き出した拳を、『コルネリア』はわずかな動きで回避してみせた。拳が頬を擦過し、僅かに触れたのを、イデアは感じた。
「やってみなぁ!」
 『コルネリア』がハンドガンを撃ち放つ。イデアは後方にバク転しながら、銃撃をよけて見せた。
「――Teth様!」
 イデアが叫ぶ――間髪入れず、飛び込んできたのは『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)だ!
「まともに撃たせる気は更々無いぜ。徹底的に嫌がらせしてやんよ!」
 手にしたハンドガンから放たれる電撃の光線が、『コルネリア』を狙う! ばぢばぢと放電するそれが宙を奔り、『コルネリア」の腕を叩いた!
「ちっ! 鬱陶しい……!」
「アンタが強いのはよくわかってる! こっちも必死でやらせてもらうぜ!」
「多少強化をされたところで多勢に無勢。人数差で押し切らせていただきます」
 Teth、そしてイデアが同時に飛び込む――『コルネリア』は怒りの表情を浮かべながら、ガトリングガンを構えた!
「ああ、いいさ! まとめてハチの巣にしてやらぁね!」
 放たれる、ガトリングガン! 獣の咆哮の如き銃声! Tethとイデアを狙う、弾丸の驟雨!
「ちっ、散開するぞ!」
「承知いたしました」
 Teth、そしてイデアが跳躍。が、後を追うガトリングガンが、Tethを狙う! 高速で逃げるTethを追う驟雨! 逃げ切れない――が、その前に飛び出したのはエイラだ!
「簡単に、やらせないよぉ」
「ちっ、だったらその盾ごと……!」
「おっと、その前にウチと遊んでもらおか」
 刹那、声が響いた! 『コルネリア』に接敵していた星が、その拳を振るう。
 それは、星の瞬きか。『コルネリア』の眼前で瞬いた星が直撃! 『コルネリア』の身体にわずかな違和を残していた! 度重なる攻撃に、『コルネリア』も隙を晒したのだ!
「くっ……!」
 たまらず呻く『コルネリア』へ、星は挑発するように口を開いた。
「どうしたんや悪党? 手が止まっとるで。
 ぶるっとんのか? わろけてくるわ。
 かかってこいや」
 ちょいちょい、と指を折って煽るパフォーマンスをして見せる星――だが、
「悪いけど、そいつ譲ってくれない?」
 と、背後から声がかかった。
「マチルダさんか。せやなぁ、あんたならしょうがないなぁ」
 星が肩をすくめた。
「ん、ありがと。今度酒でも奢るわ」
 マチルダが言う。ゆっくりと銃を構え。
「さて、ケリをつけるか、『コルネリア』」
 そう言った。

●悪の在り方
 銃撃が、銃撃で塗りつぶされる。
 弾丸と弾丸の応酬!
「アタシの面で好き勝手やってるみたいだけど、それも今日で終わらせてやるわ。
 誰がどんな信念持ってようが構わねぇ。だがなぁ、その面で……その薄汚れた思考で銃を持つ事だけは許せねぇなぁ!」
 マチルダが銃弾を放つ。『コルネリア』は走りながらその銃弾から逃れた。柱の陰に隠れる。ハンドガンの残弾を確認。
「……アンタに許可をもらうつもりはないわねぇ!」
 柱の影から発砲。マチルダは飛び込んで、その銃弾をよけた。転がった先で、ハンドガンを撃つ。『コルネリア』が柱の陰に身をひそめる。
「いい加減認めなさいなぁ。アンタもアタシも、根は同じなんだって」
「そうだな」
 マチルダは言った。
「そうさ、アタシはクズだ。救われぬ者に救いの手をと言いながら何時までも……誰をも救ける事なんて出来てねぇ。
 ただターゲットをぶち抜いて……生かしてやるべきだった生命を見送ることしか出来なくて!
 『撃った』という現実しか残らねぇなんて知ってんだ!
 それでも何かを『奪った』という現実から目を逸らしちゃなんねぇんだ! 綺麗事でも戯言でも! これだけは曲げちゃなんねぇ」
 叫ぶように、引き金を引く。吠えるように、銃弾が飛ぶ。
「前も言ったわ。それはただの『幻想』に過ぎないって。夢よ。幻よ。
 『撃つ』って事はね! 何もかも塗りつぶすことだわ!」
「違うッ!! 『撃つ』ってのは! 責任を背負う覚悟を持つことだッ!」
 マチルダが銃弾を撃ちながら、前進する。柱の影から、『コルネリア』が飛び出した。眼前。銃を突きつけ合う。必中距離。撃てば銃弾はずれない距離。お互いが、そうだった。
「アンタ、うるふにも言われてたなぁ?
 アンタは結局、逃げてるだけだ。魔種みたいなもん? 結局は消滅する運命?
 いいじゃねぇか。アタシらだって死ぬ。いつか死ぬ運命だ。
 けどな、たとえ明日死ぬことが決まっていたとしても……足掻いちゃいけない理由なんてねぇ!
 アタシが悪に染まれない? ふざけるなよ。
 悪ってのはな……アタシが布く悪は! その名と共に覚悟を背負う事だッ!
 思考停止の逃げ道に使ってんじゃねぇ!」
 『コルネリア』は、その表情を歪めて。
「黙れ……」
 引き金に手をかけた。
「黙れよッ!!」
 銃声が、鳴り響いた。
 硝煙が、立ち昇る。
 ゆらりと。
 『マチルダの銃から』。
 『コルネリア』が呆然とした様子で、銃を見つめていた。
 動作不良。
 Tethの攻撃が――。
 星の攻撃が――。
 仲間の攻撃が導いた、動作不良。
「くそが」
 『コルネリア』が、呻いた。ばぢばぢ、と、その身体がノイズのようなエフェクトに包まれていく。
「くそが、くそがッ!」
 身体が、維持できなくなる。消えていく。消えていく――。
「アタシは! アタシは……アタシは!」
 それが、末期の声となった。ノイズに包まれたまま、パラディーゾは……悪の意味をはき違えた女は、消滅した。

「……ッ!? やられたの、コルっち!」
 その様子を見ていたのは、金星天である。追いすがるスティアに一撃をくれながら、大きく距離を取る。
「けいせーふり、か。まいったね」
「そうだね。悪いけれど、私達は負けないよ」
 スティアが、刃を構える。その横で、じり、と距離を詰めるように動く、エイルの姿があった。
 たった二人で、金星天を抑えていた二人である。すでにデスカウントはお互いに増加していたし、現在もすでにボロボロの様相を呈している。
 だが……このまま、2人で敵を抑えるという気迫のようなものが、強く見受けられた。
「……あなた達のことは、よくわかった。生まれながらにしての世界の敵。そういうふうに作られた存在。
 辛いのは分かる。でも……今からでも遅くないよ。今からでも選べる。自分が、心からやりたいことを」
「ふふ、優しいじゃん。うちのスティアっちも、そうやって少しは話にのってくれればさ。タピれたり、映えスポット行けたのにね。
 楽しかったろうなぁ、そうするの」
 金星天は言った。
「でもさ、うちのスティアっちの気持ちもわかるんだ。最初はさ。派手な事してるから、おもしろー、って思ってたんだけど。
 だんだん、応援してあげたくなってきたんだ。というわけで! 今からアタシはスティアっちの応援に行くから!」
 金星天がそう言って笑って、飛び出――そうとして、つんのめった。
「うえっ!?」
 たまらず悲鳴をあげる――その足元に、きうりんがしがみついている!!
「撤退なんてできると思わないことだね!ㅤきうりがキミを掴んで離さないよ!!」
「いや、ちょ、なにしてんのあんた!?」
「放さないって言った! キミはここできうりと死ぬんだよ!!」
 じたばたと暴れる金星天――その刹那に、仲間達が金星天を包囲する!
「逃げられると思うな」
 ベネディクトが言った
「仲間想いな所は好感が持てるが。だが、此方も称賛してやる余裕も、見送ってやる余裕もない。
 悪いが、ここでその野望、果ててもらう」
「イケメンくん、マジ勘弁してよ」
 てい、とヒールで足元のきうりんを踏みつける。『コルネリア』との闘いですでに限界を迎えていたきうりんが、その一撃を持って『死亡』した。その身体が光に包まれて消えていく。
「あ、あいるびーばっくだよ!」
 セリフを残して消滅。
「おいおい、エイル直々の御指名だぜ。帰るんじゃねぇよ!」
 Tethが獰猛に笑ってみせた。言葉通り、此方に逃がす気は一切ない。
「ざんねんだけど、もう逃げ場なしってわけ。
 ってことで偽アタシ! どっちがROOの頂点ギャルか決めたろじゃん!」
 エイルがそう言って構える。仲間達も、改めて構えを取った。
「もー、プランが台無しじゃん!」
 憤慨する金星天だったが、
「ま、いっか……そだねー、ここで頂点ギャル決めてから、うちのスティアっちの援軍にいったほうが映えるよねー」
 すぅ、と息を吸いこむ。特異運命座標たちを睨みつける。
「アタシもマジで行くから。いまさらやめてって言ってもやめねーんでよろしく」
 刹那、金星天の姿が掻き消える!
「イケメンくん、あーそぼ!」
 鋭く繰り出されたその脚は、一撃が達人の刃の如き鋭さだ! しかしベネディクトは、それを刃の背で受け止めて見せた。
「パラディーゾ達よ、お前達の思う通りにはさせんぞ!」
 振り払う、刃。間髪入れず鋭い連撃を繰り出すベネディクト。一撃、二撃、放たれるそれを、金星天は紙一重でよけて見せた。
「容易く倒れてはくれんだろうが、ならば幾度と刃を振るい続けるのみ!」
「イケメンくん、もっとわらったら滅茶苦茶モテるんじゃない?」
 ベネディクトの連撃を、金星天は回避――跳躍した刹那、星が迫る。その拳に星の輝きを乗せ、放つ流星、星のきらめき――。
「うわ、こっちもイケメン……けど、だいじょーぶ? 女の人不幸にするタイプじゃない?」
「わるいけど、そんなトークに付き合ってやる義理も余裕もないんや」
 放つ星の輝きが、金星天を圧す。
「この世界のこの国には、クソッタレな宗教都市も、利用される子供たちも、成れの果ての怪物もおらへんのや。
 そんでもってウチの育った場所。
 絶対に守り通したる」
「あはは、意外! アバターは変だけど、中身は意外と真面目系かな?」
 鋭く打ち落とされるかかとおとしが、星を狙った。星は両手をかざしてそれを受け止める――強烈な衝撃。折れたのかと錯覚するほどの激痛を覚えながら、
「Tethさん! 逃がすな!」
 叫ぶ。相手が行動を起こす前に、畳みかける! すでに接近しつつあったTethが呪雷を放つ! 星が飛びずさったと同時に飛来した雷が、金星天の足を打つ!
「いったーい! ひどくない!?」
「何時ぞやとは違うぜ。今回は全力で消し炭にしてやるから覚悟しやがれ!」
 再びうち放つ、強烈な雷の奔流! 金星天は、どうにか身体をそらして直撃を避けた。だが、擦過する雷が、それだけでも強烈なダメージを与える!
「くっ……!」
「言ったぜ! 今日は違うってな!
 アンタらの好きには、もうさせねぇ!」
 放つ、Tethの強烈な雷撃。いや、それはもはや、雷などではない、強烈な光とエネルギーの暴力だ! 地を抉りながら直進する、強烈なエネルギー!
「めっちゃくちゃじゃん! こんなの直撃したら黒ギャルじゃすまないんだけど!?」
 慌てて回避する金星天。だが、爆発した熱エネルギーが、逃げる金星天を吹き飛ばす。空中てどうにか姿勢を制御して、着地する、同時に走り抜けた。そこに、マチルダの銃弾が突き刺さる。
「こっちもケリつけさせてもらったんだ、援護する! ほら、うるふ! 走れ! 追い立てろ!」
「了解デス! キャヒヒ、おらおら、ギャル狩りだぜ! ……なんかやべー字面デスね!」
 二人のコンビネーションが、金星天に立ち止まることを許さない。連続攻撃が、敵の疲労とミスを狙う。
「ドローンライフル、構え。一斉射」
 イデアのライフルが、高らかに銃声を鳴らした。間髪入れず射出される連続銃撃が、金星天の疲労を蓄積させる。
「うそっしょ、たぜいにぶぜいってやつ過ぎない!?」
「ええ、そうでしょうね。ですが、そうやってようやく対等。
 手は抜きません。これは、世界を救うための戦いなのですから」
 イデアが手を振り下ろすと、再びライフルの一斉射が始まる。これにはたまらず、金星天も足を止めた。いくつかの射撃が、金星天の身体を貫く。が、まだ致命打には至らない!
「女の子傷つけるとかサイテーじゃない!?」
「ええ、一般的な女性の方でしたら、そのように扱うのですがね……」
 イデアが言う。一方、ダメージを受けながらも、金星天は健在であり、その攻撃も衰えるところはない。
「むしろ、追い詰められるとちょっと本番かも! アタシのコピーならね!」
 エイルが忠告する。エイラは、
「まかせてぇ、どんな攻撃でも受け止めて見せるよぉ」
 と、ふわり、と浮かぶ。
「死んじゃったきうりんの代わりにぃ、エイラ頑張るよぉ」
「大丈夫! 復活した!」
 ひょこ、ときうりんが顔を出した。
「よかったぁ、元気そうだねぇ」
 エイラがぱちぱちと手を叩く。
「はっはっは! ゲームだからね!」
「ほのぼのしてんじゃんっ!」
 金星天が叫び、飛び込む。繰り出された鋭い蹴撃を、言葉通りにエイラが盾で受け止めて見せる。
「多分水星天とコルネリアの一番の違いはぁ。
 現実からぁ、真実からぁ、逃げたか、逃げなかったかぁなんだろねぇ。
 金星天はどぉ?」
「ふふ、アタシはねぇ……今が楽しければどうでもいいの!」
 がん、と力強く蹴り上げて、エイラを弾き飛ばす。同時、スティアとエイルが駆けた。
「スティるん、抑えて!」
 エイルが叫んだ。『抑えて』、と。命令ではない。出来ると信じているからこそ出た言葉。
「了解だよ!」
 スティアも躊躇なく頷いた。信頼にこたえるという言葉。
 スティアが、金星天に斬撃を繰り出す。金星天が、左手を打ち払ってその刃を反らした――同時、エイルが飛び込む!
「追い詰められてからが、アタシたちの本番っしょ!?」
「そだねー、『アタシ』!」
 脚と、脚、繰り出されるそれが、さながら舞踏のごとく、或いは剣舞のごとく繰り出される。二人の戦闘スタイルは、酔拳のそれに近い。必然、緩やかな動作になるが、しかし繰り出される技の冴えは、剃刀の如き鋭さ。緩・急。その織りなす呼吸は、まさに美しい――。
「アンタはさ、今が楽しければそれでいいって言ったよね!
 それって、やっぱりパラディーゾだから!?」
「……結局さ、どう取り繕っても、アタシたちは悪い人だから!
 救われないよ。救えないよ。
 結局、布かれた運命のレールの上から外れられないなら、その道中を楽しく過ごして、それから死にたいの!」
 繰り出される回し蹴りを、スティアの刃が受け止めた。背中合わせに立つように、エイルが立ちはだかる。
「さっきコル……まっちーも言ってたけどさ」

「あ、アタシか? まっちーって」
 マチルダがぼやく。

「たとえ、明日死ぬことが決まってたとしても……その瞬間まで、足掻くことは悪い事じゃないよ。
 だって、生きてるんだから。
 死んじゃったら、どうにもならないんだから。
 たとえ誰かに無駄だって笑われたって、たとえ誰かに無様だって指さされたって!
 最後まであきらめない姿は、絶対に、綺麗だから!」
「まぶしいじゃん、正義の味方! アタシは……」
 確かに、諦めたのかもなぁ。
 その呟きは、誰かに届くこともなく。
 エイルが繰り出したヒールが、そのどてっぱらに突き刺さった。
「痛ったぁ……ぜってー女の子にやる攻撃じゃないって」
 金星天が、膝をついた。その姿が、ノイズに包まれていく。
「お願いがあるんだけどさ。そっちのスティアっちでも、アタシでも。そっちのイケメン君とか、まぁ、きうりとかでもいいよ」
「まぁって何さ。とかって何さ」
 きうりんがぶぜんとした様子で言った。
「……うちのスティアっち、お願いね。
 多分……今日まで気づかなかったけど……そっか、友達……だったんだ……」
 ざざざ、とノイズが増す。それが砂嵐のようになった刹那、パラディーゾは姿を消していた。
 あとには何も残らない。
 死体も残らない。
 生きた証もない。
 本人たちの言葉通り……彼らに救いは無いのかもしれない。
 それでも……。
「うん、わかった」
 エイルが呟いた。
 戦いは続く。決戦は続いている。
 特異運命座標たちは、休む間もなくサクラメントを起動した。そしてすぐに、それぞれの戦場へと舞い戻っていった。


 教皇庁での戦いは終わった。
 一方、シェアキムたちは『聖域』へとたどり着いていた。
 其処は、天の杖起動システムのある教皇庁でも極秘のエリアである。
「……始めよう、世界を救うための、我々の戦いを」
 シェアキムの言葉に、誰もが頷いた。
 時が進む。
 時計の針は次なる時間を刺し。
 そして――光が、聖域を包み込んだ。

成否

成功

MVP

きうりん(p3x008356)
雑草魂

状態異常

スティア(p3x001034)[死亡]
天真爛漫
エイル・サカヅキ(p3x004400)[死亡]
???のアバター
うるふ(p3x008288)[死亡]
銀河を狩る獣
きうりん(p3x008356)[死亡]
雑草魂
エイラ(p3x008595)[死亡]
水底に揺蕩う月の花

あとがき

 ご参加ありがとうございました!
 皆様の活躍により、シェアキムたちは無事に撤退。
 『聖域』にて『天の杖』が起動します……!

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