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シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>この世界一杯にあふれんばかりの大きな大きな花束を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●案内人のミニミルム
「ようこそ、Rapid Origin Onlineの世界へ! ここは、『翡翠』の世界だよ!」
 僕は妖精。ミニミルム。
 たぶん、僕はこの世界を案内するために生まれたんだ。
 えへん。
 翡翠、の世界を案内するのが僕の役割、だと思うんだけど。
 でも、僕の声はまともに届いた試しがない。
 どうしてかっていうと、僕が「ものすごく小さい」からだ。
 テントウムシの足の先、くらいの大きさしかない。
 ドットにしたらきっといちドット。たぶん、これは『設計ミス』なんじゃないかと思うけど……。
 僕に気が付いてくれたのは、『妖精の守護鎌』シフルハンマ(p3x000319)くらいかな。それに、音楽の人……『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)にも聞こえてたみたいだったかな。
……アイサツしたくらいで、ちょっとしか話したことないけどねっ!

「R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』、はじまるよ! 世界がたいへんなことになってるみたいだよ!」
 僕がNPCとしての役割を果たせないとみるや、僕の役割は、いつのまにか別の妖精さんのお仕事になっていた。僕もめいっぱい声を張り上げてみたりはするけど、だめだ。
 みんな、忙しそうに装備を整えていて、僕に気が付いてくれる人はいない。

 ああ、もう、この世界も終わってしまうのかな?
 こうやって、ほとんど気が付いてもらえないまま。
 ぽちゃん、と水が降ってきた。
 泣いちゃった……訳ではなくて雨粒が降ってきたのだ。

 たった一滴でも、極小妖精にはものすごい一撃である。

 流されて流されて――きがついたら、水たまりのヘリにいた。
 おーい、と呼んでみたけれど、だれも気がつくひとはいない。
 ここは、なんだろう。とても暑い。砂漠の真ん中で。これだけ小さいと移動も大変だし。……たぶん、元の場所になんて戻れないんじゃないかな。
 このまま干からびてしまうのかな。

「おおきく、なりたいな」

 そんなときだった。
 小さなカプセルが、空から一つ、転がってきた。
「わっ」
 ぱかっと開いたカプセルの中心には、おあつらえ向きの小さな椅子。
 それは、なぜか。僕にぴったり!
 操縦席に乗ってみる。ころころと動かすと、あたりを巻き込んで、どんどん塊は大きくなっていく。
 それと同じくらい、『望み』が自分の中でむくむくと膨れ上がっていくのがわかった。
 大きくなりたい。
 大きくなりたい。

……無視をしないで。
 僕に気が付いて!


 ひとつの山が、ずしんずしんと辺りを揺らしている。一山はあろうかという巨体――いびつな丸いゴーレム。大魔種『イノリ』の声に応えてしまった、妖精がそこにとらわれている。
『ふふ、あはは。僕の声、こんなに大きくなったよお。もう誰にも無視されない! 世界で一番、大きくなるんだ!』
 その声はそれだけで兵士たちを吹き飛ばすほどの音圧を放っている。それほどまでに巨大だった。
 丸いゴーレムのその歩みは無軌道だった。ただただ辺りを蹂躙し、遺跡の柱や盗賊たち、あるいは兵士を巻き込んで――大きく、どんどんと大きくなっていく。
「ん……あれはぁ、ちょっと近づけないねぇ」
『ホワイトカインド』ホワイティ(p3x008115)は飛翔をやめ、偵察を終えた。
 生身で近づけばすなわちあの塊に取り込まれてしまうことは容易に想像がつく。
「とはいえ、何か、用意しておるんじゃろう、わらわのために」
「ええっ!」
『夢魔女王』ルリ(p3x009137)に、エミリアはぱっと笑顔を向ける。
「『覚悟を示す』ためにお願い(手合わせ)を挑み、無事に聞き届けていただけました」
 箱入り娘の成長ぶりに、ジェルド・スカーレットは若干ひきつった顔をしている。
「……この機会に砂嵐に恩を売っておくのもいいだろう。こんなこともあろうかと……」
 ジェルドが用意したのは……超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』だ。
「ただ、このエクスギアは少々難があってな。乗り手を選ぶ上に、性能を発揮するには魂のシンクロが必要なのだ。そもそも乗ることすらむずか……」
 ルリは蠱惑的な笑みを浮かべ、手のひらを刺し伸ばした。従順なエクスギアは首を垂れ、パイロットを受け入れる。
「うむ、問題ないようだが……」

GMコメント

●目標
超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』に乗り、
合体攻撃でシャドーレギオンを倒す!

●極小妖精ミニミルム
『WISH』
おおきくなって、自分を見つけてほしい。

『DARK†WISH』
全てを巻き込んでおおきくなりたい。

極小妖精ミニミルムは辺りを巻き込んで巨大化中です。
回避能力を持ちませんが、HPが多く、また、ガンガン巻き込んでいってでかくなっていきます。
生身で向き合うのは困難でしょう。でも、エクスギアさえあれば……!

・体当たり!
 近くの存在に物理攻撃をしかけます。
・大声を出しちゃう!
 ひろい範囲・神秘攻撃です。

攻撃を受けるとどんどんいろいろなものがはがれて小さくなっていきます。

※WISH&DARK†WISHに関して
 オープニングに記載された『WISH』および『DARK†WISH』へ、プレイングにて心情的アプローチを加えた場合、判定が有利になることがあります。

●超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』
 エクスギアEXとは大型の人型ロボットです。
『黒鉄十字柩(エクスギア)』に附随した大型オプションパーツを超複雑変形させそれぞれの戦闘ロボットへと変形します。
 搭乗者の身体特徴や能力をそのまま反映した形状や武装をもち、搭乗者にあわせた操作性を選択し誰しもが意のままに操れる専用機となります。
 能力はキャラクターステータスに依存し、スペックが向上した状態になります。
 武装等はスキル、装備、アクセスファンタズムに依存しています。
 搭乗者のHPがゼロになると破壊され、多くの場合爆発四散します。
 搭乗者が装備する剣と同様の剣で斬りかかったり魔術砲撃をしたりと、搭乗するキャラクターによってその戦闘方法は変わるでしょう。
 もしお望みであれば、普段と違うデザインをオーダーしてみるのもいいでしょう。
 ※すべてが専用にカスタムされているため、別の人物が乗り込んだり敵のエクスギアを鹵獲し即座に使用することはできません。逆もまた然りです。

●『魂のシンクロ(合体攻撃)』
 このシナリオ内に限って、『エクスギア・EX(エクス)』は合体攻撃が可能です。
 といっても厳密に分担する必要はありませんし、腕が何本あってもかっこいいからいいと思います。
 テイストも合わせなくて大丈夫です。それっぽく連携したことにすればオールオッケーです。
 あるものは耳となり、あるものは目となり。あるものは武器となり、悪を打ち滅ぼしましょう。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>この世界一杯にあふれんばかりの大きな大きな花束を完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月06日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ちゅん太(p3x000141)
あたたかな羽
シフルハンマ(p3x000319)
妖精の守護鎌
ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)
叫ぶ流星
ホワイティ(p3x008115)
アルコ空団“白き盾持ち”
壱狐(p3x008364)
妖刀付喪
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
ルリ(p3x009137)
夢魔女王
アズハ(p3x009471)
青き調和

リプレイ

●ビッグになりたい!
「「だーく†うぃっしゅ」で妖精さんがこんなに大きく……!」
『あたたかな羽』ちゅん太(p3x000141)はふるりと羽を震わせた。ただでさえ小さなちゅん太にとって、今回の敵は途方もなく大きい。
 けれども、ぱたぱたと羽をはためかせて。
「そうだよねえ、小さかったら見つけて貰えないから、大きくなりたいって思う気持ちは何となく分かるかな。うん、……この姿なら、ぼくも本当の君を見つけてあげられるかな」
 ちゅん太の決意に応えるように、小さな卵が割れ――小さな、白い翼をもったエクスギアスが生まれる。
「こ、これが「えくすぎあえくす」……!
凄いねえ、格好いいねえ……! ぼくにも動かせるのかなあ?」
 入り口はとても小さくて、ちゅん太を乗せるためにあるかのようだった。
 さすがに、レバーなんかを操作するにはこのままだと不都合がある。人の姿に変身できるようにしておいてよかったと思った。
「……うわ、動いた、飛んでる、刀も持ってる!
ぼくの思いのままに動くよ、これなら……」
 いつもと違う小さな姿は、いつもと見える世界が違って、大変だけど面白くて……。それを伝えられたら、きっと……。
「状況を把握しました」
『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)は数ある機体の中から、エクスギアとはいえ、ひときわに地味な汎用機を選ぶ。
「待ちたまえ。もっと良いエクスギアもあるのではないか?」
「汎用というのは、劣ることを意味しません。量産するほどに広いメリットがあるということですから。……成程。確かに動かしやすい」
「動かし、易い?」
(……やれやれ)
『妖精の守護鎌』シフルハンマ(p3x000319)は、知らない人間が作ったロボットに乗るのは気が乗らない。だが、気がかりはあの妖精だ。選んだのは、誰にも乗りこなせず――欠陥品の烙印を受けたエクスギア。
 シフルハンマの見立てでは乗り手の技量が足りなかっただけというやつだ。もっとも、エクスギアはイレギュラーズ以外にはそうそう動かせはしないのだが。
「このエクスギア……相当、古いようですね」
『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)は雇い主を見た。
「少々手を加えても構いませんか?」
「ああ、だが」
 パーツも古くいじるには少々――その言葉はのみこまれた。
「ああ、なるほど、ここがこうなって、こう」
 壱狐のサイバーな錬金術の知識はファンタジーじみたエクスギアの『仕組み』を紐解いており、職人の槌の一振りがエクスギアの鼓動を作り替えていく。
「今更私がカスタムする事もありませんが、動力周りをちょちょいっとパワーアップさせるぐらいならばあとで怒られることもないでしょう! 多分」
「あー。……ここがこう。ふーん……ああ、これ、ここが無理な応急処置のままで」
 シフルハンマと壱狐によって、機体は見違えるような動きを見せる。
 軋みのする音は噛み合い、高らかな音を奏でた。

「これがエクスギアEX……! 自分で乗れる日が来るなんてねぇ」
『ホワイトカインド』ホワイティ(p3x008115)はふかふかのコックピットへと乗り込んだ。中は柔らかいが、外は頑丈な鎧に包まれている。
(希望ヶ浜で見せて貰ったゲームと動かし方は似てるみたい、これなら行けそう)
 なりたい自分をイメージしながら、ホワイティは機体を起動する。
「……キミの名前は白き騎士、"ホワイトナイト"。行こう、一緒にあの子を止めるんだ!」
 ホワイトナイトは飛翔する。その風に乗って、ちゅん太は翼をぱたぱたとはためかせて飛んだ。
「白い機体に盾と剣、わたしの戦い方をそのまま使えそう。エミリアちゃんとお父さんには感謝しなくちゃねぇ」
「いえ、むしろ、危険に巻き込んでしまって、」
「『ありがとう』じゃろう? 何。礼に及ばん」
『夢魔女王』ルリ(p3x009137)はにやりと笑う。ルリに応えたエクスギアは、豊満な肢体をもった美しい夢魔の姿だ。草花で彩られたドレス。
「くっくっく! まさかこの年になってロボット物の主人公みたいな体験が出来るとは……やはりこの世界は面白いなァ!
……しかしジェルドよ……お主いい加減その過保護っぷり何とかした方がいいと思うぞ?」
「……む」

『きゃは、きゃははは』
 妖精は際限なくものを巻き込み、転がり続けている。
 と、そこへ……。
「はーい。エクスギアEX『NyarAdept-ねこ』発進! にゃー☆」
『NyarAdept-ねこ』ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)が飛び出した。
 二足歩行の猫型ロボットは、可愛らしいエフェクトをまき散らしながら、くるん、とピンクの肉球を向ける。かわいいビームがエクスギアを撃ちぬいた。
「ミニミルムさん、みーつけた☆」
『わあ、やっぱり、届いてる、声!』
 その言葉に、妖精ははねた。
「……」
 もともとは純粋な願いだったのだ。
(……大きくなりすぎると自然の一部として見られて逆に認識してもらえなくなるぞ……。その前に、あのままじゃ塊その物にミニミルムが潰されそうだな……)
「でも、もうこれ以上周囲を巻き込んで大きくなったら、
巻き込まれたくないって逃げられて……逆に見つけてもらえなくなりますよ」
「そうだよね。……呼び声(DARK)は振り払って、ボク達に本当の姿のキミを探させて!」

 地面が揺れる。
(俺は聴くことができたのに)
『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)は、破壊の音に耳を傾けていた。
(少ししか話さなかった。悩みに気付くこともなく何もしなかった)
 アズハの指揮の一振りが、暴れる妖精の動きを阻害する。歪められた音は、一瞬だけ正しく響き渡る。
(だから、……今から、耳を傾けてもいいか?)
 燕尾服を模した裾が揺れる。
「ミニミルムさんのWISHを取り戻す!
……だから倒すよ。痛いだろうけど我慢してくれ」
 コンダクターは指揮棒を振るう。
『どうして……どうしてじゃまを?』
「どうして、かと?」
 妖精の前に、ルリのエクスギアが降り立った。花開くような芳香が広がり、ルリは妖艶な微笑みを浮かべる。
「妖精よ。そなたの願い……随分と可愛らしいく妾が面白おかしく弄りたくもあるが……すまんのォ、エミリアの頼みじゃ……完膚なきまでに叩き潰させてもらおうぞ」
『ううう。どうして。こっちより小さいのに!』
 自分よりも小さな機体なのに。どうしてそんなに目が離せないのか……。
「なにも大きいだけが誘惑の方法ではあるまい。さあ、いくのじゃ! 『エクスギア・EX:リリス』」

●重くなりすぎたその身体を
(さて、大きくなりたいのは結構だが。流石に限度と節度は覚えてもらおうか! じゃなきゃどれだけ大きくなっても君の願望は叶わない!)
 シフルハンマが狙いをつける。
 牽制射撃は上手く決まった。妖精は進路を変える。
 アズハが、音よりも早く指揮を振るう。
 ずしん、ずしんと響く音色の合間に、リズムを挟み込んで、音色を整える。
(あの中にも、綺麗な音はある……。歪んでしまっただけなんだ)
『――っあ!?』
 響界奏者の指揮は、相手の歪んだ音色を上書きするように変調した。攻撃を逸らし、ミニミルムの殻のような塊がはがれた。
「よし、どんどん剥がすぞ!」
「ふむ、どれ。こうか? 『さあ、顕現せよ! ロべリアの魔眼!』」
 身体を揺らすリリスが、目を見開いた。複雑な宝石のような目が見開かれ、一瞬だけ巨大な妖精を捕らえた。リリスに誘われ、ミニミルムは一歩、先へ。
 一撃。
 他愛ない一撃のように思える。しかし。
「『花開け、ロベリア』」
 ルリが言うがいなや、花弁が開くように、塊が割れた。
『う……うう。うわあああ!』
「毒に苦しみ、血を流し、体も動かせず、狂気に堕ちる……嗚呼、実に愉快愉快!
……まあ、死にはせんから安心せぃ、せめての慈悲という奴じゃ」
 舌なめずりをするように、ルリは歓喜に身を震わせる。
 攻撃を浴びたミニミルムは、球を失う。だがしかし、ランダムの軌道を、イレギュラーズたちは上手く避けていた。
「右です」
 そのような複雑な演算を可能とするのが、黒子のエクスギアの力だった。無数のセンサは的確に勢いで情報を読み取り、地道な演算を繰り返していた。常人にはノイズとなる、という理由で、ほとんどのセンサのデフォルトはオフだ。しかし、黒子は目ざとく埋もれた機能を見つけ出すと、さらに周辺情報の分析を加える。
「っとと、こうだねえ」
 ホワイティは攻撃を受け止めて、逸らした。なおも向きを変え、向かってくるミニミルムを、サンライズソードの陽光が焼いた。
『やったな!』
「わたしは、超しぶといよぉ。キミの思いは、わたしとホワイトナイトが真っ向から受け止める!」
「ちゅん太様、そのままで。当たりません」
「! わかった。がんばる!」
 ちゅん太は最小限の飛翔で、攻撃を避ける。黒子の読み通り、リリスとホワイトナイトの攻撃で地盤が滑り落ち、敵の機体は溝にはまる。
 その隙を逃さず、ちゅん太は大きく飛翔して、べちんと痛々しく刺さった標識を取り去った。なんとなく痛そうなのは嫌だったから……。まあ、こっちにあたったら危ないという理由も、あるにはある。
「うーん、ナイスだよぉ」
「……ありがとう」
 ホワイティが笑い、シフルハンマが礼を言う。

「にゃにゃにゃん☆きらめくにゃ~!」
 星猫魔法は不思議な秘密。
 くるっと回ったねこは、尻尾を揺らしてキラッっと輝き、空から流れ星を呼び出した。ほわほわしたエフェクトは、容赦なく敵の外装をとっぱらう。
(ミニミルムさんには悪いけど、でっかくさせずにちいさくする!)
 願う、星猫の小さな奇跡なら。……威力はあるけれど、痛みはない。そのはずだ。
『うわあっ……!』
 敵は、ぼろぼろと土を崩しながら、やたらめったらにごろごろと転がっている。
「ここ、だな」
 シフルハンマは巨大な銃を作り出す。空気から魔力を装填して、引き金を引いた。単純だが、コツコツと、だ。
(スケールの大きさに惑わされるな!)
 シフルハンマは気合を入れ、狙いを定めて撃ち続ける。土塊が崩れ、どんどんと本当の姿を現していくのだった。
 今のままでは、声も伝わらないから。
(ただ気付かれる以外にも誰かと話がしたかっただろう?)
 壱狐は右手の、長大な刀身を構えた。
 歪な塊はいくつかの弱点を持っている。
「見えました」
 あそこを叩き斬ればいい。それが、一本の線のようにわかる。
 金行の術。
「ここまで大きいと的を外す心配はありませんね。ダイエットのお時間ですよ!」
 一撃。
 憑き物が落ちるように、ばらばらと崩れていく。

●本当の姿を、
「この位置、とてもいいね。お日様の光が、とてもよく集まってくるからねぇ」
 陽だまりに降り注ぐ陽光の魔力を、ホワイト・ナイトはそのままぶつけた。固い外殻をものともせず、それは球をちょうど真っ二つに変えるかのように、ヒビを入れる。
 それを見届けた黒子が頷いた。
 暴れまわるミニミルムに、壱狐は構えを防御に変える。陰の構え。
 また周りを取り込み、徐々に大きくはなるが、もうすでにその姿を保ててはいない。ぼろぼろと崩れ落ちる。
「さ・せ・な・い・にゃん☆」
 ねこの号令で、どこからともなく現れた子猫たちが、可愛らしくごろごろと跳ねまわる。手入れが終わると、毛づくろいを始める。
「もとどおりにゃ~ん☆」
「こっち、こっちだよ!」
 ちゅん太が攻撃を引き寄せ、その間に黒子は淡々とコードを撃ち続ける。
「復帰コード確認。問題ありません。敵出力、低下。効いています」
(ああ。こう使うんだな)
 シフルハンマは接近戦の構えをとる。
 このエクスギアの。誰にも使われなかった機能、動かせなかった機能。
 その一つを、シフルハンマは理解した。身体の一部、それ以上に動かすことができる。銃の代わりに飛び出した鉤が突き刺さる。そして……敵の機体の内部にくさびを打ち込み破壊する。……妖精は傷つけないまま!
『っつ』
 ミニミルムは誘いこまれていた。リリスの吸精結界から抜けられない。
「……敗北は気持ちいじゃろ? 素直に認めると良い」
 黒子のエクスギアが、銃を向ける。主目的は攻撃ではない。被弾箇所に闇色の渦が生じる。
 アズハには分かった。
 重苦しい音は、剥がされ、軽やかになっている。
『響界感測』。
……音の反射が、教える。
 ここにいるよ、と。
「……大きくなったな、ミニミルムさん」
 これで、ようやく声が届く。エクスギアと同じくらい。
 ようやく見つけ出せた。
「でも案内役の君がそんなに大きかったら、プレイヤーは近づけないし、道端に咲く花も潰してしまう。
今度は君が、小さき者を無視してしまう」
 めいっぱいの響鳴静轟が、反射する。
「……大きくなりたかったのは、世界を案内するという役割を果たすためじゃないのか!?
大きさだけに飲み込まれるな、本当の願いを思い出せ!!」
 ぱかり、と球体が割れた。
 最後の抵抗を前にして、こちらの機体が輝きだす。
「あれは!」
「知っているのですか、お父様!」
「魂のシンクロっ! ふふふんふん♪ ……かっこいいー! さーて、こうかにゃ?」
 コンダクターは、脚へと変じた。ぶつかってくる球を受け止め、粘る。後ろに迫るがれきを、ちゅん太の羽ばたきが止める。
「とべるっ……とべるよ!」
 ちゅん太は、小さな。しっかりとした翼になっていた。はためき、力を宙へと逃がす。
「飛べれば移動に有利になるし、何より格好いいし……!」
 それに、止めてもあげられる。
 あたたかな羽を精一杯広げる。
『ぐぬぬぬ……』
「腕が何本あってもいいなら、武器も沢山あって良いよねぇ。行くよぉ、ぶっつけ本番合体!」
 風のように。ホワイティはアズハの音に乗る。
 剣と盾を核に、機体と甲冑を刃にと変じていく。左手にはホワイトナイトソード、そして、右手には壱狐が、これまた美しく姿を変えている。
 頷いた壱狐は、その身を一本の大太刀へと変える。擬神暗器――そのひと振りは巨大であり、絶大な武器。
「変形完了、大剣モード!」
「「二刀流」」
「にゃにゃーん!」
「準備、完了です」
「陽光と灰色の魔力を湛えて繰り出すは必殺の斬撃。遠慮は要らないよぉ、思い切り振り下ろして!」
 ホワイティの大剣が、最後の一撃を振り払った。太陽がきらめき。
 そして、その先。
「さあ、妾の魔眼でイキ果てるがよい」
 ルリの魔眼が開いた。宝石めいた、光を闇の中に閉じ込めた。いくつもの目がミニミルムを見据える。
「照射完了。誤差、1パーセント。可能です」
 黒子の導きにのれば、合体エクスギアスは計算されつくしたポーズを決め、攻撃を避けた。
「……思いは届く、そう信じてる。行けぇぇっ!!」
 ねこは、アームを担当する。光の粒子が、宝玉の弓を形作った。
 最大火力の星猫魔法、その奥義。
「魂の願いを込めて……ウィッシュ・スター・ランチャー、いっけぇーーーーー!」
 流れ星。
 星を超え神にも届く壱狐の太刀。
「貴方の願いはただ『大きくなりたい』じゃなくて『大きくなって他の人と話したい』でしょう! 過ぎたるは及ばざるが如し、今の大きさの貴方に私たちの声はちゃんと届いていますか!?」
 その声は小さく、か細く。けれども……。
「聴こえたよ」
 アズハの音色が響き渡る。
「ミニミルム君……わたしもね、元々はただのちっちゃい虫だったんだ。ぼんやりした意識で、このまま死んでいくんだろうって思ってた」
 ホワイティが叫ぶ。
「けれど、わたしは大きくなった。人の姿と意識を手に入れて、色んな経験ができた。キミが大きくなる方法だって、きっと他にあるはずだよぉ」
「いっけええー!」
 落下する極小妖精を、ふわりと優しい風が撫でた。ちゅん太の羽が、ふわっと、優しく吹き飛ばした。
「だから、キミが大きくなれる方法を一緒に探してあげる。
大きくなるまでは、わたしがキミのことを見つけてあげる。
だから……誰かの体も自分の心も傷つけながら、全部巻き込んで大きくなるなんて、しなくていいんだ……!」

●小さな小さな声を
 エクスギアは崩れて、妖精はどこへ?
 そんなときは、星猫の出番だ。
 ねこのよびかけで、猫たちがやってくる。どこかに紛れてしまった妖精を、見つけ出す。
「どんなに小さくたって見つけるから……!」
 葉っぱの下だ。
「改めて……初めまして、ミニミルムさん☆」
「お、怒ってないの……」
 小さな声。
「ボクは星の魔法少年☆ナハトスター!
ROO、まだまだ知らない事も沢山あるから
色々と案内してもらえると嬉しいな☆」
「案内……」
 ぽろりと涙がこぼれる。
「さて、ミニミルムよ、貴様の為にここまで動いてくれる者達がいるのにまだ寂しさを感じるのかぇ?
素直になったらどうだ? ……友になりたいと」
「そうだよ。探してたんだ。それでね、小さいもの仲間として、仲良く出来たら嬉しいなって……」
 小さい声。ごめんなさいとありがとう、だ。
「これはチャンスだ!
俺達も手伝うから、案内役に最適な大きさになろうよ!」
「うんうん。君が大きくなれる方法を一緒に考えよう!
みんなで考えればきっと何かいい方法が思いつくはず!」
 アズハとちゅん太がはげました。

 現場に戻ってみると、だ。
 残骸を前にして、すでにシフルハンマは唸っている。どうにかして願いを叶えてやりたい、と。
(ロボットにしてもあれほどミクロだと妖精モードの俺の手でもかなりきついんだよな……うむむ)
 壱狐が取り出したのはサイバーなぬいぐるみだった。
「サイズと呼び声が問題でしたからね。これならどうでしょう? 動かせますか?」
「ならここをこうしますか」
 最後に残ったこの操縦席をそのままに、組み込むとして……。
 
 そして……。

「エミリア、仕事終わったぞ! さあ、妾にご褒美をよこすのじゃ!」
 ルリがぎゅうとエミリアにだきついている。
「エミリアさんとジェルドさんも元気そうで何よりだ」
「はいっ! 私もエクスギアに乗りたいです! そのぉ、ルリみたいな」
「手捕り足取り教えてやるべきか?」
 頬を赤らめるエミリア。
「ふふ、手合わせか。すっかり強くなったね。
そうだ、ミニミルムさん。今度翡翠を案内してよ。皆で花畑を見に行こう?」
 機械化されたぬいぐるみがぴょこんとはねあがる。
 元気の良いメッセージウィンドウ。もうだれも彼を無視することはないだろう。

成否

成功

MVP

アズハ(p3x009471)
青き調和

状態異常

ちゅん太(p3x000141)[死亡]
あたたかな羽

あとがき

小さな案内妖精さんは、また案内妖精に戻ったのでした!
もう道を誤ることはなく、寂しい思いもしないでしょう。お疲れ様でした。

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