シナリオ詳細
旅館に行くと聞いていたのに(動物)病院の看板が見えてきた
オープニング
●
『偶には皆で旅館にでも行ってゆっくりしないかい――』
そんな感じの事をギルオス・ホリス(p3n000016)は言ったんだ。
そう。あの時は確かにそう言ったんだと――仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は語った――
●
幻想の街中を馬車が往く。
ギルオスが御者に成りて、その荷側には人が乗れるだけのスペースがあり――そこには汰磨羈やリコリス・ウォルハント・ローア (p3p009236)も乗っていた。目的は冒頭で述べたように旅館へ向かう……
つまり偶にはイレギュラーズの皆でゆっくりと休暇でも取らないかと誘われたからだ。ローレットには日々多くの依頼が舞い込んでくるが、毎日ソレに向き合っているばかりでは疲労も溜まろう……故、リフレッシュは重要なのだと、さすれば。
「ふふ。一体どこに行くんだろうね、楽しみだなぁ!」
「ああ全く。目的地は着くまで秘密などとはな……まぁそういうのも驚きがあっていいものか」
「ははは。うん、楽しみにしておいてくれよ――もうすぐ着くからね」
心躍るリコリス。尻尾が全力で揺れて、いやはや楽しそうだ――
汰磨羈も口端を軽く綻ばせ、リラックスしている様子が見て取れる。
いずれもが未知なる領域へ期待を馳せ。
そしてギルオスも釣られる様に笑顔を見せていれ、ば。
「おお、もしやもう着いたのか――?」
馬車が速度を落とす。進行の様子が変われば、目的地に着いたかと汰磨羈らが感じ取って。
期待に胸躍らせながら外を眺めてみた――その時。
なんとそこにあったのは『病院』の看板。
「えっ?」
「えっ?」
固まる。表情と共に魂も。
目的地は旅館だと聞いていたのに――病院がどうしてここに――? あ、分かったそういう名前の旅館なんだな――? と、思っていれば。
「さぁ、着いたよ――ただ今より冬の病気シーズンに向けた予防接種を開始する!! もう逃げられないから諦めるよーに!!」
「は、謀ったな!! 謀ったなギルオスゥゥゥゥ!!」
「や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! どうして、なんで――!!」
幻想に響き渡る悲鳴、それは獣の慟哭そのもの――
そう。旅館という話、実は全て罠……真の目的は季節の変わり目に発生しうる病気の予防接種が目的であった――ッ!! 大人しくしろ汰磨羈・リコリス!! 幾ら注射が苦手でも、もう逃げ場はないぞ!! 感染拡大防止の為だ!!
驚くべき速度で迎えに来るナース達。
奥の部屋で待ち構えているは、注射をその指に抱きし医者ッ――!
どれもこれもが苦手なる者達にとっては地獄よりの使者に見える。おのれ――!!
「「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」」
「あっ、逃げたぞ追え、追えッ――! 大丈夫、この病院はこうもあろうかと厳重に窓や出口が封鎖されてるからそう簡単には逃げれない!! 追い詰めて捕まえて予防接種を受けさせるんだッ――!!」
が! 一瞬の隙を突いて逃げんとするケモっ子達!
注射は嫌だ。針に刺されるくらいならば寝込む方がマシだ――パンドラ消費も辞さない。
はたして、それは運命の二択。感染(うつ)るか打つかの丁半博打。
ああ、今日も又、注射は嫌よと獣が叫ぶ……
次回『予防接種』
――ケモ耳震えて、総毛立つ。
- 旅館に行くと聞いていたのに(動物)病院の看板が見えてきた完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年11月26日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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「ギルオスさん。私はね。
本で読んだ『人付き合い』をこの機会にやってみようと思っていたんだ」
『今は未だ秘めた想い』ハリエット(p3p009025)は語る。
人と人は必ずどこかで『縁』が繋がっているのだと。だから、一足飛びに友達とはいかなくても、顔見知りになれたらなって――そう思っていたのに。
「……なのにどうして病院に着いたのかな? 旅館は? 旅館って話は――
あっ。そうかこの後行く予定があるんだね? そうだよね?」
「ははは――悪いんだがハリエット。予防接種以外の予定は入ってないんだ」
「えっ」
途端。信じていたギルオスの言葉で絶望に心が染まるハリエット――!
諦めるんだと語る彼の後方にいるのは、うわ大量のナース達だ!
「ギルオスさんの鬼! 悪魔! ぱんつ!
ううう、後で覚えてろよー! くいちぎってやる」
ぐるる! 『狼殺し』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)は物陰に潜みつつ、何とか脱出できないか周囲を観察していた――! やだああああ!!
超絶泣きながら駆け抜けるリコリス――あっ。ナースさんはなんとか振り切った所である。うん。全然ラフィングな気分じゃないけれど、ラフィングな一撃ぶちかましたもん! でも平然と起き上がるナースさんにはビックリしたよね。ナニアレ?
ていうか、そうだ。ナースと言えば――
「騙して悪いですが、恨むならギルオスさんにカースドを送って下さい。
大丈夫。住所は既に特定していますから――さて、行きましょうかね」
ナースの恰好してる『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)もいた!
予防注射? しらない。アルプスが此処にいるのは興味が故。
この病院には尋常ではない速さを持つナース達がいると――
まさか只の病院にそんなナースいるわけないって思いました? 残念。
「何故なら……めっちゃ反応速度早いナースとは、何を隠そう僕だからです!!」
「いやなにをほざいているのだ絶対お前ナースではないだろ!!」
「ははは何を言ってるんですか汰磨羈さん。一日で納品されたこのナース服を見てくださいよ。どこからどう見ても僕はここの正規職員ですよ。今日だけの」
「ざけんなあああああそんな人を轢きそうなナースがどこにい、やべぇ逃げろ!!」
壁越しに抗議の声を張り上げるのは、逃げる『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)と『特異運命座標』マサル(p3p010226)だ――けど、バイクがなんか『吹かす』音が聞こえたぞ!!
究極の反応型たるアルプスが全霊を賭した時、逃げられる者は一体幾人いるというのか! その上――
「ハァイたまきちぃ? ワクチンのついでに背中なぞらせろ! あといらないと思うが風船いる?」
「ハッ! 紫電、貴様なぜそちら側に……! 裏切ったのか!!」
「裏切った? ハーッハッハッハッ!! 人聞きが悪いな、たまきちよ!
オレは既に接種済み……つまりは無敵なだけだ! 恐れよモフ達――!!」
そう。既にワクチン接種済みの『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)もいるのだ――まぁ紫電は刀が本体で肉体が多種族獣人系キメラという特殊な個体だが!
ともあれ念のためワクチンを打っておいた紫電は――そう無敵!
アルプスと共に哀れなるモフ共を追い詰めていく。
白衣とナースの混合追跡。反応シスターズ結成! それは正しく恐怖の証で……
「うおおおお待て待て待て待て!
ほら俺は風の子元気の子だし? 予防接種なんていらねーよ。な?
ていうか、な? 鳥の場合って二か所刺す場合とかもあるんだよ。なっ!
つまり! 下手すると俺だけ二倍の地獄を味わう可能性があるから――だめか逃げろ!」
「注射嫌っきゅ……初めてで怖いっきゅ……うう。どうしてあんな針を刺さないといけないっきゅー!」
同時。『偉大なる大翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)と『希うアザラシ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)もまた逃げる逃げる。病室の周りからは動物の鳴き声も聞こえているのだ――が。
「きゅー!? どうしてっきゅ――!!?」
逃げれない! 完全施錠された扉をぺしぺし叩くレーゲン。
――誰も脱出させない。
そんな病院の悪意(※動物たちにとって)を感じれば。
「このヤロー! おおん病院になんて、絶対負けない!!」
リコリスは叫ぶ。ヤケクソ気味に。
狩人から逃げるわんわんおへとクラスチェンジした彼女の運命や、如何に――!!
●
ねこダッシュ。ジャンプして転んで、たぬたぬスライディング。
汰磨羈は己が培ってきたあらゆる技能を活かし追跡者より逃げ切らんとする――ッ! 第一、そう! なぜ予防接種が必要なのだ!
「病気に罹って猫の特徴を出しまくれば、皆も私の事を猫と認めざるを得なくなるだろう――? いやそんなウイルスに掛からなくても私は猫だが! 猫だが、タヌキ扱いしてくる輩共への証左となろう! そう、たぬきやアライグマから解放されるのだ! これは罹るっきゃねぇ――!」
ふふ。かわいいたまきちが何か鳴いてますね。ともあれ彼女は逃げる。こんな事もあろうかと神威の技能たる壁抜けで扉を通過してしまえばさぁ外dぶべらッ!?
「な、なにぃぃぃ~!!? この扉ッ! 厚みが一メートルを超えている、だとッ!?」
馬鹿なッッッ! なんだこの滅茶苦茶な扉は!!?
大の字激突した汰磨羈は大の字姿勢のまま床に堕つ――と、その時。
「知らなかったのか? 反応型からは逃げられない」
「ゲェッ、紫電!!」
見えた後方。そこにいるのは紫電だ! まるでどこぞの大魔王が如き気配を醸し出しながら高速に接近してくる――ッ! 優れた五感を用い先回りし、そして優先して汰磨羈の背中を狙う紫電の瞳には強き魂が宿っており。
「諦めるんだ我が親友。一生たぬきちになりたくなければ打つべきなんだぞ。
それでいいのか! 永遠にお腹ぽんぽこたぬきちたぬ太郎でいいのか!!」
「嘘だ! そんなのはデタラメだ!! 私は猫だぞ!
高充填の私を舐めるなよ――うにゃあああおおあお!」
触れんとする紫電。それを寸での所で神回避する汰磨羈ッ!
互いに行う全力の移動応酬がせめぎ合っているッ――!
「ふぅ、ふぅ! ここもだめっきゅ……!
急がないと、急がないと追いつかれるっきゅ……!」
時を同じく。レーゲンも必死に逃走を行っていた!
グリュックに注射を受けさせつつ――その隙を突いてナースたちの包囲から逃走中なのである。ファミリアーでの攪乱も行えばある程度の時間は稼げているだろうが……しかし、どこを見ても這い出る隙間もない。
焦るレーゲン、の眼前にギルオスが現れ。
「あ、見つけたぞレーゲン! そろそろ諦め……ぐあー!」
「そういう訳にはいかないっきゅ! これでもくらえーきゅっ!」
故にレーゲンはギルオスを包む闇夜の雫を。
それはあくまでも殺さずの意志を伴った一撃だ――ぺしぺしするに留めておこう!
これは決して同じローレットの仲間なのに裏切ったと怒りをぶつけるわけじゃないっきゅ。死人が出ると大変でもあるし……だから逃走する為の正当防衛的なアレっきゅ!
「おやおや。こんな所に抵抗する――いけないアザラシがいるみたいですね」
「きゅ?」
――しかし、その時。
レーゲンは確かに聞いた。見つかれば決して逃げられぬ……恐ろしき声を!
「見知った仲の皆さんを捕まえるのに心は痛みますが、これもやむを得なき事。
――お覚悟(隠語ではない方)を!」
隠語ではない方ってどういう事なんですかねアルプスさん!!?
ともあれ高速で移動するは病院のナース達をも超えた、神速のバイク。
レーゲンの悲痛なもきゅ声が廊下に響き渡る――だがそれで終わらない。
そのままアルプスは廊下をドリフト決めつつ次の目標を狙い定めて。
「やだやだ死んじゃう! 轢かれたら俺死んじゃうから――!!
ていうかマトモな生物はガチめにやばいだろこれ――!!
ア゛――!! 死ぬッ――! マジ死ぬッ――!」
「大丈夫ですよ大丈夫――万一があっても、これは事故です!!」
「どこの何がどうで大丈夫、ていうか万一ってなんだソレ――ッ!!?」
奇襲一閃。超絶の反射神経で辛うじて回避したマサルだが――彼は死を予感していた。
アレに直撃したらまずいと。くそ! これがシリアスだったら死んでたかも! そもそも日銭稼ぎの疲れを癒せると思ってここにきたのに……どうしてこんな恐怖体験をしなければならないのか!
「ギルオスこん畜生てめぇタダで済むと思うなよ!!」
捕まっても注射するだけではあるのだが、最早生死を掛けた戦いの狭間にいる心境であった。猿としての彼は巧みに上を目指さんとし、やがてはバイクの目から避ける為にダクトの中に逃げ込む――ッ!
ふぅ。とりあえずここから更に上でも目指そうか。
埃被ったダクトを慎重に進んでいれば、あ、埃が……ハ、ハ――
「ハックションウッキー!」
あっ。
不穏なくしゃみをすれば――ダクトが何故かぶちぬけて、落下。
そのままナースの大群に群がられて……あ”あ”あ”!!
「ううっ。音速と名高いアルプスさんが敵だなんて……
そんなのどうやって逃げれば……はっ、そうだこの辺りに隠れられるかな……」
「チィ――次々とあちこちから悲鳴が響いてくるんだが、病院ってのはマジでこの世の地獄だな……!」
脱落していくケモギュラーズ達。追手の気配を感じているハリエットとカイトは慎重に行動を重ねていた――ハリエットはアルプスの速さを警戒し、下手に逃げずに隠れ潜む。
棚の隙間の狭い所へともそもそ移動し。一方でカイトは気配を極力殺しつつ出口を目指さんと。
周りの気配を敏感に感知し、どこぞに抜け道はないかと。
……鳥に注射する時は、部位は翼膜(翼の付け根)であり、その個所の毛を取り除いたりもするのだ。つまりカイトにもそんな未来が待ち受けていると考えればッ!
「せめて点眼式とか――そうかよダメかよクソッタレェ!」
捕まる訳にはいかない! 眼前、現れしナースを跳躍するように回避すれば、往く!
ふはは遅い遅い! この程度で鳥さんを捕まえられると思ったかッ――!
あばよとっつぁん! 俺はこの屋上から脱出させてもら……
「はは、これで出口に――ぐぁ!!?」
が。その瞬間――突如として放たれたのは巨大な網であった。
まるで鳥、いや魚の追い込み漁の様な……如何に飛翔と回避に優れるカイトであっても、これだけの物量作戦を仕掛けられては、うわッ――!
「……はっ。しまった、ねちゃってた……今の声はカイトさんかな……うにゃ……すぴ……」
と、さすれば暗くて狭い所でなんだか眠く……いやちょっと寝てしまっていたハリエット。カイトの叫びに一瞬目が覚めるも、またうとうと。このまま夜になるまで待ってれば皆諦める筈だ……
だけれども夜まで猶予があるのなら見つかる方が先。で、あれば。
「……やれやれ。こんな所で寝るなんて、いつも呑気だなぁ君は」
真っ先にハリエットを見つけたのはギルオスであった。
相も変わらず――と言った様子で、口端を緩めて温かな吐息を零し。
やむをえないので抱きかかえながら連れて行くとしよう。
ゆっくりと。起こさぬ様に。コートを彼女に毛布代わりに掛けながら……
「うう、がるる! みんな捕まった!? 捕まっちゃったの!?
くそう、どうしてこんな事に! 一体誰の所為なんだ――!!」
そして。遂に悲鳴の数が数えられる程度になった頃。
リコリスは涙ながらに走っていた――その背後からは多数の追跡者気配。
一体誰なんだあの二輪にナース服なんてこさえてしまった人は。許さぬ。自分でリクシナ出して自分でイラスト即日して自分で全て循環させるとかそんな究極をしでかしたのは一体どこの誰なんだ……!
「もう諦めなさいリコリスさん! 貴女は既に一方向から包囲されています!
ここで居寤清水ブースト! さぁ走馬灯を数えていただきましょうか!!」
やる気を出したアルプスの反応は1519!
それを7倍掛けして物理攻撃力を足したデッドリースカイ超速度力は11201!
天に祈りを捧げてCTが出て命中度判定も理論上最高のスマッシュヒットをする事で倍の22402! 食らえ――ッッ粉微塵も残すもんか!! いややっぱ流石に食らわせたら不味い気がしますよ危ないハンドルを右に!
「あっ窓が」
バイク、直撃。
当病院が誇るそう簡単にはブチ破れない窓との接触により――アルプス、リタイアッ!
「――したと思いましたか?」
が。何故かアルプスは即時復帰する。窓も破砕しておらず、まるで奇跡……
それはイレギュラーズの伝説が故。これこそが奇跡の一端――
Pandora Party Project――発動――
「すればなんとかなると思ったんですがやっぱり駄目ですねこれ、うわまた当た」
「はっ! 逃げられる? うおおおおこれがチャンスだ、行くぞ――!!」
とかそういうのではなかったので跳躍先で壁に激突! 壊れたらPPPで直すつもりだったのにって? PPPさんに無茶ぶりやめてください! なお壁には滅茶苦茶でかい亀裂が入ってました。ひぇッ……
さすればリコリス最後の力を振り絞る。
ここでリコリスが持参した愉快なスキルの復唱ターイム!!
どうしようもない程に不可避な嘲笑う死神の狙撃――
全てを見通すその視座を得たならば、敵を逃さないのは当然の事――
血に餓えた不可視の弾丸――
いずれもが本来、狩人技能の数々……!
「だけど狩人の矜恃なんてものは犬に食わせたよ! 狼だけに」
??? ちょっとわんわんおが何言ってるかわかんないですね。
とにかく彼女は決意していた。
無様に尻尾を巻いて逃げようが、重傷になろうがパンドラを消費しようが。
「脱兎の様に逃げてやる――!」
もはや狼どころか兎となって。跳躍した――瞬間。
「むぎゃ!」
「ぬあ! な、なんだ……リコリスか!」
偶然にも曲がり角で汰磨羈と激突してしまった――!
お目目ぐるぐるで倒れるリコリス。背後より迫ってくるナース達。
いかん。一刻も早く逃げねばと思った汰磨羈の前に現れしは。
「む? これは! マ、マタタ、マタタビャアアアア――!!」
入手が非常に困難な、超高級マタタビだぁーッ!
まっしぐら。最早何も目に入らず、マタタビに酔い痴れる汰磨羈。
「ハァン、このカホリ……たまらんにゃぁん☆ にゃにゃにゃ★(スーハースーハーカジカジカリカリ)
こんなのがあるなんて此処は天国……ハッ!? しまったこれは罠d」
「今だ! 全員確保、確保ッ――!!」
瞬間。飛び込んだのはマタタビを仕掛けていた紫電の策略ッ――!
仙狸厄狩 汰磨羈容疑者。13時58分確保ッ!
取り押さえられる、音がした。
●
「はい。そんなこんなでお注射タイムだよ――覚悟するように!」
「はっ。あれ? あっ、寝てる間に……い、いやだ。
手足を拘束して私の体に異物(注射針)を入れないで!
変な液体(薬液)入れないで! やだー!!」
「こらハリエット! 人聞きの悪い言葉を叫ぶんじゃない!」
そうして診療室に連れてこられた面々はギルオス主導の下、一人(一匹?)ずつ注射が始まった。まず密室で拘束されたハリエットが犠牲に……ってこら! 変な事を口走らない!
どうやら彼女は信じていたギルオスが裏切った事に心が痛んでいる様だ。
……まったく。旅館には今度行こうね。
「やめろォー! 俺は入れるのが専門!
入れられるのは専門外!! ア、ア、ア゛ッ゛――!!!」
「うおああああ止めろ主治医ッ! それ以上近付くな! ぶぅっ飛ばすぞぉッ!!
ぅ゛な゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ん゛っ ! ?」
「さらばだ親友……ワクチンを打った清い身になったら、もう一度会おう……」
マサルの悲鳴。汰磨羈の絶叫。
その様子を見ながら紫電は悪戯気味に汰磨羈の背を撫ぜつつ――注射終了まで待つものだ。
「ピィピィ! ピッ、ピピピッ! ピィ――!」
「あっカイトがウイルスにかかったぞ! 枝だ、止まりやすい枝を用意するんだ!」
そうしていればカイトは件のウイルスに感染したのか、様子がおかしい。こ、これがふみゃふみゃウイルス……! 完全に鳥になっているぞ。わぁ飛び立って逃げようとするなこんな狭い部屋で、わ――ッ!
「ご、極細針の注射をお願いっきゅ……二回打たないといけないから痛みと涙も二倍っきゅ……きゅ? 待つっきゅ! それは大きいっきゅ! だ、だめっきゅ! それは断固拒否……むきゅッ――!!」
直後。抵抗するレーゲンに無慈悲なる注射針が突き立てられる――!
『レーさんがみんなの命を守るっきゅー!!』
そう言っていた頃の勇ましい顔は――そこにはなかったとか――
「や、やだー! チクッとするのはや……
お”お”ん”!!! あ”お”お”お”お”お”お”お”お”ん”!!!」
そして最後の一人。リコリスの番が回ってきた――
泣き叫び机の下に隠れて出てこないのを無理やりに引き摺って、チクッとな。
さすれば響く。これぞ正に『負け犬の遠吠え』
ああ――今日も(動物)病院に、ケモミミたちの悲痛が木霊する――
……でも予防接種は大事だから皆ちゃんと受けましょうね。ね!
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
予防接種は大事ですよ! 動物も、人間も!
あっ。MVPは数々の人物を捕獲した貴方に!
ありがとうございました!!
GMコメント
冬に近付くたびこのシーズンが来ますね……
さぁ皆さん予防接種ですよ、よろしくお願いします!! 捕まえろー!!
●依頼達成条件
予防接種の全員完了!!
●フィールド
幻想に存在する病院内です。
ここではこれからの季節に向けたワクチン接種が行われている様です。概ね種族によらず誰でも受け付けているそうですが、普段は主に獣種やそれに準ずる特徴を持つ人たち向けの病院なんだとか。え、動物病院じゃないよ? 普通の病院だよ? ホントだよ?
――ですが、皆が皆注射が得意という訳ではないでしょう。
中にはどうしても注射が苦手で逃げ出してしまう人もいるかもしれません……
しかしそんな脱走者の事は想定されております!!!!!!
なんとこの病院、窓はめっっっちゃくちゃ堅くてそう簡単にはブチ破れません!! 扉も完全施錠です。タックルしてもそうそう壊れない素材で出来ております。何で出来てるんだこの病院は!!
●シチュエーション
ともあれ皆さんはこの病院で予防接種を受けていただきます!
――が、皆さんの内には脱走しようとしている人がいる様です!!
現在確定しているのはケモっ子のリコリスと汰磨羈の両名。他にもいるかもしれませんね……
皆さんは脱走側と追跡側に分かれてプレイングを仕掛ける事が出来ます。
注射が苦手だったりして脱走側に回ってもいいですし、或いは注射は特に苦手ではない、もしくはもう終わらせていたなどで追跡側に回っていただいても構いません。
病院には多くの患者部屋や資料室、医薬品保管庫などなど様々な部屋があるので隠れたりする事も出来る場所が多いでしょう。ただ、なぜか『またたび』などの罠が各所に設置されていたりもするようです……え、だから動物病院ではないですって!!
え、ちなみになんの予防接種かって?
なんでも獣種などを中心に『ふみゃふみゃウイルス』というのが広がっているらしく、この病気にかかってしまうと一時的に、猫の特徴を持つ者は完全なる猫の思考に。犬の特徴を持つ者は完全なる犬の思考に。狸の特徴を持つ者は狸に……という具合になってしまうんだとか。恐ろしいですね~
●予防接種タイム
みんな捕まっ……保護出来たら予防接種のお時間ですよ~~
チクッってするだけですからね~~だいじょうぶですよ~~~
追跡側の人も予防接種が住んでなければ受けても大丈夫です!
●病院のスタッフ達
脱走者には慣れてるのかナースとかも追跡側でやってきます。
めっちゃ反応速度早いナース達です。こわいよぉ。
●ギルオス・ホリス(p3n000016)
ケモっ子達を含め、まだ予防接種してない人達を受けさせようと色々画策して連れてきました。追跡側でやってきます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。だから予防接種受けましょうね~~!
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