PandoraPartyProject

シナリオ詳細

タヌたんの謎を追え!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●承前
 今現在R.O.O、とりわけ翡翠国は大変なことになっておりますが、事態が前か解決した後か。
 とにかく番外編的な時空と言う事で、このシナリオをお楽しみください。

●これまでのあらすじ
 R.O.Oにて、レジェンドアイテム『タヌキの耳』が発見された――。
 これに衝撃を受けたのはTeth=Steiner (p3x002831)であった。
「どうしてレジェンドアイテムがたぬきの耳なんだぽーん!!!」
 衝撃のあまりたぬきと化してしまったTeth。タヌキの耳は持っていないが、何となくタヌキ化してしまったTeth。それを指を指して笑うのは、夢見・マリ家 (p3x006685)、夢見・ヴァレ家 (p3x001837)、セフィーロ (p3x007625)のいつものメンツであった!
「とうとう思い込みでたぬきになってしまったのね((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆」
「やめるぽーん! というかTethはたぬきじゃないし、汰磨羈もたぬきじゃないぽーん!!」
 地団太を踏むTeth(たぬき)。ヴァレ家はけらけらと笑いながら、
「もう諦めるべきですね!! Teth殿はたぬき。汰磨羈殿もたぬき!! これは覆らぬ現実なのです!!」
「悪いですよヴァレ家! 本当のことを言っては!」
 窘めるマリ家。マリ家もこの状況と、嘆くTethのことを相当楽しんでいる様だ。
 まぁ、実際のところ、汰磨羈もTethもたぬきではない。たぬきではないのだが、何か逃れられぬ何かが、その存在をたぬきへと収束させているような気がした。
「しかし、たぬき殿。アライグマだったりたぬきだったり大変でありますね!」
 慰めるように言うマリ家。
「今たぬきって言った?」
 Tethの言葉に、マリ家は小首をかしげる。
「言っていないでありますよ! それはさておき、今回はどうして集まったのでありますか?」
 マリ家の言葉に、Tethは頷いた。
「これには、大いなる悪意を感じるぽん」
「悪意?」
 ヴァレ家が尋ねるのへ、Tethは語る。
「そう……これは運命を捻じ曲げるほどの悪意。俺様をたぬきにせんとする何者かの意志が、R.O.Oを歪めるべく、タヌキの耳を生み出した……」
「凄い被害妄想だわ」
 セフィーロが言う。
「これが真実だぽん!!!」
 世界の真実に気づいちゃった人みたいな目で、Tethは言う。
「まぁ、それが真実だとして。それで、どうしたいの、あなた?」
 セフィーロの問いに、Tethは頷いた。
「俺様は独自のルートを使って、このアイテムの出どころを探ったのだぽん。
 そして、ついに発見したんだぽん!
 翡翠国の秘密工場で! このアイテムは作られているんだぽん!」
 自信満々に言うTeth。ホントかどうかはわからないが――多分勘違いだろう――、Tethはそれを真実だと思い込んでいる様だ。
「で、どうするのでありますか??」
 ヴァレ家が言うのへ、Tethは頷いた。
「カチコミだぽーーーーーん!!!!」
 そう! かくして、工場にカチコミすることになったのである!!!

●イントゥザたぬ耳工場
「御用検めであるぽーーーーん!!」
 どがん、と扉に蹴りを入れるたぬき。その後に続く、仲間の特異運命座標たち。
 工場は、翡翠国にある割にはなんだか異様に近代的なつくりをしている。ベルトコンベアの上には無数のたぬきの耳が並んでいて、刺身にタンポポを乗せる感覚でカチューシャにたぬ耳を接着している作業員たちの姿が見える!
 そして! ああ! その作業員たちのすがたは、間違いない! アライグマであった! 突然の登場に、怯えるアライグマたち!
「ええ、急に何ですか……?」
 と、例えるなら「( ・◡・*)」みたいな顔をして、オレンジ色の圧の強い人が、そう言いながら出てきた。
「わたしが工場主任です。( ・◡・*)と申します」
「え、なにそれ、どうやって発音するんだぽん?」
「( ・◡・*)です」
「( ・◡・*)」
 発音できた。
「それはさておき! 御用検めであるぽん! お前達は間違ったものを作っているぽん! たぬき耳など邪悪の所業! 正しく猫耳を作るぽん!」
「……どうやら気づいてしまったようですね。この工場が違法たぬき耳を作っているという事に……」
 ( ・◡・*)が( ・◡・*)を( ・◡・*)みたいな( ・◡・*)しながら言った。
「そうとなっては生かして帰すわけにはいきません。貴方達には、ここでたぬき耳を作るバイトをしてもらいます……!」
 と、( ・◡・*)がその手を掲げる! するとどうだろう! 工場の天井から、謎の光線銃がじゃきん、と姿を現した! ( ・◡・*)が手を振り下ろすと、光線銃からビームが発射! これは躱せない! 直撃を受けてしまった特異運命座標たち! 次の瞬間、その身体に異変が起きる! 具体的には、頭にたぬき耳が生えていたのだ!
「な……私までタヌキに!?」
 セフィーロがちょっとショックを受ける。
「ふふ。このままあなた達は違法たぬきとして、この工場で働いてもらいます」
 ゆらり、とゆれる( ・◡・*)。その背後に、たくさんのアライグマたちが現れた。
「いい職場ですよ」
「8時間労働で1時間お昼休憩が付きます」
「残業代も割と出ます」
「飲み物はお茶が飲み放題です」
 ゆらり、ゆらり、とアライグマたちがやってくる! どうやら、彼らを撃退しなければ、ここから帰ることはできないだろう!
「むむ、これは仕方ありませんね、マリ家!」
 ヴァレ家が言った。
「違法操業工場なら、ぼこぼこに破壊して売上金を収奪しても合法です!! ここは一つ、正義の強奪と行きましょう!」
「そうだね! ヴァレ家! 相手が悪人なら、司法に訴える権利はないからね!」
 酷い事を言いながら、マリ家が同意する!
「なんでもいいぽん! この違法たぬき耳工場をぶっこわすんだぽん!」
 Tethが叫ぶ! とにかく状況も目的も滅茶苦茶だが、シンプルにアライグマたちを倒せば勝ちだ! 頑張れ、特異運命座標たち!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので僕は悪くないです。

●成功条件
 『アライグマ』たちと『悪い( ・◡・*)』の撃破

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 R.O.O内にてアクセサリ、『タヌキの耳』の出どころを追っていた特異運命座標たち。
 操作の末たどり着いたのは、違法タヌキ耳を作る違法工場でした。
 この工場を壊したところでタヌキの耳の流通が止まるわけがないのですが、それはさておき、この工場を何とかしないといけなさそうです。
 みなさんは、この工場を制圧し、とにかくこの状況を何とかしましょう!
 クエストは工場内部で行われます。工場内部は変な機械がたくさん置いてありますが、基本的には、戦闘面でのペナルティなどは発生しないものとします。

●特殊状態異常について
 このシナリオに参加したキャラクターは、以下の特殊状態異常に強制的にかかります。
 この特殊状態異常は、シナリオを終了するまで解除されません。

 タヌキの耳(違法)
  アバターに違法タヌキの耳が強制的につく。外見がちょっと可愛らしくなり、気持ちがたぬきになる。
  それ以外のデメリット? 特には……Teth=Steinerさんが怒るくらいかなぁ……?

●特殊ルール
 本シナリオにおいては、イレギュラーズの攻撃に『不殺』が無くても、敵は100%、戦闘不能時に死亡しないという状態になります。
 コメディシナリオなので……敵は、ぬわーって吹っ飛ぶだけで済みます。

●エネミーデータ
 悪い( ・◡・*) ×1
  悪い( ・◡・*)ですよ。
  主に神秘属性の攻撃をしてきますよ。
  『火炎系列』『重圧』を付与してきますよ。

 アライグマ ×20
  工場でバイトしているアライグマ。全員工場でホワイト労働をしているので、悪い( ・◡・*)さんに忠誠を誓っています。
  素早く行動し、接近し、物理属性の攻撃を行ってきます。
 『出血系列』『毒系列』を付与し、じわじわとHPを減らしてくるでしょう。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O3.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • タヌたんの謎を追え!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年11月29日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
夢見・ヴァレ家(p3x001837)
航空海賊忍者
※参加確定済み※
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
※参加確定済み※
吹雪(p3x004727)
氷神
Steife(p3x005453)
月禍の閃
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
※参加確定済み※
セフィーロ(p3x007625)
Fascinator
※参加確定済み※
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影

リプレイ

●これまでのあらすじ
 ~私怨でタヌ耳工場を襲撃したら、たまたま違法タヌ耳工場だったので潰すことにしました~

「私怨じゃねぇぽーーん!!!!」
 『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)が地団駄を踏むのへ、
「いや、私怨じゃないたぬか!!」
 と、『月禍の閃』Steife(p3x005453)が思いっきり突っ込む! はぁ、とため息をつきつつ、
「何度も擦るネタたぬけど、汰磨羈はたぬきちだぽん。TethきちでROOのアバターを纏っていてもたぬきはたぬきだぽん。
 実際NPCのたまきちはたぬき化しているから、どうあがいてもたぬき属性から逃れられない宿命たぬよ。
 なお猫だと言う主張は今回の仕事に限っては認められないたぬ」
 たぬ! と宣言するSteifeに、Tethは叫び返した。
「たぬきじゃねーぽん! って言うか中の人バラすのはアウトだぽん!」
「いえ、もうこの集まり的にバレているようなものよ、ぽん」
 むっ、と口元を抑え、『Fascinator』セフィーロ(p3x007625)。
「調子狂うわね……たぬ。とにかく、災難タヌキねえ、たぬきち……じゃなくてTethきち」
 もう諦めたら? と言おうと思ったが、諦めないでいるその姿が面白いんだよな、と思ったので黙っておいた。
「Tethきちじゃねーぽん! それに! これは! 世界平和のため!」
「世界平和のために我々の就職先を潰すのですか」
 Tethの叫びに、アライグマたちがゆらゆらとゆれる。
「最近はアライグマ界でも就職難なのです」
「ようやく見つけた就職先」
「残業はありますが、残業代は割と出ます」
「アライグマ諸君、キミたちはそれで本当にいいの?」
 と、ゆらゆら揺れながらこちらを包囲するアライグマたちへ、『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)は告げる。
「気ままに川で綿飴を洗って過ごしていたキミたちがこんな違法工場で、裏社会の部品の一つとして定期労働に従事するなんて……。
 自由を愛するアライグマとしての誇りはどこへいってしまったの?」
 ざわ、とアライグマたちの間にも動揺が走る。が、すぐに哀しみの表情を浮かべると、
「最近気づきました。わたあめを手に入れるにもお金がいるのです」
「多少違法労働しても、わたあめのためなので……」
「人間社会には混乱と法の破壊を招くことになりますが、我慢してください」
「うん、やはりアライグマは邪悪だ。滅ぼさなければならない」
 イズルが決意の表情で頷いた。
「これは私怨だけど、最近大切な人が、なぜかアライグマ推しになってしまってね……?
 目を覚まさせるためにも、キミたちは排除させてもらうよ……!」
「そう、アライグマは邪悪なのよ」
 と、なんかパイプ吹かしたアライグマを思い浮かべながら、『氷神』吹雪(p3x004727)は言う。
「アライグマに関わると……えぐいレオタード着せられたり、葉っぱだけで酔っ払って踊らされたり、ビキニアーマーを着せられたりするのよ……!」
 わなわなと震える吹雪。アライグマたちは、えー、と声をあげながら、
「それは半分は情報精度・炎堂 焔なのがいけないのではないでしょうか」
「一方的に、アライグマだけが悪いとは思えません」
「まぁ、割と自分の好みを出しつつ書いていましたが」
「抗議の声をあげます」
「シャラップよ、ぽん!」
 びし、と吹雪はアライグマたちを指さす。
「とにかく、アライグマたちにはここで積年の恨みを晴らさせてもらうぽん!!」
 吹雪が構える。
「っていうか、悪い( ・◡・*)って何なんだ……?」
 頭を抱える『妖精の守護鎌』シフルハンマ(p3x000319)。
「っていうか、っていうか! 気づいたら( ・◡・*)って発音できるようになってる……どうなってるんだ? ワカラナイ、何もわからない……!」
「悪い( ・◡・*)は、悪い( ・◡・*)ですよ」
 悪い( ・◡・*)が言った。アライグマたちの背後、工場主任の、ちょっとダークなオレンジ色の圧の強い丸い物体である。
「どうして翡翠国や深緑、妖精郷に縁があるんだ! おかげでアライグマと( ・◡・*)に関わるのは、三回目なんだ!」
「それは……いつもご愛顧ありがとうございます」
 悪い( ・◡・*)がぺこりと頭を下げる。
「ありがとうございます」
 アライグマたちもぺこりと頭を下げた。
「やめてくれ! そろそろ縁を断ち切りたい!」
 なんだか泣きそうなシフルハンマだ。かわいそうに……。
「悪い( ・◡・*)さん……何故こんな違法操業に手を染めてしまったんだ?
 低身長童顔成人男子が泣いているよきっと」
 イズルがそう言うのへ、悪い( ・◡・*)さんは少しだけ顔を曇らせた。
「これも……座敷牢に幽閉している低身長童顔成人男子のためなので……」
「そっかぁ」
 イズルが頷いた。そっかぁ。
「でも、悪い事をして稼いだお金じゃ、座敷牢に幽閉されている低身長童顔成人男子も喜ばないよ。
 まだ遅くはないから#E2421F(注:紅葉色のWebカラー)だったころのあなたに戻って。
 そうそう、RGBだとR:226/G:066/B:031だよ」
「いいえ、今の私は#802612くらいの悪い( ・◡・*)なので……」
「そっかぁ」
 イズルが頷いた。そっかぁ。
「とにかく、皆さんには座敷牢に幽閉している低身長童顔成人男子のためにお金を稼いでもらいます」
「そうはさせませんよ!! ぽん!!」
 びしっ、と指さす『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)。
「まさかこんなものを作っているだなんて……行きましょう、Teth殿!
 風もないのにブラブラしている貴殿の怒りを、見せつけてやるのですぽん! 
 さぁ、マリ家! 我ら夢見の力を見せてやるのですよ!」
「そうだね、ヴァレ家! 気を引き締めて行きましょうポン!」
 『虎帝』夢見・マリ家(p3x006685)が元気に頷いた。
「しかし……妙に恐ろしい気配がしますね! ( ・◡・*)!」
「ええ……あれが噂の悪い( ・◡・*)、なんと禍々しい、薄暗く輝くオレンジ色……!
 この圧は、まさに悪い( ・◡・*)ですぽん!」
 さすがのヴァレ家も、ごくり、と圧につばを飲み込む。悪い( ・◡・*)はその#802612くらいのカラーの顔で圧をかけると、
「行ってください、アライグマたち。倒せばちょっとボーナスを出しましょう」
「本当ですか」
「ホワイト企業だ」
「と言うわけでボーナスのためにやっつけさせていただきます」
 ちゃきん、と爪を立てるアライグマたち!
「お金のために悪事を働くとは! まったく、APを0にされた上に売上金を強奪されても文句は言えませんよ!」
 マリ家も武器を構える。仲間達も各々構え、アライグマを迎撃すべく立ちはだかった!
「よーし、行くぽん! 御用検めだぽーんッ!!!」
 Tethきちの声と共に、いざ、戦いの火ぶたは斬って落とされたのだっ!!

●アライグマ、そして悪い( ・◡・*)
 特異運命座標たちと、アライグマ&悪い( ・◡・*)の戦い! それは熾烈を極めていた――!
「さぁ、アライグマたち! わたあめですぽんっ!」
 ヴァレ家が、手にした袋から何かをほうりだす。それは、真っ白でふわふわした、わたあめである! ぽふ、と地面に落下したわたあめに、アライグマたちは本能的に目をそらすことができない!
「しまった、わたあめです」
「これに心を奪われぬアライグマは存在しません」
 わぁわぁとわたあめに殺到するアライグマたち!
「今ですっ、マリ家っ!」
 その言葉を受け、アライグマたちの間を縫うように駆ける虎――否、マリ家だ!
「ふふ、如何に単純労働に従事していようと、所詮はアライグマ……見せてあげましょう! これが! 猛虎の! 一撃ですっ!」
 その動きはまさに虎! がおー、と吠えて飛びあがり、アライグマたちへと向けてバルカン砲を掃射! 猛虎の咆哮が、無数の弾丸が! アライグマたちを蹂躙する!
「ぬわー」
「わたあめがー」
 たまらず吹っ飛ぶアライグマたち! だが、アライグマは数が多い! 1匹見かけたら20匹いるのである!
「負けません、行きますよ。我らが職場を守るのです」
 アライグマたちが『暴力反対』『労働争議』とか書いた看板を振り回しながらスクラムを組む! が、そこに立ちはだかったのはシフルハンマだ!
「キミたち、これはキミたちのタイムカードだが……」
 と、シフルハンマは白いカードを取り出す! それは、そう! アライグマたちの出勤退勤時間を記録したタイムカードだ!
「トータルで見たら8時間以上働いているのもざらのようだけど? この工場、残業が多くないかな?」
「そ、それはそうですね。確かに、残業はよくあります……」
「でも、きょうび残業代がつくだけでありがたいです」
「残業代がつくだけでありがたい……それが巧妙な罠なんだよ」
 シフルハンマは、その辺にあったヘルメットをかぶりながら、続ける。
「残業代は確かについている……でもそれって適正価格かい? 自分も鍛冶屋だから事業主だけど、こんなに低賃金の残業代はあり得ないよ?」
 別にシフルハンマは従業員を雇って鍛冶屋をやっているわけではないのだが、それっぽい事を言ってみた!
「がーん、そんな」
「我々は、搾取されていた……?」
 ふらふらと頭を抱えるアライグマたち! 呆然自失となったアライグマたちの隙をつき、Steifeが次々アライグマたちを『閃雷戦斧【煌】』でひっぱたいてホームラン! していく!
「ううん、所詮はアライグマ……労働問題は高尚過ぎるようですぽん……」
 なんかそれっぽい単語をあげつつ、Steife。吹っ飛んだアライグマたちが、次々違法タヌ耳の在庫の山に頭を突っ込んだ。
「なんて悪い( ・◡・*)なんたぬか……!
 真っ当な労働時間でアライグマに慕われてるからホワイト上司にみせかけ、結局ブラックではないたぬか……!
 そもそも悪い事してるから徹頭徹尾ブラックたぬ……!」
 ぴしっ、とSteifeがゆびさすのへ、悪い( ・◡・*)さんはぐぬぬ、と唸った。
「アライグマを単純労働させて、座敷牢に幽閉した低身長童顔成人男子を愛でる作戦が……!」
「……ところで、このリプレイ、大丈夫ぽん? もみじSDへの風評被害ヤバくないたぬ?」
 一方、アライグマに並々ならぬ敵意を燃やす吹雪! それは絶対自業自得だと思うが、アライグマにもたらされた被害は尋常ではないのだ!
「と言うわけで、アライグマはせん滅よ! 特にパイプをくわえてシャボン玉をふわふわさせているのは! 特に!」
「それは、最近正義国辺りでお仕事しているアライグマでは」
 鬼気迫る吹雪に、アライグマは怖かったので、正義国辺りで仕事をしている仲間を売った。吹雪はきらり、と目を輝かせると、
「そう、シャボンのアライグマは正義国にいるのね……」
 と、若干遠い目をしながら、
「それはそれとして、あなた達には氷漬けになってもらうわ!」
 と、容赦のない冷気の嵐をアライグマたちにたたきつける!
「ぬわー、これはひどい」
「絶対情報精度・炎堂 焔なのがわるい」
 凍り付いた銀世界を、つるつる滑っていくアライグマたち! そのまま在庫の違法タヌ耳の山にゴールイン!
「うーん、皆元気ねぇ」
 と、アライグマを抱えてヘッドロックを決めていたセフィーロが言う。アライグマが、セフィーロの腕を叩いて「ギブギブ」って言った。
「ん? ギブアップ?」
「いえす」
「ノーギブアップよ」
 ぎりぎりとヘッドロックで締め付けるセフィーロ! アライグマが「ぬわー」っていった。
「一部の界隈ではご褒美です!
 次! ちゃんと順番に並んで来いオラッ!」
「はーい」
 アライグマたちが一列に並んで順番を待つ! セフィーロは満足げに頷くと、そのまま抱えていたアライグマの足を掴んだ!
「よくできました! これがご褒美よ!」
 と、思いっきりアライグマを振り回して――ジャイアントスイングだ!――そのまま、並んだアライグマの列へと放り投げる! ストライク! かこーん、と音を立ててアライグマたちが吹っ飛んだ!
「うん、大体のアライグマは片付いたみたいだね」
 イズルがアライグマにわたあめを手渡す。アライグマはわたあめ取得すると、何処かへと消えていった。
「あとは……悪い( ・◡・*)さんだけだぽん」
 イズルが呟く悪い( ・◡・*)さんは悪い( ・◡・*)的なフェイスを圧の強い感じで見せつけると、
「役に立たないアライグマたちですね。やっぱり採用要件に戦闘能力もいれるべきでした」
「そんなことはどうでもいいぽん!」
 Tethきちが叫んだ!
「燃やしたり重くしたりとか、噂通りのあくどい所業たぬね。このエセ柑橘類め!」
 ( ・◡・*)は柑橘類ではない。
「だがしかし。この俺様が、そう簡単にその毒牙にかかると思うなだぽん!
 いや、もうかかってるって言いたいかもだけど、かかるなだぽん!」
 びしっ、と指さすTethきち。悪い( ・◡・*)は、むむ、と圧を出しながら、その両手を掲げた。悪い( ・◡・*)火炎が巻き起こり、今まさに解き放たれんとしている!
「座敷牢に幽閉された低身長童顔成人男子……私に力を……!」
 悪い( ・◡・*)がそう呟くと、炎がさらに巻き起こる! 愛の力である! 強化された炎が、特異運命座標たちに解き放たれた!
「くっ……! こ、このプレッシャー只者ではありませんね……! この炎、迂闊には近寄れません……!」
 流石の猛虎も、この炎には手を焼くようだ! さすが悪い( ・◡・*)ファイヤーである。
「Tethきちさん! 何か手はあるのですか!?」
 ( ˘•ω•˘ )っていう顔をするマリ家。一方、Tethきちは不敵に笑った!
「まかせるぽん!
 テメェみたいに悪い( ・◡・*)には、とっておきの必殺スキルをお見舞いしてやるぽん――」
 そのまま、無駄に洗練された無駄のない無駄にかっこいポーズを決めるTethきち!
「ヴァレ家! 今だぽん!」
 叫ぶTethきち! その刹那、ヴァレ家が悪い( ・◡・*)の背後に回り、羽交い絞めにする!
「今ですぽん!! 拙者がもみじSDの動きを止めます! その隙に拙者ごと!!」
 そういった瞬間、Tethきちは声高らかに叫んだ!
「食らえ、必殺!
 \たまきち大戦争~超たま祭編!!/」
 おお……するとどうだろう! 周囲から無数の足音が聞こえる! 何かが、こちらにやってくる!
 そう、これは大量の『たまきち』(ねこ)(たぬきではない)を召喚し、敵を踏みつぶす荒業である!
「無数のたまきちに轢かれながら、『たまきちはねこ』という事実を思い知っtたぬきちしかいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
 そう! Tethきちの言葉通り、おお、なんという奇跡だろう! 通常9%の確率でしか発生しえないはずの「たぬきち」(たぬき)(ねこではない)が! この時! 無数に発生していたのだ!
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 Tethきちが叫ぶが、もうこの状況は収拾がつかない。無数の『たぬきち』の群れに、敵も味方も、すべてが踏みつぶされ、そして――。

●めでたしめでたし
「こんどは、真っ当に働いて、座敷牢に幽閉された低身長童顔成人男子を愛でようと思います」
 と、すっかり悪さがなくなった( ・◡・*)さんが言った。
 戦いは終わった。もちろん、特異運命座標たちの勝利である。無数の『たぬきち』に踏み荒らされた工場内はもはや再起不能であり、違法タヌ耳が流通することはもうないだろう。
「そうだね、( ・◡・*)さん。それがいい」
 イズルが微笑んだ。
「またいろんな人の性癖を刺してね、( ・◡・*)さん……( ・◡・*)なんて発音してるのかしら。何で発音できるのかしら」
 小首をかしげながら、吹雪が言う。
「ヴァレ家! 今のうちに家探しをしましょう! 違法タヌキの耳を、拙者たちで売り捌けばうっはうはです!」
「それは名案ですね! デスカウントが増えた分、得を取りませんと!!」
 と、マリ家とヴァレ家は、違法タヌ耳をこそこそと持ち帰っているようである。
「……もう、アライグマは出ないよな……?」
 シフルハンマがアライグマに語り掛ける。アライグマは小首をかしげた。わかんない。
「ところでアライグマってタヌキ鍋の具材になるみたいですね?」
 そういうSteifeに、
「やめてください、泣きますよ」
 アライグマが抗議の声をあげた。
 一方、Tethきちは満足げに、アライグマをもふもふしながら、言った。
「これで、違法タヌ耳の流通は抑えられた……そして俺様も! 名実ともに! 猫!!!!」
 胸を張るTethきちは。セフィーロは、
「ねぇ、その件なんだけど」
 と、言って、
「……ううん、何でもない」
 ――別にこの工場を潰したところで、正しく流通しているタヌ耳が消えるわけでもなければ、Tethきちが猫と証明されたわけでもないのだけど。
 その言葉を飲み込んで、セフィーロは笑う。
 ――だって、言わない方が楽しいものね!
 にこにこと笑うセフィーロに、Tethきちは不思議そうな顔を見せた。
 何はともあれ。
 ひとまず、めでたしめでたし、である。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

夢見・ヴァレ家(p3x001837)[死亡]
航空海賊忍者
Teth=Steiner(p3x002831)[死亡]
Lightning-Magus

あとがき

 めでたしめでたし!!!!!!

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