シナリオ詳細
どう足掻いても絶対に爆発オチしてしまう花火大会
オープニング
●
その日、何故かイレギュラーズ達は嫌な予感がしていた。
ローレットを出た直後に黒猫が大量に横切るわ、カラスが鳴きながら一斉に飛び立つわ、喫茶店で少し休憩しようと思っていればコップにひび割れが入るわ――とにかくなんか嫌な予感に溢れ続けていた。
が、なにはともあれ依頼があるのだと海洋へ一同は向かう。
首都リッツパーク。その郊外に位置する港へと……
「やぁようこそイレギュラーズの皆さん!!
お待ちしておりました……今日は花火大会を手伝って頂きたいのです!!」
そこで待っていた依頼人は、海洋の資産家の一人であった。
なんでもこの近くで今日の夜、自らが主宰する『花火大会』の日であるらしい……が。その運営を行う為のスタッフや花火職人たちが急遽腹痛でダウンしてしまったのだとか。そこで何でも屋と言えるイレギュラーズに白羽の矢が立った訳だ。
先の大号令でも大きな役割を果たしたイレギュラーズに関わってもらえるのならば、縁起も良かろうと……おっと、足元をふと見たら靴紐が切れてるのに今気付いた。後で買い直さなくては。
「ふむ。しかし花火大会の手伝いといっても……具体的には何を?」
「ええ。まず既に花火そのものに関しては用意が出来ておりますので、皆さんには打ち上げていただく作業がほとんどとなります。ですが花火大会開始にはもう少し時間がありますし、なんならオリジナルの花火を作成して打ち上げてもらっても大丈夫ですよ!」
「ええ? 弄ってもいいのか?」
「ははは盛り上がれば何でも良いのですよ何でも! では、頼みましたよ!!」
豪快な笑い方をしながらどこかへと走り去っていく依頼人――しかし、なんだか妙な気がする。そこまで準備が整っているのならば別にイレギュラーズでなくてもいいのでは……?
疑問に思いながら打ち上げ台の場所へと向かえ――ば。
「……あんたら、止めときな。ここは呪われてるよ」
道中。イレギュラーズを呼び止めるかのように老人が一人呟いた。
「――呪われてる?」
「ああ……実はな、この花火大会。必ず最後は」
一息。
「爆発オチになるんだよ――」
「…………なんて???」
「どれだけ細心の注意を払っても何故か火種が生まれるんだ……クソカラスがどこからか火のまだ残ってる煙草を落としてきたり、クソガキ共が何度注意しても侵入して悪戯したりとかな――ッ! その度に地上付近で大爆発だよ。まぁ何故か怪我人は毎年ゼロなんだが。それでも結局毎回爆発で吹き飛ばされるのが嫌だからって、遂に職人も逃げ出したんだよな」
腹痛でダウンじゃなかったのかい!!!!!
な、なるほど……いやしかしこれらを事前に懇切丁寧に説明していた場合、イレギュラーズも如何に依頼とは言え、そう容易く首を縦に振ったとは限らない。依頼を受けさせるために虚偽の情報を流したというのか――! あとでぶっ飛ばす。
「ははは。いやでもまさか、本当に必ず爆発オチするだなんてそんな」
「むしろ最近の客は、今年はどれだけ派手な爆発オチになるのか期待してきてる所があるみたいだぜ。それぐらい確実なのさ……この祭りのラストはな」
あんたら、気を付けておきなよ――そう言ってどこかへと去っていく老人。
ははは、いやまさか……気を付けてればなんとでも……
「……あれ? 家族からもらったお守りの紐が切れてる」
不吉だなぁ。そんなことを呑気に言うイレギュラーズもいるが、最早逃げられない。
さぁどう足掻いても絶対に爆発オチしてしまう花火大会を――行うとしようか!
- どう足掻いても絶対に爆発オチしてしまう花火大会完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2021年11月30日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●兵共が夢の跡
なんなのじゃ。
なんなんなのじゃ。
なんなのじゃ。
――花火大会が終わった後の『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)心の一句。
●花火大会開始前!
「よーし! とりあえずこれでいいかな!」
『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)は準備に勤しんでいた――絶対に爆発オチになる事は分かっていても、やる事はやろうと決意しているのだ! 故に彼女は『この先打ち上げ会場、立入禁止。銃弾、落雷に注意』という看板を作り上げる。
恐らくこのぐらいまで爆発するであろうという範囲の更に倍の敷地を立ち入り禁止区域にするのだ。ふふふ。これで万が一が起こってもお客さんに被害はない――筈。
「ふぅ。後はこれに気付かず侵入する人たちを注意しないと……爆発で吹き飛ぶ人がいたら、そっちの救助に行かないといけなくなるし。そしたら発光しながら星夜ボンバー使って花火になる私みたいなことはできなくなるから」
??? フォルトゥナリアさん、今、なんて?
ちょっと難しい混沌言語が出てきましたね……と。おや。あちら側にいるのは――
「火とは恐ろしいものなれど、だからこそ……
正しく扱い制する事が何よりも人類の営みに対する礼賛となるのです。
それが火を崇め、道具とし、進化してきた子孫たる者達の……使命かもしれませんね」
あの。『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)さん、貴方幻想種……あ、いやなんでもないです。ともあれ花火のきらめきに人々が焦がれる理由も、それ故の事なのでしょうと――彼女は確信している。
見よ。花火のきらめきを。
萌え広がる花弁、或いは、弾ける茸の子実体……これが意味するところは、そう一つ!
「……つまり、あれは子孫繁栄の願いが込められた一夜の想いなのです!
愛する方々をロマンティックにお迎えする為に! 観客席の照明の用意は私にお任せ下さい! 色彩を操るのは自信がありますので皆さんの雰囲気をピンク色に染め上げ、一部コーナーには仕切りを付けた特設会場を用意し防音も」
ちょ、ちょちょちょ、カメラ止めろ!!
……えー画像が乱れましたが引き続き意気込みを聞いていきましょう。はい。『ワイルド・レンジ』ムサシ・セルブライト(p3p010126)さん!
「はッ!! ご安心くださいッッッ!! 爆発オチのある花火大会……いいや……! このムサシ・セルブライト……保安官としてッッッ!!! この命に変えてでも!! 運命を変えてでも花火大会を爆発オチになどさせないでありますッッッ!!! 皆様の花火大会をお守りするのが!!! このムサシ・セルブライトが定め!! ムサシ・セルブライト……任務……了解ッッッ!!!」
この人はこの人で暑いですね! ムサシが見定めるのは花火の在庫だ――
爆発の原因となるのは恐らくあの花火……そして火薬! あれに火がついたら爆発し被害が出るであります……まさか火薬も火の種もないのにいきなり無が爆発する事はありますまい!! 証明終了でありますッッッ!!!
故に彼は命を賭してでも花火を護る――!
「あお――ん!! 爆発をやらかすふてえ輩ど――こだ!
お前か! お前かお前かお前か!! うううがるるるるッ!!」
同時。ムサシと同様に花火を護らんとする『わんわんお』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)は銃を構えて侵入者を警戒する――ッ! 通りがかる者全てに威嚇するのはもうこれ近所の狂暴な犬……かはともかく。
ふてえ輩、不穏な輩、不埒な輩を懲らしめる気満々である! ふふふ!
「ふふん! 今のボクは猟犬、おまわりさんの犬なのだ!」
誰かドッグフードあげてこの子に。
さてしかし実際の所、花火が爆発するというのなら花火を護ればいい――そういう結論に達するのは自明の理であった。故、ひとまずムサシやリコリスでこの場は警護するとして。
「わーい花火大会だ~! じゃあボク屋台で焼き鳥を売るね!
あっ! 焼き鳥っていっても鶏肉も豚肉も牛肉も馬肉も焼くけどね。
海洋っていったら魚がメインだろうし、物珍しい感じになるんじゃないかなぁ!」
「お祭りにゃー! せっかくのお祭りだからいっぱい楽しむにゃ!
後で焼き鳥屋さんにも寄りたいにゃ~」
ならばと『ピカピカの特異運命座標一年生』メイ・ノファーマ(p3p009486)は花火大会自体を盛り上げる為に屋台を設営! そして遠くから聞こえてくる祭りの音色に『少年猫又』杜里 ちぐさ(p3p010035)は既に高揚が止まらなかった!
ふふふ楽しみにゃー! なんか爆発とか聞いたけど、きっと花火のことにゃ。花火が爆発するのは当然の事だから気にしないでいいにゃ! 楽しみにゃー♪
「でもその前にお仕事するにゃ。よいしょ、っと」
でもちぐさだって依頼であるとは分かっている――故に用意したのは――
「じゃーん! 太鼓……じゃないにゃ! これ『スネアドラム』にゃー!!」
祭りに相応しい――スネアドラム――!!
ぴええ。練達とか豊穣の文化に慣れすぎて海洋や幻想などのファンタジー文化に慣れていない癖がこんな所で!! でも仕方のないのでこれで頑張るにゃー! とにかく楽しければなんでもいいにゃー!
練り歩く。太鼓とは少し異なるが、軽快なる音を響かせどこまでも。
●
一方で花火打ち上げ控室。休憩所としても使われているその一角で……
「はっはっは。どう足掻いても爆発オチしてしまう? なんとかしろ?
はっ、どーーせ防げんのじゃろーー我しってるんじゃ。こういうのくわしいから」
既に死んだ様なテンションになっているクレマァダさん。やさぐれてる!!
でも一応これ依頼だからね。花火大会、頑張って爆発させましょうねクレマァダさん!
「ちげーつってんじゃろ!! なんで曲がりなりにも爆発を目指さなあかんのじゃ――!! 我祭司長ぞ! 祭司長ぞ!! おおおかかってこい!! どーーせ防げんとはいえ、挑むことを止めてはモスカの名折れよ!!」
「クレマァダさん? どちらに? どちらに向けて叫んでいらっしゃるんですか?」
唐突に。天より響いた声にツッコミいれるクレマァダ――の様子を心配するのは『plastic』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)である。やれやれ、まぁクレマァダの様にヤケになる気持ちも分からないではない。
なにせ毎年爆発が生じているという事は安全管理危うく、危機意識も皆無。過去に事故を起こしながらも、楽観的運営によって其れが是正されることもない儘という事――
「此れは重大且つ重篤な案件と見受けました。我々が積極的に介入して解決すべきかと存じます――今年は平穏無事に終わらせられるように尽力しましょう」
「うむ……おや? 立ち上がってどこへ行く?」
「いえ。其れは其れとしてお茶が飲みたくなりましたので休憩いたします。
表の方で警備してるリコリスさん達もいらっしゃるなら今の内でしょう――」
先ほど其処で出店を見つけましたゆえ少し、と。こそこそ外出アッシュ・ウィンター・チャイルド。
――大丈夫です。急いては事を仕損じると言いますから。此の様な糸口の掴めぬ事態においては、構えて待つほうが吉と出るのです。なのでお茶が飲みたくなっただけで、特に他意はございません。ええ。
という訳でてこてこ外出。
花火大会が始まるまであともう少し――と、周囲を眺めていれば。
「……おや? なんでしょうかあれは、乱闘の気配……?」
「はぁ、はぁ、はぁ……く、くそー! どうしてこんなに酔っ払いたちが来るんだ!
皆おかしいんじゃないかな!? どうなってるのホントに!!」
なんかリコリスが叫んでた。その近くにはぶっ倒れる人達も何人か……
それはおまわりリコリスに迎撃された不審者達だ――火花が散らない、特別性圧力式銃で撃たれた面々は七人――七発の銃弾を打ち尽くしたリコリスはもはや残弾無し。なのでテキ屋のおじちゃんに上目遣いでコルク銃一丁お借りしてつんつんしてます。つんつん。
「嬢ちゃん。それ借りるのはいいけど、後で射的してくれよ?」
「うん分かってるよ! ボク、これでも上手いんだからね! 見ててよ!」
得意げなリコリス。テキ屋の鉄砲なら火花が散らないから安心だね! 安 心 だ ね !!
「うおおおおお!! 警告に従わない者は撃つであります!! 自分は本気であります!! 何人たりとも……細胞の一片たりとも危険要素は近寄らせないであります!! 最悪の場合、自分の総力をもって排除するであります!!」
「もう一周回ってお主が一番危ないじゃろこれ」
そしてムサシも同様に侵入者の排除の為にと警備に当たっていた――けどクレマァダ、遂にムサシが一番やべーんじゃないかと気づき始める。
「そんなまさか!! 危険人物・危険物・テロリスト……そういった危険な輩がいなくなった後……このムサシ・セルブライトが責任を持って、花火を打ち上げてみせるでありますッッッ!!! これにて平和解決!!! 何の問題もありません!!!」
だめだこれ絶対何か起こると思うんだけど、ムサシは自信満々だ。
もし万が一……いや億が一兆が一京が一でありますが不慮の事故が起こった際は……このムサシ・セルブライトが身命を以て皆さんを守るであります!! って言われてもどんどんフラグが立つんですけど~~~???
「ここは危ないからロープの外から花火を見ようね。銃弾とか雷飛んでくるかもしれないし……いや花火大会で何を言ってるんだってなるかもしれないけれど、もしかしたらそう言うのが平然とあるかもしれないから……」
「どーん! どーん! 爆発! ばっくはつ! たのしいにゃー!」
同時。近寄ってくる子供をフォルトゥナリアは優しく諭して、その近くでは楽しそうなちぐさが街を歩いて宣伝中だ。ヤグラで太鼓……の予定だったのだが、どうにも無理そうなのでスネアドラムを首から下げて皆で楽しむんだにゃー!
「ふふふ。いい感じに作成が出来てきました……真っ赤な♡型に広がる花火……案外簡単に出来るのですね。これもやはり火の歴史の賜物……ああ、やはり子孫繁栄こそが花火の真意なのです!!」
そんでもって控室に強引に下げられたエルシアは相も変わらず己が心の行くままに花火の作成に努めていたッ――! 花火に色を付ける為の金属塩を借りて、蝋燭に練り込んでみたりして、しかもなぜか謎の補正が掛かってるのか複数個作れて量産出来てる。こわい。
とにかくこれでいざや打ち上げの時も万全……
あれーでもこれだと火力が足りない気がしますね。むむむっ。
「……はっ。そうです、閃きました! 火力が足りないのならば――ッ!」
「おい。おいおい止めろ。止めんか! 絶対碌でもない事考えておるじゃろエルシア――ッ!」
眼をまるで子供の様に輝かせながら、エルシアはクレマァダの制止を振り切ってどこかへ往く。くそ!! 祭りを純粋に楽しんだりする奴がいたり、勝手に行動する奴がいたりどうなっとんのじゃこの依頼!!? 祭司長、頭痛が凄い。
「――あ、只今戻りました」
と、その時。アッシュが茶休憩から帰ってき……
まって? 背後にある沢山のぶっ倒れた人たちは何?
「ああ。乱闘鎮圧の為に……ご安心ください、過剰な火力は危険ですし抑えましたよ。ええ。無害なチェインライトニングです」
「火花が迸っとるじゃろうがッ――!」
「だいじょうぶです。それよりも騒ぎましたのでお茶がまた飲みたくなりましたね……おや。こんな所にティーセットが。お湯を沸かしましょうか。します」
どうしたのアッシュさん!!? とばかりに今日のアッシュはグイグイ行く。
今年の秋摘みの新茶なので、香り高さを味わう為だからね。仕方ないね――
止める間もなくお湯を沸かす為に火を……あれ? 何やら火の付きが悪い。
「ハッ!! ご安心ください!! 自分が先程マッチは全て水を掛けておきました!!」
「不注意での引火の可能性が減らせるって事だね――私も火薬の保管庫、ちょっと見ておいて火花が飛んできたりしないようにしたし……これで万全かな?」
「成程――という事はやむを得ません。ここは強めの火で何とか火を起こすことにします」
「成程、はっ、そうじゃよ。そもそもこの花火ども全部湿らせてしまえば爆発しないのでは……ってアッシュ。お主、そのガスバーナーどこから出したんじゃ?」
しかしムサシが先手を取ってマッチを使用不可にし。フォルトゥナリアが万一にも事故が起こらぬように保管庫を強化。なので仕方ないのでアッシュがガスバーナーで火を湧かさんと――やめんかコラアアアアア!!
「ふぅー! ただいま! いやー射的たのしかったなー! 全然景品は取れなかったんだけどね! あれもしかして糊でくっ付いてたかなまぁいいや。それにしてもなんかここ暑いなぁ」
「うーん。きのせいかなー? 我の目に、てっぽー持ってる者がうつってるのじゃー」
「え? ああ安心してよ! これは火薬式じゃないよ! タブン!」
どたばた。控室が騒がしい中でリコリスが帰ってくる――その手にはてっぽーがある。
だから気付かなかったかもしれない。そのてっぽーばかりに目が行って……
リコリスの尻尾に、微かになぜか火が燃え移っていた事に。
あ、これはあれだよ。お肉が焼けるメイの屋台の前で鼻息を荒げてたら火の粉が飛んで移っちゃったんだ! メイも焼きそばとかじゃがバターとか食べたくて急いでたみたいだし、気付かなかったんじゃないかなぁ。ははは、まったくリコリスはドジッ子だなぁ!!
「……にゃ? あれ? そろそろ花火の打ち上げの時間なのにどうして誰もいないにゃ?」
そして――打ち上げ会場。街を練り歩いたちぐさが花火置き場へ。
にゃ? カッコイイ職人芸の花火を見せてもらおうと思ったのに……あっ。こんな所に花火はあったにゃ! かっこいいにゃ! 僕もやってみたいにゃ! うーんと、花火ってどうやって作るのかにゃ?
「うーん……あっなんか丸いのあるにゃ。こっちのは火薬っぽい匂いするにゃ」
つまり、丸いのに火薬を詰めればいいにゃ?
そして何すればいいにゃ? あっ! そうにゃ、火が必要にゃ!
「これでいいにゃー! そろそろ時間だし皆喜んで欲しいにゃー!」
マッチ用意。
大量の、大量の火薬がある所で。マッチが点きにくかったので何度も吸ってたら――
「にゃ!」
落としちゃった。
三・二・一。
「たーまーやー!」
――撃ちあがる。綺麗な花火が撃ちあがる。
おや? その空の一角でなにやら人影が――あれは!!
「ふふふ。爆発位置の上空30m弱……この辺りでしょうか!
皆さまに捧げる花火の愛を伝える為――エルシア、一肌脱ぎます!!」
エルシアだ! 彼女が(こっそり)仕込んでたピンクハート花火も打ち上げられ――彼女はそれを待っていた。自らの全ての魔力を収束させ破壊的な熱閃を生み出す――! そしてこれを!! 上ってくる火球と逢瀬するように撃ち込めば!!
「きっと火力が増して大爆発して――巨大な愛の証を描いてくれるに違いありません! てやー!! お行きなさい! 人の夢を、遺伝子に刻まれた永久の想いに乗せて――!!」
やめろー! エルシアー! うっかり外すと射線軸上には火薬庫も……
着弾。着火。大爆発。
「ぬぁああああさせるかぁああああ出でよ大波全てを消しとめよ――!!」
しかし最後の悪あがきでクレマァダが大波召喚!
爆発オチは、爆発オチだけは塞がんとし――あっ? チェインライトニング? おい誰だこの火花付きの電撃打ち込んだの、うわっ。
後の結果は――お察しの通り!
「あああああ――!! 爆発オチなんてサイッテ――だぁ!!
「たーまやー!! 次は私が花火になるよ!! もっともっと高く――打ち上げようか!」
涙のリコリス、夜空に浮かぶお星さまの一つとなり。
同時。フォルトゥナリアの輝かしき笑顔が――聖夜ボンバーと共に空にまで吹っ飛んだとか。
●はいそんでもって。
なんなのじゃ。
なんなんなのじゃ。
なんなのじゃ。
お前らマジで。
なんなんなのじゃ。
「ええと。花に水を遣る様に火薬には火が要るのです。つまり、一連の事由は全て因果律の果て……最初から定められていた答えだったのだと考えるべきでは? なのでわたしがお茶を淹れるのも不注意ではなく必然だったのです。というかこのお茶本当に美味しいですね。皆さんも如何でしょうか?」
「ええい! やかましいわアッシュ!
我は諦めんぞ! 訴訟じゃ訴訟!! こんな結末、絶対我は諦めんからの!!
最後に法廷で勝つのじゃ!! 運命に打ち勝てなくても法廷では勝つのじゃ――!」
提訴! 敗訴! なんでじゃー!
何かあった時の為にと責任者を訴えるつもりだったクレマァダ。何の陰謀か神速敗訴。
ああ来年もまたこの絶対爆発オチする花火大会は無事に開かれるのだろうか――楽しみの様な、そうでない様な。その様子を傍で眺めながら――アッシュは美味なるお茶をゆっくりと喉の奥へと運ぶのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
爆発オチなんてサイテー!!!!!!!!
MVP? ツッコミに忙しかった貴方へと……
はい、ありがとうございました!!
GMコメント
●依頼達成条件
呪われた花火大会を盛り上げる事!
(盛り上げさえすれば『何が起ころうと』成功になります!)
●シチュエーション
皆さんは花火大会の運営を手伝ってもらいます!
概ね花火を打ち上げるだけでOKです! なんなら、開始までちょっと時間があるので火薬を組み合わせてオリジナルの花火を作ってみてもいいかもしれませんね。おやおやこんな所にご丁寧にマニュアル本もありますし、作れるでしょう。うん!!
その他なんらかお祭りっぽい思いついた事があれば実行してみても構いません。
例えば屋台をちょっとやってみるとかお客さんをたくさん集める為にチラシを配って見たりとか……とにかく盛り上がればなんでもOKなのです! 打ち上げる作業だけは絶対にやってもらいますが!
ふふっ。楽しんでいきましょうね!!
●備考
重要な事ですが、この依頼は――
絶 対 に 爆 発 オ チ に な り ま す 。
それはうっかり火が予備の花火に引火したりするかもしれませんし、誰かの悪戯でなったりするのかもしれませんが、とにかく爆発オチになります。地上付近では最後に一斉に起爆してとんでもない煌めきに包まれる事でしょう――昨年もそうだったそうです。ええ!
でもなぜかどれだけ強い爆発でも怪我一つないそうです。不思議だなぁ。
とにかく皆さんは爆発オチの情報を信じなくても構いませんし、信じてなんとか阻止しようと頑張ってみても構いませんが絶対に爆発オチになります。ぴえー!
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。絶対に爆発オチになります。
想定外の事態は絶対に起こりません!!!!!!!!! よろしくお願いします!!!!!
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