シナリオ詳細
<Noise>再現性東京2010:警備システム、乱心
オープニング
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最近、希望ヶ浜では異変が頻発している。
連日新聞を賑わすシステムトラブル。停電やネットワーク障害、信号機の混乱等々。
商社「新未来社」の社員達にとっても、それは他人事ではなかった。
「どうしよう、取引先と連絡がつかない……」
「まいったな、出向こうにも信号機トラブルで電車止まってやがる」
「ううん、ネットワークエラーか……データの送信ができん」
社員達は個々にこの状況にストレスを感じており、なかなか仕事を終えることができずにいた。
それもあって、彼らはさらなる災難に苛まれることとなってしまう。
日も暮れて程なくした頃、新未来社本社ビルに激しい警告音が鳴り響く。
――システムエラー、システムエラー!
あまりに大きな音だったこともあり、社内にいた者達は皆耳を塞ぎ、身を竦めてしまう。
その短い間に、警備システムは社内全てのシステムをハッキングし、のっとってしまう。
――これより、このビルは私の意志で管理される。
「な、なんだ!」
「システム管理会社に連絡しろ!」
「ダメです。連絡がつきません」
社長が社員らにシステムの復旧を行わせようとするが、警備システムは社員らを各部署内へと閉じ込め、警備ロボットをあちらこちらに徘徊させて警備を強化させる。
「ここは我が城、何人たりとも立ち入らせはしない……」
異常をきたしたシステムは外部との通信によって自己強化を施し、さらにビル内のネットワークも強固なものとしていく。
「原因が分かればいいのだが……」
「ハッキングされたか?」
「いや、システムが暴走したのかもしれん」
あっという間にシステムを掌握され、部署内に閉じ込められた社員達。
幸い、部屋の電気は生きているし、部屋内には多少の飲食物はある。できる限り、彼らは状況の改善を模索し、様々な手段を講じるのである。
●
練達、希望ヶ浜。
この地は現状、マザーに異変が起きたことで様々なトラブルが起きている。
「近未来の技術というのは便利な反面、思いの他もろいものだね」
『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)はそれらの技術に理解こそ示していたが、これだけ社会問題となる状況を引き起こしている状況には眉を潜めていた。
ともあれ、現在起きている状況の確認と合わせ、トラブルに巻き込まれた一般人を救出せねばならない。
「希望ヶ浜にある新未来社って会社からSOSが出ている。なんでも、会社から出られなくなったそうさね」
新未来社本社ビルは30階建てのビルだが、現状、警備システムがビル全体を乗っ取ってしまっており、社員200名ほどがビル内に閉じ込められてしまっているという。
SOSの内容から、状況は各社員にも徐々に伝達されている。
話によれば、近場のビルに連絡を取り、そこを経由して上司との連絡を行うというアナログな手段を使っているそうだ。
旅人も多いこともあり、やむを得ずファミリアーなどで伝達を行う逞しい社員もいるようだが、それはさておき。
「とはいえ、一般人には変わりない。警備システムの暴走に対処する術がないらしい」
その為、新未来社の社員達は救出できる者を派遣し、警備システムの機能停止を希望している。復旧すら怪しい状況である為、破壊しても構わないとのことだ。
どこから突入しても構わないが、上層階になればなるほど、警備は厳重になっているようだ。
「内部は警備ロボットが巡回している上、警備システムも破壊されぬ為の自衛手段を用意しているようさ」
ただのシステムと侮ったら、あっという間にやられてしまいかねない。ビルへの突入から迅速以降同士、システムが機能停止できるよう立ち回りたい。
すでにある程度のデータは解析できているそうで、オリヴィアがそれを解決にあたるイレギュラーズ達へと配布する。
警備システムも早々頻繁にアップデートできるはずもない。この場で機能を止められれば問題はないだろう。
とはいえ、事態の収拾にはさらなる情報があると便利な状況もあるだろう。制御管理室の場所など、各部署に閉じ込められた社員から情報を聞くのもいいかもしれない。
「それじゃ、頼んだよ」
一通り説明を終え、オリヴィアは改めてこの事件をイレギュラーズ達へと託すのだった。
- <Noise>再現性東京2010:警備システム、乱心完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年10月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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希望ヶ浜にある新未来社。
その本社ビルは現在、守られるべき警備システムが内部全てのシステムをハッキング、統制し、完全に掌握してしまっている。
「さて。これで三度目になるツッコミを入れさせて貰おう」
『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)はその入り口で大きく息を吸い込み、大声でぶちまける。
「AIに頼らない緊急停止システムくらい付けておけ!」
汰磨羈がそう感じるのも無理はない。こうした事件が希望ヶ浜で頻発しているのだから。
これには、混沌勢も呆れを隠さない。
「やれやれ、システムの中枢がダウンでこのザマか」
首を振る『航空猟兵』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)。
確かに練達の技術力はすごいと認めながらも、ハイテク過ぎることは考え物だとアルヴァは指摘する。人が生み出した機械がいつまでも人の味方とは限らないのだ。
「機械仕掛けの衛兵というのも不便な物なのね」
『翼より殺意を込めて』メルランヌ・ヴィーライ(p3p009063)が見上げる塔のような30階層のビルには、新未来社の社員達が多数閉じ込められたまま。社員達が恐怖を感じているのは間違いない。
「システムが城を宣言……か。AIが自我を保つ反乱とはなんとも、フィクションじみてるね」
『無限陣』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)はそういうが、現実は小説より奇なりといったところか。
(AIとか警備システムってなんだろう)
練達ではありふれた物品や事柄でも、『善性のタンドレス』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)にとっては無知の代物。コンピュータも何度が目にはしているココロだが、生まれた海洋になかったこともあり、なんだかわからないといった認識である。
一方の旅人勢もまた、これらのシステムに思うことがあって。
「R.O.Oにせよこの再現性都市にせよ、ええとマザーに見守られて成立している」
現状について、『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)は独り言ちつつ再確認して。
「その眼差しが狂えばこういう事態も起こり得る、というわけか……」
難儀なものだなと、エーレンは溜息をついた。
「AIが暴走したとき何もできないなんて情けないですね」
人ならぬ存在である『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が認識していたロボット、AIとは人にとっての道具だったのだが。
道具に反逆されるなど人と神くらいなもので、驕り高ぶった者の生末は同じなのでしょうかと幻は語り、「愚かしいものですね」と突き放す。
「ですが、人を死ぬ運命(さだめ)に堕としたくはないのです。愚かしいからこそ、反省したうえでもっと前に進んで欲しいと願うのです」
ビルから退避していた人々も幻の言葉に俯く。とりわけ、システムに携わっていた者達は無力感に満たされて反論すらできなかったようだ。
「暴走で助かりましたね。警備システムが『意図を以て』操られていたとしたら、事態はより困難を極めたでしょう」
そこで、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)が突破口となりそうな点を指摘する。
そういえばと、マニエラが思い出したのは、R.O.Oに現れるピエロ。もっとも、AIといったレベルの相手ではなさそうだが……。
「どちらも壊すだけだよ」
妹弟子であるマニエラの毅然とした一言に、ココロは強い思い入れを感じていた。
(あの子はあまりそういうの口にしない子だけど、何かやるべき事、考えがあるなら手伝ってあげたい)
別に姉弟子としての義務感があったわけではない。ただ、ココロ自身がそうしたかったのだ。
●
さて、突入に当たり、イレギュラーズは綿密な準備を進める。
幻がハンドサインを皆に教えていたが、並行して調べていたのは……。
「無策で行っても意味はありませんから、そうね」
「これだけ大きいビルだ、見取り図の一つくらいあんだろ」
メルランヌはビルの管理者などがいればとコンタクトを希望する。アルヴァはというとaPhone10を使い、外部向けのビルの見取り図や各階の情報を探し始めていた。
ビルの見取り図もそうだが、警備システムの中枢がある制御管理室の位置の把握は警備システムと対するに当たって必須情報だ。
エーレンは礼儀作法を保ち、近場の社員に声をかける。
出入りの業者、ビルの管理会社などから図面を貰えないかとエーレンは交渉していたのだ。
設計図面を入手出来れば、それを参考にしたルート選定を行えそうだが……。
「そっちは上手くいきそうかね?」
汰磨羈の問いに、エグゼクティブマネージャとして寛治がツテをフル活用する。
彼もまたビル外の社員から制御管理室の位置とそこまでのルート、ビルの見取り図といった情報を引き出そうとする。
それにはメルランヌも助力し、夜花の優雅さで色仕掛けを行う。
「ええ、パスワード。それに、緊急停止コードもご存じないかしら?」
数多に出回る物語のように都合よくあれば僥倖だったが、さすがにそうした情報までは中々得られない。
「非常時とはいえ守秘義務を守られたら困るな」
こんな時にまでとマニエラは呆れるが、現場を仕切るトップが閉じ込められているのだから即決できぬのも無理はない。
最低限の情報は得られた野を確認するメルランヌだが、彼女の要望はそれだけでは終わらない。
「システムに詳しい方が社員さんに居たらお願いしたいのだけれど、いいかしら」
戦いになった場合に、ハッキングしやすくなるかもしれないからと、一斉にアクセスして混乱させてほしいとメルランヌは願う。
残念ながら、ビル内は妨害電波によってaPhoneを使った連絡が取れない。合図方法が大変だが、そこはファミリアーでの伝達となるだろう。
さて、寛治はある程度制御管制室へのルートを策定できたようだ。
「段取り八分と言いましてね。より準備した側が勝つのですよ」
警備ロボットがフロアを封鎖していた場合にも備え、寛治はエレベーターシャフトや換気ダクトの利用も考えていた。
「優先利用は階段、非常階段、エレベーターの順だな」
マニエラの確認を受け、アルヴァも見取り図でそれらの位置を把握する。
「目的地は、29階制御管理室、だな」
「――よし、行くぞ!」
エーレンの言葉を受け、頷き合うイレギュラーズは汰磨羈の一言を合図にビルへと正面から突入するのである。
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――シンニュウシャハッケン。
突入するイレギュラーズは早速、数体の円柱型警備ロボットに囲まれることとなる。
警棒や拘束具を使い、こちらを取り押さえようとしてくるが、メンバーはさほど慌てる様子もなく、ココロなどは応接用のテーブルを相手の足元に滑らせ、横転させていた。
「まあ、でも。衛兵沢山の館を進むのと同じような物よね、色気たっぷりの『お話』が通じないだけで」
メルランヌの言葉と共に汰磨羈が突撃し、群がる敵を幻が真横から破式魔砲を貫通させて薙ぎ倒す。
手早く最初の障害を排除したところで、メルランヌが改めて3羽のファミリアーを飛ばして効率よくフロアを調査する。
監視カメラは片っ端からアルヴァが狙撃で、幻も青い衝撃波を使って破壊し、警備システムによる位置特定を防ぐ。
そうして、メンバーは下層階の吹き抜けにある階段を上る。
全てのフロアを占拠している余裕は体力気力的にもないが、追撃される憂いをできるだけなくすべく幻は奇術でロボットをスリープモードにして。
「ロボットが夢を見るかは僕にとって大変興味ある課題で御座います」
幻はそう考えるものの、スタンバイ状態を待つロボットが夢を見るかは疑問だが……。
「制圧は骨の折れる作業だが、素早く確実にいこう」
会敵はできるだけ避けたい。エーレンは自分達の通った階段をバリケードで固める。
こうすることで、円柱型警備ロボットの車輪移動ができなくして追撃を防ぎ、上層を目指す。
しばらくは階段を優先として進む一行だが、少なからず相手もこちらの位置を把握しているらしく、階段に警備ロボットを固めるようになる。
「ダメね。警備ロボットが集まっているわ」
上に向かう階段付近にロボットが集まっているのを、メルランヌがファミリアーを通して把握する。
「非常階段も外に設置されているんだったな」
使える階段は使おうとアルヴァがそちらに向かうよう仲間に促し、イレギュラーズは非常階段へとシフトして移動を行う。
周囲を警戒して進むメンバーは社員達との接触も図るべく、再びフロア内にも突入する。
「警備ロボットが不意打ちをすることはないのだろうけど」
生存者が間違って襲ってくることはありえそうだと、マニエラが推論を口にすれば、アルヴァが耳を澄ましてロボットの接近や閉じ込められた社員の存在を確認する。
「よし、行ってみよう」
物質透過で、アルヴァは壁を通り抜ける。
その際は換気ダクトも利用して。
「小さいし、平べったい……しね」
小柄なココロが活躍し、部屋の内部へと入り込む。
そうして、メンバー達は部屋に閉じ込められた社員達と接触する。
「「おおっ……!!」」
ようやく助けが来たと喜ぶ社員達。
彼らはファミリアーなど使ってコンタクトをとっており、イレギュラーズの突入を把握していたようだった。
「システム制御管理室の場所を聞いておきたいのですが」
事前情報とすり合わせるべく、アルヴァが社員に聞き出しを行う。
ココロもまた、脱出しようとしてロボットからケガを負った社員に対してクール・ダンジュを開き、医術士としてその手当てに当たる。幸い、大事には至らぬ様子だ。
長居をしてもいられない。部屋から出たイレギュラーズ達はロッカーや自販機を横倒しにして。
「これでいいでしょう」
寛治が警備ロボットの移動が妨害できたことを確認し、さらに一行は上へと向かうのである。
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しばらく進めば、非常階段方面も警戒されてしまう。
そうなれば、メンバーはエレベーターシャフトを使っての移動を試みることに。
半数が簡易飛行、媒体飛行といった手段を使って浮かんで移動できたが、エーレンなどはシャフトのワイヤーを使って進む。
「それじゃ、頼むよ」
「わかった」
マニエラの頼みを受けて汰磨羈が先行し、ここは確認を行う。
「大丈夫……かな?」
アルヴァがこじ開けた扉の隙間から、そっと汰磨羈がフロアを覗き込む。
「うわっ」
そこを通過した人型ロボットに、思わず慌てた彼女はバランスを崩してしまうが、ジェットパックを使うココロにキャッチされて事なきを得る。
ともあれ、ロボットに気付かれたとメルランヌがファミリアーで誤誘導し、一部をそちらに向かうよう仕向けたが、増援もエレベーター付近へと駆けつけてしまう。
「なら、やるしかないな」
意を決した汰磨羈が全身に霊糸を纏ってロボットへと突撃する。
――抵抗ヲヤメロ。
人型警備ロボットもアームで侵入者であるイレギュラーズを拘束しようとしてくるが、上層を目指すメンバーがそれに従うはずもない。
自由なる攻勢に出るエーレンが駆け抜けざまに十字剣でロボットへと切りかかり、幻がここでも破式魔砲で複数のロボットを撃ち抜く。
遠距離からさらなる増援としてやってくる相手には、寛治が黒い長傘から弾幕を張り巡らし、さらにロボットのシステム中枢を撃ち抜いて無力化する。
メルランヌも少し遅れて戦闘に加わり、格闘術によって敵の頭を踏みつけ、床に伏してしまう。
多少の傷はココロが福音によって癒しに当たるが、彼女自身も直接敵を叩き、吹き抜けから階下へとロボットを落としていた。
汰磨羈が敵を引きつけてロボットを大霊刃で切り裂くのをマニエラは傍目で見て。
「たまきちと比べるべくもないが」
同系列の技で威力も下だが、そこは手数とマニエラも魔力を圧縮した蹴りでロボットを砕く。
「機械相手なら容赦はしねぇよ、さっさと壊れちまいな」
物質透過によってロボットの背後へと回り込んでいたアルヴァは不意打ちし、雷撃によってロボットの回路を完全に焼き切ってしまった。
「こちらも大丈夫だ」
エーレンはそう告げ、エレベーターのフレームを歪めてさらなるフロアへのロボットの突入を防ぐ。
汰磨羈が仲間に大天使の祝福をもたらして戦いの傷を塞ぐ間に、メルランヌが再度ファミリアーを飛ばす。
「赤外線センサーは尻尾も気をつけないといけないか」
意外と面倒だとマニエラ。狐の尻尾はこういう時難儀だ。
「上手くいったら、後で一杯奢ろう。勿論、イイ所でな」
そんな汰磨羈の頼みで、寛治がセンサー感知を行う。
皆が通り過ぎたところで敢えてそこに空き缶を投げつけ、敵をおびき寄せるなど寛治はシステムを攪乱して見せる。
なお、アルヴァの持つaPhone10のカメラも赤外線を捉えられたようでロボットの呼び寄せを防いでいた。
「後は制御管理室ですが……」
扉のプレートをチェックする幻。さすがのロボットもそれを入れ替えることまでは考えなかったようで、一行は目的の部屋の前へとたどり着く。
「少し待っていてください」
中にはロボットがいると判断した寛治はそっと扉を開いてライター型手榴弾を投げ込み、銃で掃射する。
そうして先制攻撃を行いつつ、メンバーは室内へと飛び込むのだった。
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「我が城を荒らす達に裁きを……」
ビルの警備システムは淡々とした口調でロボットを操り、さらに不調を来たす音を発してくる。
寛治が新手を召喚されぬ前にと扉を封鎖する間に、幻はギフトによって自身を含む全員に耳栓を仕込む。また、幻は封鎖した入口をコンクリートで固めようとしていたようだ。
「なんだ、このノイズは……」
加えて、メルランヌの合図で外の社員がシステムにアクセスして混乱を引き起こしていたようで、ロボットを含む警備システムの攻撃の手が止まる。
「未だ」
そこで、汰磨羈が飛び出してシステムへと霊力を打ち込み、己に注意を引こうとした。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。壊すのは申し訳ないが後で腕のいいエンジニアが来るまで我慢してくれよ」
躊躇していれば、やられるのはこちらだ。エーレンは仲間と示し合わせながら、すぐに倒せそうな円柱形から切り捨て、動きを完全に止める。
「電磁波や電撃……に関してはコンセントとかからも出てるし、止めようがないか。音だけならスピーカーを壊せば何とかなるか?」
援護はしばらく大丈夫だと踏んだマニエラは、警備システムの攻撃に対処をと見つけたスピーカーを蹴りつけて破壊していた。
我に返って電磁波を発する警備システムに、アルヴァは嘆息して。
「やれやれ、人様に牙向いてんじゃないよ、ほんと」
呆れながらも、彼は前方の配線や基盤を中心に電撃を浴びせかけ、ショートさせようとする。
とはいえ、プロテクトを張って強化しようとしていた警備システム。思ったよりは楽に壊せそうもない。
しばしの間攻防が続き、ココロは仲間達に福音を歌い聞かせて癒す。
その合間を縫うようにして、ココロは援護攻撃をと花吹雪が如き小さな炎を炸裂させて少しでもシステムにダメージを与えようとしていた。
スピーカーが壊れ、配線もいくつか断ち切ったことで警備システムの声は聞こえなくなったが、応戦が続く。
『これ以上は、ヤメロ――』
寛治はモニタ上に浮かぶ文字を目にしたが、それに惑わされることなく電源、基盤など基幹部分目掛けて狙撃を続ける。
斬撃に銃撃とモニタ回りやシステム部は疵だらけになっていたが、警備システムはタフさを見せつけ、部屋に雷撃を巻き起こしてイレギュラーズに浴びせかけてくる。
さらに、扉の外からはドンドンとロボットが扉を破壊しようとする音が聞こえてくる。その音は増え続けており、なだれ込まれると厳しくなりそうだ。
「無限に来るなら、本体をさっさとたたく!」
メルランヌはその前にと魔砲を派手に放ち、そのまま闘気を纏わせた脚で強く操作盤を踏みつけた。
その後方では、システムの本体と思われる直方体の置物に汰磨羈が近づく。
「斜め45度で叩けば直るのか、試してやろう!」
壊れかけた家電にチョップを叩きつけるかの如く、彼女は霊力の一撃を斜めに打ち込む。
刹那、駆け巡る電流。
それが完全にショートし、警備システムは完全に沈黙したのだった。
●
一度は全ての設備がシャットダウンした新未来社ビル。
しかし、すぐに照明などが復旧する。
どうやら、警備システムにハックされていた他システム系が通常運行に戻ったらしい。
「……他のシステムは生きてないか? いるなら破壊しにいくが」
マニエラが仲間と共に確認をとるが、ビル内で現状異常はないようだ。
ともあれ、緊張の解けた社員達の疲労の色は濃い。
事後処理は後日ということになり、ビルは立入禁止とした上でこの日は関係者全てがビルから撤収したのである。
成否
大成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは盾役として突撃し、多数のロボットやシステムを破壊した貴方へ。
今回はご参加ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
<Noise>のシナリオをお届けいたします。
●目的
警備システムの機能停止、社員の救出、
●敵……警備システム及び警備ロボット
商社「新未来社」が導入している警備システムです。
現状の練達におけるライフラインの混乱に巻き込まれ、システムに異常をきたしてしまったようです。
〇警備システム×1体
プログラミングに異変が生じ、操作盤をプロテクトして自律AIとなり、ロボットを操ってビル全体を乗っ取ってしまっています。
ビル上層階にあるシステム管理室でのみ交戦可能です。
モニター画面や操作盤をプロテクトする敵は移動こそできませんが、電磁波や電撃、不調をきたす異音、警報によるロボット召喚と幅広い戦法で部外者であるイレギュラーズを排除しようとしてきます。
〇警備ロボット(人型)×?体
上層階でのみ交戦可能です。人物大の大きさをした半自律型ロボット。警備システムの意向を優先し、その他は自己判断で動きます。
円柱形ロボットに耐久性では劣りますが、その分交戦能力は高くなっています。
警棒や拘束具を使って相手を取り押さえようとする他、拳銃を発砲して侵入者を排除することもあります。
〇警備ロボット(円柱型)×?体
下層階から上層階まで出現。1m程度の円柱の下部に4つの車輪がついています。
アームを出して拘束してくる他、スタンガン、ゴム弾による牽制、タックルを仕掛けてくることもあります。
また、火災が起きた時用の消火用の水をばら撒くこともあるようです。
●状況
夜、練達希望ヶ浜に存在する商社ビルにて、警備システムに異変が起こり、内部にいた社員を閉じ込めてしまっています。残業などしていた社員の多くは、配属先の部屋に閉じ込められているようです。
ビルは30階建てで、上層のどこかにシステム制御管理室があり、そこにある警備システムをダウンさせる必要があります。
ただ、エレベーターが警備システムの管理下にあって使えない為、何らかの形で上層を目指す必要があります。
下層階は円柱型警備ロボットのみですが、21階以上の上層階になると人型が登場する他、赤外線センサーが張られた通路があり、ロボットを呼び寄せることがあります。
●再現性東京(アデプト・トーキョー)とは
練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
その内部は複数のエリアに分けられ、例えば古き良き昭和をモチーフとする『1970街』、高度成長とバブルの象徴たる『1980街』、次なる時代への道を模索し続ける『2000街』などが存在している。イレギュラーズは練達首脳からの要請で再現性東京内で起きるトラブル解決を請け負う事になった。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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