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シナリオ詳細

ノルダインの怒りを知るがよい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●呪術の痕跡
 連合王国ノーザン・キングス。
 その中に、凍てつく峡湾に住む部族がいる。
 戦闘民族ノルダイン。獰猛な戦闘民族であり、3つの部族の中でもっとも命の価値を軽く考える者たちである。
 その性質ゆえに、鉄帝どころか他の2つの部族やイレギュラーズともぶつかる、そんな部族でもあるが……かといって考える力を持たないというわけではない。
 ノルダインにはノルダインなりの理屈と倫理観があり、ノルダインなりの正義に従っているというだけの話だ。
 故に彼等は自身の行動に恥じるところなど一切ないし、それ故に同じノルダイン同士でぶつかることすら躊躇わない。
 ……さて、この場所に住むノルダインの部族の男バラバリスは、一族の者に知らされて行った先の洞窟に向かっていた。
 それは、通常であれば船でしか行けないような場所にある崖下の洞窟。
 余程の事情がある者でなければ、こんな所には暮らさないだろうといった、そんな場所だ。
 そこに何故バラバリスがいるのか?
 それは……たいまつを持って洞窟の奥に向かったバラバリスの見た光景が、理由だった。
「……またか」
「はい、またです。一体何処のどいつが……」
 肉を全て削ぎ落された骨格標本のような骸骨。
 何かの呪いを籠めた血で描かれたと思われる、不可思議な魔法陣。
 目的不明の呪術の結果か過程か痕跡か。
 そんなものが、その場所にあった。
 変色せず真っ赤な色を保つ血が、実に怪しげだ。
「ふざけやがって……だが手が足りん。後手に回っている。どうしたものか」
 バラバリスは考えた後……1つの手段を思いつく。
「そうだな……連中を使ってみるか?」

●バラバリスからの依頼
「今日の依頼は変わり種です」
 チーサ・ナコックはそう言うと集まった面々の顔を見回した。
 依頼主はノルダインの部族の1つ、バラバリスの一族。
 まさかのノルダインからの依頼に、集まった面々がざわめく。
 ノルダインと敵対したことはあっても、同じ方向を向いて戦った経験のある者はそう多くないだろう。
 それほどまでに価値観が合わないということでもあるが……そんな中で、チーサは依頼内容を告げる。
「目的はバラバリスの一族周辺で展開されている呪術の阻止になるです」
 数週間前から、一定の感覚で行われている呪術。
 綺麗に処理した被害者の全身の骨と、恐らくは被害者の血による魔法陣。
 それが何を意味しているかは一切不明だが、まるで円を描くように「地面の下」で行われているのだという。
 バラバリスの一族自体、人や船を出して周囲の警戒をしているのだが、どうにも人が足りないしそれにばかり関わっていては生活も成り立たない。
 ならばどうするか。
 それを考えた時、一族の長バラバリスを含む少数精鋭がイレギュラーズと共にこの事態の解決に挑むという作戦を思いついたのだという。
「まあ、どうにも考える事が苦手のようでして。その辺りも期待されてるみたいです」
 バラバリスの一族を囲む大きな円を描くように一定間隔……およそ1週間ごとに行われている呪術。
 今までは平原方面で地下に穴を掘るような形で行われていたようだが、今回は崖下の洞窟で行われた。
 凍てつく峡湾にバラバリスの一族が住むことを考えれば、また海側で犯行が行われる可能性は高い。
 そして呪術に被害者がいるということは、鉄帝か何処かからそれを調達してきている可能性もあるだろう。
 その路線からも犯人を辿れるだろうか?
 何にせよ……事件の解決は、イレギュラーズの手に託されたのだ。

GMコメント

ノルダインの部族、バラバリスの一族と共に謎の呪術を阻止しましょう。
謎の魔法陣は犠牲者1人を代償として、バラバリスの一族の村を囲むように綺麗な円形で1週間ごとに行われています。
次の予定日はイレギュラーズがバラバリスの村に到着した2日後の予定だと思われます。

鉄帝での事前調査、バラバリスの村での情報収集などで、より詳しい地形情報など、事件の解決に繋がる情報が手に入る可能性があります。
なお、今回の犯人である「呪術師ベゴル」は自分の呪術の成果を試そうと思っているだけのクズなので遠慮はいりません。
なお、バラバリスたちは放置していますが「準備された今までの呪術」はそのまま機能しています。
これを破壊することで呪術の完成を妨害できますが、犠牲者の骨に呪術を纏わせたゴーレム的なスケルトンを相手にする必要があります。
頭骨を破壊することで倒せますが、それ以外だと異常な再生力を見せます。
攻撃方法は防御を無視する「呪いの泥」を飛ばす攻撃です。

なお、今回バラバリスとバラバリスの一族4人、そしてドラゴンシップの援護を受けられます。
何処かで地図を手に入れ今までの情報を統合すれば次回の犯行場所「入り江の洞窟」の情報が得られます。
夜遅くに呪術が実行されますが、犯行の証拠を確実に押さえるか、待ち伏せして犯行自体を防ぐかは皆様に委ねられます。
呪術師ベゴルの扱いも委ねられますが、ベゴルもバラバリスに見つかれば八つ裂きになることくらいは理解していますので徹底的に抵抗してくるでしょう。
攻撃方法は各種のバッドステータスを付与する効果をもった「呪術」です。
あまり本人の身体能力は高くありません。

●バラバリスの一族
ドラゴンシップを操り皆さんを助けてくれます。
斧を振るい真正面から相手を打ち砕くスタイルです。
族長のバラバリスと、一族の戦士4人です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ノルダインの怒りを知るがよい完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年11月18日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵
アザミ・フォン・ムスペルヘイム(p3p010208)
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼

リプレイ

●事前対応
「ノルダインと組むのですか。気に入りませんね。しかしこの呪い師を放っておくよりはマシですし、今の自分には経験が必要です。やれるだけやってみましょう」
「迂遠でありますな。だが確実であります」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)と『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)はそんなことを言いながら、鉄帝で情報収集をしていた。
 入手するべきなのはバラバリスの村がある辺りの地図だ。
 無論詳細な地図はないが、「大体こんな感じ」程度の地図なら存在する。
 そしてエッダは貴族の嗜みとしてのコネクションを用い、近隣の村や町で失踪事件が起きていないか調べていた。
 すると、それらしき事件が発生していることが判明していた。
 それも、相当数の人間が……だ。
 事件の存在を伝えることで警戒させ、生贄の入手を困難にさせる計画は、どうやら困難であるようだ。
 しかし今までの魔法陣の敷設位置から円を書くように移動していることを考えれば、次に何処に現れるかのおおまかな予測は可能ではある。
 その情報を持ってバラバリスの部族の村に向かえば、そこでは『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)たちがすでに到着し情報を収集していた。
(これまで、あまり関わりを持った事はありませんけど、似たような価値観の知り合いがいるのでそこまで忌避感はありませんかね
いずれぶつかる事もありましょうが、今は依頼主として受け入れましょう!)
 リディアはそんな事を考えながらバラバリスたちと交渉し、今までの事件現場に案内してもらう約束を取り付けていた。
「人体を使用した呪術……スケさんも同じような呪術の産物ではありますが、術式については明るくありませぬ……しかし、ノルダインの方々を挑発するようなことは得策でないことぐらい理解できますぞ? 呪術師ベゴルとやらが成したいものはなんなのでしょうな?」
「スケさんっつーのは……ああ、お前だったか。ま、俺等相手なら文句も出にくいってとこだろ。くくっ、まあ分かるぜ。そういう稼業だ……だからこそ、敵対する奴の末路っつーのはこれ以上ねえくらい明確にしてやる必要がある」
『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)にバラバリスはそう言いながら、雪の中をザクザクと先導する。
 その一方で、アザミ・フォン・ムスペルヘイム(p3p010208)はあまり乗り気ではない。
(ノルダインからの依頼ねぇ……正直野蛮な連中だからあまりお近づきになりたくないわ。でも依頼なら仕方ないし……何よりヘル……ヘルミーネがかなりやる気になってるから。あの子……ほっといたら無茶するから心配だわ……)
 とりあえずヘルが暴走しない様に注意しながら解決出来る様に尽力しなければ、などとアザミは考えていたわけだが……そのヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)は師匠である神楽・ニヴルヘイムに助けを求めるくらいにはこの依頼に乗り気であった。
「蛇の道は蛇ともいうし、呪術には呪術師なのだ! 婆ちゃん助けてなのだ!」と助力を頼むヘルミーネに「全く……これくらい自分で調べよと言いたいが可愛い「孫」の頼みじゃ。少しくらい手助けしてやるのじゃ。呪術の詳細が、もし儂が知ってる事であれば教えてやるのじゃ。まあ、未知の呪術だったとしても助言くらいはしてやるのじゃ……」と、そんな事を言っていた神楽ではあったが、どうも今回の呪術はそれなりにポピュラーな形式のものであったらしく、答えはすぐに返ってきた。
 その答えは……「巨大な魔法円を形成し大規模かつ強力な呪いを形成する」といった類のものだった。
 つまるところ、今までの呪術んも行われた場所を巡るという仲間たちの作戦は正しかったということになる。
「ノルダインの部族からの依頼……ヘルちゃんからしたら所謂ご近所さんからの依頼なのだ! ……正直気乗りはしてなかったけど気が変わったのだ」
 だからこそ、ヘルミーネはそう呟く。
「大量の生贄を要求する呪術……こんなモノを使う奴なんて到底許せる者ではないのだ。ヘルちゃんはこれでも「ニヴルヘイム」の巫女……死者を冒涜する者には鉄槌を……なのだ」
「近所……ああ、シルヴァンスか。うん、確かに近所だな。ああ」
「バラバリス殿達が破壊しなかったのは何故だろう? 用済みのものと放置したのか、触れない方が良いものと判断したのか……?」
 何やら納得したように頷いているバラバリスに『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)がそう問いかけると、バラバリスは「そんなことか」と返してくる。
「分からないものは触らねえ。理解できない分野のもんを弄って余計なことになるっつーのは何処でも共通のもんだと思うが……?」
「なるほど、道理だ」
「とはいえ、今回のはぶっ壊していいって婆ちゃんが言ってたのだ!」
 ヘルミーネに頷きながら、アーマデルは「その辺のノルダインとは少し違う」と気付く。
 粗暴で野蛮であることに変わりはないのだが、確かな理性がそこにある。
 アーマデルたちイレギュラーズに依頼してきたのは、その最たるものだろう。
(フッ、ノルダインからの依頼とはねぇ)
 その事実を確認しながら、『閃電の勇者』ヨハン=レーム(p3p001117)は思う。
(物事がよく視得ている、陳腐なプライドなど捨てて使えるものは何でも使う。この手の輩は敵に回すと恐ろしいね、尤も、回した所で僕は負けんがね。まぁ今回は仕事だ……)
 ノルダインとて伊達に3つの勢力の中で他の2つと張り合ってはいない。つまりはそういうことなのだろうとヨハンは思う。
「鉄帝国の魔術師、その叡智を存分に使ってくれたまえ、バラバリス族長!」
「おう、期待させてもらうぜ」
 言いながら、バラバリスは足を止める。
「さて……着いたぜ。此処が最初の場所だ」
 雪の中の洞窟に入っていくと……そこには血で描かれた魔法陣と、異常なほどに綺麗に白骨化した犠牲者の遺体があった。

●呪術師ベゴルを迎撃せよ
「さて……」
 犠牲者の骨があるならば、霊もいる。霊術士として疎通できそうな霊から情報収集を試みることを決めていた。
 そして、事実……骨から伸びる霊的な鎖のようなものにがんじがらめにされている霊が居た。
 どうやら、まずは呪術を壊さなければどうにもなりそうにないが……。
「私はこういった知識に明るくありませんが、放っておくのはまずい気がしますし、何か手掛かりが掴めるかもしれませんしね! 早速壊すとしましょうか!」
 リディアが輝剣リーヴァテインを構えると、魔法陣が輝きだし……縛られた霊体を吸収しながら骨が呪術を纏い起き上がる。
 燃えるスケルトンのような姿になったソレからは捕らえられた霊の悲鳴のようなものが聞こえてきて、その場の誰もが激しい怒りを覚える。
 呪術にも色々あるが、これはあってはならないものだと。そう悟ったのだ。
「こういうのは、敵の恐怖を煽る意図もあるであります……しかし敵は見誤っている」
 エッダはスケルトンを真正面から見据え、言い放つ。
「戦士という生き物は、こういう時、怒り狂い猛るものであります。その点において、自分も彼らも同じであります」
 ヨハンの剣がスケルトンの頭骨を砕けば、スケルトンはそのまま骨に戻り犠牲者の霊が解放されるが……呪術師の悪辣さが際立つこの状況に、アーマデルはふうと息を吐く。
「出来れば設置済みの全て、予め破壊しておきたいな。それがどのような性質のものであろうと、放置するのは宜しくない。この類の命を媒介とする儀式の跡地というものは、術式を完全に破壊しなければ良からぬモノに育つ事もあるからな」
 1つ破壊したくらいではだめだと、そう言うアーマデルにヴェルミリオも同意する。
「そうですな。一つでも多くの術式を破壊しますぞ! それに規則的に行われているのでならば、いつから始まったのかわかれば存在している術式の数を把握することも可能ではないでしょうか?」
 可能であれば2日後に出るであろう犠牲者を守って差し上げたいですが……とヴェルミリオは呟くが、あるいはそれは難しいかもしれない。
 だが、せめて犠牲者が迷わぬようにはしてあげたいとヴェルミリオは思う。
 解放された霊魂も、呪術師ベゴルの大体の姿などしか分かってはおらず、けれど充分な情報ではある。
「じゃあ、この魂は送ってあげるのだ」
 ヘルミーネのギフト「死出の番人≪ニヴルヘイム≫」が犠牲者の魂を成仏させれば、そこにはもう壊れた犠牲者の骨しか残らない。
 オリーブはこの箇所を地図で確認し、事前に聞いた情報と差異がないことを確認すると次に向かうべき地点を指でトンと叩く。
 等間隔の時間と距離。それさえ分かれば次の呪術が行われる場所を予測するのもある程度は容易い。
「後片付けのようで不満だろうが、残りの呪術が行われた所へ向かおうか。あれこれ手分けする案もあるにはあったのだが、キミたちも僕たちも細かい事を考えるのは嫌でね。一丸となって荒らし回ろうじゃないか。一点集中して呪術を破壊し、行動を早める。手分けは網のようなものだがこちらは鋭い槍だ。丁寧に荒っぽく突き回し続ければ黒幕もいつかは音を上げるのさ」
 説得するように言うヨハンに、バラバリスは肩をすくめる。
「俺等好みの言い方ってもんを分かってやがる」
「それなら?」
「おう。ついでにお前ら好みのこともしてやるよ。この骨は、後で手の者を向かわせて集めといてやる。元の場所に帰れるようにな」
 確かに今は急ぐ。そうしてくれるならば、非常にありがたいことだ。
 だからこそ、「次」へ安心して向かうことができる。
「フッ、呪術などという回りくどい事が好きな小心者だ。神経質で、臆病で、計算高く、完璧主義なヤツだろう。こう力任せに邪魔されると苛立つものだよ。クク、僕も人を苛立たせる事に関しては誰にも負けないぜ」
 ……そして、アザミも呪術が施された周辺の植物に自然会話で情報収集を試みたが……どうやら呪術師ベゴルは洞窟に死体を運び込んできているという、そんな被害者に関する絶望的な情報が伝わってくるのみだった。
 けれど、それは確かな怒りを呼び起こして……それは、2日後の夜に爆発を待っていた。
 高速で進むドラゴンシップは今までのデータから予測された地点へと到着する。
 そこには、今までのような洞窟が1つ。
 満潮の時には入り口が隠れてしまうような、そういった類の洞窟だ。
 イレギュラーズが踏み込み、バラバリスの一族の戦士たちが入り口を固める。
 そうして突入すると……今まさに儀式の最中であった男が振り返る。
 痩せぎすの、ローブを纏ったその男こそが呪術師ベゴルなのだろう。
 ヴェルミリオの姿に一瞬驚いたようだったが、すぐに平静を取り戻す。
「何故此処が……いや、そうか。まさかノルダインが外に助けを呼ぶとはな……」
「呪いは良いアイデアだが、生贄は良くない。そこで貴様等は楽に殺さないことにした。なるべく長く悲鳴を上げろ。それを鎮魂の歌とする」
「くくっ! 中々の脅し文句だな!」
 エッダにベゴルは笑い、チラリと背後を見る。
 そこにはすでに白骨化した被害者と、薄く輝く魔法陣がある。
「ところでベゴルに聞きたいのだけどどうしてバラバリスに対して呪術を仕掛けたの? よっぽどの理由がないとわざわざノルダインを標的にするのはリスクが高いと思うのだけど……まあ、どんな理由があろうとあんたがやった事に情状酌量の余地なんてないけど」
「貴様等が来なければ成功していた。そういえば理解できるか?」
 なるほど、それは確かに理解せざるを得ない。
「ああ、俺は此処で死ぬだろう! だがお前等はどうかな!? そいつらに本当に背中を預けられるか!? きっと次はお前等だ!」
 そう叫ぶと同時に、新たな呪術スケルトンが現れる。
「ヒヒ、ヒハハハハハ!」
 それは戦闘の合図。ただし、勝敗の決まった……だが。
「さあ! スケルトンの底力を見るがいい! 我らをただの傀儡と侮るなかれ! 我らをただの器と蔑むなかれ! 我らは斃れる事なき巨壁なり!」
「こんな形にされて本当に可愛そうなのだ……もうこれで解き放ってやるのだ」
 ヴェルミリオは壁になるべく立ち塞がり、ヘルミーネの神気閃光が呪術スケルトンを打ち砕く。
「誰一人としてやらせないパーフェクトな勝利以外僕は興味はない。バラバリスの一族もだ。これが治癒魔術の神髄だ! バラバリス!キミは運がいい! イレギュラーズと戦う事があったら僕から狙わないとこうなると覚えとくんだぜ! ハハ!」
 そう叫ぶと、ヨハンはその技を起動する。
「ベゴル、冥途の土産だ。真の呪術を見せてやろう。鬼哭啾々……!」
 ヨハンの鬼哭啾々がベゴルを打ち倒せば、それで終わり。
 しかし、ベゴルの残した呪いのような言葉は、全員を苛む。
 そう、今回は味方だったが……ノルダインとは敵対することが非常に多い。
 バラバリスとも今後良好な関係が築けると決まったわけではない。
「まったくつまらない戦さだった。戦争はもっと気持ちよく出来る相手が良い。なあ、そう思うだろう。ノルダイン」
「ハハッ、そうかもなイレギュラーズ。今回の相手は陰湿に過ぎた」
 エッダに答えるバラバリスの言葉に、その呪いが僅かに解ける。
 そう、ノルダインは野蛮かもしれないが、そういう類のことはしない。
「良い戦いぶりでした、ノルダインの戦士達。その流儀故、次に会う時は味方とも限りませんが――いずれにせよ、これからも互いに、堂々とした戦いをしていきたいものですね!」
「おうよ。ま、縁を繋いだ以上はあまり敵対したくはねえがな」
 リディアも、そんな会話を交わす。
「死者の魂が往くべき処へ逝けるように……」
 この遺骨たちはバラバリスたちによって集めて貰える約束はされているが、出来れば元の場所に返してあげたい。
 そんなことをアーマデルは思う。
「帰る先がある同胞は帰る場所へ、帰る場所なき同胞は安らかに眠れる場所への弔いをしてあげたいのですぞ」
「埋葬するなら請け負うがな。俺等の墓場でいいなら……だが」
 ヴェルミリオにバラバリスはそう答える。
 あるいは、それもいいのかもしれない。少なくとも、寂しくは無いだろう。
 やがて、ヘルミーネの鎮魂歌がこの地に響き始める。
 それは、この呪いで穢された地に……多少の救いをもたらすだろう。
 救いあれ。そう願う歌は、遠く何処までも響いていた。

 

成否

成功

MVP

ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
呪術師ベゴルの企みを阻止しました!

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