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シナリオ詳細

再現性東京2010:怪談狩りを狩られ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010:怪談狩りを狩られ
「さー、みなさーん! やってきましたここ、無尽寺! 昔むかーし、魑魅魍魎が棲みついて、住職さんもその妖怪に取り憑かれて死んでしまったって話があるんですよー! こわいですよねー! でーも、そんな怖ーいスポット、今日は突撃しちゃいますよー!!」
 自撮り用のビデオカメラを回しながら陽気に喋っているのは、年の頃20代前半といった具合の明るい青年。
 彼は様々な怪談スポットに突撃し、怪現象を映像に収める趣味を持つ者。
 今迄も、この希望ヶ浜に点在する様々な怪談スポットを訪れて動画を撮り、それを動画共有サイトに上げて人気を集めていた。
 とは言え、今迄のスポットは廃病院とか、廃工場とかの類い……廃寺は今回初めての突撃。
 彼にとっては、他の怪談スポットと余り変わらないだろう、と思って居た。
 でもというものは、怪談スポットの中では最上級に『ヤバイ』場所。
 彼は足を踏み入れ、お寺の扉を開いて中を覗き込むと……そこには、朽ちかけたご神体が残されて居る。
「うわぁ……これは凄い!? ご神体が残っているだなんて、聞いた事が有りません!! さぁ、これはどういったご神体なのでしょうか……!?」
 彼はご神体に無防備に……いや、吸い寄せられるかの様に、お堂の中へと足を踏み入れる彼。
 当然お堂の中は真っ暗。
『……キィィ……』
 そんな彼の耳に聞こえてきたのは、聞き慣れない鳴き声。
 でも、興奮気味な彼はその声に気付いておらず……ご神体の元へと接近。
「さぁ……見てみましょう……!」
 と彼がご神体に手を触れようとした、その瞬間。
『キィィ!!』
 彼の背後に、大きな影が幾つも出現したかと思うと、彼は悲鳴を上げる間もなく……闇に飲まれる。
 その後のお堂には跡形もなく、廃寺はまた静けさに包まれるのであった。


「みんなー! ちょっといいかなー? またも事件がおこっちゃったみたいなんだよー!」
 と、希望ヶ浜にあるカフェ・ローレットにて、綾敷・なじみはお昼過ぎの一時を過ごしに来た君達の肩をぽん、と叩く。
 まぁ、突然声を掛けられて依頼を頼んでくるなじみはいつもの事なので、やれやれ、仕方ない……と言った感じで彼女の声掛けに大人しく従う君達。
 そして皆が集まった処で、彼女はある動画サイトをaPhoneで見せる。
「この人知ってるかなー? 本名はともかく、『怪談スポットハンター ツトムくん』って言う人なんだけどさー。どうやら本当の怪談事件に巻き込まれちゃったみたいなんだよねー』
 確かにサイトを見ると、2週間ほど前から更新が無い……今迄は、1週間間隔で定期的にアップロードされているのに。
「最後の動画でさ、次は『無尽寺』って所に行くって言ってたんだよねー。でもこの無尽寺って、廃寺なんだ。廃寺ってさ、実は凄くヤバイ所なんだよ? だって神様の影響が強い筈のお寺が廃するに至るってことは、神様の影響をも上回るって事なんだ!」
「そこでね、私もちょっと調べて見たんだよ。そーしたらさー……どうやらこの廃寺には夜妖達が大量に棲みついちゃってるみたいなの。まー、彼はその夜妖に喰われちゃったんだろうねー」
「アップロードされない事に、この人のファン達も不審がってて、ネットを見ると調べに行こーぜ、って言う人がちらほらと出て来ているみたいなんだよねー。もちろんこのままだと、第二第三の被害が出る事もまぁ、間違いないと思うんだ。だからさー……今の内にみんなには、この夜妖達を倒してきて欲しい、って言う訳なんだ!」
 と言いつつなじみは。
「怪談スポットにさ、興味本位で行ってる様な人達、天罰があってしかるべきだと思うんだけど、ま、それを放置ってのもなんか嫌でしょ? って言う訳でさ、みんな、宜しく頼むねー!」
 さらっと満面の笑みで、皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 怪談スポットを動画配信している方達の勇気、すごいですよね……。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●成功条件
 『無尽寺』に棲みついている夜妖達を全て仕留めることです。
 既に『ツトムくん』は喰われてしまっているので、助ける事は出来ません……遺留品は残っているかもですが。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 舞台となるのは廃寺です。
 周囲には草木が生い茂り、人里からはちょっとだけ離れた位置にあります。
 大きな音を出しても、周りの人達が来るような事は恐らく有りません。
 とは言え皆様が逃げれば、それを追いかけて人里まで降りてくる……という可能性は捨てきれませんので、彼らを逃さないような対処が必要になります。
 
 尚、夜妖達は漆黒の体躯を持ち、お堂の中は当然光もない為真っ暗です。
 その身体は光を吸収する性質も併せ持つ様で、光を照らしても余り明るくはならない様です。
 敵の数を減らせば、光の吸収する数も減るので、段々と明るくなっていく事でしょう。

●討伐目標
・人食いの狼夜妖『生狩狼』x25匹
  お堂に立ち入った罪深い者を食い荒らす狼の姿形をした夜妖達です。
  漆黒の身体で四足歩行、獣の如き素早い動きでお堂の中を走り回り、首や腕など、致命傷になりそうな部分を狙って噛みついてきます。
  致命傷になりやすい部分を数匹で連携して行う性質をもつので、狙われた人は取り囲まれていつのまにか致命傷を負っている……という可能性があります、注意して下さい。
  また、食らい付く攻撃の他、遠距離から咆哮を上げて、範囲に麻痺を与えると言う能力も持っています。
  更に、25匹居る夜妖の中には、5匹だけ仲間を回復する能力を持って居ます。こいつらは最初はどこにいるかは分からないので、見つけ出す様に作戦を考えて見て下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:怪談狩りを狩られ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
不遜の魔王
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
天城・幽我(p3p009407)
孔雀劫火
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

●怪談を求めし者
 怪談話……それは、人々の興味を誘うもの。
 現実に体験する事無く、映像を見て怪談スポットを楽しむのはある意味、動画を気軽に見れる世代だからこそ出来る体験。
 そして、そんな映像を撮る動画配信者は、再生数を稼ぐ為に、危険を顧みずに様々な怪談スポットへと向かう。
 ……だが。
「やれやれ……普段は目を背けているのに、態々それすらも忘れて、率先して自分から首を突っ込むとか……なんとういうか自業自得なんじゃないかな~?」
 と、軽く笑顔を浮かべながら『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が肩を竦める。
 そんな彼女の言葉に頷きながら『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)と『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が。
「何というか、好奇心は猫ならぬ人を殺すというか……どうして人ってこういう場所に近づきたがるんだろう?」
「そうだな。分不相応な好奇心は、得てして其の身を滅ぼす結果を招くものだ。だが、それで不特定多数の他者を巻き込むレベルの墓穴を掘るのは……流石に勘弁願いたいものだがな」
「そうだよねー……すでに情報が広まっているから、早めに処理しないと、ドミノ倒し的に被害が広がりそうなのがたち悪いよねー」
「うん。もちろん、それで犠牲になる人を見過ごしていい理由にはならないんだけどね……」
 三人が言う通り、今回の被害者は、動画の再生数を稼ぐ為に危険な怪談スポットであるここ……【無尽寺】を訪れた。
 そして、寺の中に住まう夜妖達に襲われ……死んでしまったのだ。
「本当、怪談スポット、といっても出て来ちゃいけないものってあるのですよ。きゃー怖いー、で済ませられないのは、何とかしたいのでして」
 と『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)がぐぐっと拳握りしめて言うと、それに『狐です』長月・イナリ(p3p008096)と『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)も。
「そうね。それに光を吸収する特性を持つ敵、ってのは興味深いわね。倒した後に体組織のサンプルを持ち帰れれば、珍しい経験値も獲得出来そうなんだけど」
「ああ、それは面白そーじゃねー? こいつオバケって言っても、殴って蹴ってぶっ飛ばせば倒せるよーな奴だから、あんまり怖くねーんだよなー。オバケだって言うなら攻撃無効とかの方が面白そうなんだけどよー。攻撃が効くんなら、ユーレイなんて怖くもなんともないってーの!」
「そうね……まぁ、それは私達がイレギュラーズだから、って所があるからかもしれないわね? 希望ヶ浜に居る普通の人は、怪談スポットはあれど、本当に幽霊に遭う事なんてありえない事だと考えて居るでしょうし、ね」
 そんなイナリの言葉に頷きつつ、『閃電の勇者』ヨハン=レーム(p3p001117)は周囲を見渡して。
「しかし……無尽寺か。なじみ君は危ない所だと行っていたが、再現性東京の方々はそんな所まで日常として捉えている所があるからねぇ……」
 とヨハンにうんうんと頷くルシア。
「そうなのです。こうしてみると、確かに雰囲気はあるのですよー。まぁ本当にこのお寺さんがどういった歴史を持っているかは分からないのですが、何だか触れちゃいけない感じが凄くするのです」
 その言葉に『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)は。
「私を何だと思惟している。神仏を怒らせるのは得意なのだ!」
 自信満々に、さらっとそんな言葉を零すオラボナに、ヨハンは。
「でもまぁ、心霊スポットの廃寺と言えど、僕たちの権限で破壊は御法度だろう。可能な限り原型を留められるよう、努力しないといけないだろう。破壊するなら、僕達に罰が当たらない様にして欲しい所だ」
 と肩を竦める。
 本来神仏が守る筈のお寺……それがここまで荒れ果てているという事は、心霊的にもかなり不味い場所には間違いない……だから夜妖が棲みついているのかもしれない。
「兎に角、例え動画配信の為だったからって、犠牲になる人を見過ごしていい理由にはならない。せめて、これ以上被害者が出る前に終わらせよう」
 幽我の言葉に皆が頷き、そしてイレギュラーズ達は廃寺の敷地内へと足を踏み入れるのであった。

●光を喰らう
「さて、と……先ずは夜妖の居る場所は、あそこの様だな」
 汰磨羈が先頭に立ち、神社の敷地内を歩くと、一番目立つド真ん中に建立されているのは、お堂。
 耳を澄ませれば、中から小さくドン、ドン……という床を跳ねるような音が響いてくる。
「うん……結構暴れているみたいだねー。先に来たツトムくんを喰らって、活発化してしまったのかなー?」
「そうかもしれないのです……でも、闇雲に立ち入るのは得策ではないのです。取りあえず、お堂の周りを見回ってみるのですよ!」
 アイリスにルシアがそう提案、そして。
「一人じゃ危険だし、アタシがついてってやるよ! それじゃー行こうぜー!」
「はいなのですよ!!」
 互いに笑みを浮かべ、今日とルシアはお堂の周りを探索。
 壁が薄そうな所があれば、そこを手近な所から持ってきた木材を積み上げることで、例え壁を壊したとしても抜け道として使えないように細工していく。
 そうしている間にアイリスが、エネミーサーチを周囲に張り巡らせて敵の気配を探索……当然その気配はお堂の中から感じる。
「やはり、お堂の中に蔓延って居るみたいね……戻って来たら、一気に突撃するとしましょう」
 イナリの言葉皆も頷き、そして京とルシアが戻って来ると、そこで幽我は鷹のファミリアーを大空に飛ばして周囲を確認。
「……うん、逃げ場所は、大丈夫そう……準備しておくに越した事は無いよね……」
「うん、そうだねー。多分この中は夜妖の餌場……踏み込んだ傍からガブリとされる可能性は無きにしもあらず。突入したら、周りに注意だよ!」
 幽我にアイリスが仲間達に注意喚起、そして。
「皆、準備は良い様だな! では、始めるとしよう!」
 とオラボナの言葉と共に、お堂の扉を開く。
「フッ、出てくると分かって居る暗闇に足を進めるのも愚かな事だが……な。さぁ……どう出るかな?」
 とヨハンの言葉に手持ちの灯りをお堂の中に照らすと……当然光の筋は一直線にお堂の奥へ。
 だが……その光の筋は途中で屈折することもなく、突如の終端を見せる。
「わぁー、ホントに光が消えるのですよ……」
 と驚きの表情を浮かべるルシア、次の瞬間……その暗闇は、イレギュラーズ達に向けて一気に近づいてくる。
 お堂の中の床をタタタッ、と走る音も次々と響きわたり、闇の中を走り回るのは……かの夜妖。
 他のイレギュラーズ達の灯りも次々とその身に吸収されていき、光の筋消えたり現れたりという……奇妙な光景がお堂の中に展開。
「ふむ……獲物を見つけたかの様に走り回っている様だな」
「うむ。しかしユールの日に何とふざけた格好だ、少しは電飾を纏い給え!!」
 汰磨羈の言葉に頷きながら、オラボナは声を荒げつつ、クリスマスの電飾をバサッ、と投げつける。
 ソレに夜妖達は左へ右へと躱しつつ、怒りを露わにして唸る。
 だが、オラボナはそれに怯む事無く。
「Nyahahahaha! さぁ血肉を喰らい給え。シャイネンナハトには早いがな!!」
 と挑発を繰り返す。
 そんなオラボナに十数匹単位で接近……そこにルシアが。
「さぁ、準備はいいのですよー? 光るのは一瞬、だからよそ見はダメでして。それでは! いち、にーの、さん!!」
 その手からぶっ放すのは魔砲クラッカー。
 糸を引くと同時に、強力な光と強力な音が一面に広がり……光を吸収するその身体は光の中にはっきりと浮かび上がる。
「さぁ、皆さん見えた所に攻撃なのです!!」
「ああ! 光を喰らうってな? あっはっはー、見えてりゃ問題ナッシング! 端からぶちのめしてあげるわ、かかってらっしゃい!!」
「そうだな。最初の内は治療をメインで動かせて貰うよ……みんな、頼むね」
 京、ヨハンがそれに答え、そして一番早い京は先程見えた黒い影に単騎突撃、そして。
「さぁ、アタシの拳を受けてみよ、あっはっはー!!」
 笑いながら火炎を纏った片腕で黒い影をむんず、と掴む。
 そして床に引き釣り倒すと共に、炎の拳を叩きつけて、燃やす。
 高威力の一撃を叩き込む事で、確実に一匹を仕留めると、続くは幽我。
「……取りあえず、回復能力を持っている夜妖を見つけたいね……でも、かなり暗いから防御するのにも支障が出るかも……取りあえず……鷹の目を頼りにしないと、ね」
 とファミリアーに戦場を見張らせつつ、攻撃に集中すると共に、己が精神力を弾丸に込め、放つ。
 単体攻撃で、確実に一匹ずつ仕留めようとする二人。
 とは言えまだまだ数が多い状態故、このままでは埒があかないだろう……だから。
「まさにモンスターハウスだな。実に潰し甲斐がある……!」
 とオラボナの近くに居た汰磨羈は神の光を周囲に展開させて巻き込む一方、ルシアは雷撃で戦場を薙ぎ、アイリスは仲間が居ない所にターゲットを定めて。
「不吉の月は昇る…天秤は振り切れ、断罪の刃は振り下ろされる…汝、咎人懺悔せよ」
 死月の一閃を穿つ。
 そんなイレギュラーズ達に反撃の方向と、手や首へと噛みつく夜妖。
 流石に首元に噛みつかれれば血飛沫が噴出する位に鋭い刃……だが。
「まだ倒れるんじゃあないぜ?」
 とヨハンは秘めた力を解放すると共に、福音を奏でて仲間達を回復し、戦線を維持する。
 2刻、3刻と経過……最初の光の奔流が収まれば夜妖の姿を探すのがまた難しくなると共に、ダメージを負った仲間に治療を飛ばす夜妖も数匹発見。
「続けていきましょう。身体が光を吸収する性質……それが自身を中心に周囲の空間に影響をおよぼす能力なら打つ手が無いけれど、身体の体質的な特性なら、体組織を絵の具で上書きしてやれば、光の吸収も意味を成さないでしょ! さぁ、これならどうかしら!」
 と今度はイナリが、炸裂式カラーボールを投げ放ち、今度は絵の具を周囲にぶちまける。
 すると黒い身体に塗料が付着し、以外に目立ち、夜妖達の居場所は少し分かりやすくなる。
「ほう、これはいい!!」
 ニッ、と赤い口端を釣り上げながら、更に夜妖達の挑発を継続しつつ、仲間達への攻撃を出来る限りカバーリング。
「良し。次はあいつだな!! さぁー、並べ並べ!!」
 京は己の位置を調整し、夜妖が出来る限り多く直線に並ぶ位置へと素早く移動し、指先に炎熱を収束して全力で薙ぎ払うと共に火炎攻撃。
 炎に包まれて苦しみ、左、右と回避する夜妖達だが、更にアイリスが気を込めた弾を放ち、回復能力を持つ夜妖を確実に仕留める。
「いい感じなのですよ!! さぁ、どんどん倒して行くのです!!」
 ルシアを始め、勢い付くイレギュラーズ達。
 漆黒の暗闇の中に、カラーボールによって付けられた色。
 それを目印に攻撃すれば暗闇の中で攻撃する事はかなり容易になり。
「Nyahahahhaa!! さぁさぁ、私に喰らいついた者は全て絶滅するのだ!!」
 嬉々として敵の攻撃を受けつつ反撃。
 範囲攻撃によって全体的に削られていた夜妖狼達に、更なる単体攻撃が襲いかかり……お堂の中に居た夜妖達は、全て闇の中へと消えていくのであった。

●残滓
 そして……全ての夜妖達を倒しきったイレギュラーズ達。
「ふぅ……どうにか、終わった様なのです。皆さん、お疲れ様なのですよー!!」
 羽をぱたぱたとさせながら、仲間達を労うルシア。
 それに汗を拭いつつ、イナリは。
「いや、まだ油断は出来ないわ。ちょっと待ってて」
 皆を静止しつつ、周囲の匂いを確認。
 秋口の薫風とともに香る虫達の匂い、草木の匂い……そして、夜妖の匂いがないかを確認。
 暫し確認するが、怪しい匂いは周囲から感じ取る事は無くて。
「……うん、大丈夫そうね。取りあえず一段落といった所かしらね」
「そうなのですね、良かったのです……! それじゃ、後片付けを始めるのです。ゴミはきちんと持って帰る。とっても大切なことなのですよー!!」
 ほっとした表情を浮かべたルシアは、戦闘開始時にぶっ放した魔砲クラッカーの残り破片をせっせと回収を始める。
 そう、彼女がお片付けをしている中で、オラボナが。
「さぁ、皆。死者を蔑ろには為せないのだ。人らしく在れ!」
 と声高らかに宣言。
 それがどういう意味なのか……きょとんとしているのが大多数。
 それに汰磨羈が。
「そうだな。確かに『ツトムくん』は殺され、もうこの世には居ないかもしれないが、その忘れ形見は残っているかもしれん。名も無き動画配信者の痕跡が無いとも限らないからな、その者達が残した遺留品を捜すのも私達の仕事だろう」
「そうだね。被害者は件の発信者だけとは限らないよね」
「うむ! 私は慈悲深い人間故な、Nyahahahahaha!!!」
 理解した汰磨羈とアイリスに、声高らかに笑うオラボナ。
 ともあれ、死した『ツトムくん』が最後に残した映像は、彼が生きていた証でもある。
 お堂の中をくまなく探し、無ければ更にお堂の階段付近や床下等々、死に直面した彼が投げ捨てたであろう物がないか、を灯りを灯して探索。
 そして、程なく床下に、まだ埃も被っていないビデオカメラを発見。
「……ん……これ、かな?」
 それを幽我が手に取り、仲間達の元へと持ち込む。
 電源を入れて、録画済みの映像を再生すると……なじみから見せられた動画と同じ声が、その映像から聞こえてくる。
「……うん、間違いなさそうだね……」
 幽我が頷きつつ、その映像を再生していると……突然黒い影に襲われ、カメラは彼の手を離れ、地面を映す。
 音声に記録されているのは、彼はやめろ、来るな……と言う必死の叫び。
 その叫び声が暫く続いたかとおもうと……断末魔の叫びが記録されて……その後暫く静寂が記録された後に、映像は終了する。
「これは凄い映像だな……!」
 京の言葉に汰磨羈が。
「うむ……だが、情報技術の発展も考え物だな。このような映像が上げられたら、悪い種は急速に広まるだろうに……」
 と一時悩む。
 しかし京は更に。
「まぁ、でもこれを利用すりゃ、怪異に驚いてこんな場所に来たくないって思わせられるんじゃないかな? ……いい考えがある。この映像は、アタシに扱いを任せて貰いたいんだけど、いいか?」
 ニッ、と笑みを浮かべる……何やら考えがある模様。
「……まぁ、いいんじゃないかな? 幽霊が怖いものだ、本当に襲われるんだって分かって貰えれば、自ずと足も遠のくだろうし」
「そうね……」
 ヨハンに頷くイナリ。
 そしてカメラのSDカードを抜き取り、彼女は家に帰った後……編集して、アップロード。
 襲われるシーンはショッキングすぎるので流石にカットするものの、そのシーンの代わりに彼女の言葉で。
『画面の前の皆様、これはカワイイJKみやこちゃんが作ったデタラメ動画? それともホンモノのパニックホラー? どう思うのもアナタの自由だけど、もし確かめようとしたなら……きっと『見たくないもの』を見てしまうよ?」
 と驚かせるような言葉を挿入。
「これで脅しになったかな……?」
 かなりの恐怖映像であるその映像は、表だって出回ることは無いけれども……ホンモノの怖い映像という事で、ネットの片隅に転がり続けるのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

夜妖退治にご参加頂き、ありがとうございました!
怪談スポット、私も昔ある所に行って……家に帰ったら見覚えの無い黒い線が壁についてて、正直怖かったのを思い出します……。

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